JP3127837B2 - プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はプリンタ制御装置及
びプリンタ制御方法に係り、特に、シリアルプリンタに
おいてデータを高速・高精度に印刷可能なプリンタ制御
装置及びプリンタ制御方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のプリンタ、例えば、シリアルノン
インパクトインクジェット式のプリンタでは、文字、数
字、罫線素片等のモノクロのテキストデータを印刷する
場合、単方向印刷と双方向印刷とのいずれかを選択でき
るようになっている。ここで、単方向印刷とは、固定さ
れた一方向で印刷を行うものであり、高画質印刷モード
とも呼ばれる。また、双方向印刷とは、左右両方向から
印刷を行うものであり、高速印刷モードとも呼ばれる。

【０００３】単方向印刷では、常に固定された一定方向
から印刷を行うので、印刷パス、即ちプリントヘッドの
移動量が増大して印刷時間が長くなる。しかし、単方向
印刷では、プリントヘッドの機械的精度等による印刷位
置ずれの影響が極めて少ないため、高品質の印字を行う
ことができる。これに対し、双方向印刷では、左右いず
れの方向からも印刷を行うので、単方向印刷よりも印刷
パスが半減して印刷時間が短くなる。しかし、双方向印
刷では、印刷位置ずれの影響を受けるため、例えば縦倍
角文字や縦罫線のように印刷ドットが縦（副走査方向）
につながるものを印刷する場合には、印刷ドットの不連
続性が視覚的に顕在化して印刷品質が低下する。

【０００４】このため、ユーザーは、印刷すべき文書の
性質を考慮して、１つの印刷ジョブ毎に、つまり、文書
単位で単方向印刷を行うか双方向印刷を行うかの指定を
かけることができるようになっている。従って、単方向
印刷を指定した場合は、全角文字等で構成されている部
分が文書中に存在していても全て単方向で印刷され、双
方向印刷を指定した場合には、縦倍角文字や縦罫線等が
部分的に存在していても全て双方向で印刷される。しか
し、実際の印刷すべき文書中には、全角文字等の双方向
印刷が可能な部分と縦倍角文字等の単方向印刷すべき部
分とが混在しているのが普通である。従って、印刷ジョ
ブ単位で単方向印刷又は双方向印刷の指定をかけたので
は、不要な印刷パスの増大によって印刷時間が長くなっ
たり、あるいは部分的に印刷品質が劣化したりする不具
合があった。

【０００５】そこで、例えば、特公平４−９１５３号公
報、特開平２−２３３２７５号公報、特開平８−１１３
５３号公報等には、展開されたイメージデータを解析
し、単方向印刷を行うか双方向印刷を行うかを決定する
技術が開示されている。

【０００６】例えば、特公平４−９１５３号公報に記載
の従来技術（第１の公報記載技術という）では、展開さ
れたパターンの縦方向ドット数が所定幅よりも大きくな
り、文字パターンが複数のゾーンに分けてイメージ展開
されたときには単方向印刷を行い、文字パターンが単一
のゾーンでイメージ展開されたときには双方向印刷を行
うようになっている。また、特開平２−２３３２７５号
公報に記載の技術（第２の公報記載技術という）では、
垂直方向のドット行ブレークを検出し、このドット行ブ
レークの検出位置に応じて双方向印刷を行うか単方向印
刷を行うかを判断している。さらに、特開平８−１１３
５３号公報に記載の技術（第３の公報記載技術という）
では、属性情報に基づいて文字列の高さ方向寸法を解析
し、イメージデータの連続性を考慮して印字ヘッドの送
り方向の反転、非反転を判断している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】前記第１の公報記載技
術では、展開された文字パターンの大きさに応じて単方
向印刷と双方向印刷とを切り換えることができるため、
印刷ジョブ単位で単方向印刷又は双方向印刷のいずれか
を選択するものよりも、印刷時間を短くしつつ印字品質
を高めることが可能である。

【０００８】しかし、前記第１の公報記載技術では、あ
る行の文字パターンがゾーン分けされているか否かに基
づいて単方向印刷又は双方向印刷を選択するに過ぎず、
当該文字パターンの上下に位置する他の文字パターンの
大きさ等との関係を何ら考慮していない。従って、不要
な印刷パスを完全に取り除くことができず、最短の印刷
時間を達成していないという問題がある。即ち、例え
ば、ある行の文字パターンが全角文字のみで構成されて
おり、プリントヘッドの一回の主走査で印刷可能であっ
ても、隣接する他の行との関係を考慮しなければ、印刷
パスを短縮することができない場合がある。

【０００９】同様に、第２の公報記載技術でも、検出さ
れたドット行ブレークに後続する次のイメージデータの
大きさを何ら考慮していないため、ドット行ブレークに
続く文字列の高さとヘッド寸法との関係によっては、印
刷パス数が増大する場合が生じる。

【００１０】また、第３の公報記載技術では、属性情報
に基づいて文字の頂部と最下部を検出し、次行の文字の
頂部の有無、即ち、空白領域に続く次の文字データ、イ
メージデータまで考慮している点で優れている。しか
し、この第３の公報記載の技術では、属性情報の解析に
よって得られた印刷方向によって、バッファに記憶され
た全てのデータの印刷が支配される。つまり、バッファ
に記憶された印刷すべき全てのデータに対して、属性情
報の解析に基づいた一定の印刷ロジックが適用される。
しかし、実際には、打つべきデータを持たない空白領域
を検出する毎に、その空白領域で印刷方向を反転すべき
か、あるいは、空白領域の前後の印刷領域を合わせて印
刷すべきか判断する必要が生じる場合があり、かかる場
合に第３の公報記載技術は対応できないという問題点が
ある。

【００１１】本発明は、上記のような種々の課題に鑑み
なされたものであり、その目的は、双方向印刷が可能な
パターンと単方向印刷すべきパターンとが混在している
場合に、印刷時間を短縮しつつ印刷品質の低下を防止で
きるようにしたプリンタ制御装置及びプリンタ制御方法
を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高
い印刷品質を確保しつつ印刷時間の低減を実現できると
共に、ドットパターンデータの生成に用いるメモリの量
を低減できるようにしたプリンタ制御装置及びプリンタ
制御方法を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明に係るプリンタ制
御装置が採用する構成の特徴は、印刷データを受信する
印刷データ受信手段と、受信した印刷データに基づいて
ドットパターンデータを生成するドットパターンデータ
生成手段と、前記ドットパターンデータを各ライン毎に
走査してドットの有無を検出し、該ドットを含むライン
数をカウントすることにより、印刷すべきドットを含む
ラインが副走査方向に連続する印刷領域と該印刷領域に
続く空白領域とを検出する領域検出手段と、前記印刷領
域のライン数と前記空白領域のライン数と該空白領域に
続く次の印刷領域のライン数とプリントヘッドのドット
形成要素数との関係に基づいて演算を行い、この演算結
果に応じて一回の主走査で印刷すべき印刷ブロックを決
定し、当該印刷ブロックを単方向で印刷するか双方向で
印刷するかを判別する印刷方向判別手段と、前記印刷方
向判別手段の判別結果に基づいて、少なくとも前記プリ
ントヘッドの駆動を制御する駆動制御手段とを備えた点
にある。

【００１３】印刷すべき文書、頁には、例えば、全角文
字等のみで構成されている部分のように双方向印刷が可
能な部分と、縦倍角文字や縦罫線等を含んで構成されて
いる部分のように単方向印刷をしなければ印刷品質が劣
化する部分とが混在している場合が多い。また、印刷す
べき頁は、例えば複数の行のように、複数の印刷領域を
含む場合が多い。ここで、ある印刷領域がプリントヘッ
ドの一回の主走査で印刷可能なライン数を有する場合、
当該印刷領域は双方向印刷が可能である。しかし、この
印刷領域に続く空白領域のライン数及び空白領域に続く
他の印刷領域のライン数をも考慮して印刷方向を決定し
なければ、全体としての印刷パス数を低減することはで
きない。何故なら、最初に印刷される第１の印刷領域の
ライン数、空白領域のライン数、次に印刷される第２の
印刷領域のライン数及びプリントヘッドのドット形成要
素数の関係によっては、双方向印刷が可能な第１の印刷
領域も第２の印刷領域と併せて単方向印刷した方が印刷
パスが短くなる場合があるからである。従って、本発明
では、公報記載の従来技術のように、ある印刷領域のラ
イン数とプリントヘッドのドット形成要素数との関係の
みで印刷方向を決定するのではなく、後続する空白領域
及び第２の印刷領域のライン数をも考慮して、一回の主
走査で印刷すべき印刷ブロックと該印刷ブロックの印刷
方向を決定することにより、印刷パス数を低減して印刷
時間の短縮を図っている。

【００１４】また、前記領域検出手段は、空白領域に続
く次の印刷領域のライン数を、当該印刷領域の直前の印
刷領域のライン数と同一であると仮定して検出すること
もできる。

【００１５】空白領域の開始を検出した時点で、該空白
領域に続く印刷領域のライン数を直前の印刷領域のライ
ン数と同一であると仮定することにより、入力バッファ
に記憶されたデータの全てを印刷処理に向けて出力する
ようなメモリ管理プログラムを用いている場合でも、空
白領域の前に検出された印刷領域の印刷処理を行うこと
が可能となる。

【００１６】さらに、最初に検出される第１の印刷領域
のライン数をａ１、該第１の印刷領域に続く空白領域の
ライン数をｂ１、該第１の空白領域に続く印刷領域のラ
イン数として擬制的に検出される予測ライン数をＬＸ、
前記プリントヘッドのドット形成要素数をｄＮとしたと
きに、ｄＮ＜ａ１が成立するときは単方向印刷を選択
し、ａ１≦ｄＮ≦ａ１＋ｂ１が成立するときは双方向印
刷を選択し、ａ１＋ｂ１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋ＬＸが成
立するときは、さらに、ｄＮ＜ＬＸが成立するか否かを
判定して、ｄＮ＜ＬＸが成立しないときは双方向印刷を
選択し、ｄＮ＜ＬＸが成立する場合及びａ１＋ｂ１＋Ｌ
Ｘ≦ｄＮが成立する場合はａ１＋ｂ１を新たなａ１と置
き換えて再度の判別を実行するのが好ましい。

【００１７】ｄＮ＜ａ１が成立する場合とは、プリント
ヘッドの一回の主走査で第１の印刷領域を印刷できず、
双方向印刷を行うと印刷ドットの不連続性によって印刷
品質が低下する場合である。従って、この場合には、単
方向印刷を行う。ａ１≦ｄＮ≦ａ１＋ｂ１が成立する場
合とは、プリントヘッドの一回の主走査で第１の印刷領
域を印刷することができ、プリントヘッドが第２の印刷
領域にかからない場合である。従って、この場合には、
双方向印刷を行う。ａ１＋ｂ１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋Ｌ
Ｘが成立する場合とは、プリントヘッドが第２の印刷領
域の途中にまで及んでいると予測される場合である。こ
の場合は、ドット形成要素数ｄＮが予測された第２の印
刷領域のライン数ＬＸ以上であれば、最初に第１の印刷
領域のみを印刷し、次に第２の印刷領域を印刷するとい
う双方向印刷が可能である。そこで、ｄＮ＜ＬＸが成立
するか否かを判定し、ｄＮ＜ＬＸが成立しない場合には
双方向印刷を行う。さらに、ａ１＋ｂ１＋ＬＸ≦ｄＮが
成立する場合とは、プリントヘッドが第２の印刷領域の
全てにまで及んでいる場合である。そこで、この場合
は、ａ１＋ｂ１を新たなａ１と置き換えて再度の判別を
実行する。

【００１８】また、本発明の好ましい他の態様は、第１
の印刷領域のライン数をａ１、第２の印刷領域のライン
数をａ２、空白領域のライン数をｂ１、プリントヘッド
のドット形成要素数をｄＮとしたときに、ｄＮ＜ａ１が
成立するときは単方向印刷を選択し、ａ１≦ｄＮ≦ａ１
＋ｂ１が成立するときは双方向印刷を選択し、ａ１＋ｂ
１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋ａ２が成立するときは、さら
に、ａ２／ｄＮを切り上げてなる整数値ｍＢと（ａ１＋
ｂ１＋ａ２）／ｄＮを切り上げてなる整数値ｍＵとを比
較して、ｍＢ＜ｍＵが成立するときには前記第１の印刷
領域のみを双方向印刷した後に前記第２の印刷領域を単
方向印刷するように印刷方向を選択し、ｍＢ＜ｍＵが成
立しないときには単方向印刷を選択し、ａ１＋ｂ１＋ａ
２≦ｄＮが成立するときはａ１＋ｂ１＋ａ２を新たなａ
１と置き換えて再度の判別を実行することである。

【００１９】前記同様に、ｄＮ＜ａ１が成立する場合と
は、プリントヘッドの一回の主走査で第１の印刷領域を
印刷できず、双方向印刷を行うと印刷ドットの不連続性
によって印刷品質が低下する場合である。従って、単方
向印刷を行う。ａ１≦ｄＮ≦ａ１＋ｂ１が成立する場合
とは、プリントヘッドの一回の主走査で第１の印刷領域
を印刷することができ、プリントヘッドが第２の印刷領
域にかからない場合である。従って、この場合には、双
方向印刷を行う。ａ１＋ｂ１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋ａ２
が成立する場合とは、プリントヘッドが第２の印刷領域
の途中にまで及んでいる場合である。この場合は、プリ
ントヘッドが及んでいる範囲の全てを印刷してからプリ
ントヘッド分だけ紙送りし、次に第２の印刷領域の残さ
れた部分を印刷することもできるし、あるいは最初に第
１の印刷領域のみを印刷してから空白領域のライン数だ
け紙送りし、次に第２の印刷領域を先頭から印刷するこ
ともできる。いずれを採用するかは、第１，第２の印刷
領域のライン数及び空白領域のライン数とプリントヘッ
ドのドット形成要素数との関係によって定まり、これに
よって、ａ１〜ａ２までを印刷するのに要する印刷パス
数が変化する。そこで、双方向印刷の優位性を示す指標
として、ａ２／ｄＮを切り上げてなる整数値ｍＢを求
め、また、単方向印刷の優位性を示す指標として、（ａ
１＋ｂ１＋ａ２）／ｄＮを切り上げてなる整数値ｍＵを
求める。つまり、整数値ｍＢは、第１の印刷領域を双方
向印刷し、第２の印刷領域を単方向印刷した場合の合計
印刷パス数に関連したパラメータであり、整数値ｍＵ
は、第１，第２の印刷領域を全て単方向印刷した場合の
合計印刷パス数に関連したパラメータである。従って、
合計印刷パス数が少なくなるように、ｍＢ＜ｍＵが成立
するときには双方向印刷を選択し、ｍＢ＜ｍＵが成立し
ないときには単方向印刷を選択する。さらに、ａ１＋ｂ
１＋ａ２≦ｄＮが成立する場合とは、プリントヘッドが
第２の印刷領域の全てにまで及んでいる場合である。そ
こで、この場合は、ａ１＋ｂ１＋ａ２を新たなａ１と置
き換えて再度の判別を実行する。即ち、ａ１＋ｂ１＋ａ
２→ａ１、ｂ２→ｂ１、ａ３→ａ２と置き換えて上述し
た判別処理を行う。

【００２０】ところで、例えば、メモリに空き容量があ
る場合は、第２の印刷領域の全体を検出しており、ライ
ン数ａ２を正確に検出することが可能である。しかし、
ドットパターンデータを展開するためのメモリ量を十分
に確保できない場合やメモリ資源を節約する場合は、第
２の印刷領域のライン数ａ２を正確に検出できない可能
性がある。そこで、第２の印刷領域の全体を検出したか
否かを判定し、第２の印刷領域を全て検出していない場
合は、単方向印刷を選択することにより印刷品質の低下
を防止する。

【００２１】さらに、本発明の態様としては、直前の印
刷パスと同一の方向に印刷を行う拡張単方向印刷を採用
し、プリントヘッドの移動量が最小値となる方向に印刷
を行う拡張双方向印刷を採用するのが好ましい。

【００２２】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態について詳細に説明する。

【００２３】図１は、本発明の第１の実施の形態に係る
プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法が適用される印
刷システムの要部を示す機能ブロック図である。この印
刷システムは、後述のようにホストコンピュータ１で作
成されてプリンタ２に送信された印刷データ１８を、プ
リンタ２側で解析することにより、所望の印刷結果を得
るものである。

【００２４】ホストコンピュータ１で作動するアプリケ
ーションソフトウエア（以下、「アプリケーション」と
いう）３は、プリンタドライバ４が備えた各種関数・手
続きを呼び出してソースコードを生成する。プリンタド
ライバ４のラスタライザ５は、フォントデータ６等を参
照することにより、ソースコードを図示しないイメージ
メモリ上でドットパターンデータに展開する。ここで、
前記ラスタライザ５は、アプリケーション３が作成した
印刷内容を１頁毎にドットパターンデータに展開する。
次に、印刷データ作成部７では、１ドットライン分のラ
スタデータ及び該ラスタデータの垂直方向の印刷位置デ
ータとを有する印刷データ１８を作成する。この作成さ
れた印刷データ１８は、インターフェース（以下、「Ｉ
／Ｆ」という）８を介してプリンタ２に送出される。こ
こで、ホストコンピュータ１は、種々のデータを随時記
憶したり読み出したりするためのメモリ資源（例えば、
データメモリ及びイメージメモリを含む）と各データの
演算等を実行するためのＣＰＵ資源等のコンピュータ資
源（いずれも図示せず）を備えており、これらのコンピ
ュータ資源は、ホストコンピュータ１に実体化されたプ
リンタドライバ４によって利用される。

【００２５】プリンタ２は、プリンタ制御手段としての
プリンタコントローラ９とプリントエンジン１０とから
構成されている。プリンタコントローラ９では、「印刷
データ受信手段」としてのＩ／Ｆ１１を介してホストコ
ンピュータ１からの印刷データ１８を受信し、受信した
印刷データ１８を「ドットパターンデータ生成手段」と
しての入力バッファ１２に記憶する。この入力バッファ
１２は、ホストコンピュータ１から送信された１ドット
ライン分のラスタデータを垂直方向（副走査方向）に積
み上げてドットパターンデータを生成するものである。
なお、ここで、ホストコンピュータ１から送信される印
刷データ１８がラスタデータではなく、キャラクタコー
ドやグラフィック関数を含んでいる場合は、プリンタコ
ントローラ９に内蔵された図示せぬ画像処理部がフォン
トデータやグラフィック関数データ等を参照することに
より、ドットパターンデータが作成される。

【００２６】解析部１３は、入力バッファ１２から読み
出したドットパターンデータを解析して一回の主走査で
印刷すべき印刷ブロックの決定及び印刷ブロックの印刷
方向を判断するものである。解析部１３は、ドットパタ
ーンデータを出力バッファ１４に送り、また、印刷デー
タ１８中の垂直印刷位置データ（副走査方向の印刷位
置）等をプリントエンジン１１の各要素に出力する。

【００２７】例えばインクジェット式のプリントエンジ
ン１０は、プリントヘッド１５と、キャリッジ機構（図
中「キャリッジ」と示す）１６と、紙送り機構（図中
「紙送り」と示す）１７とを備えている。プリントヘッ
ド１５は、副走査方向に多数のドット形成要素が形成さ
れており、各ドット形成要素は、例えばノズル穴、イン
ク流路及びインク吐出機構等から構成されている。そし
て、プリントヘッド１５は、出力バッファ１４が記憶し
たドットパターンデータに応じて所定タイミングで所定
のドット形成要素からインクを吐出することにより、印
刷記録媒体としての紙面に印刷を行うようになってい
る。キャリッジ機構１６は、プリントヘッド１５を搭載
したキャリッジと、このキャリッジをタイミングベルト
等を介して走行させるキャリッジモータ等からなり、プ
リントヘッド１５を主走査させるものである。紙送り機
構１７は、紙送りローラと、紙送りモータ等からなり、
紙面を順次送り出して副走査を行うものである。

【００２８】なお、前記プリンタコントローラ９は、通
常、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭ等のマイクロコンピュータ
システムとして構成される。プリンタコントローラ９の
制御処理の内容はＲＯＭに書き込まれている。従って、
プリンタ２内のコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
ＭＭに記憶されたプログラムを該コンピュータが読み込
むことにより、プリンタコントローラ９の処理内容をプ
リンタ２内のコンピュータ上に具現化することができ
る。なお、記憶媒体ＭＭとしては、ＲＯＭ等の内部記憶
媒体に限らず、フロッピーディスク、ハードディスク、
ＣＤ−ＲＯＭ、ＩＣカード、光磁気ディスク、磁気テー
プ等の外部記憶媒体でもよい。さらに、可搬性のある独
立した物品としての記憶媒体に限らず、例えばネットワ
ーク（通信媒体）を介して、サーバからプリンタコント
ローラ９を具現化するプログラムをプリンタ２のコンピ
ュータにダウンロードすることも可能である。

【００２９】次に、ホストコンピュータ１から送出され
る印刷データ１８の一例について図２を参照して説明す
る。この印刷データ１８は、垂直印刷位置データ１８Ａ
及びラスタデータ１８Ｂを含んで構成されている。即
ち、プリンタドライバ４は、ラスタライザ５が展開した
１頁分のドットパターンデータを１ドットライン毎に送
信するようになっている。従って、垂直印刷位置データ
１８Ａとラスタデータ１８Ｂとが交互にプリンタ２に送
信されることになる。

【００３０】次に、印刷方向等を決定するための印刷ア
ルゴリズムについて詳述する。図３には、拡大された文
字列「ＡＢＣＤＥ」が２行と標準の文字列「ＦＧＨＩ
Ｊ」とが示されている。紙面の印刷内容は、１ドット分
のラインが副走査方向に多数配列された集合体として捉
えることができる。ここで、本明細書では、打つべきド
ット（データ）を含むラインが副走査方向に連続する領
域を「印刷領域」と呼び、打つべきドットを含まないラ
インが副走査方向に連続する領域を「空白領域」と呼
ぶ。但し、これら印刷領域及び空白領域には、それぞれ
ラインが単一の場合を含む。

【００３１】図３中には、拡大文字列「ＡＢＣＤＥ」を
含むライン数ａ１の第１の印刷領域Ａ１と、ライン数ｂ
１の第１の空白領域Ｂ１と、次の拡大文字列「ＡＢＣＤ
Ｅ」を含むライン数ａ２の第２の印刷領域Ａ２と、ライ
ン数ｂ２の第２の空白領域Ｂ２と、標準文字列「ＦＧＨ
ＩＪ」を含むライン数ａ３の第３の印刷領域Ａ３とが示
されている。例えば、拡大文字列「ＡＢＣＤＥ」が４８
ドットの高さを有する場合、第１の印刷領域Ａ１及び第
２の印刷領域Ａ２のライン数ａ１，ａ２は、それぞれ４
８ラインとなる。プリントヘッド１５のドット形成要素
数をｄＮとしたとき、このドット形成要素数ｄＮと前記
各領域Ａ１，Ｂ１，Ａ２のライン数ａ１，ｂ１，ａ２等
との関係は、以下のように分類される。なお、図４以降
の説明では、印刷領域を斜線部で示す。

【００３２】（１）ｄＮ＜ａ１の場合 図４には、プリントヘッド１５のドット形成要素数ｄＮ
が第１の印刷領域Ａ１のライン数ａ１よりも小さい場合
（ｄＮ＜ａ１）が示されている。この場合は、プリント
ヘッド１５の一回の主走査で第１の印刷領域Ａ１を全て
印刷することができない。また、ドットが副走査方向に
連続しているので、双方向で印刷すると印刷位置ずれに
よって印刷品質が低下する可能性がある。従って、ｄＮ
＜ａ１の場合は、「拡張単方向印刷」を行う。

【００３３】ここで、拡張単方向印刷とは、通常の単方
向印刷を拡張した概念であり、印刷パスの方向を直前の
印刷パスと同方向に制限するものである。即ち、通常の
単方向印刷では、例えば、左→右のように予め定まった
一方向から印刷するが、拡張単方向印刷では、左→右、
右→左のいずれの方向からも印刷可能である。つまり、
拡張単方向印刷では、あるパスを左→右で印刷した場合
は次のパスも左→右で印刷し、あるパスを右→左で印刷
した場合は次のパスも右→左で印刷する。

【００３４】ｄＮ＜ａ１の場合は、図４中の下段に示す
如く、プリントヘッド１５の主走査と紙送りとが制御さ
れる。まず、主走査Ｑ１を行ってプリントヘッド１５を
図中左端から反対側に移動させる。これにより、プリン
トヘッド１５のドット形成要素ｄＮ分の印刷領域が印刷
される。次に、ｄＮ分だけ紙送りＦ１を行い、プリント
ヘッド１５を元の位置に空走させて戻す（Ｒ１）。そし
て、再度、主走査Ｑ１と同方向の主走査Ｑ２を行うこと
により、１回目の主走査Ｑ１で残された印刷領域を印刷
する。ここで、各領域Ａ１，Ｂ１，Ａ２の検出は、主走
査毎にそれぞれ行われる。従って、１回目の主走査Ｑ１
によって既に印刷された領域のライン数（ｄＮ）だけ、
第１の印刷領域Ａ１のライン数ａ１は減少する（ａ１＝
ａ１−ｄＮ）。

【００３５】（２）ａ１＋ｂ１＋ａ２≦ｄＮの場合 図５には、プリントヘッド１５のドット形成要素数ｄＮ
が、第１の印刷領域Ａ１の先頭から第２の印刷領域Ａ２
の最後までのライン数（ａ１＋ｂ１＋ａ２）以上である
場合が示されている。この場合は、印刷方向を決定せ
ず、各領域Ａ１，Ｂ１，Ａ２を新たな第１の印刷領域Ａ
１に置き換えて再度の判別を行う。即ち、ａ１＝ａ１＋
ｂ１＋ａ２、ｂ１＝ｂ２、ａ２＝ａ３と置き直される。
従って、例えば、幅１ドットの横線が１ラインおきに引
かれている場合、プリントヘッド１５に収まる範囲の１
ドットの横線が全てひとまとめにされて、第１の印刷領
域Ａ１として処理される。

【００３６】（３）ａ１≦ｄＮ≦ａ１＋ｂ１の場合 図６には、プリントヘッド１５が、第１の印刷領域Ａ１
の全てを覆うが、第２の印刷領域Ａ２には及ばない場合
が示されている。この場合は、第１の印刷領域Ａ１を
「拡張双方向印刷」する。

【００３７】ここで、拡張双方向印刷とは、通常の双方
向印刷を拡張した概念であり、単に主走査毎に印刷方向
を逆向きに設定するのではなく、プリントヘッド１５の
移動量が最小となるように印刷方向を決定するものであ
る。このようなプリントヘッドの移動量を最小化する方
法は、いわゆる「ロジカルシーク」と呼ばれており、例
えば特公平４−５３１８７号公報、特公平４−６３７８
４号公報、特公昭６３−５６８６６号公報等に記載され
ている。

【００３８】図６の下段に示すように、主走査Ｑ１によ
って第１の印刷領域Ａ１を拡張双方向印刷し、次に、第
１の印刷領域Ａ１のライン数ａ１＋第１の空白領域Ｂ１
のライン数ｂ１だけ、紙送りＦ１を実行する。そして、
主走査Ｑ１実行前の第２の印刷領域Ａ２は、新たに第１
の印刷領域Ａ１として検出され、主走査Ｑ１とは逆方向
の主走査Ｑ２によって印刷される。なお、図６中の上段
において、例えば、第２の印刷領域Ａ２の左端が、第１
の印刷領域Ａ１の右端以上に右側に位置する場合には、
プリントヘッド１５の移動量を最小化すべく、２回目の
主走査Ｑ２の方向は１回目の主走査Ｑ１の方向と同じに
なる。

【００３９】（４）ａ１＋ｂ１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋ａ
２の場合 図７〜図１０は、プリントヘッド１５が第２の印刷領域
Ａ２の途中にまで及んでいる場合をそれぞれ示してい
る。この場合は、（Ｉ）第１の印刷領域Ａ１のみを拡張
双方向印刷し、次に第２の印刷領域Ａ２を拡張単方向印
刷するか、あるいは、（ＩＩ）第１の印刷領域Ａ１を含
めた全体を拡張単方向印刷することが考えられる。そこ
で、図７〜図１０の各タイプ毎に、前記（Ｉ），（Ｉ
Ｉ）によるそれぞれの印刷パスを検討する。

【００４０】（４−１）図７の場合 図７の左側には、第１の印刷領域Ａ１を拡張双方向印刷
し、第２の印刷領域Ａ２を拡張単方向印刷した場合が示
されている。この場合は、まず、主走査Ｑ１によって第
１の印刷領域Ａ１のみを拡張双方向印刷し、第１の印刷
領域Ａ１のライン数ａ１＋第１の空白領域Ｂ１のライン
数ｂ１だけ紙送りＦ１を行ってプリントヘッド１５を第
２の印刷領域Ａ２の先頭に合わせる。次に、主走査Ｑ２
を行って第２の印刷領域Ａ２の上側をドット形成要素数
ｄＮ分だけ拡張単方向印刷し、ドット形成要素数ｄＮ分
の紙送りＦ２を行う。そして、無印刷走査Ｒ１によって
プリントヘッド１５を元の位置に戻し、主走査Ｑ３によ
って第２の印刷領域Ａ２の下側を印刷する。従って、こ
の場合の印刷に要するパス数は、Ｑ１，Ｑ２，Ｒ１，Ｑ
３の「４」となる。

【００４１】図７の右側には、第１の印刷領域Ａ１〜第
２の印刷領域Ａ２までを全て拡張単方向印刷した場合が
示されている。この場合は、最初に、主走査Ｑ１によっ
てドット形成要素数ｄＮ分だけ拡張単方向印刷する。こ
の主走査Ｑ１によって、第１の印刷領域Ａ１の全てと第
２の印刷領域Ａ２の上側の一部とが印刷される。次に、
ドット形成要素数ｄＮ分の紙送りＦ１を行い、無印刷走
査Ｒ１を実行してから主走査Ｑ２を行う。同様にして、
紙送りＦ２、無印刷走査Ｒ２、主走査Ｑ３を行うことに
より印刷を終了する。従って、この場合の印刷に要する
パス数は、Ｑ１，Ｒ１，Ｑ２，Ｒ２，Ｑ３の「５」とな
る。

【００４２】（４−２）図８の場合 図８の場合も同様に、左側には第１の印刷領域Ａ１のみ
を拡張双方向印刷し、第２の印刷領域Ａ２を拡張単方向
印刷した場合が示されている。この場合の印刷に要する
パス数は、Ｑ１，Ｑ２，Ｒ１，Ｑ３の「４」となる。一
方、図８中の右側には全てを拡張単方向印刷した場合が
示されている。この場合の印刷に要するパス数は、Ｑ
１，Ｒ１，Ｑ２，Ｒ２，Ｑ３の「５」となる。従って、
図７，図８のいずれも、第１の印刷領域Ａ１のみを拡張
双方向印刷し、第２の印刷領域Ａ２を拡張単方向印刷し
た方が印刷に要するパス数が少なくなる。

【００４３】（４−３）図９の場合 図９の場合も同様に、左側には第１の印刷領域Ａ１のみ
を拡張双方向印刷し、第２の印刷領域Ａ２を拡張単方向
印刷した場合が示されており、この場合の印刷に要する
パス数は、Ｑ１，Ｑ２，Ｒ１，Ｑ３，Ｒ２，Ｑ４の
「６」となる。一方、図９中の右側には全てを拡張単方
向印刷した場合が示されており、この場合の印刷に要す
るパス数は、Ｑ１，Ｒ１，Ｑ２，Ｒ２，Ｑ３の「５」と
なる。

【００４４】（４−４）図１０の場合 同様に図１０中の左側には、第１の印刷領域Ａ１のみを
拡張双方向印刷し、第２の印刷領域Ａ２を拡張単方向印
刷した場合が示されている。この場合の印刷に要するパ
ス数は、Ｑ１，Ｑ２，Ｒ１，Ｑ３，Ｒ２，Ｑ４の「６」
となる。一方、図１０中の右側には全てを拡張単方向印
刷した場合が示されている。この場合の印刷に要するパ
ス数は、Ｑ１，Ｒ１，Ｑ２，Ｒ２，Ｑ３の「５」とな
る。従って、図９，図１０のいずれも、第１の印刷領域
Ａ１〜第２の印刷領域Ａ２までを全て拡張単方向印刷し
た方が印刷に要するパス数が少なくなる。

【００４５】（４−５）判別式の決定 以上述べた図７〜図１０におけるパス数の大小関係を一
般化する。まず、第２の印刷領域Ａ２のライン数ａ２を
ドット形成要素数ｄＮで除算した値（＝ａ２／ｄＮ）を
切り上げて整数化した値をｍＢとし、一方、第１の印刷
領域Ａ１から第２の印刷領域Ａ２までの合計ライン数を
ドット形成要素数ｄＮで除算した値（（ａ１＋ｂ１＋ａ
２）／ｄＮ）を切り上げて整数化した値をｍＵとする。

【００４６】ここで、ｍＢ＜ｍＵが成立するときは、第
１の印刷領域Ａ１のみを拡張双方向印刷し、第２の印刷
領域Ａ２を拡張単方向印刷した方が印刷に要するパス数
は少なくなる。前記図７，図８の場合は、ともにｍＢ＝
２、ｍＵ＝３となり、ｍＢ＜ｍＵが成立する。一方、ｍ
Ｂ＜ｍＵが成立しないときは、第１の印刷領域Ａ１〜第
２の印刷領域Ａ２までを拡張単方向印刷した方が印刷に
要するパス数は少なくなる。前記図９，図１０の場合
は、ともにｍＢ＝３、ｍＵ＝３となり、ｍＢ＝ｍＵとな
って、ｍＢ＜ｍＵが成立しない。なお、この判別式は、
第２の実施の形態及び第３の実施の形態において好適に
用いられる。

【００４７】次に、（１）〜（３）までの場合を統合
し、拡張単方向印刷か拡張双方向印刷かを最適に決定す
るアルゴリズムについて、図１１の流れ図を参照しつつ
説明する。本アルゴリズムにより、今回の主走査で印刷
される印刷ブロックが決定されると共に、次回の主走査
における印刷方向が決定される。ここで、「印刷ブロッ
ク」とは、プリントヘッド１５の一回の主走査で印刷さ
れるべき範囲を示す概念である。

【００４８】本実施の形態は、入力バッファ１２が記憶
したデータの全てを印刷処理に向けて出力させるような
メモリ管理プログラムを用いている場合、つまり、入力
バッファ１２に記憶されたデータの一部のみの出力が可
能となっていない場合に、印刷品質を保持しつつ印刷時
間の短縮を図る点に特徴がある。本実施の形態では、上
述のように入力バッファ１２に記憶されたデータを全て
印刷処理に向けて出力するため、入力バッファ１２のメ
モリ高さはプリントヘッド１５のドット形成要素数ｄＮ
分だけあれば足りる。なお、後述する第２、第３の実施
の形態は、入力バッファ１２から部分的なデータの読み
出しが可能なメモリ管理プログラムを用いるものとして
説明される。

【００４９】まず、ステップ（以下「Ｓ」という）１で
は、ホストコンピュータ１から送信されてくる１ドット
ライン毎のラスタデータ（イメージデータ）が垂直方向
で途切れたときの当該途切れの幅Ｖｎが「１」よりも大
きいか否かを、垂直印刷位置データに基づいて判定す
る。Ｖｎが「１」よりも小さい場合は、第１の印刷領域
Ａ１のイメージデータが垂直方向に連続している場合で
ある。そこで、Ｓ２では、ライン数ａ１に「１」を加算
すると共に、予測ライン数ＬＸにも「１」を加算する。

【００５０】ここで、予測ライン数ＬＸとは、第２の印
刷領域Ａ２のライン数ａ２を予測検出するためのもので
あり、空白領域Ｂ１が検出される直前のイメージデータ
を有するラインが副走査方向に連続している値として把
握される。予測ライン数ＬＸについて図１２を参照して
説明する。いま例えば、入力バッファ１２内に、ライン
数ａ１１とライン数ａ１２との２つのそれぞれ連続した
イメージデータが記憶されている場合は、後述するＳ１
１の処理によって、第１の印刷領域Ａ１のライン数ａ１
は、ａ１１＋ａ１２＋ＢＮとして算出される。ここで、
最後に付加されるＢＮは、図１２中に示すａ１１とａ１
２との間の空白のラインの数である（図１２の例ではＢ
Ｎ＝１となる）。次に、例えば２ライン分の途切れＶｎ
が検出された場合、即ち、垂直印刷位置データが２ライ
ン分とんでいた場合、予測ライン数ＬＸは、途切れＶｎ
を検出する直前のイメージデータを有する連続したライ
ンの数、つまりａ１２に等しい値（図１２の場合は、第
５ライン〜第９ラインまでの「５」）として検出され
る。そして、この予測ライン数ＬＸが第２の印刷領域Ａ
２のライン数ａ２であると擬制される。

【００５１】さて、イメージデータが連続している場
合、Ｓ３では、第１の印刷領域Ａ１のライン数ａ１がド
ット形成要素数ｄＮよりも大きいか否かを判定する。ａ
１＞ｄＮが成立しない場合はリターンし、ａ１＞ｄＮが
成立する場合はＳ４に移る。Ｓ４では、前記（１）の印
刷アルゴリズムに従って拡張単方向印刷を指定し、ドッ
ト形成要素数ｄＮ分だけ第１の印刷領域Ａ１を印刷す
る。そして、ドット形成要素数ｄＮだけ紙送りを行うと
共に（Ｐ＝Ｐ＋ｄＮ）、ライン数ａ１をリセットする
（ａ１＝０）。なお、ここで、「Ｐ」とは、図７中の右
側に示す如く、本印刷処理の判断基点である。従って、
Ｐ＝Ｐ＋ｄＮとは、ｄＮだけ紙送りすることを意味する
と共に、この新たな判断基点Ｐから前記印刷領域Ａ１
（または後述する他の実施の形態ではＡ１〜Ａ３）が新
たに検出されることを意味する。

【００５２】空白のラインが出現した場合、前記Ｓ１は
「ＹＥＳ」と判定してＳ５に移り、Ｓ５では、検出され
た途切れの幅Ｖｎを第１の空白領域Ｂ１のライン数ｂ１
として設定する。Ｓ６では、ライン数ａ１が「０」であ
るか否かを判定する。ライン数ａ１が「０」の場合は、
第１の印刷領域Ａ１が印刷された直後なので、Ｓ７で、
空白領域Ｂ１のライン数ｂ１だけ紙送りを行ってリター
ンする。一方、ライン数ａ１が「０」でない場合は、印
刷出力すべき第１の印刷領域Ａ１のイメージデータが入
力バッファ１２に残っている場合である。そこで、Ｓ８
では、ドット形成要素数ｄＮがａ１＋ｂ１以下であるか
否かを判定する。ｄＮ≦ａ１＋ｂ１が成立する場合は、
プリントヘッド１５が第２の印刷領域Ａ２に及んでいな
い場合である。そこで、Ｓ９によって、ライン数ａ１分
の拡張双方向印刷が行われ、ａ１＋ｂ１だけ紙送りされ
ると共に、予測ライン数ＬＸ及びライン数ａ１がリセッ
トされる。

【００５３】Ｓ８で「ＮＯ」と判定された場合は、Ｓ１
０でｄＮ≧ａ１＋ｂ１＋ＬＸが成立するか否かを判定す
る。このＳ１０で「ＹＥＳ」と判定した場合は、プリン
トヘッド１５が第１の印刷領域Ａ１〜予測ライン数ＬＸ
で推定された第２の印刷領域Ａ２の全体に及んでいる場
合である。そこで、Ｓ１１では、前記（２）の印刷アル
ゴリズムに準じてａ１＋ｂ１を新たなａ１と置き直し、
後続するデータのラインをライン数ａ１に加算する。

【００５４】ｄＮ≧ａ１＋ｂ１＋ＬＸが成立しない場合
は、Ｓ１２によってドット形成要素数ｄＮが予測ライン
数ＬＸよりも小さいか否かを判定する。ｄＮ＜ＬＸが成
立しない場合は、ドット形成要素数ｄＮが予測ライン数
ＬＸ以上の場合であり、拡張双方向印刷が可能な場合で
あるため、Ｓ９に移って拡張双方向印刷を行う。

【００５５】一方、ｄＮ＜ＬＸが成立する場合は、予測
ライン数ＬＸで想定される第２の印刷領域Ａ２が大きい
ために、拡張双方向印刷できない場合である。そこで、
前記Ｓ１１に移ってａ１＝ａ１＋ｂ１とし、後続するデ
ータのライン数をａ１に加算する。この場合は、前記Ｓ
４によって拡張単方向印刷が行われる。なお、Ｓ４，Ｓ
９で指定する印刷方向は、次の印刷パスの方向である。

【００５６】このように本実施の形態によれば、予測ラ
イン数ＬＸによって第２の印刷領域Ａ２のライン数ａ２
を予測するため、入力バッファ１２が記憶したデータを
全て印刷処理に向けて出力させるようなメモリ管理を行
っている場合でも、印刷品質を損なうことなく印刷時間
を短縮することができる。

【００５７】図１３は、本実施の形態により得られる効
果を示す説明図である。図１３中の左側には、本実施の
形態により印刷を行った場合のパス及び紙送りが示さ
れ、図１３中の右側には通常の単方向印刷を行った場合
のパスのみが示されている。紙面１９の印刷内容は、各
種の文字、記号、線図等からなる複数の印刷領域Ａ１〜
Ａ６から構成されている。印刷領域Ａ１〜Ａ５は、プリ
ントヘッド１５よりも短い幅を有し、紙面最後の印刷領
域Ａ６は、プリントヘッド１５よりも長い幅を有する。
Ａ１〜Ａ５までは、主走査Ｑ１〜Ｑ５によって拡張双方
向印刷される。主走査Ｑ２から主走査Ｑ３に移るときは
ロジカルシークが機能し、プリントヘッド１５の移動量
が最小化されると共に、最適な印刷方向が決定される。
印刷領域Ａ６は拡張単方向印刷される。最終的な合計パ
ス数は、Ｑ１〜Ｑ８とＲ１，Ｒ２との和である「１０」
となる。一方、同一の紙面１９を単方向印刷した場合の
合計パス数は、図１３中の右側に示すように、Ｑ１〜Ｑ
８とＲ１〜Ｒ７との「１５」になる。従って、本実施の
形態によれば、印刷品質を低下させることなく印刷時間
を大幅に短縮することができる。

【００５８】次に、本発明の第２の実施の形態について
図１４に基づき説明する。本実施の形態の特徴は、入力
バッファ１２の高さがプリントヘッド１５のドット形成
要素数ｄＮ以上であるが、１頁分もない場合に、前記
（１）〜（４）の印刷アルゴリズムを実現した点にあ
る。

【００５９】図１４は、本実施の形態による印刷処理の
流れ図を示す。Ｓ２１では、第１の印刷領域Ａ１，第１
の空白領域Ｂ１，第２の印刷領域Ａ２を検出し、各領域
のライン数ａ１，ｂ１，ａ２をそれぞれ検出する。入力
バッファ１２に生成されたドットパターンデータを各ラ
イン毎に走査し、ドットを有するラインのアドレスの検
出及びライン数のカウントによって、各領域Ａ１，Ｂ
１，Ａ２と各ライン数ａ１，ｂ１，ａ２とが検出され
る。これら各ライン数ａ１，ｂ１，ａ２，ｂ２は図示せ
ぬデータメモリに記憶される。

【００６０】ここで、本実施の形態では、入力バッファ
１２のメモリ高さが１頁分に満たない場合を前提にして
いる。従って、第２の印刷領域Ａ２の幅が長い場合、即
ち、ライン数ａ２が大きい場合は、入力バッファ１２が
一杯になるまでの範囲で、第２の印刷領域Ａ２，ライン
数ａ２を検出する。換言すれば、第２の印刷領域Ａ２を
検出する前にイメージメモリが一杯になったときには、
その時点での値が第２の印刷領域Ａ２，ａ２として検出
される。

【００６１】次に、Ｓ２２では、ｄＮ＜ａ１が成立する
か否かを判定する。前記（１）で述べたように、ドット
形成要素数ｄＮが第１の印刷領域Ａ１のライン数ａ１よ
りも小さい場合は、印刷品質の劣化防止の観点から双方
向印刷を選択することはできない。そこで、Ｓ２３で
は、印刷方向として拡張単方向印刷を指定し、ドット形
成要素数ｄＮ分の印刷を行うと共にドット形成要素数ｄ
Ｎだけ紙送りする。

【００６２】前記Ｓ２２で「ＮＯ」と判定された場合
は、Ｓ２４によって、ａ１≦ｄＮ≦ａ１＋ｂ１が成立す
るか否かを判定する。前記（３）で述べたように、第１
の印刷領域Ａ１がプリントヘッド１５内に収まり、該プ
リントヘッド１５が第２の印刷領域Ａ２にかからない場
合は、拡張双方向印刷を行うことができる。そこで、Ｓ
２５では、拡張双方向印刷を指定し、第１の印刷領域Ａ
１のライン数ａ１分の印刷を行うと共にａ１＋ｂ１だけ
紙送りを行う。

【００６３】前記Ｓ２４で「ＮＯ」と判定された場合
は、Ｓ２６によって、ａ１＋ｂ１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋
ａ２が成立するか否かを判定する。そして、ａ１＋ｂ１
＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋ａ２が成立するときは、Ｓ２７で
入力バッファ１２が一杯か否かを判定する。入力バッフ
ァ１２が一杯でないと判定した場合は、入力バッファ１
２の容量内で第２の印刷領域Ａ２を全て検出できた場合
である。従って、この場合は、前記（４）で述べた通
り、（ａ２／ｄＮ）を切り上げて整数化してなる値ｍＢ
と、（（ａ１＋ｂ１＋ａ２）／ｄＮ）を切り上げて整数
化してなる値ｍＵとの大小関係によって、好ましい印刷
方向が定まる。

【００６４】そこで、Ｓ２８では、ｍＢ及びｍＵを求め
て、ｍＢ＜ｍＵが成立するか否かを判定する。ｍＢ＜ｍ
Ｕが成立する場合は、Ｓ２９によって、拡張双方向印刷
を指定し、ライン数ａ１分の印刷を行うと共にａ１＋ｂ
１だけ紙送りを行う。ｍＢ＜ｍＵが成立しない場合は、
Ｓ３０によって、拡張単方向印刷を指定し、ドット形成
要素数ｄＮ分だけ印刷を行うと共にｄＮだけ紙送りを行
う。

【００６５】これに対し、Ｓ２７で入力バッファ１２が
一杯であると判定した場合は、第２の印刷領域Ａ２を全
て検出する前に入力バッファ１２の空き容量が無くなっ
た場合であり、実際の第２の印刷領域Ａ２のライン数ａ
２が不明な場合である。従って、この場合は、Ｓ３０に
移って拡張単方向印刷を行う。なお、入力バッファ１２
が一杯であることは、次ラインのデータを取り込む都
度、残りのバッファ容量を認識していくことにより検出
できる。そして、入力バッファ１２が一杯になったとき
にフラグを立てておけば、該フラグをチェックすること
でＳ２７の判断を容易に行うことができる。

【００６６】前記Ｓ２６でも「ＮＯ」と判定された場合
は、ａ１＋ｂ１＋ａ２≦ｄＮの場合、即ち、ドット形成
要素数ｄＮが第２の印刷領域Ａ２以上に及ぶ場合であ
る。従って、前記（２）で述べたように、Ｓ３１では、
ａ１＋ｂ１＋ａ２を新たなａ１とし、ｂ２を新たなｂ１
とし、ａ３を新たなａ２として、上述したＳ２１〜Ｓ３
０の処理を行う。

【００６７】このように構成される本実施の形態によれ
ば、入力バッファ１２のメモリ不足によって第２の印刷
領域Ａ２を全て検出できない場合は、強制的に拡張単方
向印刷を指定するが、それでも結果として生じる印刷パ
ス数は従来の単方向印刷と同様であり、増えることはな
い。従って、本実施の形態では、フェイルセーフが担保
される。しかも、入力バッファ１２のメモリ量を少なく
できるため、プリンタコントローラ９の製造コストを低
減しつつ印刷品質及び印刷時間の向上を実現することが
できる。

【００６８】次に、本発明の第３の実施の形態について
図１５を参照しつつ説明する。本実施の形態の特徴は、
入力バッファ１２が１頁分のメモリ量を有する場合に適
用される点にある。

【００６９】なお、Ｓ４２〜Ｓ４６は、図１４中のＳ２
２〜Ｓ２６と同様の処理を行い、Ｓ４７〜Ｓ５０は図１
４中のＳ２８〜Ｓ３１と同様の処理を行うため、その説
明を省略する。本実施の形態では、１頁分の容量を備え
た入力バッファ１２の使用を前提とするため、Ｓ４１で
は、第１の印刷領域Ａ１，第１の空白領域Ｂ１，第２の
印刷領域Ａ２，第２の空白領域Ｂ２，第３の印刷領域Ａ
３を検出し、これら各領域Ａ１，Ｂ１，Ａ２，Ｂ２，Ａ
３のライン数ａ１，ｂ１，ａ２，ｂ２，ａ３をそれぞれ
求める。また、入力バッファ１２の容量が十分にあるた
め、図１４中のＳ２７のような第２の印刷領域Ａ２のラ
イン数ａ２を正確に検出したか否かを判定する判断ステ
ップも省略されている。

【００７０】このように構成される本実施の形態でも、
印刷品質を確保しつつ印刷時間を短縮することができ
る。

【００７１】なお、当業者であれば、各実施の形態に記
載された本発明の要旨の範囲内で種々の追加、変更等が
可能である。

【００７２】また、上述した印刷アルゴリズムをプリン
タ２（プリンタコントローラ９）の初期設定値としてお
き、ユーザによって高速印刷モードが指定された場合に
は、ユーザー指定を優先するように構成することもでき
る。

【００７３】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係るプリン
タ制御装置及びプリンタ制御方法によれば、印刷内容の
ドットパターンデータを解析して主走査毎に印刷方向を
決定するため、印刷パス数を低減して印刷時間を短縮し
つつ、高品質の印刷を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用される印刷システムの要部を示す
機能ブロック図。

【図２】本発明による印刷データの構成を示す説明図。

【図３】印刷アルゴリズムの前提を説明する説明図。

【図４】ｄＮ＜ａ１の場合の印刷パスを示す説明図。

【図５】ａ１＋ｂ１＋ａ２≦ｄＮの場合の説明図。

【図６】ａ１≦ｄＮ≦ａ１＋ｂ１の場合の印刷パスを示
す説明図。

【図７】ａ１＋ｂ１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋ａ２の場合の
印刷パスを示す説明図。

【図８】ａ１＋ｂ１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋ａ２の場合の
印刷パスを示す説明図。

【図９】ａ１＋ｂ１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋ａ２の場合の
印刷パスを示す説明図。

【図１０】ａ１＋ｂ１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋ａ２の場合
の印刷パスを示す説明図。

【図１１】本発明の第１の実施の形態による印刷処理を
示すフローチャート。

【図１２】予測ライン数の概念を示す説明図。

【図１３】本発明による印刷パスと従来の単方向印刷に
よる印刷パスとを比較して示す説明図。

【図１４】本発明の第２の実施の形態による印刷処理を
示すフローチャート。

【図１５】本発明の第３の実施の形態による印刷処理を
示すフローチャート。

【符号の説明】

１ ホストコンピュータ ２ プリンタ ４ プリンタドライバ ５ ラスタライザ ７ 印刷データ作成部 ９ プリンタコントローラ １０ プリントエンジン １２ 入力バッファ １３ 解析部 Ａ１ 第１の印刷領域 ａ１ 第１の印刷領域のライン数 Ａ２ 第２の印刷領域 ａ２ 第２の印刷領域のライン数 Ｂ１ 第１の空白領域 ｂ１ 第１の空白領域のライン数 Ｑ１〜Ｑｎ 主走査 Ｒ１〜Ｒｎ 無印刷走査 Ｆ１〜Ｆｎ 紙送り

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のドット形成要素を有するプリント
   ヘッドを備えたプリンタ装置の作動を制御することによ
   り印刷内容を印刷記録媒体に具現化させるプリンタ制御
   装置であって、 印刷データを受信する印刷データ受信手段と、 受信した印刷データに基づいてドットパターンデータを
   生成するドットパターンデータ生成手段と、 前記ドットパターンデータを各ライン毎に走査してドッ
   トの有無を検出し、該ドットを含むライン数をカウント
   することにより、印刷すべきドットを含むラインが副走
   査方向に連続する印刷領域と該印刷領域に続く空白領域
   とを検出する領域検出手段と、 前記印刷領域のライン数と前記空白領域のライン数と該
   空白領域に続く次の印刷領域のライン数と前記プリント
   ヘッドのドット形成要素数との関係に基づいて演算を行
   い、この演算結果に応じて一回の主走査で印刷すべき印
   刷ブロックを決定し、当該印刷ブロックを単方向で印刷
   するか双方向で印刷するかを判別する印刷方向判別手段
   と、 前記印刷方向判別手段の判別結果に基づいて、少なくと
   も前記プリントヘッドの駆動を制御する駆動制御手段
   と、 を備えたことを特徴とするプリンタ制御装置。
2. 【請求項２】 前記領域検出手段は、前記空白領域に続
   く次の印刷領域のライン数を、当該印刷領域の直前の印
   刷領域のライン数と同一であると仮定して検出すること
   を特徴とする請求項１に記載のプリンタ制御装置。
3. 【請求項３】 前記印刷方向判別手段は、最初に検出さ
   れる第１の印刷領域のライン数をａ１、該第１の印刷領
   域に続く空白領域のライン数をｂ１、該第１の空白領域
   に続く印刷領域のライン数として擬制的に検出される予
   測ライン数をＬＸ、前記プリントヘッドのドット形成要
   素数をｄＮとしたときに、 ｄＮ＜ａ１が成立するときは単方向印刷を選択し、 ａ１≦ｄＮ≦ａ１＋ｂ１が成立するときは双方向印刷を
   選択し、 ａ１＋ｂ１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋ＬＸが成立するとき
   は、さらに、ｄＮ＜ＬＸが成立するか否かを判定して、
   ｄＮ＜ＬＸが成立しないときは双方向印刷を選択し、ｄ
   Ｎ＜ＬＸが成立するときはａ１＋ｂ１を新たなａ１と置
   き換えて再度の判別を実行し、 ａ１＋ｂ１＋ＬＸ≦ｄＮが成立するときはａ１＋ｂ１を
   新たなａ１と置き換えて再度の判別を実行することを特
   徴とする請求項２に記載のプリンタ制御装置。
4. 【請求項４】 前記印刷方向判別手段は、最初に検出さ
   れる第１の印刷領域のライン数をａ１、次に検出される
   第２の印刷領域のライン数をａ２、前記各印刷領域間の
   空白領域のライン数をｂ１、前記プリントヘッドのドッ
   ト形成要素数をｄＮとしたときに、 ｄＮ＜ａ１が成立するときは単方向印刷を選択し、 ａ１≦ｄＮ≦ａ１＋ｂ１が成立するときは双方向印刷を
   選択し、 ａ１＋ｂ１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋ａ２が成立するとき
   は、さらに、ａ２／ｄＮを切り上げてなる整数値ｍＢと
   （ａ１＋ｂ１＋ａ２）／ｄＮを切り上げてなる整数値ｍ
   Ｕとを比較して、ｍＢ＜ｍＵが成立するときには前記第
   １の印刷領域のみを双方向印刷した後に前記第２の印刷
   領域を単方向印刷するように印刷方向を選択し、ｍＢ＜
   ｍＵが成立しないときには単方向印刷を選択し、 ａ１＋ｂ１＋ａ２≦ｄＮが成立するときはａ１＋ｂ１＋
   ａ２を新たなａ１と置き換えて再度の判別を実行するこ
   とを特徴とする請求項１に記載のプリンタ制御装置。
5. 【請求項５】 前記印刷方向判別手段は、最初に検出さ
   れる第１の印刷領域のライン数をａ１、次に検出される
   第２の印刷領域のライン数をａ２、前記各印刷領域間の
   空白領域のライン数をｂ１、前記プリントヘッドのドッ
   ト形成要素数をｄＮとしたときに、 ｄＮ＜ａ１が成立するときは単方向印刷を選択し、 ａ１≦ｄＮ≦ａ１＋ｂ１が成立するときは双方向印刷を
   選択し、 ａ１＋ｂ１＜ｄＮ＜ａ１＋ｂ１＋ａ２が成立するとき
   は、前記第２の印刷領域を全て検出したか否かを判定
   し、前記第２の印刷領域を全て検出していないと判定し
   た場合には単方向印刷を選択し、前記第２の印刷領域を
   全て検出したと判定した場合には、さらに、ａ２／ｄＮ
   を切り上げてなる整数値ｍＢと（ａ１＋ｂ１＋ａ２）／
   ｄＮを切り上げてなる整数値ｍＵとを比較して、ｍＢ＜
   ｍＵが成立するときには前記第１の印刷領域のみを双方
   向印刷した後に前記第２の印刷領域を単方向印刷するよ
   うに印刷方向を選択し、ｍＢ＜ｍＵが成立しないときに
   は単方向印刷を選択することを特徴とする請求項１に記
   載のプリンタ制御装置。
6. 【請求項６】 前記単方向印刷は直前の印刷パスと同一
   の方向に印刷を行う拡張単方向印刷であり、前記双方向
   印刷は前記プリントヘッドの移動量が最小値となる方向
   に印刷を行う拡張双方向印刷であることを特徴とする請
   求項１〜請求項５のいずれか一項に記載のプリンタ制御
   装置。
7. 【請求項７】 複数のドット形成要素を有するプリント
   ヘッドを備えたプリンタ装置の作動を制御することによ
   り印刷内容を印刷記録媒体に具現化させるプリンタ制御
   方法であって、 印刷データを受信する印刷データ受信ステップと、 受信した印刷データに基づいてドットパターンデータを
   生成するドットパターンデータ生成ステップと、 前記ドットパターンデータに基づいて、印刷すべきドッ
   トを含むラインが副走査方向に連続する印刷領域と該印
   刷領域に続く空白領域とを検出する領域検出ステップ
   と、 前記印刷領域のライン数と前記空白領域のライン数と該
   空白領域に続く次の印刷領域のライン数と前記プリント
   ヘッドのドット形成要素数との関係に基づいて、一回の
   主走査で印刷すべき印刷ブロックを決定し、当該印刷ブ
   ロックを単方向で印刷するか双方向で印刷するかを判別
   する印刷方向判別ステップと、 前記印刷方向判別ステップの判別結果に基づいて、少な
   くとも前記プリントヘッドの駆動を制御する駆動制御ス
   テップとを、 少なくともこの順序で実行することを特徴とするプリン
   タ制御方法。