JP3120436B2 - 半導体装置用のエピタキシャル結晶の製造方法 - Google Patents

半導体装置用のエピタキシャル結晶の製造方法

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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、2次元電子ガスチャネルによる電界効果型
トランジスタ、いわゆるHEMT等の化合物半導体装置用エ
ピタキシャル結晶の製造方法に関する。
<従来の技術> HEMT用半導体は、例えばCrがドープされた半絶縁性Ga
As基板上にGaAs系の各種半導体層、例えばアンドープの
GaAs半導体層、アンドープのAlGaAs半導体層、n型のAl
GaAs半導体層、更にその上にn型のGaAs半導体層が、例
えばMOCVD(Metal−organic Chemical Vapor Depositio
n)法あるいはMBE(Moleculer Beam Epitaxcy)法等に
よって、順次エピタキシャル成長させて、その動作領
域、即ち2次元電子ガスチャネルを形成する領域を含む
各領域が形成される。第3図は従来のHEMTの一例の結晶
層構造を示す模式断面図で、1は半絶縁性GaAs基板、2
はバッファー層とチャネル層を兼ねるアンドープGaAs
層、5はスペーサー層であるアンドープのAlxGa1-xAs
(以下単にAlGaAsと称する)。層、6は電子供給層であ
るSiドープのAlxGa1-xAs(X=0.23)(以下n−AlGaAs
と称する。)層、7はキャップ層であるSiドープのGaAs
層である。第4図に第3図の結晶層構造の断面組成図を
示してあり、横軸に表面からの距離を示し縦軸にAl/As
のモル比x値を表わしている。第4図において、斜線を
施した部分5,6がAlGaAs混晶層を表わしている。このAlG
aAs層5よりチャネル層2のGaAs層の電子親和力が大き
いために、このチャネル層2のAlGaAs層5との接合いわ
ゆるヘテロ接合の近傍に電子のチャネルいわゆる2次元
電子チャネルが形成される。この電子が結晶の表面上に
形成されたゲート電極による電界により制御され、ソー
ス、ドレイン電極間のコンダクタンス制御を行うHEMTを
形成する。この場合、この電子チャネルの特性向上のた
めには、チャネル層2であるGaAs層が高純度であるばか
りか、AlGaAs層5とのヘテロ界面に不純物の蓄積が無い
こと、さらに、AlGaAs層5の、特にヘテロ接合界面の近
傍が高純度であることを必要とする。この高品質な動作
領域を得るためには、GaAs基板1とその動作層の間にバ
ッファ層が必要である。これはGaAs基板1からの例えば
Cr等の不純物の拡散や、この基板とエピタキシャル層と
の界面の結晶欠陥および不純物による動作層への悪影響
を小さくするためである。上記従来の構造では、チャネ
ル層である、アンドープGaAs層2を0.5μm程度以上の
厚さにすることでバッファ層としての機能を兼ね備えて
いる。
<発明が解決しようとする課題> ところが、上記従来のGaAs半導体バッファ層において
は十分な膜厚を形成することにより使用に耐える高品質
GaAs層は得られるものの、HEMT等のAlGaAs混晶化合物半
導体とGaAs化合物半導体の高品位な接合を得るには十分
でない。本発明においては、特に動作層にAlGaAs半導体
層を有するHEMT用結晶のエピタキシャル層をGaAs基板上
に形成する場合におけるバッファ層としての機能の究明
に基づいてその有効な構造を提供するものであり、この
HEMTの高純度、高品質のエピタキシャル層の形成を可能
にし、HEMTにおける特性の改善をはかるものである。
<課題を解決するための手段> 本発明は、上記HEMT等の半導体装置用エピタキシャル
結晶の製造においてバッファ層にAlGaAs半導体層を用
い、この上に動作層を形成することによって、高品位な
チャネル層とキャリア供給層の接合を形成することを目
的とする。
すなわち、本発明は、半絶縁性GaAs基板上に有機金属
熱分解法によりGaとAsを含む化合物半導体からなるバッ
ファ層、GaAs化合物半導体からなるチャネル層、さらに
その上にこのチャネル層より電子親和力が小さなAlGaAs
混晶化合物半導体からなる電子供給層を成長させ、該チ
ャネル層と該電子供給層とが結晶学的に接合して動作領
域を形成する電界効果型トランジスタ用エピタキシャル
結晶を製造する方法において、該電子供給層がn型AlGa
As混晶化合物半導体層を少なくとも一層含み、バッファ
層の成長時に原料として有機アルミニウム化合物を加
え、1000Å以上の厚さのAlGaAs層を成長させることを特
徴とする電界効果型トランジスタ用エピタキシャル結晶
の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、HEMT等の動作層にAlGaAs半導体層とGa
As半導体層のヘテロ接合を含む化合物半導体装置用エピ
タキシャル結晶において、高品位な結晶を得るために、
高純度AlGaAs混晶半導体のエピタキシャル成長、特にGa
As半導体層の成長の後にその上に形成されるAlGaAs半導
体層とそのGaAs半導体層のヘテロ接合の近傍での高純度
なAlGaAs半導体層の形成が重要と考え、AlGaAs半導体層
について種々の検討を重ねた結果、前記GaAs半導体層の
バッファ層では上記ヘテロ接合近傍でのAlGaAs半導体層
は、不純物のゲッタリング効果により選択的に不純物を
取り込み、特にAlGaAs層の成長初期にその不純物が濃縮
され高濃度になっていることが判明した。
つまり、AlGaAs半導体層はGaAs半導体層よりも反応性
が高く結晶中に不純物を取り込みやすく、特にAlGaAs半
導体層の成長初期にGaAs半導体層によりゲッタリングさ
れなかった不純物が濃縮された形で取り込まれることに
なる。そこで、本発明は、このAlGaAs半導体層のゲッタ
リング効果を利用して、HEMT等のバッファ層にAlGaAs半
導体層を挿入し、不純物をゲットすることにより、動作
層のAlGaAs層はAlを含む層としては第2層目以降となる
のでヘテロ接合界面近傍の不純物は低下し、高品位なHE
MT等の化合物半導体装置用エピタキシャル結晶を形成す
ることを可能にする。
本発明においてはこのようなGaAs基板上に有機金属分
解法により気相成長を行い、上記のように半導体装置用
エピタキシャル結晶を作製する。
半導体装置用エピタキシャル結晶の製造は、特に限定
されるものではないが、例えば半絶縁性のGaAs基板上に
バッファ層として膜厚が0〜2000ÅのアンドープGaAs層
を成長後、原料に有機アルミニウムを加えて膜厚が1000
〜10000ÅのアンドープAlGaAs層を成長させる。アンド
ープAlGaAs層の厚みを1000Å以上にすると前述のゲッタ
リングの効果が大きいので好ましい。
ついでチャネル層として膜厚が200〜500Åのアンドー
プGaAs層、スペーサー層として0〜100ÅのアンドープA
lGaAs、電子供給層として300〜500Åのn−AlGaAs層お
よびキャップ層として100〜1500Åのn−GaAs層を順次
気相成長により積層して作製することができる。
ここでバッファ層の成長において有機アルミニウム化
合物はGa源およびAs源の化合物に成長の最初から、また
は途中から加えて気相成長させてもよい。
また、MOCVD法による成長法自体は公知の方法で実施
することができる。
原料としては、Ga源の有機ガリウム化合物としてトリ
メチルガリウム、トリエチルガリウム等のアルキルガリ
ウム、As源としてアルシンが使用され、Al源の有機アル
ミニウム化合物としてはトリメチルアルミニウム、トリ
エチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム等が
使用される。また、ドーパントとしてはシラン、ジシラ
ン等のn−ドーパント類が使用できる。また、反応のキ
ャリアガスとしては一般に水素が使用される。
また、成長温度は600〜700℃の範囲が好ましい。
「作用」 HEMTの動作層であるAlGaAs半導体層とこのAlGaAs層よ
り電子親和力の大きなGaAs等の半導体層のヘテロ界面に
形成される2次元電子ガスはヘテロ接合界面のAlGaAs半
導体層のエネルギーバリアを越えてAlGaAs半導体層に滲
みだしてくる。つまり、チャネルの電子の走行中はAlGa
As層中の、特にヘテロ界面近傍の不純物により散乱さ
れ、電子の移動度を低下させる。さらに、AlGaAs層の不
純物濃度がチャネル電子の濃度に影響する。すなわち、
HEMTのしきい値電圧の変動をもたらすことになる。この
AlGaAs層にゲットされる不純物の起源は、GaAs基板から
の不純物、この基板の成長前の処理中に付着した不純
物、成長槽中の雰囲気中からの不純物が考えられる。こ
の不純物の制御は普通困難である。よって、HEMTの特性
劣化のみならず、再現性も悪化する。
しかし、本発明の構成により、動作層のAlGaAs層を成
長開始後Alを含む層としては第2層目以降とし、第1層
目のAlGaAs層のバッファ層で不純物をゲットして、動作
層のAlGaAs層の純度の劣化を防ぐことができ、高品位な
ヘテロ界面を得ると共に、結晶成長の再現性の向上が得
られる。
<実施例> 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例 1 第1図に示す本発明のAlGaAs層をバッファ層に持つ選
択ドープ構造を、MOCVD法によりGa源としてトリメチル
ガリウム、As源としてアルシン、Al源としてトリメチル
アルミニウム、キャリアガスとして水素、n−ドーパン
トとしてジシランを使用してエピタキシャル成長により
形成した。まず、半絶縁性GaAs基板1上にまずアンドー
プGaAs層2を500Åの厚みに形成し、連続してアンドー
プAlGaAs層3を4380Åの厚みに形成する。このときのAl
/Asの混晶比は0.2とした。さらに連続してチャネル層の
アンドープGaAs層4を500Åの厚みに形成した。さらに
連続的にアンドープAlxGa1-xAs層5を100Åの厚みのス
ペーサ層として形成する。この時Al/Asのモル比xは0.2
5とした。スペーサ層はヘテロ接合界面のAlGaAs層の純
度レベルを敏感に反映させるために、通常のHEMTのスペ
ーサ層より厚く成長させた。この層の上にさらに、電子
供給層6として連続的にSiドープAlGaAs層を450Åの厚
みに形成した。この時のAlxGa1-xAs層の電子濃度は1×
1018/cm3、Al/Asのモル比xは0.25である。供給層の厚
さは、電子の移動度をホール測定により決定するとき
に、2次元電子以外の電気伝導の影響を小さくするよう
に設計しており、電子移動度は誤差の範囲で2次元電子
の移動度を反映している。最後にGaAsをキャップ層7と
して100Åの厚みに形成した。第2図は、第1図の結晶
層構造の断面組成図を示している。この選択ドープの77
Kでの2次元電子の移動度はホール測定の結果、125,000
cm2/V・secであり、比較例に示す従来のGaAs層をバッフ
ァ層に持つ選択トープ構造の2次元電子に比べ、移動度
が大幅に改善された。
実施例 2 さらに、上記AlGaAsバッファ層3として、Al/Asの混
晶比が0.04、厚さが3650ÅのAlGaAs層を持つ選択ドープ
構造を形成した以外は実施例1と同様にして、77Kでの
2次元電子の移動度を測定した結果、129,000cm2/V・se
cであった。
比較例 GaAs層をバッファ層に持つ選択ドープ構造を以下のよ
うに作成した。まず半絶縁性のGaAs基板上に従来のバッ
ファ層であるアンドープGaAs層を5000Å形成する。この
層は2次元電子のチャネル層も兼ねる。この時GaAsバッ
ファ層の電子濃度は2×1014/cm3以下の高抵抗である。
この上に実施例1と同条件のスペーサ層、電子供給層、
キャップ層を順次形成し選択ドープ構造とした。
この選択ドープ構造の77Kでの2次元電子の移動度は
ホール測定の結果、77,700cm2/V・secとなった。
<発明の効果> 以上詳述したとおり、本発明によれば動作層にAlGaAs
層を含むHEMT等の化合物半導体装置用エピタキシャル結
晶において、バッファ層にAlGaAs層を用いることによ
り、この上に形成される動作層であるAlGaAs層は、この
バッファ層の不純物のゲッタリング効果によりAl原料の
導入による初期汚染が低減が可能になり、電子移動度の
高い高品質なヘテロ接合が形成されるのでHEMT等の半導
体装置の特性の向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例で得られたエピタキシャル結
晶の要部の概略断面図、第2図は本発明の一実施例のエ
ピタキシャル結晶の組成と深さとの関係を示す図、第3
図は従来例のエピタキシャル結晶の要部の概略断面図、
第4図は従来例のエピタキシャル結晶の組成と深さとの
関係を示す図である。斜線部はAlGaAs混晶半導体層を示
す。 1……GaAs基板、2……アンドープGaAs層、3……AlGa
Asバッファ層、4……GaAsチャネル層、5……AlGaAsス
ペーサ層、6……n型AlGaAs電子供給層、7……n型Ga
Asキャップ層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−183162(JP,A) 特開 昭63−164476(JP,A) 特開 昭60−231320(JP,A) 特開 昭61−48917(JP,A) 特開 昭61−49476(JP,A) 特開 平1−243479(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/778 H01L 21/205 H01L 21/338 H01L 29/812

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半絶縁性GaAs基板上に有機金属熱分解法に
    よりGaとAsを含む化合物半導体からなるバッファ層、Ga
    As化合物半導体からなるチャネル層、さらにその上にこ
    のチャネル層より電子親和力が小さなAlGaAs混晶化合物
    半導体からなる電子供給層を成長させ、該チャネル層と
    該電子供給層とが結晶学的に接合して動作領域を形成す
    る電界効果型トランジスタ用エピタキシャル結晶を製造
    する方法において、該電子供給層がn型AlGaAs混晶化合
    物半導体層を少なくとも一層含み、バッファ層の成長時
    に原料として有機アルミニウム化合物を加え、1000Å以
    上の厚さのAlGaAs層を成長させることを特徴とする電界
    効果型トランジスタ用エピタキシャル結晶の製造方法。
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