JP3119361B2 - 金属クロム成型体の製造方法 - Google Patents
金属クロム成型体の製造方法Info
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- JP3119361B2 JP3119361B2 JP02045796A JP4579690A JP3119361B2 JP 3119361 B2 JP3119361 B2 JP 3119361B2 JP 02045796 A JP02045796 A JP 02045796A JP 4579690 A JP4579690 A JP 4579690A JP 3119361 B2 JP3119361 B2 JP 3119361B2
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Description
【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、金属クロム成型体の熱処理方法に関する。
この方法で熱処理された金属クロム成型体は、溶接処理
に供するに適したものとなる。
この方法で熱処理された金属クロム成型体は、溶接処理
に供するに適したものとなる。
［従来の技術及びその問題点］ 金属クロムは、耐熱性、耐蝕性に優れた金属で、特に
高温度雰囲気にて耐熱性、耐アルカリ性等の耐薬品性に
優れた金属で、過酷な条件の下で用いられる有用な金属
である。
高温度雰囲気にて耐熱性、耐アルカリ性等の耐薬品性に
優れた金属で、過酷な条件の下で用いられる有用な金属
である。
近時、金属クロム成型体として、電解金属クロムや電
解金属クロムを雰囲気炉で脱ガスしたものを粉状とし、
粉末圧延、焼結、再圧延、焼鈍などの工程を経て板状と
した金属クロム板（特開昭58−55502号公報）、前記し
た金属粉末を密封容器に真空封入し、1000bar以上で熱
間等方圧延加工処理して得た金属クロム板（特開昭55−
154551号公報）等が知られている。
解金属クロムを雰囲気炉で脱ガスしたものを粉状とし、
粉末圧延、焼結、再圧延、焼鈍などの工程を経て板状と
した金属クロム板（特開昭58−55502号公報）、前記し
た金属粉末を密封容器に真空封入し、1000bar以上で熱
間等方圧延加工処理して得た金属クロム板（特開昭55−
154551号公報）等が知られている。
この様な公知の方法で得られた金属クロム成型体を、
タングステン不活性ガス（TIG）溶接法、電子ビーム（E
B）溶接法等の方法で金属クロムの構造物を製造する
際、溶接部に割れが発生することが多くこの様な方法で
金属クロムの構造物を製造することはほとんど実用化さ
れていないのが実情である。
タングステン不活性ガス（TIG）溶接法、電子ビーム（E
B）溶接法等の方法で金属クロムの構造物を製造する
際、溶接部に割れが発生することが多くこの様な方法で
金属クロムの構造物を製造することはほとんど実用化さ
れていないのが実情である。
［問題点を解決するための手段］ 本発明者らは、TIG溶接法、EB溶接法等の利点を生か
した金属クロム成型体の構造体への溶接加工方法を検討
した結果、用いる金属クロム成型体中の不純物、特にA
L、Siの介在が、又、金属クロム成型体の脆性がこのも
のの溶接時の割れ発生に大きく影響すること、従ってこ
の様な介在物を極力少なくすること、及び金属クロム成
型体の延性・脆性遷移温度（DBTT）を可能なかぎり低下
させること（尚、金属クロム成型体のDBTTは約200℃で
ある）により良好な溶接が可能であるとの知見を得本発
明を完成した。
した金属クロム成型体の構造体への溶接加工方法を検討
した結果、用いる金属クロム成型体中の不純物、特にA
L、Siの介在が、又、金属クロム成型体の脆性がこのも
のの溶接時の割れ発生に大きく影響すること、従ってこ
の様な介在物を極力少なくすること、及び金属クロム成
型体の延性・脆性遷移温度（DBTT）を可能なかぎり低下
させること（尚、金属クロム成型体のDBTTは約200℃で
ある）により良好な溶接が可能であるとの知見を得本発
明を完成した。
板、棒、管などの金属クロム成型体は、前記したよう
に金属クロム粉末を一般の加圧・加熱成型、焼結成型な
どの方法で成型し加工して得られるが、この際、通常用
いる金属クロム粉末は比較的高純度のもので、例えば、
Cr:99.80wt％程度のものが用いられている。
に金属クロム粉末を一般の加圧・加熱成型、焼結成型な
どの方法で成型し加工して得られるが、この際、通常用
いる金属クロム粉末は比較的高純度のもので、例えば、
Cr:99.80wt％程度のものが用いられている。
金属クロムに含まれる不純物は、その製造方法によっ
ても異なるが、Fe、Al、Si、Ｐ、Ｃ、Ｏ、Ｎ等が主なも
のである。これらの不純物の内、本発明者らは特にAl、
Siに着目し、その含量と、これらの溶接時の影響とにつ
き検討した結果、金属クロム中にAl、Siがある量以上存
在すると、この金属クロムの成型体を溶接する際、金属
クロム中に含まれるAl、Siが同じく酸素と反応して生成
したものが、溶接時の材料の割れ発生の原因となるこ
と、そしてその含量は、酸素、アルミニウム、珪素の合
計量で530ppmより大、クロムが99.8wt％より小である
と、これらの影響が著しく増大することを見出した。
ても異なるが、Fe、Al、Si、Ｐ、Ｃ、Ｏ、Ｎ等が主なも
のである。これらの不純物の内、本発明者らは特にAl、
Siに着目し、その含量と、これらの溶接時の影響とにつ
き検討した結果、金属クロム中にAl、Siがある量以上存
在すると、この金属クロムの成型体を溶接する際、金属
クロム中に含まれるAl、Siが同じく酸素と反応して生成
したものが、溶接時の材料の割れ発生の原因となるこ
と、そしてその含量は、酸素、アルミニウム、珪素の合
計量で530ppmより大、クロムが99.8wt％より小である
と、これらの影響が著しく増大することを見出した。
更に、本発明者らは、金属クロム成型体を還元雰囲気
中で1300℃以上の温度で加熱することにより、溶接時の
割れ発生のない金属クロム成型体を得ることを見出し本
発明を完成した。
中で1300℃以上の温度で加熱することにより、溶接時の
割れ発生のない金属クロム成型体を得ることを見出し本
発明を完成した。
即ち本発明は、酸素、アルミニウム、珪素の合計含量
が530ppm以下でクロムが99.8wt％以上である金属クロム
成型体の還元雰囲気中、1300℃以上で熱処理することを
特徴とする金属クロム成型体の熱処理方法に関するもの
である。
が530ppm以下でクロムが99.8wt％以上である金属クロム
成型体の還元雰囲気中、1300℃以上で熱処理することを
特徴とする金属クロム成型体の熱処理方法に関するもの
である。
次に本発明を更に詳細に説明する。
本発明で用いる金属クロム成型体は、前記した条件を
満足する金属クロム粉末を用いて得たものであればいず
れのもので良い。このような金属クロム粉末は、通常
の、クロムを含む溶液の電解によって得た金属クロムを
脱ガスなどの処理をして得たもの、酸化クロムを還元し
て得たもの等であり、比較的高純度の金属クロム粉末で
ある。
満足する金属クロム粉末を用いて得たものであればいず
れのもので良い。このような金属クロム粉末は、通常
の、クロムを含む溶液の電解によって得た金属クロムを
脱ガスなどの処理をして得たもの、酸化クロムを還元し
て得たもの等であり、比較的高純度の金属クロム粉末で
ある。
酸素、アルミニウム、珪素の合計含量が530ppmより大
の金属クロム粉末を用いて得た成型体を溶接に供した場
合、前記したように、これら介在物の溶接時に於ける悪
影響が大きくなる。
の金属クロム粉末を用いて得た成型体を溶接に供した場
合、前記したように、これら介在物の溶接時に於ける悪
影響が大きくなる。
本発明は、このような金属クロム粉末を加圧・加熱成
型（いわゆるHIP法、CIP法等）、及び焼結成型し板、
棒、管等の成型体としたものを用いる。
型（いわゆるHIP法、CIP法等）、及び焼結成型し板、
棒、管等の成型体としたものを用いる。
本発明は、このような成型体を、還元雰囲気中、1300
℃以上で熱処理することが必須である。
℃以上で熱処理することが必須である。
この熱処理を行う還元雰囲気は、通常水素雰囲気であ
り、1300℃以上、好ましくは1300〜1600℃で１時間以上
加熱する。この加熱温度が1300℃より低いと、又加熱時
間が短いと金属クロム中の不純成分が精製されず、又、
DBTTも200℃以下に下がらず溶接の際に好ましくない。
更に、1600℃より高い温度では、金属クロムの蒸発が起
り好ましくない。
り、1300℃以上、好ましくは1300〜1600℃で１時間以上
加熱する。この加熱温度が1300℃より低いと、又加熱時
間が短いと金属クロム中の不純成分が精製されず、又、
DBTTも200℃以下に下がらず溶接の際に好ましくない。
更に、1600℃より高い温度では、金属クロムの蒸発が起
り好ましくない。
本発明で得た金属クロム成型体は通常のTIG溶接法、E
B溶接法の材料として好適に用いられる。
B溶接法の材料として好適に用いられる。
［発明の効果］ 本発明で得られた金属クロム成型体は、これを用いて
溶接を行う際溶接部分の割れの発生が無く良好な溶接ビ
ードが得られる材料である。
溶接を行う際溶接部分の割れの発生が無く良好な溶接ビ
ードが得られる材料である。
［実施例］ 次に実施例で本発明を更に詳述する。
実施例１ 純度99.8wt％（Ｏ＋Si＋Al:530ppm）の金属クロムの
圧延板を、雰囲気炉にて次の条件で熱処理を行ない、以
下（１）（２）に示した組成（wt％）の金属クロム板を
得た。
圧延板を、雰囲気炉にて次の条件で熱処理を行ない、以
下（１）（２）に示した組成（wt％）の金属クロム板を
得た。
温度 :1300℃（１）、1600℃（２） 時間 :1.5時間 雰囲気:1×10-4torrまで排気後純水素を注入 （１）Cr:99.83 C:0.015 O:0.001 N:0.0035 H:0.0005 Fe:0.1 Al:0.0008 Si:0.008 P:0.0018 （２）Cr:99.88 C:0.01 O:0.0006 N:0.001 H:0.0005 Fe:0.1 Al:0.0005 Si:0.005 P:0.0018 得られた金属クロム成型体の曲げ試験及び継手溶接を
次の条件で行った。溶接材は共材を用いた。
次の条件で行った。溶接材は共材を用いた。
１）曲げ試験 サンプル 1.5mm×5mm×50mm 曲げスパン 20 mm 曲げ先端半径 0.8mm クロスヘッドスピード 1mm/min DBTT 最大曲げ角度120度を示す最低の
温度 ２）溶接試験 ａ方式 EB溶接 真空度 １×10-4torr 加速電圧 100KV ビーム電流 13.5mA 溶接速度 50cm/min 予熱温度 室温〜300℃ ｂ方式 TIG溶接 シールドガス アルゴン 電流 130A 溶接速度 10cm/min 予熱温度 室温〜300℃ 用いた成型体のDBTTは100（1300℃処理）、50（1600
℃処理）であった。溶接後Ｘ線透過写真法で溶接部を観
察した結果を表１に示す。溶接形状を図１に示す。割れ
の発生したものについては、走査型電子顕微鏡（SEM）
により割れ破面を観察した結果、破壊の原因は金属クロ
ムの延性低下により粉内へき開割れであり、介在物によ
り割れは認められなかった。
温度 ２）溶接試験 ａ方式 EB溶接 真空度 １×10-4torr 加速電圧 100KV ビーム電流 13.5mA 溶接速度 50cm/min 予熱温度 室温〜300℃ ｂ方式 TIG溶接 シールドガス アルゴン 電流 130A 溶接速度 10cm/min 予熱温度 室温〜300℃ 用いた成型体のDBTTは100（1300℃処理）、50（1600
℃処理）であった。溶接後Ｘ線透過写真法で溶接部を観
察した結果を表１に示す。溶接形状を図１に示す。割れ
の発生したものについては、走査型電子顕微鏡（SEM）
により割れ破面を観察した結果、破壊の原因は金属クロ
ムの延性低下により粉内へき開割れであり、介在物によ
り割れは認められなかった。
比較例１ 純度99.8wt％（Ｏ＋Si＋Al:530ppm）の金属クロム粉
末を用いて得たクロム圧延板（熱処理なし）を用い、E
B、TIG溶接試験を行った（図１（Ａ）の形状）した。
末を用いて得たクロム圧延板（熱処理なし）を用い、E
B、TIG溶接試験を行った（図１（Ａ）の形状）した。
ａ（EB溶接） サンプルサイズ 2mm×50mm×50mm 真空度 １×10-4torr 加速電圧 100KV ビーム電流 13.5mA 溶接速度 50cm/min 予熱温度 300℃ ｂ（TIG溶接） サンプルサイズ 2mm×50mm×50mm 電流 130A 溶接速度 10cm/min 予熱温度 300℃ 溶接後Ｘ線透過写真法で溶接部を観察した結果、溶接
部に割れが認められた。これらの割れ破面をSEMにより
観察した結果、割れの原因は介在物によるものであり、
介在物の成分を電子プローブマイクロアナリシス（EPM
A）で調べた結果、酸素、Al、Siの化合物であった。
部に割れが認められた。これらの割れ破面をSEMにより
観察した結果、割れの原因は介在物によるものであり、
介在物の成分を電子プローブマイクロアナリシス（EPM
A）で調べた結果、酸素、Al、Siの化合物であった。
比較例２ 純度99.8wt％（Ｏ＋Si＋Al:530ppm）の金属クロム圧
延板を用い、1250℃、初期真空度１×10-4torrまで排気
後純水素を注入した雰囲気で1.5時間熱処理した。この
ものの曲げ試験を実施例１と同様の条件で行った。原料
１）及び熱処理後２）の金属クロムのDBTTは共に200℃
であった。又夫々の品位を以下に示す。
延板を用い、1250℃、初期真空度１×10-4torrまで排気
後純水素を注入した雰囲気で1.5時間熱処理した。この
ものの曲げ試験を実施例１と同様の条件で行った。原料
１）及び熱処理後２）の金属クロムのDBTTは共に200℃
であった。又夫々の品位を以下に示す。
１）Cr:99.8 C:0.036 O:0.036 N:0.0054 H:0.0007 Fe:0.1 Al:0.004 Si:0.013 P:0.0018 ２）Cr:99.8 C:0.036 O:0.036 N:0.0045 H:0.0007 Fe:0.1 Al:0.004 Si:0.013 P:0.0018 比較例３ 純度99.78wt％（Ｏ＋Si＋Al:540ppm）の金属クロム圧
延板を用い、1300で水素雰囲気で1.5時間熱処理した。
このもののを用いて、予熱温度を400℃とした以外は実
施例１と同様の条件でEB溶接、TIG溶接、曲げ試験を行
った。
延板を用い、1300で水素雰囲気で1.5時間熱処理した。
このもののを用いて、予熱温度を400℃とした以外は実
施例１と同様の条件でEB溶接、TIG溶接、曲げ試験を行
った。
このもののDBTTは230℃であった。
溶接後Ｘ線透過写真法で溶接部を観察した結果、溶接
部に割れが認められた。これらの割れ破面をSEMにより
観察した結果、割れの原因は介在物によるものであり、
介在物の成分をEPMAで調べた結果Ｏ、Al、Siの化合物で
あった。
部に割れが認められた。これらの割れ破面をSEMにより
観察した結果、割れの原因は介在物によるものであり、
介在物の成分をEPMAで調べた結果Ｏ、Al、Siの化合物で
あった。
図１（Ａ〜Ｆ）は継手溶接の形状を表す図で、（Ａ）は
平板の突き合わせ溶接、（Ｂ）はすみ肉溶接、（Ｃ）は
重ねすみ肉溶接、（Ｄ）はパイプと平板のすみ肉溶接、
（Ｅ）はパイプの手長溶接、（Ｆ）はパイプの円周溶接
を示す。図中１、２はCr母材、３は溶接部を示す。
平板の突き合わせ溶接、（Ｂ）はすみ肉溶接、（Ｃ）は
重ねすみ肉溶接、（Ｄ）はパイプと平板のすみ肉溶接、
（Ｅ）はパイプの手長溶接、（Ｆ）はパイプの円周溶接
を示す。図中１、２はCr母材、３は溶接部を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 合議体 審判長 綿谷 晶廣 審判官 刑部 俊 審判官 三浦 悟 (56)参考文献 特開 昭63−57736（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−195233（ＪＰ，Ａ) 松田福久 外２名「高純度クロム板の 溶接性（第２報）母材及び溶接部の引張 曲げ特性」溶接学会全国大会講演概要Ｎ ｏ．39，Ｐ174−175（1986) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C22F 1/02 - 1/11 C22C 27/06 C22F 3/24
Claims (1)
- 【請求項１】酸素、アルミニウム、珪素の合計含量が53
0ppm以下でクロムが99.8wt％以上である金属クロム成型
体を還元雰囲気中、1300℃以上で熱処理することを特徴
とする金属クロム成型体の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP02045796A JP3119361B2 (ja) | 1990-02-28 | 1990-02-28 | 金属クロム成型体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP02045796A JP3119361B2 (ja) | 1990-02-28 | 1990-02-28 | 金属クロム成型体の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH03249155A JPH03249155A (ja) | 1991-11-07 |
| JP3119361B2 true JP3119361B2 (ja) | 2000-12-18 |
Family
ID=12729240
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP02045796A Expired - Fee Related JP3119361B2 (ja) | 1990-02-28 | 1990-02-28 | 金属クロム成型体の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3119361B2 (ja) |
-
1990
- 1990-02-28 JP JP02045796A patent/JP3119361B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
| Title |
|---|
| 松田福久 外２名「高純度クロム板の溶接性（第２報）母材及び溶接部の引張曲げ特性」溶接学会全国大会講演概要Ｎｏ．３９，Ｐ１７４−１７５（１９８６） |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH03249155A (ja) | 1991-11-07 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |