JP3118883B2 - シートバープレス装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は熱間圧延ライン上に設け
られたシートバープレス装置に関するものである。ここ
で、シートバーとは粗圧延機と仕上圧延機の間にある板
をいう。

【０００２】

【従来の技術】従来、熱間圧延ラインにおいては、シー
トバー１本毎の通板に伴うラインスピードの低下を防止
し、併せてシートバーの先端部や後端部に形状不良箇所
が発生することを防止するため、仕上圧延工程にかける
前の複数のシートバーを長手方向に接続し、仕上圧延完
了後、該シートバーを前記接続部分から分断するという
ことが行なわれている。

【０００３】而して、複数のシートバーを接続するため
図７及び図８に示すように、接続面の一方にあり溝ａを
設け、他方にありｂを設け、該ありｂを前記あり溝ａに
嵌合することにより複数のシートバーを接続し得るあり
継手ｃを設けている。

【０００４】前記あり継手を成形する装置の従来例とし
ては、図９に示すようなシートバープレス装置がある。
図示していない熱間圧延ラインの粗圧延機と仕上圧延機
との間にシートバープレス装置ｄを設け、先行するシー
トバーｅの後端部にあり溝ａを打ち抜くための金型ｆ
と、後続のシートバーｇの先端部に前記あり溝ａに嵌合
し得るありｂを打ち抜くための金型ｉとをシートバー
ｅ，ｇ進行方向へ所定の間隔を置き、且つ前記金型ｆが
シートバーｅ，ｇ進行方向の下流側に位置するよう配置
する。

【０００５】前記各金型ｆ，ｉは、所定のあり型形状を
なし、ベースフレームｊ上に固定された各金型下刃ｋ，
ｌと、前記下刃の形状に対応するあり型形状を有し前記
各金型下刃ｋ，ｌに相対する上方に昇降可能に設けられ
た各金型上刃ｍ，ｎとにより形成されている。

【０００６】さらに、前記先行するシートバーｅの後端
部に後続のシートバーｇの先端部を重ね合わせるための
重ね装置ｏを設ける。該重ね装置ｏは、前記金型ｆのシ
ートバーｅ，ｇ進行方向下流側上方に設けられ、シート
バーｅ，ｇ進行方向へ向かって上り勾配をなす重ね板ｐ
と、該重ね板ｐを前記各金型下刃ｋ，ｌ間へ出入りさせ
得る重ね板駆動装置ｑとにより形成されている。

【０００７】前記金型下刃ｋ上に先行するシートバーｅ
の後端部を合致させ、前記金型下刃ｌ上に後続のシート
バーｇの先端部を合致させた後、シートバープレス装置
ｄを作動し、前記各金型上刃ｍ，ｎを下降し、該各金型
上刃ｍ，ｎと各金型上刃ｍ，ｎに相対する各金型下刃
ｋ，ｌとの間でシートバーｅ，ｇを打ち抜くことによ
り、先行するシートバーｅの後端部にあり溝ａを成形
し、後続のシートバーｇの先端部にありｂを成形する。

【０００８】その後、前記重ね装置ｏの重ね板駆動装置
ｑを作動して重ね板ｐを前記各金型下刃ｋ，ｌの間に斜
めに挿入した後、前記後続のシートバーｇを進行させる
と、後続のシートバーｇの先端部が上り勾配に形成され
た重ね板ｐにガイドされて先行するシートバーｅの後端
部の上に進行する。そこで重ね装置ｏの重ね板駆動装置
ｑを作動して重ね板ｐを引き抜くと、先行するシートバ
ーｅの後端部と後続のシートバーｇの先端部とが重なり
合い、先行するシートバーｅの後端部に成形したあり溝
ａに後続のシートバーｇの先端部に成形したありｂが嵌
合してあり継手ｃを形成し、先行するシートバーｅと後
続のシートバーｇとが接続される。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
シートバープレス装置ｄでは、シートバーｅとｇとが通
板域内の同じ高さにあり、且つ所定の間隔を置いて並ぶ
各シートバーｅ，ｇの先端部及び後端部に、あり継手ｃ
を打ち抜くよう構成されているので、あり継手ｃを打ち
抜き後、重ね装置ｏの重ね板ｐを各シートバーｅ，ｇ間
に挿入し、後続のシートバーｇを前進させることによ
り、後続のシートバーｇを先行するシートバーｅ上に重
ね合わせなければ接続できないという煩瑣な作業が伴う
という問題があった。

【００１０】本発明は、前述の実情に鑑み、上下方向に
間隔を置いて重なり合った各シートバーの先端部及び後
端部にあり継手形を打ち抜き、該あり継手形を成形後に
後続のシートバーを移動させることなく前後のシートバ
ーを接続し得るシートバープレス装置を提供することを
目的としてなしたものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、ベースフレー
ム上のシートバー通板域に適合した高さに金型下刃を設
け、所定の高さを有する支柱上部に設けた上部フレーム
に下方へ向け伸縮するアクチュエータを設け、該アクチ
ュエータにより駆動されて前記支柱に沿い昇降し得るボ
ルスターを設け、ベースフレーム上の前記金型下刃が成
形するあり継手形に嵌合し得るあり継手形を成形するた
めの金型下刃を前記ボルスターの下面に設け、さらにシ
ートバー進行方向に直交する方向へ伸縮するアクチュエ
ータを設け、該アクチュエータに駆動されて前記各金型
下刃間に出入りし得る金型上刃ホルダを設け、該金型上
刃ホルダに、前記ベースフレーム上に設けた金型下刃に
対応し、該金型下刃に咬合・離反し得る金型上刃と、前
記ボルスター下面に設けた金型下刃に対応し、該金型下
刃に咬合・離反し得る金型上刃とを設け、咬合する上下
２組の刃形の垂直方向通り芯が合致するよう各金型を配
設し、前記ベースフレーム上に設けた金型下刃に対しシ
ートバー進行方向の上流側へ所定の間隔を隔てた位置に
後続のシートバーを支持する昇降自在なテーブルローラ
を設け、前記ベースフレーム上に設けた金型下刃に対し
てシートバー進行方向の下流側へ所定の間隔を隔てた位
置には先行のシートバーを支持する昇降自在なテーブル
ローラを設けた構成としている。

【００１２】

【作用】従って、本発明では、シートバー進行方向上流
側のテーブルローラにより後続のシートバーの先端部付
近を支持すると共に、下流側のテーブルローラにより先
行のシートバーの後端部付近を支持し、あり継手形をボ
ルスター下面に設けた金型下刃により打ち抜くシートバ
ー側を支持する何れか一方のテーブルローラを上昇し、
この一方のテーブルローラ上に支持されたシートバーを
ボルスター下面に設けた金型下刃に当接する位置まで持
ち上げ、金型上刃用のアクチュエータを伸張方向へ作動
することにより、前記一方のテーブルローラにより支持
されたシートバーと、他方のテーブルローラにより支持
されてベースフレーム上の金型下刃上に載置されたシー
トバーとの間へ金型上刃ホルダを挿入し、該金型上刃ホ
ルダに設けた各金型上刃を前記各金型下刃に咬合・離反
させることにより各シートバーにあり継手形を成形した
のち、金型上刃用のアクチュエータを短縮方向へ作動す
ることにより、前記各シートバーの間から金型上刃ホル
ダーを引抜き、然る後に、前記一方のテーブルローラを
下降して該テーブルローラ上にあるシートバーをベース
フレーム上の金型下刃上にあるシートバーの上に重ね合
わせ、上部フレームに設けたアクチュエータを伸張方向
へ作動することにより、ボルスターを下降して該ボルス
ター下面に設けた金型下刃の下端面により上側のシート
バーを押し下げることにより、上下の各シートバーに成
形したあり継手形を互いに嵌め合わせて各シートバーの
端部を接続する。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。

【００１４】図１は本発明のシートバープレス装置の概
略を表す側面図、図２は図１のＩＩ−ＩＩ矢視図、図３
は図１のシートバープレス装置に関連するボルスター下
面に設けた金型下刃の断面図、図４は図３の金型下刃に
対応する金型上刃の断面図、図５は図１のシートバープ
レス装置に関連する金型上刃ホルダの下面に設けた金型
上刃の断面図、図６は図５の金型上刃に対応する金型下
刃の断面図である。

【００１５】先行するシートバー１の後端部にあり溝２
を成形するため、ベースフレーム３の略中心にシートバ
ー１通板域に適合した高さを有する金型下刃４ａを設
け、シートバー１進行方向及びシートバー１幅方向へ所
定の間隔を置き、前記金型下刃４ａを中心に略対称に配
設され且つ所定の高さを有する支柱５を設け、該支柱５
の上部に上部フレーム６を設け、該上部フレーム６の略
中央部に下方へ向けてロッド７ａを伸縮し得る液圧シリ
ンダ７を設け、該液圧シリンダ７のロッド７ａに連結さ
れ液圧シリンダ７により駆動されて前記支柱５に沿い昇
降し得るボルスター８を設け、後続のシートバー９の先
端部にあり１０を成形するため、前記ボルスター８の下
面に金型下刃１１ａを下向きに設ける。

【００１６】さらに、ベースフレーム３上に設けた前記
金型下刃４ａのシートバー１，９進行方向下流側のシー
トバー１通板域上方とシートバー１，９進行方向上流側
のシートバー１通板域下方とに、シートバー１，９進行
方向に直交する方向へシートバー１通板域の一方の側近
からシートバー１通板域の上下を通り互いに平行してシ
ートバー１通板域の他方側方へ長く水平に延びる所定長
さのガイドバー１２を設け、該ガイドバー１２のシート
バー１，９通板域から離れた側の端部近くにガイドバー
１２延設方向に平行する方向へ伸縮するロッド１３ａを
有する液圧シリンダ１３を設け、該液圧シリンダ１３の
ロッド１３ａに連結され、液圧シリンダ１３により駆動
されて前記ガイドバー１２に沿い移動し、前記金型下刃
４ａと金型下刃１１ａとの間に出入りし得る金型上刃ホ
ルダ１４を設ける。

【００１７】前記金型上刃ホルダ１４は、前記金型下刃
４ａに相対し、咬合・離反し得るよう昇降可能に設けら
れ、液圧シリンダ１５に駆動され先行するシートバー１
の後端部にあり溝２を打ち抜き得る金型上刃４ｂと、前
記金型下刃１１ａに相対し、咬合・離反し得るよう昇降
可能に設けられ、液圧シリンダ１６に駆動され後続のシ
ートバー９の先端部にあり１０を打ち抜き得る金型上刃
１１ｂとを有する。そして、金型下刃４ａと金型上刃４
ｂとよりなる金型４により成形された先行シートバー１
の後端部のあり溝２と、金型下刃１１ａと金型上刃１１
ｂとよりなる金型１１により成形された後続シートバー
９の先端部のあり１０とを重ね合わせると、各シートバ
ー１，９をシートバー１，９進行方向へ位置補正するこ
となしにあり溝２にあり１０が合致するような関係位置
に、前記各金型４，１１を配設する。

【００１８】また、前記ベースフレーム３上に設けた金
型下刃４ａに対しシートバー１，９進行方向の上流側へ
所定の間隔を隔てた位置に、後続のシートバー９を支持
する昇降自在なテーブルローラ１８Ａをフレーム１７Ａ
上に装備して設け、前記ベースフレーム３上に設けた金
型下刃４ａに対しシートバー１，９進行方向の下流側へ
所定の間隔を隔てた位置には、先行のシートバー１を支
持する昇降自在なテーブルローラ１８Ｂをフレーム１７
Ｂ上に装備して設ける。

【００１９】次に作動について説明する。ベースフレー
ム３上に設けた金型下刃４ａ上の定位置に先行するシー
トバー１の後端部を止め、金型下刃４ａの上流側に設け
たフレーム１７Ａを上昇し、該フレーム１７Ａのテーブ
ルローラ１８Ａ上に送給された後続のシートバー９をボ
ルスター８下面に設けた金型下刃１１ａに当接し得る高
さ位置まで持ち上げ、該シートバー９をシートバー１，
９進行方向へ位置補正して金型下刃１１ａ下の定位置に
先端部を合わせ、液圧シリンダ１３をロッド１３ａが伸
張する方向へ作動することにより、前記シートバー１と
シートバー９との間へ金型上刃ホルダ１４を挿入し、各
金型上刃４ｂ，１１ｂが前記各金型下刃４ａ，１１ａに
対応する定位置に金型上刃ホルダ１４を止め、液圧シリ
ンダ１５を作動して金型上刃４ｂを金型下刃４ａ方向へ
往復駆動することにより、先行シートバー１の後端部に
あり溝２を成形し、液圧シリンダ１６を作動して金型上
刃１１ｂを金型下刃１１ａ方向へ往復駆動することによ
り、後続シートバー９の先端部にあり１０を成形する。

【００２０】その後、金型上刃ホルダ１４用の液圧シリ
ンダ１３をロッド１３ａが短縮する方向へ作動すること
により、金型上刃ホルダ１４を前記各シートバー１，９
の間から抜き出し、前記フレーム１７Ａを降下させ、該
フレーム１７Ａのテーブルローラ１８Ａ上の後続シート
バー９の先端部を先行シートバー１の後端部上に重ね合
わせ、液圧シリンダ７をロッド７ａが伸張する方向へ作
動することにより、ボルスター８を下降して該ボルスタ
ー８下面に設けた金型下刃１１ａの下端面により前記後
続シートバー９の先端部を押し下げると、該後続シート
バー９先端部に成形したあり１０が先行シートバー１の
後端部に成形したあり溝２に嵌合し、両シートバー１，
９が接続される。

【００２１】前記によれば、各金型下刃及び金型上刃の
各刃先部分と、先行シートバー１の後端部及び後続シー
トバー９の先端部とを垂直方向へ延びる同一空間内の上
下に置き、各シートバー１，９の位置を補正せずに、あ
り溝２を成形した先行シートバー１の後端部と、あり１
０を成形した後続シートバー９の先端部とを重ね合わせ
ても、前記あり溝２とあり１０とが完全に合致するよう
各金型４，１１を配設したので、あり溝２とあり１０と
を打ち抜いた後に各シートバー１，９の位置を補正する
必要がなく、容易にあり継手を形成することができる。

【００２２】なお、本発明は前述の実施例にのみ限定さ
れるものではなく、例えば、先行シートバーの後端部の
あり継手形をボルスター側の金型により打ち抜き、後続
シートバーの先端部のあり継手形をベースフレーム側の
金型により打ち抜き得るよう形成してもよいことなど、
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々
変更を加え得ることは勿論である。

【００２３】

【発明の効果】本発明のシートバープレス装置によれ
ば、各金型下刃及び金型上刃と、先行シートバーの後端
部及び後続シートバーの先端部とを垂直方向へ延びる同
一空間内の上下に置き、各シートバーの位置を補正せず
に、あり溝を成形した先行シートバーの後端部と、あり
を成形した後続シートバーの先端部とを重ね合わせて
も、前記あり溝とありとが完全に合致するよう各金型を
配設したので、あり溝とありとを打ち抜いた後に各シー
トバーの位置を補正する必要がなく、容易にあり継手を
形成することができる。また後続シートバーを前進させ
て各シートバーの重ね合わせを行なう必要がないので、
従来例に設けられているような重ね装置を省略すること
ができシートバープレス装置として簡略化が可能となる
等、種々の優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のシートバープレス装置の概略を表す側
面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ矢視図である。

【図３】図１のシートバープレス装置に関連するボルス
ター下面に設けた金型下刃の断面図である。

【図４】図３の金型下刃に対応する金型上刃の断面図で
ある。

【図５】図１のシートバープレス装置に関連する金型上
刃ホルダの下面に設けた金型上刃の断面図である。

【図６】図５の金型上刃に対応する金型下刃の断面図で
ある。

【図７】図１のシートバープレス装置に関連するあり継
手のあり及びあり溝の斜視図である。

【図８】図１のシートバープレス装置に関連するあり継
手の斜視図である。

【図９】従来のシートバープレス装置の一例の側面図で
ある。

【符号の説明】

１ シートバー ３ ベースフレーム ４ａ 金型下刃 ４ｂ 金型上刃 ５ 支柱 ６ 上部フレーム ７ 液圧シリンダ（アクチュエータ） ８ ボルスター ９ シートバー １０ あり １１ａ 金型下刃 １１ｂ 金型上刃 １３ 液圧シリンダ（アクチュエータ） １４ 金型上刃ホルダ１８Ａ テーブルローラ１８Ｂ テーブルローラ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベースフレーム上のシートバー通板域に
   適合した高さに金型下刃を設け、所定の高さを有する支
   柱上部に設けた上部フレームに下方へ向け伸縮するアク
   チュエータを設け、該アクチュエータにより駆動されて
   前記支柱に沿い昇降し得るボルスターを設け、ベースフ
   レーム上の前記金型下刃が成形するあり継手形に嵌合し
   得るあり継手形を成形するための金型下刃を前記ボルス
   ターの下面に設け、さらにシートバー進行方向に直交す
   る方向へ伸縮するアクチュエータを設け、該アクチュエ
   ータに駆動されて前記各金型下刃間に出入りし得る金型
   上刃ホルダを設け、該金型上刃ホルダに、前記ベースフ
   レーム上に設けた金型下刃に対応し、該金型下刃に咬合
   ・離反し得る金型上刃と、前記ボルスター下面に設けた
   金型下刃に対応し、該金型下刃に咬合・離反し得る金型
   上刃とを設け、咬合する上下２組の刃形の垂直方向通り
   芯が合致するよう各金型を配設し、前記ベースフレーム
   上に設けた金型下刃に対しシートバー進行方向の上流側
   へ所定の間隔を隔てた位置に後続のシートバーを支持す
   る昇降自在なテーブルローラを設け、前記ベースフレー
   ム上に設けた金型下刃に対しシートバー進行方向の下流
   側へ所定の間隔を隔てた位置には先行のシートバーを支
   持する昇降自在なテーブルローラを設けたことを特徴と
   するシートバープレス装置。