JP3117822B2 - 微細加工方法及びこの方法で加工された加工物 - Google Patents

微細加工方法及びこの方法で加工された加工物

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JP3117822B2
JP3117822B2 JP04328429A JP32842992A JP3117822B2 JP 3117822 B2 JP3117822 B2 JP 3117822B2 JP 04328429 A JP04328429 A JP 04328429A JP 32842992 A JP32842992 A JP 32842992A JP 3117822 B2 JP3117822 B2 JP 3117822B2
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平 正 道 藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微細加工方法に係り、
特に、分子デバイスにおける分子操作および分子加工、
通常の半導体デバイスやマイクロマシンの加工、または
記録材料のピット加工等における微細加工方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の代表的な微細加工技術として、通
常の半導体デバイスの製造等に用いられているリソグラ
フィの技術が知られている。このリソグラフィ技術によ
る加工手法は電離放射線を被加工基板に照射することに
よりレジストと呼ばれる感光性高分子を硬化あるいは分
解させ、基板上にパターンを形成させ、現像、エッチン
グ工程を経て被加工基板を加工する方法である。
【0003】また、近年、走査型のプローブ顕微鏡が開
発された。例えば、1986年に、G.F.Quate
及びGh.Gerberによって命名、開発された原子
間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Mi
croscope)であり(Phys.Rev.Let
t 56.(1986)930)、試料と探針の間には
たらく力を検出し、探針を表面に沿って走査すること
で、表面の像を形成するものである。これらの顕微鏡の
プローブを観察面に走査することにより、観察物の最上
層の原子面の凹凸の観察を行うことができる。
【0004】また、走査型のプローブ顕微鏡の一つであ
る走査型トンネル顕微鏡(STM)のプローブチップを
用いて、基板上の吸着性原子を再配置できることが報告
されている(例えば、特開平03ー238744)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】リソグラフィ技術を用
いた微細加工方法においては、最小の加工線幅は照射す
る電離放射線の波長に依存し、電離放射線の波長が短い
ほど加工線幅を細くすることができる。現在では、約2
00nmの波長の紫外線を用いて約200nmの線幅ま
での加工が可能になっている。しかしながら、これ以下
の微細な線幅、例えば分子レベルの線幅の加工について
は、波長に制限されるため、可能になっていない。
【0006】また、従来のリソグラフィ技術を用いた微
細加工方法においては、露光、現像、エッチング等の複
雑な工程を有するという問題点があった。
【0007】また、電子線を用いることによりかなり狭
い線幅の微細リソグラフィー加工が可能であることが知
られている。しかしながら、電子線を用いたリソグラフ
ィー加工においては、孤立した線の加工は狭い線幅でも
可能であるとしても、ライン対スペースが1対1のよう
な場合においては電子線の後方散乱のため100nm程
度の線幅(基板の材質等に依存するが)が限界とされて
いる。さらに電子線は電荷を有するためにレジストのチ
ャージアップという現象を生じさせ、描画パターンの位
置ずれを引き起こす。このチャージアップ現象を防止す
るためには被加工基板に導電性の膜を付与する必要があ
るという問題点を有する。
【0008】そこで、本発明の目的は、上記従来技術の
有する問題を解消し、電子線を用いた場合のような後方
散乱やチャージアップ現象等を伴うことなく、また電子
線の波長等に制限されることなく、略プローブ針の大き
さで微細加工を可能にする簡便な微細加工方法を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】通常、原子間力顕微鏡
(AFM)等によって試料を観察する場合、試料と探針
との間に例えば10−9N〜10−8N程度の弱い力を
印加しながら試料面に走査し、試料の原子面と探針の原
子面との間に作用する斥力等の大きさを検出することに
よって行われる。
【0010】本発明は、これに対して、従来の原子間力
顕微鏡(AFM)等を作動させる場合とは異なり試料と
探針との間に例えば10−8N〜10−6N程度の強い
力を印加することにより試料を微細加工できる、という
本出願人が発見した知見に基ずくものである。
【0011】上記目的を達成するために、微細な先端部
を有する探針と加工物の表面との間を、前記先端部と前
記加工物表面との距離が略ゼロのときに前記先端部の原
子面と前記加工物表面の原子面との間に所定の大きさを
越える大きさの力を機械的に印加して接触させる工程
と、この力を印加した状態を保持しつつ前記探針と前記
加工物とを前記力の印加方向と略直角方向へ相対変位さ
せる工程とを備え、前記先端部は原子あるいは分子の少
数の集合体の単位の大きさを有し、前記加工物が加工さ
れる際、原子あるいは分子の少数の集合体の単位で除去
され、前記加工物は規則的な2次元的原子配列からなる
表面を有することを特徴とする。
【0012】また、前記先端部の大きさは10μm以下
であることが好適である。また、前記先端部の大きさは
100nm以下であることが好適である。また、前記先
端部の大きさは1nm以下であることが好適である。ま
た、前記加工物はLB膜であることが好適である。ま
た、前記LB膜がポリイオンコンプレクス型LB膜であ
ることが好適である。また、前記LB膜が重合性部位を
有する両親媒性化合物からなることが好適である。ま
た、前記加工物が有機薄膜からなることが好適である。
また、前記有機薄膜の成膜方法は、スピンコート、蒸
着、スパッタリング、浸漬、CVD、または分子線エピ
タキシーのいずれかの方法であることが好適である。ま
た、前記探針と前記加工物との相対変位は、ピエゾ素子
を駆動することによって行うことが好適である。また、
加工物はこの微細加工方法によって微細加工された加工
物であることが好適である。また、前記加工物は基板そ
のもの、または半導体基板またはガラス基板の上に積層
された薄膜であることが好適である。
【0013】
【作用】探針の先端部と加工物の表面とを接近させて両
者の間の距離を略ゼロにしたとき先端部の原子面と加工
物表面の原子面との間には原子間斥力が作用している
が、所定の大きさを越える大きさの力を探針の先端部と
加工物の表面との間に印加して先端部と加工物の表面と
を接触させる。ここで、所定の大きさを越える大きさの
力とは、加工物表面の分子あるいは原子が動き出す力で
あり、加工物表面が変形しはじめる力をいう。次に、こ
の力を印加した状態で探針と加工物とを力の印加方向と
略直角方向へ相対変位させる。この結果、加工物は先端
部の大きさと略等しい大きさで削られる。
【0014】
【実施例】本発明による微細加工方法の実施例を図面を
参照して説明する。図3に示すように加工物1の上方に
は図示しないホルダーによって探針2がZ方向に移動自
在に保持されている。加工物1はテーブル3上に載置さ
れて固定され、テーブル3はX,Y方向へ移動自在であ
る。また、テーブル3の下方からはZ方向へ探針2に対
して所定の大きさの力を印加できるようになっている。
【0015】図4に探針2の一例を示す。この探針2は
カンチレバー4を有し、カンチレバー4の先端にはピラ
ミッド形ベース5が固着され、ピラミッド形ベース5の
先端にはプローブチップ6が固着されている。プローブ
チップ6の形状を拡大して図4(b)に示す。プローブ
チップ6のアスぺクト比は約10対1であり、先端の曲
率半径は約200オングストロームである。なお探針2
としては、例えばTopoMetrix社製あるいはナ
ノプローブ社製のものを用いることが可能である。ま
た、テーブル3、探針2やこれらの制御装置や検出装置
としては、例えばカリフォルニア工科大学によって製品
化されたTMX−200SPM(Scanning P
robe Microscope)(日製産業株式会社
販売)やSPI3700(セイコー電子工業製)等を用
いることができる。
【0016】また、プローブチップ6の材質としては、
カーボン、ダイヤモンド、シリコン、窒化シリコン、酸
化シリコンや、これらの材料を金属または金属酸化物で
コートしたものを用いることができる。
【0017】加工物1は基板そのものであるか、あるい
は、シリコン基板のような半導体基板やガラス基板の上
に積層された薄膜などである。加工物1の成膜方法に
は、スピンコート(回転塗布)、蒸着、スパッタリン
グ、浸漬、CVD(化学的気相成長)、またはMBE
(分子線エピタキシー)の各方法やLB法を用いること
ができる。また、加工物1はLB膜等の規則的な原子ま
たは分子配列からなる表面を有するものが好適である。
【0018】なお、本実施例が適用できる被加工膜等の
加工物1はLB膜等に限らず、無機系材料としてシリコ
ン、窒化シリコン、ガリウム砒素等の化合物半導体、塗
布型シリコン酸化膜等も可能であり、また、有機材料と
してはカーボン、ノボラッククレゾール、ポリビニルフ
ェノール、ポリメチルメタクレート(PMMA),ポリ
メチルイソプロピルケトン(PMIPK)等の高分子化
合物や低分子量の有機化合物も可能である。特にLB膜
に関しては、通常の脂肪酸からなるLB膜の他に、ポリ
イオンコンプレックス型LB膜や、重合性部位を有する
両親媒性化合物からなるLB膜等を用いることができ
る。
【0019】次に本実施例の工程について説明する。ま
ず、探針2と加工物1の表面との間の距離が略ゼロにな
るように探針2を加工物1に接近させる。このとき、探
針2のプローブチップ6の原子面と加工物1の表面の原
子面との間には、Lennard−Jones型のポテ
ンシャルU(r)=4ε((σ/r)12−(σ/r)
)で近似されるように、遠距離では分散力による引力
が作用するのに対し、プローブチップ6の原子面と加工
物1の表面の原子面との間の距離が略ゼロのときにはP
auliの排他律による原子間斥力が作用している。
【0020】次に、所定の大きさを越える大きさの力で
テーブル3をZ方向へプローブチップ6に対して押し上
げる。ここで、所定の大きさを越える大きさの力とは、
加工物1表面の分子あるいは原子が動き出す力であり、
加工物表面が変形しはじめる力をいう。この力の大きさ
は、通常、原子間力顕微鏡(AFM)等によって試料を
観察する場合よりも高い針圧であり、例えば10−8
から10−6Nの大きさである。この力の大きさは加工
物1の硬度等に依存して実験的に設定される。
【0021】次に、この力を印加した状態で、テーブル
3をX,Y平面で探針2に対して所望の加工方向へ相対
変位させる。この相対変位は例えばピエゾ素子を駆動す
ることによって行われる。これによって、加工物1の表
面は研削され微細加工される。
【0022】本実施例の構成によれば、所定の大きさを
越える大きさの力をプローブチップ6の原子面と加工物
1の表面の原子面との間に印加して接触させ、プローブ
チップ6と加工物1を相対変位させるので、電子線を用
いた場合のような後方散乱やチャージアップ現象等を伴
うことなく、また電子線の波長等に制限されることな
く、略プローブ針の大きさに応じた微細加工を可能にす
る簡便な微細加工方法を提供することができる。したが
って、先端の曲率半径は約200オングストロームのプ
ローブチップ6を用いた場合には、印加する力を適度に
設定することにより、約200オングストロームの線幅
で微細加工することができる。また、プローブチップ6
の径を小さくしさえすれば、その径に応じた大きさの微
細加工が可能となる。
【0023】なお、プローブチップ6の大きさは略10
μm以下でよく、また100nm以下でもよく、さらに
1nm以下でもよい。
【0024】次に本実施例を実際に適用した例を以下に
説明する。 例1 シリコン基板上にアラキジン酸をLB法で11層累積
し、膜厚27.5nmの均一な膜を得た。次に市販の原
子間力顕微鏡(AFM)を用いて膜面を走査し膜物質を
削り取った。針圧10−7Nであり、プローブチップ6
の径は約30nmである。図2に加工前の粒子構造を示
すAFM像の写真を示す。図1に探針を走査して加工し
た後の粒子構造を示すAFM像の写真を示す。図1にお
いて、黒い四角形状の部分が削り取られて加工されたホ
ールである。この加工されたホールはプローブチップ6
を左右に約256回走査して加工されたものである。線
幅300nmのホールが加工されていることが認められ
る。なお、ここでは示していないが、より小さいな線幅
の加工も可能である。
【0025】例2 シリコン基板上にPMMAをスピンコートし、膜厚50
nmの均一な膜を形成した。次に市販の原子間力顕微鏡
(AFM)を用いて膜面を走査し膜物質を削り取った。
針圧10−6Nであり、プローブチップ6の径は約30
nmである。線幅300nmの線を描くことができた。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電子線を用いた場合のような後方散乱やチャージアップ
現象等を伴うことなく、また電子線の波長等に制限され
ることなく、略プローブ針の大きさに応じた微細加工を
可能にする簡便な微細加工方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による微細加工方法を適用して、シリコ
ン基板上にアラキジン酸をLB法で形成した膜に微細加
工した粒子構造を示す原子間力顕微鏡(AFM)による
写真。ホールサイズは約300nmである。
【図2】図1に対応し、シリコン基板上にアラキジン酸
をLB法で形成した膜に本発明による微細加工方法を適
用する前の粒子構造を示す原子間力顕微鏡(AFM)に
よる写真。
【図3】本発明を実施する装置を概略的に示した図。
【図4】探針の一実施例を示す図。
【符号の説明】
1 加工物 2 探針 3 テーブル 4 カンチレバー 5 ピラミッド形ベース 6 プローブチップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−205319(JP,A) 特開 平4−127420(JP,A) 特開 平4−288815(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/302 B28D 5/00 G11B 5/31 G11B 9/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微細な先端部を有する探針と加工物の表面
    との間を、前記先端部と前記加工物表面との距離が略ゼ
    ロのときに前記先端部の原子面と前記加工物表面の原子
    面との間に所定の大きさを越える大きさの力を機械的に
    印加して接触させる工程と、この力を印加した状態を保
    持しつつ前記探針と前記加工物とを前記力の印加方向と
    略直角方向へ相対変位させる工程とを備え 前記先端部は原子あるいは分子の少数の集合体の単位の
    大きさを有し、前記加工物が加工される際、原子あるい
    は分子の少数の集合体の単位で除去され、 前記加工物は規則的な2次元的原子配列からなる表面を
    有する ことを特徴とする微細加工方法。
  2. 【請求項2】前記先端部の大きさは10μm以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の微細加工方法。
  3. 【請求項3】前記先端部の大きさは100nm以下であ
    ることを特徴とする請求項2に記載の微細加工方法。
  4. 【請求項4】前記先端部の大きさは1nm以下であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の微細加工方法。
  5. 【請求項5】前記加工物はLB膜であることを特徴とす
    る請求項1に記載の微細加工方法。
  6. 【請求項6】前記LB膜がポリイオンコンプレクス型L
    B膜であることを特徴とする請求項5に記載の微細加工
    方法。
  7. 【請求項7】前記LB膜が重合性部位を有する両親媒性
    化合物からなることを特徴とする請求項5に記載の微細
    加工方法。
  8. 【請求項8】前記加工物が有機薄膜からなることを特徴
    とする請求項1に記載の微細加工方法。
  9. 【請求項9】前記有機薄膜の成膜方法は、スピンコー
    ト、蒸着、スパッタリング、浸漬、化学的気相成長CV
    D、または分子線エピタキシーのいずれかの方法である
    ことを特徴とする請求項10に記載の微細加工方法。
  10. 【請求項10】前記探針と前記加工物との相対変位は、
    ピエゾ素子を駆動することによって行うことを特徴とす
    る請求項1に記載の微細加工方法。
  11. 【請求項11】請求項1に記載の微細加工方法によって
    微細加工された加工物。
  12. 【請求項12】前記加工物は基板そのもの、または半導
    体基板またはガラス基板の上に積層された薄膜であるこ
    とを特徴とする請求項11に記載の微細物。
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GB0612399D0 (en) * 2006-06-23 2006-08-02 Johnson Matthey Plc Improvements in coated materials
CN109580635B (zh) * 2018-12-03 2021-05-18 高佳太阳能股份有限公司 一种金刚石切割硅片片厚不均原因快速确定方法

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