JP3116870B2 - シールド線付き伝送線路 - Google Patents

シールド線付き伝送線路

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JP3116870B2
JP3116870B2 JP09230746A JP23074697A JP3116870B2 JP 3116870 B2 JP3116870 B2 JP 3116870B2 JP 09230746 A JP09230746 A JP 09230746A JP 23074697 A JP23074697 A JP 23074697A JP 3116870 B2 JP3116870 B2 JP 3116870B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シールド線付き
伝送線路に係り、特に、高周波回路用の印刷配線基板に
適用して好適なシールド線付き伝送線路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、印刷配線基板(PWB(Printed W
iring Board))に印刷形成された高周波回路用信号伝送
線路には、各種のものが知られている。以下、従来の高
周波回路用信号伝送線路の代表的な数例について説明す
る。図7は、従来の基本的な信号伝送線路の層構成を示
す断面構造図である。 従来の基本的な信号伝送線路
は、同図に示すように、印刷配線基板を形成するベース
誘電体層1の片面上に、信号伝送のための、信号線1
0,11を隔離して設けた構造を有している。なお、信
号線の数は任意であり、信号線10,11は、複数の信
号線を代表的に表したものである。
【0003】図8は、従来のコプレーナ(共平面)伝送
線路の層構成を示す断面構造図である。従来のコプレー
ナ伝送線路は、同図に示すように、印刷配線基板を形成
するベース誘電体層1の片面上に、信号伝送のための、
信号線10,11を隔離して設けるとともに、信号線1
0,11の中間に、接地線20を、信号線10,11の
それぞれから隔離して設けた構造を有している。なお、
この場合も、信号線の数は任意であるが、各信号線は、
その片側又は両側に、接地線を配置されていることが必
要である。
【0004】図9は、従来のマイクロストリップ伝送線
路の層構成を示す断面構造図である。従来のマイクロス
トリップ伝送線路は、同図に示すように、印刷配線基板
を形成するベース誘電体層1の片面上に、信号伝送のた
めの、信号線10,11を隔離して設けるとともに、ベ
ース誘電体層1の他面に、接地導体層2を設けた構造を
有している。
【0005】図10は、従来の接地線付きマイクロスト
リップ伝送線路の層構成を示す断面構造図である。従来
の接地線付きマイクロストリップ伝送線路は、同図に示
すように、印刷配線基板を形成するベース誘電体層1の
片面上に、信号伝送のための、信号線10,11を隔離
して設けるとともに、ベース誘電体層1の他面に、接地
導体層2を設け、さらに、信号線10,11の中間に、
接地線20を、信号線10,11のそれぞれから隔離し
て設けた構造を有している。
【0006】図11は、従来のストリップライン(トリ
プレートライン)伝送線路の層構成を示す断面構造図で
ある。従来のストリップトライン伝送線路は、同図に示
すように、印刷配線基板を形成するベース誘電体層1の
片面上に、信号伝送のための、信号線10,11を隔離
して設けるとともに、ベース誘電体層1の他面に接地導
体層2を設け、さらにベース誘電体層1の、信号線1
0,11を設けた面上に、上部誘電体層3を積層して、
上部誘電体層3の上面に、上部接地導体層4を設けた構
造を有している。
【0007】また、特開平8−250891号公報にお
いては、誘電体と導体層とを積層して形成したシート
を、印刷配線基板の信号線の上に被せ、このシートの導
体層を接地することによって、ストリップライン構造を
実現する、伝送線路の構成が開示されている。
【0008】さらに、実開平5−6910号公報におい
ては、ストリップライン伝送線路における信号線の中間
に上下方向に形成されたスリットを設け、このスリット
の表面にメタライズ面を形成して、このメタライズ面を
上下の接地導体層と接続することによって、信号線間を
シールドする構成が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の基本的な伝送線路(図7)や、コプレーナ伝送線路
(図8)及びマイクロストリップ伝送線路(図9,図1
0)にあっては、ベース誘電体層1上に形成された信号
線間の漏話(クロストークノイズ)が大きい、という欠
点があった。これは、信号線の上部において、解放空間
(空気)を介して隣接の信号線に回り込む電磁結合が大
きいためと、信号線間において静電結合があるためであ
る。信号線の中間に接地線がある場合は、信号線間の静
電結合は抑えられるが、電磁結合は依然として大きい。
このような漏話は、信号線間隔を小さくした場合、特に
大きくなるため、伝送線路の配線密度を向上し、回路を
小型化して、印刷配線基板の高密度化を実現する上での
妨げとなっていた。
【0010】また、上記従来のストリップライン伝送線
路(図11)にあっては、信号線間及び信号線−接地層
間の静電容量が大きい、という欠点があった。これは信
号線の上部にも、上部誘電体層3を挟んで上部接地導体
層4を有するため、静電容量が増加することに基づいて
いる。線路の静電容量が増加すると、信号ドライバの負
担が大きくなり、信号ドライバの消費電力が増大する。
また、伝送線路の特性インピーダンスが小さくなるの
で、コネクタ等、線路に接続される他の部分の特性イン
ピーダンスとの不整合を生じ、高速信号の場合、信号反
射、波形歪みの発生等の問題を生じやすい。また、高速
信号の伝送路では、特性インピーダンスと整合した終端
抵抗を、伝送線路終端に接続することがあるが、このよ
うな場合、特性インピーダンスが小さいと、信号振幅が
小さくなるため、ノイズに弱くなる、という不都合もあ
った。この際、静電容量の増加や、特性インピーダンス
の低下を防止するためには、ベース誘電体層1と上部誘
電体層3とを厚くする必要がある。しかしながら、誘電
体層を厚くすると、信号線間の電磁結合が大きくなり、
信号線と接地層間の静電容量の減少とあいまって、漏話
が大きくなる。そこで、漏話の増大を防止するために
は、信号線間の距離を大きくしなければならず、このた
め、この種の印刷配線基板を高密度化、小型化すること
が困難であった。
【0011】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
ものであって、高周波回路用印刷配線基板に適用して好
適な信号伝送線路であって、信号線間の漏話を減少し、
回路の誤動作を防止できるとともに、配線密度を向上
し、回路の小型化、高密度化を実現することがが可能
な、シールド線付き伝送線路を提供することを目的とし
ている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明に係るシールド線付き伝送線路
は、ベース誘電体層の一方の面に接地導体層を設けると
ともに、他方の面に複数の信号線を設けてなるマイクロ
ストリップ伝送線路に対して、前記ベース誘電体層の信
号線を設けた面上に、周囲の解放空間より誘電率が大き
い上部誘電体層を積層するとともに、該上部誘電体層上
の信号線間の位置にシールド接地線を設けてなることを
特徴としている。
【0013】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の発明に係るシールド線付き伝送線路であって、前記
マイクロストリップ伝送線路が、前記ベース誘電体層上
の前記信号線間に接地線を有し、前記シールド接地線が
該接地線に対応する位置に設けられてなることを特徴と
している。
【0014】また、請求項3記載の発明に係るシールド
線付き伝送線路は、ベース誘電体層の一方の面に信号線
と接地線とを隣接して設けてなるコプレーナ(共平面)
伝送線路に対して、前記ベース誘電体層の信号線と接地
線を設けた面上に、周囲の解放空間より誘電率が大きい
上部誘電体層を積層するとともに、該上部誘電体層上の
前記接地線に対応する位置にシールド接地線を設けてな
ることを特徴としている。
【0015】また、請求項4記載の発明は、請求項3記
載の発明に係るシールド線付き伝送線路であって、前記
ベース誘電体層の前記信号線と接地線を設けた面と反対
側の面上の前記接地線に対応する位置に下部シールド接
地線を設けてなることを特徴としている。
【0016】また、請求項5記載の発明に係るシールド
線付き伝送線路は、ベース誘電体層の一方の面に複数の
信号線を設けてなる伝送線路に対して、前記ベース誘電
体層の信号線を設けた面上に、周囲の解放空間より誘電
率が大きい上部誘電体層を積層するとともに、該上部誘
電体層上の信号線間の位置にシールド接地線を設けてな
ることを特徴としている。
【0017】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明に係るシールド線付き伝送線路であって、前記ベース
誘電体層の前記信号線を設けた面と反対側の面上の前記
信号線間の位置に下部シールド接地線を設けてなること
を特徴としている。
【0018】
【作用】この発明の構成では、マイクロストリップ伝送
線路又は接地線付きマイクロストリップ伝送線路に対し
て、ベース誘電体層の信号線を設けた面上に、周囲の解
放空間より誘電率が大きい上部誘電体層を積層するとと
もに、上部誘電体層上の信号線間の位置にシールド接地
線を設けたので、従来のマイクロストリップ伝送線路の
場合より、信号線間の漏話が低減される。また、ストリ
ップライン伝送線路の場合よりも、静電容量の増加が少
なく、高密度配線が実現可能となる。
【0019】また、この発明の別の構成では、コプレー
ナ伝送線路に対して、ベース誘電体層の信号線と接地線
を設けた面上に、周囲の解放空間より誘電率が大きい上
部誘電体層を積層するとともに、上部誘電体層上の接地
線に対応する位置にシールド接地線を設けるか、又は、
ベース誘電体層の信号線と接地線を設けた面上に上部誘
電体層を積層するとともに、上部誘電体層上の接地線に
対応する位置にシールド接地線を設け、さらにベース誘
電体層の信号線と接地線を設けた面と反対側の面上の接
地線に対応する位置に下部シールド接地線を設けたの
で、従来のコプレーナ伝送線路の場合より、信号線間の
漏話が低減される。
【0020】また、この発明のさらに別の構成では、ベ
ース誘電体層の一方の面に複数の信号線を設けてなる基
本的な伝送線路に対して、ベース誘電体層の信号線を設
けた面上に、周囲の解放空間より誘電率が大きい上部誘
電体層を積層するとともに、上部誘電体層上の信号線間
の位置にシールド接地線を設けるか、又は、ベース誘電
体層の信号線を設けた面上に上部誘電体層を積層すると
ともに、上部誘電体層上の信号線間の位置にシールド接
地線を設け、さらに、ベース誘電体層の信号線を設けた
面と反対側の面上の信号線間の位置に下部シールド接地
線を設けたので、従来の基本的な伝送線路の場合より、
信号線間の漏話が低減される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用い
て具体的に行なう。 ◇第1実施例 図1は、この発明の第1実施例であるシールド線付き伝
送線路の層構成を示す断面構造図である。この例のシー
ルド線付き伝送線路は、図1に示すように、ベース誘電
体層1と、接地導体層2と、上部誘電体層5と、信号線
10,11と、シールド接地線21とから概略構成され
ている。
【0022】この例のシールド線付き伝送線路は、図1
に示されるように、ベース誘電体層1の一方の面に接地
導体層2を設け、他方の面に信号線10,11を設け
た、図9に示された従来のマイクロストリップ伝送線路
の上部に、周囲の解放空間より誘電率が大きい上部誘電
体層5を積層し、さらに上部誘電体層5の上に、信号線
10,11の中間に、シールド接地線21を設けた構成
を有している。この場合、新たに設ける上部誘電体層5
は、ベース誘電体層1と同じ材料でもよく、又は異なる
材料でもよい。
【0023】次に、図1を参照して、この例のシールド
線付き伝送線路の機能を説明する。積層された上部誘電
体層5は、周囲の解放空間(空気)より誘電率が大きい
ので、信号線の電流に基づく電界が、上部誘電体層5の
部分に集中する。従って、解放空間へ出る電界は小さく
なり、解放空間を介する隣接する信号線への電磁結合が
弱められる。上部誘電体層5の上に設けられたシールド
接地線21は、上部誘電体層5を介する隣接する信号線
への電磁結合を抑制するとともに、解放空間を回り込む
電磁結合も小さくし、さらに信号線間の静電結合を減少
させる。これらのことからシールド効果が強化され、そ
のため、図9に示された従来のマイクロストリップ伝送
線路の場合より、信号線間の漏話が低減される。
【0024】また、シールド接地線21は、信号線1
0,11の上にはないので、従来のストリップライン伝
送線路(図11)のように、信号線上のすべてが接地層
で覆われる場合と比べて、静電容量の増加は少ない。そ
のため、静電容量の増加により低下した、特性インピー
ダンスを元の値にするために、各誘電体層の厚さを増し
たり、配線ピッチを広げたりする量が、ストリップライ
ン伝送線路の場合より小さくてすみ、ストリップライン
伝送線路と較べれば、配線の高密度化が容易となる。
【0025】このように、この例の構成によれば、信号
線間の漏話が小さく、伝送信号のエラーの発生を防止で
きるとともに、配線の高密度化が容易であるので、小型
で、配線密度の高い印刷配線基板を実現できる。
【0026】◇第2実施例 図2は、この発明の第2実施例であるシールド線付き伝
送線路の層構成を示す断面構造図である。この例のシー
ルド線付き伝送線路は、図2に示すように、ベース誘電
体層1と、接地導体層2と、上部誘電体層5と、信号線
10,11と、接地線20と、シールド接地線21とか
ら概略構成されている。
【0027】この例のシールド線付き伝送線路は、図2
に示されるように、ベース誘電体層1の一方の面に接地
導体層2を設け、他方の面に信号線10,11を設ける
とともに、信号線10,11の中間に接地線20を設け
た、図10に示された従来のマイクロストリップ伝送線
路の上部に、周囲の解放空間より誘電率が大きい上部誘
電体層5を積層し、さらに上部誘電体層5の上に、接地
線20に対応する位置に、シールド接地線21を設けた
構成を有している。この場合、新たに設ける上部誘電体
層5は、ベース誘電体層1と同じ材料でもよく、又は異
なる材料でもよい。
【0028】次に、図2を参照して、この例のシールド
線付き伝送線路の機能を説明する。図1に示された例の
場合と同様に、積層された上部誘電体層5によって、解
放空間を介する隣接する信号線への電磁結合が弱められ
るとともに、上部誘電体層5の上に設けられたシールド
接地線21によって、上部誘電体層5を介する隣接する
信号線への電磁結合を抑制し、解放空間を回り込む電磁
結合も小さくする。さらに、シールド接地線21と接地
線20とによって、信号線間の静電結合を減少させる。
これらのことからシールド効果が増強され、そのため、
図10に示された従来のマイクロストリップ伝送線路の
場合より、信号線間の漏話を低減できるとともに、図1
に示された例の場合よりも、信号線間の漏話を低減する
ことができる。
【0029】また、この例の場合は、接地線20がある
ので、図1に示された例の場合より静電容量が増加する
が、シールド接地線21は、信号線10,11の上には
ないので、図11に示されたストリップライン伝送線路
のように、信号線上のすべてが接地層で覆われる場合と
比べて、静電容量の増加は少ない。そのため、静電容量
の増加により、低下した特性インピーダンスを元の値に
するために、各誘電体層の厚さを増したり、配線ピッチ
を広げたりする量が、ストリップライン伝送線路の場合
より小さくてすみ、ストリップライン伝送線路の場合よ
りも、高密度配線を実現できる。
【0030】このように、この例の構成によれば、信号
線間の漏話が小さく、伝送信号のエラーの発生を防止で
きるとともに、配線密度の向上を図ることができ、小型
で、配線密度の高い印刷配線基板を実現できる。
【0031】◇第3実施例 図3は、この発明の第3実施例であるシールド線付き伝
送線路の層構成を示す断面構造図である。この例のシー
ルド線付き伝送線路は、図3に示すように、ベース誘電
体層1と、上部誘電体層5と、信号線10,11と、接
地線20と、シールド接地線21とから概略構成されて
いる。
【0032】この例のシールド線付き伝送線路は、図3
に示されるように、ベース誘電体層1の一方の面に信号
線10,11を設けるとともに、信号線10,11の中
間に接地線20を設けた、図8に示された従来のコプレ
ーナ伝送線路の上部に、周囲の解放空間より誘電率が大
きい上部誘電体層5を積層し、さらに上部誘電体層5の
上に、接地線20に対応する位置に、シールド接地線2
1を設けた構成を有している。この場合、新たに設ける
上部誘電体層5は、ベース誘電体層1と同じ材料でもよ
く、又は異なる材料でもよい。
【0033】次に、図3を参照して、この例のシールド
線付き伝送線路の機能を説明する。積層された上部誘電
体層5は、周囲の解放空間(空気)より誘電率が大きい
ので、信号線の電流に基づく電界が、上部誘電体層5の
部分に集中する。従って、解放空間へ出る電界は小さく
なり、解放空間を介する隣接する信号線への電磁結合が
弱められる。上部誘電体層5の上に設けられたシールド
接地線21は、上部誘電体層5を介する隣接する信号線
への電磁結合を抑制するとともに、解放空間を回り込む
電磁結合も小さくする。さらに、シールド接地線21と
接地線20とによって、信号線間の静電結合を減少させ
る。これらのことから、シールド効果が強化され、その
ため、図8に示された従来のコプレーナ伝送線路の場合
より、信号線間の漏話が低減される。
【0034】このように、この例の構成によれば、信号
線間の漏話が小さく、伝送信号のエラーの発生を防止で
きる。
【0035】◇第4実施例 図4は、この発明の第4実施例であるシールド線付き伝
送線路の層構成を示す断面構造図である。この例のシー
ルド線付き伝送線路は、図4に示すように、ベース誘電
体層1と、上部誘電体層5と、信号線10,11と、接
地線20と、シールド接地線21と、下部シールド接地
線22とから概略構成されている。
【0036】この例のシールド線付き伝送線路は、図4
に示されるように、ベース誘電体層1の一方の面に信号
線10,11を設けるとともに、信号線10,11の中
間に接地線20を設けた、図8に示された従来のコプレ
ーナ伝送線路の上部に、周囲の解放空間より誘電率が大
きい上部誘電体層5を積層し、さらに上部誘電体層5の
上に、接地線20に対応する位置に、シールド接地線2
1を設けるとともに、ベース誘電体層1の信号線10,
11と反対の面に、接地線20に対応する位置に、下部
シールド接地線22を設けた構成を有している。この場
合、新たに設ける上部誘電体層5は、ベース誘電体層1
と同じ材料でもよく、又は異なる材料でもよい。
【0037】次に、図4を参照して、この例のシールド
線付き伝送線路の機能を説明する。図3に示された例の
場合と同様に、積層された上部誘電体層5によって、解
放空間を介する隣接する信号線への電磁結合が弱められ
るとともに、シールド接地線21と下部シールド接地線
22とによって、上部誘電体層5とベース誘電体層1を
介する、隣接する信号線への電磁結合を抑制し、解放空
間を回り込む電磁結合も小さくする。さらに、シールド
接地線21と接地線20と下部シールド接地線22とに
よって、信号線間の静電結合を減少させる。これらのこ
とから、シールド効果が増強され、そのため、図8に示
された従来のコプレーナ伝送線路の場合より、信号線間
の漏話を低減できるとともに、図3に示された例の場合
よりも、信号線間の漏話を低減することができる。
【0038】このように、この例の構成によっても、信
号線間の漏話が小さく、伝送信号のエラーの発生を防止
できる。
【0039】◇第5実施例 図5は、この発明の第5実施例であるシールド線付き伝
送線路の層構成を示す断面構造図である。この例のシー
ルド線付き伝送線路は、図5に示すように、ベース誘電
体層1と、上部誘電体層5と、信号線10,11と、シ
ールド接地線21とから概略構成されている。
【0040】この例のシールド線付き伝送線路は、図5
に示されるように、ベース誘電体層1の一方の面に信号
線10,11を設けた、図7に示された従来の基本的な
信号伝送線路の上部に、周囲の解放空間より誘電率が大
きい上部誘電体層5を積層し、さらに上部誘電体層5の
上に、信号線10,11の中間に、シールド接地線21
を設けた構成を有している。この場合、新たに設ける上
部誘電体層5は、ベース誘電体層1と同じ材料でもよ
く、又は異なる材料でもよい。
【0041】次に、図5を参照して、この例のシールド
線付き伝送線路の機能を説明する。積層された上部誘電
体層5は、周囲の解放空間(空気)より誘電率が大きい
ので、信号線の電流に基づく電界が、上部誘電体層5の
部分に集中する。従って、解放空間へ出る電界は小さく
なり、解放空間を介する隣接する信号線への電磁結合が
弱められる。上部誘電体層5の上に設けられたシールド
接地線21は、上部誘電体層5を介する隣接する信号線
への電磁結合を抑制するとともに、解放空間を回り込む
電磁結合も小さくする。さらに、シールド接地線21
は、信号線間の静電結合を減少させる。これらのことか
ら、シールド効果が生じ、図7に示された従来の基本的
な伝送線路の場合より、信号線間の漏話が低減される。
【0042】このように、この例の構成によっても、信
号線間の漏話が小さく、伝送信号のエラーの発生を防止
できる。
【0043】◇第6実施例 図6は、この発明の第6実施例であるシールド線付き伝
送線路の層構成を示す断面構造図である。この例のシー
ルド線付き伝送線路は、図6に示すように、ベース誘電
体層1と、上部誘電体層5と、信号線10,11と、シ
ールド接地線21と、下部シールド接地線22とから概
略構成されている。
【0044】この例のシールド線付き伝送線路は、図6
に示されるように、ベース誘電体層1の一方の面に信号
線10,11を設けた、図7に示された従来の基本的な
信号伝送線路の上部に、周囲の解放空間より誘電率が大
きい上部誘電体層5を積層し、さらに上部誘電体層5の
上に、信号線10,11の中間に、シールド接地線21
を設けるとともに、ベース誘電体層1の信号線10,1
1と反対の面に、信号線10,11の中間に下部シール
ド接地線22を設けた構成を有している。この場合、新
たに設ける上部誘電体層5は、ベース誘電体層1と同じ
材料でもよく、又は異なる材料でもよい。
【0045】次に、図6を参照して、この例のシールド
線付き伝送線路の機能を説明する。図5に示された例の
場合と同様に、積層された上部誘電体層5によって、解
放空間を介する隣接する信号線への電磁結合が弱められ
るとともに、シールド接地線21と下部シールド接地線
22とによって、上部誘電体層5とベース誘電体層1と
を介する、隣接する信号線への電磁結合を抑制し、解放
空間を回り込む電磁結合も小さくする。さらに、シール
ド接地線21と下部シールド接地線22とによって、信
号線間の静電結合を減少させる。これらのことから、シ
ールド効果が強化され、そのため、図7に示された従来
の基本的な伝送線路の場合より、信号線間の漏話を低減
できるとともに、図5に示された例の場合よりも、信号
線間の漏話を低減することができる。
【0046】このように、この例の構成によっても、信
号線間の漏話が小さく、伝送信号のエラーの発生を防止
できる。
【0047】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られたもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。例えば、各誘電体
層を構成する誘電体の大きさ、厚さ及び材質、誘電率は
任意であり、また、信号線、接地線、シールド接地線及
び下部シールド接地線の幅、長さ、厚さ及び信号線の間
隔と、これらを形成する金属の材質も任意である。さら
に接地導体層の大きさや厚さと、これを形成する金属の
材質も任意である。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のシール
ド線付き伝送線路によれば、信号線間の電磁結合を抑制
するとともに、信号線間の静電結合を低減するので、信
号線間の漏話を低減し、信号線に伝送される信号におけ
るエラー発生を防止することができる。また、従来のス
トリップライン伝送線路の場合と比べて静電容量の増加
が少ないので、特性インピーダンスの低下が少なく、特
性インピーダンスを低下させないために、誘電体の厚さ
を増加したり、配線ピッチを広げたりする等の変更が少
なくてすみ、高密度配線を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例であるシールド線付き伝
送線路の層構成を示す断面構造図である。
【図2】この発明の第2実施例であるシールド線付き伝
送線路の層構成を示す断面構造図である。
【図3】この発明の第3実施例であるシールド線付き伝
送線路の層構成を示す断面構造図である。
【図4】この発明の第4実施例であるシールド線付き伝
送線路の層構成を示す断面構造図である。
【図5】この発明の第5実施例であるシールド線付き伝
送線路の層構成を示す断面構造図である。
【図6】この発明の第6実施例であるシールド線付き伝
送線路の層構成を示す断面構造図である。
【図7】従来の基本的な信号伝送線路の層構成を示す断
面構造図である。
【図8】従来のコプレーナ(共平面)伝送線路の層構成
を示す断面構造図である。
【図9】従来のマイクロストリップ伝送線路の層構成を
示す断面構造図である。
【図10】従来の接地線付きマイクロストリップ伝送線
路の層構成を示す断面構造図である。
【図11】従来のストリップトライン(トリプレートラ
イン)伝送線路の層構成を示す断面構造図である。
【符号の説明】
1 ベース誘電体層 2 接地導体層 3 上部誘電体層 4 上部接地導体層 5 上部誘電体層 10 信号線 11 信号線 20 接地線 21 シールド接地線 22 下部シールド接地線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−15215(JP,A) 特開 平7−235811(JP,A) 特開 昭61−247101(JP,A) 特開 平4−144301(JP,A) 特開 平8−111606(JP,A) 特開 平2−203603(JP,A) 特開 平5−102708(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 3/08 H01P 3/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベース誘電体層の一方の面に接地導体層
    を設けるとともに、他方の面に複数の信号線を設けてな
    るマイクロストリップ伝送線路に対して、 前記ベース誘電体層の信号線を設けた面上に、周囲の解
    放空間より誘電率が大きい上部誘電体層を積層するとと
    もに、該上部誘電体層上の信号線間の位置にシールド接
    地線を設けてなることを特徴とするシールド線付き伝送
    線路。
  2. 【請求項2】 前記マイクロストリップ伝送線路が、前
    記ベース誘電体層上の前記信号線間に接地線を有し、前
    記シールド接地線が該接地線に対応する位置に設けられ
    てなることを特徴とする請求項1記載のシールド線付き
    伝送線路。
  3. 【請求項3】 ベース誘電体層の一方の面に信号線と接
    地線とを隣接して設けてなるコプレーナ(共平面)伝送
    線路に対して、 前記ベース誘電体層の信号線と接地線を設けた面上に、
    周囲の解放空間より誘電率が大きい上部誘電体層を積層
    するとともに、該上部誘電体層上の前記接地線に対応す
    る位置にシールド接地線を設けてなることを特徴とする
    シールド線付き伝送線路。
  4. 【請求項4】 前記ベース誘電体層の前記信号線と接地
    線を設けた面と反対側の面上の前記接地線に対応する位
    置に下部シールド接地線を設けてなることを特徴とする
    請求項3記載のシールド線付き伝送線路。
  5. 【請求項5】 ベース誘電体層の一方の面に複数の信号
    線を設けてなる伝送線路に対して、 前記ベース誘電体層の信号線を設けた面上に、周囲の解
    放空間より誘電率が大きい上部誘電体層を積層するとと
    もに、該上部誘電体層上の信号線間の位置にシールド接
    地線を設けてなることを特徴とするシールド線付き伝送
    線路。
  6. 【請求項6】 前記ベース誘電体層の前記信号線を設け
    た面と反対側の面上の前記信号線間の位置に下部シール
    ド接地線を設けてなることを特徴とする請求項5記載の
    シールド線付き伝送線路。
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