JP3116480U - 建築用断熱材 - Google Patents

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Abstract

【課題】シックハウス症候群等の原因を防止し、それぞれの季節で安全で快適に過ごすことができる安価な建築用断熱材を提供する。
【解決手段】通気性と柔軟性を有する植物性繊維からなる収容体11に設けられる複数本の柱状体12に籾殻13が収納され、建築物の断熱用に用いられる建築用断熱材10であって、柱状体12が隣接間で互いに複数の綿糸14の縫目、又は天然接着のりの接合で区画されて並列して設けられると共に、それぞれの柱状体12の隣接間に籾殻13が収納されない柱状体12の幅より幅狭の溝15を有する。
【選択図】図1

Description

本考案は、木造建築物の断熱用として用いられる建築用断熱材に関し、より詳細には、木造建築物の側壁、天井、床、屋根等の断熱材として用いることができる建築用断熱材に関する。
一般的に建築物に使用される断熱材には、グラスウール、ポリウレタン系断熱材、セルロースファイバー、ロックウール等で形成されるものが主流となっている。特に、グラスウールや、ポリウレタン系断熱材は、加工性に優れると共に、断熱性が高いので、広く使用されてきている。
しかしながら、グラスウール、ポリウレタン系断熱材、ロックウール等で形成される人造的に化学物質や、化学薬品を用いて作られた建築用断熱材で住宅内を高気密化にすることは、断熱材や、化学物質や化学薬品を用いて形成された建材や内装材からの住宅内への放出化学物質の換気を遮断するので、高濃度の化学物質、例えば、ホルムアルデヒド等のの室内空気汚染を発生させている。この化学物質の室内空気汚染は、居住者に様々な体調不良を引き起こす、所謂、シックハウス症候群の原因の一つとなっている。これらの中でも、ロックウールは、施工が吹き付け等によって行われるので、施工時の粉塵の発生による人体に及ぼす影響に問題を抱えている。グラスウールは、建築物内外の温度差によって生じる結露を吸収してしまうことでの木材の腐朽を発生させたり、カビの発生によるアレルギーやアトピー性皮膚炎等を引き起こすシックハウス症候群の原因の一つとなっている。また、石油化学製品であるポリウレタン系断熱材は、主にウレタンフォームとして使用されているが、このウレタンフォームを作製する時の発泡の段階で、毒性がありアレルギー等を引き起こす可能性がある発泡剤成分、発泡助剤成分、難燃剤成分、樹脂モノマー(イソシアネート)を放散させるという問題を抱えている。更に、このウレタンフォームは、燃焼させると炭酸ガスや一酸化炭素の発生の他にシアンガスの微量発生があるので、火災や焼却廃棄時に人体や環境に及ぼす影響が懸念されている。
そこで、近年では、グラスウールや、ポリウレタン系断熱材、ロックウール等に代わって、環境や人体への影響がない天然素材を用いて形成された建築用断熱材が盛んに用いられるようになってきている。また、建築用断熱材にも、一度使用したものを再度利用する資源のリサイクル化が行われるようになってきている。従って、最近では、新聞紙等の古紙を再利用したセルロースファイバーが注目されるようになってきていた。
しかしながら、セルロースファイバーは、古紙を再利用する点では資源のリサイクル化に適しているが、断熱材とするためには、厚く吹き付けて固めて用いるためにこのままでは白蟻やカビに対して弱いものとなっている。そこで、断熱材とするためには、化学薬品処理を余儀なくされ、有害物質発生の危険性があり、上記と同様のシックハウス症候群の原因の一つを抱えることとなっている。また、セルロースファイバーは、施工が吹き付け等によって行われるので、施工時の粉塵の発生による人体に及ぼす影響に問題を抱えている。
そこで、建築用断熱材は、これらの課題に対処するために、材料に安価で大量に入手でき、天然素材である籾殻を用いて形成されたいくつかの発明、考案が開示されている。例えば、建築用断熱材には、籾殻の繊維方向を横方向に揃えて植物性接着剤粉からなる接着剤でブロック状、又は板状に固化したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、建築用断熱材には、所定量の水に土、藁、籾殻を混入し、混練して所望形状に形成したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。更に、防音を兼ねた断熱材には、水、セメント、シリカによるセメントモルタルの中に籾殻を混入させて固化し、籾殻による微小気泡を有するコンクリートパネルとしたものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、更に、建築資材には、籾殻が硬化剤で一体的に固化して防音壁、緩衝材、又は建築用断熱材としたものが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平6−8968号公報 特開平7−3904号公報 特開2000−302515号公報 特開2003−13512号公報
しかしながら、前述したような従来の建築用断熱材は、未だ解決すべき次のような問題がある。
(1)化学物質の室内空気汚染によるシックハウス症候群等の原因の一つを防止するために、材料に天然素材である籾殻を使用し、ブロック状や、板状にするための接着剤や、硬化剤に天然素材から形成されたものを用い、強固に固化されたブロック状や、板状にした建築用断熱材は、籾殻がブロック状や、板状の中に強固に固化された状態で入り込んでいるので、建築用断熱材としての換気が充分でなく、籾殻に水分が吸着したりしてカビ等を発生させ、アレルギーやアトピー性皮膚炎等の発生があり、シックハウス症候群等の発生を防止することができない。
(2)ブロック状や、板状からなる建築用断熱材は、内部に隙間がないので、換気が悪く、夏季の室内の暑さが異常に上昇することがある。
(3)ブロック状や、板状からなる建築用断熱材は、建屋構造の場所によって、多種類の形状の建築用断熱材を予め準備しておく必要があり、建築用断熱材のコストアップとなっている。また、施工においては、建築用断熱材の重量が大きい上に、様々な形状からなるので、施工を難しくし、施工のためのコストアップとなっている。
本考案は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、シックハウス症候群等の原因を防止し、それぞれの季節で安全で快適に過ごすことができる安価な建築用断熱材を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本考案に係る建築用断熱材は、通気性と柔軟性を有する植物性繊維からなる収容体に設けられる複数本の柱状体に籾殻が収納され、建築物の断熱用に用いられる建築用断熱材であって、柱状体が隣接間で互いに複数の綿糸の縫目、又は天然接着のりの接合で区画されて並列して設けられると共に、それぞれの柱状体の隣接間に籾殻が収納されない柱状体の幅より幅狭の溝を有する。
ここで、建築用断熱材は、収容体が紙からなるのがよい。
請求項1又はこれに従属する請求項2記載の建築用断熱材は、通気性と柔軟性を有する植物性繊維からなる収容体に設けられる複数本の柱状体に籾殻が収納され、建築物の断熱用に用いられる建築用断熱材であって、柱状体が隣接間で互いに複数の綿糸の縫目、又は天然接着のり接合で区画されて並列して設けられると共に、それぞれの柱状体の隣接間に籾殻が収納されない柱状体の幅より幅狭の溝を有するので、建築用断熱材を構成する材料の籾殻が天然素材からなり、籾殻を収納する柱状体を有する収容体が通気性と柔軟性を有する植物性繊維からなり、しかも、それぞれの柱状体を離間して形成するためのしきりに綿糸、又は天然接着のりを用いることで、全ての材料が天然素材となり、シックハウス症候群等の原因の一つである化学物質による室内空気汚染を防止できる。また、建築用断熱材の形状が柱状体の隣接間に籾殻が収納されない溝を有するようになっているので、この溝が換気のための空気の通り道となり、籾殻の水分吸着を防止してカビ等の発生を防止し、アレルギーやアトピー性皮膚炎等のシックハウス症候群の一つを防止することができると共に、適当な換気によって季節に応じた断熱で夏季での温度上昇を抑えることができる。更に、建築用断熱材は、これ自体が柔軟性のあるものであるので、数種類の大きさ形状のもので建屋構造の全ての場所に対応でき、多種類の形状の建築用断熱材を予め準備しておく必要がなく、建築用断熱材のコストアップを防止することができる。また、籾殻や、植物性繊維からなる袋状の収容体で構成されて軽量で、柔軟性のある建築用断熱材は、壁、天井、床、屋根等のあらゆる場所にも簡単に釘打機等で取付けることができ、施工が容易で施工のためのコストアップを防止することができる。更には、柔軟性のある建築用断熱材は、複数枚の収容体を重ね合わせて用いることもでき、この場合に一方の収容体の柱状体の部分と、他方の収容体の溝の部分が重なることで断熱効果を向上させることができると共に、柱状体と、柱状体の幅より幅狭の溝による重ねあわせによって、複数枚の収容体の間には適当な換気のための通り道を確保することができる。
特に、請求項2記載の建築用断熱材は、収容体が紙からなるので、適当な通気性を有することで、籾殻の換気を促進でき断熱効果を維持することができる。また、紙が和紙からなる場合には、紙の強度、耐久性が高く通気性にも優れるので、収容体として好適となっている。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本考案を具体化した実施するための最良の形態について説明し、本考案の理解に供する。
ここに、図1(A)、(B)はそれぞれ本考案の一実施の形態に係る建築用断熱材の正面図、A−A’線縦断面図、図2は同建築用断熱材の建築物への使用例の説明図、図3(A)、(B)はそれぞれ同建築用断熱材の換気の説明のための平面図、B−B’線一部拡大縦断面図である。
図1(A)、(B)に示すように、本考案の一実施の形態に係る建築用断熱材10は、建築物に使用される断熱材であって、通気性と柔軟性を有する植物性繊維からなる、例えば、麻や綿等からなる不織布や、洋紙や和紙等からなる紙等の複数枚が重ね合わされるようにして形成される収容体11が基体となっている。この収容体11は、植物性繊維からなる不織布や、紙等の天然素材で形成されているので、建築物に使用しても最近問題視されているシックハウス症候群等の発生原因防止に対応することができる。そして、この収容体11には、直線状に延設して袋状になった複数本の柱状体12が設けられており、この袋状となった柱状体12の中に籾殻13が充填されて収納されている。この籾殻13は、稲の籾から米を取り出した後の残り殻であり、乾燥されて水分が10%以下となっている。籾殻13は、米の収穫時期には多量に入手が可能な天然素材であり、昔から畑等に撒いて農作物の保温材として用いているように保温性にも優れている。この籾殻13は、上記と同様に、天然素材であるので、建築物に使用してもシックハウス症候群等の発生原因防止に対応することができる。
収容体11には、複数本の柱状体12がそれぞれ隣接間で互いに複数の綿糸14の縫目で区画されて並列して設けられている。あるいは、収容体11には、複数本の柱状体12がそれぞれ隣接間で互いに天然の接着のり(図示せず)の接合で区画されて並列して設けられている。そして、それぞれの柱状体12の隣接間のエリアには、籾殻13が収納されておらず、柱状体12の幅aより小さい幅b(a>b)からなる幅狭の溝15を柱状体12に並列するようにして直線状に延設して有している。溝15を形成するための綿糸14、又は天然接着のりは、上記と同様に、天然素材であるので、建築物に使用してもシックハウス症候群等の発生原因防止に対応することができる。従って、建築用断熱材10は、建築用断熱材10を構成する全ての材料が天然素材であるので、建築物の断熱材として、建築物に使用してもシックハウス症候群等の発生原因防止に対応することができる。
ここで、この建築用断熱材10に用いられる収容体11は、紙から形成されているのがよい。紙は、適当な通気性を有しているので、収容体11の柱状体12内に収納されている籾殻13の水分吸着を防止してカビ等の発生を抑えると共に、換気によって断熱材としての保温効果を維持することができる。なお、収容体11に用いられる紙は、特に、紙の中でも日本に古くから存在する和紙からなるのが好ましい。この和紙は、強度や、耐久性が高く、通気性にも優れるので、籾殻13を包み込んで保護しながら新しい空気を絶えず供給でき、籾殻13を長期間継続的に活性化させることができる。
次に、図2、図3(A)、(B)を参照しながら、本考案の一実施の形態に係る建築用断熱材10の建築物への使用例を説明する。
図2に示すように、この建築用断熱材10は、例えば、建築物の中で側壁16、床17、及び天井18に用いることができる。また、建築用断熱材10は、屋根19の裏側に張りめぐらして用いることもできる。図3(A)、(B)に示すように、この建築用断熱材10を建築物の中の高低差がある部分、例えば、側壁16に用いる場合には、柱状体12が上下方向に立設するような形で取付けるのがよい。また、図示しないが、建築用断熱材10を屋根19のような傾斜する高低差がある部分に用いる場合には、柱状体12の上下方向が傾斜する方向にならうような形で取付けるのがよい。建築用断熱材10は、柱状体12を上下方向になるように取付けることによって 温度を帯びて上下方向に対流する空気を収容体11の溝15に沿って通気させることができ、建築用断熱材10の換気を促進させることができる。建築用断熱材10を側壁16や、屋根19に取付ける場合には、建築用断熱材10が移動しないように、釘打機等で固定させて容易に取付けることができる。
一方、この建築用断熱材10を建築物の中の水平部分、例えば、床17や、天井18に用いる場合には、建築用断熱材10を載置するだけでもよく、また、載置する方向を限定するものではないが、柱状体12の直線方向で隣合う収容体11が接続するように全ての建築用断熱材10の方向が一定であるのが好ましい。これにより、隣合う収容体11の溝15が連続することとなり、換気のための貫通する通気道を確保することができる。なお、図3(A)、(B)では、建築用断熱材10は、収容体11が2枚重なった状態のものを示しているが、収容体11は、1枚、又は3枚以上が重なったものであってもよい。建築用断熱材10には、収容体11が複数枚重なった場合であっても、溝15の幅が柱状体12の幅より小さいので、溝15の周囲には、隙間を確保することができ、換気のための通気道を確保することができる。
次いで、図示しないが、建築用断熱材10の作製方法を簡単に説明する。
先ず、通気性と柔軟性を有する植物性繊維からなる、例えば、所望の大きさの2枚の和紙を準備している。次に、2枚の和紙は、重ね合わせた後、例えば、縦方向に延設し、所望の大きさ幅aの複数本が並列する柱状体12が得られ、溝15部分となるところに溝15の幅bが確保できるように綿糸14を用いてミシン等で縫目を入れて縦目を形成している。あるいは、2枚の和紙は、重ね合わせた後、例えば、縦方向に延設し、所望の大きさ幅aの複数本が並列する柱状体12が得られ、溝15部分となるところに、溝15の幅bが確保できるように天然の接着のりを用いて接合している。次に、2枚の和紙の縦方向の一方の端部を綿糸14を用いてミシン等で縫目を入れて横目を形成して他方の端部に横目を形成する前の収容体11を作製している。あるいは、2枚の和紙の縦方向の一方の端部を天然の接着のりを用いて接合して他方の端部を接合する前の収容体11を作製している。
次に、収容体11は、柱状体12を形成するために、収容体11の縦方向の他方の端部が上になるようにして籾殻13を注入するためのホッパーに取付けられる。そして、並列して柱状体12となるために他方の端部の全ての開口には、それぞれホッパーの注入口が一方の端部まで差込まれ、籾殻13を柱状体12のエリアに注入しながらホッパーの注入口を引き上げることで、柱状体12のエリア内に籾殻13を充填している。次に、ホッパーから収容体11を取り外した後、収容体11の縦方向の他方の端部は、綿糸14を用いてミシン等で縫目を入れて横目を形成、あるいは、天然の接着のりを用いて接合している。このようにして、収容体11に設けられた複数本の柱状体12に籾殻13が収納された建築用断熱材10が作製されている。
本考案の建築用断熱材は、断熱性、換気性に優れる。夏は涼しく、冬は暖かくすることができると共に、安価な上に軽量で取扱いが容易な断熱材を得ることができ、シックハウス症候群等に対応できる建築物に適用できる。
(A)、(B)はそれぞれ本考案の一実施の形態に係る建築用断熱材の正面図、A−A’線縦断面図である。 同建築用断熱材の建築物への使用例の説明図である。 (A)、(B)はそれぞれ同建築用断熱材の換気の説明のための平面図、B−B’線一部拡大縦断面図である。
符号の説明
10:建築用断熱材、11:収容体、12:柱状体、13:籾殻、14:綿糸、15:溝、16:側壁、17:床、18:天井、19:屋根

Claims (2)

  1. 通気性と柔軟性を有する植物性繊維からなる収容体に設けられる複数本の柱状体に籾殻が収納され、建築物の断熱用に用いられる建築用断熱材であって、
    前記柱状体が隣接間で互いに複数の綿糸の縫目、又は天然接着のりの接合で区画されて並列して設けられると共に、それぞれの前記柱状体の隣接間に前記籾殻が収納されない前記柱状体の幅より幅狭の溝を有することを特徴とする建築用断熱材。
  2. 請求項1記載の建築用断熱材において、前記収容体が紙からなることを特徴とする建築用断熱材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113727556A (zh) * 2021-08-31 2021-11-30 成都建工第七建筑工程有限公司 一种盒体安装结构

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