JP3116125B2 - 軟磁性薄膜の製造方法 - Google Patents

軟磁性薄膜の製造方法

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JP3116125B2 JP05149936A JP14993693A JP3116125B2 JP 3116125 B2 JP3116125 B2 JP 3116125B2 JP 05149936 A JP05149936 A JP 05149936A JP 14993693 A JP14993693 A JP 14993693A JP 3116125 B2 JP3116125 B2 JP 3116125B2
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俊一 吉村
弘 北沢
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Totoku Electric Co Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、軟磁性薄膜の製造方
法に関し、さらに詳しくは、小さい保磁力と高い角型比
をもつ軟磁性薄膜を得ることが出来る軟磁性薄膜の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】小さい保磁力と高い角型比をもつ軟磁性
薄膜は、メモリデバイスやセンサの材料として有用であ
り、鉄・ニッケル合金(パーマロイ)の軟磁性薄膜が良
く知られている。かかる鉄・ニッケル合金の軟磁性薄膜
の製造方法としては、蒸着法,スパッタ法,無電解めっ
き法,電気めっき法が知られているが、経済的な観点か
らは、電気めっき法が最も有利である。
【0003】電気めっき法による従来の鉄・ニッケル合
金の軟磁性薄膜の製造方法では、成分金属および微量添
加剤を溶解しためっき液中に導体をディップし、通電す
るものである。例えば、鉄・ニッケル合金薄膜を製造す
る場合は、鉄,ニッケルおよびラウリル硫酸ナトリウム
やサッカリンを溶解しためっき液中に導体をディップ
し、通電している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電気めっき法による従
来の鉄・ニッケル合金の軟磁性薄膜の製造方法では、ラ
ウリル硫酸ナトリウムやサッカリンのような微量添加剤
の濃度が鉄・ニッケル合金の組成に大きな影響を与える
ため、微量添加剤の濃度管理を厳しくしないと、特性の
バラツキが大きくなり、好ましい特性の軟磁性薄膜を安
定して得られない問題点がある。そこで、この発明の目
的は、好ましい特性の軟磁性薄膜を容易に安定して得る
ことが出来る軟磁性薄膜の製造方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の観点では、この発
は、鉄とニッケルとを電気めっきにより導体上へ一層
が50nm以下の厚さで,交互に析出して多層薄膜を形
成し、この多層薄膜に熱処理を施すことにより熱拡散せ
しめ電着応力を緩和し、導体上に鉄・ニッケル合金の軟
磁性薄膜を製造する軟磁性薄膜の製造方法であって、
処理温度T〔K〕と熱処理時間S〔sec〕の関係を、300≦T−273≦800 −9.78≦log{S}−8.33×1000/T≦−7.56 とすることを特徴とする軟磁性薄膜の製造方法を提供す
第2の観点では、この発明は、上記構成の軟磁性薄
膜の製造方法において、熱処理温度T〔K〕が873以
上、1073以下であり、且つ、熱処理時間S〔sec〕
が0.08以上、1.6以下であることを特徴とする軟磁
性薄膜の製造方法を提供する。
【0006】
【作用】この発明の軟磁性薄膜の製造方法では、鉄およ
微量添加剤を溶解した鉄めっき液と,ニッケルおよび
微量添加剤を溶解したニッケルめっき液とを用意し、そ
れらめっき液を用い、めっき時間により一層の厚さを5
0nm以下に制御して、交互に導体上に析出して多層薄
膜を形成する。そして、この多層薄膜に300〜800
℃の温度で熱処理を施すことにより熱拡散せしめ電着応
力を緩和し、軟磁性薄膜を製造する。そこで、軟磁性薄
膜の組成への各めっき液での微量添加剤の濃度の影響が
小さくなるため、好ましい特性の軟磁性薄膜を容易に安
定して得ることが出来るようになる。
【0007】なお、一層の厚さが50nmより厚いと、
好ましい高角型比のヒステリシス特性が得られない。ま
た、熱処理温度が300℃より低いと熱拡散が十分でな
く、800℃より高いと結晶粒の増大を生じて、好まし
い高角型比のヒステリシス特性が得られない。
【0008】ここで、熱処理温度T〔K〕と熱処理時間
〔sec〕の関係を、 −9.78≦log{S}−8.33×1000/T≦−7.56 とするので、保磁力15Oe以下,角型比70%以上の
軟磁性薄膜を好適に製造することが出来る。また、熱処
理温度T〔K〕を873以上、1073以下とし、且
つ、熱処理時間S〔sec〕を0.08以上、1.6以下と
すれば、極めて短時間に熱処理を済ませることが出来
る。
【0009】
【実施例】以下、図に示す実施例によりこの発明をさら
に詳細に説明する。なお、これによりこの発明が限定さ
れるものではない。図1は、この発明の鉄・ニッケル合
金の軟磁性薄膜の製造方法のフロー図である。ステップ
1では、導体の表面に前処理を施し、鉄・ニッケル合金
の軟磁性薄膜の製造に適した表面にする。なお、導体
は、例えば銅線,多結晶銅板,セラミック板上に銅薄膜
をスパッタや無電解めっきしたもの等が挙げられる。
【0010】ステップ2では、鉄めっき液(硫酸第一鉄
と塩化第一鉄の混合液,PH=3,25℃)中に導体を
ディップし、陽極は白金被覆チタン電極を用い、電流密
度50mA/平方cmで所定時間だけ通電して、厚さ5
〜50nmの鉄層を形成する。ステップ3では、ニッケ
ルめっき液(硫酸ニッケルと塩化ニッケルの混合液,P
H=4,25℃)中に導体をディップし、陽極は白金被
覆チタン電極を用い、電流密度50mA/平方cmで所
定時間だけ通電して、厚さ5〜50nmのニッケル層を
形成する。なお、上記ステップ2,3でのめっき時間を
調整して、鉄層とニッケル層の厚さの比が1:1になる
ようにする。また、上記ステップ2,3はバッチ方式を
想定したが、シャワー方式,連続液槽方式などの他の方
式を用いて電気めっきを施してもよい。ステップ4で
は、鉄層とニッケル層の合計が10層になるまで、上記
ステップ2,3を繰り返す。図2に、鉄層とニッケル層
の合計が10層になったときの断面図を示す。
【0011】図1に戻り、ステップ5では、水素ガス雰
囲気中で,鉄とニッケルの多層薄膜に300〜800℃
の温度で熱処理を施す。これにより鉄とニッケルが相互
に熱拡散し、電着応力が緩和され、小さい保磁力と高い
角型ヒステリシス特性をもつ鉄・ニッケル合金の軟磁性
薄膜が得られる。図3に、熱処理温度400℃,熱処理
時間7200sec (2時間)とした場合の鉄・ニッケル
合金の軟磁性薄膜の断面図を示す。図3中に破線で示す
ように鉄層とニッケル層との境界近傍で熱拡散が起こっ
ている。但し、多層薄膜全体には及んでいない。この状
態で最も好ましい特性が得られる。図4に、熱処理温度
800℃,熱処理時間7200sec (2時間)とした場
合の鉄・ニッケル合金の軟磁性薄膜の断面図を示す。熱
拡散が過剰に進んだ状態となり、好ましい特性が得られ
なくなる。
【0012】図5は、熱処理温度と角型比の特性図であ
る。熱処理時間は7200sec (2時間)、一層の厚さ
は10nm,50nm,100nm,500nm,10
00nmである。一層の厚さが10nm,50nmの場
合には、約450℃以下の熱処理温度で70%以上の角
型比が得られている。一方、一層の厚さが100nm,
500nm,1000nmの場合には、どのようにして
も70%以上の角型比が得られていない。従って、一層
の厚さを50nm以下にすべきことが判る。
【0013】図6は、熱処理温度と保磁力の特性図であ
る。熱処理時間は7200sec (2時間)、一層の厚さ
は10nmである。約340℃〜460℃の熱処理温度
で、15Oe以下の保磁力が得られている。
【0014】図7は、好ましい特性(保磁力15Oe以
下,角型比70%以上)が得られた場合の熱処理温度と
熱処理時間のデータである。図8は、図7のデータを基
に作成したグラフであり、好ましい特性(保磁力15O
e以下,角型比70%以上)が得られる熱処理温度と熱
処理時間の範囲を斜線で示している。この斜線の範囲を
条件式で示すと、熱処理温度をT〔K〕,熱処理時間を
S〔sec〕として、 300≦T−273≦800 −9.78≦log{S}−8.33×1000/T≦−7.56 となる。
【0015】以上のように、鉄とニッケルとを電気めっ
きにより導体上へ一層が50nm以下の厚さで交互に析
出して多層薄膜を形成し、この多層薄膜に300℃〜8
00℃の温度で熱処理を施したときに、小さい保磁力と
高い角型ヒステリシス特性をもつ軟磁性薄膜を得ること
が出来る。
【0016】
【発明の効果】この発明の軟磁性薄膜の製造方法によれ
ば、小さい保磁力と高い角型ヒステリシス特性をもつ軟
磁性薄膜を、容易に安定して得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の鉄・ニッケル合金の軟磁
性薄膜の製造方法のフロー図である。
【図2】鉄とニッケルの多層薄膜の構造を示す断面図で
ある。
【図3】鉄とニッケルの多層薄膜を温度400℃で2時
間の熱処理をしたときの構造を示す断面図である。
【図4】鉄とニッケルの多層薄膜を温度800℃で2時
間の熱処理をしたときの構造を示す断面図である。
【図5】熱処理温度と角型比の特性図である。
【図6】熱処理温度と保磁力の特性図である。
【図7】好ましい特性が得られた場合の熱処理温度と熱
処理時間の図表である。
【図8】図7のデータを基に作成した特性図である。
【符号の説明】
1 前処理 2 鉄めっき処理 3 ニッケルめっき処理 5 熱処理
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 41/26 C25D 5/12 G11B 5/31 H01F 10/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄とニッケルとを電気めっきにより導体
    上へ一層が50nm以下の厚さで,交互に析出して多層
    薄膜を形成し、この多層薄膜に熱処理を施すことにより
    熱拡散せしめ電着応力を緩和し、導体上に鉄・ニッケル
    合金の軟磁性薄膜を製造する軟磁性薄膜の製造方法であ
    って、熱処理温度T〔K〕と熱処理時間S〔sec〕の関係
    を、 300≦T−273≦800 −9.78≦log{S}−8.33×1000/T≦−7.56 とする ことを特徴とする軟磁性薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の軟磁性薄膜の製造方法
    において、熱処理温度T〔K〕が873以上、1073
    以下であり、且つ、熱処理時間S〔sec〕が0.08以
    上、1.6以下であることを特徴とする軟磁性薄膜の製
    造方法。
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