JP3116066B2 - 付着性動物細胞の増殖のための細胞培養方法および培地 - Google Patents

付着性動物細胞の増殖のための細胞培養方法および培地

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JP3116066B2 JP05505023A JP50502393A JP3116066B2 JP 3116066 B2 JP3116066 B2 JP 3116066B2 JP 05505023 A JP05505023 A JP 05505023A JP 50502393 A JP50502393 A JP 50502393A JP 3116066 B2 JP3116066 B2 JP 3116066B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は動物細胞培養における改良、特に動物細胞を
増殖させる方法およびその栄養培地の改良に関する。
発明の背景 細胞生成物、例えば免疫グロブリン、ホルモン、酵素
および他の有用な生物学的活性物質の大量生産のために
動物細胞培養を使用することは、産業的見地からますま
す重要となってきており、現在、これらの物質の大量生
産に最適な細胞培養技術の開発に大きな努力が払われて
いる。
現在、動物細胞の大量培養のために選択される一般的
方法は、撹拌栄養培地中で浮遊細胞を増殖させるもので
ある。細胞増殖のために選択される培地は、細胞の種類
により異なることが予想されるであろうが、一般には、
塩、糖類、アミノ酸およびビタミンの基本的栄養混合物
を含むであろう。基本的混合物には、生物学的液体また
は抽出物、例えば血清を補充することが出来る。血清が
なければ殆どの細胞は生育力を失うか、または増殖しな
い。また、補充物を含まない培地を用いることもできる
が、それは、一般にはアミノ酸、塩、ビタミン、微量元
素、炭水化物およびインシュリン、グルタミン、トラン
スフェリンおよびエタノールアミン等の他の増殖支持成
分の複雑な混合物を含んでいる。かような培地で培養す
るとき、動物細胞は、培地中の1つまたは2つの以上の
必須栄養物が枯渇するまでの限られた期間、生育を維持
することができる。そのような時、1つまたは2つ以上
のエネルギー源および1つまたは2つ以上のアミノ酸を
含む供給物を培地に補充することができる(例えば国際
特許出願第WO87/00195号明細書参照)。このようにし
て、培養を延長して、細胞または細胞生成物の収量を増
すことができる。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は大量培養
に広く用いられている。これらの細胞は慣用的には付着
培養物として増殖させられてきたが、又、撹拌タンクお
よびエァーリフトバイオリアクター中で、比較的簡単に
スケールアップさせることができる特性のある、浮遊状
態でも増殖するであろう。残念ながら、浮遊増殖に適応
させた、いくつかのCHO由来系は、培養時に大きい堅く
結合した凝集塊を形成し得る。CHOおよび他の細胞系に
ついて、凝集塊としての細胞培養は既に記述されてお
り、実際、細胞沈降に基づく細胞再循環リアクターのい
くつかで有利に用いられてきた(例えば、Brown,P.C.
ら、(1991)、Production of Biologicals from A
nimal Cells in Culture、R.E.Spier,J.B.Griffiths
& B.Megnier編、Butterworth Heinemann、Oxfor
d、U.K.、416−420ページ;Goetghrlrud,S.E.&Wei−Sho
u Hu、同書、423−427ページ;Litwin,J.、同書、429−
433ページ参照)。しかし浮遊バッチ培養では、細胞の
凝集は正確な細胞数測定、細胞環境のモニターおよび制
御を妨げ、さらに、細胞への栄養物の移送や細胞からの
生成物の輸送を妨げることがある。
培養時の細胞凝集の問題を解決するために提唱された
アプローチの1つは、カルシウムイオン濃度を下げた培
地を利用するものである(欧州特許第343635号明細書参
照)。しかし、カルシウムイオンは細胞付着以外の細胞
機能のために必要とされ、したがって細胞増殖および生
育に悪影響を及ぼすので、この方法は特に満足できると
いうものではない。
発明の要約 本発明者らは、培地中に存在する総無機イオンおよび
総アミノ酸のモル比を制御することにより、CHO由来細
胞系培地における細胞凝集を排除できることを見いだし
た。我々はこの方法を用いて、付着性動物細胞の浮遊培
養のための一般的手段を開発した。これは操作が容易
で、低濃度のカルシウムイオンを含む培地を用いる必要
性を避けるという有利性がある。
したがって、本発明の一特徴によれば、我々は付着性
動物細胞を培養するための方法であって、該方法におい
て付着性動物細胞が培養容器に入れた栄養培地で浮遊状
態で培養される、付着性動物細胞の培養方法において、
該栄養培地中の総無機イオンおよび総アミノ酸のモル比
が、殆どまたは全く細胞凝集を起こさない水準に維持さ
れていることを特徴とする付着性動物細胞を培養するた
めの方法を提供する。
発明の詳細な説明 本発明の方法では、栄養培地中の総無機イオンおよび
総アミノ酸のモル比は、一般に、培養の過程において培
地中に細胞凝集が全く起らず、すべての細胞が単一細胞
として存在するか、または、細胞凝集はいくらか起こる
が、10個以下の細胞を含む塊として存在するモル比とす
る。
本発明の方法にしたがって用いられる、総無機イオン
およびアミノ酸の正確なモル比は、用いる細胞系および
存在する他の培地成分により異なることがあるというこ
とが理解されるであろう。しかし一般に、既知の培地の
対応する比と比べた場合、無機イオン対アミノ酸のモル
比は実質的に低いものであろう。したがって、例えば、
既知の培地の比が約15:1から約40:1の範囲(例えば、以
下の表1に挙げた培地およびR.G.Ham及びW.L.McKeeha
n、Methods in Enzymology)、(1979)、LVIII、44
−93ページ参照)であるのに対し、本発明の方法では、
その比を約10:1から約1:1、特に約5:1から約1:1、例え
ば、4.5:1から2:1の範囲に減少させることができる。
本明細書中で用いられる、総無機イオンおよび総アミ
ノ酸のモル比という用語は、一定の容積中の無機イオン
のモル数対同じ容積中のアミノ酸のモル数の比を意味す
ることを意図する。無機イオンが意味するものは、一般
に培養培地に加えられる基本無機イオン(bulk inorga
nic ions)を指し、例えば、カルシウム、マグネシウ
ム、カリウム、ナトリウム、塩化物、硝酸塩、リン酸塩
および硫酸塩イオンが含まれる。一般に培養培地に加え
られる他の微量無機イオン、例えば鉄、亜鉛およびセレ
ニウムイオンは、基本イオンより通常ずっと低いモル濃
度で用いられ、この濃度において本発明の背景において
は、細胞凝集に殆どまたは全く影響を及ぼさない。アミ
ノ酸という用語は、一般的に培養培地に加えられる必須
アミノ酸を意味することを意図し、例えば、アルギニ
ン、システイン、シスチン、グルタミン、ヒスチジン、
イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニ
ルアラニン、スレオニン、トリプトファン、チロシンお
よびバリン並びに一般に培養培地に使用される非必須ア
ミノ酸、例えばアラニン、アスパラギン、アスパルテー
ト、グルタメート、グリシン、プロリンおよびセリンを
含む。
一般に、本発明の方法において無機イオンおよびアミ
ノ酸の所望のモル比を達成するために、ナトリウムおよ
び塩化物イオン並びにアミノ酸のモル数が好ましく調節
され、一方、他の基本無機イオン、特にカルシウムイオ
ンは培養培地に通常用いられる量に維持される(例え
ば、以下の表1およびR.G.Ham及びW.L.Mckeehan前掲書
参照)。したがって、慣用的な細胞培養方法と対照的
に、本発明の方法は、慣用的な方法で用いられる既知の
培地よりも低いモル数のナトリウムおよび塩化物イオン
並びに高いモル数のアミノ酸を含む培地を用いて実施さ
れる。したがって、例えば本発明の方法における培地中
の総ナトリウムイオン濃度は75から120mMの範囲で、特
に90から115mMの範囲であってもよく、総塩化物イオン
濃度は50から90mM、例えば60から80mMの範囲であっても
よく、一方、総アミノ酸濃度は20から50mMの範囲であっ
てもよい。正確なナトリウム、塩化物およびアミノ酸モ
ル濃度は、総無機イオンおよび総アミノ酸の前述の比に
従うという条件で、用いられる細胞系に合わせて上記範
囲内で選択し得るということは理解できよう。
本発明の方法で使用される培地は新規で、さらに本発
明の別の特徴をなすものである。それゆえ本発明の別の
特徴にしたがって、我々は付着性動物細胞の浮遊培養に
使用するための栄養培地であって、資化性炭素源、窒
素、アミノ酸、無機イオン、微量元素並びに任意に脂質
および成長促進物質または調整物質を混合状態で含む栄
養培地において、該培地中に存在する総無機イオンおよ
び総アミノ酸のモル比が、約10:1から約1:1の範囲にあ
ることを特徴とする付着性動物細胞の浮遊培養に使用す
るための栄養培地を提供する。
本発明の好ましい培地では、総無機イオンおよび総ア
ミノ酸のモル比は、約5対1から約1対1の範囲、特に
4.5対1から2対1の範囲にあってもよい。
本発明の培地では、総ナトリウムおよび塩化物イオン
濃度並びにアミノ酸濃度は好ましくは本発明の方法に関
して上記に述べたようなものであってもよい。
一般に、当該培地は、生物学的液体または抽出物が補
充された、既知のいかなる基本培地またはその変更培地
で、またはそのような補充物を含まない、いかなる複合
培地であってもよく、その培地の総無機イオンおよび総
アミノ酸のモル比は、約10対1から約1対1の範囲にあ
るように調節される。そのような培地は、慣用的な方法
を用いて、個々の成分を適切に混合することにより調製
してもよく、さらに、液体の形状において、または使用
前に適切な緩衝液、例えば重炭酸塩緩衝液で再構成する
ように乾燥した形状において提供してもよい。本発明に
したがって使用する適切な培地は、慣用的な方法にした
がって予備的な小規模試験を用いて決定してもよい。し
たがって、例えば、総無機イオンおよび総アミノ酸の適
切なモル比は、総無機イオンおよび総アミノ酸濃度のあ
る範囲に渡って、細胞を培養することにより得られる細
胞凝集の程度を観察することによって(例えば、以下の
実施例に記載するように顕微鏡的測定を用いて)、いず
れの細胞の種類について決定してもよい。
本発明の方法および培地は、いずれの付着性動物細胞
の培養について用いてもよい。細胞は、例えば、自然に
生じる細胞でも、遺伝子工学的につくられた細胞でも、
リンパ球、例えばミエローマ細胞でも、またはハイブリ
ドーマもしくは他の融合細胞でもよい。哺乳類細胞が特
に好ましい。特別な種類の細胞には、ヒト、ラット、マ
ウスまたはハムスター起源の細胞が含まれる。本発明の
方法および培地は、CHO由来組み換え細胞系を含むチャ
イニーズハムスター卵巣細胞(以降CHO細胞と呼ぶ)で
使用するのが特に適切である。
本発明の方法および培地は、付着性動物細胞を培養
し、動物細胞生成物を得るために用いてもよい。したが
って、本発明の別の特徴により、我々は、細胞培養によ
って動物細胞生成物を得るための方法であって、(1)
培養容器に入れた栄養培地中で浮遊状態で前記生成物を
産生する付着性動物細胞を培養し、(2)前記生成物が
蓄積するまで培養を続け、さらに(3)前記生成物を回
収する工程を含む動物細胞生成物を得るための方法にお
いて、栄養培地中の総無機イオンおよび総アミノ酸のモ
ル比が、殆どまたは全く細胞凝集を起こさない水準に維
持されていることを特徴とする、細胞培養によって動物
細胞の生成物を得るための方法を提供する。
本発明にしたがって得ることができる細胞生成物は、
培養動物細胞により産生されるいかなる生成物をも含
む。代表的な生成物には、ポリペプチドおよび蛋白、例
えばモノクローナル抗体および組み換え抗体並びにその
フラグメント等の免疫グロブリン、エリスロポイエチン
および成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン等のホル
モン、インターフェロン等のリンホカイン、例えばイン
ターロイキン1およびインターロイキン2等のインター
ロイキン、ティシュプラスミノーゲンアクティベーター
等の産業上および治療上有用な酵素および金属プロテイ
ナーゼのティシュインヒビター等の酵素インヒビターが
含まれる。本発明の方法では、動物細胞は一般に適切な
培養容器、例えば撹拌タンクまたはエァーリフトファー
メンター中において、栄養培地中に浮遊状態で既知の培
養技術を用いて培養することができる。
したがって、例えば、慣用的な技術により得られる適
切な細胞の種培養を栄養培地の接種に用いてもよい。一
般には、接種に用いる細胞数は、1×105から5×105ml
-1以下の範囲にあるであろう。それから、所望の細胞濃
度に達するまで、および/または十分な生成物が蓄積す
るまで細胞を培養する。
所望の場合には1つまたは2つ以上のアミノ酸、エネ
ルギー源および他の栄養物を、培養中に例えば濃厚供給
物の一部分として、または個別に、慣用的な方法に従
い、加えてもよいが、もちろん、総無機イオンおよび総
アミノ酸のモル比は、細胞凝集を防ぐのに十分な範囲内
に維持されていることを条件とする。
培養中の所望生成物の産生は、対象となる特定の生成
物に適したアッセーのいずれかを用いてモニターしても
よい。したがって、例えば、生成物がポリペプチドまた
は蛋白である場合は、この生成は、特定のポリペプチド
または蛋白と使用するために調製した酵素結合免疫吸収
アッセーまたは免疫放射能測定アッセー等の一般的なア
ッセー技術によってモニターしてもよい。
本発明の方法において、得られた細胞生成物の分離を
望む場合は、慣用的な分離および精製技術を用いて、こ
れを達成してもよい。したがって、例えば、生成物が細
胞により培地中に分泌される場合は、遠心沈殿および濾
過等の技術を用いて細胞から分離してもよく、その後さ
らに、例えばアフィニティークロマトグラフィー等のア
フィニティー精製技術を用いて精製できる。細胞が生成
物を分泌しない場合でも上記の方法を用いることができ
るが、まず最初に細胞を溶解させて生成物を遊離させな
ければならない。
図面の簡単な説明 これから本発明を添付図面を参照して下記の実施例に
おいて説明のためのみに記載する。
図1は、ダルベッコー修正イーグル培養液(Dulbecc
o's Modification of Eagle's medium)(DMEM)を
基にした浮遊培地中でのCHO由来組み換え細胞系11G9の
増殖曲線を示すグラフである。
図2は、低塩、高アミノ酸浮遊培地中でのCHO由来組
み換え細胞系11G9の増殖曲線を示すグラフである。
図3は、ダルベッコー修正イーグル培地(DMEM)を基
にした浮遊培地中でのCHO由来組み換え細胞系11G9の培
養の時間経過における、単一細胞および異なるサイズの
細胞凝集塊分布を示す。
図4は、低塩、高アミノ酸浮遊培地中でのCHO由来組
み換え細胞系11G9の培養の時間経過における、単一細胞
および異なるサイズの細胞凝集塊分布を示す。
図5は、ダルベッコー修正イーグル培地(DMEM)を基
にした浮遊培地中でCHO由来組み換え細胞系11G9を培養
したときの種々の時間点における、細胞および細胞凝集
塊の頻度の百分率を示す。
図6は、低塩、高アミノ酸浮遊培地中でCHO由来組み
換え細胞系11G9を培養したときの種々の時間点におけ
る、細胞および細胞凝集塊の頻度の百分率を示す。
特定の実施態様の記載 実施例 用いられた細胞系、11G9は、CHO由来組み換え細胞系
で、キメラIgG抗体の重鎖および軽鎖をエンコードする
各遺伝子を1コピーずつ含んでいた(Field,R.P.ら、Pr
oduction of Biologicals from Animal Cells in
Culture,同上著、742−744ページ)。この系は慣用の
組成の培地で培養するとき、大きい凝集塊を形成するこ
とが観察されている。
培養は6リットルの実働容積で撹拌バイオリアクター
中で行った。培養温度は36.5℃に維持され、溶解酸素圧
は空気または酸素をそれぞれ自動注入して、バラストガ
スとして窒素または空気を散布することにより15−20%
飽和空気に維持され、pHは散布ガス混合物中にCO2を自
動注入して、またはモルのNaOHを培養中に自動注入して
7.0−7.2に維持された。総ガス散布率は、1分間に1容
につき0.15容までであり、撹拌チップの速度は45cm/sで
あった。
2種の基本組成物を調べた。第一は、ダルベッコー修
正イーグル培地(DMEM)由来基本培地で、CHO細胞の特
定な栄養要求に応えるために、グルタミン酸の代わりに
グルタミンが代用されており、さらに他の多くのアミノ
酸の濃度が高められた。第二はCHO浮遊増殖用に特別に
開発された同様な基本培地(以下CHO浮遊培地と呼ぶ)
であったが、慣用の培地と比較して、これのナトリウム
および塩化物イオン濃度は低く、アミノ酸濃度は高くな
っている(下記表1参照。ここでは他の4種の標準培地
の無機イオンおよびアミノ酸組成も示されている。)。
両方の例で、カルシウムイオン濃度は、標準培地に見ら
れる水準辺りに維持された。
バイオマス濃度および細胞凝集の程度の概算は、以下
のようにいくつかの方法により行った。
細胞は、血球計算器を用いて顕微鏡で計数した。トリ
パンブルー染色除外により生存度を判定した。10細胞よ
り多い凝集塊では計数が不可能であったので、目盛り付
きマイクロメーターアイピースを用いて凝集直径を概算
した(4つの測定値の平均値)。凝集容積は4/3×3.142
×r3として計算したが、ここでrは凝集半径である。細
胞をトリプシン処理して凝集塊を単一細胞に分散した後
にも、生存細胞および総青色細胞の計数を行った。
核の計数は、0.1%(w/v)クリスタルバイオレット染
色液含有0.1Mクエン酸で細胞溶解後に顕微鏡下で行っ
た。この方法により、トリプシン処理後トリパンブルー
で得れられた。
遠心沈殿細胞体積(PCV)を測定した。細胞を培養サ
ンプルから遠心沈殿により沈降させてから、細胞ペレッ
トを目盛り付き毛細管に移し、一定体積になるまで遠心
沈殿により沈降させた。
これら種々の測定から、以下のように平均細胞体積値
を計算することができた。
平均細胞体積= 遠心沈殿細胞体積/クリスタルバイオレット数 さらに、寸法を測定した凝集塊の細胞数は以下のよう
に計算した。
細胞数=凝集体積/平均細胞体積 したがって、これら顕微鏡的および物理的測定から、
ファーメンター培養での経過時間にしたがって凝集塊寸
法の分布分析を行うことが可能であった。
凝集塊の寸法分布の分析とともにバイオマス濃度も、
コールターマルチサイザー(Coulter Multisizer)II
(Coulter Electronics Ltd.,Luton,Beds,UK)を用い
て測定した。
結果 トリパンブルー計数に基づく生存度の概算とともに核
計数およびPCVにより測定された、DMEMを基とする培地
およびCHO浮遊培地における細胞増殖曲線が図1および
図2にそれぞれ示される。
顕微鏡的測定による、培養の時間経過における凝集程
度の分析は図3および4に示される。これらのプロット
は、トリパンブルー染色計数により得られた増殖曲線を
表している(単一細胞および10細胞までの凝集は直接計
数;10細胞より多い凝集塊については凝集塊当たりの計
算による細胞概数)。各プロットは面積によって分けら
れ、単一細胞および種々の寸法の凝集塊として集団分布
を示している。DMEMを基とする培地では、凝集はよく目
につき、培養の時間経過にしたがって増加した。計算で
は229個までの細胞を含む直径86μMの大きさの凝集塊
が認められた。対照的に、低塩/高アミノ酸CHO浮遊培
地では、大半の細胞は単一細胞か、またはわずか2−3
細胞の凝集塊であった。凝集塊の寸法が10細胞に近づく
かまたは10細胞を越えることはめったになかった。
コールターマルチサイザーを用いて行った分析はこれ
らの観察を裏付けた。図5aは、接種後99時間で、細胞濃
度がおよそ1×106/mLのときのDMEMを基とする培地での
培養における細胞および種々の寸法の凝集塊の頻度百分
率を示している。
粒子の大半は単一細胞(直径13−14μMは、PCVの測
定から計算して得た平均細胞直径の概数とよく一致す
る)から成るが、分布は右に歪んでおり、比較的大きい
細胞凝集塊が少ないことを示している。この分布を体積
で表すと(図5b)、全バイオマスの大部分は単一細胞よ
りむしろ凝集塊として存在することが明らかとなる。培
養時間が経過するにつれ(図5cおよび図5d)、細胞凝集
塊は、大半のバイオマスが大きい凝集塊となるまで、細
胞濃度の増加とともに増加する。図6は、低塩/高アミ
ノ酸CHO浮遊培地中で増殖された培養物の分析の時間経
過を示す。85時間における直径に対する細胞数の分析に
より、分布における歪みが比較的わずかで単一細胞が優
勢であることが示されている(図6a)。これはバイオの
体積分析により立証され(図6b)、このバイオマスの大
半は単一細胞として存在する。実際、85時間に存在する
凝集塊は、おそらくフラスコ増殖接種細胞に由来するも
のであった。なぜならば、図6cおよび6dを通して時間経
過を追ってみると、これらの凝集塊は消失し、ほとんど
すべてのバイオマスは単一細胞として出現しているから
である。
上記の実験を、上記の低塩/高アミノ酸浮遊培地と同
様な培地で繰り返したが、この例では、培地は、104mM
の総ナトリウムイオン、74mMの総塩化物イオン、1.0mM
の総カルシウムイオン、99mMの総無機イオン、23mMの総
アミノ酸イオンを含み、イオン:アミノ酸比は4.3であ
った。この培地でも、細胞凝集塊は消失し、前のよう
に、ほとんどすべてのバイオマスは単一細胞として出現
する。
結論 慣用の培地では、培養CHO由来細胞系は自然に凝集
し、DMEMを基とする培地に関して上記に示したように大
きな細胞塊を形成する。この凝集は低塩/高アミノ酸培
地を用いることにより排除することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 5/00 WPI(DIALOG) BIOSIS(DIALOG)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】付着性動物細胞を培養するための方法であ
    って、該方法において付着性動物細胞が培養容器に入れ
    た栄養培地で浮遊状態で培養される、付着性動物細胞の
    培養方法において、該栄養培地中の総無機イオンおよび
    総アミノ酸のモル比が、殆どまたは全く細胞凝集を起こ
    さない水準に維持され、前記栄養培地中の総無機イオン
    および総アミノ酸のモル比が、約10:1から約1:1の範囲
    内であることを特徴とする付着性動物細胞を培養するた
    めの方法。
  2. 【請求項2】栄養培地中の総無機イオンおよび総アミノ
    酸のモル比が、総ナトリウムイオン濃度を75から120mM
    の範囲内に、総塩化物イオン濃度を50から90mMの範囲内
    に、さらに総アミノ酸含量を20から50mMの範囲内に調節
    することによって達成される請求の範囲第1項に記載の
    方法。
  3. 【請求項3】該付着性動物細胞が哺乳類細胞である先行
    する請求の範囲第1項〜第2項のいずれか1項に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】該哺乳類細胞がヒト、ラット、マウスまた
    はハムスター起源である請求の範囲第3項に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】該哺乳類細胞がチャイニーズハムスター卵
    巣細胞である請求の範囲第3項に記載の方法。
  6. 【請求項6】付着性動物細胞の浮遊培養に使用するため
    の栄養培地であって、資化性炭素源、窒素、アミノ酸、
    無機イオン、微量元素並びに任意に脂質および成長促進
    物質または調整物質を混合状態で含む栄養培地におい
    て、該培地中に存在する総無機イオンおよび総アミノ酸
    のモル比が、約10:1から約1:1の範囲にあることを特徴
    とする付着性動物細胞の浮遊培養に使用するための栄養
    培地。
  7. 【請求項7】総無機イオンおよび総アミノ酸のモル比
    が、約5:1から約1:1の範囲にある請求の範囲第6項に記
    載の栄養培地。
  8. 【請求項8】総ナトリウムイオン濃度が75から120mMの
    範囲内にあり、総塩化物イオン濃度が50から90mMの範囲
    内にあり、さらに総アミノ酸濃度が20から50mMの範囲内
    にある請求の範囲第6項または第7項に記載の栄養培
    地。
  9. 【請求項9】細胞培養によって動物細胞生成物を得るた
    めの方法であって、(1)培養容器に入れた栄養培地中
    で浮遊状態で前記生成物を産生する付着性動物細胞を培
    養し、(2)前記生成物が蓄積するまで培養を続け、さ
    らに(3)前記生成物を回収する工程を含む動物細胞生
    成物を得るための方法において、栄養培地中の総無機イ
    オンおよび総アミノ酸のモル比が、殆どまたは全く細胞
    凝集を起こさない水準に維持され、前記栄養培地中の総
    無機イオンおよび総アミノ酸のモル比が、約10:1から約
    1:1の範囲内であることを特徴とする、細胞培養によっ
    て動物細胞の生成物を得るための方法。
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