JP3112005B2 - 受信モニタ装置 - Google Patents

受信モニタ装置

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JP3112005B2
JP3112005B2 JP37392498A JP37392498A JP3112005B2 JP 3112005 B2 JP3112005 B2 JP 3112005B2 JP 37392498 A JP37392498 A JP 37392498A JP 37392498 A JP37392498 A JP 37392498A JP 3112005 B2 JP3112005 B2 JP 3112005B2
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  • Monitoring And Testing Of Transmission In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、受信モニタ装置
に係り、詳しくは、実空間に存在する様々の電波の中か
ら、周波数ホッピング波を抽出するための受信モニタ装
置に関する。
【従来の技術】スペクトラム拡散通信は、通常の帯域よ
りもはるかに広い帯域、例えば100〜1000倍程度
の周波数帯域に搬送波を拡散変調して情報の伝送を行う
通信方式であり、秘話性に優れる他、S/Nが小さくて
も通信が可能となることから、送信電力が節約できるの
で、近年、秘話性が要求される地上通信の分野に加え
て、衛星通信や衛星放送の分野でも使用されている。こ
のスペクトラム拡散通信は、搬送波を拡散変調する態様
によって何種類かの方式が存在し、その1つとして、周
波数ホッピング(FH:frequency hopping)変調方式
という拡散変調方式が知られている。この周波数ホッピ
ング変調方式では、所定の周波数帯域を一定の周波数間
隔で細分化して多数の周波数チャネルを形成し、PN符
号(疑似雑音符号)に応じて、搬送波をある周波数チャ
ネルから別の不特定の周波数チャネルに、ランダムに、
かつ、次々とホップ(変化)させることにより情報の伝
送が行われ、ランダムにホップする搬送波は、周波数ホ
ッピング波(以下、FH通信波ともいう)と呼ばれる。
【0002】ところで、各種電波形式の電波が伝搬する
電波環境(実空間)の下で、広帯域に拡散して存在する
FH通信波のみを分離・抽出するための従来装置として
は、例えば、特願平06−246281号で開示された
受信モニタ装置が存在する。図7は、従来の受信モニタ
装置の電気的構成を示すブロック図である。従来の受信
モニタ装置は、同図に示すように、空中線101と、チ
ャネライズド受信方式の高速掃引受信機102と、しき
い値メモリ103と、しきい値比較回路104と、信号
抽出回路105と、カウンタ比較メモリ106と、カウ
ンタ比較器107と、制御部108と、出力部109と
から概略構成されている。
【0003】上記空中線101は、実空間からホッピン
グ波、一般通信波、ノイズ等、各種電波形式の電波を取
り込んで、高速掃引受信機102に供給する。高速掃引
受信機102は、空中線101から供給される電波を、
予め指定された掃引幅、すなわち、スタートチャネルf
の下限周波数からストップチャネルfの上限周波数
までを高速(FH通信波の滞留時間よりも、少なくとも
数倍速く)で掃引して受信する。この掃引受信は、予め
指定された掃引回数だけ、繰り返される。しきい値メモ
リ103は、制御器108により設定された値を記憶す
る。しきい値比較回路104は、高速掃引受信機102
と信号抽出回路105との間に介挿され、ノイズを除去
するため、高速掃引受信機102からの入力信号のう
ち、しきい値メモリ103に記憶されたしきい値以上の
入力信号を有効な受信電波と判断して選択的に出力して
信号抽出回路105に入力する。
【0004】信号抽出回路105は、同図に示すよう
に、しきい値比較回路104に接続された入力切換器
(マルチプレクサ)109と、この入力切換器110に
並列に接続された複数個のカウンタ111-1〜111-n
と、これら複数個のカウンタ111-1〜111-nに接続
された出力切換器(マルチプレクサ)112とから概略
構成され、FH通信波のみを抽出する。信号抽出回路1
05において、入力切換器110は、有効と判断された
受信電波の周波数チャネルf1〜fn別の各信号入力
を、対応するカウンタ111-1〜111-nに出力する。
カウンタ111-1〜111-nは、入力切換器110から
の入力信号のカウントを行う。出力切換器112は、複
数のカウンタ111-1〜111-nのカウント値を時系列
で切り換えて出力する。
【0005】また、カウンタ比較メモリ106は、制御
器108により設定された値を記憶する。カウンタ比較
器107は、カウンタ比較メモリ106に保存された値
と出力切換器112からのカウント値とを比較し、比較
結果を出力する。制御器108は、高速掃引受信機10
2、しきい値メモリ103、入力切換器(マルチプレク
サ)110、出力切換器(マルチプレクサ)112及び
カウンタ比較メモリ106に接続されて、これらの回路
をオペレータの指示に従って制御すると共に、カウンタ
比較器107から比較結果を受け取って、出力部109
に供給する。出力部109は、FH通信波の周波数情報
を出力する。
【0006】次に、上記構成の動作について説明する。
空中線10から供給される電波は、高速掃引受信機10
2において、予め指定された掃引幅、すなわち、スター
トチャネルfの下限周波数からストップチャネルf
の上限周波数までが掃引されて受信される。この掃引受
信は、予め指定された掃引回数だけ、繰り返される。し
きい値メモリ103には、受信電波信号の有効・無効を
判断するしきい値が、予め、オペレータにより制御器1
08を介して記憶されていて、このしきい値は、しきい
値比較回路104に送られる。しきい値比較器104で
は、受信された電波信号のうち、しきい値以下の弱い信
号はノイズと判断されて除去され、一方、しきい値以上
の強い電波は、信号抽出回路105の入力切換器110
に入力される。信号抽出回路105では、入力された電
波信号は、入力切換器110の働きによって、当該電波
信号が属する周波数チャネルに対応したカウンタ111
-1〜111-nの1つに入力される。各カウンタ111-1
〜111-nでは、電波信号が入力される毎に、カウント
値が“1”増加する。これを任意の回数くりかえすと、
各カウンタ111-1〜111-nには、任意時間内に存在
した電波の周波数を高速掃引受信機102が受信した回
数として蓄積される。
【0007】指定時間経過後、出力切換器112より各
カウンタ111-1〜111-nのカウント値を順次出力
し、カウンタ比較値107により、カウンタ比較メモリ
106に、対象FH通信波の通信時間(周波数チャネル
当たりの信号滞留時間)に対応する値として記憶されて
いる設定値と比較する。両者の値が一致した場合、その
カウンタ111に対応する周波数をFH通信波の周波数
として、出力部109より出力する。FH通信波では、
搬送周波数がPN符号(疑似雑音符号)に基づいて、ラ
ンダムにホッピングするが、各周波数チャネルでの滞留
時間(通信時間)は、略一定のある長さに設定されてい
る。もし、FH通信波の滞留時間がランダムであると、
受信側でノイズとの識別が困難になり、また、滞留時間
が短すぎると確実な復調が困難となるからである。これ
に対して、ノイズは、周波数も滞留時間もランダムであ
る。上記従来の受信モニタ装置(図7)は、実空間の中
にノイズや様々の通信波(AM変調波、FM変調波)が
混在している場合でも、比較的単純な処理でFH通信波
を抽出することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の受信モニタ装置にあっては、上記したように、一般
通信波とFH通信波との分離・抽出を、FH通信波の周
波数チャネル当りの通信時間を調べることで行っている
ため、対象とするFH通信波の周波数チャネル当りの通
信時間を前もって知っていなければ、当該FH通信波を
分離・抽出することはできない、という問題があった。
加えて、複数の周波数ホッピング通信ネットワーク(以
下、FH通信ネットワークという)が存在する電波環境
の下で、特定のFH通信ネットワークを分離・抽出でき
ない虞があった。何故なら、上記したように、従来装置
では、FH通信波の周波数チャネル当りの通信時間を調
べることで、FH通信波の分離・抽出を行っているた
め、周波数チャネル当りの通信時間が等しい複数のFH
通信ネットワークが存在する場合には、これらを区別で
きず、同一ネットワークと誤判別してしまうからであ
る。
【0009】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、実空間に存在する様々の電波の中から、FH通
信波の周波数チャネル当りの通信時間が未知であって
も、FH通信波のみを確実に分離・抽出できるだけでな
く、複数のFH通信ネットワークの中から、特定のFH
通信ネットワークを分離・抽出することもできる受信モ
ニタ装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、複数の通信波が混在する電
波環境の下で、複数の通信搬送波周波数を持つ周波数ホ
ッピング波を分離・抽出するための受信モニタ装置に係
り、上記電波環境の下で広帯域に存在する通信波を受信
する受信手段と、所定の離散時間毎に上記受信手段によ
って受信された通信波の周波数を分析する周波数分析手
段と、所定の離散時間毎に上記受信手段によって受信さ
れる通信波のエネルギ強度を分析するエネルギ分析手段
と、上記周波数分析手段及び上記エネルギ分析手段での
分析結果に基いて、上記離散時間毎に分析された受信通
信波の周波数チャネル対エネルギチャネルのマトリック
スデータを作成する信号処理手段と、上記マトリックス
データに基いて、同一の周波数チャネル及び同一のエネ
ルギチャネルの発生回数をカウントするカウンタ手段
と、占有周波数チャネル数のしきい値が記憶設定される
第1のしきい値メモリと、上記カウンタ手段でカウント
された上記発生回数と上記占有周波数チャネル数のしき
い値とを比較し、比較結果に基いて上記周波数ホッピン
グ波を分離・抽出する第1の比較手段とを備えてなるこ
とを特徴としている。
【0011】
【0012】また、請求項記載の発明は、請求項
載の受信モニタ装置に係り、上記周波数分析手段及び上
記エネルギ分析手段を制御して、周波数分解能、周波数
分析帯域、エネルギ強度分析分解能のうち、少なくとも
1つを任意に設定できる制御手段が付加されてなること
を特徴としている。
【0013】また、請求項記載の発明は、請求項1又
は2記載の受信モニタ装置に係り、上記信号処理手段
前段に、分析された周波数とエネルギ強度とに対して、
信号強度の伝搬損失の周波数依存性を考慮して、論理補
正を行う適応制御手段が付加されていることを特徴とし
ている。
【0014】また、請求項記載の発明は、請求項1,
2又は3記載の受信モニタ装置に係り、上記第1のしき
い値メモリには、上記占有周波数チャネル数のしきい値
「1」が設定記憶されると共に、上記第1の比較手段
は、上記カウンタ手段でカウントされた上記発生回数と
上記占有周波数チャネル数のしきい値「1」とを比較し
た結果、上記発生回数が「2」以上であるときは、分析
された受信通信波は、上記周波数ホッピング波であると
判断することを特徴としている。
【0015】また、請求項記載の発明は、請求項1,
2,3又は4記載の受信モニタ装置に係り、エネルギチ
ャネルのしきい値が記憶設定される第2のしきい値メモ
リと、上記マトリックスデータを構成する任意のエネル
ギチャネルと、上記しきい値メモリに記憶設定された上
記エネルギチャネルのしきい値とを比較し、この比較結
果に基づいて、複数の周波数ホッピング通信ネットワー
クの中から特定の周波数ホッピング通信ネットワーク波
を分離・抽出する第2の比較手段とが付加されてなるこ
とを特徴としている。
【0016】また、請求項記載の発明は、請求項
載の受信モニタ装置に係り、上記第2のしきい値メモリ
には、上記エネルギチャネルのしきい値として、分離・
抽出を希望する上記特定の周波数ホッピング波のエネル
ギ強度に対応する値が設定記憶されると共に、上記第2
の比較手段は、上記マトリックスデータを構成する任意
のエネルギチャネルが、設定された上記エネルギチャネ
ルのしきい値と一致又は概略一致するとき、分析された
受信通信波は、上記特定の周波数ホッピングネットワー
クであると判断することを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。 ◇第1の実施の形態 図1は、この発明の第1の実施の形態である受信モニタ
装置の電気的構成を示すブロック図、図2は、同受信モ
ニタ装置の主要部を構成する信号分離・抽出回路の具体
的構成を示すブロック図、図3は、同受信モニタ装置の
動作処理手順を示すフローチャート、また、図4は、同
受信モニタ装置の動作説明に用いられる説明図である。
この形態の受信モニタ装置は、実空間に存在する様々な
電波の中から、スペクトラム拡散通信中の周波数ホッピ
ング波(FM通信波)を抽出し、抽出した結果を表示・
記録する装置に係り、図1に示すように、広帯域に存在
する実空間の様々の電波を受信する空中線(受信アンテ
ナ)1と、受信機2と、受信された様々な電波の中か
ら、スペクトラム拡散通信中の周波数ホッピング波(F
M通信波)を抽出するための信号分離・抽出回路3と、
この信号分離・抽出回路3からの出力値を、例えば、ス
ペクトラム分布曲線として表示・記録する出力部4とか
ら概略構成されている。上記受信機2は、周波数ダウン
コンバート回路及び信号増幅回路を備えてなり、空中線
1によって受信された広帯域の電波を信号分離・抽出回
路3が最適に動作し得るように信号変換(周波数ダウン
コンバート、信号増幅)して、受信電波信号として信号
分離・抽出回路3に入力する。また、信号分離・抽出回
路3は、周波数分析回路5、エネルギ分析回路6、信号
処理回路7、カウンタ回路8、しきい値メモリ9、比較
回路10及び制御器11から構成され、入力される受信
電波信号から周波数ホッピング波のみを分離して抽出す
る。
【0018】周波数分析回路5は、受信信号の周波数分
析を行い、エネルギ分析回路6は、受信信号のエネルギ
強度を分析する。信号処理回路7は、周波数分析回路5
での周波数の分析結果及びエネルギ分析回路6でのエネ
ルギ強度の分析結果を、制御器11から与えられる制御
情報(周波数チャネル及びエネルギチャネル設定情報)
に基づいて周波数チャネル・データ及びエネルギチャネ
ル・データに変換処理した後、登録処理する。周波数チ
ャネルとは、上記したように、広帯域の周波数帯域を所
定の周波数幅で細分化した場合の個々の狭域周波数帯域
をいい、また、受信信号のエネルギチャネルとは、所定
の広がりを持つエネルギ強度範囲を所定のエネルギ強度
幅で区分した場合の個々のエネルギ強度範囲をいう。例
えば、チャネル幅、開始点、終点等を指定することで、
周波数チャネル及びエネルギチャネルが設定される。
【0019】カウンタ回路8は、信号処理回路7の処理
結果を記憶し、同一データ(同一の周波数チャネル及び
同一のエネルギチャネル)の発生回数をカウントする。
また、しきい値メモリ9は、分離・抽出のための占有周
波数チャネル数しきい値及び/又はエネルギしきい値を
記憶する。比較回路10は、しきい値メモリ9の出力値
とカウンタ回路8のカウント値とを比較し、条件が一致
した場合の周波数チャネル値及びエネルギチャネル値を
出力する。また、制御器11は、信号処理回路7の信号
分析条件、カウンタ回路8及びしきい値メモリ9の状
態、内容等を制御する。
【0020】この形態の信号分離・抽出回路3は、具体
的には、図2に示すように、受信機2から入力されるア
ナログの受信電波信号をデジタルに変換するADC(ア
ナログ・デジタル変換器)31と、デジタル化された受
信電波信号をFFT(Fast Fourie Transfom)処理する
DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)32と、各
種データを蓄積するためのメモリ33と、これらの各部
31,32,33を制御するCPU(中央処理装置)3
4とからデジタル的に構成されている。
【0021】DSP32は、周波数分析回路5及びエネ
ルギ分析回路6の機能を担い、信号処理を高速に行う手
段であり、ADC31から入力されるデジタル受信電波
信号に対し、FFT(Fast Fourie Transfom)処理によ
り、周波数分析及びエネルギ強度分析を高速に行う。メ
モリ33は、カウンタ回路8及びしきい値メモリ9の機
能を実現している。また、CPU34は、メモリ33と
共に、信号処理回路7、制御器11及び比較回路10の
機能を実現している。
【0022】次に、図1乃至図4を参照して、この形態
の受信モニタ装置(特に、信号分離・抽出回路3)の動
作について説明する。FH通信波及びその他の一般通信
波が広帯域に亘り存在する実空間の電波は、図1に示す
ように、空中線(アンテナ)1により受信され、受信機
2により信号変換されて、信号分離・抽出回路3に入力
される。信号分離・抽出回路3では、受信電波信号が入
力されると、周波数分析回路6において、入力された受
信電波信号に対して、周波数分析が行われ(ステップA
1(図3))、さらに、エネルギ分析回路6において、エ
ネルギ強度分析が行われる(ステップA2)。
【0023】入力された受信電波信号の周波数分析及び
エネルギ強度分析の結果は、信号処理回路7において、
制御器11からサンプリング周期(離散時間)毎に与え
られる上述の制御情報に基づいて、周波数チャネル・デ
ータ及びエネルギチャネル・データに変換処理され(ス
テップA3)、この変換処理により得られた周波数チャ
ネル・データ及びエネルギチャネル・データは、周波数
チャネル対エネルギチャネルのマトリックスデータとし
て登録処理される(ステップA4)。
【0024】図4は、空中線1が受信し、受信機2によ
り信号処理された電波環境を図示したものである。説明
の都合上、この電波環境は、例えば、2つのFH通信ネ
ットワーク及び1つの一般通信波が存在する電波環境で
あるとする。ここで、到来するFH通信波及び一般通信
波は、それぞれ、発信時に設定された電波出力強度及び
発信位置−受信位置間の伝搬距離等により決まる一定の
エネルギ強度を有している。また、FH通信波は、広帯
域の複数の周波数チャネルをホッピングしながら通信を
行う属性から、少なくとも2つ以上(複数)の搬送周波
数を時間的に乗り換えて通信を行っている。したがっ
て、2つのFH通信波のうちの一方のFH通信波(以
下、FH-1通信波という)は、エネルギ強度E1を持
ち、複数の周波数が、それぞれf1,f3,f5,f7,…
であるとし、他方のFH通信波(以下、FH-2通信波と
いう)は、エネルギ強度E2を持ち、周波数がf2,f
4,f6,f8,…であるとする。これに対して、一般通
信波は、エネルギ強度E3を持ち、搬送周波数が1つで
あるので占有周波数チャネルは1つであり、これを周波
数f0とする。なお、ここでは、1つの搬送波及び2つ
のFH通信波(FH-1,FH-2)のそれぞれのエネルギ
強度は、E1<E2<E3の関係にあるものとする。
【0025】図4(A)は、この電波環境の様子を表し
たグラフであり、横軸は経過時間を、縦軸は電波信号の
エネルギ強度を表し、グラフ中に経過時間に対応した占
有周波数を記入している。同グラフに示すように、FH
-1通信波は、エネルギ強度E1を有し、周波数f1,f3,
f5,f7,…とホッピングしている。FH-2通信波も同
様に、エネルギ強度E2を有し、周波数f2,f4,f6,
…とホッピングしている。一般通信波は、エネルギ強度
E3を有し、占有周波数はf0に保持されている。このよ
うな電波環境の下(同図(A))で、信号処理回路7で
は、入力電気信号の周波数分析(ステップA1)及びエ
ネルギ強度分析(ステップA2)の結果は、制御器11
からサンプリング周期t1,t2,t3,…毎に与えられ
る上述の制御情報に基づいて、該当する周波数チャネル
・データ及びエネルギチャネル・データに変換処理され
(ステップA3)、得られた周波数チャネル・データ及
びエネルギチャネル・データは、同図(B)に示すよう
に、周波数チャネルf対エネルギチャネルEのマトリク
ス・データとして登録される(ステップA4)。受信電
波信号のサンプリングは、周波数ホッピング波を探索す
る所定の時間実行される。この後、カウンタ回路8によ
り、同一データ(同一の周波数チャネル及び同一のエネ
ルギチャネル)の発生回数がカウントされる(ステップ
A5)。
【0026】同図(B)に示すような結果が得られるの
は、FH通信波が、同一エネルギチャネル内で、複数の
搬送周波数(周波数チャネル)を時間的に順次切り換え
て通信を行うからであり、それゆえ、同一エネルギチャ
ネル内で、複数の周波数チャネルに信号が発生する。こ
れに対し、一般通信波は、搬送周波数(周波数チャネ
ル)は1つ(f0)であるので、占有周波数チャネル数
は「1」である。
【0027】(a)FH通信波を一般通信波から分離・
抽出する場合 ここで、FH周波数を一般通信波から分離・抽出したい
場合は、ステップA5の処理の後、ステップA6へ進
む。ステップA6では、制御器11は、しきい値メモリ
9の記憶内容、すなわち、占有周波数チャネル数しきい
値を「1」に設定する。次のステップA7では、比較回
路10は、カウンタ回路8(ステップA5)でカウント
された周波数チャネルと、しきい値メモリ9の占有周波
数チャネル数しきい値とを比較する。この比較の結果、
カウンタ回路8でカウントされた占有周波数チャネル数
が、占有周波数チャネル数しきい値「1」と同じとき、
一般通信波と判定され、これに対して、占有周波数チャ
ネル数が、占有周波数チャネル数しきい値「1」よりも
大きいときは、複数の周波数チャネルに信号が発生した
ことを意味するので、FH通信波と判定される。このよ
うに、占有周波数チャネルの数を調べることによって、
様々の電波の中からFH通信波のみを分離・抽出でき
る。
【0028】ステップA7での判定の結果、分離・抽出
されたものが、FH通信波であると判定されたときは、
この分離・抽出された通信波は、ステップA8におい
て、FH通信波として登録される。そして、分離・抽出
の結果として得られるFH通信波の周波数及びエネルギ
情報をステップA9,A14において出力する。
【0029】(b)特定のFH通信波を他のFH通信波
から分離・抽出する場合 次に、ステップA8において登録された複数のFH通信
ネットワークの中から、特定のFH通信ネットワークを
分離・抽出する場合の手順について説明する。この分離
・抽出は、図4(A)に示すように、各FH通信ネット
ワーク間で、互いに受信エネルギ強度が異なる点を利用
するのである。まず、制御器11によって、しきい値メ
モリ9に対して、分離・抽出を希望するエネルギチャネ
ルのしきい値が設定される(図3のステップA10)。
具体的には、例えば、FH-1通信波を分離・抽出したい
とき、FH-1通信波の持つエネルギ強度E1に対応した
エネルギチャネルのしきい値が設定される。
【0030】次に、比較回路10によって、カウンタ回
路8(ステップA4)に登録されたエネルギチャネル
と、しきい値メモリ9に設定されたエネルギチャネルの
しきい値とが、比較され、条件が一致したとき(ステッ
プA11)、特定のFH通信波(この例では、FH-1通
信波)として登録される(ステップA12)。そして、
分離・抽出の結果として得られるFH-1通信波の周波数
情報をステップA13,A14において出力する。
【0031】なお、所定の電波環境の下で、特定のFH
通信波を他の通信波から分離・抽出したい場合には、図
3に示すように、ステップA5の処理の後、ステップA
10の処理へジャンプすることも考えられる。
【0032】このように、この実施の形態によれば、F
H通信波が広帯域に亘る複数の周波数チャネルをホッピ
ングしながら通信を行う特性を利用するので、FH通信
波の周波数チャネル当りの通信時間が未知であっても、
確実に分離・抽出できる。加えて、複数のFH通信波の
間でも、到来通信波のエネルギが、空間伝搬距離や送信
電力等により異なる点を利用するので、周波数チャネル
当りの通信時間が等しい複数のFH通信ネットワークが
存在する場合でも、特定のFH通信波を、確実に分離・
抽出できる。
【0033】◇第2の実施の形態 次に、この発明の第2の実施の形態について説明する。
図5は、この発明の第2の実施の形態である受信モニタ
装置の構成を示すブロック図である。第2の実施の形態
の受信モニタ装置が、上述した第1の実施の形態(図
1)のそれと大きく異なるところは、図5に示すよう
に、信号分離・抽出回路3aでは、制御器11aが、周
波数分析回路5及びエネルギ分析回路6をも制御する構
成となっている点である。すなわち、この実施の形態で
は、オペレータは、制御器11aを介して、対象とする
受信信号に対応して周波数分析回路5及び工ネルギー分
析回路6に対して、周波数分解能、周波数分析帯域、エ
ネルギ強度分析分解能等を任意に設定できるようになっ
ている。この形態においても、周波数分析及びエネルギ
強度分析には、FFT解析のようなデジタル手法を用い
るのが好ましい。なお、図5において、図1と同一構成
部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0034】このように、この第2の実施の形態によれ
ば、第1の実施の形態において述べたと略同様の効果を
得ることができる。加えて、周波数分析及びエネルギ分
析に際して、周波数分解能、周波数分析帯域、エネルギ
分析分解能等を任意に設定できるので、大変使い勝手が
良く、対象とする受信信号に対応して、分離・抽出の精
度を向上できる。
【0035】◇第3の実施の形態 次に、この発明の第3の実施の形態について説明する。
図6は、この発明の第3の実施の形態である受信モニタ
装置の構成を示すブロック図である。この第3の実施の
形態が、第1の実施の形態と大きく異なるところは、図
6に示すように、信号分離・抽出回路3bでは、エネル
ギ分解回路5と信号処理回路7との間に、適応制御回路
12が介挿付加されている点である。この適応制御回路
12は、サンプリング周期(離散時間)毎に分析された
周波数及びエネルギ強度に対して、信号強度の伝搬損失
の周波数依存性(f特性)を考慮して、論理補正を行う
と共に、フェージングやインパルス的な雑音の影響を削
除する処理を行う。
【0036】このように、この第3の実施の形態によれ
ば、信号処理回路7は、適応制御回路12によって補正
された周波数分析結果及びエネルギ強度分析結果に基づ
いて、周波数チャネル・データ及びエネルギチャネル・
データに変換処理されるので、分離・抽出の精度を一段
と高めることができる。
【0037】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述の実
施の形態では、周波数分析回路5として、FFT(Fast
Fourie Transfom)処理を行うDSPを用いたが、これ
に限らず、対象とするFH通信波の特徴に応じて、狭帯
域のアナログフィルタを必要帯域幅だけ並列に並べた回
路、一つの狭帯域フィルタと高速切り替え可能な発振器
とを組み合わせた回路等を用いても良い。同様に、上述
の実施の形態では、エネルギ分析回路6として、FFT
(Fast Fourie Transfom)処理を行うDSPを用いた
が、これに限らず、例えば、パワーメータを用いても良
い。
【0038】また、上述の実施例では、周波数ホッピン
グ波を抽出する場合について述べたが、1つ以上の通信
搬送波周波数(周波数チャネル)を用い、単一通信搬送
波周波数(周波数チャネル)では、間欠的に通信を行う
通信波、すなわち、至短時間通信波に対しても、この発
明を適用できる。好適な至短時間通信波としては、例え
ばFSK(Frequency Shift Keying)波やインパルス通
信波を挙げることができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の構成に
よれば、FH通信波が広帯域に亘る複数の周波数チャネ
ルをホッピングしながら通信を行う特性を利用するの
で、FH通信波の周波数チャネル当りの通信時間が未知
であっても、確実に分離・抽出できる。加えて、複数の
FH通信波の間でも、到来通信波のエネルギが、空間伝
搬距離や送信電力等により異なる点を利用するので、周
波数チャネル当りの通信時間が等しい複数のFH通信ネ
ットワークが存在する場合でも、特定のFH通信波を、
確実に分離・抽出できる。
【0040】また、請求項記載の構成によれば、周波
数分析及びエネルギ分析に際して、周波数分解能、周波
数分析帯域、エネルギ分析分解能等を任意に設定できる
ので、大変使い勝手が良く、対象とする受信信号に対応
して、分離・抽出の精度を向上できる。また、請求項
載の構成によれば、信号処理回路は、適応制御回路によ
って補正された周波数分析結果及びエネルギ強度分析結
果に基づいて、周波数チャネル・データ及びエネルギチ
ャネル・データに変換処理されるので、分離・抽出の精
度を一段と高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態である受信モニタ
装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】同受信モニタ装置の主要部を構成する信号分離
・抽出回路の具体的構成を示すブロック図である。
【図3】同受信モニタ装置の動作処理手順を示すフロー
チャートである。
【図4】同受信モニタ装置の動作説明に用いられる説明
図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態である受信モニタ
装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の第3の実施の形態である受信モニタ
装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】従来の受信モニタ装置の電気的構成を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
1 空中線(受信手段) 2 受信機(受信手段) 3,3a,3b 信号分離・抽出回路(信号分離・
抽出手段) 5 周波数分析回路 6 エネルギ分析回路 7 信号処理回路 8 カウンタ回路 10 比較回路(第1の比較手段、第2の比較手
段) 11 制御器(制御手段) 9 しきい値メモリ(第1のしきい値メモリ、第2
のしきい値メモリ) 12 適応制御回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−270740(JP,A) 特開 平11−177535(JP,A) 特開 平4−156734(JP,A) 特開 平4−280130(JP,A) 特開 平11−251969(JP,A) 特開 平11−145875(JP,A) 特開 平9−232996(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 1/69 - 1/713 H04J 13/00 - 13/06 H04B 17/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の通信波が混在する電波環境の下
    で、複数の通信搬送波周波数を持つ周波数ホッピング波
    を分離・抽出するための受信モニタ装置であって、 前記電波環境の下で広帯域に存在する通信波を受信する
    受信手段と、所定の離散時間毎に前記受信手段によって受信された通
    信波の周波数を分析する周波数分析手段と、 所定の離散時間毎に前記受信手段によって受信される通
    信波のエネルギ強度を分析するエネルギ分析手段と、 前記周波数分析手段及び前記エネルギ分析手段での分析
    結果に基いて、前記離散時間毎に分析された受信通信波
    の周波数チャネル対エネルギチャネルのマトリックスデ
    ータを作成する信号処理手段と、 前記マトリックスデータに基いて、同一の周波数チャネ
    ル及び同一のエネルギチャネルの発生回数をカウントす
    るカウンタ手段と、 占有周波数チャネル数のしきい値が記憶設定される第1
    のしきい値メモリと、 前記カウンタ手段でカウントされた前記発生回数と前記
    占有周波数チャネル数のしきい値とを比較し、比較結果
    に基いて前記周波数ホッピング波を分離・抽出する第1
    の比較手段と を備えてなることを特徴とする受信モニタ
    装置。
  2. 【請求項2】 前記周波数分析手段及び前記エネルギ分
    手段を制御して、周波数分解能、周波数分析帯域、エ
    ネルギ強度分析分解能のうち、少なくとも1つを任意に
    設定できる制御手段が付加されてなることを特徴とする
    請求項記載の受信モニタ装置。
  3. 【請求項3】 前記信号処理手段の前段に、分析された
    周波数とエネルギ強度とに対して、信号強度の伝搬損失
    の周波数依存性を考慮して、論理補正を行う適応制御
    が付加されていることを特徴とする請求項1又は2
    載の受信モニタ装置。
  4. 【請求項4】 前記第1のしきい値メモリには、前記占
    有周波数チャネル数のしきい値「1」が設定記憶される
    と共に、 前記第1の比較手段は、前記カウンタ手段でカウントさ
    れた前記発生回数と前記占有周波数チャネル数のしきい
    値「1」とを比較した結果、前記発生回数が「2」以上
    であるときは、分析された受信通信波は、前記周波数ホ
    ッピング波であると判断することを特徴とする請求項
    1,2又は3記載の受信モニタ装置。
  5. 【請求項5】 エネルギチャネルのしきい値が記憶設定
    される第2のしきい値メモリと、 前記マトリックスデータを構成する任意のエネルギチャ
    ネルと、前記しきい値メモリに記憶設定された前記エネ
    ルギチャネルのしきい値とを比較し、この比較結果に基
    づいて、複数の周波数ホッピング通信ネットワークの中
    から特定の周波数ホッピング通信ネットワーク波を分離
    ・抽出する第2の比較手段とが付加されてなることを特
    徴とする請求項1,2,3又は4記載の受信モニタ装
    置。
  6. 【請求項6】 前記第2のしきい値メモリには、前記エ
    ネルギチャネルのしきい値として、分離・抽出を希望す
    る前記特定の周波数ホッピング波のエネルギ強度に対応
    する値が設定記憶されると共に、 前記第2の比較手段は、前記マトリックスデータを構成
    する任意のエネルギチャネルが、設定された前記エネル
    ギチャネルのしきい値と一致又は概略一致するとき、分
    析された受信通信波は、前記特定の周波数ホッピングネ
    ットワークであると判断することを特徴とする請求項
    記載の受信モニタ装置。
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