JP3111506B2 - 可逆性電極 - Google Patents

可逆性電極

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JP3111506B2 JP03136158A JP13615891A JP3111506B2 JP 3111506 B2 JP3111506 B2 JP 3111506B2 JP 03136158 A JP03136158 A JP 03136158A JP 13615891 A JP13615891 A JP 13615891A JP 3111506 B2 JP3111506 B2 JP 3111506B2
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佳子 佐藤
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正 外邨
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電池、エレクトロクロ
ミック表示素子、センサ、メモリなどの電気化学素子に
用いられる導電性有機化合物よりなる可逆性電極に関す
る。
【0002】
【従来の技術】1971年に白川らにより導電性のポリ
アセチレン電極が発見されて以来、導電性高分子電極が
盛んに検討されている。導電性高分子を電極材料に用い
ると、軽量で高エネルギ密度の電池、大面積のエレクト
ロクロミック素子、微小電極を用いた生物化学センサな
どの電気化学素子の実現が期待できる。しかし、ポリア
セチレンは空気中の水分や酸素に対して化学的に活性
で、空気中では不安定な化合物であり、電気化学素子に
用いる電極として実用性に乏しいという問題を有してい
た。近年、この問題を克服するために、他のπ電子共役
系導電性高分子が検討され、ポリアニリン、ポリピロー
ル、ポリアセン、ポリチオフェンなど、空気中で比較的
安定な導電性高分子が見いだされ、これらの導電性高分
子を正極に用いたリチウム二次電池が開発されつつあ
る。
【0003】これらの高分子電極は、電極反応に際して
カチオンのみならず電解質中のアニオンをも取り込むた
め、電解質はイオンの移動媒体として作用するだけでな
く電池反応に関与する。そのため電池の放電容量に見合
う量の電解質を電池内に保有する必要があり、反応に消
費される電解質の量だけ電池の重量が増加して、電池の
エネルギ密度は20〜50Wh/kg 程度に低下する。この
ため、ニッケルカドミウム蓄電池、鉛蓄電池などの通常
の二次電池に較べ、この電池のエネルギ密度は2分の1
程度に小さくなるという問題を有している。
【0004】これに対し、高エネルギ密度電池の実現が
期待できる有機材料として、米国特許第4,833,048号に
ジスルフィド系化合物が提案されている。この化合物
は、最も簡単にはR−S−S−R(Rは脂肪族あるいは
芳香族の有機基、Sは硫黄)と表わされる。このジスル
フィド系化合物のS−S結合は電解還元により開裂し、
電解浴中のカチオン(Mn+)とでR−Sー・M+ で表さ
れる塩を生成する。また、この塩は、電解酸化により再
び元のR−S−S−Rに戻るという性質を持つものであ
る。また、カチオン(Mn+)を供給、捕捉する金属Mn+
とジスルフィド系化合物を組み合わせた金属ーイオウ二
次電池が前述の米国特許に提案されており、150Wh/
Kg以上と、通常の二次電池に匹敵あるいはそれ以上のエ
ネルギ密度が期待されている。
【0005】なお、電極触媒をジスルフィド系化合物電
極に導入することは、上記の米国特許第4833048号ある
いはJ.Electrochem Soc., Vol.136, p.2570-2575(1989)
に述べられているが、電極触媒としては有機金属化合物
が開示されているのみである。さらに、その効果につい
ては具体的に示されていないばかりか、導電性高分子が
ジスルフィド系化合物の電解に際し電極触媒として作用
することは全く示されていない。
【0006】なお、電極触媒をジスルフィド系化合物電
極に導入することは、前述の米国特許第4833048号ある
いはJ.Electrochem Soc., Vol.136, p.2570-2575(1989)
に述べられているが、電極触媒としては有機金属化合物
が開示されているのみである。その効果については具体
的に示されていないばかりか、導電性高分子がジスルフ
ィド系化合物の電解に際し電極触媒として作用すること
は全く示されていない。
【0007】
【発明が解決しょうとする課題】しかし、このような従
来のジスルフィド系化合物は、米国特許第4,833,048号
の発明者らがJ.Electrochem.Soc, Vol.136, No.9, p.25
70〜2575(1989)で報告しているように、例えば[(C
252NCSS-]2 の電解では、酸化と還元の電位が
1v 以上離れており、このような材料における電気化学
反応は、その電子移動が極めて遅いので、室温付近では
実用に見合う大きな電流、例えば1mA/cm2以上の電流を
取り出すことが困難であり、電子移動が速くなる100
〜200℃の高温での使用に限られるという課題を有し
ていた。
【0008】本発明はこのような課題を解決するもの
で、ジスルフィド系化合物を電池の電極材料として用い
ることにより、高エネルギ密度という特徴を損なわず、
かつ室温でも大電流充放電が可能で、可逆性に優れた電
極を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、側鎖にチオール基を有するモノマ化合物を
重合して形成した導電性高分子を主体として可逆性電極
を構成したものである。
【0010】また、導電性高分子の側鎖に導入したチオ
ール基間で酸化還元反応を行うようにしたものである
【0011】
【作用】重合して導電性高分子を形成するモノマ化合物
にチオール基を有する側鎖を導入して重合することによ
り、分子内にジスルフィド結合を有する導電性高分子を
得ることができる。この導電性高分子では、ジスルフィ
ド結合が電子移動過程における反応の活性化エネルギを
低減する電極触媒として作用する。つまり、ジスルフィ
ド系化合物単独では1v 以上であった酸化反応と還元反
応との電位差を、チオール基と導電性高分子の相互作用
により、これを0.1v あるいはそれ以下までに低下す
ることができる。このため、電極反応が促進されるとと
もに、電解質との実質的な接触面積が格段に増大される
とともに、室温でも大電流での電解(充放電)が可能と
なる。
【0012】また、分子内にジスルフィド結合を形成す
るチオール基を導入することで、電極反応の主体となる
これらチオール基を有する分子種が酸化還元反応時に電
解質に漏れでることを防ぐことができ、充放電特性の向
上が期待できることとなる。
【0013】
【実施例】本発明の導電性高分子に導入する基として
は、米国特許第4833048号に述べられてる一般式
(R(S)y)nで表される基を用いることができる。R
は脂肪族基、芳香族基、Sは硫黄、yは1以上の整数、n
は2以上の整数である。 本発明の導電性高分子を形成
するモノマ化合物としては、チオフェン、ピロール、ア
ニリン、フランやベンゼンなどが用いられ、これらのモ
ノマを重合した導電性高分子にヨー素などのアニオンを
ドープしたものなどが有効に用いられる。また、多孔性
のフィブリル構造をとることができる重合条件のものが
望ましい。
【0014】ジスルフィド化合物が還元され塩を形成す
る際の金属イオンとしては、上記の米国特許に述べられ
ているアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンに
加えて、プロトンを用いることもできる。アルカリ金属
イオンとしてリチウムイオンを用いる場合は、リチウム
イオンを供給および捕捉する電極として、金属リチウム
あるいはリチウム−アルミニウムなどのリチウム合金を
用い、リチウムイオンを伝導する電解質を用いると電圧
が3〜4v の電池が構成できる。また、前述の金属イオ
ンとしてプロトンを用い、プロトンを供給および捕捉す
る電極としてLaNi5などの金属水素化物を用い、プ
ロトンを伝導する電解質を用いると電圧が1〜2v の電
池を構成することもできる。
【0015】(1)チオフェン誘導体の合成 100mlのベンゼンに水素化ナトリウムを2.4g
(0.1mol)を加えた後、12.1g(0.05mol)
の3,4-ジブロモチオフェンを加え、1時間還流し
た。この溶液にエチレングリコール6.02g(0.1m
ol)を混合し、3時間還流し、3,4-ジヒドロキシブ
ロモチオフェン誘導体を得た。この溶液に11g(0.
1mol)の3-クロロ-1-プロパンチオールを加え3時間
還流した。こうして、(化1)に示す3,4の位置の側
鎖にチオール基を導入した3,4ジチオ-チオフェン誘
導体(以降チオフェン誘導体1とする)9.5g(0.
025mol)を得た。
【0016】
【化1】
【0017】(2)サイクリクボルタンメトリ このようにして得られたチオフェン誘導体1(1mol/
l)をモノマとしてプロピレンカーボネート中、過塩素
酸リチウムを支持電解質として飽和カロメル参照電極に
対し 1.2〜1.5Vで定電位電解することで、厚さ約
20μmのフィブリル構造を有するチオフェン誘導体重
合膜を黒鉛電極上に形成した。この電極を、室温で、L
iClO4 を1M 溶解したジメチルホルムアミド中でA
g/AgCl参照電極に対し−0.7〜+0.2V の間
で電位を 50mV/sec の速度で直線的に増減させ電解し
たところ図1の曲線Aで示される電流電圧特性を得た。
また、比較例として、チオフェン誘導体1重合膜のみを
有する黒鉛電極についても同様な電解を行い図1の曲線
Bで示される電流電圧特性を得た。曲線Aは、チオフェ
ン誘導体1重合膜のみを有する黒鉛電極の電流電圧曲線
Bと、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾ
ールの酸化還元に対応する電流ピークとが重なった電流
電圧特性を与えている。2,5−ジメルカプト−1,
3,4−チアジアゾールの酸化還元に対応する電流ピー
クのうち特に還元反応に対応する電流ピーク位置が−
0.6V から−0.2V 付近まで移動し、イオン電子混
合伝導体高分子であるチオフェン誘導体1重合物の存在
で2,5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールの
酸化還元が促進されていることがわかる。これに対し、
重合物を有しない黒鉛電極で得られた曲線Bでは、2,
5−ジメルカプト−1,3,4チアジアゾールの酸化還
元に対応する電流ピークが得られるが、酸化ピークと還
元ピークとの電位差が 0.6V 近くに及び、酸化還元
は準可逆で反応の速度は遅く、この電極を電池の正極に
用いると、充電と放電の電圧差が 0.6V 以上に大き
くなるとともに、大電流での充放電では効率低下の大き
い電池となる。
【0018】なお、本実施例においては、チオフェンを
用いた場合について説明したが、その他の導電性高分子
においても、本実施例と同様の効果を示す。さらに本実
施例の重合膜を粉砕し、集電体と混合して電極を構成し
ても同様の効果を発揮することは自明である。
【0019】(3)充放電サイクル特性 本実施例により得られたチオフェン誘導体1(1mol/
l)をモノマとしてプロピレンカーボネート中、過塩素
酸リチウムを支持電解質として飽和カロメル参照電極に
対し1.2〜1.5V で定電位電解することで、厚さ約
20μmのフィブリル構造を有するチオフェン誘導体重
合膜を黒鉛電極上に形成した。この電極を、作用極と
し、Li線を参照電極とし、対極にLi箔、ジメチルホ
ルムアミドにLiClO4を1M 溶解した電解質溶液の
構成で電池を作成した。この電池を用いて、充電電位を
4.0V で15時間充電後、終止電圧2.0V 、放電電
流0.5mAとしてサイクル特性試験を行った。このよう
にして、図2の曲線Aで示されるサイクル寿命特性曲線
を得た。図2の横軸はサイクル数、縦軸は1サイクル目
の放電容量を100としたときの放電容量である。ま
た、比較例として、ポリチオフェンとスルフィド化合物
である2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアゾール
とポリエチレンオキサイドを重量比3:1:1で混合し
作成した複合電極を作用極とし、同様の電池を組み、同
様の条件でサイクル特性試験をおこなった。このように
して、図2の曲線Bで示される充放電サイクル特性曲線
を得た。曲線Bは、10サイクル程度で充放電効率が低
下しているが、曲線Aでは、充放電サイクル特性が50
サイクルと向上している。
【0020】なお、本発明は電池の他に、電極を対極に
用いることで発色・退色速度の速いエレクトロクロミッ
ク素子、応答速度の早いグルコースセンサなどの生物化
学センサを得ることができるし、また、書き込み・読み
出し速度の速い電気化学アナログメモリを構成すること
もできる。
【0021】
【発明の効果】以上の実施例の説明からも明らかなよう
に本発明によれば、重合することにより導電性高分子を
形成するモノマ化合物に、チオール基を有する側鎖を導
入した化合物を重合して生成した重合物を主体としてな
る電極では、従来のジスルフィド系化合物のみで構成し
た電極では困難であった大電流での電解が可能となる。
そして、この電極を正極に用い、金属リチウムを負極に
用いることにより、大電流での充放電が可能な高エネル
ギ密度二次電池を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合電極および比較例の電極の電流−
電圧特性を示す図
【図2】本発明の複合電極および比較例の電極の充放電
サイクル特性を示す図
【符号の説明】
A 本発明の一実施例の可逆性電極の特性 B 従来例の可逆性電極の特性
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 外邨 正 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 竹山 健一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−41077(JP,A) 特開 平4−155766(JP,A) 特表 昭56−501653(JP,A) 米国特許4833048(US,A) 米国特許4264482(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/02 - 4/04 H01M 4/60 H01B 1/12 H01M 10/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】側鎖にチオール基を有するモノマ化合物を
    重合して形成した、分子内にジスフィルド結合を有する
    導電性高分子を主体としてなる可逆性電極。
  2. 【請求項2】導電性高分子の側鎖に導入したチオール基
    間で酸化還元反応を行う請求項1記載の可逆性電極。
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