JP3108099B2 - アルデヒド固定組織における免疫化学的染色の増強 - Google Patents

アルデヒド固定組織における免疫化学的染色の増強

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    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/5306Improving reaction conditions, e.g. reduction of non-specific binding, promotion of specific binding

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、アルデヒド固定された及び包埋された組織
断片の免疫組織化学的染色に関する。臨床検体又は動物
実験から得られた組織断片は時々、光顕微鏡による後で
の試験のために適切な形で固定され、包埋され、そして
貯蔵される。免疫学的試薬、特にモノクローナル抗体試
薬は現在、特定の抗原化合物の存在のために少なくとも
一定のそれらの固定された組織サンプルの試験を可能に
する。対象の抗原は疾病工程又は病理学に関連し、又は
特性細胞タイプ又は組織を同定することができる。最近
調製された生検及び検死サンプルの場合、そのような免
疫組織化学的分析は直ちの診断価値あるものである。
しかしながら、組織検体の免疫組織化学的分析は、検
体固定の間、抗原損失のために妨げられて来た。従来の
固定法は時々、アルデヒド固定剤を使用しており、ここ
で固定剤は組織タンパク質内での及びその間での架橋反
応を引き起こすことによって組織を固定する。
2種のタイプの架橋反応が認識されている。第1の反
応タイプは、シッフ塩基タイプの重合であり:ホルムア
ルデヒドがタンパク質のアミノ基と縮合し、シッフ塩基
中間体をもたらし、この中間体がタンパク質の架橋を導
びく急速な重合を受けることができる。
マンニッチ(Mannich)反応と呼ばれる第2タイプの
反応においては、ホルムアルデヒドはアミノ基及び活性
水素基の両者と反応でき、マンニッチ塩基の形成をもた
らす。マンニッチ塩基の重合はタンパク質架橋をもたら
す。
架橋は組織形態及び結合性を保持し、スライスするた
めに組織を硬化し、そして微生物の攻撃を阻止する。不
運な事には、架橋工程はまた組織抗原性の損失を引き起
こし、その結果はアルデヒド試薬、たとえばホルムアル
デヒドにより固定される組織に対する免疫学的試薬の有
用性を阻止する。ホルムアルデヒドによるアミノ酸及び
タンパク質の架橋の化学は、Harlan and Feairheller,
“Chemistry of the Cross−Linking of Collogen Duri
ng Tanning,"及びKelly,など.“Cross−Linking of Am
ino Acid By Formaldehyde,"(1976)に記載されてい
る。ホルムアルデヒドによるタンパク質アミノ基及び芳
香族アミノ酸の架橋におけるマンニッチタイプ反応の役
割は、Fraenkel−Conrat,など.,J.Biol.Chem.(1947)1
68:99〜118及びFraenkel−Conrat and Olcott,J.Biol.C
hem.(1948)174:827〜843に論ぜられている。さらに、
アルデヒド架橋反応の議論は、Fox,J.Histochem.Cytoch
em.(1985)33:845〜855;Jones,“Reactions of aldehy
de with unsaturated fatty acid during histological
fixation,"Fixation in Histochemistry,P.J.Stoward,
ed.(1973);及びKunkelなど.,Mol.Cell.Biochem.(19
81)34:3に見出される。マンニッチタイプの反応は、一
般的にMarch,“Advanced Organic Chemistry,"特に333,
424,670〜672ページ、(1968)に記載されている。
アルデヒド固定の欠点を回避するための試みにおいて
は、他の固定化法、たとえばマイクロ波加熱(Mayers,
J.Clin.Pathol.(1970)28:273;Hopwoodなど.,Histoche
m.J.(1984)16:1171)及びアルコール含浸(Battifora
and Kopinski,J.Histochem.Cytochem.(1986)34:109
5)が開発された。他の固定化法のいくらかの欠点にも
かかわらず、それらは一般的な使用においてアルデヒド
固定化を代用していない。それらの制限された許容性
は、それらの他の方法に存在する欠点に影響を及ぼす。
たとえばマイクロ波加熱は赤血球細胞を溶解し、そして
膜脂質を破壊する。エタノール固定化は組織サンプルの
改良された抗原性を生成することが報告されているが、
エタノールは高められた細胞収縮を引き起こす(Battif
ora and Kopinski,前記)。従って、アルデヒド固定化
組織に対する抗原性を回復するための方法は、現在の臨
床実施により生成される検体のために有用であり続け
る。
さらに、抗原性を回復するための方法は、収集物にす
でに存在する莫大な数のアルデヒド固定化組織サンプル
のために有用である。それらの貯蔵された組織サンプル
は、レトロ特異的免疫組織化学試験のための材料に富ん
でいる貯蔵物を提供する。続く免疫組織化学染色の適切
な方法が利用できる場合、新らしく生成された免疫組織
化学的データは、同じ組織に対する従来の調査から得ら
れる存在する診断結果と組合され得る。しばしば、臨床
学的サンプルは10年間保存され、その結果、患者の根底
にある病理学的工程の臨床学的結果がすでに知られてい
る。実験用組織、たとえば毒物学試験において動物から
得られたそれらの組織の場合、病理学及び毒性の他の測
定が一般的に実施され、そして記録されるであろう。両
者の場合、影響される組織の免疫学的分析は、重要な相
互関係の情報を付与することができる。
過去10年間にわたっての免疫学的試薬の開発のため
に、多くの組織が元来貯蔵された時点で不可能であった
免疫組織化学分析が現在行なわれ得る。さらに、疾病工
程に関する新しい知識又は仮説は、貯蔵された組織の再
試験を促進できる。貯蔵された組織サンプルに対する免
疫組織化学的研究は、統計学的に多くのサンプル集団に
対して臨床研究を行なうために比較的時間−及び費用−
有効性の手段を提供する。従って、通常の臨床学的又は
実験的由来の包埋された組織断片への免疫組織化学的分
析の適用は、相当の興味ある事である。
アルデヒドによる組織固定化の間の抗原損失は、タン
パク質の化学変性(抗原の物理的除去ではない)によ
る。免疫反応性の損失は2種の機構により生じると思わ
れている。まず第1の機構においては、固定化剤が反応
性エピトープを化学的に変性し、それを抗体結合できな
くする。第2の機構においては、固定化剤が標的エピト
ープ外の部位で抗原タンパク質の化学的架橋を引き起こ
す。そのような架橋は、分子内又は分子間、すなわち近
くのタンパク質の包含により存在する。この架橋は、反
応性エピトープへの抗体試薬の接近を立体的に阻害す
る。
第2機構、すなわち対象のエピトープ外のタンパク質
内又はタンパク質間架橋による立体的阻害は、タンパク
質の妨害架橋部分を除去するためにホルマリン固定化組
織のプロテアーゼ消化により逆転された。このアプロー
チは、ホルムアルデヒド固定化組織におけるケラチンの
免疫染色を改良することが示されている。(Battifora
and Kopinski,J.Histochem.Cytochem.(1986)34:1095
〜1100)。しかしながら、プロテアーゼ処理はアルコー
ルにおいて固定された組織の染色を実際分解し、その固
定化溶液はタンパク質架橋を引き起こさない。制限され
た時間でのホルムアルデヒド固定化組織のタンパク質分
解による免疫染色のいくらかの改良が他の抗原に関して
示されている(Huang,など.,J.Lab.Invest.(1976)35:
383〜390)。23種の病理学的対象の抗原の免疫染色の研
究においては、従来のトリプシン処理は、サイトケラチ
ン及びデスミンの場を除いて、ホルムアルデヒド固定化
組織の免疫染色において改良点を付与しないことが示さ
れた。多くの抗原に関しては、酵素消化は抗原染色を実
際に低下せしめた(Leong,など.,J.Pathology(1988)1
56:275〜282)。それらの結果は、タンパク質のアルデ
ヒド固定化剤−誘発化架橋が、エピトープの化学的変性
及び架橋により介在される立体的妨害の両者により免疫
染色を減じる仮説を支持する。タンパク質加水分解酵素
による固定された組織の処理から得られる混合された結
果は容易に合理的に説明される:部分的タンパク質加水
分解は架橋を低め、そして立体的妨害を減じるが、タン
パク質加水分解はまた対象のエステルを分解し、そして
除去できる。さらに、タンパク質加水分解はエピトープ
の化学的変性のために、抗原マスキングを逆にすること
ができない。対照的に、アルデヒド固定化剤により生成
される化学的架橋反応を逆にする方法は、いづれかの機
構により前もって隠されたマスクされていない抗原への
可能性を有する。
重金属溶液においてマイクロ波による組織の加熱によ
りホルマリン−固定化された、パラフィン包埋された組
織断片の抗原性を再生するための方法が、Shi,など.J.H
istochemistry and Cytochemistry39(b):741〜48(1
991)に記載されている。この方法は、試験されるサン
プルの約3/4、高められた免疫染色を提供する。その記
載された方法は、組織断片の脱パラフィン化及び再水和
化、内因性ペルオキシダーゼをブロックするために水性
ペルオキシドによる短時間の処理、蒸留水によるスライ
ドの洗浄、蒸留水又は重金属溶液によるスライドの被覆
及び数分間のマイクロ波加熱の段階を包含する工程の一
部である。この方法に続いて、スライドが冷却され、す
なわち、そして従来の態様で免疫染色される。
抗原性を再生するためのこの方法は、一定の制限を受
ける。第1に、それは組織サンプルを加熱するためにマ
イクロ波オーブンの使用を要する。多くの実験室はマイ
クロ波オーブンを装備しておらず、そしていくつかの組
織サンプルはマイクロ波加熱に適さない。いづれの外部
加熱源を伴わないで、室温で使用され得る抗原回復方法
のための必要性が存在する。さらに、前で記載された方
法は特に、炭化水素媒体、たとえばパラフィンに包埋さ
れた組織のために適切である。それはセロイジン、すな
わち骨組織のための好ましい包埋媒体に包埋される組織
断片のために適切ではない。セロイジン包埋された組織
による使用のために適切である方法の必要性がまた存在
する。さらに、脱カルシウム化された組織はしばしば前
に記載された方法に手におえないので、脱カルシウム化
された骨組織サンプルにより使用され得る方法の必要性
が特に存在する。
アルデヒド固定された組織の免疫組織化学的分析のた
めに抗原性を再生するための方法及び組成物が提供され
る。その方法及び組成物は、セロイジン包埋された組織
及び脱カルシウム化(脱石灰化)された骨組織に関して
特に有用である。その方法は、開放されるアルデヒドを
非反応性形、すなわち非アルデヒド誘導体に転換する時
に不可逆性マンニッチ/シッフ塩基反応を触媒する化学
物質によるアルデヒド固定組織の処理を包含する。この
適用において、そのような化学物質は、“アルデヒド開
放剤”と称されるであろう。1つの観点において、その
アルデヒド開放剤は求核試薬溶液を含んで成り、そして
その方法は、(1)任意にカオトロピック剤を含む、求
核試薬溶液によるアルデヒド固定組織の処理、(2)前
記組織サンプルを中和し又はすすぐことによっての過剰
の求核試薬の除去及び(3)免疫反応性試薬との前記組
織の反応を包含する。もう1つの観点においては、アル
デヒド開放試薬は酸化剤を含んで成り、そしてその方法
は、(1)酸化剤によるアルデヒド固定組織の処理、
(2)過剰の酸化剤の除去及び(3)免疫反応性試薬と
の前記組織の反応を包含する。第3の観点においては、
アルデヒド開放試薬は有機酸/塩基対を含んで成り、そ
してその方法は、段階(1)において、その有機酸/塩
基対による処理を包含する。典型的な有機酸は下記に示
される。典型的な塩基は水酸化ナトリウム及び水酸化カ
リウムである。また、アルデヒド固定された組織の免疫
染色のためのキットも提供される。そのキットは、溶媒
及びアルデヒド開放試薬を含んで成る、抗原性の再生の
ための溶液を最少含んで成る。場合によっては、そのキ
ットはまた、過剰のアルデヒド開放試薬又は免疫染色試
薬を除去するための溶液も含んで成る。
本発明は、アルデヒド固定化剤により固定され、そし
て包埋媒体に包埋された組織の免疫反応性を再生するた
めの方法を提供し、その方法は溶媒及びアルデヒド開放
試薬を含んで成る、抗原性を再生するための溶液と前記
組織とを接触する初期段階を含んで成る。そのアルデヒ
ド開放試薬は、たとえば逆マンニッチ又は逆シッフ塩基
反応を触媒することによって、組織におけるアルデヒド
と生物学的成分との反応の逆転を触媒する。開放された
アルデヒドは、非アルデヒド誘導体を形成するために実
質的に可逆性の態様で反応する。他方、前記初期段階
は、抗原性再生溶液の成分を別々に添加することによっ
て次の2つの段階に分けられる:まず、包埋媒体の少な
くとも一部を除去するために溶媒の添加であり、続い
て、通常、同じか又は異なった溶媒におけるアルデヒド
開放試薬の添加である。その初期段階の後、免疫染色の
前に組織から過剰のアルデヒド開放試薬の除去が伴う。
本発明の好ましい態様は、アルデヒド固定化剤により固
定され、そしてセロイジンを含んで成る包埋媒体に包埋
された脱カルシウム化された組織の免疫反応性を再生す
るための方法を提供する。特定の態様は下記に詳細に記
載される。本発明の初期固定化工程及び抗原性再生工程
の間に起こると思われる物理的及び化学的工程の簡単な
論議と共に、本発明がいかに作用するかの一般的な理論
が下記に示される。それらは単に理論であり、そして本
発明は実施者により実施される特定の操作(及びその変
法)の記載に関して十分に簡単に実施され得ることが理
解されるべきである。
組織のアルデヒド固定化は、架橋されたタンパク質を
生成すると思われる。その架橋は、組織タンパク質のア
ミノ酸残基、たとえばリシン及びN−末端α−アミノ酸
基上のアミノ基と固定化剤におけるアルデヒド基との反
応により仲介される。この反応の初期生成物は、アミノ
−アルデヒド複合体、すなわちイミノシッフ塩基(CHR1
=NR2R3)又はアミノ−メチロール(CHR1OHNR2R3)中間
体である。次に、その中間体は、敏感な近くのアミノ酸
基、たとえば酸性プロトン、求核性ヘテロ原子又は電子
に富む芳香族環を有するα−カルボニルメチレン炭素に
より求核性攻撃を受ける。主な求核試薬は、芳香族環、
たとえばチロシンのフェノール環のオルト位、トリプト
ファンのインドール環のC−2位及びヒスチジンのイミ
ダゾール環;グルタノート及びアスパーテートの側鎖カ
ルボン酸基に隣接するα−炭素;塩基性ヘテロ原子、た
とえばリシルε−アミノ基;及び中性窒素原子、たとえ
ばアスパラギニル及びグルタミニルアミド基及びトリプ
トファンのインドール環窒素を包含する。正式には、す
べてのそのような反応は、反応性求電子試薬が少なくと
も中間体アミノ−アルデヒド複合体種である限り、マン
ニッチ反応のタイプ又はその反応に少なくとも類似する
タイプのものである。それらの反応は、求電子性アルデ
ヒド炭素と求核性炭素又はヘテロ原子との間に共存結合
をもたらす。
その得られる架橋は、特定の形態でタンパク質を固定
し、そして隣接するタンパク質間で共有結合を形成する
ことによって全体の組織を固定する。その架橋されたタ
ンパク質は、高分子、たとえば抗体による侵入を妨害す
る。さらに、エピトープ(アミン、アミド又は芳香族ア
ミノ酸残基を含む)の化学的変性は、そのエピトープに
対する抗体に対して認識されない変更された構造体を生
成する。
通常のアルデヒド固定化剤はホルムアルデヒドであ
り、これは単官能価であり、そしてリシンのメチロール
−アミノ基と隣接する敏感なアミノ酸標的残基との間で
の直接的な接触により架橋を生成する。しかしながら、
他の二官能価又は多官能価架橋アルデヒドも知られてい
る。それらのうち、グリタルアルデヒドが最とも通常で
あり、これは両端でアルデヒドを有する5つの炭素原子
の鎖である。この二官能価試薬は、その試薬のアルキル
鎖がスペーサーとして機能するので、架橋のための追加
の機会を供給する。その反応の機構は、固定化のために
使用される特定のアルデヒド試薬に関係なく、類似する
と思われる。
本発明の方法は、時前に固定されたタンパク質の架橋
の少なくともいくらかを逆にし又は破壊し、それによっ
てそのタンパク質の抗原性を再生するための手段を提供
する。その方法は、マンニッチタイプの反応及びホルム
アルデヒドと組織成分との間の他の反応の逆転を促進す
ると思われる、アルデヒド開放試薬を含む溶液により前
もってアルデヒド固定された組織を処理することを包含
する。抗原性の再生はまた、限定されたタンパク質加水
分解の結果としても進行する。抗原性を効果的に再生す
るために、試薬はすべてのアルデヒド誘発された結合を
逆転し又は破壊する必要はない。架橋の部分的破壊は、
固定されたタンパク質をゆるめ、抗体による侵入を十分
に可能にする。特に敏感な結合は、アミノメチロール反
応体とヘテロ原子、たとえばアミン及びアミド、又はα
−カルボニルメチレン基との間で生成される結合である
と思われる。
本発明の実施のための最とも効果的なアルデヒド開放
試薬は、求核性試薬、好ましくは塩基性求核試薬であ
る。特に好ましい求核性試薬は、アルカリ金属水酸化
物、たとえば水酸化ナトリウム又はカリウムとして便利
に供給される水酸化物アニオンである。他の便利の求核
性試薬は、第一、第二又は第三アミン、特に攻撃に対す
る最小の立体的妨害を有するもの、たとえばピペリジン
又はモルホリンを包含する。ヒドロキシルアミン及びグ
リシンが好ましい。他の求核性試薬は、チオール、たと
えばメルカプトエタノールを包含する。興味あるさらに
もう1種の求核性試薬は、アジド、たとえばアジ化ナト
リウム(NaN3)である。一般的に、逆マンニッチ反応を
促進できる求核性試薬は、少なくともいくらかのタンパ
ク質架橋を切断でき、そのような試薬はまた、ホルムア
ルデヒドにより引き起こされる他の反応タイプの逆転も
触媒できる。求核性試薬の濃度は広く異なり、より高い
濃度の溶液はよりすばやく作用する。短い暴露のために
は、0.5M又はそれ以上の求核性試薬濃度が通常好まし
い。メタノール中、NaOHの場合、飽和の1/10〜1/2の濃
度(約0.6〜3M)が最とも好ましい。たとえばヒドロキ
シルアミン塩酸塩の形でのヒドロキシルアミン又はグリ
シンのためには、10%水溶液が好ましい。
追加の求核性試薬は、ヒドラジン水和物である。ヒド
ラジン水和物に関しては、約2.0%〜約5.0%、好ましく
は5.0%の水溶液(v/v)が適切である。
本発明の実施のための他の効果的なアルデヒド開放試
薬は、酸化剤である。好ましい酸化剤は次亜塩素酸塩及
び過ヨウ素酸塩、特に次亜塩素酸ナトリウム又は過ヨウ
素酸ナトリウムである。酸化剤の濃度は試薬と共に変化
する。たとえば次亜塩素酸ナトリウムに関しては、約0.
01%〜約0.005%、好ましくは0.005%の水溶液(v/v)
が適切である。過ヨウ素酸ナトリウムに関しては、約0.
1%〜約1.0%、好ましくは0.1%の水溶液(v/v)が適切
である。酸化剤によるサンプルの処理は、アルデヒドと
組織成分との間の架橋を分解すると思われ、そしてたと
えばホルムアルデヒドを蟻酸に転換することによって、
開放されたアルデヒドを非反応性形に転換する。
一定の酸/塩基対が、本発明内でアルデヒド開放剤と
して機能することが見出された。次の対は代表である: アルデヒド開放性試薬溶液のための溶媒は、そのアル
デヒド開放試薬と相溶でき、且つそれに溶解できるいづ
れかの溶媒であり得る。好ましくは、アルデヒド開放性
試薬が酸化剤又は有機酸/塩基対である場合、水溶性は
可能である。有機溶液は、それらが包埋媒体の良好な侵
入を促進するので、アルデヒド開放性試薬が求核性試薬
である場合に好ましい。さらに、タンパク質加水分解フ
ラグメントはほとんどの有機溶媒に不溶性であり、そし
て従ってスライド上の適切な位置に存続する傾向があ
る。
セロイジン包埋された組織断片に使用するための好ま
しい溶媒は極性有機溶媒である。アルコール溶液は、そ
れらがセロイジン包埋媒体の良好な侵入を促進するので
好ましく、そして特にアルカリ金属水酸化物の求核性試
薬のために良好な溶媒である。低級アルコール、たとえ
ばメタノール、エタノール、プロパノール及びブタノー
ルが好ましく;そしてメタノールが特に好ましい。ポリ
オール、たとえばエチレングリコール及びグリセロール
もまた有用である;それらは、蒸発又は流出を伴わない
で長期間、スライド上への存続を可能にする。低い揮発
性及び高い粘度の利点を有する。極性非プロトン性溶
媒、たとえばジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチ
ルスルホキシド(DMSO)がまた、適切な求核性試薬と共
に使用され得る。さらに、混合された溶媒溶液が許容さ
れ、但し、成分溶媒は試薬と及びお互いと相溶性である
べきである。
2種の溶媒がある環境下で連続して使用され得る。た
とえばセロイジン包埋されたスライドは、初め、包埋媒
体を溶解するためにメタノールにより、処理され、次に
アルデヒド開放性試薬溶液、たとえばグリセロール中、
KOH溶液により処理される。
非極性有機溶媒は、非極性媒体、たとえばパラフィン
に包埋された組織に関して有用である。非極性溶媒、た
とえばトルエンの場合、第四塩が、非極性溶媒に溶解す
るので所望される。例としては、水酸化テトラアルキル
アンモニウム(たとえば水酸化テトラエチルアンモニウ
ム)又は第四ホスホニウム塩を挙げることができる。非
極性溶媒及び第四塩基は、相移行反応においては不混和
性極性水性相と共に組合され得る。2つの相は組織に同
時に適用され得、又は非極性相はまず、パラフィン包埋
媒体の可溶化を促進するために適用され得る。
添加剤は、溶液の所望する性質を増強するために含ま
れ得る。ケーオトロピック剤、たとえばナトリウムチオ
シアネートが好ましい添加剤である。
包埋され、そして固定された組織断片は、数分〜数時
間、アルデヒド開放性試薬溶液に含浸され又はその溶液
により被覆される。最適の処理期間は、アルデヒド開放
性試薬の濃度、溶媒(もし存在するなら)のタイプ、溶
液による包埋媒体の侵入の程度、組織固定化の程度及び
温度に依存して変化する。変数の特定の組合せのために
は、処理の最適時間は、種々の時間、組織サンプルを処
理し、そして免疫染色の程度を測定することによって容
易に決定され得る。メタノール性水酸化ナトリウムを25
%飽和で含む溶液のためには、約30分の処理期間がほと
んどの組織断片のために適切である。約5分以下の時間
では、ほとんど改良は見られない。約2時間以上の長い
接触の期間で、組織はスライドから分離する傾向があ
り;これは特に、20mmのセロイジン断片に関して断定さ
れる。
処理温度は化学反応のための典型的な予測できるパタ
ーンで反応速度に影響を及ぼし、高温ほど、より急速な
結果をもたらす。その方法は室温で便利に実施され、そ
して温度調節は通常実施されない。
アルデヒド開放性試薬溶液による処理期間の後、過剰
の試薬が、免疫染色の前、組織サンプルから除去され
る。これは、試薬を含まない溶媒又は溶液により組織を
すすぐことによって最っとも便利に達成され得る。すす
ぎ溶液の複数回の交換が好ましい。組織水和化及び形態
学的特徴の高い保存のためには、少なくとも1種のすす
ぎ溶液は好ましくは、アルデヒド開放性試薬溶液に使用
される溶媒及び水性緩衝液の混合物を含むであろう。こ
れは緩衝液による組織の再平衡化を促進する。好ましく
は、水性緩衝液による1又は複数回の洗浄が、免疫染色
の前に行なわれるであろう。好ましいすすぎ工程は、界
面活性剤を含む緩衝液による少なくとも1回の洗浄、続
く界面活性剤を含む緩衝液による1又は複数回のすす
ぎ、続いて界面活性剤を含まない緩衝液による1又は複
数回のすすぎを伴う。界面活性剤はいづれかの組織相溶
性界面活性剤(イオン性又は非イオン性のいづれか)で
あり得るが、但し、非イオン性界面活性剤、たとえばTr
iton X−100が好ましい。
すすぎ段階に代わる手段として、過剰の試薬が酸又は
緩衝液により中和され得る。この代用の手段は、溶媒が
免疫染色のために使用される溶液に、組成において類似
し又は同一である場合に最とも実行可能である。ほとん
どの用途に関しては、すすぎによる過剰の塩基の除去が
好ましい。
過剰の試薬の除去の後、組織はいづれかの従来の技法
により免疫染色される。多くの種類の免疫染色法、試薬
及び抗体が知られており、その多くは市販されている。
上記抗原性を再生するための工程は、ほとんどの免疫染
色法と適合できる条件下に組織をゆだねることである。
典型的には、組織が対象の抗原に対する一次抗体と共に
インキュベートされ、続いて検出可能なラベルにより処
理される。検出可能なラベルはその一次抗体に対する第
2抗体をしばしば包含し;第2抗体は実際に検出される
第3種と結合する能力を有する。それらの結合の複数の
レベルは、検出できるシグナルの強度を増幅するための
手段を提供する。一般的に、上記の抗原回復法は、検出
工程を妨害しない。
アルデヒド解放性試薬を用いて抗原性を再生するため
の本発明の方法は、特にいづれかの包埋媒体、たとえば
炭化水素、たとえばパラフィン及び合成樹脂により使用
され得る。しかしながら、骨組織のための従来の包埋媒
体であるセロイジンに関してが特に有用である。セロイ
ジンは、ピロキシリンの純粋な形、すなわちニトロセル
ロースの低窒素形である。セロイジンは種々の市販源か
ら入手できる。
記載される方法は好ましくは、包埋媒体を溶解し又は
膨潤し、そして軟化する溶液により行なわれる。ほとん
どの包埋媒体は溶液として供給される。従って、溶液の
ための適切な溶媒は、包埋媒体のために供給される溶媒
の溶媒作用(たとえば疎水性、極性、水素結合ドナー/
アクセプター能力)に基づかれると推定される。溶液
は、包埋媒体のために使用される溶媒と同一である溶媒
を用いる必要はない。しかしながら、適切な包埋媒体溶
媒の特性は、アルデヒド開放性溶媒のための適切な特徴
に指針を提供する。
セロイジンの場合、包埋媒はエーテル−アルコール混
合物、クローブ油(芳香族テルペンを含む)、アルコー
ル及びアセトンに溶解性である。メタノールは、塩基性
求核性試薬を溶解するので適切な溶媒であり、そしてセ
ロイジン包埋された組織と共に使用するための好ましい
溶媒である。
過去において骨組織は、骨が固定化の間に暴露される
脱カルシウム化処理のために少なくとも部分的に特定の
問題を提供して来た。従来の脱カルシウム化は、酸、た
とえばトリクロロ酢酸(Cl3CCOOH)により行なわれる。
現在、免疫組織化学的染色は、たとえば一時的な骨断片
として、通常進行されるホルムアルデヒド固定化、脱カ
ルシウム化及び包埋化骨組織のための診断及び調査性病
理学に広く使用されない。一時的な骨断片を免疫染色す
るためのいくつかの報告される試みは、変性された固定
化、脱カルシウム化及び包埋手段に集中している(Veld
man et al.,Advances in oto−immunology.New trends
in functional pathology of the temporal bone,Laryn
goscope(1987)97:413;Huizing et al.,Progress in t
emporal bone histopathology.I.Semithin 3−5 um sec
tioning of undecalcified human temporal bone after
plastic embedding,Acta Otolaryngol(Stockh)(198
5)Suppl423:24;Veldman et al.,Progress in temporal
bone histopathology.II.Immuno−technology applied
tothe temporal bone,Acta Otolaryngol(Stockh)(1
985)Suppl423:29;Amold,W.,Immunohistochemical inve
stigation of the human inner ear,Acta Otolaryngol
(Stockh)(1988)105:392;及びBauwens et al.,Progr
ess in temporal bone histopathology.III.An improve
d technique for immunohistochemical investigation
of the adult human inner ear,Acta Otolaryngol(Sto
ckh)(1990)Suppl470:34)。
開示される方法は、骨検体に関して水又は他の溶媒を
単独で用いての抗原性の再生を妨害する、脱カルシウム
化からのいづれかの残留酸度を同時に中和する。付随す
る実験結果が示すように、その開示された方法は、通常
進行され、そして包埋された側頭骨断片の効果的な免疫
染色を可能にする。これは、総計8,000〜13,000の検体
に達するヒト側頭骨採集物がそれぞれヨーロッパ及びア
メリカ合衆国に存在するので有意である(Schuknecht,A
nn.Otol.Rhinol.Laryngol.(1987)96(Suppl.130):
1)。それらの採集物は、光顕微鏡により耳病理学を理
解するために卓越された調査基礎を提供する。
組織の免疫染色に使用するためのキットが、上記方法
の実施を単純化するために供給され得る。そのキット
は、1又は複数の個々の試薬容器及び(1)溶媒及びア
ルデヒド開放性試薬を含んで成るアルデヒド開放性試薬
溶液又は(2)他の容器からの溶媒がアルデヒド開放性
試薬容器を一定レベルまで満たすために使用される場
合、所望する濃度を達成するために適切な量でのアルデ
ヒド開放性試薬を含む少なくとも第1容器を保持するよ
うに適合されたレセプタクルを少なくとも含む。ほとん
どの場合、キットはまた、(1)免疫染色試薬又は
(2)過剰のアルデヒド開放性試薬溶液を除去するため
の洗浄溶液を含む第2容器、又はそのような両材料を有
する容器を含むであろう。洗浄溶液は典型的には、包埋
媒体をさらに溶解又は膨潤しない緩衝溶液、たとえば緩
衝水溶液である。洗浄溶液における溶媒は、抗原回復溶
液に使用される溶媒及びアルデヒド開放性試薬を溶解で
きるであろう。免疫染色試薬は一般的に、抗体及び染色
成分を含んで成る。そのような試薬は当業界において良
く知られており、そしてさらにここで記載する必要はな
い。特定の例は、下記に示される本発明の一般的例に与
えられている。本発明の方法を実施するための適切な教
授はまた、キットに包含されるであろう。
本発明は次の詳細な例により例示されるが、しかしそ
れらは本発明を制限するものではない。
例1:アルデヒド開放性試薬としての求核試薬 1. 材料及び方法 合計60のセロイジン包埋化ヒト側頭骨断片を、Easter
n National Temporal Bone Bank at Massachusetls Eye
and Ear Infirmaryから得た(第1表)。ほとんどの断
片を、Heidenhain−Susa又は100%ホルマリン固定によ
り一定して処理し、そして上記のようにして5%トリク
ロロ酢酸によりカルシウム化した(Schuknecht HF.Path
ology of the Ear.Cambridge,MA:Harvard University P
ress.1974)。たった1つの断片が、10%中性の緩衝化
されたホルマリン固定化剤を用いての変性法により処理
され、そしてEDTA脱カルシウム化された。
使用されるモノクローナル抗体は第2表に列挙され
る。すべての抗体は、BioGenex Laboratories(San Ram
on,CA)から得られた。ほとんどのスライドも、BioGene
xからのSuper Sensitiveビオチン−トリプタビジンキッ
ト(SSBSA)により染色した。少数のスライドは、Vecto
r Laboratories,Inc.(Burlingame,CA)から購入された
ABCキットにより染色された。
2. アルデヒド開放性試薬溶液の調製 メタノール中、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液は、そ
れらの実験に使用される塩基性試薬の1つの配合物を提
供する。50〜100gのNaOHを、カッ色ボトルにおけるメタ
ノール500mlに添加した。その溶液を振盪により混合
し、そして室温で1〜2週間貯蔵し、沈降せしめた。液
体の上層を沈殿物から注意して除去し、そしてメタノー
ルにより:3に希釈した。使用の前、0.01%のナトリウム
チオシアネートを任意に添加した。
セロイジン−包埋された側頭骨断片を、希釈された水
により10分間洗浄し、0.1%ポリ−L−リシン(Sigma)
により被覆されたスライド上に積層した。前記スライド
を、1/4飽和NaOH−メタノール溶液(飽和されたメタノ
ール性NaOH、約6M、メタノールにより1:3に希釈され
た)に、単独では添加される0.01%ナトリウムチオシア
ネートと共に30分間含浸した。スライドを、100%及び7
0%メタノールにより2回、及びリン酸緩衝溶液(PBS)
により2回、それぞれ15分間すすぎ、次に0.3%Triton
X−100により10分間処理し、そしてPBSにより再びすす
いだ。
4. 免疫染色工程 処理に続いて、前記のようにして、SSBSA又はABC法の
いづれかを用いて、3段階免疫染色技法により処理した
(Shiなど.,J.Histochem.Cytochem.(1991)39:741)。
手短に言えば、スライドを、室温で一晩一次抗体と共
に、続いてリンク(BioGenex Super Sensitiveビオチニ
ル化抗−マウス免疫グロブリン又はVectorビオチニル化
抗−マウス免疫グロブリン)と共に40〜60分間インキュ
ベートした。ラベル(BioGenex Super Sensitive Alkal
ineホスファターゼ接合ストレプタビジン又はペルオキ
シダーゼ接合ストレプタビジン及びVector ABC)を、40
〜60分間にわたって添加した。スライドを、インキュベ
ーションの間、PBSにより3度、それぞれ15分間すすい
だ。ファーストレッド又はDABクロモゲンのいづれか
を、基質として使用した。免疫染色結果を、光顕微鏡に
より照合した。
一次抗体を、負の対照スライドのために非特異的マウ
ス腹水又はPBSのいづれかにより置換した。
5. 結果 一定して処理されたセロイジン−包埋された断片上に
使用される15のモノクローナル抗体の免疫反応性が第2
表に要約されている。
染色結果は、7つのモノクローナル抗体のために強い
陽性染色、4つの抗体のために中ぐらいの陽性染色及び
1つの抗体のために弱い陽性染色を示した。3つの抗体
は負の結果を示した。種々の断片間に免疫反応性の有意
な差異は存在しなかった。すべての負の対照スライド
(PBS又は非特異的マウス腹水)は、負の染色を示し
た。SSBSAシステムにより得られた免疫染色の強さは、A
BCシステムにより得られる強さよりも強かった。
ケラチン(AEI及びNCL−5D3)、ビメンチン、ニュー
ロフィラメント、筋肉特異的アクチン、S−100タンパ
ク質、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、グリア細
繊維酸性タンパク質(GFAP)及び他のものに対するモノ
クローナル抗体の免疫反応性は、強い陽性の結果を示し
た。アルデヒド開放性試薬による処理に続いて、モノク
ローナル抗−ケラチン抗体NCL−5D3及びAE1により免疫
染色された一定のセロイジン包埋されたヒト側頭骨断片
においては、蝸牛殻管をおおうすべての上皮細胞は、抗
−ケラチン抗体により直接的にラベルされた。コルティ
の器官内でのケラチン局在化はまた、識別され得る。ケ
ラチン免疫反応性は、すべての上皮細胞が免疫組織化学
的染色により正確に示されるほど明確に示した。
アルデヒド開放性試薬溶液による処理の後、モノクロ
ーナル抗体により免疫染色された他のセロイジン包埋さ
れた側頭骨断片はまた、強い陽性結果を示した。ニュー
ロン特異的エノラーゼ(NSE)に対する抗体は、らせん
状ガングリオンニューロン及びニューロン繊維に局在化
された。抗−NSE免疫染色は、コルティの器官における
内部髪細胞内に局在化されるが、しかしたぶんシナプス
及び末端神経ブランチに存在する外部髪細胞の底部でを
除いて、外部髪細胞には不在であった。グリア細繊維酸
性タンパク質(GFAP)は、グリア−Schwann連結部にそ
って脳側部のみに局在化された。デスミンは、抗−デス
ミン抗体により張筋鼓膜筋肉に局在化された。抗−デス
ミン抗体によるこのラベリングは、マイクロ−切開法を
用いては不可能であった(Bauwensなど.,Acta Otolaryn
gol.(1990)Suppl.470:34)。外耳管における皮膚及び
真皮の付属器官はまた、いくつの抗体、たとえばケラチ
ン及びアクチンにより陽性に染色された。チューブリン
は全側頭骨のほとんどの上皮及び間葉細胞に広く局在化
された。
第2表.一定して処理されたセロイジン包埋されたヒト
側頭骨断片に対する免疫組織化学的染色 モノクローナル抗体 結 果 ケラチン: AEI +++ NCL−5D3 +++ ビメンチン +++ NF +++ GFAP +++ デスミン ++ ミオグロビン ++ α−チューブリン ++ β−チューブリン + 筋肉特異的アクチン +++ クロモグラニン − α−アクチニン − EMA − NSE ++ S−100 +++ 免疫反応性は−〜+++の規模で評価され、−は非反
応性であり、そして+++は高い反応性である。
例2:アルデヒド開放性試薬としての酸化剤 1. 溶液の調製 蒸留水溶液中、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)が、
それらの実験に使用される塩基性試薬の1つの配合物を
提供する。0.01〜0.005gのNaClOを、カッ色ボトルにお
ける蒸留水100mlに添加した。その溶液を振盪により混
合し、そして室温で貯蔵する。
2. 組織断片の処理 脱パラフィン化された組織スライドを蒸留水で10分間
洗浄した。スライドを、アルデヒド開放性試薬溶液、す
なわち希釈過塩素酸ナトリウム(水)溶液に10分間含浸
した。
3. 免疫染色工程及び結果 3段階免疫染色技法により処理した。手短に言及すれ
ば、スライドを一次抗体と共に室温で一晩インキュベー
トし、続いてリンク(BioGenex Super Sensitiveビオチ
ニル化された抗−マウス免疫グロブリン又はVectorビオ
チニル化された抗−マウス免疫グロブリン)と共に20〜
30分間インキュベートした。ラベル(BioGenex Super S
ensitive Alkalineホスファターゼ接合ストレプタビジ
ン又はペルオキシダーゼ接合ストレプタビジン及びVect
or ABC)を20〜30分間にわたって添加した。インキュベ
ーションの間、スライドを、PBSにより3度、それぞれ1
5分間すすいだ。ファーストレッドxはDABクロモゲンの
いづれかを基質として使用した。免疫染色結果を、光顕
微鏡により検証した。陽性結果が見られた。
例3:アルデヒド開放性試薬としての有機酸/塩基対 脱パラフィン化された組織スライドを蒸留水で10分間
洗浄した。そのスライドを、クエン酸の5〜10%水溶液
により充填した。10〜30分後、そのスライドを、水酸化
ナトリウムの10%メタノール性/水溶液(例1に示され
るようにして調製された)により10〜30分間、充填し
た。免疫染色は例2に示されるようにして進行し、そし
て陽性結果が見られた。
本発明は十分に記載されて来たが、当業者が本発明の
範囲内で変更及び修飾を行なうことができることは明ら
かであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 カーラ,クリシャン エル. アメリカ合衆国,カリフォルニア 94583,サンラモン,ノーリス キャニ オン ロード 4600 (72)発明者 マルホトラ,ナゲシュ アメリカ合衆国,カリフォルニア 94583,サンラモン,ノーリス キャニ オン ロード 4600 (72)発明者 ス,シェン−フイ アメリカ合衆国,カリフォルニア 94583,サンラモン,ノーリス キャニ オン ロード 4600 (72)発明者 ユ,チェン ジ アメリカ合衆国,カリフォルニア 94583,サンラモン,ノーリス キャニ オン ロード 4600 (56)参考文献 THE JOURNAL OF HI STOCHEMISTRY AND C YTOCHEMISTRY,VOL. 39,NO.6,(1991),P.741−748 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/53 G01N 1/28 G01N 1/30 G01N 33/547

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルデヒド固定化剤により固定化され、そ
    して包埋媒体に包埋された組織の免疫反応性を再生する
    ための方法であって: a)上記包埋媒体のための溶媒及びアルデヒド開放性試
    薬と上記組織とを接触させ; b)実質的に不可逆的なやり方で上記アルデヒドを反応
    させて非アルデヒド誘導体を形成せしめることにより、
    上記アルデヒド開放性試薬により開放されるアルデヒド
    を上記組織から除去し;そして c)上記組織から過剰のアルデヒド開放性試薬を除去し
    又は中和する、 段階を含む方法。
  2. 【請求項2】前記溶媒が、メタノール、エタノール、プ
    ロパノール、ブタノール、エチレン・グリコール及びグ
    リセロールから成る群から選ばれる、請求の範囲第1項
    記載の方法。
  3. 【請求項3】前記アルデヒド開放性試薬が、求核性塩
    基、酸化剤及び有機酸/塩基対から成る群から選ばれ
    る、請求の範囲第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】前記アルデヒド開放性試薬が水性又は有機
    溶液である、請求の範囲第3項記載の方法。
  5. 【請求項5】前記アルデヒド開放性試薬が酸化剤であ
    る、請求の範囲第1項記載の方法。
  6. 【請求項6】前記アルデヒド開放性試薬が求核性塩基で
    ある、請求の範囲第1項記載の方法。
  7. 【請求項7】段階a)において、前記組織とカオトロピ
    ズム剤とを接触させることをさらに含む、請求の範囲第
    1項記載の方法。
  8. 【請求項8】前記組織が脱カルシウム化された組織を含
    む、請求の範囲第6又は7項記載の方法。
  9. 【請求項9】ホルムアルデヒド固定化剤により固定さ
    れ、そして包埋媒体に包埋された組織の免疫染色に使用
    するためのキットであって: a)求核性塩基、酸化剤及び有機酸/塩基対から成る群
    から選ばれたアルデヒド開放性試薬及び溶媒を含むアル
    デヒド開放性試薬溶液を含む第1容器;及び b)(1)免疫染色試薬又は(2)過剰のアルデヒド開
    放性試薬を除去するための洗浄溶液を含む第2容器、 を含むキット。
  10. 【請求項10】前記アルデヒド開放性試薬溶液が求核性
    塩基を含み、前記包埋媒体がセロイジンを含み、前記免
    疫染色試薬が抗体を含み、そして前記組織が脱カルシウ
    ム化されている、請求の範囲第9項記載のキット。
  11. 【請求項11】アルデヒド固定化剤により固定化された
    組織の免疫反応性を再生するための方法であって、当該
    組織を求核性塩基、酸化剤及び有機酸/塩基対から成る
    群から選ばれたアルデヒド開放性試薬と接触させること
    を含んで成る方法。
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