JP3107956B2 - 振動波駆動装置 - Google Patents

振動波駆動装置

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JP3107956B2 JP05224746A JP22474693A JP3107956B2 JP 3107956 B2 JP3107956 B2 JP 3107956B2 JP 05224746 A JP05224746 A JP 05224746A JP 22474693 A JP22474693 A JP 22474693A JP 3107956 B2 JP3107956 B2 JP 3107956B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気信号を印加すること
により、振動体に進行性振動波を生じさせ、この振動体
に接触する移動体との間の摩擦駆動で相対移動を起こさ
せる振動波モータ、特に高トルク高精度型の振動波駆動
装置の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3は従来の振動波駆動装置としての
動波モータの縦断面図、図4の(a)は電極構成図、図
4の(b)はステータの展開側面図、図5は加圧用の圧
縮ばね部材である。
【0003】図3及び図4において、1は厚さbの薄い
円環形状の圧電素子で、弾性材料からなりλ/2あたり
4個の突起を等間隔に全周にわたり形成した振動体2に
ベタ電極面を固着してステータとしている。
【0004】圧電素子1の他面の電極構成は図4の
(a)に示す通り、励起されるべき振動数の波長λに対
し、交互に逆の伸縮極性となるようλ/2ピッチで分極
された駆動用のA電極群(A1 〜A8 )及びB電極群
(B1 〜B8 )と、これらA及びB電極間にあり、それ
ぞれの電極群の振動状態を検出するλ/4ピッチの振動
検出用電極SA 及びSB と、他に接地用の3つの共通電
極Gからなっている。
【0005】前記の駆動用A電極群(A1 〜A8 )に対
し駆動用B電極群(B1 〜B8 )は3/λずれたピッチ
で配置され、一方振動検出用の電極SA 及びSB は駆動
用のA電極群(A1 〜A8 )及びB電極群(B1
8 )によるそれぞれ定在波の実質的に腹の位置を中心
として配置されている。
【0006】図4の(b)において、振動体2の突起
は、軸心に対して一定幅(t)のスリットを入れること
で形成されるが、Hは振動体2の全高さ、hはスリット
深さである。
【0007】更に図4の(b)に示したように圧電素子
1の振動検出用の電極SA 及びSBの中央点を振動体2
のスリット部の中央点に合致させてステータとしている
ので、駆動用のA電極群(A1 〜A8 )或いはB電極群
(B1 〜B8 )の中央点は全てスリット部の中央点に合
致している。
【0008】図3において、圧電素子1は耐熱性のある
エポキシ系接着剤で振動体2の裏面に同心的にかつ振動
体2のスリット位置に対し前述の通りの電極構成を特定
して固着している。
【0009】3は熱伝導性の優れた材料からなる筐体
で、振動体2の接触部の内径側の薄板円板部2aを介し
て振動体2を強固にビス4で固定している。
【0010】又筐体3の中心部の内径嵌合部3aには第
1のボール軸受11がその外輪11aを固着して設けら
れている。
【0011】10は中間にフランジ部10cが、例えば
焼ばめ等で固着された回転軸であり、その一端部10a
は第1のボール軸受11の内輪に軸方向摺動可能に支持
され、また他端部10bは筐体カバー8の中心部に筐体
3とは反対側に張り出た軸受嵌合部8aに外輪12aを
固着して設けられた第2のボール軸受12の内輪12b
に軸方向摺動可能に支持されている。回転軸10の他端
10bには又エンコーダの入力軸を固定するための内径
嵌合部10e及び固定ネジ孔10dが設けられている。
【0012】15は回転軸10のフランジ部10cにネ
ジ16で同心的に固定された円盤形状の中間部材であ
り、外周端部には環状の移動体7が同心的に嵌合して設
けられている。この移動体7は複合樹脂からなる環状の
摺動体6と摺動体6をエポキシ系接着剤で同心的に固着
した例えばアルミ合金からなる支持体5とで形成されて
おり、この摺動体6が振動体2の摺動面2bに接触す
る。尚、図3に示すように、支持体5にはこの接触部の
径側に薄板円環部5aが形成されている。
【0013】移動体7はゴム製の弾性シート部材17を
介して前記の中間部材15に支持されており、中間部材
15のフランジ部15aと第2のボール軸受12の内輪
12aとの間に設けられた例えば図5に示すダイヤフラ
ム形状の圧縮ばね部材14が発生する軸方向荷重が、弾
性シート部材17を介して支持体5の軸方向に与えられ
て、振動体2の摺動面2bと移動体7の摺動体6が加圧
接触している。
【0014】8は前記の筐体カバーであり、ネジ9によ
り筐体3に固定されている。
【0015】筐体カバー8に設けられた第2のボール軸
受12の内輪12bとの間には図示されていないスペー
サ部材が設置され、圧縮ばね部材14の発生する軸方向
荷重を調整することが可能である。
【0016】前記の振動波モータの要求特性は下記第1
表の通りであり、又設計仕様は下記第2表の通りであ
る。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら従来
型の振動波モータでは加圧用の圧縮ばね部材14を第2
のボール軸受12と円盤形状の中間部材15の間に配置
し、圧縮ばね部材14の軸方向荷重の作用点を中間部材
15の薄板円環からなるフランジ部15aとしたため、
振動波モータの軸方向寸法が大となり、振動波モータに
突出部が形成され、偏平化のためのさまたげとなってい
た。
【0019】
【0020】また、従来型の振動波モータを要求時性に
対応して評価したところ下記のように不満足な点があっ
た。
【0021】振動波モータの回転軸をトルク計に固定
し、定格回転数の22.5rpmで、順次入力を大にし
ていくと定格トルク8kgcmは得られたが、わずかに
ビビリ音が発生しており、トルクの時間変動をみると不
安定であった。次にトルク対回転数特性を同様に入力を
大にして測定したが、いずれの特性カーブもトルクが8
kgcm近辺で回転数が低下するいわゆる「脱調現象」
が見られた。
【0022】次に分解能が81000PPRのレーザ
ロータリーエンコーダを回転軸の一端に固定し、他端に
1kgcmの負荷をつけ回転数33.3rpmで駆動
し、フラッタメータで回転精度を測定したところカット
オフ周波数500Hzで0.04%RMSと要求特性を
満たさなかった。
【0023】更に33.3rpm1kgcmで回転精
度を測定しながら2.000時間の連続運転を行ったと
ころフラッター値が0.025%RMSと変っていた。
【0024】2000時間の連続運転後、再び定格回
転数22.5rpmで駆動するとわずかにあったビビリ
音の発生がなくなり8kgcmの安定したトルク値が得
られた。又トルク対回転数特性を測定してみると8kg
cm近辺の高トルク領域での「脱調現象」が緩和され、
定格の22.5rpm.8kgcmを通る特性カーブが
得られた。
【0025】従来型の振動数モータは図3に見られるよ
うに、ステンレスからなる振動体2は移動体7との接触
部に対し、内径側の薄板円板部2aを介して支持されて
おり、一方移動体7のアルミ合金からなる支持体5は振
動体2との接触部の径側に薄板円環部5aが形成され
ている。
【0026】従って圧縮ばね部材14の発生する軸方向
荷重が前記の振動体2に対し前記の移動体7を加圧接触
した状態では、摺動体6の内径側で接触する傾向があ
り、こうした振動体2と移動体7の接触状態でモータを
駆動し、トルクを大きくしていくと、特定のトルク値で
回転数が一気に低下するいわゆる「脱調現象」が発生し
やすくなる。
【0027】長時間の連続運転を行うと、複合樹脂から
なる摺動体6の内径側から摩耗が進みその結果接触面積
が大きくなるので「脱調現象」が緩和しより高トルク化
が可能となり、又より安定した接触状態が得られたので
回転精度が向上したと思われる。
【0028】
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明は、進行性振動波
を生ずる振動体と、この振動体に一方面側で接触して振
動体の進行性振動波により摩擦駆動で回転される移動体
と、前記移動体の回転を取出すように前記移動体に連結
された回転軸とを備えた振動波駆動装置において、前記
移動体は中間部材を介して前記回転軸に連結し、前記中
間部材は内径部での前記振動体と対向する面の裏面側に
凹所を形成し、前記凹所の内部に前記移動体を前記振動
体に圧接するための圧縮ばね部材および前記回転軸を支
承する軸受を配置したことを特徴するもので、こうした
構造を採用することで振動波駆動装置の偏平化をはかる
ものである。
【0030】
【0031】
【実施例】以下本発明を図面に示す実施例に基づいて、
詳細に説明する。
【0032】図1は本発明による振動波駆動装置を適用
した振動波モータの第1の実施例を示す縦断面図、図2
は加圧用の圧縮ばね部材である。
【0033】図1において、1は圧電素子、2は振動
体、3は筐体、4はネジ、5は支持体、6は複合樹脂か
らなる摺動体、7は移動体、9はネジ、11は第1のボ
ール軸受、12は第2のボール軸受、17は弾性シート
部材で以上の構成部品は図3の従来型の振動波モータと
同等であり、詳しい説明は省略する。
【0034】100は中間にフランジ部100cを固着
した回転軸で、一端100aは第1のボール軸受11の
内輪11b、他端100bは第2のボール軸受12の内
輪12bにそれぞれ軸方向摺動自在かつ回転自在に支承
されている。
【0035】215は回転軸100のフランジ部200
cにネジ116で同心的に固定された円筒形状の中間部
材であり、外周部端には環状の移動体7が同心的に嵌合
して設けられている。
【0036】移動体7はゴム製の弾性シート部17を介
して、中間部材215の厚板としたフランジ部215a
で支持されている。
【0037】前記中間部材215には内径部に凹所21
5bが形成されており、凹所215bの壁215cと第
2のボール軸受12の内輪12aとの間に設けられた例
えば図2に示すダイヤフラム形状の圧縮ばね部材114
が発生する軸方向荷重が弾性シート部材17を介して支
持体5の軸方向に与えられて振動体2の摺動面2bと移
動体7の摺動体6が加圧接触している。
【0038】108は筐体カバーであり、ネジ9により
筐体3に固定されるものであり、その中央部の筐体3側
に張出した軸受嵌合孔108aに第2のボール軸受12
が嵌合されている。
【0039】第1のボール軸受11の外輪11a及び第
2のボール軸受12の外輪12aはそれぞれ筐体3及び
筐体カバー108の軸受嵌合部3a及び108aに接着
剤で固着されているのは図3の従来型の振動波モータと
同じである。
【0040】以上が本発明の第1の実施例の振動波モー
タの基本構造であるが、従来型の振動波モータの加圧用
の圧縮ばね部材14に対し、より径の小さい加圧用の圧
縮ばね部材114を採用し、中間部材215を全体的に
より厚板とし剛性が大きい円筒形状とし、一方で内径部
に凹所を設けて、前記の圧縮ばね部材114を収容し、
圧縮ばね部材114が発生する軸方向荷重がそのまま移
動体7に伝達するようにした。更に円筒形状の中間部材
215の凹所に筐体カバー108に設けられる第2のボ
ール軸受が配置するようにした。このため、本実施例の
振動波モータの偏平化が可能となった。
【0041】図6は本発明による振動波駆動装置を適用
した振動波モータの第2の実施例を示す縦断面図であ
る。
【0042】第1の実施例では板状の圧縮ばね部材を用
いていたのに対し、本実施例ではコイル状の圧縮ばね部
材を採用している。
【0043】図6において、315は図1の円筒形状の
中間部材215とほぼ同形状の中間部材で、やはり内径
部に凹所315aが形成されている。そして中間部材3
15は回転軸100のフランジ部200cに嵌合される
とともにネジ16で固定されており、又外周部端には移
動体7を同心的に嵌合させて支持している。第1の実施
例と同様にネジ9で筐体3に固定される筐体カバー10
8の中央部の筐体3側に張出した軸受嵌合孔108aに
は第2のボール軸受12が設けられている。
【0044】214は中間部材315の内径部に設けら
れたコイル状の圧縮ばね部材で、回転軸100のフラン
ジ部200cと第2のボール軸受12の内輪12aで挟
持され軸受荷重を発生する。
【0045】図7は本発明による振動波駆動装置を適用
した振動波モータの第3の実施例を示す縦断面図であ
る。
【0046】図7において、1は圧電素子、2は振動
体、3は筐体、4はネジ、6は複合樹脂からなる摺動
体、9はネジ、11は第1のボール軸受、12は第2の
ボール軸受、108は筐体カバーで以上の構成部品は図
3の従来型の振動波モータと同等であり、詳しい説明は
省略する。又100は図1の第1の実施例で説明した回
転軸である。
【0047】115は回転軸100のフランジ部100
cにネジ116で同心的に固定された円筒形状の中間部
材であり、外周部端には環状の移動体107が同心的に
嵌合して設けられている。
【0048】この移動体107は複合樹脂からなる環状
の摺動体6と摺動体6をエポキシ系接着剤で同心的に固
着した例えばアルミ合金からなる支持体105とで形成
されており、この摺動体6が振動体2の摺動面2aに接
触するのは従来型の振動波モータと同じである。
【0049】しかし本実施例の支持体105は従来型
の支持体5が図3に示しすように、振動体2と摺動体6
の接触部の径側に薄板円環部5aを形成していたのに
対し、図7に示すように、接触部の径側に薄板円環部
105aを形成している点で異なる。
【0050】移動体107はゴム製の弾性シート部材1
17を介して、中間部材115の厚板としたフランジ部
115aで支持されている。
【0051】前記中間部材115には内径部に凹所11
5bが形成されており、凹所115bの壁115cと第
2のボール軸受12の内輪12aとの間に設けられた例
えば図2に示すダイヤフラム形状の圧縮ばね部材114
が発生する軸方向荷重が弾性シート部材117を介して
支持体105の軸方向に与えられて振動体2の摺動面2
bと移動体107の摺動体6が加圧接触している。
【0052】以上が第3の実施例の振動波モータの基本
構造であるが、加圧用の圧縮ばね部材114の発生する
軸方向荷重は比較的厚板で剛性が大きい円筒形状の中間
部材115を介して移動体107に付加されることにな
る。
【0053】その際移動体107の支持体105は
図7に示すように、振動体2の摺動面2bと摺動体6の
接触部の径側に薄板円環部105aが形成されている
ため、摺動体6は内径側において撓み量が大きくなる。
【0054】一方振動体2の摺動面2bは内径側の薄
板円板部2aを介して筐体3に支持されているため、外
径側において撓み量が大きくなる。
【0055】前記の通り、振動体2の摺動面2bと摺動
体6との接触部の内径側の薄板円板部2aを介して筐体
3に支持された従来型の振動体2に対し接触部の
側に薄板円環部105aを形成した移動体107を組合
せ、圧縮ばね部材114の軸方向荷重を回転軸100と
連結する円筒形状の中間部材115を介して移動体10
5に付加した。
【0056】その結果移動体107の摺動体6は振動体
2の摺動面2bの軸方向の傾きにならうことなり大きな
接触面積が得られた。
【0057】本実施例の振動波モータを要求特性に対応
して評価したところ下記のような結果を得た。
【0058】定格回転数22.5rpmで、入力を大
にしていくと、定格トルク8kgcmが得られ、ビビリ
音の発生もなくトルクの時間移動も安定していた。又ト
ルク対回転数特性を入力を大にして測定したが、いずれ
の特性カーブもトルクが8kgcm以上あり「脱調現
象」の緩和が見られた。
【0059】レーザーロータリーエンコーダを用いて
の回転精度の測定では、従来型と同条件で0.02%R
MSと要求特性を満たしていた。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では従来の
振動波駆動装置の基本的な設計仕様を変えることなく、
要求特性を満たす、軸方向寸法が短かく、かつ偏平な振
動波駆動装置が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す振動波モータの断
面図。
【図2】図1の圧縮バネ部材の正面図。
【図3】従来の振動波モータの断面図。
【図4】図3のステータを示し、(a)は電極構成を示
す図、(b)は展開側面図。
【図5】図3の圧縮バネ部材の正面図。
【図6】第2の実施例を示す振動波モータの断面図。
【図7】第3の実施例を示す振動波モータの断面図。
【符号の説明】
1…圧電素子 2…振動体 3…筐体 5,105…
支持体 6…摺動体 7,107…
移動体 8,108…筐体カバー 10,100
…回転軸 12…第2のボール軸受 14,114
…圧縮バネ部材 15,115,215,315…中間部材

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 進行性振動波を生ずる振動体と、この振
    動体に一方面側で接触して振動体の進行性振動波により
    摩擦駆動で回転される移動体と、前記移動体の回転を取
    出すように前記移動体に連結された回転軸とを備えた振
    動波駆動装置において、前記 移動体は中間部材を介して前記回転軸に連結し、前
    記中間部材は内径部での前記振動体と対向する面の裏面
    側に凹所を形成し、前記凹所の内部に前記移動体を前記
    振動体に圧接するための圧縮ばね部材および前記回転軸
    を支承する軸受を配置したことを特徴する振動波駆動装
  2. 【請求項2】 前記軸受としてボール軸受を用いたこと
    を特徴とする請求項1の振動波駆動装置
  3. 【請求項3】 前記圧縮ばね部材が板材より形成された
    ことを特徴とする請求項1または2の振動波駆動装置
  4. 【請求項4】 前記圧縮ばねの軸方向荷重が前記ボール
    軸受と前記中間部材の凹所の壁に挟持されることにより
    発生することを特徴とする請求項2または3の振動波
    動装置
  5. 【請求項5】 前記圧縮ばね部材がコイルばねであるこ
    とを特徴とする請求項1または2の振動波駆動装置
  6. 【請求項6】 前記圧縮ばねの軸方向荷重が前記ボール
    軸受と前記回転軸のフランジ面に挟持されることにより
    発生することを特徴とする請求項2または5の振動波
    動装置
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