JP3106871B2 - 非水溶性物質又は難水溶性物質の貯蔵構造及び該物質の貯蔵方法 - Google Patents

非水溶性物質又は難水溶性物質の貯蔵構造及び該物質の貯蔵方法

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JP3106871B2 JP06207672A JP20767294A JP3106871B2 JP 3106871 B2 JP3106871 B2 JP 3106871B2 JP 06207672 A JP06207672 A JP 06207672A JP 20767294 A JP20767294 A JP 20767294A JP 3106871 B2 JP3106871 B2 JP 3106871B2
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A20/00Water conservation; Efficient water supply; Efficient water use

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばLPG、石油
類、その他の各種気体などからなる非水溶性物質又は難
水溶性物質の貯蔵構造及びこれらの物質の貯蔵方法に関
し、特に、地中に形成した空洞を利用した非水溶性物質
又は難水溶性物質の貯蔵構造及びこれらの物質の貯蔵方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、石油やガスやその他のエネルギ
ー資源を貯蔵するための貯蔵タンクとして、鉄やその他
の金属製の材料からなる貯蔵タンクが知られている。こ
れらの貯蔵タンクは、金属自体が持つ液密性・気密性を
利用してその安全性を確保するもので、地上あるいは地
中に設置されて用いられている。
【0003】一方、近年、特にエネルギー資源の重要性
が叫ばれるようになったことから、大容量の貯蔵タンク
の開発が望まれるとともに、金属製の材料からなる貯蔵
タンクでは大容量の貯蔵タンクを経済的に構築すること
が困難であるため、かかる従来の金属製の貯蔵タンクに
代わるものとして、地中に形成された岩盤空洞を利用し
た大容量の岩盤タンクが実施化されている。
【0004】かかる岩盤タンクは、地下水位より下方の
岩盤に地下空洞を形成し、タンクの安全性に必要な液密
性・気密性は、岩盤内の微細な亀裂を経てタンクの外周
に負荷される水圧によって貯蔵物を封じ込めるというい
わゆる「水封の原理」よって保持するものである。そし
てこの水封式岩盤タンクによれば、大容量のエネルギー
資源の貯蔵が可能となることに加えて、地上の火災等に
対しても安全であるとともに自然の景観や自然環境を最
大限に維持でき、また地表の利用状況に応じて土地を立
体的に活用することができ、さらに地表設備を最小限の
ものに留めることができるとともに維持管理の省力化を
図ることができるという利点を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記水
封式の岩盤タンクは、上述の如き利点を有する一方で、
液密性・気密性を得るための岩盤内の地下水位を確保す
ることが困難であるとともに、岩盤の亀裂の状態や透水
性を正確に把握することが困難であるため、岩盤の亀裂
が大きく透水性が高い場合には、タンク内への湧水量が
増加して排水処理の負担が増すとともに、地下水位の低
下を来して所望の液密性・気密性を得ることが出来なく
なる惧れがあるという課題がある。また、かかる場合に
は、岩盤内の亀裂に例えばセメントグラウトなどを流し
込み、亀裂を目詰まりさせて岩盤の透水性を調整する方
法が提案されているが、グラウトによる透水性の改良効
果を正確に把握することが困難であるとともに、かかる
グラウト作業のために多大な費用を必要とするという課
題がある。さらに、例えば岩盤タンクとしての岩盤トン
ネルの掘削施工中に、地下水位が低下して亀裂から地下
水が流出すること等により、ひとたび岩盤が不飽和状態
になると、当該岩盤を再び飽和状態に戻すのは困難であ
るため、岩盤トンネルの施工は、岩盤からの湧水状況を
慎重に管理しながら行なう必要があるという課題があ
る。
【0006】そこで、この発明は、かかる従来の課題を
解決するためになされたもので、地中に形成した空洞内
にエネルギー資源たる非水溶性物質又は難水溶性物質を
貯蔵するための貯蔵構造及び貯蔵方法であって、空洞周
囲の地盤が岩盤である否かにかかわらず、また岩盤であ
る場合でも岩盤内の亀裂の状況や当該亀裂内における地
下水の飽和状況にかかわらず、簡易な構成によって貯蔵
物質を貯蔵するのに必要な液密性・気密性を確保して、
非水溶性物質又は難水溶性物質を容易かつ安全に地下空
洞内に貯蔵することのできる非水溶性物質又は難水溶性
物質の貯蔵構造及びこれらの物質の貯蔵方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するためになされたもので、その要旨は、地中に形
成された空洞と、該空洞内に充填された充填水と、該空
洞内に挿入設置された有孔性膜部材からなる袋体と、該
袋体の内部と連通して設置された輸送配管を介して該袋
体内に給送されることにより、該袋体を充填水の水圧に
抗して押し拡げて当該袋体内に貯蔵される非水溶性物質
又は難水溶性物質とからなることを特徴とする非水溶性
物質又は難水溶性物質の貯蔵構造にある。
【0008】ここで、この発明における空洞は、当該貯
蔵構造のために新たに掘削形成されるトンネル、縦穴そ
の他の地下空洞の他、廃坑や自然に形成された天然の空
洞等種々の空洞を使用することができる。
【0009】また、空洞内に充填される充填水は、地上
から給送される水道水や湖水、河川水等の他、地下水等
をそのまま使用することができ、また、これらの水にグ
ラウト等を混入してその比重を調整したものを使用する
こともできる。すなわち、人為的に投入されるものの
他、自然水をも利用することができる。
【0010】さらに、上記記載における有孔性膜部材か
らなる袋体とは、水が接触すると水の表面張力により水
膜を形成し得るような微細な孔を多数有する、例えば布
地、織物、スポンジ等からなる膜部材を用いて形成され
た袋体をいう。
【0011】そして、この発明の他の要旨は、立坑を経
て地上と連絡して地中に形成された空洞内に、充填水を
充填するとともに有孔性膜部材からなる袋体を挿入設置
し、前記立坑を介して地上と前記袋体の内部とを連通す
る輸送配管を配置し、該輸送配管を介して非水溶性物質
又は難水溶性物質からなる貯蔵物質を前記袋体内に給送
することにより前記袋体を充填水の水圧に抗して押し拡
げ、前記貯蔵物質を、前記袋体内に、袋体の外周からの
充填水による水圧が負荷された状態で気密貯蔵すること
を特徴とする非水溶性物質又は難水溶性物質の貯蔵方法
にある。
【0012】なお、上記記載において、立坑とは、地上
と空洞とを連通する坑道を意味し、鉛直方向に形成され
るいわゆる立坑の他に斜坑等も含むものである。
【0013】
【作用】この発明の非水溶性物質又は難水溶性物質の貯
蔵構造によれば、袋体を水圧に抗して押し拡げて当該袋
体内に貯蔵される非水溶性物質又は難水溶性物質は、袋
体を構成する有孔性膜部材の各微細孔に表面張力により
形成された水膜及び充填水による水圧によって、かつそ
の非水溶性又は難水溶性の物性によって、袋体の外部に
流出することなく袋体の内部に気密状態で保持されると
ともに、空洞内に充填された充填水からの静水圧によ
り、所定の圧力が負荷された状態で空洞内に貯蔵され
る。また、貯蔵物質に負荷するための所望の圧力は、自
然又は周辺の地下水位の高低にかかわらず、空洞の上方
における充填水の水位を調整することにより容易に管理
することができる。
【0014】そして、この発明の非水溶性物質又は難水
溶性物質の貯蔵方法によれば、地中の所定の深度に空洞
が形成された後は、地上からの作業によって、所定の圧
力が負荷された状態で貯蔵物質を容易に地下空洞内に貯
蔵することができる。
【0015】
【実施例】以下、この発明の非水溶性物質又は難水溶性
物質の貯蔵構造及びこれらの物質の貯蔵方法を添付図面
を参照しつつ詳細に説明する。図1はこの発明の一実施
例にかかる貯蔵構造30の全体構成を示すものである。
すなわち、この実施例の貯蔵構造物30は、地盤1の所
定の深度に形成された空洞2と、この空洞2と地上とを
連通すべく設けた立坑3内において所定の水位を保持し
つつ、空洞2内に充填される充填水10と、空洞2の内
部に挿入設置される有孔性膜部材からなる袋体5と、袋
体5の内部と地上とを連通する輸送配管としての受払パ
イプ6を介して地上から袋体5の内部に給送された貯蔵
物質7とによって構成されている。
【0016】ここで、貯蔵構造30を設置する地盤1
は、岩盤等の透水係数が僅かであるとともに安定した地
盤であることが望ましいが、形成された空洞2の形状を
保持することができ、かつ透水係数が小さくしかも充填
水10の立坑3内等における水位を一定に保つことが容
易であるため充填水による袋体1への所定の圧力を容易
に保持しうるような地盤であれば、粘土層やシルト層等
のその他の土質の地盤1にも設置することができる。
【0017】また、貯蔵構造30を構成する空洞2は、
各種の既存のトンネル掘削工法や縦穴掘削工法を用いて
新たに掘削形成した空洞2の他、例えば鉱石の採掘のた
めに用いられていた廃坑や天然の空洞をそのまま利用す
ることもできる。
【0018】そして、空洞2内に充填される充填水10
としては、水道水、湖水、河川水、海水、下水処理水等
を用いることができるほか、これらにグラウト、ベント
ナイト等の添加材を混入して比重を調整したものを用い
ることもできる。なお、地盤1の透水性により空洞2内
の充填水10が周囲の地盤1に流出しても、立坑3内に
充填水10を補充することにより、容易にその水位を所
定の高さに保持しておくことができる。
【0019】また、貯蔵構造30を構成する袋体5は、
有孔性膜部材すなわち布地、織物、スポンジ等の水が接
触するとその表面張力により水膜を形成し得るような微
細な孔を多数有する膜部材を袋状にして形成されたもの
で、折り畳み自在であるとともに、内部に貯蔵物質7が
給送され押し拡げられた状態においては、空洞2と略同
様の形状及び大きさとなるものである。また、袋体5の
上端部には、立坑3内に立設配置されて地上と連通する
受払パイプ6が取り付けられ、これを介して後述する貯
蔵物質7が袋体5の内部に給送される。
【0020】そして、袋体5すなわち空洞2の内部に貯
蔵される貯蔵物質7は、例えばLPG(液化石油ガ
ス)、石油類、その他の各種気体や液体などからなる、
エネルギー資源となりうるような物質で、かつ非水溶性
又は難水溶性のものである。すなわちかかる貯蔵物質7
は、地上から受払パイプ6を介して袋体5に給送され、
充填水10による水圧に抗して袋体5を押し拡げつつ袋
体5の内部に貯蔵される。そして、かかる貯蔵物質7
は、非水溶性又は難水溶性のものであるため、袋体5を
構成する有孔性膜部材の各微細孔に充填水10の表面張
力により形成された水膜によって、袋体5の外部に流出
することなく袋体5の内部に気密状態で貯蔵されるとと
もに、立坑3内の水位によって定まる空洞2内の充填水
の静水圧により、所定の圧力が負荷された状態で空洞2
内に貯蔵されることになる。なお、この実施例は、水よ
り比重の小さいLPGを貯蔵物質7として貯蔵するもの
で、図1に示すように、袋体5内の上部にはガス状のL
PG7aが袋体5内の中央部分には液状のLPG7bが
各々貯蔵されている。
【0021】また、この実施例の貯蔵構造30では、袋
体5内の底部から立坑3を経て地上に連通開口する排水
パイプ8が立設配置され、これを介して袋体5内の底部
に流入堆積した流入水9を地上に排出できるようになっ
ている。すなわち、排水パイプ8はその下端部分に流入
水9中に浸漬する有孔部8aを有し、この排水パイプ8
内にポンプを設置することにより、当該流入水9を容易
に地上に排出することができる。
【0022】そして、この実施例の貯蔵構造30を地中
に設置するには、まず空洞2と地上とを連絡すべく掘削
形成した立坑3を介して空洞2内に充填水10を充填す
る。また、折り畳んだ状態とした袋体5を立坑3を介し
て空洞2内に挿入設置するとともに、袋体5の上端部に
設けた受払パイプ6を立坑3に設置固定する。なお、空
洞2及び立坑3をドライな状態で形成しうるような地盤
の場合には、空洞2内に袋体5を設置した後に充填水1
0を充填することもできる。
【0023】そして、立坑3における充填水10の水位
を所定の高さに保ちつつ、空洞2内に設置した袋体5の
内部に、受払パイプ6を介して貯蔵物質7を圧送すれ
ば、圧送された貯蔵物質7によって袋体5は充填水10
による水圧に抗して押し拡げられ、この結果、貯蔵物質
7は、袋体5の内部に、袋体5の外周から充填水10に
よる所定の貯蔵圧力が負荷された状態で気密貯蔵される
ことになる。
【0024】すなわち、地中の空洞2及び立坑3が形成
された後は、主として地上からの作業により、貯蔵物質
7を所定の圧力が負荷された状態で容易に地下空洞2内
に貯蔵することができる。
【0025】また、必要時には、袋体5をちぢめた状態
で空洞2から出し入れすることができるため、空洞2や
袋体5の維持管理、補修等を簡易に行なえる他、周囲の
地盤1と貯蔵物質7は接触しないので、要求がある場合
には、開放点検を行うこともできる。
【0026】さらに、貯蔵物質7の払い出しは、専用の
ポンプを用いる他、充填水10を注水することによって
行なうこともできる。
【0027】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明の
非水溶性物質又は難水溶性物質の貯蔵構造によれば、袋
体の内部に給送された貯蔵物質は、袋体を構成する有孔
性膜部材の各微細孔に表面張力により形成された水膜に
よって、袋体の外部に流出することなく袋体の内部に気
密状態でかつ所定の圧力が負荷された状態で空洞内に貯
蔵される。すなわち、簡易な構成によって貯蔵物質を貯
蔵するのに必要な液密性・気密性を確保して、非水溶性
物質又は難水溶性物質を容易かつ安全に地下空洞内に貯
蔵することができる。
【0028】また、この発明の非水溶性物質又は難水溶
性物質の貯蔵方法によれば、地中の所定の深度に空洞が
形成された後、主として地上からの作業によって、所定
の圧力が負荷された状態で貯蔵物質を容易に地下空洞内
に貯蔵することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の非水溶性物質又は難水溶性物質の貯
蔵構造の一実施例を示す、縦断面図である。
【符号の説明】
1 地盤 2 空洞 3 立坑 5 袋体 6 受払パイプ(輸送配管) 7 貯蔵物質 10 充填水 30 貯蔵構造
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−24618(JP,A) 特開 平4−41316(JP,A) 特開 平7−252854(JP,A) 実開 昭51−55416(JP,U) 実開 昭52−65316(JP,U) 特公 昭60−1520(JP,B2) 特公 平5−285(JP,B2) 実公 昭63−44386(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65D 88/76 E04H 7/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地中に形成された空洞と、該空洞内に充
    填された充填水と、該空洞内に挿入設置された有孔性膜
    部材からなる袋体と、該袋体の内部と連通して設置され
    た輸送配管を介して該袋体内に給送されることにより、
    該袋体を充填水の水圧に抗して押し拡げて当該袋体内に
    貯蔵される非水溶性物質又は難水溶性物質とからなるこ
    とを特徴とする非水溶性物質又は難水溶性物質の貯蔵構
    造。
  2. 【請求項2】 立坑を経て地上と連絡して地中に形成さ
    れた空洞内に、充填水を充填するとともに有孔性膜部材
    からなる袋体を挿入設置し、前記立坑を介して地上と前
    記袋体の内部とを連通する輸送配管を配置し、該輸送配
    管を介して非水溶性物質又は難水溶性物質からなる貯蔵
    物質を前記袋体内に給送することにより前記袋体を充填
    水の水圧に抗して押し拡げ、前記貯蔵物質を、前記袋体
    内に、袋体の外周からの充填水による水圧が負荷された
    状態で気密貯蔵することを特徴とする非水溶性物質又は
    難水溶性物質の貯蔵方法。
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