JP3105981B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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弘之 細羽
進治 兼岩
智彦 ▲吉▼田
健 大林
俊雄 幡
尚宏 須山
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はワイドギャップ半導体材
料を使用した可視発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】InGaAlN化合物半導体はワイドギ
ャップ半導体であって、この化合物半導体は直接遷移型
バンド構造を有することから、青色・緑色発光素子への
応用が期待されている。特に、GaN化合物半導体の開
発は盛んに行われており(例えば、Apply.Phys.Lett.48
(5),p.353-355(1986))、MOVPE(有機金属化合物
気相成長法)、ガスソースMBE(分子線成長法)を用
いて成長を行う試みがなされている。GaN化合物半導
体のエネルギーギャップは約3.39eV、波長は約3
66nmであり、これは紫外光である。
【0003】しかし、このGaNにII族元素をドープ
すると、青色エネルギー準位の発光中心が形成され青色
LEDが実現する。また、GaNにInを添加して得ら
れたInGaNはバンド端で青色・緑色発光が得られる
ことから、高効率の可視LED及び可視LDが得られる
ことが期待されている。更に上記GaN、InGaNの
Gaを一部あるいはすべてAlに置換すると格子定数の
変化はほとんどなく、エネルギーギャップの増大、かつ
屈折率低下を生じる。このInGaAlN層とGaN層
あるいはInGaN層とのヘテロ接合は高効率LED及
びLDの実現に必要不可欠である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】InGaAlN等の窒
化化合物半導体の場合、V族元素の窒素の解離圧が極め
て高いこと等から、このもので基板となる大型単結晶を
作製することは困難である。更に、異種基板にも窒化化
合物半導体と物性の近い基板が存在しないことから、従
来ではサファイア基板が使用されてきた。
【0005】図6にこのサファイア基板を用いた従来の
半導体発光素子の断面を示す。半導体発光素子は、サフ
ァイア基板11、この基板11上に順次成長されたAl
N層12、n−GaN層13、およびi−GaN層14
を有している。図中15、16は電極である。
【0006】しかし、このサファイア基板11を使用し
た場合には、GaN層との格子定数差が10%以上ある
ため格子歪による欠陥が発生し、その結果発光率が低下
する。更にサファイア基板11は絶縁物であるため、図
6に示すようにLEDの電極16は素子の端面から取り
出す必要がある。この電極形成工程は複雑で歩留まり良
く製作することは困難である。しかも駆動電圧が高くな
るため電流をあまり流せない等の問題があった。
【0007】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、ZnO基板またはSiC基板上にInGaAl
N層を成長させることにより、製作が容易で、かつ高効
率の半導体発光素子を提供することを目的とする。
【0008】本発明は、基板と、該基板上に形成された
発光層とを有し、該発光層がII族元素をドープしたG
aN、またはInGaNで構成される半導体発光素子
あって、該基板が(0001)面を有するSiC基板で
あり、前記基板と前記発光層の間にはバッファ層が設
けられていることを特徴とする半導体発光素子に関す
る。好適な実施態様では、上記半導体発光素子におい
て、バッファ層がAlNを含むことを特徴とする。ま
た、好適な実施態様では、上記半導体発光素子におい
て、前記バッファ層がAlN層とInGaAlN層との
多層体であることを特徴とする。
【0009】
【作用】ZnOまたはSiCの半導体基板を使用するこ
とにより、基板の裏面全面に電極を取り付けることが可
能となるために電極形成工程が非常に簡単となり歩留が
向上する。また、電極面積が広くなるので駆動電圧の低
いLEDが実現する。
【0010】更にGaN層に対するサファイア基板の格
子定数差(△a/a)は13%を超えるが、GaN層に
対するSiC基板、ZnO基板の格子定数差(△a/
a)は2〜3%と小さいため、格子歪に共なう格子欠陥
ピット(穴)、クラック(ひび割れ)が低減される。
【0011】特に、該基板とInGaAlN層との間
に、AlNのバツファ層またはAlN層/InGaAl
N層の多層構造を有するバッファ層を配設すると、バッ
ファ層は基板とInGaAlN層間の格子歪を更に緩和
し、基板の結晶学的特性を伝達し、かつInGaAlN
層と基板との濡れ性をよくしてInGaAlN層が結晶
性良くなめらかに成長するのを助ける役割を果たす。こ
れにより欠陥の少ない高効率の可視LEDが実現でき
る。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0013】図1に示すように、n型ZnO基板1また
はn型SiC基板1の(0001)面上に、AlNバッ
フア層2が成長され、このバッファ層2上にアンドープ
n−InGaN層3が成長され、この層3上にZnドー
プi−InGaN層4が成長されている。基板1として
ZnO基板を使用する場合はn型電極In5が基板1の
裏面に蒸着され、SiC基板1を使用する場合はn型電
極Ni/Au5が基板1の裏面に蒸着される。また、上
記i−InGaN層4にAl電極6が蒸着される。各層
の膜厚は任意であり、例えば、バッフア層2は500オ
ングストロームとすることができ、アンドープn−In
GaN層3は3μmとすることができる。また、Znド
ープi−InGaN層4は0.3μmとすることができ
る。
【0014】次に、本発明の半導体発光素子の製造法の
一例を説明する。
【0015】InGaAlN層3、4の成長には、公知
のMOCVD法、ガスソースMBE法を使用することが
できる。
【0016】Gaソースとしては、トリメチルガリウム
(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)を使用
することができる。Alソースとしては、トリメチルア
ルミニウム(TMA)またはトリエチルアルミニウム
(TEA)を使用することができる。Inソースとして
は、トリメチルインジューム(TMI)またはトリエチ
ルインジューム(TEI)を使用することができる。V
族ソースとしては、アンモニア(NH3)を使用するこ
とができ、不純物原料にはジエチルジンク(DEZ)を
使用することができる。
【0017】図1に示したように、n型ZnO基板1ま
たはn型SiC基板1の(0001)面上に、成長時の
基板温度600℃で、500オングストロームのAlN
バッフア層2、成長時の基板温度800〜1000℃
で、3μmのアンドープn−InGaN層3、0.3μm
のZnドープi−InGaN層4をそれぞれ成長させ
る。次いでZnO基板1を使用する場合は、n型電極I
n5を基板1に蒸着し、SiC基板1を使用する場合
は、n型電極Ni/Au5を基板1に蒸着する。
【0018】一方、i−InGaN層4に、直径500
μmのAl電極6を蒸着する。次いで、ダイシング、劈
開によりLEDチップに分割する。
【0019】上記実施例ではAlNバッファ層2を用い
たが、本発明の発光素子に使用されるバッファ層の構成
はこれに限定されず、例えば、図2〜図4に示す構成と
することができる。
【0020】図2に示した化合物半導体発光素子のバッ
ファ層20は、20オングストロームのAlN層21と
20オングストロームのInGaN層22とを交互に積
層してなる多層体(150周期)であり、図3に示した
発光素子のバッファ層30は、20オングストロームの
AlN層31、20オングストロームのInGaN層3
2、20オングストロームのAlN層31、40オング
ストロームのInGaN層33、20オングストローム
のAlN層31、60オングストロームのInGaN層
34、・・・・・・、20オングストロームのAlN層
31、200オングストロームのInGaN層35、2
0オングストロームのAlN層31というように、Al
N層とInGaN層とを不規則に積層してなる多層体で
ある。
【0021】図4に示した発光素子のバッファ層40
は、AlN層41と、AlN層42/InGaN層43
の多層体との、積層体である。
【0022】尚、上記各実施例では発光層及び多層構造
中にInGaNを用いたが、GaNまたはInGaAl
Nでも良い。すなわち、In1-x(GayAll-yxN層
において、0<x≦1、0<y≦1の条件を満たすもの
であり、0<x<1、かつ0<y<1のとき、InGa
AlNとなり、x=1、かつ0<y<1のときGaAl
Nとなり、y=1、かつ0<x≦1のときInGaNと
なり、x=1、かつy=1のときGaNとなる。
【0023】上記のように、本実施例で作製されたLE
Dは、半導体基板1裏面全面で電極を取ることができ
るため、工程が容易で歩留りが良い。
【0024】次に、図5に上記第1実施例によって得ら
れた(図1で説明した)LEDと、従来のサファイア基
板上にm−i−n構造(電極、i−GaN層、n−Ga
N層)を有する(図6で説明した)LEDのI−V特性
を示す。図5において、(a)は第1実施例で得られた
LEDのI−V特性を示し、(b)は従来例で得られた
LEDのI−V特性を示す。
【0025】第1実施例で得られたLEDでは、立ち上
がり電圧は5Vであり、これは従来例の7.5Vに比べ
大幅に低減されていた。更に10mA時の外部量子効率
は0.2%であり、従来例の0.1%に比べ大幅に増大
した。これらのことは、本実施例によるLEDは、格子
歪から生じる格子欠陥が著しく低減したことを示してい
る。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、ZnO基板またはSi
C基板上にバッファ層を介してIn1-x(Gay
l-yxN層を成長させているので、格子定数差を従来
のサファイア基板を使用した場合に比べて小さくするこ
とができ、格子歪による欠陥を減少させることができて
発光率を向上させることができる。更に、上記ZnO基
板またはSiC基板の裏面全面からLEDの電極を取り
出すことができるから、電極形成工程が容易となり歩留
が向上する。また、電極面積が広くなるので、駆動電圧
の低いLEDが実現する。
【0027】特に、基板とInGaAlN層との間に、
AlN層のバツファ層またはAlN層/InGaAlN
層の多層構造を有するバッファ層を配設することによ
り、このバッファ層で基板とInGaAlN層間の格子
歪を更に緩和することができ、基板の結晶学的特性を伝
達し、かつInGaAlN層と基板との濡れ性をよくし
てInGaAlN層が結晶性良くなめらかに成長するの
を助ける役割を果たす。これにより欠陥の少ない高効率
の可視LEDが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である半導体発光素子の断
面図である。
【図2】本発明の第2実施例である半導体発光素子の断
面図である。
【図3】本発明の第3実施例である半導体発光素子の断
面図である。
【図4】本発明の第4実施例である半導体発光素子の断
面図である。
【図5】実施例で得られた半導体発光素子と従来例の半
導体発光素子のI−V特性を示す図である。
【図6】従来例の半導体発光素子の断面図である。
【符号の説明】
1 n型ZnO基板またはn型SiC基板 2 格子歪緩和バッファ層 3 アンドープn−InGaN層 4 Znドープi−InGaN層 5 n型電極 6 Al電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 兼岩 進治 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 ▲吉▼田 智彦 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 大林 健 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 幡 俊雄 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 須山 尚宏 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−242985(JP,A) 特開 平2−81484(JP,A) 特開 平2−229475(JP,A) 特開 平3−203388(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、 該基板上に形成された発光層とを有し、 該発光層がII族元素をドープしたGaN、またはIn
    GaNで構成される半導体発光素子であって、 該基板が(0001)面を有するSiC基板であり、前
    記基板と前記発光層の間にはバッファ層が設けられて
    いることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 前記バッファ層がAlNを含むことを特
    徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 【請求項3】 前記バッファ層がAlN層とInGaA
    lN層との多層体であることを特徴とする請求項1に記
    載の半導体発光素子。
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