JP3105350B2 - 既設トンネル撤去シールド機 - Google Patents

既設トンネル撤去シールド機

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JP3105350B2
JP3105350B2 JP04164878A JP16487892A JP3105350B2 JP 3105350 B2 JP3105350 B2 JP 3105350B2 JP 04164878 A JP04164878 A JP 04164878A JP 16487892 A JP16487892 A JP 16487892A JP 3105350 B2 JP3105350 B2 JP 3105350B2
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研一 金子
隆司 萩原
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正憲 平地
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不要になった既設の埋
設管を撤去するための既設トンネル撤去シールド機に関
する。
【0002】
【従来の技術】例えばシールドトンネルを掘進する際な
どに、そのルート上にある既設の埋設管路を撤去するこ
とがある。従来の既設埋設管の撤去工法は、図9に示す
ように、まづ道路面1から地下の既設埋設管(以下、単
に既設管という)2をはさんで鋼矢板3などを打ち込ん
で山留めを行う。ついで、その内部を掘り下げて立坑4
を形成し、鋼矢板3を山留め材5で支持して地盤の崩壊
を防ぐ。その後、地下の既設管2を撤去し、撤去したあ
とを埋め戻すというのが一般的である。また、立坑4内
に露出した撤去しない既設管6は、山留め材5に吊り防
護部材7で吊り下げて保護される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、新設の大口径シ
ールドトンネルが地下深部に計画されることが多くなる
に従い、地下に埋設された既設管を撤去する必要が生じ
てきた。しかしながら、上記従来の既設管の撤去工法
は、既設管が浅いうちは良いが、地下深い既設管の撤去
に対しては次のような種々の問題点があった。
【0004】山留が深くなり工事費が高くなる。工
事中、道路を専有するため交通渋滞につながる。より
浅い所にある他の既設管を防護しなくてはならない場合
が多い。そこで、本発明は、上記従来の問題点に着目し
てなされたものであり、既設管をシールド工法を利用し
て撤去するようにした既設トンネル撤去シールド機を提
供することにより従来の問題点を解決することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の既設トンネル撤去シールド機は、後端が隔壁によ
り蓋され前端に撤去すべき既設管の端部が内挿される開
口を有する殻体と、その殻体前端の開口の外周に配設さ
れ既設管の外周の地殻を掘削する回転カッタヘッドと、
殻体内においてエレクタにより支持され、既設管の端部
を把持して軸方向に縮むことで殻体を推進し、かつ、把
持した既設管端部を破砕する把持推進兼破砕装置と、殻
体後端の隔壁後方に生じた既設管撤去後の空間に埋め戻
し材を供給する手段とを少なくとも備えている。
【0006】
【作用】殻体内に設置された把持推進兼破砕装置の腕を
伸長させて既設管の端部を把持し、ついでその腕を縮め
ることにより殻体に推進力を与える。この推進力付与状
態で回転カッタヘッドを回転させて、既設管の外周部の
地殻を掘削する。把持推進兼破砕装置の腕の縮む限度ま
で所定距離掘進したら、殻体内に取り込まれた既設管を
把持した把持推進兼破砕装置の把持力を増大させて、既
設管を破砕する。破砕片は既設管内部を通って坑外へ搬
出する。上記掘進により殻体後端の隔壁後方に生じた空
間には、埋め戻し材の供給手段により埋土等を供給して
埋め戻す。
【0007】このようにして、既設管外周の掘削および
既設管の端部の除去を繰り返すことで、地下の既設管の
撤去と埋め戻しをシールド方式で行うことができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は、本発明の一実施例の断面図である。この
実施例の既設トンネル撤去シールド機10は、後端が隔
壁12により蓋され、前端には開口13を有する円筒状
の殻体14と、その開口13の外周に配設された回転カ
ッタヘッド15およびその駆動用モータ16からなる掘
削手段とを備えている。また、殻体14の内部にはエレ
クタ17が設置されており、これに、既設管2の端部を
把持するグリッパ18と伸縮シリンダ19を有する把持
推進兼破砕装置20が、殻体14の軸方向及び半径方向
に可動で且つ殻体の軸を中心に旋回可能に取り付けられ
ている。また、埋め戻し材供給手段としての注入管21
が、殻体後端の隔壁12を貫通して後方の空間に開口し
ている。
【0009】前記の殻体14は、前端部分が外筒14A
と内筒14Bとで二重になっていて、前部隔壁14Cで
一体に連結されている。内筒14Bの内径は、既設管2
の外径面との間にシール材22が介装し得る大きさであ
る。また、外筒14Aと内筒14Bとの間には、回転カ
ッタヘッド15の駆動モータ16が取り付けられてい
る。
【0010】前記の回転カッタヘッド15は、内径が既
設管2の外径より大きいリング形状で、殻体14の開口
13の外周部に図外のベアリングを介して回転自在に配
設されている。そのヘッド前面に、既設管2の外周部の
地山Eを掘削する多数のビット15aを有している。回
転カッタヘッド15の後面と前部隔壁14Cとの間に
は、カッタチャンバ23が形成されている。駆動モータ
16は、外筒14Aの内壁に固定され、出力ギヤ24を
介して回転カッタヘッド15を回転駆動する。
【0011】前記の把持推進兼破砕装置20のグリッパ
18は、既設管2の円周に沿って複数配設されており、
それぞれに例えば油圧で開閉駆動される強力な2本の指
をもち、既設管2の内外両壁面を挟んで把持する。更
に、油圧力を増大させることで出力を増して、把持した
既設管2の端部を破砕することができるものである。前
記伸縮シリンダ19は前記グリッパ18を前後進させる
腕であり、例えば油圧シリンダで構成される。
【0012】前記注入管21は、一般的な泥水シールド
で用いられる泥水供給配管でよく、既設管2内を通り隔
壁12を貫通して開口している。なお、図示しないが、
既設管2の内部には、既設管の破砕片等を坑外へ搬出す
る手段としてベルトコンベアが設置される。次に作用を
説明する。
【0013】この既設トンネル撤去シールド機10を用
いた施工手順は、つぎの通りである。 先ず、既設管2の撤去箇所の始点Aと終点Bとに立坑
4,4を設置する。山留杭3を打設し、既設管2が邪魔
になって山留杭3の打設ができなかった箇所には地盤改
良Cを施してから内部を掘削する(図2)。
【0014】始点Aの立坑4内で既設トンネル撤去シ
ールド機10を組み立てて、既設管2の撤去部分の始端
を機械内部に取り込む(図3)。 始点Aの立坑4の内部空間を砂,埋土Fで埋め戻し、
山留杭3を引き抜く(図4)。外部と既設トンネル撤去
シールド機10内との間で行われる物や人の出入りに
は、終点Bの立坑4を利用する。
【0015】既設管2を壊しながら、終点Bの立坑4
の側に向かって既設トンネル撤去シールド機10を推進
させる(図5)。すなわち、把持推進兼破砕装置20の
グリッパ18を開いて既設管2の端部まで伸ばしてか
ら、グリッパ18を閉じ既設管2の端部を把持する。つ
いで、把持したままのグリッパ18の出力を増して管端
部を破砕する。破砕片は、グリッパ18を径方向移動ま
たは旋回移動させて図外のベルトコンベアに積み込み、
終点Bの立坑4から坑外に搬出する(図6)。
【0016】続いて、把持推進兼破砕装置20の伸縮シ
リンダ19に油圧をおくって伸ばし、開いたグリッパ1
8を既設管2に達するまで前進させる。そして、グリッ
パ18を閉じ既設管2の端部を把持する(図7)。この
把持した状態で、今度は伸縮シリンダ19を縮めなが
ら、回転カッタヘッド15を回転させる。これにより、
殻体14と回転カッタヘッド15とがエレクタ17を介
して既設管2の側へ引き寄せられて推進される。ビット
15aによる既設管外周部の地山Eの掘削が進行する。
回転カッタヘッド19による掘削に際して、カッタチャ
ンバ23内に必要に応じ泥水を送給しても良い。同時
に、上記殻体14の掘進に伴い隔壁12の後方に生じた
空間に、注入管21から埋め戻し材として例えばモルタ
ル系充填材25を注入して埋め戻していく(図8)。
【0017】伸縮シリンダ19の縮み限度内で所定距離
を掘進したら、回転カッタヘッド15の回転を停止す
る。上記の動作を繰り返すことにより、始点Aの立坑4
から終点Bの立坑4に至る部分の既設管2を撤去すると
ともに、撤去後の空間を埋め戻すことができる。なお、
上記の実施例において、事前に、既設管2に電動カッタ
を使用して深さ10cm程度の目地を入れておくことで、
スマートな作業を行うことができる。
【0018】また、上記実施例は、泥水シールド方式に
よる埋め戻しを説明したが、これに限らず、カッタチャ
ンバ23から軸方向に延設して隔壁12を貫通するスク
リュウコンベア等を設置して、掘削土を埋め戻しに使用
するなどの土圧シールド方式も可能である。また、既設
管2のセグメントが露出している場合は、ボルト等を外
すことで撤去可能であり、コンクリートを切断する手間
を省くことができる。
【0019】また、既設トンネル撤去シールド機10で
撤去することができる既設管2は、コンクリート管に限
らず、鋼管や煉瓦製の管などでもよい。鋼管であれば、
グリッパ18は把持のみとし、掴んでの破砕は行わな
い。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の既設トン
ネル撤去シールド機は、殻体の前端の開口の外周に既設
管の外周の地殻を掘削する回転カッタヘッドを配設し、
また、殻体内には、既設管の端部を把持して軸方向に縮
むことで殻体を推進し、かつ、把持した既設管端部を破
砕する把持推進兼破砕装置と、殻体後端の隔壁後方に生
じた既設管撤去後の空間に埋め戻し材を供給する手段と
を少なくとも備えたものとした。そのため、次のような
効果が得られる。
【0021】推進機構と既設管の把持機構とが同一で
兼用であり、装置が簡易化されて作業空間が広く安全性
が向上するとともに、経済的でもある。 掘進には地盤の反力を利用せずに、既設管から直接に
反力を得るから、充填材の強度発現等の不確定要素に左
右されず信頼度が高い。 撤去するブロックを把持し、破砕して搬送装置に積み
込むまで把持推進兼破砕装置で自動的に行われて、その
間人力作業を必要としないから、効率が良く且つ安全性
が高い。
【0022】既設管の撤去を目で直接に確認でき、確
実である。 工事中に道路が専有されることがなく、道路交通を妨
げない。 山留工事で工事費が嵩むようなこともなく、又埋設管
等を切り回す必要もなく、試掘を含めて工事費が低減さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を模式的に示す断面図であ
る。
【図2】図1に示す既設トンネル撤去シールド機による
施工手順説明図である。
【図3】同じく施工手順説明図である。
【図4】同じく施工手順説明図である。
【図5】同じく施工手順説明図である。
【図6】図1の装置による既設管の破壊工程の説明図で
ある。
【図7】図1の装置による既設管の把持工程の説明図で
ある。
【図8】図1の装置による掘進並びに充填材注入工程の
説明図である。
【図9】従来の既設トンネル撤去工事の一例を説明する
図である。
【符号の説明】
10 既設トンネル撤去シールド機 12 隔壁 13 開口 14 殻体 15 回転カッタヘッド 17 エレクタ 20 把持推進兼破砕装置 21 埋め戻し材供給手段(注入管)
フロントページの続き (72)発明者 平地 正憲 東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大 成建設株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21F 15/00 E21D 9/06 301 E21D 9/06 311 E21D 9/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 後端が隔壁により蓋され前端に撤去すべ
    き既設管の端部が内挿される開口を有する殻体と、 前記殻体前端の開口の外周に配設され既設管の外周の地
    殻を掘削する回転カッタヘッドと、 前記殻体内においてエレクタにより支持され、既設管の
    端部を把持して軸方向に縮むことで殻体を推進し且つ把
    持した既設管端部を破砕する把持推進兼破砕装置と、 殻体後端の前記隔壁後方に生じた既設管撤去後の空間に
    埋め戻し材を供給する手段とを少なくとも備えた既設ト
    ンネル撤去シールド機。
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