JP3105160B2 - 多孔板型排ガス洗浄装置 - Google Patents

多孔板型排ガス洗浄装置

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JP3105160B2
JP3105160B2 JP08010154A JP1015496A JP3105160B2 JP 3105160 B2 JP3105160 B2 JP 3105160B2 JP 08010154 A JP08010154 A JP 08010154A JP 1015496 A JP1015496 A JP 1015496A JP 3105160 B2 JP3105160 B2 JP 3105160B2
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和人 山崎
秀雄 杉山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オリフィス開口面
積が調節可能な多孔板型排ガス処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔板型排ガス処理装置は、塔内を上昇
する排ガスと塔内に散布される洗浄液との気液接触を促
進する多孔板を塔内に水平設置し、多孔板のオリフィス
に流入する洗浄液を、オリフィスを通過する排ガスによ
って吹き上げて多孔板の上部空間で洗浄液の飛沫流動層
を形成し、ここで排ガスと洗浄液とを激しく接触させて
排ガスの洗浄処理を行う装置である。そのため、塔内空
間に気液接触用充填材を充填した排ガス処理装置に比べ
て装置の構成が簡単で、偏流や閉塞が生じにくいことか
ら、例えば、半導体工場のエッチングその他の製造工程
からの排ガスのように、塩化水素その他の有害ガスとと
もに、シリカのような粉塵を多量に含んだ排ガスの洗浄
処理として広く使用されている。
【0003】多孔板のオリフィスは、一般に孔径3〜6
mmの円形孔で、開口率5〜15%のものが多く使われ、
排ガス1m3に対して1リットル前後の洗浄液を多孔板上
に散布しながら、排ガスを塔内風速1〜2m/secで供給
して排ガス洗浄を行う。円形孔以外のオリフィスとし
て、本出願人が特公平3-7411で提案した十字形オリフィ
スがあり、これはオリフィスの開口面積を広くして粉塵
による閉塞を防止すると共に、開口面積に対する周囲長
さを長くして気液接触効果を向上させたものである。
【0004】上記の多孔板型排ガス洗浄装置で良好な排
ガス洗浄効果を得るためには、多孔板の上部空間で洗浄
液の飛沫流動層が形成される範囲の処理風量を維持する
必要がある。最適範囲の処理風量は、排ガスのオリフィ
ス通過風速によって決まる。上記十字形オリフィスでは
最適のオリフィス通過風速が7〜10m/secである。処
理風量が少なすぎると、上記のオリフィス通過風速が得
られず、処理風量が多すぎると、多孔板上に滞留する洗
浄液量が増加して通気抵抗が大きくなる。
【0005】排ガス洗浄装置は、需要家の100%生産
時の排ガス発生量に対応した設計仕様で納入される。し
かし、一部の需要家においては、30〜40%程度の生
産量でスタートし、1〜2年後に50〜60%、その後
段階的に生産量を増加させて3〜5年後に100%生産
となるため、納入当初は排ガス発生量が、良好な処理結
果の得られる処理風量に達しないことが多い。一般には
処理風量が設計値の80%程度までは良好な処理結果が
得られるが、処理風量がそれ以下となると処理効果が著
しく低下する。排ガス量が設計値の30〜40%では、
多孔板の上部空間で飛沫流動層を形成するオリフィス通
過風速が得られないため、排ガス中に空気を導入する
か、処理ガスを再度導入して、所定範囲の処理風量を維
持している。従って排ガスを供給するブロワーの消費動
力が100%生産時と同程度になる
【0006】
【発明が解決しようとする課題】排ガス発生量が少ない
ままであっても、多孔板上に邪魔板を設置してオリフィ
スの数を減らすか、重ね合わせた多孔板の一方を移動さ
せてオリフィスの開口面積を減らすことによって、排ガ
スのオリフィス通過風速を最適範囲に維持することがで
きる。しかし、多孔板の半分以上を邪魔板で覆う場合
は、排ガスに偏流が生じ、また洗浄液が均等に散布され
なくなる。
【0007】オリフィスの開口面積を調節する手段とし
て、重ね合わせた2枚の多孔板の一方を回転又は平行移
動し、重なり合った孔の開口面積を変えることが知られ
ている(特開昭48-56569号)。ところが、多孔板の上板
を下板に対して回転移動する場合は、多孔板の中心付近
と外周付近とで上板の移動距離が異なるため、同公報記
載の半径方向に分割した扇形オリフィスでは、外周寄り
のオリフィスは開口面積が大きく変化するのに対し、中
心寄りのオリフィスは開口面積が殆ど変化しないため、
多孔板全体にわたってオリフィス開口面積を一様に変化
させることはできない。
【0008】一方、多孔板の上板を下板に対して平行移
動する場合は、多孔板全体にわたりオリフィスの開口面
積を一様に変化させることができる。しかし、オリフィ
スが円形孔の場合は、開口面積が絞られるに従い、上板
の移動距離に対するオリフィス開口面積の変化の割合が
大きくなるため、オリフィスの開口面積に差が生じ訳す
なる。特に、塔径2〜3mの排ガス処理装置では、多孔
板を2枚ないし8枚に分割して塔内に設置するため、分
割設置された各多孔板の上板を正確に同じ距離だけ移動
することは困難であり、例えば、図3に示すように、上
板の移動距離dとd’に1mm程度の差があってもオリフ
ィス開口部SとS’の面積には数倍の差が生じ得る。従
って、オリフィスの開口面積を30%程度にまで絞った
場合、全オリフィスの開口面積を均一に保つことは困難
である。各オリフィスの開口面積に大きな差があると、
排ガスは開口面積の大きいオリフィスを優先的に通過す
るため、多孔板の上面で均一な飛沫流動層が形成できな
くなる。
【0009】本発明は、重ね合わせた多孔板の上板を平
行移動してオリフィス開口面積を調節する場合に、開口
面積調節範囲の下限付近で、上板移動距離の差による開
口面積変化の割合が小さくなるようにして、排ガス発生
量に応じた良好な処理ができる多孔板型排ガス処理装置
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の多孔板型排ガス
洗浄装置は、請求項1記載のとおり、2枚重ねの多孔板
の上板と下板の各オリフィスを、任意の角度で交差した
2つの長孔で形成し、前記上板を、2つの長孔の二等分
線に沿って移動可能としたことを特徴とする。
【0011】この場合、上板を2つの長孔の二等分線に
沿って移動させると、上板の移動により2つの長孔の長
さと幅が共に減少するため、上板の移動距離とオリフィ
ス開口面積との関係はやや複雑となるが、開口面積に対
して周囲長さが常に大きく保たれるため気液接触効果が
高くなる。上板の移動により1つの長孔(2つの長孔の
幅が等しい場合は両方の孔)塞がると、上板の長孔と下
板の長孔との重なり部分である開口部は2箇所に分離
し、その後は上板の移動距離に関係なく各開口部の面積
は一定となる。2つの開口部の面積は各長孔の幅によっ
て決まる。
【0012】従って、請求項に記載のとおり、塔内に
分割設置する各分割多孔板の上板を同時に移動させる場
合に、各分割多孔板の上板が移動して1つの長孔が塞が
ったとき、残った部分の開口部の面積を、調節下限に近
い面積とすることにより、各上板の移動距離の差が開口
面積に大きな影響を与えないめ、各上板の移動距離に差
が生じても各オリフィスの開口面積を最適範囲内に維持
することができる。
【0013】また、処理風量に反比例して排ガスの滞留
時間が増加するため、塔内に複数段に設置した多孔板の
うち、少なくとも最下段の多孔板に、オリフィスの開口
面積が調節可能な2枚重ね合わせ構造を適用することに
よって良好な処理が可能となり、設備費、動力費の増加
を抑えた排ガス洗浄処理が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】多孔板型排ガス洗浄装置の縦断面
を図1に示す。排ガス洗浄装置の塔本体1は円筒形で、
その内部にオリフィス開口面積が調節可能な多孔板2を
2段に設けている。排ガスはブロワー3によって塔下部
に導入され塔内を上昇する。洗浄液は循環タンク4から
ポンプ5によって塔内上部のスプレー管6に送られ多孔
板2の上面に散布される。排ガスが多孔板2のオリフィ
ス7を通過するとき、同オリフィス7に流入する洗浄液
を吹き上げて、多孔板2の上部空間で飛沫流動層を形成
し、ここで排ガスと洗浄液とが激しく接触して排ガス洗
浄が行われる。洗浄を終えた排ガスはミストキャッチャ
ー8で飛沫を分離し排気口9から大気中に放出される。
【0015】図2に示すように、各段の多孔板2は、左
右に3枚ずつ計6枚に分割され、各分割多孔板は、同一
形状、同一配列のオリフィス7を有する上板2aと下板
2bとの重ね合わせ構造となっており、分割多孔板の各
下板2bは、支持リング11と梁12によって塔体1に
固定されており、分割多孔板の各上板2aが、駆動棒1
3を介して連結した駆動装置14によって駆動され、下
板2bの上面を同時に移動するようになっている。梁1
2によって、各上板2aは移動時の横ズレが防止され、
各上板2aの移動距離の差は、覗き窓15から飛沫流動
層の形成状況を確認しながら駆動棒13の長さを微調整
することにより修正できるようになっている。
【0016】各オリフィス7は、図4に示すように、幅
と長さがそれぞれ等しい孔7aと孔7bが中央で直
交した十字形に形成され、上下のオリフィスが重なりあ
った100%開口位置から、上板2aを移動させて、上
下オリフィスの重なり部分の開口面積を調節する。
【0017】ここで、上板2aの移動は、図5に示すよ
うに、交差した2つ長孔の2等分線に沿って移動させ
る。この場合、上板2aの移動により2つの長孔は長さ
と幅がともに減少するため、上板2aの移動距離とオリ
フィス開口面積との関係がやや複雑となるが、オリフィ
ス開口部の周囲長さが常に大きく保てるので、良好な気
液接触効果が維持できる。交差した2つ長孔が塞がる
と、上板2aの長孔と下板2bの長孔とが重なった開口
部分Sが2箇所に分離する。この開口部分Sの面積は上
板2aの移動距離と関係なく一定である。2箇所の開口
部の面積は交差する2つの長孔の幅によって決まる。
【0018】オリフィス7は、上記のような2つの長孔
で形成したもの以外に、3つ以上の長孔を組み合わせて
形成することもできる。
【0019】オリフィス7を構成する各長孔の幅又は長
さを選択して、上板2aの移動によって1つの長孔が閉
鎖したときの開口面積Sを、開口率調整下限に近い面積
とすることにより、上板2aの移動距離の差の影響を少
なくすることができる。従って、塔内に分割設置された
各分割多孔板の上板を同時に移動してオリフィス開口率
を調節する場合に、開口率の調整下限が30%程度であ
っても、各オリフィスの開口面積を最適範囲に維持して
良好な排ガス洗浄処理ができる。
【0020】なお、塔内に複数段の多孔板が設置されて
いる場合には、排ガスと最初に接触する最下段の多孔板
での除去率が最も高く、また排ガスの処理風量に反比例
して多孔板の上部空間での排ガスの滞留時間が増加する
ため、最下段の多孔板のみをオリフィス開口面積調節可
能とすることができる。最下段の多孔板の上部空間で飛
沫流動層を形成させるだけで、排ガスと洗浄液との接触
時間を十分に取ることができ、また、後で述べるよう
に、飛沫流動層を形成するのに一定の圧力損失が伴うた
め、最下段の多孔板のみをオリフィス開口面積調節する
だけで、設備費及び運転費用の増加を抑えて良好な処理
ができる。
【0021】
【実施例】内径650mmの円筒型の塔内に、幅10mm長
さ30mmの2つの長孔を中央で直交させた開口面積50
0mm2の十字孔オリフィスを有し開口率30%の多孔板
を2枚重ね合わせたものを、間隔250mmで2段に設置
し、各多孔板の上板をオリフィスの縦孔に沿って移動可
能とした排ガス処理装置に、下部からHClを含む排ガ
スを導入し、上部から排ガス1m3当たり1.2〜1.3
1リットルの洗浄水を散布しながら、装置の稼働率(処
理風量)を100%から40%まで変化させて、圧力損
失とHClの除去率とを調べた。なお、上記多孔板の上
板を100%開口位置から10mm移動させて横孔が塞が
ったときオリフィスの開口面積は40%となる。
【0022】図6に塔内排ガス速度m/secと圧力損失mmA
qとの関係を示し、グラフ1は、上記オリフィスを有す
る1枚の多孔板における圧力変化グラフ2は、同じオリ
フィスを有する2枚重ね合わせの多孔板において上板の
移動距離が0mmの場合の圧力変化グラフ3〜7は上板
移動距離が2mmから10mmまでの、2mmごとの圧力変化
を示す。
【0023】各グラフが示すとおり、塔内排ガス速度に
比例して圧力損失が増加するが、グラフの屈曲点を超え
ると、多孔板上に滞留する洗浄液量が増加して圧力損失
の増加の割合が大きくなる。グラフ2では、多孔板の厚
みだけオリフィスのガス通過部が長くなるためグラフ1
に比べて通気抵抗が増加している。グラフ3〜7では、
多孔板のズレによりガス通過部が段状になるため通気抵
抗が増加してグラフの屈曲点が上方に移動している。
【0024】表1は、上記の排ガス処理塔内に、オリフ
ィス開口面積を調節してオリフィス通過風速が8〜9m/
secに維持して、稼働率を100〜40%としたものあ
る。表1からわかるように、HClの除去率はいずれも
93%以上で良好な処理結果が得られた。
【0025】
【表1】
【0026】表2は、上記と同じ装置で、オリフィス開
口面積100%のままで、稼働率を100〜40%とし
たものである。表2からわかるように、稼働率80%ま
では良好な処理結果が得られるが、稼働率60%以下で
は除去効率が低下している。
【0027】
【表2】
【0028】表2の稼働率100%、80%、60%、
40%のときの圧力損失は、図6のグラフ1の点A、
B、C、Dに対応する。図6の各グラフの屈曲点より下
で飛沫流動層で形成できる範囲が良好なオリフィス通過
風速である。従って、オリフィス開口面積と関係なく、
圧力損失が約50〜90mmAqが良好な運転領域であるこ
とがわかる。
【0029】上板の移動距離とオリフィス開口面積の関
係を把握しておき、排ガス処理風量に応じて駆動装置に
よって上板を所定の距離だけ移動し、覗き窓からの飛沫
流動層の形成確認して各分割多孔板の上板の移動距離を
修正した後は、多孔板の圧力損失を一定範囲となるよう
手動又は自動で上板を駆動することにより、排ガス処理
風量に応じた運転条件を維持することができる。
【0030】
【発明の効果】塔体に固定した下板と、下板に沿って平
行移動する上板とからなる2枚重ねの多孔板のオリフィ
スを、任意の角度で交差した2つの長孔で形成し、各板
のオリフィスが重なる位置から、2つの長孔の二等分線
に沿って上板を移動可能としたことにより、上板の移動
距離の差が各オリフィス開口面積に大きな影響を与えな
い。従って、塔内に分割設置された、各分割多孔板を同
時に移動してオリフィス開口面積を調節する場合に、各
オリフィスの開口面積を常に最適範囲に維持することが
できる。また、処理風量に反比例して排ガスの滞留時間
が増加するため、塔内に多孔板が多段に設けられている
場合に、最下段のみにオリフィス開口面積の調節可能な
多孔板を採用することによって、排ガス処理量に応じた
最適範囲のオリフィス開口で排ガス洗浄処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多孔板型排ガス洗浄装置の縦断面図で
ある。
【図2】同装置の水平断面図である。
【図3】円形オリフィスの開口面積変化状況を示す。
【図4】多孔板の平面図である。
【図5】十字型オリフィスの開口面積の変化状況を示
す。
【図6】塔内排ガス速度と圧力損失の関係を示す。
【符号の説明】
1・・・塔体 2・・・多孔板 2a・・・上板 2b・・・下板 3・・・ブロワー 4・・・洗浄液タンク 5・・・循環ポンプ 7・・・オリフィス 7a・・・孔 7b・・・孔 8・・・ミストキャッチャー 9・・・排気口 13・・・駆動棒 14・・・駆動装置 15・・・覗き窓
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−196715(JP,A) 特開 平8−99014(JP,A) 特公 昭33−4165(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/18 B01D 53/34 - 53/88

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塔内に水平設置して、塔内を上昇する排ガ
    スと塔内に散布される洗浄水との気液接触を促進する多
    孔板を、同一形状、同一配列のオリフィスを有する上板
    と下板との2枚重ね合わせ構造とし、下板を塔体に固定
    し、上板を下板に沿って平行移動させてオリフィスの開
    口面積を調節可能とした排ガス洗浄装置において、前記
    オリフィスを任意の角度で交差した2つの長孔で形成
    し、前記上板を、2つの長孔の二等分線に沿って移動可
    能としたことを特徴とする多孔板型排ガス洗浄装置。
  2. 【請求項2】 塔内に分割設置する各分割多孔板を、上
    板と下板との2枚重ね合わせ構造とし、各分割多孔板の
    上板を下板に沿って同時に移動可能としたことを特徴と
    する請求項1記載の多孔板型排ガス洗浄装置。
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