JP3105017B2 - ディジタル形電圧平衡継電器 - Google Patents

ディジタル形電圧平衡継電器

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JP3105017B2 JP03093692A JP9369291A JP3105017B2 JP 3105017 B2 JP3105017 B2 JP 3105017B2 JP 03093692 A JP03093692 A JP 03093692A JP 9369291 A JP9369291 A JP 9369291A JP 3105017 B2 JP3105017 B2 JP 3105017B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はディジタル形保護継電装
置、特に広い周波数範囲において保護が必要な発電機保
護継電装置に使用されるディジタル形電圧平衡継電器に
関する。
【0002】
【従来の技術】図6に電圧平衡継電器1を発電機Gの系
統に適用した例を示す。同図のPTは発電機Gの端子電圧
Eに応じた電圧V1 及びV2 に変換するための計器用変
圧器、Fは過電流保護用のヒューズである。計器用変圧
器PTは目的別に2組で構成されるのが一般的であり、例
えばV1 の電圧は自動電圧調整器へ導入され、V2 の電
圧は計器及び保護継電器に導入される。
【0003】電圧V1 又はV2 は計器用変圧器PTの不良
あるいはヒューズFの断線により変化するため、保護継
電器(主に距離継電器)あるいは自動電圧調整器等が誤
動作する場合がある。電圧平衡継電器1は、前述した機
器の誤動作を防止する目的で使用され、継電器に導入さ
れた電圧V1 及びV2 を比較し、その差電圧が所定値以
上となった時に出力する。動作式で表わすと、 V2 電圧を基準にV1 電圧の低下を検出する場合: |V2 |−|V1 |≧K(Kは定数) ………(1) V1 電圧を基準にV2 電圧の低下を検出する場合: |V1 |−|V2 |≧K(Kは定数) ………(2) となり、その特性は図7の如くなる。
【0004】なお、|V1 |及び|V2 |は入力電圧V
1 ,V2 を所定の時間間隔でサンプリングし、そのサン
プル値をディジタルデータに変換し、そのディジタルデ
ータから振幅値を算出したものである。一例として、一
般に使用されている振幅値演算アルゴリズムを下記に示
す。 m =|Vm |+|Vm-3 |+||Vm |−|Vm-3 || 振幅値|V|=(Vm +Vm-1 +Vm-2 )/k ………(3) Vm ,Vm-1 ,Vm-2 ……はサンプ
リングされたサンプル値 kは定数
【0005】一方、発電機の系統は、発電機起動時にお
いて低い周波数から立ち上げていくため、商用周波数付
近での保護以外に、起動時における低い周波数から商用
周波数までの広域周波数保護が必要であり、広域周波数
に適用可能な保護継電器が必要である。電圧平衡継電器
においては、従来商用周波数での適用を前提としてきた
が、近年初期の事故検出を目的として起動時(低い周波
数)からの適用が要求されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来方式のものは、入
力電圧が商用周波数付近にあること、及び発電機Gの端
子電圧Eが発電機Gの定格出力電圧であることが前提に
適用が考えられている。このため、従来の継電器を起動
時(低い周波数)から適用しようとした場合、以下の問
題点が生じる。第1に前述した従来方式のアルゴリズム
(3) 式は、入力電圧V1 ,V2 が商用周波数付近にある
ことを前提として考えられているため、入力電圧V1
2 が商用周波数付近、例えば、50Hz付近では性能上十
分な精度が得られるが、商用周波数から離れた入力に対
しては誤差が大きくなると言う問題がある。一例とし
て、(3) 式に示す従来方式のアルゴリズムの周波数特性
を図8に示す。図8の中で、f0 は商用周波数であり、
ハッチング部分が誤差の範囲である。
【0007】第2に(1) ,(2) 式で示した定数kは入力
電圧V1 ,V2 が定格電圧(発電機Gの端子電圧Eが発
電機Gの定格出力電圧の時)であることを前提に決めら
れた差電圧の検出感度であるが、このままで発電機の起
動時(低い周波数)に適用すれば、起動時も同じ感度の
ままで検出する(振幅値演算アルゴリズムの周波数特性
を無視した場合)ことになる。しかし、図9に示す如く
発電機の出力電圧は、過励磁状態で出力することがない
よう、低い周波数においても、電圧Vに比例し周波数f
に反比例する量、即ち、V/fなる量が一定以下となる
ように制御される。例えば商用周波数f0 、発電機の定
格出力電圧時の継電器入力電圧をVf0とした場合は商用
周波数以外においても V/f=Vf0/f0 =一定 を超えることはない。
【0008】このため、商用周波数以外の起動時におい
てはVf0/f0 の値を1PUとすると、差電圧を検出する
基準電圧(発電機出力電圧)は1PUの軌跡以下の電圧で
ある。仮に、基準電圧が1PUの軌跡上にあるとすれば、
電圧平衡継電器の動作限界点は図中のaの軌跡上にあ
る。商用周波数f0 の点では定格電圧Vf0が基準電圧で
あり、他方の電圧が検出感度K以下となった時(図中b
点)に動作し、同様に周波数がf′の時は基準電圧がe
点の電圧であり、他方の電圧がc点の電圧となった時に
動作する。このことは、電圧平衡継電器の検出感度が周
波数f′の基準電圧に対する比c/eが、商用周波数の
ときの基準電圧に対する比b/Vf0に対して低感度化す
ることを意味する。更に周波数が低下し図中d点以下と
なった時は動作できなくなると言う問題があった。本発
明は上記問題点を解決するためになされたものであり、
発電機の起動時(低い周波数)にても低感度化すること
なく電圧の不平衡を検出し、かつ検出誤差の小さいディ
ジタル形電圧平衡継電器を提供することを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では一定時間間隔
でサンプリングされディジタル量に変換された2つの交
流電圧V1 ,V2 のサンプル値を用い、該交流電圧の半
波または半波の整数倍の期間のサンプル値の絶対値を加
算した各々の電圧に比例した量P1 ,P2 を得、一方の
量、例えばP1 を基準に他方の量P2 が一定値以下とな
ったことを検出し、2つの交流電圧V1 ,V2 の不平衡
(主にV2 側の電圧低下)を検出しようとするものであ
る。なお、基準の量をP2 、他の量をP1 とすることに
より主にV1側の電圧低下が検出可能である。
【0010】
【作用】上記した量P1 及びP2 を一般的に表わすと下
記となる。 i+j-1 |V/f|*P** Σ |Vm m=i 但し、iは正波または負波の先頭のサンプリング番号 jは正波または負波に含まれるサンプリング番号 又、*は比例を意味し、**はほぼ等しいを意味する(以
下同じ)。更に電圧V1 ,V2 の不平衡を検出するため
に下記の計算を行なう。 V2 電圧を基準にV1 電圧の低下を検出する場合: P2 −P1 ≧K(Kは定数) V1 電圧を基準にV2 電圧の低下を検出する場合: P1 −P2 ≧K(Kは定数) 以上の演算を行なうことにより、周波数fの変化に応じ
た差電圧検出が可能となる。即ち、低い周波数において
も低感度化することなく電圧の不平衡を検出し、かつ広
域の周波数において誤差の少ないディジタル形電圧平衡
継電器を提供することができ、発電機の起動時(低い周
波数)における初期の事故検出が可能となる。
【0011】
【実施例】以下図面を参照して実施例を説明する。都合
により図2から説明する。図2は本発明によるディジタ
ル形電圧平衡継電器の一実施例を実現するためのディジ
タルリレーの構成図である。図2において、V1 ,V2
は発電機Gの端子電圧Eを計器用変圧器PTで変換した電
圧であり、ディジタル形電圧平衡継電器自体は従来公知
のディジタルリレーによって構成されている。導入され
た交流電圧V1 ,V2 はアナログ/ディジタル変換部
(A/D)2を介して一定周期でサンプリングされてデ
ィジタル量に変換される。中央演算部(CPU)3はプ
ログラムメモリ(ROM)4にて予め記憶されたプログ
ラムに従い、上記したディジタル量とデータメモリ(R
AM)5とを用いて後述する演算を行ない、その結果、
入力電圧V1 ,V2 に不平衡が生じた時に検出し、出力
(OUT)6より出力する。
【0012】図1は電圧の不平衡を検出する演算処理を
説明するフローチャートである。先ず、ステップS31 で
はアナログ/ディジタル変換部(A/D)2にてディジ
タル量に変換された電圧のサンプル値(Vm ,V
m+1 …)が取り込まれて、ステップS32 へ移る。ステッ
プS32 においては後述する(5) 式に基づき、|V1 /f
|,|V2 /f|に比例した量P1 ,P2 の近似値が計
算される。ステップS33 では後述する(6) 式に基づき、
予め整定された定数KとP1 −P2 の差電圧が比較され
る。差電圧が定数Kより大きいときにステップS34 に移
り、V2 側の計器用変圧器又はヒューズ断と判断して、
V2 側異常として出力する、又、差電圧(P1 −P2
が定数Kより小さいときはステップS35 に移り、ステッ
プS35 では後述する(7) 式に基づき、予め整定された定
数KとP2 −P1 の差電圧が比較される。
【0013】差電圧が定数Kより大きいときにステップ
S35 に移り、V1 側の計器用変圧器又はヒューズ断と判
断してV1 側異常として出力する。又差電圧(P2 −P
1 )が定数Kより小さいときは、そのまま終了する。な
お、ステップS34 ,S36 で出力した指令は外部シーケン
ス処理により距離継電器又は自動電圧調整器等の誤動作
を防止する目的で使用される。
【0014】図3は電圧比較の演算に用いる|V1 |,
|V2 |の算出手法を説明する図である。一例として入
力交流電圧V1 の周波数fが50Hzで、サンプリング周波
数が600 Hzの場合を示している。なお、図3に示すよう
に入力交流電圧V1 を一定周期(1/600 秒)でサンプリ
ングし、これをアナログ/ディジタル変換した電圧のサ
ンプル値をVm-1 ,Vm ,Vm+1 …Vm+12と表わしてい
る。そして本発明では図3に示すハッチング部の面積、
即ち、正波もしくは負波いずれかの半波の面積は、電圧
1 の大きさに比例し、電圧V1 の周波数fにほぼ反比
例することを知得してなされたものである。要するに図
3に示すハッチング部の面積は、各サンプル値Vm ,V
m+1 …Vm+5 の和に比例する。したがって(4) 式を計算
することにより、V1 /fに比例した量P1 の近似式が
得られる。
【0015】 |V1 /f|*P1 **Vm +Vm+1 …+Vm+5 ………(4) 上記した(4) 式を更に一般的に表わすと(5) 式となる。 i+j-1 |V1 /f|*P1 ** Σ |Vm | ………(5) m=i 但し、iは正波または負波の先頭のサンプリング番号 jは正波または負波に含まれるサンプリング値の数 定格電圧Vf0、商用周波数f0 の時の比(Vf0/f0
を1PUとすると、周波数を変えた1PU入力時における入
力電圧を(5) 式に基づいて計算した値P1 は、実用的な
周波数範囲60Hz以下において、ほぼ等しい値(誤差±4.
1 %以下)となる。
【0016】つまり、V1 の値は(5) 式に基づいて算出
することにより、周波数fの変化に関係なく一定の量P
1 となる。V2 についても同様の演算に基づきP2 なる
量を得る。更に、電圧V1 ,V2 の不平衡を検出するた
めに、前述したP1 及びP2 を後述する(6) または(7)
式の動作式に基づいて検出する。 V2 電圧を基準にV1 電圧の低下を検出する場合: P2 −P1 ≧K(Kは定数) ………(6) V1 電圧を基準にV2 電圧の低下を検出する場合: P1 −P2 ≧K(Kは定数) ………(7) となる。
【0017】次に作用について説明する。(6) ,(7) 式
に基づく本発明のディジタル形電圧平衡継電器の特性を
図4に示す。商用周波数における特性は前述した従来
の電圧平衡継電器の図7の特性と同じであるが、低い周
波数(例えば10Hz)においては高感度にV1 とV2 を比
較する特性に変化する。このことは前述した(6) 式及
び(7) 式を、P1 *|V1 /f|,P2 *|V2 /f|
であるための下記の如く(8) ,(9) 式で表わすことがで
きることで説明が可能である。 (6) 式の変形 |V1 /f|−|V2 /f|≧K さらに |V1 |−|V2 |≧K・f ………(8) 同様に(7) 式の変形として |V2 |−|V1 |≧K・f ………(9) 即ち、(8) ,(9) 式は見掛け上、定数Kと周波数fとの
積によって決まる検出感度を持つことになる。つまり、
周波数fの変化に応じて差電圧検出感度が変化すること
に等しい。
【0018】また、図5に本発明のディジタル形電圧平
衡継電器の周波数特性を示す。定格電圧Vf0、商用周波
数f0 とした時の比(Vf0/f0 )を1PUとし、仮に基
準電圧が1PUの軌跡上にあるとすれば、本発明の電圧平
衡継電器の動作限界点はAの軌跡上にある。商用周波数
0 の点では定格電圧Vf0が基準電圧であり、他方の電
圧が検出感度K以下となった時(図中B点)に動作し、
同様に周波数がf′の時は、基準電圧がE点の電圧であ
り、他方の電圧が検出感度K・f′以下となった時(図
中C点)に動作する。
【0019】このことは本発明の電圧平衡継電器の検出
感度が周波数f′の基準電圧に対する比C/Eと商用周
波数のときの基準電圧に対する比B/Vf0が等しいこと
を意味する。即ち、周波数fが変化しても基準電圧に対
する検出感度の比は一定となり、従来のように低感度化
することはなく、更に、低い周波数においても動作でき
なくなるようなことはなくなる。
【0020】以上説明したように本実施例によれば、一
定周期でサンプリングされてディジタル量に変換された
データを用い、(5) 式で示されるような演算にて得られ
た量P1 ,P2 を、(6) ,(7) 式で示されるような比較
を行なうことにより、周波数fの変化に応じた差電圧検
出が可能である。即ち、低い周波数におても低感度化す
ることなく電圧の不平衡を検出し、かつ広域の周波数に
おいて誤差の少ないディジタル形電圧平衡継電器を提供
することができ、発電機の起動時(低い周波数)におけ
る初期の事故検出が可能となる。
【0021】上記実施例では、入力交流量V1 ,V2
正波または負波の面積に対応した量P1 ,P2 の比較に
よる電圧平衡検出について説明したが、これに限定され
るものではなく、入力交流量V1 ,V2 の1波分または
1,5 波分など半波の整数倍の面積に対応した量P1 ′,
2 ′の比較による電圧平衡検出としてもよい。例えば
1波分の面積を求める場合を図3を用いて示すと(10)式
となる。 V1 /f*P1 ′=Vm +Vm+1 +…+Vm+5 +|Vm+6 |+ …+|Vm+11| ………(10) また、(11)式に示すように正波及び負波のそれぞれずら
して算出した量P1 ″,P2 ″の比較による電圧平衡検
出としてもよい。 V1 /f*P1 ″=Vm+3 +Vm+4 +Vm+5 +|Vm+6 |+|Vm+7 | +|Vm+8 | ………(11)
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば一
定時間間隔でサンプリングされ、ディジタル量に変換し
た2つの交流電圧の各サンプリング値を用い、各々の入
力交流電圧の半波または半波の整数倍の期間内のサンプ
ル値の絶対値を加算して、各々の入力交流電圧に対応し
た量を得、得られた2つの量の差が一定以上になったこ
とを検出するよう構成したので、周波数fの変化に応じ
た差電圧検出が可能である。即ち、低い周波数において
も低感度化することはなく電圧の不平衡を検出し、かつ
広域の周波数において検出誤差の少ないディジタル電圧
平衡継電器を提供することができ、発電機の起動時(低
い周波数)における初期の事故検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中央演算部において実行される電圧比較検出の
演算処理を説明するためのフローチャート図。
【図2】本発明によるディジタル形電圧平衡継電器の一
実施例の構成図。
【図3】本発明による電圧平衡継電器にて比較する量の
基本的な考え方を説明する図。
【図4】本発明の電圧平衡継電器の特性図。
【図5】本発明の電圧平衡継電器の周波数特性図。
【図6】電圧平衡継電器が適用される発電機系統図。
【図7】従来の電圧平衡継電器の特性図。
【図8】従来の電圧平衡継電器で使用している振幅値演
算アルゴリズムの周波数特性。
【図9】従来の電圧平衡継電器の周波数特性例。
【符号の説明】
1 ディジタル形電圧平衡継電器 2 アナログ/ディジタル変換部 3 中央演算部 4 プログラムメモリ 5 データメモリ 6 出力部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの交流電圧波形を各々一定時間間隔
    でサンプリングし、前記各サンプル値をディジタル量に
    変換して両者の大小を比較するディジタル形電圧平衡継
    電器において、前記ディジタル量に変換された各電圧の
    サンプル値を取り込む手段と、前記2つの電圧をもとに
    電圧Vに比例し周波数fに反比例する量であるV/fに
    比例する量Pを下記(1) 式により算出する手段と、前記
    各Pをもとに下記(2) 式によりその大小を判定する手段
    と、P 1 −P 2 ≧Kであるとき、V 2 側が異常として出
    力する手段と、P 2 −P 1 ≧Kであるとき、V 1 側が異
    常として出力する手段とを備えたことを特徴とするディ
    ジタル形電圧平衡継電器。 【数1】
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