JP3431350B2 - ディジタル形電圧平衡継電器 - Google Patents

ディジタル形電圧平衡継電器

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JP3431350B2
JP3431350B2 JP16010595A JP16010595A JP3431350B2 JP 3431350 B2 JP3431350 B2 JP 3431350B2 JP 16010595 A JP16010595 A JP 16010595A JP 16010595 A JP16010595 A JP 16010595A JP 3431350 B2 JP3431350 B2 JP 3431350B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はディジタル形保護継電装
置、特に広い周波数範囲において保護が必要な発電機保
護継電装置に使用されるディジタル形電圧平衡継電器に
関する。
【0002】
【従来の技術】図9に電圧平衡継電器1を発電機Gの系
統に適用した例を示す。同図のPTは発電機Gの端子電圧
Eに応じた電圧V1 及びV2 に変換するための計器用変
圧器、Fは過電流保護用のヒューズである。計器用変圧
器PTは目的別に2組で構成されるのが一般的であり、例
えばV1 の電圧は自動電圧調整器へ導入され、V2 の電
圧は計器及び保護継電器に導入される。
【0003】電圧V1 又はV2 は計器用変圧器PTの不良
あるいはヒューズFの断線により変化するため、保護継
電器(主に距離継電器)あるいは自動電圧調整器等が誤
動作する場合がある。電圧平衡継電器1は、前述した機
器の誤動作を防止する目的で使用され、継電器に導入さ
れた電圧V1 及びV2 を比較し、その差電圧が所定値以
上となった時に出力する。
【0004】動作式で表わすと、
【数1】V2 電圧を基準にV1 電圧の低下を検出する場
合: |V2 |−|V1 |≧K(Kは定数) ………(1) V1 電圧を基準にV2 電圧の低下を検出する場合: |V1 |−|V2 |≧K(Kは定数) ………(2) となり、その特性は図10の如くなる。
【0005】なお、|V1 |及び|V2 |は入力電圧V
1 ,V2 を所定の時間間隔でサンプリングし、そのサン
プル値をディジタルデータに変換し、そのディジタルデ
ータから振幅値を算出したものである。一例として、一
般に使用されている振幅値演算アルゴリズムを下記に示
す。
【0006】
【数2】
【0007】一方、発電機の系統は、発電機起動時にお
いて低い周波数から立ち上げていくため、商用周波数付
近での保護以外に、起動時における低い周波数から商用
周波数までの広域周波数保護が必要であり、広域周波数
に適用可能な保護継電器が必要である。電圧平衡継電器
においては、従来商用周波数での適用を前提としてきた
が、近年初期の事故検出を目的として起動時(低い周波
数)からの適用が要求されてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来方式のものは、入
力電圧が商用周波数付近にあること、及び発電機Gの端
子電圧Eが発電機Gの定格出力電圧であることが前提に
適用が考えられている。このため、従来の継電器を起動
時(低い周波数)から適用しようとした場合、以下の問
題点が生じる。
【0009】第1に前述した従来方式のアルゴリズム
(3) 式は、入力電圧V1 ,V2 が商用周波数付近にある
ことを前提として考えられているため、入力電圧V1
2 が商用周波数付近、例えば、50Hz付近では性能上十
分な精度が得られるが、商用周波数から離れた入力に対
しては誤差が大きくなると言う問題がある。一例とし
て、(3) 式に示す従来方式のアルゴリズムの周波数特性
を図11に示す。図11の中で、f0 は商用周波数であり、
ハッチング部分が誤差の範囲である。
【0010】第2に(1) ,(2) 式で示した定数kは入力
電圧V1 ,V2 が定格電圧(発電機Gの端子電圧Eが発
電機Gの定格出力電圧の時)であることを前提に決めら
れた差電圧の検出感度であるが、このままで発電機の起
動時(低い周波数)に適用すれば、起動時も同じ感度の
ままで検出する(振幅値演算アルゴリズムの周波数特性
を無視した場合)ことになる。
【0011】しかし、図12に示す如く発電機の出力電圧
は、過励磁状態で出力することがないよう、低い周波数
においても、電圧Vに比例し周波数fに反比例する量、
即ち、V/fなる量が一定以下となるように制御され
る。例えば商用周波数f0 、発電機の定格出力電圧時の
継電器入力電圧をVf0とした場合は商用周波数以外にお
いても、V/f=Vf0/f0 =一定を超えることはな
い。
【0012】このため、商用周波数以外の起動時におい
てはVf0/f0 の値を1PUとすると、差電圧を検出する
基準電圧(発電機出力電圧)は1PUの軌跡以下の電圧で
ある。仮に、基準電圧が1PUの軌跡上にあるとすれば、
電圧平衡継電器の動作限界点は図中のaの軌跡上にあ
る。商用周波数f0 の点では定格電圧Vf0が基準電圧で
あり、他方の電圧が検出感度K以下となった時(図中b
点)に動作し、同様に周波数がf′の時は基準電圧がe
点の電圧であり、他方の電圧がc点の電圧となった時に
動作する。
【0013】このことは、電圧平衡継電器の検出感度が
周波数f′の基準電圧に対する比c/eが、商用周波数
のときの基準電圧に対する比b/Vf0に対して低感度化
することを意味する。更に周波数が低下し図中d点以下
となった時は動作できなくなると言う問題があった。
【0014】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、発電機の起動時(低い周波数)にても
低感度化することなく電圧の不平衡を検出し、かつ検出
誤差の小さいディジタル形電圧平衡継電器を提供するこ
とを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
ディジタル形電圧平衡継電器は、2つの交流電圧波形を
各々一定時間間隔でサンプリングし、該サンプル値をデ
ィジタル量に変換するアナログ/ディジタル変換部と、
変換されたディジタル量を用いて演算処理する中央演算
処理部と、データメモリ,プログラムメモリ及び出力部
とを少なくとも備え、前記各々の交流電圧の半波又は半
波の整数倍の各期間中におけるサンプル値のディジタル
量を用いて、2つの交流電圧波形の面積に対応した2つ
の各々の量を計算する第1の演算部及び第2の演算部
と、前記計算された2つの量の一方を基準量とし、前記
基準量と他方の量との差が所定値以上であるとき出力す
る第1の判定部と、前記第1の判定部で比較した基準側
の量と同じく基準側の過去の半波の面積に対応した量と
の差が所定値以上であるとき前記第1の判定部の出力を
阻止する第2の判定部とを備えた。
【0016】本発明の請求項2に係るディジタル形電圧
平衡継電器は、2つの交流電圧波形を各々一定時間間隔
でサンプリングし、該サンプル値をディジタル量に変換
するアナログ/ディジタル変換部と、変換されたディジ
タル量を用いて演算処理する中央演算処理部と、データ
メモリ,プログラムメモリ及び出力部とを少なくとも備
え、前記各々の交流電圧の半波又は半波の整数倍の各期
間中におけるサンプル値のディジタル量を用いて、2つ
の交流電圧波形の面積に対応した2つの各々の量を計算
する第1の演算部及び第2の演算部と、前記第1の演算
部で計算された量を基準量とし前記第2の演算部で計算
された量を検出量として前記基準量と前記検出量との差
が所定値以上であるとき出力する第1の判定部と、前記
第1の判定部で比較した基準量側と検出量側と同じ区間
での各々のサンプル値のディジタル量の瞬時値の最大値
を求め、検出量側の最大値を基準量側の最大値で除算し
た値が所定値以下であるとき出力する第2の判定部と、
前記第1の判定部の出力と前記第2の判定部の出力との
論理積手段とを備えた。
【0017】
【作用】本発明の請求項1に係るディジタル形電圧平衡
継電器の作用は、以下の通り。即ち、上記した量P1(m)
及びP2(m)を一般的に表わすと下記となる。
【数3】
【0018】更に電圧V1 ,V2 の不平衡を検出するた
めに下記の計算を行なう。
【数4】V2 電圧を基準にV1 電圧の低下を検出する場
合: P2(m)−P1(m)≧K(Kは定数) V1 電圧を基準にV2 電圧の低下を検出する場合: P1(m)−P2(m)≧K(Kは定数)
【0019】以上の演算を行なうことにより、周波数f
の変化に応じた差電圧検出が可能となる。又、PTヒュー
ズ断線等で入力量が過渡応動した場合、過渡応動した側
の交流電圧波形の面積に対応した量が一時的に大きくな
ることがあり、これにより実際にPTヒューズ断線してい
ない側の電圧異常を誤検出する場合がある。
【0020】しかし、上記で得た2つの量(P1(m),P
2(m))の一方(基準側、ここではPTヒューズ断線した
側)の量、例えばP1(m)と基準側の過去の半波の量(P
1(m-n))との差が一定値以上(P1(m)−P1(m-n)≧r
(rは定数))のときに、上記P1(m)−P2(m)≧Kの出
力を阻止することにより、前述した過渡的な応動が生じ
たときでも誤判定しない信頼性の高い検出が可能とな
る。
【0021】即ち、低い周波数におても低感度化するこ
となく電圧の不平衡を検出し、かつ広域の周波数におい
ても誤差が少ない信頼性の高いディジタル形電圧平衡継
電器を提供することができ、発電機の起動時(低い周波
数)における初期の事故検出が可能となる。
【0022】本発明の請求項2に係るディジタル形電圧
平衡継電器では、第1の判定部で比較した2つの量と同
じ区間での各々のサンプル値のディジタル量の瞬時値の
最大値の比、即ち各々のサンプル値のディジタル量の瞬
時値の最大値を求め、検出量側の最大値を基準量側の最
大値で除算した値が所定値以下であるとき出力する第2
の判定部を設け、前記第1の判定部の出力との論理積条
件を検出することにより、確実に異常検出(電圧低下)
をするようにした。
【0023】
【実施例】以下図面を参照して実施例を説明する。説明
の便宜上図2から説明する。図2は本発明によるディジ
タル形電圧平衡継電器の一実施例を実現するためのディ
ジタルリレーの構成図である。図2において、V1 ,V
2 は発電機Gの端子電圧Eを計器用変圧器PTで変換した
電圧であり、ディジタル形電圧平衡継電器自体は公知の
ディジタルリレーハードウェア部品によって構成されて
いる。
【0024】導入された交流電圧V1 ,V2 はアナログ
/ディジタル変換部(A/D)2を介して一定周期でサ
ンプリングされてディジタル量に変換される。中央演算
部(CPU)9はプログラムメモリ(ROM)11にて予
め記憶されたプログラムに従い、上記したディジタル量
とデータメモリ(RAM)10とを用いて後述する演算を
行ない、その結果、入力電圧V1 ,V2 に不平衡が生じ
た時に検出し、出力装置(OUT)12より出力する。
【0025】図1は電圧の平衡状態を検出する演算処理
を説明する中央演算部のブロック図である。図1におい
て、中央演算部9はP算出演算部3,P算出演算部
4,P1(m)−P2(m)≧K判定部5,P格納メ
モリー7,P1(m)−P1(m―n)≧r判定部8及
びP1(m)−P2(m)≧K判定部5の出力があり、
1(m)−P1(m―n)≧r判定部8の出力がない
とき出力するインヒビット回路6とからなる。
【0026】先ず、アナログ/ディジタル変換部(A/
D)2にてディジタル量に変換された電圧のサンプル値
(図3におけるVm ,Vm+1 ,…)が取り込まれる。P
1 算出演算部3,P2 算出演算部4においては後述する
(5) 式に基づき、|V1 /f|,|V2 /f|に比例し
た量P1(m),P2(m)の近似値が計算される。
【0027】P1(m)−P2(m)≧K判定部5では、後述す
る(7) 式に基づき、予め整定された定数KとP1(m)−P
2(m)の差が比較される。かつ、電圧異常時の過渡的な応
動により、電圧に比例した半波の面積P1(m)が一時的に
大きくなった場合の誤動作を防止するために、P1 算出
演算部3で作成された過去(半波前もしくはそれ以前)
のP1 の電気量(P1(m-n))をP1 格納メモリー7に格
納する。
【0028】そして、P1(m)−P1(m-n)≧r判定部8で
現在のP1 の電気量(P1(m))と過去のP1 の電気量
(P1(m-n))の差分ΔP1 を算出して、予め整定された
定数rと算出されたΔP1 (=P1(m)−P1(m-n))とを
比較して、大きければ前述したP1(m)−P2(m)≧K判定
部5の出力を阻止する。
【0029】P1(m)−P1(m-n)≧rが出力してなくて、
1(m)−P2(m)≧K判定部5が出力していれば、インヒ
ビット回路6の条件が成立し出力指令を出力し、V2
の計器用変圧器又はヒューズ断として判定して、V2
異常として出力する。出力指令は外部シーケンス処理に
より距離継電器又は自動電圧調整器等の誤動作を防止す
る目的で使用される。以上はV1 電圧基準にV2 電圧の
低下を検出する場合について説明してきたが、V2 電圧
基準にV1 電圧の低下を検出する場合も同様である。
【0030】図3は電圧比較の演算に用いる|V1 |,
|V2 |の算出手法を説明する図である。一例として入
力交流電圧V1 の周波数fが50Hzで、サンプリング周波
数が600 Hzの場合を示している。なお、図3に示すよう
に入力交流電圧V1 を一定周期(1/600 秒)でサンプリ
ングし、これをアナログ/ディジタル変換した電圧のサ
ンプル値をVm-1 ,Vm ,Vm+1 ,…,Vm+12と表わし
ている。
【0031】そして、本発明では図3に示すハッチング
部の面積、即ち、正波もしくは負波いずれかの半波の面
積は、電圧V1 の大きさに比例し、電圧V1 の周波数f
にほぼ反比例することを知得してなされたものである。
要するに図3に示すハッチング部の面積は、各サンプル
値Vm ,Vm+1 ,…,Vm+5 の和に比例する。したがっ
て(4) 式を計算することにより、V1 /fに比例した量
1(m)の近似式が得られる。
【0032】
【数5】
【0033】定格電圧Vf0,商用周波数f0 の時の比
(Vf0/f0 )を1PUとすると、周波数を変えた1PU入
力時における入力電圧を(5) 式に基づいて計算した値P
1(m)は、実用的な周波数範囲60Hz以下において、ほぼ等
しい値(誤差±4.1 %以下)となる。
【0034】つまり、V1 の値は(5) 式に基づいて算出
することにより、周波数fの変化に関係なく一定の量P
1(m)となる。V2 についても同様の演算に基づきP2(m)
なる量を得る。更に、電圧V1 ,V2 の不平衡を検出す
るために、前述したP1(m)及びP2(m)を後述する(6) 又
は(7) 式の動作式に基づいて検出する。
【0035】
【数6】V2 電圧を基準にV1 電圧の低下を検出する場
合: P2(m)−P1(m)≧K(Kは定数) ………(6) V1 電圧を基準にV2 電圧の低下を検出する場合: P1(m)−P2(m)≧K(Kは定数) ………(7) となる。
【0036】上記動作式の出力に対して、図4に示すよ
うに電圧異常時の過渡的な電圧応動によってP1(m)の量
が一時的に大きくなる場合の誤動作を防止するために、
図1に示すP1 格納メモリー7にP1(m)の過去(半波前
もしくはそれ以前)の電気量P1(m-n)(−nは過去のデ
ータを意味する。なお、図4でP1(m-1)と記入している
のは半波前(−1)を意味する。)をメモリーに格納
し、次に、現在の電気量P1(m)との差分ΔP1 を下式で
算出する。
【0037】
【数7】 ΔP1 =P1(m)−P1(m-n) ……………(8) 算出したΔP1 をP1(m)−P1(m-n)≧r判定部8におい
て、算出値ΔP1 が予め整定した値rに対して、大きい
かどうかを判定する。
【0038】正常時は、ΔP1 <rとなるため、P1(m)
−P1(m-n)≧r判定部8は出力しない。これに対して、
異常時は電圧低下を検出しているにもかかわらず、P
1(m)の方が面積的に大きくなる(ΔP1 >r)ため、V
2 が異常を起こしていないのにP1(m)−P2(m)≧Kが成
立してしまい動作する。
【0039】このため、P1(m)−P1(m-n)≧r判定部8
の出力にてP1(m)−P2(m)≧K判定部5の出力を阻止す
る。以上はV1 電圧基準にV2 電圧の低下を検出する場
合について説明してきたが、V2 電圧基準にV1 電圧の
低下を検出する場合も同様である。
【0040】次に作用について説明する。(6) ,(7) 式
に基づく本発明のディジタル形電圧平衡継電器の特性を
図5に示す。商用周波数における特性は前述した従来
の電圧平衡継電器の図10の特性と同じであるが、低い周
波数(例えば10Hz)においては高感度にV1 とV2 を比
較する特性に変化する。
【0041】このことは前述した(6) 式及び(7) 式を、
1(m)*|V1 /f|,P2(m)*|V2 /f|であるた
めの下記の如く(9) ,(10)式で表わすことができること
で説明が可能である。なお、*は比例を意味する(以下
同じ)。
【0042】
【数8】(6) 式の変形 |V1 /f|−|V2 /f|≧K 更に |V1 |−|V2 |≧K・f ………………(9) 同様に(7) 式の変形として |V2 |−|V1 |≧K・f ………………(10)
【0043】即ち、(9) ,(10)式は見掛け上、定数Kと
周波数fとの積によって決まる検出感度を持つことにな
る。つまり、周波数fの変化に応じて差電圧検出感度が
変化することに等しい。
【0044】又、PTヒューズ断線等で入力量(例えばV
1 側)が過渡応動した場合、過渡応動した側の交流電圧
波形の面積に対応した量(P1(m))が一時的に大きくな
る場合があり、これにより実際にPTヒューズ断線してい
ない側(V2 側)の電圧異常判定式(7) 、P1(m)−P
2(m)≧Kが成立してしまい誤出力する可能性がある。
【0045】このために、上記で得た2つの量
(P1(m),P2(m))の基準側の量(P1(m))と基準側の
過去(半波もしくは以前)の量(P1(m-n))との差が一
定値以上になったときに、上記P1(m)−P2(m)≧Kの出
力を阻止することにより、前述した過渡的な応動が生じ
たときでも誤判定しない信頼性の高い検出が可能とな
る。以上はV1 電圧基準にV2 電圧の低下を検出する場
合について説明してきたが、V2電圧基準にV1 電圧の
低下を検出する場合も同様である。
【0046】又、図6に本発明のディジタル形電圧平衡
継電器の周波数特性を示す。定格電圧Vf0、商用周波数
0 とした時の比(Vf0/f0 )を1PUとし、仮に基準
電圧が1PUの軌跡上にあるとすれば、本発明の電圧平衡
継電器の動作限界点はAの軌跡上にある。
【0047】商用周波数f0 の点では定格電圧Vf0が基
準電圧であり、他方の電圧が検出感度K以下となった時
(図中B点)に動作し、同様に周波数がf′の時は、基
準電圧がE点の電圧であり、他方の電圧が検出感度K・
f′以下となった時(図中C点)に動作する。
【0048】このことは本発明の電圧平衡継電器の検出
感度が周波数f′の基準電圧に対する比C/Eと商用周
波数のときの基準電圧に対する比B/Vf0が等しいこと
を意味する。即ち、周波数fが変化しても基準電圧に対
する検出感度の比は一定となり、従来のように低感度化
することはなく、更に、低い周波数においても動作でき
なくなるようなことはなくなる。
【0049】以上説明したように本実施例によれば、一
定周期でサンプリングされてディジタル量に変換された
データを用い、(5) 式で示されるような演算にて得られ
た量P1 ,P2 を、(6) ,(7) 式で示されるような比較
を行なうことにより、周波数fの変化に応じた差電圧検
出が可能である。
【0050】即ち、低い周波数におても低感度化するこ
となく電圧の不平衡を検出し、かつ広域の周波数におい
て誤差が少なく、信頼性の高いディジタル形電圧平衡継
電器を提供することができ、発電機の起動時(低い周波
数)における初期の事故検出が可能となる。
【0051】上記実施例では、入力交流量V1 ,V2
正波又は負波の面積に対応した量P 1(m),P2(m)の比較
による電圧平衡検出について説明したが、これに限定さ
れるものではなく、入力交流量V1 ,V2 の1波分又は
1.5波分など半波の整数倍の面積に対応した量
1(m)′,P2(m)′の比較による電圧平衡検出としても
よい。
【0052】例えば1波分の面積を求める場合を図3を
用いて示すと(11)式となる。又、(12)式に示すように正
波及び負波の夫々ずらして算出した量P1(m)″,
2(m)″の比較による電圧平衡検出としてもよい。
【数9】 V1 /f*P1(m)′=Vm +Vm+1 +…+Vm+5 +|Vm+6 | +…+|Vm+11| ………(11) V1 /f*P1(m)″=Vm+3 +Vm+4 +Vm+5 +|Vm+6 | +|Vm+7 |+|Vm+8 | ………(12)
【0053】図7は他の実施例の構成図である。図7に
おいて図1と同一部分については、同一符号を付して説
明を省略する。図7において、各々の入力量V1 ,V2
はA/D変換された後、前述とは別にP1(m)及びP2(m)
と同一区間の交流電圧波形の半波におけるサンプル値の
ディジタル量(瞬時値)の最大値を演算するV1MAX算出
演算部13と、V2MAX算出演算部14とに導かれる。
【0054】MAX量判定部15ではV1MAX算出演算部13
とV2MAX算出演算部14で各々算出した最大値|V
1MAX|,|V2MAX|(例えば図3に示す波形のVm から
m+6 までのサンプル値のVm+3 の値に相当する。)を
使用して、(13)式の判定を行ない、基準側の最大値(V
1MAX)に対して他方の最大値(V2MAX)が一定値より下
がったとき、P1(m)−P2(m)≧K判定部5の出力と論理
積をとる構成としている。
【数10】 |V2MAX|≦k・|V1MAX| ………………(13)
【0055】各々の電圧波形の面積の対応した量(P
1(m),P2(m))のみを使用して判定式P1(m)−P2(m)
Kで判定する要素と、P1(m),P2(m)を算出している区
間と同じ区間の各々のサンプル値のディジタル量の最大
値を使用して、上記判定式(13)で判定する要素との論理
積をとることにより、確実にV2 電圧の異常検出(電圧
低下)をすることができ、信頼性の高いディジタル形電
圧平衡継電器を提供することができる。
【0056】なお、図8は一方の電圧異常を検出する波
形図である。以上はV1 電圧基準にV2 電圧の低下を検
出する場合について説明してきたが、V2 電圧基準にV
1 電圧の低下を検出する場合も同様である。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればデ
ィジタル量に変換した2つの交流電圧の各サンプリング
値を用い、各々の入力交流電圧の半波又は半波の整数倍
の期間内のサンプル値の絶対値を加算して、各々の入力
交流電圧に対応した量を得、得られた2つの量の差が一
定以上になったことを検出すると共に、電圧量の差が所
定値以上であるとき電圧異常として出力するよう構成し
たので、周波数fの変化に応じた差電圧検出が可能であ
る。即ち、低い周波数においても低感度化することはな
く電圧の不平衡を検出し、かつ広域の周波数において検
出誤差の少ないディジタル電圧平衡継電器を提供するこ
とができ、発電機の起動時(低い周波数)における初期
の事故検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中央演算部において実行される本発明の電圧平
衡継電器の演算処理を説明するブロック図。
【図2】本発明によるディジタルリレーの構成図。
【図3】本発明による電圧平衡継電器にて比較する量の
基本的な考え方を説明するための図。
【図4】本発明の電圧平衡継電器の基準電圧補正を説明
するための波形図。
【図5】本発明の電圧平衡継電器の特性図。
【図6】電圧平衡継電器の周波数特性図。
【図7】他の実施例を説明するための図。
【図8】図7の電圧異常を説明する波形図。
【図9】電圧平衡継電器が適用される発電機系統図。
【図10】従来の電圧平衡継電器の特性図。
【図11】従来の電圧平衡継電器で使用している振幅値演
算アルゴリズムの周波数特性図。
【図12】従来の電圧平衡継電器の周波数特性図。
【符号の説明】
1 ディジタル形電圧平衡継電器 2 アナログ/ディジタル変換部 3 P1 算出演算部 4 P2 算出演算部 5 P1(m)−P2(m)≧K判定部 7 P1 格納メモリー 8 P1(m)−P1(m-n)≧r判定部 9 CPU 10 RAM 11 ROM 12 OUT 13 V1MAX算出演算部 14 V2MAX算出演算部 15 |V2MAX|≦|k・V1MAX|判定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02H 3/26 - 3/33 H02H 7/06 G01R 19/257 G01R 19/165

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの交流電圧波形を各々一定時間間隔
    でサンプリングし、該サンプル値をディジタル量に変換
    するアナログ/ディジタル変換部と、変換されたディジ
    タル量を用いて演算処理する中央演算処理部と、データ
    メモリ,プログラムメモリ及び出力部とを少なくとも備
    え、前記各々の交流電圧の半波又は半波の整数倍の各期
    間中におけるサンプル値のディジタル量を用いて、2つ
    の交流電圧波形の面積に対応した2つの各々の量を計算
    する第1の演算部及び第2の演算部と、前記計算された
    2つの量の一方を基準量とし、前記基準量と他方の量と
    の差が所定値以上であるとき出力する第1の判定部と、
    前記第1の判定部で比較した基準側の量と同じく基準側
    の過去の半波の面積に対応した量との差が所定値以上で
    あるとき前記第1の判定部の出力を阻止する第2の判定
    部とを備えたことを特徴とするディジタル形電圧平衡継
    電器。
  2. 【請求項2】 2つの交流電圧波形を各々一定時間間隔
    でサンプリングし、該サンプル値をディジタル量に変換
    するアナログ/ディジタル変換部と、変換されたディジ
    タル量を用いて演算処理する中央演算処理部と、データ
    メモリ,プログラムメモリ及び出力部とを少なくとも備
    え、前記各々の交流電圧の半波又は半波の整数倍の各期
    間中におけるサンプル値のディジタル量を用いて、2つ
    の交流電圧波形の面積に対応した2つの各々の量を計算
    する第1の演算部及び第2の演算部と、前記第1の演算
    部で計算された量を基準量とし前記第2の演算部で計算
    された量を検出量として前記基準量と前記検出量との差
    が所定値以上であるとき出力する第1の判定部と、前記
    第1の判定部で比較した基準量側と検出量側と同じ区間
    での各々のサンプル値のディジタル量の瞬時値の最大値
    を求め、検出量側の最大値を基準量側の最大値で除算し
    た値が所定値以下であるとき出力する第2の判定部と、
    前記第1の判定部の出力と前記第2の判定部の出力との
    論理積手段とを備えたことを特徴とするディジタル形電
    圧平衡継電器。
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