JP3104893U - 静電チャックの接着部 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘電体層と基盤との熱伝導性を静電チャックの周辺部で損なわず、かつ新規な部材を追加することなく、基盤と誘電体層の間の接着層をプラズマあるいはラジカルから防護することを課題とする。
【解決手段】接着層の厚みを、接着面の中心2をふくむ大部分と外周部3において変化させる。また、セラミック溶射層4の外周部を誘電体層1と密着させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体素子製造プロセスで用いられているエッチング処理、化学気相蒸着(CVD)による薄膜形成などのプラズマ処理装置、電子露光装置、イオン描写装置、イオン注入装置、また液晶パネル製造に使用されるイオンドーピング装置などに具備されている半導体ウエハの静電吸着機構、いわゆる静電チャックの技術に関する。
半導体製造装置では被処理物である半導体ウエハをその装置内で位置決め、そして支持面への確固な保持を確保する必要がある。また、同時にこの行為は被処理半導体ウエハになんら損傷を与えるものであってはならない。一世代前には半導体ウエハの表面を爪などで支持面へ抑えるクランプ方式が一般的であった。現在は処理基準が厳しく制限され、被処理半導体ウエハへの汚染量を管理する必要がある。これは、クランプ自身の材質、多くの場合はアルミニューム材、が処理プラズマ中にさらされることにより遊離、あるいはイオン注入ではそのイオン照射によりクランプ母材からスパッタされ浮遊し、被処理半導体ウエハに降りかかることにより、半導体素子の特性、歩留まりに著しく影響を与えるからである。
そこで考案されたのが前述のような機械的でない、電気的な静電吸着力を利用した被処理ウエハの支持面への保持方法である。この方法では支持面下、いわゆる吸着面下、に組み込まれた電極に高電位を与え、この面を構成する誘電体に分布した静電気と、被処理ウエハに分極帯電した電荷による静電気のクーロン力あるいはジョンソン・ラーベック力によって、被処理ウエハを吸着させる方法である。従い、被処理ウエハの表面上には前述のクランプは存在しない。
静電チャックはそれ自身を冷却する必要があり、又構造的に製造装置に取り付け易いように、二部から構成されている。一つは誘電体層で、他は基盤あるいはジャケットと呼ばれる部分である。誘電体層の内部には静電力を発生させるための吸着電極が具備され、外部電源から高電圧を印加することにより、誘電体層に分極電荷を誘起することにより、半導体ウエハを吸着し、保持する。半導体ウエハの処理は、エッチング、CVDではプラズマの中、イオン注入では目的のイオンだけを照射することにより行うが、いずれの場合も、半導体ウエハ単位面積の熱負荷が大きく、また直接半導体ウエハを冷却することは難しいため、これを保持している誘電体を冷却する。いわゆる間接冷却を行う。しかし、誘電体層はセラミックであるため加工が難しく、又冷媒を流すことによって吸着に係わる電気的特性への悪影響が懸念される。又吸着電極には高圧を印加するため放電が問題となるため、誘電体層には冷媒を流すことは行わず、これを間接冷却する方法がとられる。すなわち、基盤あるいはジャケットと呼ぶ金属製の部材に冷媒が流れる構造を作り、この基盤に誘電体層を密着させることで、半導体ウエハを冷却する。この構造により、装置への着脱機構、吸着電極への電気フィードスルーなどを基盤に加工できるため、静電チャック全体としての保守性を向上させることができる。
誘電体層と基盤を密着されるためには様々な方法があるが、密着したときの熱伝導性を良くするために、接着剤による接合が行われる。接着剤は誘電体層と基盤の間に薄い接着層を形成するが、誘電体層と基盤の全面において密着性を担保する必要があるため、その外周部には接着層の側面が露出することになる。図3にこの状況の従来例を示す。接着層6はその外周部において露出している。一般に接着剤はセラミックなどに比較して、化学的、物理的耐性に劣るため、特にプラズマを用いた反応性イオンエッチング装置では、フッ素系、塩素系あるいは酸素系の励起された活性化粒子であるラジカルにより接着層の側面から侵食される。この侵食が顕著になると静電チャック自身の温度特性等の性能面だけでなく、被処理ウエハのプロセス上においても様々な問題を引き起こす。
第一の問題は、静電チャック周辺部において熱伝達が不十分になるため、処理中にウエハ周辺での温度が上昇する。反応性イオンエッチング装置では、この結果、周辺部のエッチングが他の部分に比較して予測よりも早い速度で進むため、不良の素子がこの部分で頻出する。第二に、侵食された接着層は、製造装置内でばらばらのゴミとなり、多量のパーティクルとなる。パーティクルは半導体素子製造では重要な管理項目であり、その大きさと数量を厳しく制限されているため、致命的である。これらの問題を解決するため以下のような発明が開示されている。
特許第2925426号では誘電体層と基盤を密着させるためにフッ素系有機物からなる接着剤を用いることを開示している。その効果として、接着強度が大きいことと、プラズマ劣化が少ないことを特徴としているが、依然その接着層はプラズマなどに暴露されることに変わりない。特許第3078506号では接着層側部を含む静電チャック側面を、フッ化樹脂製の環状粋部材により囲うことで、プラズマ或いは、発生するラジカルから防護することを開示している。新たに部材をウエハ近辺に追加し設置するため、高周波の負荷が増加することにより、プロセスの条件に影響が出ることが懸念される。またその部材自身の寿命を考慮する必要が保守上必要となってくる。特開2000−114358号では静電チャックの側面のほぼ全体を、鉢巻き状にフッ素系あるいはシリコン系樹脂製の帯を接着することにより、保護することが開示されている。この例では先に掲げた二つの懸念を併せ持つ。
そこで、本考案では、誘電体層と基盤との熱伝導性を静電チャックの周辺部で損なわず、かつ新規な部材を追加することなく接着層をプラズマあるいはラジカルから防護することを課題とする。
本考案では、接着層の厚みを、接着面の中心をふくむ大部分と外周部において変化させる。また、セラミック溶射層の外周部を誘電体層と密着させる。
本考案によると、新規の部材の設置をしなくても、接着層側面の保護が図れ、かつ従来の誘電体層と基盤との熱伝導性と機械的強固な一体構造性を担保できる。また静電チャック側壁を形成するセラミック溶射層と誘電体層をその外周部において密着させることにより、セラミック溶射層が剥がれ落ちてくるという問題も解消できる。
中心を含む大部分については接着層、第一接着層と呼ぶ、を比較的厚く形成することで誘電体層と基盤との接着力を大きくし静電チャック全体の構造を強固にする。一方外周部の接着層、第二接着層と呼ぶ、はセラミック溶射層と誘電体層の接着層とし、その厚さは中心部に比べ極力薄くする。誘電体層とセラミック溶射層との密着性を保ち、熱の伝わり方について中心部分に比べて損なわないように、また溶射セラミック層が剥離してこないようにすることができるからである。この外周部であるセラミック溶射層の上面、即ち誘電体層と接着する面は、この誘電体層が基板に正確な位置関係を保つよう、又必要な中心部での接着層の厚さを確保するために、基板に対して平行かつ寸法精度良く加工する。
図1により先ずその構造の概略を説明する。基盤5は金属あるいは金属とセラミックの複合材から製作する。この基板5の側面は溶射セラミック層4で覆われている。腐食性ガス、プラズマあるいはラジカル等からの粒子が金属表面を腐食あるいは浸食するのを防ぐためである。基板5の上面には第一接着層2により誘電体層1が固定されている。この誘電体層1の内部には、図示していないが、導電性の吸着用電極が埋め込まれている。この電極に電位を印加することで誘電体層1に誘起電荷を発生させ、半導体ウエハ等の基板を誘電体層1の上面に吸着させる。外周部では誘電体層1と溶射セラミック層が極薄い第二接着層3により密着、固定されている。
誘電体層1はアルミナあるいは窒化アルミ(AlN)などのセラミック材を使用する誘電電荷を発生するために誘電体であること、物理的、化学的耐性に優れ、熱伝導率の高いものを使用する。誘電体層1の厚みは0.2mmから10mmの範囲で、熱伝導と組立、加工面の容易さの観点から0.5mmから2mmが優れている。本実施例では1mmとした。第一接着層2はシリコン系あるいはエポキシ系の接着剤を用いる。シリコン製の半導体基盤を用いる場合においては、シリコン系接着剤が万が一劣化した場合でも、パーティクル発生の原因とはなるが、半導体素子製造の物性面での汚染には一義的にはならないため好まれる。またシリコン系接着剤は密着性が良好で、しかも剥離材を使用することにより溶融し、接着物から剥離できるため、誘電体層1の劣化による取替えが可能になる。この剥離性の観点からも、シリコン系接着剤はエポキシ系接着剤より好まれる。第一接着層2の厚さは、熱伝導と物理的接着の強さの観点から0.05から0.5mmの範囲である。本実施例では0.1mmとした。第二接着層3も第一接着層2と同様の系統の接着剤を用いる。第二接着層3の厚さは0.001から0.01mmの範囲で、極力薄いことが望ましい。本実施例では0.005mmとした。溶射セラミック層4は溶融したアルミナ材質、純度99.99%を大気中で被処理表面に吹きつけ、基盤5の表面に定着、固化させることにより形成する。皮膜の厚さは0.1mmから0.5mmが良好である。本実施例では0.4mmとした。基板5は金属の場合には一般的にアルミニューム材質が用いられるため、アルミジャケットと呼ばれることもある。複合材の場合にはアルミニュームを含浸させた多孔質セラミックで製作する。多孔質セラミックはたとえば炭化シリコン(SiC)でできており、ポーラスの直径は平均20μm程度である。アルミニュームは溶融状態のものを高圧下でポーラスに強制含浸させ成型する。基盤5には図示してないが、冷却水を流すための冷媒経路が設けられる。静電チャック全体を冷却するためである。また同様に、図示していないが吸着電極への電位供給をするための電線を通す細いトンネル状の径路、あるいは基板5を装置に固定するための取り付け部を有す。また基板5の底面は水分で腐食するのを防ぐため、アルマイト処理される。
図2により、実施例1の加工工程について説明する。図2(a)では基盤5の側面及び吸着面側となる上面を溶射によりセラミックを吹きつけ、溶射セラミック層4を形成している様子を示す。基盤5の上面の溶射セラミック層4は後に削り落とす分を含めて、最終的な第一接着層の厚み0.1mmより、若干厚めにする。図2(b)では、基盤5の上面の溶射セラミック層4を削り落とし、溶射層を取り除いた後の基盤5の上面5aを露出させる。同時に、溶射セラミック層4の外周部を切削し、溶射セラミック層4の加工後の上面4aを形成する。このとき、前述の4aと5aのそれぞれの面は基盤5の基準面(本実施例では基盤5の底面)と平行で、かつ、第一接着層の厚み0.1mmを確保できるよう精密に加工する。図2cでは、第一接着層2と第二接着層3を所定の接着剤で形成したところを示す。この後、セラミック材からなる誘電体層1を前記接着層の上に貼り付け、所定の圧力で、基盤5の基準面と平行性を保つよう、一体成型し、工程を完了する。
新たな部材を付加することなく静電チャックとしての寿命を長くできることから、半導体素子製造工場で使用中の現存する装置にも、様々の装置運転パラメターの設定を改めて探し設定しなおさなくても、採用できる。よって、新規に導入する装置に付帯する場合のみならず、既存の静電チャックを修理、あるいは再生する場合にも本考案は有益である。
本考案の一実施例を示す静電チャック接着部の断面部分模式図。 本考案の一実施例の加工工程示す図。 従来例の静電チャック接着部の断面部分模式図。
符号の説明
1 誘電体層
2 第一接着層
3 第二接着層
4 溶射セラミック層
4a 溶射セラミック層4の加工後の上面
5 基盤
5a 溶射層を取り除いた後の基盤5の上面
6 接着層

Claims (2)

  1. 誘電体層と基盤を具備する静電チャックにおいて、前記誘電体層と前記基盤を接合する接着層の厚さを少なくとも2段階とし、大部分の領域では0.05から0.5mmの範囲とし、外周部では0.001から0.01mmの範囲とすることを特徴とする、静電チャック。
  2. 外周部の接着は誘電体層と静電チャックの側面に形成されている溶射セラミック層のみとの接着とすることを特徴とする「請求項1」の静電チャック。
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