JP3103975B2 - マイクロカプセル化酸化チタン光触媒を含有する光化学リアクターエレメント - Google Patents

マイクロカプセル化酸化チタン光触媒を含有する光化学リアクターエレメント

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JP3103975B2 JP10376541A JP37654198A JP3103975B2 JP 3103975 B2 JP3103975 B2 JP 3103975B2 JP 10376541 A JP10376541 A JP 10376541A JP 37654198 A JP37654198 A JP 37654198A JP 3103975 B2 JP3103975 B2 JP 3103975B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロカプセル
化酸化チタン光触媒を含んでいる光化学リアクターエレ
メントに関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタン光触媒は、二酸化チタン顔料
と異なる独特の機能および用途を持っており、悪臭物
質、空気汚染物質または微生物を光化学的に分解もしく
は破壊するために使用される。また、基材の表面に汚染
され難いまたは汚染を容易に除去することが可能な超親
水性表面を形成するために使用される。
【0003】これらの用途において、粉末状の酸化チタ
ン光触媒は基材上へ何らかの形で固定されることを要す
るのみでなく、少なくとも部分的に大気および光に対し
露出していることを要する。
【0004】特開平5−253544号公報にはタイル
等の耐熱性の基材に釉薬等からなるバインダ層を形成
し、未焼成のバインダ層表面に酸化チタン光触媒ゾルを
スプレー等で吹き付けた後、300〜850℃でバイン
ダを溶融、冷却固化させると同時にゾル中に含まれる分
散剤等の有機物を分解し、光触媒を表面が露出した状態
で固定する方法が開示されている。しかし、この方法は
高温で熱処理する工程を含むので、基材の種類が限定さ
れる欠点がある。
【0005】また、特開平8−131842号公報には
上記特許の改良技術が開示されている。すなわちバイン
ダを例えば熱可塑性または熱硬化性樹脂とし、300℃
以下の熱処理とすることで基材の選択幅を広げ、低温熱
処理のため酸化チタン表面に残存する樹脂等の有機物
を、紫外線で光励起した酸化チタンの光触媒活性により
分解、除去することにより表面が露出した状態で光触媒
を固定している。
【0006】また、特開平8−141503号公報には
基材にケイ素化合物からなる無機塗料を塗布後、溶媒に
分散した光触媒を塗布して低温で熱処理し、さらに必要
に応じて塗膜をエッチングすることにより光触媒をより
多く表面に露出させて固定する方法が開示されている。
【0007】しかし、特開平8−131842号公報及
び特開平8−141503号公報に開示されている方法
は基材の選択幅は広がるものの、表面に光触媒が露出し
ているため摩耗により活性が低下しやすいという問題が
ある。
【0008】また、特開平8−67835号公報には基
材に予め光触媒を分散したケイ素化合物からなる無機塗
料を塗布し、低温で熱処理して光触媒を塗膜に分散させ
た構造とする技術が開示されている。しかし、この方法
で得られた塗膜は表面に露出している光触媒の量が少な
いため摩耗による劣化はないが、十分な効果を得るには
光触媒の添加量を多くする必要があり、その結果塗膜の
強度が低下するという問題がある。更に、エッチング処
理を行って光触媒を表面に露出させる方法も開示されて
いるが、上記特開平8−141503号公報の説明に記
載したのと同じ問題がある。
【0009】さらに、特開平9−31335号公報には
多孔質無機物でコーティングした酸化チタン光触媒を有
機系樹脂に配合した脱臭機能を有する樹脂組成物が開示
されている。しかし、有機系樹脂を用いているため、耐
候性に問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上で論じた先行技術に
共通する問題点は、大気へ露出した酸化チタン光触媒粒
子のみが光化学反応に利用され、残りの部分は利用され
ないことである。
【0011】本発明の課題はこの問題を解決することで
ある。
【課題を解決するための手段】一面において、本発明は
酸化チタン光触媒を使用する光化学リアクターエレメン
トを提供する。
【0012】本発明の光化学リアクターエレメントは、
1×10-14 mol・m・m-2・s-1・Pa-1以上の酸
素ガス透過率を有するポリシロキサンマトリックスに分
散された、光化学的に不活性な無機物の多孔質被覆層を
有するマイクロカプセル化酸化チタン光触媒を含んでい
る組成物の成形物よりなる。
【0013】ポリシロキサンマトリックスは、好ましく
は式:RnSiO(4-n)/2 (Rはメチル、エチル、n−
プロピル、イソプロピル、フェニルまたはビニルであ
り、nは0<n≦1.7の関係にある数)のくり返し単
位からなる三次元ポリシロキサンネットワークから構成
されている。
【0014】本発明の光化学リアクターエレメントはコ
ーティングフィルム、独立膜、バルク体、ファイバー等
のような任意の便利な形状を取ることができる。
【0015】他の面において、本発明は上記の光化学リ
アクターエレメントの製造方法を提供する。
【0016】この方法は式:RSi(OR’)3 (式
中、RおよびR’の定義は前に同じ。)のトリアルコキ
シシラン、あるいは該トリアルコキシシランと式:Si
(OR’)4 のテトラアルコキシシランおよび/または
2 Si(OR’)2 のジアルコキシシランとの混合物
のアルコキシシラン加水分解・重縮合物ゾルを用意し、
光化学的に不活性な無機物の多孔質被覆層を有するマイ
クロカプセル化酸化チタン触媒粒子を用意し、前記ゾル
中にマイクロカプセル化酸化チタン光触媒粒子を分散
し、得られた分散物を光化学リアクターエレメントへ成
形することを含む。
【0017】代わって、マイクロカプセル化酸化チタン
光触媒粒子は多孔質無機物被覆層を有しない酸化チタン
光触媒粒子を使ってマトリックス中でその場でつくるこ
とができる。この場合は被覆層を有しない酸化チタン粒
子を使用することを除いて上の方法をくり返す。
【0018】マトリックス中の酸化チタン光触媒粒子の
マイクロカプセル化は、成形した光化学リアクターエレ
メントを、酸化チタン光触媒粒子近傍のマトリックスの
ケイ素原子へ結合した炭化水素基をポリシロキサンネッ
トワークを維持したまま分解するに十分な線量の酸化チ
タン光触媒のバンドギャップ以上のエネルギーを有する
光で照射する付加的なステップを含んでいる。
【0019】本発明は先行技術を上廻る有意義な利益を
達成する。光化学的に不活性な無機物被覆による酸化チ
タン光触媒粒子のマイクロカプセル化はマトリックスが
光化学反応によって劣化するのを防止ないし低減し、高
い酸素透過率を有するポリシロキサンをマトリックスと
して使用することによって完全に埋没した粒子を含む全
体の酸化チタン光触媒粒子が光化学反応に関与すること
を可能にする。
【0020】
【発明実施の形態】光触媒として使用される酸化チタン
粒子は酸化チタン白色顔料よりずっと小さい粒子寸法、
従って、ずっと大きい比表面積を持っている。またその
結晶形は通常アナターゼ型である。一次粒子の寸法は1
00nm以下、通常数10nmまたはそれ以下である。
酸化チタン光触媒は市場で入手可能であり、例えば石原
産業(株)からタイペークST−01,ST−11,S
T−21またはST−31の銘柄で市場に提供されてい
る。これに対応する他社からの酸化チタン光触媒も勿論
使用することができる。
【0021】酸化チタン光触媒粒子のマイクロカプセル
化はあらかじめ独立したステップとして行うことができ
る。多孔質無機物被覆の材料は、SiO2 ,Al
2 3 ,ZrO2 及びそれらの複合酸化物のような光化
学的に不活性な物質である。多孔質被覆層は取り扱い中
容易に破壊しない機械的強度と、光化学反応により破壊
すべき分子のアクセスを許容するため少なくとも5Å,
好ましくは10ないし300Åの多数のポアを持ってい
ることが重要である。
【0022】マイクロカプセル化方法は、無機脱臭材と
共に酸化チタン光触媒をマイクロカプセル化する方法を
開示している特開平9−31335の方法に類似の方法
により、または特開平10−5598に開示されている
方法に従って実施することができる。
【0023】マイクロカプセル化自体は本発明の対象で
はなく、また公知であるのでこれ以上の詳しい説明は不
要であろう。
【0024】本発明においては、マイクロカプセル化酸
化チタン光触媒粒子のマトリックスとして、酸素ガス透
過率1×10-14 mol・m・m-2・s-1・Pa-1
上、好ましくは2×10-14 mol・m・m-2・s-1
Pa-1以上を有するポリシロキサンマトリックスを使用
する。この要求を満たすポリシロキサンマトリックスの
例は、同一出願人の特開平7−277760、特開平8
−165114、特開平9−309717に開示されて
いるバルク体または独立膜を形成するポリシロキサン材
料であるが、しかしこれらに限らない。
【0025】例えば三次元構造を形成しているようにC
3 SiO3/2 単位が繰り返しているゲルは大部分の有
機ポリマーフィルムに匹敵もしくは上廻るN2 およびO
2 透過率を持っている。その後の研究(Z.Zhang
et al.,Journal of Sol−Ge
l Science and Technology,
12:153−158(1998)は、このCH3 Si
3/2 ゲルはX線回折において約8.6ないし8.9Å
主鎖間距離に相当するブロードな回折ピークを示した
が、テトラアルコキシシランの加水分解・重縮合によっ
て製したシリカゲルのX線回折カーブには対応するピー
クが存在しないことが報告されている。それ故回折角1
0°(2θ,CuKα)付近におけるブロードな回折ピ
ークに対応する隣接するポリシロキサン主鎖間に存在す
る間隙がCH3 SiO3/2 ゲルの高いガス透過率に寄与
しているものと推測される。
【0026】さらに、上記ポリシロキサンマトリックス
材料は、そのX線回折データから算出した隣接している
ポリシロキサン主鎖間の距離が8.60Å以上であるこ
とが好ましい。2×10-14 mol・m・m-2・s-1
Pa-1以上の酸素ガス透過率とするため8.85Å以上
であることが一層好ましい。
【0027】隣接しているポリシロキサン主鎖間の距離
(d)は、X線回折の低角度側(2θ:10°付近)の
回折ピークからBraggの式:2d sin θ=n
λ(n=1)より算出できる。
【0028】オルガノアルコキシシランを含有する出発
原料を加水分解・重縮合させてゾルを得る過程におい
て、後述の金属キレート化合物を触媒として添加すると
後述の効果の他に、隣接しているポリシロキサン主鎖間
の距離が大きくなる傾向があり、酸素ガス透過率を増大
させる観点から好ましい。
【0029】本発明はこのようなポリシロキサンゲルの
独特の性質を利用し、マイクロカプセル化酸化チタン光
触媒粒子のマトリックスとして用いる。
【0030】水および酸素の存在下TiO2 のバンドギ
ャップより大きいエネルギーを有する光を照射すること
によりTiO2 を励起する時、ヒドロキシルおよびスー
パーオキサイドフリーラジカルが発生することは良く知
られている。悪臭物質、大気汚染物質等の種々の物質を
分解、除去するのはこれらのフリーラジカルである。
【0031】マイクロカプセル化酸化チタン光触媒粒子
のマトリックスとして高いガス透過率を有するポリシロ
キサン材料の使用は、一連の光化学反応が大気へ露出し
た光触媒粒子の近傍だけではなく、完全に埋没した光触
媒粒子の近傍でも生起することを許容する。
【0032】先に引用した同一出願人の公開された特許
出願に開示された方法によってつくられたCH3 SiO
3/2 ゲルが好ましいが、これと同等または高い酸素透過
率を持っている限り、三次元もしくはラダー構造を有す
る他のポリシロキサン材料を用いることができる。一般
的にはこれら材料は、Rn SiO(4-n)/2 の繰り返し単
位から構成されている。ここでRはメチル、エチル、n
−プロピル、イソプロピル、フェニルまたはビニルであ
り、nは0<n≦1.7の範囲の数である。これらのポ
リシロキサン材料は、式:RSi(OR’)3 のトリア
ルコキシラン単独、または該トリアルコキシシランと
式:Si(OR’)4 のテトラアルコキシシランおよび
/または式:R2 Si(OR’)2 のジアルコキシシラ
ンとの混合物(式中、R’はメチルまたはエチルであ
り、Rは前記に同じ)から出発し、引用した同一出願人
の特許出願に開示された同じもしくは類似の方法でつく
ることができる。
【0033】原料として使用されるトリアルコキシシラ
ンモノマーの例は、メチルトリメトキシシラン(MTM
S)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、エチル
トリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラ
ン、イソプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエ
トキシシラン(PhTES)およびビニルトリエトキシ
シラン(VTES)である。トリアルコキシシランモノ
マーとの混合物として使用し得るテトラアルコキシシラ
ンおよび/またはジアルコキシシランの例は、テトラエ
トキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(T
MOS)、ジメチルジエトキシシラン(DMDE)およ
びジフェニルジメトキシシラン(DPhDM)を含む。
【0034】トリアルコキシシランとの混合物の形でテ
トラアルコキシシランおよび/またはジアルコキシシラ
ンを使用する場合は、混合物中のケイ素原子に対する炭
化水素基の全部の数のモル比(n)は、0<n≦1.7
の範囲内でなければならない。混合物から得られるポリ
シロキサン材料の種々の性質をバランスさせるため、n
は好ましくは0.2≦n≦1.6、もっと好ましくは
0.8≦n≦1.2の範囲である。
【0035】上記原料に1.4≦H2 O/Si≦4.0
(モル比)となるように水を添加し、加水分解・重縮合
反応を行うことが好ましい。H2 O/Si<1.4(モ
ル比)では未反応のアルコキシ基が残り、材料強度が劣
化する恐れがある。逆に、H2 O/Si>4.0(モル
比)ではオルガノアルコキシシランが多量に含まれる場
合特に分相が起こりやすく、光学的に均一な材料が得ら
れ難くなる。水の添加量は1.4≦H2 O/Si≦2.
5(モル比)とするのが更に好ましい。
【0036】この加水分解・重縮合により、上記オルガ
ノアルコシキシランを含有する出発原料から先に述べた
式:RnSiO(4-n)/2 (記号の定義は前記に同じ。)
の構成単位を有する三次元網目構造ポリシロキサンを得
ることができる。
【0037】反応溶液のpHは反応溶液調製直後の初期
値で7.0以下が好ましい。pH>7.0の条件では、
所望の反応が進行し難い。反応の進行を速めるため酸触
媒を添加し、反応溶液の初期pHを5.0以下とするの
が更に好ましい。使用する酸触媒は特に限定されず、硝
酸、塩酸等の無機酸触媒、酢酸等の有機酸触媒が常法に
従って使用される。
【0038】また、特に原料に多量のメチルトリアルコ
キシシランを用いる場合には、結晶の析出を抑制するた
めに特開平8−165114号公報に記載したように、
この原料に可溶の金属キレート化合物を添加することが
好ましい。上記条件を満たす金属キレート化合物として
は、β−ジケトン類(1,3−ジオキソプロピレン鎖を
有する化合物)の金属キレートおよび大環状ポリエーテ
ル化合物金属キレート等が挙げられる。
【0039】金属イオンの種類は特に限定されないが、
配位子との錯体生成定数の大きいものを選ぶ必要があ
る。具体的な例として、トリス(アセチルアセトナト)
アルミニウム(III )、トリス(エチルアセトアセタ
ト)アルミニウム(III )、トリス(ジエチルマロナ
ト)アルミニウム(III )、ビス(アセチルアセトナ
ト)銅(II)、テトラキス(アセチルアセトナト)ジル
コニウム(IV)、トリス(アセチルアセトナト)クロム
(III )、トリス(アセチルアセトナト)コバルト(II
I )、及び酸化チタン(II)アセチルアセトネート
〔(CH3 COCHCOCH3 2 TiO〕等のβ−ジ
ケトン類金属キレート、希土類金属のβ−ジケトン類金
属キレート、18−クラウン−6−カリウムキレート化
合物塩、12−クラウン−4−リチウムキレート化合物
塩、15−クラウン−5−ナトリウムキレート化合物塩
等の大環状ポリエーテル化合物金属キレート等の金属キ
レートを挙げることができる。
【0040】添加量に関しては、その効果に応じてメチ
ルトリアルコキシシランに対して0.001〜5モル%
の範囲で添加するのが好ましい。0.001モル%より
少ない場合は、結晶析出抑制効果が得られ難い。逆に5
モル%より多く添加するとキレート化合物が析出した
り、材料の性質に影響を及ぼす恐れがある。このような
金属キレート化合物は反応系へ配位子成分と金属成分を
別々に添加し、その場でキレート化しても良い。金属キ
レート化合物の添加量は、メチルトリアルコキシシラン
に対して0.01〜1モル%とするのがより好ましい。
【0041】一方、原料に多量のテトラアルコキシシラ
ンを用いる場合には、均一なゾルを得るため溶媒として
アルコールを添加する方が好ましい。
【0042】上記のキレート化合物は重縮合反応を抑制
し、反応初期に線状ポリマーが生成しやすくなるので、
沈殿生成が起こらない。この結果、より透明性が高く、
酸素透過率が大きい酸化チタン光触媒のマトリックスと
して好適な高分子材料が得られる。メチルトリアルコキ
シシランを出発原料に含まない場合にはキレート化合物
を添加しなくても沈殿は生成しないが、透明性を上げる
ため及び酸素透過率を大きくするためにキレート化合物
を添加することが好ましい。
【0043】このようにして得られた加水分解・重縮合
物ゾルへマイクロカプセル化酸化チタン光触媒粒子(後
述するマトリックス内でマイクロカプセル化する場合は
無処理酸化チタン光触媒粒子)が添加される。
【0044】添加量は、TiO2 として光化学リアクタ
ーエレメントへ成形後の組成物重量の0.1〜15%,
好ましくは0.5〜10%である。
【0045】ゾルへは材料の機械的性質を改善するた
め、固形分の50重量%以下のシリカ、アルミナ、ジル
コニア等の成分を添加することができる。これらの成分
は分散媒をアルコール等としたオルガノゾルとして添加
するか、アルミナ、ジルコニアは対応するアルコキシド
を出発原料へ添加し、アルコキシシランと同時に加水分
解・重縮合してつくってもよい。
【0046】悪臭物質、大気汚染物質等の気体分子に対
する吸着力を更に上げるため、ゲル化が起こる前にゾル
へ物理吸着剤や化学吸着剤を添加しても良い。具体的に
は、ゼオライト(親水性、疎水性)、活性白土、酸性白
土、ハイドロタルサイト、セピオライト、シリカ−アル
ミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−酸化亜鉛の組成物
等を挙げることができる。これらは単独又は2種以上組
み合わせて用いることができる。これらの吸着剤は反応
生成したゾルに直接添加しても良いし、酸化チタンと同
時にカプセル化して添加しても良い。
【0047】成形した光化学リアクターエレメントの形
態には特に制限はなく、コーティング膜、独立膜(シー
ト)、バルク体、ファイバー等所望の形状に成形するこ
とができる。
【0048】コーティング膜とする場合は基材の種類に
特に制限はないが、シラノール基と縮合反応あるいは水
素結合しうる基材が十分な接着力が得られるため好まし
い。セラミック、ガラス、金属等の無機基材、メタクリ
ル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹
脂等の有機基材、木材、紙等の天然基材が使用できる。
【0049】基材上に塗布する方法としては、通常のス
プレーコーティング法、ロールコーティング法、ディッ
プコーティング法等があるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0050】独立膜を形成する場合は、ゾルが不溶の支
持水溶液上に展開する方法、シラノールとの親和性が低
くゲルが接着しない基板上にゾルをキャスティングし、
ゲル化後剥離する方法等が用いられる。シラノール基と
の親和性が低く剥離性が良好な基板としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフル
オロエチレン、シリコーン、ポリ塩化ビニル等の有機材
料、あるいはこれらの有機材料で表面がコーティングさ
れている積層材料等が挙げられる。独立膜の膜厚調整は
エアーナイフ、バーコーター、ドクターブレード、メー
タリングロール及びドクターロール等を用いて行うこと
ができ、20〜200μmの膜厚のものを容易に得るこ
とができる。
【0051】バルク体を形成する場合は、ゾルを所望の
形状の型に流し込めば良い。独立膜の場合と同様、型に
は離型性の良い素材を選択する必要がある。形状が複雑
な場合はゲル化後の取り出しが行い易いよう、割型を用
いることが好ましい。
【0052】ファイバーを引く場合は、ゾルの粘性をフ
ァイバー引きに好都合な値に調整し、常法に従って行え
ばよい。
【0053】得られた各形態の組成物は、溶媒の蒸発に
伴いシラノールの重縮合反応が進行し硬化するが、更に
未反応のシラノール基の重縮合を促進するための熱処理
を施すことによって、酸素ガス透過率、耐候(光)性及
び機械的性質を一層高めることができる。重縮合を効率
よく進行させるために、熱処理は好ましくは塩基性ガス
の存在下で行う。この塩基性ガスは重縮合反応の触媒の
働きをし、重縮合反応速度を速めて反応温度の低減、反
応時間の短縮や材料の質の向上等の効果を奏する。この
触媒たる塩基性ガスとしては、ルイス塩基の官能基を有
する揮発性物質であれば良く、例えばアンモニア又はメ
チルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、トリメチ
ルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン等の有機アミン化合物が挙げられる
が、経済性を考慮すればアンモニアが最も好ましい。熱
処理温度は基材の種類に応じて、室温から300℃の範
囲で調整すればよい。
【0054】先に述べたように、酸化チタン光触媒粒子
はポリシロキサンマトリックス中に固定化した後にマイ
クロカプセル化することができる。この方法は、無処理
酸化チタン光触媒を、オルガノアルコキシシランを含有
する出発原料を加水分解・重縮合させて得られたゾルに
分散、ゲル化後、酸化チタン光触媒のバンドギャップ以
上のエネルギーを有する光を照射し、ポリシロキサンを
主成分とするネットワークは分解することなく、Siに
結合している有機基のみを酸化分解することにより酸化
チタン光触媒表面を多孔質無機物コーティングすること
を特徴とする。予め光触媒酸化チタン表面を多孔質無機
物でコーティングしない本方法の場合は、マトリックス
材料に分散後、紫外線を照射すると酸化チタン光触媒の
活性によりその周囲のオルガノシロキサンの有機基が酸
化分解され多孔質酸化物層となる。この場合のコーティ
ング層の孔径も十分小さくなるので、カプセルの強度は
十分保たれる。また紫外線の強度が強すぎると、発泡が
起こる恐れがあるので、照射する紫外線の強度を2〜1
0mW/cm2 程度まで低くし、徐々に酸化分解するこ
とが好ましい。
【0055】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定され
ない。
【0056】実施例1 メチルトリエトキシシラン(信越化学工業、LS−18
90、以下MTES)に、水とMTESのモル比が1.
25:1になるように硝酸水溶液を添加した。硝酸水溶
液は10wt%の0.1mol/1硝酸と、90wt%
の蒸留水を混合して調製した。密閉状態で二日間室温で
攪拌し反応させた後、反応によって生成したエタノール
を理論値の80%エバポレーターで留去し、オリゴマー
溶液を得た。この溶液にMTESに対し0.1モル%の
トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム(III )と
MTES1モル当たり0.5モルの蒸留水を追加した。
この混合液を密閉状態50℃で30分間攪拌し、透明均
一な溶液になってから40℃で10時間静置した。得ら
れた反応液100gに酸化チタン(石原産業、タイペー
クST−01)3gを添加し、ホモジナイザーで分散
後、独立膜形成に適当な粘度になるまで静置した。シリ
コーンコートしたポリエステルシート上に、この液を用
いてドクターブレードで膜を形成した。空気中150℃
で1時間乾燥し、シートから剥離して、厚さ50μmの
酸化チタン光触媒の含有量が5重量%のCH3 SiO
3/2 独立膜を得た。光触媒を含まない独立膜の酸素ガス
透過率をガスフローメーター(エステック社製)で測定
したところ、2×10-14 mol・m・m-2・s-1・P
-1であった。ブロードなX線回折ピーク位置から計算
した主鎖間距離は8.90Åであった。このようにして
得た独立膜に365nmの紫外線(6mW/cm2 )を
3時間照射し、酸化チタン光触媒に多孔質酸化物コーテ
ィングを施してマイクロカプセル化酸化チタン光触媒含
有高分子独立膜を得た。
【0057】次に、得られた独立膜を40×70mmの
サイズに切り出し、脱臭特性を調べた。まず4Lのパイ
レックス製容器を2個用意し、上記サイズの独立膜を各
1枚容器に入れ密閉した。これに5μlのアセトアルデ
ヒドをマイクロシリンジで注入し、容器中の気相のアセ
トアルデヒド濃度をアセトアルデヒドガス検知管(ガス
テック製)で測定したところ475ppmであった。1
つの容器を暗所に放置してアセトアルデヒドの濃度を測
定したところ、42時間後もほとんど変化しなかった。
一方、365nmの紫外線(4.5mW/cm2 )を照
射した容器の方は、時間の経過と共にアセトアルデヒド
濃度が減少し、42時間後には200ppmまで減少し
た。この様子を図1に示す。
【0058】実施例2 実施例1と同じサンプルを各1枚4Lのパイレックス製
容器に入れ密閉し、12μlの28wt%アンモニア水
をマイクロシリンジで注入した。容器の気相のアンモニ
ア濃度をアンモニアガス検知管(ガステック社製)で測
定したところ720ppmであった。1つの容器を暗所
に放置しアンモニア濃度を測定したところ、48時間後
には150ppmであった。一方、365nmの紫外線
(4.5mW/cm2 )を48時間照射した容器の方
は、20ppmまで減少した。
【0059】実施例3 実施例1と同じサンプルを各1枚4Lのパイレックス製
容器に入れ密閉し、7μlの3.5wt%酢酸水溶液を
マイクロシリンジで注入した。容器中の気相の酢酸濃度
を酢酸ガス検知管(ガステック社製)で測定したところ
45ppmであった。1つの容器を暗所に放置し酢酸濃
度を測定したところ、48時間後には30ppmであっ
た。一方、365nmの紫外線(4.5mW/cm2
を48時間照射した容器の方は、酢酸は検出されなかっ
た。
【0060】実施例1〜3の結果より、本発明に係わる
マイクロカプセル化酸化チタン光触媒含有高分子独立膜
は酸素ガス透過率が高いので、酸化チタンを表面に露出
させなくても十分な光触媒活性を有することが分かっ
た。また、独立膜の紫外線照射による劣化は認められな
かった。
【0061】実施例4 MTESとフェニルトリエトキシシラン(信越化学工
業、LS−4480、以下PhTES)の1:1(モル
比)混合物に、MTESに対し0.1モル%のトリス
(アセチルアセトナト)アルミニウム(III )とMTE
S1モル当たり4モル(H2 O/Si=2、モル比)の
水(実施例1と同じ硝酸水溶液)を添加した。密閉状態
で二日間室温で攪拌し反応させ、透明均一な反応液を得
た。この反応液100gに酸化チタン(石原産業、タイ
ペークST−01)3gを添加し、ホモジナイザーで分
散してコーティング液を得た。得られた酸化チタン光触
媒含有コーテンィグ液を、スプレー法でガラス基板及び
アクリル基板にコーティングして、80℃で乾燥した。
得られたコーティング膜の膜厚は共に約10μmであ
り、酸化チタン光触媒の含有量は6重量%であった。そ
れぞれのコーティング膜に365nmの紫外線(6mW
/cm2 )を3時間照射し、酸化チタン光触媒に多孔質
酸化物コーティングを施してマイクロカプセル化酸化チ
タン光触媒含有高分子コーティング膜を得た。また、光
触媒を含まないコーティング液を濃縮後、実施例1と同
じ方法で厚さ40μmの独立膜を形成し酸素ガス透過率
を測定したところ、1.5×10-14 mol・m・m-2
・s-1・Pa-1であった。ブロードなX線回折ピーク位
置から計算した主鎖間距離は約10.45Åであった。
【0062】次に、それぞれの基板上に形成したコーテ
ィング膜の脱臭特性を調べた。各サンプルは40×70
mmのサイズに切り出した。実施例1と同じ容器を4個
用意し、同じ種類のコーティング膜付基板を2枚ずつを
使って各容器に入れ密閉した。これに5μlのアセトア
ルデヒドをマイクロシリンジで注入し、容器中の気相の
アセトアルデヒド濃度をアセトアルデヒドガス検知管
(ガステック製)で測定したところ465ppmであっ
た。それぞれのサンプルを入れた容器を暗所に放置しア
セトアルデヒドの濃度を測定したところ、ガラス基板を
用いたコーティング及びアクリル基板を用いたコーティ
ングのいずれも48時間後もほとんど変化しなかった。
一方、365nmの紫外線(4.5mW/cm2 )を照
射した容器の方は、どちらの基板を用いたコーティング
でも時間の経過と共にアセトアルデヒド濃度が減少し、
48時間後にはガラス基板では230ppmまで、アク
リル基板では200ppmまで減少した。
【0063】実施例5 実施例1と同様の方法でMTESを反応させ、透明均一
な溶液を得た。これを溶液Aと称する。次にテトラエト
キシシラン(以下TEOS)とエタノールと水を1:
2:1.5の比率(モル比)で混合した。水は実施例1
と同じ硝酸水溶液を用いた。室温で密閉状態で2日間反
応させ、溶液Bを得た。得られた溶液Aと溶液BをMT
ES:TEOS=1:1(モル比)になるように混合し
た。密閉状態で室温で30分間反応させた後、混合溶液
中のTEOS1モル当たり1モルの水を添加し、その液
を室温で密閉状態で5時間攪拌して透明均一な反応液を
得た。
【0064】マイクロカプセル化酸化チタン光触媒は、
下記の方法で調製した。酸化チタン光触媒として「タイ
ペークST−01」3.6重量部、シリカゾルとして
「スノーテックスS」(日産化学工業製)をSiO2
算で6.4重量部を秤取し、ポットミルで100rpm
で1時間攪拌し反応させた。その反応液を噴霧乾燥機で
乾燥させた後、400℃で1時間熱処理し、シリカでコ
ートされたマイクロカプセル化酸化チタン光触媒を得
た。
【0065】上記透明均一な反応液100gにマイクロ
カプセル化酸化チタン光触媒4gを添加し、ホモジナイ
ザーで分散してコーティング液を得た。得られたマイク
ロカプセル化酸化チタン光触媒含有コーティング液をス
プレー法でガラス基板にコーティングし、140℃で乾
燥して酸化チタン光触媒の含有量が5重量%のマイクロ
カプセル化酸化チタン含有高分子コーティング膜を得
た。得られたコーティング膜の膜厚は約10μmであっ
た。また、光触媒を含まないコーティング液を濃縮後、
実施例1と同じ方法で厚さ100μmの独立膜を形成し
酸素ガス透過率を測定したところ、4×10-14 mol
・m・m-2・s-1・Pa-1であった。ブロードなX線回
折ピーク位置から計算した主鎖間距離は8.92Åであ
った。
【0066】次に実施例4と同じ方法で、ガラス基板上
に形成したコーティング膜の脱臭特性を調べた。コーテ
ィング膜付基板を2枚ずつ2個の容器に入れ密閉した。
これに5μlのアセトアルデヒドをマイクロシリンジで
注入し、容器中の気相のアセトアルデヒド濃度をアセト
アルデヒドガス検知管(ガステック社製)で測定したと
ころ455ppmであった。1つの容器を暗所に放置し
アセトアルデヒドの濃度を測定したところ、48時間後
もほとんど変化しなかった。一方、365nmの紫外線
(4.5mW/cm2 )を照射した容器の方は、時間の
経過と共にアセトアルデヒド濃度が減少し、48時間後
には170ppmまで減少した。
【0067】実施例6 実施例5の溶液Aと溶液BをMTES:TEOS=1:
0.2(モル比)になるように混合した。密閉状態で室
温で30分間反応させた後、混合液中のTEOS1モル
あたり1モルの水を添加し、その液を室温で密閉状態で
5時間攪拌して透明均一な反応液を得た。
【0068】この反応液100gに実施例5のシリカコ
ートされたマイクロカプセル化酸化チタン光触媒4gを
添加し、ホモジナイザーで分散してコーティング液を得
た。得られたマイクロカプセル化酸化チタン光触媒含有
コーティング液をスプレー法でガラス基板にコーティン
グし、140℃で乾燥して酸化チタン光触媒の含有量が
3.3重量%のマイクロカプセル化酸化チタン含有高分
子コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の膜
厚は約12μmであった。また、光触媒を含まないコー
ティング液を濃縮後、実施例1と同じ方法で厚さ80μ
mの独立膜を形成し酸素ガス透過率を測定したところ、
2.5×10-14 mol・m・m-2・s-1・Pa-1であ
った。前の実施例と同様に計算した主鎖間距離は8.9
1Åであった。
【0069】次に実施例4及び実施例5と同じ方法で、
ガラス基板に形成したコーティング膜の脱臭特性を調べ
た。コーティング膜付基板を2枚ずつ2個の容器に入れ
密閉した。これらに5μlのアセトアルデヒドをマイク
ロシリンジで注入し、容器中の気相のアセトアルデヒド
濃度をアセトアルデヒドガス検知管(ガステック社製)
で測定したところ、455ppmであった。1つの容器
を暗所に放置しアセトアルデヒドの濃度を測定したとこ
ろ、48時間後もほとんど変化しなかった。一方、36
5nmの紫外線(4.5mW/cm2 )を照射した容器
の方は、時間の経過と共にアセトアルデヒド濃度が減少
し、48時間後は200ppmであった。
【0070】実施例7 実施例5の溶液Aにジメチルジエトキシシラン(DMD
E)(信越化学工業、LS−1370)をMTES:D
MDE=1:0.2(モル比)になるように混合した。
密閉状態で室温で30分間反応させた後、混合液中のD
MDE1モル当たり1.2モルの水を添加し、その液を
室温で密閉状態で5時間攪拌して透明均一な反応液を得
た。
【0071】この反応液100gに実施例5のシリカコ
ートされたマイクロカプセル化酸化チタン光触媒4gを
添加し、ホモジナイザーで分散してコーティング液を得
た。得られたマイクロカプセル化酸化チタン光触媒含有
コーティング液をスプレー法でガラス基板にコーティン
グし、160℃で乾燥して酸化チタン光触媒の含有量が
2.5重量%のマイクロカプセル化酸化チタン含有高分
子コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の膜
厚は約13μmであった。また、光触媒を含まないコー
ティング液を濃縮後、実施例1と同じ方法で厚さ50μ
mの独立膜を形成し酸素ガス透過率を測定したところ、
2.2×10-14 mol・m・m-2・s-1・Pa-1であ
った。前の実施例と同様に計算した主鎖間距離は8.8
8Åであった。
【0072】次に実施例4及び実施例5と同じ方法で、
ガラス基板に形成したコーティング膜の脱臭特性を調べ
た。コーティング膜付基板を2枚ずつ2個の容器に入れ
密閉した。これらに5μlのアセトアルデヒドをマイク
ロシリンジで注入し、容器中の気相のアセトアルデヒド
濃度をアセトアルデヒドガス検知管(ガステック社製)
で測定したところ、460ppmであった。一つの容器
を暗所に放置しアセトアルデヒドの濃度を測定したとこ
ろ、48時間後もほとんど変化しなかった。一方、36
5nmの紫外線(4.5mW/cm2 )を照射した容器
の方は、時間の経過と共にアセトアルデヒド濃度が減少
し、48時間後は190ppmであった。
【0073】実施例4〜7の結果より、本発明のマイク
ロカプセル化酸化チタン光触媒含有高分子コーティング
膜は酸素ガス透過率が高いので、独立膜と同様酸化チタ
ンを表面に露出させなくても十分な光触媒活性を有する
ことが分かった。また、紫外線照射によるコーティング
膜の劣化は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の独立膜によるアセトアルデヒド除去
性能を示すグラフである。縦軸はアセトアルデヒド濃
度、横軸は経過時間である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09C 1/36 C09C 1/36 3/12 3/12 C09D 5/14 C09D 5/14 5/16 5/16 (72)発明者 西野 浩之 兵庫県西宮市浜松原町2番21号 日本山 村硝子株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−227832(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 38/74 C08K 9/00 C09C 1/00 - 3/12 C09D 5/14 - 5/16 C08L 83/04 JICSTファイル(JOIS)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1×10-14 mol・m・m-2・s-1・P
    -1以上の酸素ガス透過率を有するポリシロキサンマト
    リックスに分散された、光化学的に不活性な無機物の多
    孔質被覆層を有するマイクロカプセル化酸化チタン光触
    媒粒子を含んでいる成形した組成物よりなる光化学リア
    クターエレメント。
  2. 【請求項2】ポリシロキサンマトリックスは式:RnS
    iO(4-n)/2 (Rはメチル、エチル、n−プロピル、イ
    ソプロピル、フェニルまたはビニルであり、nは0<n
    ≦1.7の関係にある数である。)のくり返し単位から
    なる三次元ポリシロキサンネットワークで構成されてい
    る請求項1の光化学リアクターエレメント。
  3. 【請求項3】nが0.2ないし1.6の数である請求項
    2の光化学リアクターエレメント。
  4. 【請求項4】ポリシロキサンマトリックスは、式:RS
    i(OR’)3 のトリアルコキシシラン、あるいは該ト
    リアルコキシシランと式:Si(OR’)4 のテトラア
    ルコキシシランおよび/または式:R2 Si(OR’)
    2 のジアルコキシシラン(式中、Rは前に同じであり、
    R’はメチルまたはエチルである。)との混合物の加水
    分解・重縮合物である請求項1の光化学リアクターエレ
    メント。
  5. 【請求項5】成形した組成物は、マイクロカプセル化酸
    化チタン光触媒粒子をTiO2 として0.1ないし15
    重量%含んでいる請求項1の光化学リアクターエレメン
    ト。
  6. 【請求項6】成形した組成物は、マイクロカプセル化酸
    化チタン光触媒粒子をTiO2 として0.5ないし10
    重量%含んでいる請求項1の光化学リアクターエレメン
    ト。
  7. 【請求項7】独立膜、基材上のコーティング膜、バルク
    体または繊維の形状の請求項1の光化学リアクターエレ
    メント。
  8. 【請求項8】水および酸素の存在下、悪臭物質、大気汚
    染物質または微生物を光化学的に破壊するために使用す
    る請求項1の光化学リアクターエレメント。
  9. 【請求項9】式:RSi(OR’)3 (式中、Rはメチ
    ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、フェニルま
    たはビニルであり、R’はメチルまたはエチルであ
    る。)のトリアルコキシシラン、あるいは該トリアルコ
    キシシランと式:Si(OR’)4 のテトラアルコキシ
    シランおよび/または式:R2 Si(OR’)2 のジア
    ルコキシシラン(式中、RおよびR’は前記に同じ。)
    との混合物のアルコキシシラン加水分解・重縮合物ゾル
    を用意し、 光化学的に不活性な無機物の多孔質被覆層を有するマイ
    クロカプセル化酸化チタン光触媒粒子を用意し、 前記ゾル中にマイクロカプセル化酸化チタン光触媒粒子
    を分散し、 得られた分散物を光化学リアクターエレメントへ成形す
    ること、 を含む請求項1記載の光化学リアクターエレメントの製
    造方法。
  10. 【請求項10】式:RSi(OR’)3 (式中、Rはメ
    チル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、フェニル
    またはビニルであり、R’はメチルまたはエチルであ
    る。)のトリアルコキシシラン、あるいは該トリアルコ
    キシシランと式:Si(OR’)4 のテトラアルコキシ
    シランおよび/または式:R2 Si(OR’)2 のジア
    ルコキシシラン(式中、RおよびR’は前記に同じ。)
    との混合物のアルコキシシラン加水分解・重縮合物ゾル
    を用意し、 前記ゾルへ酸化チタン光触媒粒子を分散し、 得られた分散物を光化学リアクターエレメントへ成形
    し、 成形した光化学リアクターエレメントを、酸化チタン光
    触媒粒子近傍のマトリックスのケイ素原子へ結合した炭
    化水素基をポリシロキサンネットワークを維持したまま
    分解するのに十分な線量の酸化チタン光触媒のバンドギ
    ャップ以上のエネルギーを有する光で照射することを含
    請求項1記載の光化学リアクターエレメントの製造方
    法。
  11. 【請求項11】前記アルコキシシラン加水分解・重縮合
    物ゾルへ添加される酸化チタン光触媒粒子の量は、Ti
    2 として成形した光化学リアクターエレメントの重量
    の0.1ないし15%である請求項9または10の方
    法。
  12. 【請求項12】前記アルコキシシラン加水分解・重縮合
    物ゾルへ添加される酸化チタン光触媒粒子の量は、Ti
    2 として成形した光化学リアクターエレメントの重量
    の0.5ないし10%である請求項9または10の方
    法。
  13. 【請求項13】前記アルコキシシラン加水分解・重縮合
    物ゾルを提供する工程は、出発原料の加水分解・重縮合
    反応にβ−ジケトン類(1,3−ジオキソプロピレン鎖
    を有する化合物)の金属キレートまたはクラウンエーテ
    ル金属錯体を触媒として使用することを含む請求項9ま
    たは10の方法。
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