JP3103882U - 合成樹脂積層板の成形用金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】合成樹脂積層板の成形材料をシート状の抵抗発熱体を用いて加熱する成形方法において、温度分布の均一な成型用抵抗発熱体内蔵の金型を開発する。
【解決手段】合成樹脂薄膜で絶縁された抵抗発熱体14と積層板の表面を形成する金型となる金属板1の間に、銅箔又はアルミニウム箔2を介在させ温度分布を均一にした。この金型は、抵抗発熱体の両面に金成樹脂薄膜、銅箔又はアルミニウム箔、その上に金属板を積み重ねた合計7層の金型構造となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、シート状の合成樹脂積層成形材料を平滑な金型を用いて加熱加圧し積層板を成形するための金型の構造に関する.
合成樹脂積層板は、ステンレス鋼やアルミニウム合金で出来た厚さ約1.2mmの金属板と合成樹脂積層成形材料を交互に積み重ねた構成物とし、この上下から大型の圧縮成形機を用いて加圧し成形している.加圧と同時に、金属板と成形材料の構成物の上下に配置された内部に管路を有する厚さ約100mmの鋼板に、管路を通して熱媒を循環させ熱交換して温度を上昇させ、金属板と成形材料の構成物を加熱している.1組の加熱用鋼板の間には、厚さ1.6mmの積層板が8ないし15枚構成されて同時に成形されるようになっている.加熱の方法として高温度の鋼板を用いる方法のほかに、銅張り積層板において使用する銅箔に電流を通して発生した熱を利用し加熱する方法や金属板と金属板の間にシート状の抵抗発熱体を挟み、これに電流を通して発生した熱を利用し加熱する方法がある.この場合は積層板と積層板の間に金属板を2枚必要とする.
米国特許5,615,470 特開平11−320754 アンドレ・クノップ、他:フエノール樹脂、p.199(1987)プラスチックス・エージ社
合成樹脂積層板は、電子回路の基板として重要な資材となっている.この電子回路は、その回路密度が年々高くなり用途も広がって積層板に対する要求もますます高度になってきている.この要求に応えるために積層板の製法も改善が進んで高精度なものとなってきている.成形時の温度についても例外ではなく、従来にない均一な温度分布を要求されるようになってきた.
まず温度分布の発生する原因について述べる.積層板の成形時の加熱方法は、高温の鋼板による方法、銅箔を加熱する方法および抵抗発熱体による方法などがある.高温の鋼板を用いる方法は、多数の積層板を積み重ねた状態で上下から加熱するので、鋼板に近い積層板と中間の積層板の間に伝熱の時間差が生じて温度分布はかなり大きくなる.銅箔に通電して加熱する方法は、銅張り積層板には都合の良い加熱方法だが銅箔を使用しない積層板には適用できない.また銅の電気抵抗が小さく電力消費量が大きくなる欠点がある.しかし温度分布の点では優れた方法である.その点、抵抗発熱体を用いる加熱方法では電力消費は少ないが発熱体の製作可能寸法に制限されて何枚か継ぎ合わせて使用する必要があり、温度分布の均一化が難しかった.
本考案は、この抵抗発熱体を用いて温度分布の均一な成形が可能となる金型を実現させる事を課題とした.
合成樹脂積層板の表面を形成する金型の役割りをする金属板と抵抗発熱体は、導電性の材料であるため電気絶縁性の合成樹脂薄膜をその中間に配置している.この合成樹脂の薄膜と金属板の間に熱伝導性に優れた銅箔もしくはアルミニウム箔を介在させて場所による温度差を解消するようにした.
抵抗発熱体の材質は、ニッケル、クローム、鉄などの合金の箔が好ましく、その他の金属材料も使用可能であるが、電力消費の点で不利であった.厚さは0.01ないし1.0mmの範囲で使用時に屈曲性を持てる程度の厚みとする.薄くすると屈曲性は向上するが寿命が短くなる.抵抗発熱体の両表面の合成樹脂薄膜は、積層板の成形温度に耐える耐熱性と接着性に優れた物を選ぶ必要がある.そのために抵抗発熱体の表面処理やプライマー処理も行う必要がある.これは通常知られている方法によって十分目的を達する事が可能である.使用できる合成樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ナイロン、PPS、PEEK、PEI、PC、PP、LCP、シリコーンゴム、酢酸セルローズ、ポリイミド、ポリイミドアミドやテフロンなどのフイルムが好適である.柔軟性の有るエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂も使用可能である.これらの薄膜は、有機繊維やガラス繊維で補強したり充填材を添加して強度を改善して使用される.合成樹脂薄膜の厚さは、0.01ないし1.0mmで良い.抵抗発熱体と合成樹脂薄膜は、接着又は粘着された状態で使用する.この抵抗発熱体は、合成樹脂薄膜と銅箔又はアルミニウム箔を介して2枚の金属板を上下に組み合わせて合成樹脂積層板の金型として使用される.この2枚の金属板をもつ7層構造の構成物が単位金型となって、複数組さらに長尺の抵抗発熱体の長手方向に断続して配置されるほか、単位金型を互いに複数個、コネクターによって直列又は並列に電気的に接続して使用することが可能である.この場合は、消費電力の節約にもなる.この金型の表面の金属板が合成樹脂積層板の表面形成の役割を果たす.これによって積層板を多数同時に成形する事が可能となる.金属板と金属板の中間で抵抗発熱体は折り曲げて金属板が2枚ずつ重なる様にする.その金属板と金属板の間に積層成形材料が挿入されて成形が行われる.抵抗発熱体の折り曲げる場所は、何回も繰り返して屈曲されるので強度補強を行う.このためにプラスチックや陽極酸化処理されたアルミニウムの丸棒やばね板を屈曲部の内側に設置し屈曲の案内を兼ねて補強の役割を果たせる様にする.更に屈曲部の外側に有機繊維やガラス繊維の補強をすると良い.コネクターを用いる場合は、この必要はなくなる.
金属箔と合成樹脂薄膜の間に入れる銅箔またはアルミニウム箔は、厚さ0.01ないし1.0mm、好ましくは0.03ないし0.1mmのものが良い.これによって金属板表面の温度差は2℃以内に押さえる事ができる.また熱伝導性の良い性質を利用して、成形加熱後の冷却にも利用する.この場合は、成形後露出した銅箔又はアルミニウム箔に冷水や冷却空気などの冷媒を直接あてるのが良い.
金属板は、現在合成樹脂積層板の成形に使われている高強度ステンレス材をそのまま使うことができる.厚さは0.8ないし1.5mmのものが好ましい.
合成樹脂薄膜で覆われた抵抗発熱体は、長手方向の両末端に電極端子を設けて電流を流し発熱させる.電極は抵抗発熱体の末端部の合成樹脂薄膜を剥離又は未形成の状態にして幅方向に抵抗発熱体を露出させ、そこに外部電極を接続して通電する.
抵抗発熱体に通電し発熱させた時の金属板表面の温度分布は約7℃あったが、銅箔やアルミニウム箔を金属板の下に介在すると2℃以下にする事が出来た.このように伝熱性の良い層を発熱体と金属板の中間に設ける事によって温度分布を小さく均一化する事ができた.これによって外観、寸法変化特性や耐熱性などに優れた合成樹脂積層板を得ることができるようになった.また成形後の冷却工程において、銅箔又はアルミニウム箔を冷媒で冷却する事によって、従来は1時間以上かかった冷却時間が10分程度に短縮可能となった.
具体的な実施例をもって説明する.
抵抗発熱体として日鉱金属加工(株)製SUS−304(軟質材)幅550mm 長さ10m 厚さ0.05mmのステンレス鋼箔を用意する.その両面に合成樹脂薄膜として中興化成(株)AGF−500−10 テフロン系シリコーン樹脂粘着剤付シートをラミネートし合成樹脂薄膜付抵抗発熱体を10m準備する.AGF−500−10はガラス繊維で強化されている物である.この抵抗発熱体の前後両端部を片面30mmはAGF−500−10をラミネートしないでSUS−304を露出状態にしておく.ここは電極端子となる.抵抗発熱体とは別に金属板と銅箔を準備する.金属板は、日本ケムテック(株)製AS−HT51 大きさ550×550mm 厚さ1.2mm材質SUS−301を20枚準備する.銅箔は、三井金属(株)製 大きさ550×600mm 厚さ0.035mmの電解銅箔を20枚準備する.この銅箔は、550mm幅で長さは抵抗発熱体と同じ10mの長尺品でもよい.この金属板AS−HT51と電解銅箔をそれぞれ面の中心が一致するように重ねあわせ、先に準備した合成樹脂薄膜付抵抗発熱体の両面に端部から上下ひと組ずつ等間隔で金属板が外側となるように並べる.金属板と金属板の中間の位置に直径3mmのポリイミド製丸棒(東レ・デュポン製)を接着剤で幅方向に固定する.丸棒の固定される面は、交互に反転させると丸棒を支点として抵抗発熱体を折り曲げた時に金属板と金属板を面と面が重なり合う様に積み重ねる事ができる.この金属板と金属板の面と面の間に積層成形材料を挿入し圧縮成形機の中で加圧しながら抵抗発熱体に通電すれば加熱加圧成形ができる.外部端子からの通電の方法は定法によって行う.銅箔又やアルミニウム箔は、合成樹脂薄膜に粘着剤などで固定しておく.金属板は、固定しないこともできる.この場合は、積層成形材料と金属板を組み合わせた後に銅箔又はアルミニウム箔の上に金属板を載せて成形を行なうことになる.抵抗発熱体に用いるステンレス鋼箔の製造可能寸法幅は、現在600mmが最大である.したがって、これ以上の幅の積層板を成形する時はステンレス鋼箔を継ぎ合わせる事になる.このような時でも銅箔又はアルミニウム箔を用いる事によって温度分布を均一に押さえる事が可能になる.この様に7層構造からなる本考案の金型を用いる事によって、温度分布精度の高い成形条件で積層板を製造する事ができることになる.
本発明の金型の断面構造を示した説明図である.積層板成形金型の単位金型となる. 図1に示した単位金型が複数組断続的に配置された状態の説明図である. 図2に示した金型が積層成形材料と組み合わされた状態の説明図である.この上下から圧縮成形機で加圧した状態で通電し加熱して合成樹脂積層板が成形される.
符号の説明
1 金属板
2 銅箔又はアルミニウム箔
3 合成樹脂薄膜
4 抵抗発熱体
5 電極端子
6 図1に示した単位金型
7 屈曲部の補強
8 合成樹脂薄膜付抵抗発熱体
9 積層成形材料
10 銅箔又はアルミニウム箔と合成樹脂薄膜付抵抗発熱体

Claims (5)

  1. 表面を合成樹脂薄膜で被覆された長尺の屈曲可能なシート状抵抗発熱体の両面に接して、銅箔又はアルミニウム箔を重ね、その上にニッケル、クローム、鉄を主成分とする金属板を上下対称となるように重ねた全体で7層からなる積層構造の合成樹脂積層板の成形用金型
  2. 請求項1記載の金属板が、連続した長尺の合成樹脂薄膜付抵抗発熱体の両面に銅箔又はアルミニウム箔を介して2組以上断続して上下対称に配置してある合成樹脂積層板の成型用金型
  3. 請求項1および2記載の合成樹脂薄膜が、有機繊維又はガラス繊維で補強されている合成樹脂積層板の成形用金型
  4. 請求項1および2記載の抵抗発熱体が、長尺方向の両末端に電極端子を有する請求項1および2記載の合成樹脂積層板の成形用金型
  5. 請求項2記載の金属板と隣接する金属板との間の合成樹脂薄膜付抵抗発熱体の中間に、合成樹脂又は陽極酸化処理されたアルミニウム合金製の断面が部分的に円形の丸棒又はばね板が、その円形の部分を合成樹脂薄膜付抵抗発熱体に面して幅方向に設けてある合成樹脂積層板の成形用金型
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH07309257A (ja) * 1994-05-17 1995-11-28 Nissan Motor Co Ltd 車両のアンダフロア構造

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