JP3103858B2 - 軸受用さび止め油組成物 - Google Patents
軸受用さび止め油組成物Info
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Description
に関し、詳しくはデファレンシャルギヤ装置のピニオン
軸受等に使用される円すいころ軸受に特に好ましく用い
られるさび止め油組成物に関するものである。
ろ軸受は、その機能を効果的に発揮させるために、軸方
向に予圧した状態で使用されるが、組み付け後に予圧を
測定することができないので、外部からのトルクを測定
して間接的に予圧管理が行われる。このため出荷時の円
すいころ軸受に塗布されるさび止め油には、さび止め機
能の他に軸受の予圧管理を可能とすべく、初期潤滑油と
しての機能が要求される。
ピニオン軸受のように摩擦トルクが非常に小さい場合、
トルク測定により一定した予圧を得るため、上記初期潤
滑油としての機能を有するさび止め油には、トルク安定
性にすぐれ、粘性が回転数によって大きく変化したり、
経時変化したりしないことが要求される。現在、円すい
ころ軸受に使用されているさび止め油としては、溶剤希
釈形さび止め油(JIS K2246に規定されたNP
−3−1)および潤滑油形さび止め油(同じくNP−1
0−1)がある。
ラタムを適当な溶剤に溶解したもので、金属表面に薄い
軽質被膜(ペトロラタムの膜)を形成して当該金属表面
を保護するのでさび止め性にすぐれている。しかしこの
溶剤希釈形のさび止め油は溶剤の蒸発により軽質被膜を
形成するものゆえ、塗布後、溶剤の蒸発により粘性が刻
々変化し、また形成された軽質被膜は膜厚が厚いので、
円すいころ軸受の回転数により粘性が大きく変化する
等、トルク安定性の点で問題がある。
ため、製品や塗布装置等にこびりつき、べたつく等し
て、軸受製造時における軸受への塗布や、デファレンシ
ャルギヤ装置等への軸受の組み付けの作業性を悪化させ
るとともに、さび止め油から蒸発する溶剤や、塗布装置
等にこびりついたペトロラタム自身が作業環境を損な
い、作業者の健康を害するおそれもある。
のさび止め油は、潤滑油にさび止め添加剤を添加したも
のゆえ、潤滑性、耐荷重性、トルク安定性にすぐれてお
り、そのままトルク測定時の初期潤滑油として使用でき
るが、溶剤希釈形のものほどのさび止め効果は得られ
ず、さび止め性が不十分である。本発明は以上の事情に
鑑みてなされたものであって、作業性や作業環境に悪影
響を及ぼすおそれのあるペトロラタムを使用せず、潤滑
性、耐荷重性、トルク安定性にすぐれた潤滑油形の構成
を採用して、そのままトルク測定時の初期潤滑油として
使用できるとともに、溶剤希釈形なみのさび止め性を有
する、特に円すいころ軸受用としてすぐれた軸受用さび
止め油組成物を提供することを目的としている。
決するため、本発明者らは、ベースオイルの種類と粘
度、そして添加する添加剤とその添加量について種々の
検討を行い、その結果、さび止め性にすぐれた最適の組
み合わせ、最適の数値範囲を見出し、本発明を完成する
に至った。
め油組成物は、40℃での動粘度が4〜10mm2 /sの
軽質精製鉱油100重量部に対して、40℃での動粘度
が18〜40mm2 /sの精製鉱油20〜40重量部を配
合した混合油を基油とし、これに組成物全量基準で、
(1) 中性バリウムスルフォネートを5〜25重量%、お
よび(2) ソルビタンと炭素数10〜22の脂肪酸の部分
エステルを1〜15重量%、含有し、かつ40℃での動
粘度が10〜20mm2 /sの範囲内であることを特徴と
する。
組成物は、40℃での動粘度が4〜10mm2 /sの軽質
精製鉱油100重量部に対して、40℃での動粘度が1
8〜40mm2 /sの精製鉱油20〜40重量部を配合し
た混合油を基油とし、これに組成物全量基準で、(1) 中
性バリウムスルフォネートを5〜25重量%、(2) ソル
ビタンと炭素数10〜22の脂肪酸の部分エステルを1
〜15重量%、および(3) フェノール系酸化防止剤を
0.1〜1.0重量%、含有し、かつ40℃での動粘度
が10〜20mm2 /sの範囲内であることを特徴とす
る。
油組成物は、上記各成分の相乗効果によって、そのまま
トルク測定時の初期潤滑油として使用できる潤滑性、耐
荷重性、トルク安定性と、溶剤希釈形なみのさび止め性
を有するものとなる。またペトロラタムを使用しないの
で、作業性や作業環境に悪影響を及ぼすおそれもない。
る。本発明の軸受用さび止め油組成物において、基油を
構成する軽質精製鉱油は、40℃で4〜10mm2 /s、
好ましくは6〜8mm2 /sの動粘度を有するものであ
る。軽質精製鉱油の動粘度が4mm2 /s未満の場合に
は、軽質鉱油中の揮発成分の蒸発による油膜強度変化の
ためトルク安定性に劣り、一方、10mm2 /sを超える
場合には、油膜の乾燥性の低下によって油膜強度が低下
し、潤滑性やさび止め性に劣るものとなる。
おいて、基油を構成する他の成分である精製鉱油は、4
0℃で18〜40mm2 /s、好ましくは21〜30mm2
/sの動粘度を有するものである。精製鉱油の動粘度が
18mm2 /s未満の場合には、油膜強度の低下によって
潤滑性やさび止め性が悪化し、一方、40mm2 /sを越
える場合には、目的とする組成物の最終粘度を得るため
に、軽質鉱油の配合割合が増加し、軽質鉱油中の揮発性
成分の蒸発による油膜強度の変化のためトルク安定性が
悪化する。
は、上記の動粘度範囲の規定以外には特に限定されるも
のではなく、通常の精製鉱油として使用されているもの
であれば任意のものが使用できる。具体的にはたとえ
ば、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られた潤滑油
留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろ
う、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の
精製処理を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナ
フテン系などの鉱油が使用できる。
油の配合割合は、軽質鉱油100重量部に対して、精製
鉱油が20〜40重量部、好ましくは25〜30重量部
である。精製鉱油の配合量が20重量部未満の場合に
は、基油中の揮発性成分の揮発が多くなり、相対的に潤
滑に寄与する油分が減少することにより潤滑性が低下す
る。一方、精製鉱油の配合量が40重量部を超える場合
には、油垂れが発生し、それに伴い添加剤成分が流出す
ることによって、さび止め油としてのさび止め性が低下
する。
る必須の添加剤成分のうち、成分(1) は中性(正塩)バ
リウムスルフォネートである。ここでいうバリウムスル
フォネートとは、分子量約100〜1500、好ましく
は200〜700のアルキル芳香族化合物をスルフォン
化することによって得られるアルキル芳香族スルフォン
酸のバリウム塩のことであり、アルキル芳香族スルフォ
ン酸としては、具体的にはいわゆる石油スルフォン酸や
合成スルフォン酸などがあげられる。
般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルフ
ォン化したものや、ホワイトオイル製造時に副生する、
いわゆるマホガニー酸などが用いられる。また合成スル
フォン酸としては、たとえば洗剤の原料となるアルキル
ベンゼン製造プラントから副生したり、ポリオレフィン
をベンゼンに縮合することにより得られる、直鎖状や分
岐状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルフォ
ン化したもの、あるいはジノニルナフタレンなどのアル
キルナフタレンをスルフォン化したものなどが用いられ
る。またこれらアルキル芳香族化合物をスルフォン化す
る際のスルフォン化剤としては特に制限はないが、通
常、発煙硫酸や無水硫酸が用いられる。
は、上記のアルキル芳香族スルフォン酸を直接に、バリ
ウムの酸化物や水酸化物などのバリウムの塩基と反応さ
せたり、または一度ナトリウム塩としてからバリウム塩
と置換させることなどにより得られる。本発明におけ
る、成分(1) の中性バリウムスルフォネートの含有量
は、組成物全量基準で5〜25重量%、好ましくは11
〜15重量%である。成分(1) 含有量が5重量%未満の
場合にはさび止め性能に劣り、一方、含有量が25重量
%を超えても、その効果は飽和状態となるだけで、含有
量に見合うだけのさび止め性の向上効果は得られない。
る必須の添加剤成分のうち、成分(2) は、ソルビタン
と、炭素数10〜22、好ましくは炭素数12〜18の
脂肪酸との部分エステルである。なおここでいう部分エ
ステルとはソルビタン中の水酸基の少なくとも1個以上
がエステル化されない水酸基の形のままで残っているエ
ステルを意味する。
酸でもよく、また直鎖状脂肪酸でも分枝状脂肪酸でもよ
い。具体的にはたとえば、デカン酸、ウンデカン酸、ド
デカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカ
ン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン
酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、
ドコサン酸などの飽和脂肪酸(いずれのものも、全ての
異性体を含む);デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン
酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、
ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、ノ
ナデセン酸、エイコセン酸、ヘンエイコセン酸、ドコセ
ン酸などの不飽和脂肪酸(いずれのものも、全ての異性
体を含む)、およびこれらの混合物などがあげられる。
は、たとえばソルビタンモノドデカノエート(ソルビタ
ンモノラウレート)、ソルビタンモノイソラウレート、
ソルビタンジドデカノエート(ソルビタンジラウレー
ト)、ソルビタンジイソラウレート、ソルビタントリド
デカノエート(ソルビタントリラウレート)、ソルビタ
ントリイソラウレート、ソルビタンモノテトラデカノエ
ート(ソルビタンモノミリステート)、ソルビタンモノ
イソミリステート、ソルビタンジテトラデカノエート
(ソルビタンジミリステート)、ソルビタンジイソミリ
ステート、ソルビタントリテトラデカノエート(ソルビ
タントリミリステート)、ソルビタントリイソミリステ
ート、ソルビタンモノヘキサデカノエート(ソルビタン
モノパルミテート)、ソルビタンモノイソパルミテー
ト、ソルビタンジヘキサデカノエート(ソルビタンジパ
ルミテート)、ソルビタンジイソパルミテート、ソルビ
タントリヘキサデカノエート(ソルビタントリパルミテ
ート)、ソルビタントリイソパルミテート、ソルビタン
モノオクタデカノエート(ソルビタンモノステアレー
ト)、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンジ
オクタデカノエート(ソルビタンジステアレート)、ソ
ルビタンジイソステアレート、ソルビタントリオクタデ
カノエート(ソルビタントリステアレート)、ソルビタ
ントリイソステアレート、ソルビタンモノオクタデセノ
エート(ソルビタンモノオレエート)、ソルビタンモノ
イソオレエート、ソルビタンジオクタデセノエート(ソ
ルビタンジオレエート)、ソルビタンジイソオレエー
ト、ソルビタントリオクタデセノエート(ソルビタント
リオレエート)、ソルビタントリイソオレエート、およ
びこれらの混合物などがあげられ、とくにモノエステル
であるソルビタンモノドデカノエート(ソルビタンモノ
ラウレート)、ソルビタンモノイソラウレート、ソルビ
タンモノテトラデカノエート(ソルビタンモノミリステ
ート)、ソルビタンモノイソミリステート、ソルビタン
モノヘキサデカノエート(ソルビタンモノパルミテー
ト)、ソルビタンモノイソパルミテート、ソルビタンモ
ノオクタデカノエート(ソルビタンモノステアレー
ト)、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモ
ノオクタデセノエート(ソルビタンモノオレエート)、
ソルビタンモノイソオレエート、およびこれらの混合物
などが好適に使用される。
の含有量は、組成物全量基準で1〜15重量%、好まし
くは5〜8重量%である。成分(2) の含有量が1重量%
未満の場合には、さび止め性能および潤滑性に劣り、一
方、含有量が15重量%を超える場合には、トルク値が
低下してしまう。本発明においては上述した2種類の基
油、ならびに成分(1) および(2) の2種の添加剤を必須
成分として特定量組み合わせることにより、作業性や作
業環境に悪影響を及ぼすおそれのあるペトロラタムを使
用せず、潤滑性、耐荷重性、トルク安定性にすぐれた潤
滑油形の構成を採用して、そのままトルク測定時の初期
潤滑油として使用できるとともに、溶剤希釈形なみのさ
び止め性を有する、特に円すいころ軸受用としてすぐれ
た軸受用さび止め油組成物を得ることができるが、長期
保管時における油膜の潤滑性やさび止め性を安定化させ
る目的で、さらに成分(3) のフェノール系酸化防止剤を
併用することができる。
例としては、たとえば2,6−ジ−tert−ブチルフェノ
ール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2
−メチル−6−tert−ブチル−p−クレゾール、4,
4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノ
ール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフ
ェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−
o−クレゾール)、およびこれらの混合物などがあげら
れる。
酸化防止剤を併用する場合には、その含有量は、組成物
全量基準で0.1〜1.0重量%、好ましくは0.4〜
0.6重量%である。成分(3) の含有量が0.1重量%
未満の場合には、その添加効果、すなわち長期保管時に
おける油膜の潤滑性、さび止め性の安定化効果が十分に
発揮されず、一方、含有量が1.0重量%を超えても、
その効果は飽和状態となるだけで、含有量に見合うだけ
の効果は得られない。
をさらに高める目的で、通常のさび止め油に使用される
公知の添加剤を併用することもできる。これら公知の添
加剤の具体例としては、たとえばジエチレングリコール
モノアルキルエーテルなどの湿潤剤;ベンゾトリアゾー
ル、アルキルチアジアゾールなどの金属不活性剤;アク
リルポリマー、パラフィンワックスなどの造膜剤;脂肪
酸アミン塩などの水置換剤;ジアルキルジチオリン酸亜
鉛、硫化油脂、リン化合物など極圧剤などがあげられ、
これらを単独で使用してもよく、また2種類以上組み合
わせて使用してもよい。これら公知の添加剤を併用する
場合の含有量は任意であるが、通常、これら公知の添加
剤の合計含有量は、組成物全量基準で0.1〜10重量
%程度であるのが好ましい。
物には、ミネラルスピリットなどの低沸点鉱油系溶剤を
適宜配合することもできる。本発明の軸受用さび止め油
組成物においては、組成物の40℃における動粘度が1
0〜20mm2 /s、好ましくは13〜15mm2 /sの範
囲内にある必要がある。動粘度が10mm2 /s未満の場
合には、潤滑性が低下してトルクの経時変化が大きくな
り、一方、動粘度が20mm2 /sを越える場合には、さ
び止め油の膜厚が厚くなりすぎて、軸受の回転数により
粘性が大きく変化しやすくなる等、いずれの場合もトル
ク安定性の点で問題が生じる。これに対し、40℃での
動粘度が10〜20mm2 /sの範囲内に調整された本発
明の軸受用さび止め油組成物は良好な潤滑性を発揮し、
これを塗布した軸受の回転トルク値は最適の値を示し、
かつ回転数の変化によるトルク値の変動が小さい。また
潤滑性およびトルク値の経時変化も防止される。
円すいころ軸受に好ましく用いられるものであるが、そ
の他、具体的にはたとえば、円すいころ軸受以外の、円
筒ころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受などのこ
ろ軸受;深溝玉軸受、マキシマム形玉軸受、アンギュラ
玉軸受、四点接触玉軸受、自動調心玉軸受、平面座スラ
スト玉軸受、調心座スラスト玉軸受、スラストアンギュ
ラ玉軸受などの玉軸受;および鉄道車両車軸用軸受、圧
延機ロールネック用軸受、ターンテーブル用軸受、繊維
機械用軸受、カムフォロア、スライド軸受などの特殊用
途軸受に対しても好適に用いることができる。
の潤滑油形のさび止め油と同様に、浸漬法、吹付け法等
の方法で軸受に塗布することができる。以上のごとく本
発明の軸受用さび止め油組成物は、上記各成分の相乗効
果によって、そのままトルク測定時の初期潤滑油として
使用できる潤滑性、耐荷重性、トルク安定性と、溶剤希
釈形なみのさび止め性とを兼ね備えたものとなる。また
ペトロラタムを使用しないので、作業性や作業環境に悪
影響わ及ぼすおそれもない。
よりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの内容
に何ら限定されるものではない。 〈実施例1〜4および比較例1〜4〉表1に示した組成
により、本発明に係る軸受用さび止め油組成物(実施例
1〜4を調製した。また比較のため、表2、表3に示し
た組成により、本発明の必須成分である2種類の基油、
および成分(1) 〜(3) のいずれか1成分を含有しない組
成物(比較例1〜4)も調製した。なお、使用した各成
分は以下のとおりである。
mm2 /s) II:ナフテン系軽質精製鉱油(40℃の動粘度6.5mm
2 /s)精製鉱油 III :パラフイン系精製鉱油(40℃の動粘度22.0
mm2 /s) IV:ナテフン系精製鉱油(40℃の動粘度22.0mm2
/s)成分(1) :中性バリウムスルフォネート V:中性バリウムジノニルナフタレンスルフォネート VI:中性バリウムアルキルベンゼンスルフォネート成分(2) :ソルビタンの部分エステル VII :ソルビタンモノイソステアレート VIII:ソルビタンモノオレエート成分(3) :フェノール系酸化防止剤 IX:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール試験1 実施例1〜4、比較例1〜4のさび止め油組成物につい
て、以下に示す各試験を行って、その性能を評価した。
また比較のため、従来品としての溶剤希釈形さび止め油
(従来品a=比較例5)および潤滑油形さび止め油(従
来品b=比較例6)についても同様の試験を行った。
拠して測定した、40℃での動粘度(mm2 /s)、およ
びJIS K 2246 4.16に準拠して測定した
油膜の膜厚の測定結果とともに、表1〜表3に併記し
た。 〔塩水噴霧試験〕JIS K 2246 5.35に規
定する塩水噴霧試験に準拠して、さび発生に至った試験
時間を計測し、以下の3段階で評価した。
る湿潤試験に準拠して、さび発生に至った試験時間を計
測し、以下の5段階で評価した。
る耐候性試験方法に準じ、ただし装置として山崎精機
(株)製試験機を用いて、発露・乾燥サイクル、紫外線
照射の条件で試験を行い、さび発生に至った時間を計測
して評価した。
5.37に規定する包装格納試験方法に準拠して、さび
発生に至った期間(月)を計測して評価した。
例5の従来品aのさび止め油とを、それぞれ円すいころ
軸受(内径φ30mm)に塗布して、塗布直後から3か月
経過時までの回転トルク(N・m)の推移を測定した。
結果を図1に示す。なお図中実線は、実施例3のさび止
め油を塗布した円すいころ軸受の回転トルクの推移(○
−○は回転数60r.p.m.、◇−◇は回転数100r.p.
m.)を示し、破線は、比較例5のさび止め油を塗布した
円すいころ軸受の回転トルクの推移(●−●は回転数6
0r.p.m.、◆−◆は回転数100r.p.m.)を示してい
る。
を塗布した円すいころ軸受は、回転トルクが著しく低下
したが、実施例3のさび止め油を塗布した円すいころ軸
受は、3か月経過しても回転トルクに変化がみられなか
った。従来品aのさび止め油を塗布した円すいころ軸受
が、経時変化によって回転トルクが低下した原因として
は、溶剤の蒸発による膜の固化が考えられる。すなわち
従来品aのさび止め油は、ペトロララタム含有率の経時
変化を示す図2からわかるように、溶剤の蒸発によっ
て、塗布時には30%であったペトロラタム含有率が、
20時間経過後には80%にまで達する(その分だけ溶
剤が蒸発したことになる)。また塗布時には25℃で1
2mm2 /sであった粘度が、4時間後には25℃で14
8mm2 /sまで上昇することも確認されている。
例5の従来品aのさび止め油とを、試験2と同じ円すい
ころ軸受に塗布して、回転数を変化させた際の回転トル
ク(N・m)の変化を測定した。結果を図3に示す。な
お図中、実線は実施例3のさび止め油を塗布した円すい
ころ軸受の回転トルクの変化を示し、破線は比較例5の
さび止め油を塗布した円すいころ軸受の回転トルクの変
化を示している。
を塗布した円すいころ軸受は、回転トルクが回転数の変
化にともなって大きく変化したが、実施例3のさび止め
油を塗布した円すいころ軸受は、回転トルクがほぼ一定
であった。試験4 実施例3の、本発明にかかるさび止め油組成物と、比較
例5の従来品aのさび止め油とを、試験2と同じ円すい
ころ軸受に塗布し、所定の荷重をかけつつ回転させた際
に、軸受が焼き付く時間(焼付寿命、秒)を測定し、荷
重(kN)と焼付寿命との関係を求めた。結果を図4に
示す。なお図中、実線は実施例3のさび止め油を塗布し
た円すいころ軸受における荷重と焼付寿命との関係を示
し、破線は従来品aのさび止め油を塗布した円すいころ
軸受における荷重と焼付寿命との関係を示している。
を塗布した円すいころ軸受は、荷重が1500kN未満
の状態では、従来品aのさび止め油を塗布した円すいこ
ろ軸受に比べて、焼付寿命が著しく改善されていること
がわかった。上記試験2〜4の結果より、実施例のさび
止め油組成物は、溶剤希釈形である従来品aより遙かに
すぐれた潤滑性、耐荷重性、トルク安定性を有するこが
確認された。
さび止め油組成物は、当該さび止め油を構成する各成分
の相乗効果によって、そのままトルク測定時の初期潤滑
油として使用できる潤滑性、耐荷重性、トルク安定性
と、溶剤希釈形なみのさび止め性とを兼ね備えたものと
なっている。またペトロラタムを使用しないので、作業
性や作業環境に悪影響を及ぼすおそれもない。
従来品とを、それぞれ円すいころ軸受に塗布した際の、
回転トルクの経時変化を示すグラフである。
ラフである。
品とを、それぞれ円すいころ軸受に塗布した際の、回転
トルクと回転数との関係を示すグラフである。
品とを、それぞれ円すいころ軸受に塗布し、当該軸受に
所定の荷重をかけつつ回転させた際の、荷重と焼付寿命
との関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】40℃での動粘度が4〜10mm2 /sの軽
質精製鉱油100重量部に対して、40℃での動粘度が
18〜40mm2 /sの精製鉱油20〜40重量部を配合
した混合油を基油とし、これに組成物全量基準で、 (1) 中性バリウムスルフォネートを5〜25重量%、お
よび(2) ソルビタンと炭素数10〜22の脂肪酸の部分
エステルを1〜15重量%、含有し、かつ40℃での動
粘度が10〜20mm2 /sの範囲内であることを特徴と
する軸受用さび止め油組成物。 - 【請求項2】40℃での動粘度が4〜10mm2 /sの軽
質精製鉱油100重量部に対して、40℃での動粘度が
18〜40mm2 /sの精製鉱油20〜40重量部を配合
した混合油を基油とし、これに組成物全量基準で、 (1) 中性バリウムスルフォネートを5〜25重量%、 (2) ソルビタンと炭素数10〜22の脂肪酸の部分エス
テルを1〜15重量%、および (3) フェノール系酸化防止剤を0.1〜1.0重量%、
含有し、かつ40℃での動粘度が10〜20mm2 /sの
範囲内であることを特徴とする軸受用さび止め油組成
物。
Priority Applications (1)
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JP26916093A JP3103858B2 (ja) | 1993-10-27 | 1993-10-27 | 軸受用さび止め油組成物 |
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JP26916093A JP3103858B2 (ja) | 1993-10-27 | 1993-10-27 | 軸受用さび止め油組成物 |
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