JP3101662B2 - ワイヤソーのワイヤ供給方法とそれを用いたワイヤソー - Google Patents

ワイヤソーのワイヤ供給方法とそれを用いたワイヤソー

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JP3101662B2 JP29087091A JP29087091A JP3101662B2 JP 3101662 B2 JP3101662 B2 JP 3101662B2 JP 29087091 A JP29087091 A JP 29087091A JP 29087091 A JP29087091 A JP 29087091A JP 3101662 B2 JP3101662 B2 JP 3101662B2
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    • B28D5/04Fine working of gems, jewels, crystals, e.g. of semiconductor material; apparatus or devices therefor by tools other than rotary type, e.g. reciprocating tools
    • B28D5/045Fine working of gems, jewels, crystals, e.g. of semiconductor material; apparatus or devices therefor by tools other than rotary type, e.g. reciprocating tools by cutting with wires or closed-loop blades

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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、走行するワイヤを用
いて半導体インゴット、セラミックス等の硬質脆性材料
(ワーク)を切断するワイヤソーのワイヤ供給方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、供給側から供給された1本の
ワイヤを複数の多溝ローラの外側に多重並列状に巻付け
た後に回収側に移動させ、このワイヤを往復差動運動さ
せながら多溝ローラ間の位置でワークを切断するように
したワイヤソーは既に提案されている。
【0003】上記ワイヤソーのワイヤ供給方式を図11
に示す。同図において、ワイヤソーは、2本の多溝ロー
ラ62,62の外側に1本のワイヤ61を多重並列に巻
付け、このワイヤ61に供給側リール63から回収側リ
ール64に徐々に移動する往復差動運動を与えて、多溝
ローラ62,62間のワイヤ部分61aによりワークを
切断加工するものである。
【0004】このワイヤ61の往復運動により発生する
緊張と弛緩を吸収する機構として、多溝ローラ62群と
供給側リール63との間、及び多溝ローラ62群と回収
側リール64との間に、ワイヤ61を順次掛け渡す定滑
車65,65a;66,66aと動滑車67,67a;
68,68aを配置すると共に、上記動滑車67a,6
8aをスライドキャリッジ69,70に取り付け、駆動
モータ75の正逆回転により動滑車式倍速機構のスライ
ドキャリッジ69,70を往復運動させ、上記定滑車6
5a,66aと動滑車67a,68aにわたって掛け渡
したエンドレスベルト72がワイヤ61と同期、同軌跡
で平行駆動させると共に、ワイヤ61が多溝ローラ62
群の外側でワイヤ供給用モータ71の一方向回転により
往復差動運動しながら徐々に回収側へ移動するようにな
っている。なお、73は多溝ローラ62,62を支持す
る回動部材、74は回動部材73を揺動運動させるモー
タである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図11に示
す従来のワイヤ供給方式では以下の欠点がある。
【0006】1本のワイヤ61でワークをスライスす
るので、ワークの大型化によって仕事量が増えると、ワ
イヤ61の摩耗が加速的に進み、ワイヤ61を供給側か
ら高速度で供給する必要が生じる。ところが、多溝ロー
ラ62,62間を移動するワイヤ部分61aを徐々に供
給側から回収側へ往復差動運動をさせる場合にあって
は、上記ワイヤ61を高速供給すると、ワイヤ部分61
aの往路(矢印A方向)と復路(矢印B方向)の仕事量
バランスが偏り、ワークのスライス断面が均一になら
ず、加工精度が低下する。
【0007】多溝ローラ62,62の外周に多重並列
状に巻き付けたワイヤ部分61aの巻付けピッチを高精
度に保持する必要上、樹脂製多溝ローラ62のV溝群の
形成をその溝入加工幅と同寸法のチェザーバイト(総形
バイト)を用いて行なっている。しかし、ワークの大型
化により多溝ローラ62の溝入加工幅が増加すると、チ
ェザーバイトも長尺となり、溝入加工機である旋盤等の
工作機械の切削負荷抵抗が大となり、特殊な旋盤等が必
要となる。
【0008】これに対し、短尺のチェザーバイトによ
り、長尺の多溝ローラ62の溝入加工を複数ブロックに
分けて行なおうとすると、ブロック相互間の溝ピッチサ
ークルに段差が生じ易く、これに起因して1本のワイヤ
61の巻付けピッチサークルに誤差が生じて、張力に変
動が生じる。その結果、ワイヤの切断や横揺れを招き、
加工精度が損なわれる。
【0009】また、仕事量の増加に伴ってワイヤ61
の供給量を増やす必要性から、供給側リール63及び回
収側リール64を大型にしてワイヤ量を増やす必要があ
る。つまり、仕事量が2倍になるとワイヤ量も2倍必要
となり、リール63,64が大重量化し、リール63,
64の搬送や機械本体への取付作業に多大の労力を要す
る。
【0010】さらに、切断加工中に仮りにワイヤ61
が切れた場合には、ワーク全体が没になる。つまり、新
しいワイヤで切断加工を再開してもその切断面に段差が
残ることとなり、このような段差は精度上の致命的な欠
陥となる。
【0011】以上のように、従来のワイヤ供給方式で
は、仕事量の増加に伴ってワイヤの高速供給による弊害
を生じ、多溝ローラの溝入加工も困難となり、しかもリ
ールの重量化を招き、さらにワークの加工不良が増大す
るという欠点がある。
【0012】この発明は、上記従来の課題を解決するた
めになされたもので、仕事量が増加してもワイヤ供給速
度を低速に維持でき、且つ多溝ローラの溝入加工も容易
となり、しかもワイヤリールを軽量に保つと共に、ワー
クの加工不良を抑制できるワイヤ供給方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決
するため、この発明は、複数の多溝ローラの外側にワイ
ヤを多重並列状に巻付け、該多溝ローラ群を一方向また
は正逆方向に回転させることによりワイヤを供給側から
多溝ローラ群を経て回収側へ移動させ、該多溝ローラ間
を移動するワイヤ部分でワークを切断するようにしたワ
イヤの供給方法において、少なくとも2本以上のワイヤ
と、1本のワイヤを多重並列状に巻付けるV溝群が上記
ワイヤ数に応じて複数組設けられた多溝ローラとを準備
し、上記2本以上のワイヤを上記複数組のV溝群に個別
に巻き付けて回収側に導くようにしたものである。又、
上記2本以上のワイヤを同時に供給し、該2本以上のワ
イヤが1つのワークを同時に切断するようにしたもので
ある。更に、多溝ローラに1本のワイヤを多重並列状に
巻付けるV溝群が複数組設けられ、2本以上のワイヤを
上記複数組のV溝群に個別に巻き付けた、前記ワイヤの
供給方法を用いたワイヤソーである。
【0014】
【作用】この発明によれば、2本以上のワイヤを供給す
ると共に、多溝ローラの外周に1本のワイヤが巻付けら
れるV溝群を各ワイヤごとに複数組設け、上記2本以上
のワイヤを複数組のV溝群に個別に巻付ける方式である
から、ワークの大型化により仕事量が増加しても、1本
のワイヤを用いる従来と比較して、ワイヤの摩耗量は半
減するため、ワイヤの供給を高速化する必要はない。従
って、ワイヤを往復差動運動させる場合でもワイヤの往
路と復路の仕事量バランスが良くなる。
【0015】また、多溝ローラのV溝群を各ワイヤに対
応して複数組設けたので、ワークの大型化に伴って多溝
ローラが長尺になっても、短尺のチェザーバイトによっ
て複数組のV溝群を各ブロックごとに別々に溝入加工で
きる。この場合、仮りに各組相互間の溝ピッチサークル
に段差が生じても、各組のV溝群には別々のワイヤが巻
き付けられるので、ワイヤの張力に変動をきたすおそれ
がない。従って、ワイヤの切断や横揺れを生じることも
ない。
【0016】しかも、2本以上のワイヤを供給すること
により、これらを供給及び回収する各ワイヤリールも2
個以上となり、仕事量が増えても各リールの重量は大き
くならず、リールの運搬やセッティングが容易である。
【0017】さらに、仮りに1本のワイヤが切れても残
りのワイヤで切断加工を継続できるので、ワーク全体が
没にならず、切れたワイヤに対応する部分のみが没にな
り、従って、ワークの加工不良の分散化を防止できる。
【0018】
【実施例】以下、この発明の実施例を添附図面に基づい
て説明する。
【0019】図1において、この発明に係るワイヤ供給
方式は、複数の多溝ローラ7群の外側に2本のワイヤ
1,2をそれぞれ多重並列状に巻き付け、各多溝ローラ
7を正逆回転させることにより、ワイヤ1,2を多溝ロ
ーラ7,7間で往復差動運動させながら徐々に回収側へ
移動させ、移動するワイヤ部分1a,2aでワークを切
断する方式であり、この方式が採用されるワイヤソー
は、基本的にワイヤ巻掛け機構とワイヤ駆動機構とで構
成されている。
【0020】まず、図2を参照してワイヤ巻掛け機構に
ついて説明すると、前後一対の供給側リール3,4及び
回収側リール5,6に対応して、前列ローラ群と後列ロ
ーラ群が配設されている。つまり、前列の供給側リール
3から引き出された第1のワイヤ1は、前列ローラ群に
おける中間ローラ10とダンサローラ11を通って動滑
車式倍速機構30の定滑車12と動滑車13に順次掛け
渡された後、3本の多溝ローラ7の外側の前半部に多重
並列状に巻付けられ、さらに動滑車式倍速機構31の動
滑車14と定滑車15に順次掛け渡され、ダンサローラ
16と中間ローラ17を介して前列の回収側リール5に
巻取られている。
【0021】また、後列の供給側リール4から引き出さ
れた第2のワイヤ2も、上記第1のワイヤ1と同様の巻
掛け構造であり、後列ローラ群における中間ローラ10
a,ダンサローラ11a,定滑車12a及び動滑車13
aを介して3本の多溝ローラ7の外側の後半部に多重並
列状に巻付けられ、動滑車14a,定滑車15a,ダン
サローラ16aおよび中間ローラ17aを介して後列の
回収側リール6に巻取られている。
【0022】該多溝ローラ7群へのワイヤ1,2の巻付
け方式は、図9(a)に示すように、各多溝ローラ7の
前半部7aに第1ワイヤ1を巻付けるV溝群V1が形成
され、後半部7bに第2ワイヤ2を巻付けるV溝群V2
が形成され、両ワイヤ1,2が等ピッチで多重並列状に
巻付けられるようになっている。このワイヤ1,2の巻
付け方式に対応して、図10(a)に供給側リール3,
4のワイヤ巻付け状態が示されている。
【0023】一方、上記多溝ローラ7群を移動するワイ
ヤ部分1a,2aの直下には、図1に示すように、ワー
クWの取付テーブル32が昇降動するように配置され、
各ワイヤ1,2の供給側と回収側は、上記ダンサローラ
11,11a;16,16aにそれぞれ吊下げたウエイ
ト18,18a;19,19aによって一定の張力が付
加されている。なお、ワイヤ1,2の定張力付加はウエ
イトに代えて電気式滑りクラッチを使用してもよい。
【0024】つぎに、ワイヤ駆動機構について説明する
と、上記両ワイヤ1,2の供給側に位置する動滑車式倍
速機構30は、図2に示すように、定位置に水平状態で
複数本を並列配置した上軸33の両端部に、ワイヤ用の
定滑車12,12aとエンドレスベルト用の定滑車12
bを取付け、この定滑車12,12a,12b群の下部
で、上下動自在となるように配置したスライドキャリッ
ジ37に複数本の下軸34を水平に取付け、各軸34の
両端部に、ワイヤ用の動滑車13,13aとエンドレス
ベルト用の動滑車13bが取付けられている。
【0025】他方、各ワイヤ1,2の回収側に位置する
動滑車式倍速機構31も上記倍速機構30と同様の構造
であり、複数本の上軸35の両端部にワイヤ用の定滑車
15,15aとエンドレスベルト用の定滑車15bが取
付けられ、定滑車15,15a,15b群の下部で上下
動自在となるように配置したスライドキャリッジ38の
下軸36にワイヤ用の動滑車14,14aとエンドレス
ベルト用の動滑車14bが取付けられている。
【0026】上記両動滑車倍速機構30,31は両ワイ
ヤ1,2の供給側と回収側の各々に平衡して釣合うよう
に配置され、各倍速機構30,31には、エンドレスベ
ルト40が両ワイヤ1,2の動作に同期して同一軌跡で
且つ平行に駆動するように、最後列の定滑車12b,1
5bと動滑車13b,14bに順次掛け渡されている。
【0027】上記エンドレスベルト40は、例えばワイ
ヤベルト、プラスチック製ベルト又は複合材製ベルトを
単独もしくは複数併用して使用することができ、これら
のベルトは必要とする長さのものが手軽にしかも安価に
入手できると共に、定滑車12b,15b及び動滑車1
3b,14b等に用いる滑車輪は単純な構造であるため
安価であり、しかもベルトは高速回転走行時に騒音や振
動の発生が少なく、滑車輪の直径を小さくしても回転ム
ラが生じないという利点があり、同期駆動しているワイ
ヤ1,2に張力変動を与えて断線事故を誘発するという
ようなことがなくなる。
【0028】上記動滑車式倍速機構30,31の各スラ
イドキャリッジ37,38は、図1に示すように、上部
定滑車21,21に掛け渡した上部連結用ロープ23
と、下部定滑車22,22に掛け渡した下部連結用ロー
プ24とで、一定の張力を加えてエンドレスに連結し、
両スライドキャリッジ37,38が相反する上下方向の
直線往復運動をするようにし、両ワイヤ1,2の供給側
と回収側で交互に発生する緊張と弛緩を吸収し得るよう
に構成されている。
【0029】なお、スライドキャリッジ37の上下動範
囲内に、上限検出スイッチS1と下限検出スイッチS2
を配置し、駆動モータ39の正転と逆転の切換制御を行
うようになっている。
【0030】さらに、上記両動滑車式倍速機構30,3
1の中間位置には、多溝ローラ7群を取付ける回動部材
41が配置されている。この回動部材41は、図4に示
すように水平の中心軸42を中心に回動自在に支持さ
れ、この中心軸42の歯車43は多溝ローラ7の各水平
軸44,45(他の1本は図示せず)の各歯車46,4
7に噛み合い、上記中心軸42には多溝ローラ7,7,
7を正逆回転するローラ駆動用モータ39が直結されて
いる。従って、このモータ39によって多溝ローラ7群
が正逆回転し、このローラ群に巻付けられたワイヤ1,
2に往復走行運動が与えられるようになっている。
【0031】上記回動部材41は、図3に示すように、
外周面に設けたウォームホイル48に正逆駆動用モータ
49のウォーム50が噛合し、所定角度の往復運動が与
えられ、多溝ローラ7群間を移動するワイヤ部分1a,
2aは回動部材41の中心軸42を中心に揺動し、ワー
クWを揺動円孤運動で切断することになる。
【0032】なお、上記回動部材41の正逆駆動機構は
図1に示すプーリ51とベルト52を用いて正逆駆動用
モータ53で駆動してもよく、いずれの場合も回動部材
41は正逆駆動用モータ53(49)によって揺動させ
ることができる。
【0033】また、図3に示すように、回動部材41の
直上にワインダー用ローラ53と、このローラ53を軸
方向に移動させるワインダー用ローラ移動制御軸54と
を設け、図4の実線から二点鎖線で示すように、ワイン
ダー用ローラ53,53を介して引出した両ワイヤ1,
2を多溝ローラ7群の外周に臨ませ、回動部材41の連
続回転と、ワインダー用ローラ移動制御軸54の矢印方
向Pへの移動により多溝ローラ7群のV溝群V1,V2
に両ワイヤ1,2を同時に巻付けることができ、従来別
の場所で巻付け作業を行なっていたのが、セッティング
位置で巻付けできるようになり、巻付作業の自動化と加
工前の準備作業の時間短縮を図ることができる。なお、
図4では図面の理解を容易にするために、ワインダー用
ローラ53とその制御軸54を多溝ローラ7群と並列に
図示してある。
【0034】一方、図2に示すエンドレスベルト40の
上部走行部分は、ワイヤ供給、回収用モータ45のプー
リ55に掛け渡され、このモータ45は図1のように、
エンドレスのリール駆動用チェン58を介してワイヤ供
給用リール3,4とワイヤ回収用リール5,6を回動駆
動させるようになっており、このモータ45の一方向回
転と前述のワイヤ往復運動用モター39の正逆回転によ
り両ワイヤ1,2は供給側から回収側へ往復差動運動し
ながら徐々に移動させられることになる。
【0035】なお、供給側及び回収側リール3,4;
5,6の駆動は別モータで単独駆動してもよい。
【0036】この発明のワイヤ供給方式が採用されたワ
イヤソーは上記のような構成であり、図2に示すよう
に、モータ45によるエンドレスベルト40の回動とワ
イヤ供給側リール3,4及び回収側リール5,6の回動
とによって、2本のワイヤ1,2を供給側から回収側に
連続的に移動させると同時に、多溝ローラ7群を駆動モ
ータ39で正逆回転駆動させて両ワイヤ1,2にそれぞ
れ往復差動運動を与え、さらに上記駆動モータ39のプ
ーリ39aに巻掛けたエンドレスベルト40に両ワイヤ
1,2と同期且つ同軌跡同期運動を与え、多溝ローラ7
群を移動するワイヤ部分1a,2aにワークW(図1)
を押し当てて、双方の接触部分に砥粒とラッピングオイ
ルの混合液を供給する。
【0037】ワークWの切断時にモータ53(又は図3
のモータ49)で回動部材41を往復回動させ、図3に
示すように、多溝ローラ7,7間のワイヤ部分1a,2
aを揺動させながら切断を行なう。これにより、図5に
示すように、揺動円孤切断によってワイヤ部分1a,2
aとワークWの接触面は点接触に近くなり、接触部分に
集中荷重を加えることができると共に、ワイヤ1,2の
許容付加張力を最大限に有効利用できる。59は砥粒、
切粉である。
【0038】しかも、上記ワイヤ部分1a,2aは揺動
と往復差動の複合運動であるから、図5および図6に示
すように、ワークWとの接触部分における砥粒、切粉5
9の侵入、排出が積極的に行なわれ、ワークWのスライ
ス幅tが均一に近くなる。
【0039】さらに、ワイヤ部分1a,2aの揺動円弧
運動は、砥粒、切粉59の積極的侵入、排出およびワイ
ヤに剛性を与えるための付加張力有効利用がもたらす影
響は非常に大きく、切断加工速度を速め、切断面加工精
度を高めるのに重要不可欠の要素である。
【0040】また、ワイヤ部分1a,2aの揺動円弧運
動は、スライス直後の加工物側壁面のラッピングをも合
理的かつ同時に進行させることが可能となり、これによ
り、加工精度を一段と向上させ、その結果、次工程の短
縮復は省略を図ることができる。
【0041】これに対して、図7に示すように、ワイヤ
部分1a,2aに揺動を与えないでワークWを切断する
と、ワークWに対するワイヤ部分1a,2aの接触面は
線接触になり、接触面への砥粒59とラッピングオイル
の混合液の供給と切粉の逃げが悪く、しかもワイヤ部分
1a,2aに対する抵抗が多くなり、切断効果が低くな
るのは避けられない。
【0042】また、往復差動運動のワイヤ供給速度を高
速にすると往路と復路の仕事量バランスが偏り、図8に
示す如く、ワイヤ部分1a,2aが一方向走行に近くな
るような加工方法では、砥粒引込量の多いワイヤ入口側
のラッピング効率が高いため、加工物のスライス幅t’
が不均一なテーパ状断面となり、加工精度の低下を招
く。
【0043】一方、上記ワイヤ1,2は往復差動運動時
において供給側と回収側に緊張と弛緩が交互に発生する
が、図2に示すエンドレスベルト40はワイヤ1,2と
平行に、同軌跡、同期運動することにより、両側の動滑
車式倍速機構30,31は、ワイヤ1,2の緊張が生じ
た側のスライドキャリッジ37又は38が上昇し、弛緩
が生じた側のスライドキャリッジ38又は37は下降
し、このような両スライドキャリッジ37,38の上下
交互に発生する直線往復運動により、ワイヤ1,2の供
給側と回収側に発生する交互の緊張と弛緩を吸収するこ
とになる。
【0044】その結果、この発明に係るワイヤ供給方式
によれば、以下の利点得られる。
【0045】スライス原材料の大口径化と、同時大量
スライス加工、及びワイヤ摩耗影響の少ない超精密スラ
イス加工等の市場において、その要求を満足させるに
は、従来の「単数ワイヤ供給方式」では、スライス仕事
量増加と、ワイヤ摩耗制限により、ワイヤ供給速度の関
数的高速化を余儀なくされるが、この発明に係る「複数
ワイヤ供給方式」では、多溝ローラ7,7間を往復走行
する2本のワイヤ1,2を徐々に供給側から回収側へ移
動させる往復差動運動とすることにより、複数ワイヤ
分、スライス仕事量の分散化によるワイヤ供給速度の低
速化が可能となり、ワイヤ往路と、復路の仕事量バラン
スが保持され、「往復走行方式のワイヤソー」の長所で
あるワイヤの入口側と出口側のラッピングが、理想的に
交互に平均的に入れ替わることにより、砥粒の引込み量
が両側とも均等になり、ラッピング効率も平均化する。
従って、従来では図8の如く、加工溝幅t’がテーパー
状スライス断面となるのに比べ、この発明による方法で
は、図6の如く加工溝幅tのワイヤ入口側と出口側が、
それぞれ均等にラッピングされ、スライス断面加工精度
の向上を図ることができる。
【0046】図9(a)に示す樹脂製多溝ローラ7の
V溝群V1,V2の加工は、大量スライス加工化に伴
い、そのV溝加工幅も増加するが、各V溝群V1,V2
ごとにワイヤ1,2を供給するので、短尺のチェザーバ
イトを用いて「ブロック別の分割溝入加工」することが
可能となる。従って、チェザーバイトの製作も容易で、
安価となると共に溝入加工機である旋盤等の工作機械の
切削負荷抵抗も少なく、加工が容易なため汎用機での溝
入加工が可能となる。
【0047】一般に、樹脂製多溝ローラ7のV溝加工
用チェザーバイトは、スライス加工中におけるワイヤの
摩耗を見込んで、V溝切刃部全長にわたってV溝ピッチ
を補正して製作してある。
【0048】つまり、図9(a)の1本のワイヤを巻付
ける多溝ローラのV溝群V1またはV2の巻付開始位置
と巻付終端位置とでは、ワイヤの摩耗を予め見込んで、
その溝ピッチが漸次小さく設定している。この考案に係
るワイヤ供給方式では、2本のワイヤ1,2ごとに別個
のV溝群V1,V2を形成しているので、各V溝群ごと
に独立して短尺チェザーバイトによる溝入加工が可能と
なる。従って、他機種に使用した同一スライス加工条件
の既存の短尺チェザーバイトを用いることができるの
で、長尺のチェザーバイトを作製する必要がない。
【0049】ところで、上記短尺チェザーバイトによ
る多溝ローラの「V溝群別分割溝入加工」を行なうと、
分割部ごとに多溝ローラのV溝基準ピッチサークルに加
工誤差が生じ易いが、この考案では、複数のワイヤをV
溝群V1,V2ごとに分割巻付しているので、加工誤差
による影響もなく、巻付けたワイヤの張力変動を来すこ
ともないため、スライス加工精度と加工時間及び多溝ロ
ーラ寿命を従来以上に向上させた同時大量スライス加工
が可能である。
【0050】しかも、加工物(ワーク)の大口径化
と、同時大量スライス加工による仕事量の増加は、即
ち、供給ワイヤ消費量の増加を意味し、供給及び回収ワ
イヤ貯線量の大容量化を余儀なくされるが、複数のワイ
ヤを供給することにより、図10(a)の「ワイヤリー
ル個別巻付」の如く、複数のワイヤリールに分散して巻
付けることができるため、貯線ワイヤリールの軽量化を
図ることが可能となり、間接的作業であるワイヤリール
の搬送及び機械本体への取付作業等も容易で、特別な機
械的搬送、取付手段が不要である。
【0051】さらに、スライス加工中、予期せず断線
事故が発生しても、複数のワイヤをV溝群V1,V2別
に分割巻付すると、断線による加工不良のスライス加工
物全域への波及を防止し、断線したブロックの加工不良
だけに留めることが可能で、高価な加工物の加工不良の
分散化を図ることができる。
【0052】上記実施例では、ワイヤの数を2本とした
けれども、3本以上であってもよい。この場合、ワイヤ
リール数と多溝ローラ7のV溝群の数をワイヤ数分に合
せて増やせばよい。
【0053】また、上記実施例では、ワイヤを図9
(a)に示すように多溝ローラへの分割巻付及び図10
(a)に示すワイヤリールへの個別巻付方式を採用した
けれども、図9(b)の如く並列巻付、図9(c)の如
く分割並列巻付としてもよく、さらに図10(b)の如
く多重巻付、図10(c)の如く個別多重巻付方式を採
用してもよい。但し、図9(b)の並列巻付方式では短
尺チェザーバイトによる溝入加工はできない点におい
て、図9(a)及び(c)の各巻付方式と比べて不利で
ある。
【0054】なお、この発明に係るワイヤ供給方式は、
「ワイヤを往復差動運動させるワイヤソー」に用いられ
るだけでなく、「一方向走行式のワイヤソー」にも広く
用いることが可能である。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、ワークの大型化により仕事量が増加しても、ワイヤ
を高速供給する必要がないので、ワイヤを往復差動運動
させる場合に、ワイヤの往路と復路の仕事量バランスが
良くなり、加工精度が向上する。また、多溝ローラのV
溝群を各ワイヤに対応して設けたので、各V溝群を短尺
チェザーバイトで別々に切削加工でき、旋盤等の工作機
械の負荷抵抗が小さくなり、汎用機での溝入加工が可能
であると共に、仮りに隣接するV溝群間の溝ピッチサー
クルに加工上の段差が生じても、各V溝群にはワイヤが
別々に巻き付けられるので、従来の如くワイヤの破断や
横揺れを生じない。さらに、貯線ワイヤリールの軽量化
を図ることができると共に、ワイヤ切断によるワーク不
良の分散化を極力抑えることができる等の効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るワイヤ供給方式を採用したワイ
ヤソーの正面図。
【図2】図1のワイヤソーの斜視図。
【図3】ワイヤの揺動往復運動を示す回動部材付近の正
面図。
【図4】多溝ローラの駆動機構を示す平面断面図。
【図5】揺動円弧運動をするワイヤによるワーク切断状
態を示す縦断面図。
【図6】往復走行運動をするワイヤによるワーク切断状
態を示す平面断面図。
【図7】水平直線運動をするワイヤによるワーク切断状
態を示す縦断面図。
【図8】一方向走行運動をするワイヤによるワーク切断
状態を示す平面断面図。
【図9】多溝ローラへのワイヤ巻付状態を示し、(a)
は分割巻付方式、(b)は並列巻付方法、(c)は分割
並列巻付方式を示す図。
【図10】ワイヤリールへのワイヤ巻付状態を示し、
(a)は個別巻付方式、(b)は多重巻付方式、(c)
は個別多重巻付方式を示す図。
【図11】従来のワイヤ供給方式を採用したワイヤソー
の斜視図。
【符号の説明】
1,2 ワイヤ 3,4 供給側リール 5,6 回収側リール 7 多溝ローラ 41 回動部材 V1,V2 V溝群 W ワーク

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の多溝ローラの外側にワイヤを多重
    並列状に巻付け、該多溝ローラ群を一方向または正逆方
    向に回転させることによりワイヤを供給側から多溝ロー
    ラ群を経て回収側へ移動させ、該多溝ローラ間を移動す
    るワイヤ部分でワークを切断するようにしたワイヤの供
    給方法において、少なくとも2本以上のワイヤと、1本
    のワイヤを多重並列状に巻付けるV溝群が上記ワイヤ数
    に応じて複数組設けられた多溝ローラとを準備し、上記
    2本以上のワイヤを上記複数組のV溝群に個別に巻き付
    け回収側に導くようにしたことを特徴とするワイヤソー
    のワイヤ供給方法。
  2. 【請求項2】 2本以上のワイヤを同時に供給すること
    により、該2本以上のワイヤが1つのワークを同時に切
    断するようにしたことを特徴とする請求項1記載のワイ
    ヤの供給方法。
  3. 【請求項3】 複数の多溝ローラと、該複数の多溝ロー
    ラの外側に多重並列状に巻付けられたワイヤと、該多溝
    ローラ群を一方向または正逆方向に回転させてワイヤを
    供給側から多溝ローラ群を経て回収側へ移動させる機構
    とからなり、該多溝ローラ間を移動するワイヤがワーク
    を切断するようにしたワイヤソーにおいて、多溝ローラ
    に1本のワイヤを多重並列状に巻付けるV溝群が複数組
    設けられ、2本以上のワイヤを上記複数組のV溝群に個
    別に巻き付けたことを特徴とするワイヤソー。
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