JP3101543U - 再織り並びにかばんの再織り物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】裏張りを施すことなく耐ほつれ性を改善することのできる再織りを提供する。かばん及び袋物再織り物品において、表面と同じ柄模様を裏面にも現出させる。
【解決手段】綿糸などの柔軟な植物性繊維糸でなる経糸と地緯糸とによって織り組織が形成されていて、その織り組織の緯糸にモール糸5を含ませることによって表裏に同一の柄模様を表出させた再織りにおいて、経糸3と地緯糸4とを、植物性繊維糸よりも腰の強い糸で置き換えて織り組織の張りを高める。経糸3と地緯糸4としてナイロン糸を用い得る。この再織り1をかばんに用いると、再織り1の柄模様をかばんの外側と内側とに露出させてもほつれなどが生じない。
【選択図】図1

Description

本考案は、裏張り生地などの余分な材料を用いずに張り(腰の強さ)が高められていて、ほつれが生じにくくなっている再織りに関する。また、本考案は、再織りによって形成した箇所でのほつれが生じにくく、しかも、再織りに具備される表裏同一の柄模様を装飾として有効に生かすことのできるかばんの再織り物品。
一般的に、再織りは、一度織りあげた織物を経糸方向に細かく切断したものによって作られるモール状の糸(モール糸)を緯糸にして織りあげた織物を指していて、「シェニール織り」とも云われ、その用途の1つにかばんや袋物、帽子などの素材としての用途がある。また、上記モール糸は、JISでは「シェニール織物に使う飾ねん糸」と称されている。
この再織りは、綿糸、亜麻糸といった柔軟な植物性繊維糸でなる経糸と、同様に綿糸、亜麻糸といった柔軟な植物性繊維糸でなる地緯糸及び前記モール糸の緯糸とによって織り組織が形成されていて、その緯糸のモール糸によって前記織り組織の表裏に同一の柄模様を表出させたものである。
しかしながら、従来の再織りは、経糸や地緯糸に柔軟な植物性繊維糸が用いられており、緯糸に含まれるモール糸自体も大きな柔軟性を有しているために生地自体が柔軟性に富んでいるために、モール糸やそのモール糸を含む緯糸にほつれが生じやすいということも事実であり、ほつれが生じると、再織りによって現出される独特の柄模様が形崩れして見苦しくなる。
そこで、この再織りを再織り物品としてのかばんの素材として用いる場合、従来は、かばんに入れる物品が再織りと擦れて再織りにほつれが生じることを未然に防いだり、あるいは、再織りに必要な張りを持たせたりすることなどのために、再織りの裏面に張りのある紙や布地などで裏張りを施し、再織りにほつれを防止すると共に、再織りに必要な張りを持たせ、再織りをかばんの素材として使用していた。この点を図3に説明的に示してあり、同図において、1は再織り、2は裏張りを示している。なお、裏張り2には紙、布地などの張りの大きな素材が選択され、再織り1に対して接着剤による貼着のほか、縫合などの適宜手段によって再織りと一体化されている。
しかしながら、かばんの再織り物品の再織りを使用しようとする場合、常に裏張りを施さなければならないという不便さが存在すると共に、再織りの大きな特長である表裏の柄模様の同一性という特質が損なわれ、表面では再織りの柄模様が現出するものの、裏面側(内面側)では再織りの柄模様が裏張りにより覆い隠されてしまって再織りについての上記特長を十分に生かすことができないという問題が生じていた。
本考案はこの問題に鑑みてなされたものであり、裏張りを施すことなく耐ほつれ性を改善することのできる再織りを提供することを目的とする。また、本考案は、表面と同じ柄模様が裏面(内面)にも現出し、しかも、必要な張りを持った再織りを用いたかばんの再織り物品を提供することを目的とする。
本考案に係る再織りは、綿糸などの柔軟な植物性繊維糸でなる経糸と、綿糸などの柔軟な植物性繊維糸でなる地緯糸及びモール糸でなる緯糸とによって織り組織が形成されていて、そのモール糸によって表裏に同一の柄模様を表出させた再織りにおいて、
植物性繊維糸でなる経糸と地緯糸とを、その植物性繊維糸よりも腰の強い糸でなる経糸と地緯糸とに置き換えることによって上記織り組織の張りを高めた、というものである。
再織りをこのように構成すると、経糸と地緯糸とが植物性繊維糸よりも腰の強い糸に置き換えられて織り組織の張りが高められているので、モール糸が高い柔軟性を備えた糸であるとしても、そのモール糸が腰の強い経糸と地緯糸とによって織り組織の中に位置ずれしないように保持されるようになる。そのために、モール糸のほつれや経糸や地緯糸のほつれが生じにくくなり、そのことが、ほつれによる表裏の柄模様の形崩れが生じにくくなる。
本考案では、植物性繊維糸よりも腰の強い糸でなる経糸と地緯糸として化繊糸が選択されている、という構成を採用することが可能であり、化繊糸にはたとえばナイロン糸が含まれる。
本考案に係るかばんの再織り物品は、再織りを素材として用いたかばんであって、その再織りの柄模様を、当該再織り物品の外側と内側とに露出させてあるというものである。
この考案において、素材としての再織りには、上記したもの、すなわち、綿糸などの柔軟な植物性繊維糸でなる経糸と、綿糸などの柔軟な植物性繊維糸でなる地緯糸及びモール糸でなる緯糸とによって織り組織が形成されていて、そのモール糸によって表裏に同一の柄模様を表出させた再織りにおいて、植物性繊維糸でなる経糸と地緯糸とを、その植物性繊維糸よりも腰の強い糸でなる経糸と地緯糸とに置き換えることによって上記織り組織の張りを高めた再織りが含まれることは勿論、植物性繊維糸よりも腰の強い糸でなる経糸と地緯糸として化繊糸を選択したもの、さらには、化繊糸としてナイロン糸を選択したものが含まれる。
この構成のかばんによると、再織りの表裏同一の柄模様がかばんの外側と内側との両方に露出しているので、その柄模様をかばんの外側で見て楽しむことができることは勿論、その内側から見て楽しむことも可能になる。また、再織り自体の張りが高められているので、再織りの織り組織の経糸や地緯糸、モール糸などにほつれが生じにくくなっている。そのため、かばんの中に入れる物と再織りの裏面に表出している模様とが擦れあっても、その模様を構成している再織りの織り組織のモール糸がほつれるという事態を生じにくい。したがって、再織りの裏面の柄模様を覆い隠してしまうような裏張りを用いる必要がなくなる。
以上のように、本考案に係る再織りでは、従来の再織りの張りよりも高い張りが付与されて耐ほつれ性が改善されるようになる。また、裏張りを用いて張りを高めるものではなく、経糸や地緯糸の腰を強くして張りを高めてあるので、張りを高めることが要求される用途に本考案に係る再織りを用いると、表裏の柄模様を見えるように現出させることができるという再織りの特長が十分に生かされるようになり、しかも、その模様を構成している再織りの織り組織のモール糸がほつれによって形崩れするという事態も抑制されるので、モール糸のほつれによる柄模様の形崩れが抑制されるようになるという効果が奏される。
また、本考案に係るかばんの再織り物品では、再織りの表地(表面)と同じ柄模様がその裏地(内面)にも現出することができ、しかも、再織りの使用箇所に必要な大きさの張りを持たせることが可能になる。
図1は本考案に係る再織りの概略説明図、図2は同再織りを用いて製作した本考案に係る再織り物品の一事例であるかばんの概略斜視図である。
図1において、1は再織りを示している。同図に一部拡大して示したように、この再織り1の織り組織では、細い経糸3と、細い地緯糸4及びモール糸5とが平織りに織り込まれている。冒頭で説明したように、モール糸5は、一度織りあげた織物を経糸方向に細かく切断したものによって作られており、そのモール糸5のそれぞれにはモール状(毛虫状)の毛羽立ちが備わっている。また、モール糸5自体には高い柔軟性が備わっている。
これに対し、モール糸5を除く地緯糸4や経糸3には、化繊糸、たとえばナイロン糸が採用されている。化繊糸は、従来の再織りに用いられている綿糸や亜麻糸といった植物性繊維糸に比べて腰が強い。たとえばナイロン糸の場合、十数cmという長さで糸1mm以下の太さの糸であっても、その一端を手の指でつかんで上向きに立てると、ナイロン糸の腰の強さによってそのナイロン糸自体が上方に延び出す形に保形されたままになり、横に倒れ込んだり下方へ垂れ下がったりすることはない。
図1では、織り組織の緯経糸3や地緯糸4が隙間を隔てて描かれているけれども、実際にはこれらの経糸3や地緯糸4は緻密に詰めて配列している。また、図1に説明的に示した事例の織り組織では、1本のモール糸5の片側に2本の化繊糸でなる地緯糸4が並んでいて、このような1本のモール糸5と2本の化繊糸でなる地緯糸4とを1単位とする緯糸群aが経糸方向に緻密に並んでいる。そして、多数本のモール糸5の配列によって形成される柄模様が、再織り1の表面と裏面とに同一柄模様として現出している。
図1で説明した再織り1は、経糸3が植物性繊維糸よりも腰の強い化繊糸によって形成され、地緯糸4が植物性繊維糸よりも腰の強い化繊糸と高い柔軟性を備えたモール糸5とによで形成されているので、モール糸5が柔軟であるとしても、化繊糸でなる経糸3や地緯糸4の腰の強さに見合う張りが織り組織自体に与えられる。しかも、経糸3や地緯糸4は互いに交差する形に織り込まれているために、モール糸5が腰の強い経糸3や地緯糸4によって織り組織の中に位置ずれしないように保持されている。そのために、モール糸5のほつれや経糸3や地緯糸4のほつれが生じにくく、ほつれによる表裏の柄模様の形崩れも生じにくい。
再織り1の張りの大きさ(強さ)は、化繊糸でなる経糸3や地緯糸4に備わっている腰の強さに見合う大きさになる。そのため、それらの経糸3や地緯糸4の材質や太さなどを適切に選択することによって、再織り1に用途に応じて要求される張りの強さを定めることができる。このことにより、再織り1に裏張りを施してその張りを高めるということは必要なくなる。
なお、上記した緯糸群aを形成するモール糸5の本数や、モール糸5を除く地緯糸4の本数などが図例に限定されないことは勿論であり、たとえば、モール糸5を除く地緯糸4の本数を増減して再織り1の張りの強さを増減調節することも可能である。経糸3の本数についても同様である。
図2に示したかばんAでは、マチと呼ばれる部分の素材に再織り1を用いてあり、この再織り1には裏張りが施されていない。そのため、再織り1の柄模様1aを、かばんAの外側から見て楽しむことができるだけでなく、かばんAの内側から見て楽しむこともできるようになっている。しかも、この再織り1には、図1で説明した再織り1、すなわち化繊糸でなる経糸3及び地緯糸4を用いた再織り1を用いているので、かばんAのマチ部分に要求される適度の強さの張りが備わっているだけでなく、そのような強さの張りを化繊糸でなる経糸3及び地緯糸4の腰の強さによって発揮させているので、かばんAに出し入れする物品が再織り1と擦れあったとしても、再織り1のモール糸5や経糸3や地緯糸4がほつれたりして表裏の柄模様が形崩れするという事態が起こりにくくなっている。
図2の事例では、かばんAのマチ部分だけに再織り1を用いているけれども、かばんAの全体形状を形作っている素材に再織りを用いることも可能である。また、図示していないけれども、再織りをかばん以外の物品、たとえば小物入れなどの袋物、帽子などの装身具、その他の物品の素材として用いることも可能である。
本考案に係る再織りの概略説明図である。 同再織りを用いて製作した本考案に係る再織り物品としてのかばんの概略斜視図である。 裏張りを施した再織りの説明図である。
符号の説明
1 再織り
3 経糸
4 地緯糸
5 モール糸
A かば

Claims (4)

  1. 綿糸などの柔軟な植物性繊維糸でなる経糸と、綿糸などの柔軟な植物性繊維糸でなる地緯糸及びモール糸でなる緯糸とによって織り組織が形成されていて、そのモール糸によって表裏に同一の柄模様を表出させた再織りにおいて、
    植物性繊維糸でなる経糸と地緯糸とを、その植物性繊維糸よりも腰の強い糸でなる経糸と地緯糸とに置き換えることによって上記織り組織の張りを高めたことを特徴とする再織り。
  2. 植物性繊維糸よりも腰の強い糸でなる経糸と地緯糸として化繊糸が選択されている請求項1に記載した再織り。
  3. 化繊糸としてナイロン糸が選択されている請求項2に記載した再織り。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載した再織りを素材として用いたかばん及び袋物であって、その再織りの柄模様を、当該かばん及び袋物の外側と内側とに露出させてあることを特徴とするかばん及び袋物。
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