JP3098838U - ノイズフィルタ及びこれを備えた電子装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノイズフィルタからの放出電力による問題、及びノイズフィルタと対地容量との共振周波電流による問題を解決する。
【解決手段】本考案のノイズフィルタ10は、インダクタ71に固定抵抗器11が並列接続されたものである。電源周波数の電流は、固定抵抗器11を通過せずにインダクタ71を無損失で通過する。一方、共振周波電流を含む高周波のノイズ電流は、インダクタ71を通過せずに固定抵抗器11で消費される。したがって、ノイズフィルタ10でノイズの電力が蓄えられないので、放出電力による問題もない。また、ノイズフィルタ10と対地容量Cとの共振周波電流も固定抵抗器11で消費されるので、共振周波電流による問題もない。
【選択図】 図1
【解決手段】本考案のノイズフィルタ10は、インダクタ71に固定抵抗器11が並列接続されたものである。電源周波数の電流は、固定抵抗器11を通過せずにインダクタ71を無損失で通過する。一方、共振周波電流を含む高周波のノイズ電流は、インダクタ71を通過せずに固定抵抗器11で消費される。したがって、ノイズフィルタ10でノイズの電力が蓄えられないので、放出電力による問題もない。また、ノイズフィルタ10と対地容量Cとの共振周波電流も固定抵抗器11で消費されるので、共振周波電流による問題もない。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、アース線に誘導されるノイズを抑制するインダクタを備えたノイズフィルタ、及びこれを備えた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のノイズフィルタは、インダクタ、コンデンサ等からなり、ノイズと呼ばれる不要信号を周波数弁別し、電源電力等の周波数のみを機器側に通過させる機能を有している。ノイズの周波数は、例えば10kHz以上である。国内での商用電源の周波数は、50Hz又は60Hzである。なお、本明細書における「機器」とは、電気機器、電子装置等の総称である。
【0003】
図6は、従来のノイズフィルタを示す回路図である。以下、この図面に基づき説明する。
【0004】
図6[1]に示すノイズフィルタ70は、一個のインダクタ71からなる、アース線用の二端子ノイズフィルタである。一方の端子72が接地され、他方の端子73が機器に接続される。また、インダクタ71のインダクタンスは、漏電などの電源周波数の電流を機器からアースへ流すとともに、アース線に誘導されるノイズ電流を阻止するように設定されている。
【0005】
図6[2]に示すノイズフィルタ80は、四個のインダクタ81〜84及び三個のコンデンサ85〜87からなる、電源線用の四端子ノイズフィルタである。一方の端子88,89が電源に接続され、他方の端子90,91が機器に接続される。また、インダクタ81,…のインダクタンス及びコンデンサ85,…の静電容量は、電源周波数の電流を電源から機器へ流すとともに、電源線に誘導されるノイズ電流を阻止するように設定されている。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のノイズフィルタでは次のような問題があった。
【0007】
ノイズと言われる雑音電力は、定常電流の形で電源線やアース線に誘導されるだけではなく、不定期的に時間をおいてパルス状に誘導される場合もある。このような場合、ノイズフィルタを構成するインダクタやコンデンサは、それぞれ磁界や電界によって電力を蓄えているため、ノイズ電力の流入が止まれば蓄えた電力を放出する。そのため、この放出電力によって、機器が誤動作したり一時的に機能低下を起こしたりする。
【0008】
アース線上に誘導されるノイズ電流の低減には、コイル等のインダクタが用いられている。一方、アース線に接続されている機器のうち特に大型のものでは、かなりの対地容量を有するため、その対地容量とインダクタとで直列共振を生じる場合がある。したがって、その共振周波電流が機器側に流れ込むことによる、ノイズ障害を発生することがある。
【0009】
【考案の目的】
そこで、本考案の目的は、ノイズフィルタからの放出電力による問題、及びノイズフィルタと対地容量との共振周波電流による問題を解決し得る、ノイズフィルタ、及びこれを備えた電子装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本考案者は、上記問題を解決すべく研究に励んだ結果、「ノイズフィルタからの放出電力による問題は、ノイズフィルタがノイズ電流を消費(熱エネルギに変換)する機能を持たないことに起因する。」ことを見出した。本考案は、この知見に基づきなされたものである。すなわち、インダクタに並列に固定抵抗器を接続することにより、固定抵抗器でノイズ電流が消費されるのである。また、このような構成にしたところ、対地容量とインダクタとの直列共振電流も固定抵抗器によって減衰することがわかった。以下に詳しく説明する。
【0011】
本考案に係るノイズフィルタは、アース線に誘導されるノイズを抑制するインダクタを備えたノイズフィルタにおいて、インダクタに固定抵抗器が並列接続されたことを特徴とするものである(請求項1)。電源周波数等の低周波の電流は、固定抵抗器を通過せずにインダクタを無損失で通過する。一方、共振周波電流を含む高周波のノイズ電流は、インダクタを通過せずに固定抵抗器で消費される。したがって、ノイズフィルタでノイズの電力が蓄えられないので、放出電力による問題もない。また、ノイズフィルタと対地容量との共振周波電流も固定抵抗器で消費されるので、共振周波電流による問題もない。
【0012】
インダクタ及び固定抵抗器の並列回路は、一本のアース線に設けられ、一方の端子が接地され、他方の端子が機器に接続される、としてもよい(請求項2)。このノイズフィルタは、いわゆるアース線用ノイズフィルタである。インダクタ及び固定抵抗器の数は、単数でも複数でもよい。インダクタが複数ある場合は、少なくとも一つのインダクタに固定抵抗器が並列接続されていればよい。
【0013】
電源電流の角周波数をωp[rad]、ノイズ電流の下限の角周波数をωn[rad]、前記インダクタのインダクタンスをL[H]、前記固定抵抗器の抵抗値をR[Ω]としたとき、好ましくは、
10(ωp・L) < R < (ωn・L)/10
が成り立ち(請求項3)、より好ましくは、
100(ωp・L) < R < (ωn・L)/100
が成り立ち(請求項4)、最も好ましくは、
1000(ωp・L) < R < (ωn・L)/1000
が成り立つ(請求項5)。このように、Rの範囲を狭めることによって、ωpでの減衰量が適度に小さく、かつωnでの減衰量が適度に大きい、バランスのとれた特性が得られる。
【0014】
また、
(ωn・L)/R ≧ 1/(2ωn)
が成り立つ(請求項6)、としてもよい。このとき、固定抵抗器で消費される電力がインダクタに蓄えられる電力を越える特性となる。
【0015】
本考案に係る電子装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載のノイズフィルタを備えたものである(請求項7)。
【0016】
【考案の実施の形態】
図1[1]は、本考案に係るノイズフィルタの第一実施形態を示す回路図である。図2は、図1のノイズフィルタの使用状態を示す回路図である。以下、これらの図面に基づき説明する。ただし、図6[1]と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0017】
本実施形態のノイズフィルタ10は、インダクタ71に固定抵抗器11が並列接続されたものである。インダクタ71及び固定抵抗器11の並列回路は、一方の端子72が接地され、他方の端子73が電子装置12に接続される。このように、ノイズフィルタ10はアース線用の二端子ノイズフィルタである。
【0018】
電源周波数の電流は、固定抵抗器11を通過せずにインダクタ71を無損失で通過する。一方、共振周波電流を含む高周波のノイズ電流は、インダクタ71を通過せずに固定抵抗器11で消費される。したがって、ノイズフィルタ10でノイズの電力が蓄えられないので、放出電力による問題もない。また、ノイズフィルタ10と対地容量Cとの共振周波電流も固定抵抗器11で消費されるので、共振周波電流による問題もない。
【0019】
ノイズフィルタ10は、一本の導線に用いられることにより、二つの端子72,73となるため、インダクタ71以外を用いることができない。ここで、インダクタ71のインダクタンスをL、角周波数をωとすると、そのリアクタンスはωLとなる。一方、電子装置12の対地容量Cが呈するリアクタンスは1/ωCとなるので、これとωLとが直列共振することによってノイズ電流が発生する。
【0020】
本実施形態では、インダクタ71に並列に固定抵抗器11を設けている。そのため、電源電流や短絡時のアース電流のような低周波電流は低リアクタンスを呈するインダクタ71をそのまま通過し、それより高い周波数成分を持つノイズ電流は固定抵抗器11を通過することにより電力消費される。
【0021】
すなわち、固定抵抗器11の抵抗値をRとすると、ノイズフィルタ10のインピーダンスZは次式で表される。
【0022】
そして、ωL<<Rのとき、
である。そして、ωL>>Rのとき、
である。
【0023】
式(2)から明らかなように、低周波電流(電源電流)は、ノイズフィルタ10のインピーダンスがZ≒jωLとなるから、ノイズフィルタ10をほぼ無損失で通過する。一方、式(3)から明らかなように、共振周波数を含む高周波電流(ノイズ電流)は、ノイズフィルタ10のインピーダンスがZ≒Rとなるから、ノイズフィルタ10で消費される。
【0024】
ここで、電源電流の角周波数をωp[rad]、ノイズ電流の下限の角周波数をωn[rad]、インダクタ71のインダクタンスをL[H]、固定抵抗器11の抵抗値をR[Ω]としたとき、式(2),(3)から明らかなように、
(ωp・L) << R << (ωn・L) ・・・(4)
を満足する必要がある。上式左辺の(ωp・L) << Rの関係に着目すれば、Rは(ωp・L)よりもできるだけ大きいことが望ましい。一方、上式右辺のR << (ωn・L)の関係に着目すれば、Rは(ωn・L)よりもできるだけ小さいことが望ましい。これらのトレードオフの関係にあるものを両立させるには、例えば、
10(ωp・L) < R < (ωn・L)/10 ・・・(5)
とすることが好ましい。そして、より好ましくは、
100(ωp・L) < R < (ωn・L)/100 ・・・(6)
とする。最も好ましくは、
1000(ωp・L) < R < (ωn・L)/1000 ・・・(7)
とする。このように、Rの範囲を狭めることによって、ωpでの減衰量が適度に小さく、かつωnでの減衰量が適度に大きい、バランスのとれた特性が得られる。
【0025】
次に、図2に基づき、ωn,L,Rの適切な関係について、更に詳しく説明する。
【0026】
ノイズ源電圧Vnによるノイズ電流Inは、アース線を介して電子装置12側へ流入することにより、電子装置12の障害を発生させる。ノイズフィルタ10は、ノイズ電流Inの一部を固定抵抗器11で熱に変換することによって、電子装置12の障害を防ぐ。電子装置12の障害の程度によっては、わずかなノイズ電流Inを固定抵抗器11で消費するだけで、その障害が収まることがある。したがって、基本的にRの値は限定されない。
【0027】
ここで、ノイズフィルタ10の両端に現れる電圧をVf、インダクタ71に流れる電流をIl、固定抵抗器11に流れる電流をIrとすると、
Il = Vf/(ωn・L) ・・・(11)
Ir = Vf/R ・・・(12)
となる。そして、インダクタ71に蓄えられる電力Wlは、
Wl = L・Il2/2 = Vf2/(2ωn2・L) ・・・(13)
となる。このとき、固定抵抗器11で消費される電力Prは、
Pr = Ir2・R = Vf2/R ・・・(14)
となる。
ここで、固定抵抗器11で消費される電力Prはインダクタ71に蓄えられる電力Wlを少なくとも上回ること、すなわちPr≧Wlとなることが望ましい。したがって、式(13),(14)より、
Wl/Pr = R/(2ωn2・L) ≦ 1 ・・・(15)
∴ (ωn・L)/R ≧ 1/(2ωn) ・・・(16)
が成り立つ。
【0028】
例えば、L=3[mH]、ωn=2π×100[rad]とする。このωnは商用電源の周波数50[Hz]の第二高調波である。このとき、式(16)から、
(2π×100×0.003)/R = 0.6π/R ≧ 1/(4π×100)
∴ R ≦ 240π2 ≒ 2.37[kΩ] ・・・(17)
となる。すなわち、式(17)を満たすRの固定抵抗器11を有するノイズフィルタ10は、電源周波数の第二高調波以上のノイズを実質的に遮断できる。
【0029】
図3は、ノイズフィルタ10の減衰特性を示すグラフである。以下、図1[1]、図2及び図3に基づき説明する。
【0030】
ノイズフィルタ10において、インダクタ71のインダクタンスL=3mH(100ターン)、電子装置12の対地容量C=800pFである。そして、固定抵抗器11の抵抗値Rは、図3[1]が∞すなわち固定抵抗器11なし、図3[2]が10kΩ、図3[3]が1kΩ、図3[4]が0.1kΩである。
【0031】
図3[1]におけるノイズフィルタは、従来のノイズフィルタ70(図6[1])と同じ構成であり、共振周波数を含む高周波領域で減衰量が大きく落ち込んでいる。これに対し、図3[2]〜[4]におけるノイズフィルタは、本実施形態のノイズフィルタ10と同じ構成である。そして、減衰量の落ち込みは、R=∞→10kΩ→1kΩとなるにつれて小さくなり、R=0.1kΩで解消される。
【0032】
図1[2]は、本考案に係るノイズフィルタの第一参考例を示す回路図である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、図6[2]と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0033】
本参考例のノイズフィルタ20は、インダクタ81及び抵抗器21の並列回路並びにインダクタ83及び抵抗器23の並列回路が一方の電源線に直列に設けられ、インダクタ82及び抵抗器22の並列回路並びにインダクタ84及び抵抗器24の並列回路が他方の電源線に直列に設けられ、両方の電源線間にコンデンサ85,86,87が並列に設けられたものである。このように、ノイズフィルタ20は電源線用の四端子ノイズフィルタである。なお、インダクタ81〜84の少なくとも一つに抵抗器を設けてもよい。
【0034】
電源周波数の電流は、抵抗器21〜24を通過せずにインダクタ81〜84を無損失で通過する。一方、共振周波電流を含む高周波のノイズ電流は、インダクタ81〜84を通過せずに抵抗器21〜24で消費される。したがって、ノイズフィルタ20でノイズの電力が蓄えられないので、放出電力による問題もない。また、ノイズフィルタ20と対地容量Cとの共振周波電流も抵抗器21〜24で消費されるので、共振周波電流による問題もない。
【0035】
電源線、アース線等の導線に誘導されたノイズ電流は、機器に不要な雑音電力を供給することにより、機器の誤動作や機能低下を引き起こす。このノイズ電流には、ノーマルモード及びコモンモードの二通りの伝送形態がある。ノーマルモードでは、電源線などの二本の導線上を、同じ振幅かつ逆の方向でノイズ電流が流れる。コモンモードでは、電源線などの二本の導線上を、同じ振幅かつ同じ方向でノイズ電流が流れる。
【0036】
一般に、機器に障害を与えるノイズ電流は、前述の二つの伝送形態が重畳した形になっている。このうち、ノーマルモードのノイズ電流は、従来、図6[2]に示すような四端子ノイズフィルタを用いて制限していた。しかし、その構成はインダクタ及びコンデンサのみとなっているので、ノイズ電力を熱損失により低減する機能を持たない。そこで、本実施形態のノイズフィルタ20では、従来の四端子ノイズフィルタのインダクタ81〜84のそれぞれに並列に抵抗器21〜24を接続することにより、高周波ノイズ電流を熱損失で消費させる機能を持たせている。この構成でも、前述した図1[1]に示す二端子ノイズフィルタと同様のノイズ電流減衰効果を期待できる。
【0037】
図4[1]は、本考案に係るノイズフィルタの第二参考例を示す回路図である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、図1[1]と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0038】
本参考例のノイズフィルタ30では、第一実施形態における固定抵抗器11(図1[1])が可変抵抗器31となっている。ノイズフィルタ30が取り付けられる機器ごとに、その対地容量Cがばらつく。このような場合でも、可変抵抗器31の抵抗値を変えることにより、共振周波数のばらつきに的確に対応できる。
【0039】
図4[2]は、本考案に係るノイズフィルタの第三参考例を示す回路図である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、図1[2]と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0040】
本参考例のノイズフィルタ40では、第一参考例における抵抗器21〜24(図1[2])が可変抵抗器41〜44となっている。ノイズフィルタ40が取り付けられる機器ごとに、その対地容量Cがばらつく。このような場合でも、可変抵抗器41〜44の抵抗値を変えることにより、共振周波数のばらつきに的確に対応できる。なお、インダクタ81〜84の少なくとも一つに可変抵抗器を設けてもよい。また、第一参考例における抵抗器21〜24(図2[1])のうち、少なくとも一個を可変抵抗器としてもよい。
【0041】
図5は、本考案に係るノイズフィルタの第四参考例を示す斜視図である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、回路は図4[1]と同じになるので、図4[1]と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0042】
本参考例のノイズフィルタ50は、トロイダルコイル71に可変抵抗器31が並列接続されたものである。トロイダルコイル71及び可変抵抗器31の並列回路は、一方の端子がコネクタ51を介して接地され、他方の端子がコネクタ52を介して機器に接続される。このように、ノイズフィルタ50はアース線用の二端子ノイズフィルタである。トロイダルコイル71及び可変抵抗器31の並列回路は、筐体53内に収容されている。筐体53は、例えばアルミニウム等の金属又導電性プラスチックからなる。
【0043】
また、トロイダルコイル71の中心に可変抵抗器31が配置されている。すなわち、トロイダルコイル71の中心の空間に可変抵抗器31が収まっているので、筐体53内の空間が有効に利用されている。
【0044】
更に、可変抵抗器31の抵抗値を変えるための回転軸(抵抗値可変手段)54が、筐体53外から操作可能な位置に設けられている。そのため、回転軸54を筐体53外から操作することにより、対地容量Cのばらつきにも簡単に対応できる。具体的には、筐体53に透孔55が設けられているので、透孔55からマイナスドライバを挿入することにより、回転軸54を容易に回すことができる。
【0045】
ノイズフィルタ50が取り付けられる機器ごとに、その対地容量Cがばらつく。そのため、ノイズフィルタ50を機器に取り付けた後、回転軸54を操作することにより、所望の減衰特性を得ることができる。
【0046】
なお、本考案は、言うまでもなく、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態のいずれかのノイズフィルタをN個並列配置し、これらを金属又は非金属素材からなる一つの管体内に収納して、2N又は4N端子ノイズフィルタとしてもよい。ここで、Nは2以上の整数である。
【0047】
【考案の効果】
本考案に係るノイズフィルタによれば、従来のノイズフィルタのインダクタに固定抵抗器を並列接続したという簡単な構成により、共振周波電流を含む高周波のノイズ電流がインダクタを通過せずに固定抵抗器で消費されるので、放出電力による機器の誤動作等を防止できるとともに、機器の対地容量による共振周波電流も抑制できる。
【0048】
請求項2記載のノイズフィルタによれば、インダクタ及び固定抵抗器の並列回路が一本のアース線に設けられ、一方の端子が接地され、他方の端子が機器に接続されるので、アース線用ノイズフィルタとして使用できる。
【0049】
請求項3乃至5記載のノイズフィルタによれば、電源電流の角周波数をωp[rad]、ノイズ電流の下限の角周波数をωn[rad]、インダクタのインダクタンスをL[H]、固定抵抗器の抵抗値をR[Ω]としたとき、好ましくは、
10(ωp・L) < R < (ωn・L)/10
より好ましくは、
100(ωp・L) < R < (ωn・L)/100
最も好ましくは、
1000(ωp・L) < R < (ωn・L)/1000
とすることにより、ωpでの減衰量が適度に小さく、かつωnでの減衰量が適度に大きい、バランスのとれた特性を得ることができる。
【0050】
請求項6記載のノイズフィルタによれば、
(ωn・L)/R ≧ 1/(2ωn)
とすることにより、固定抵抗器で消費される電力がインダクタに蓄えられる電力を越える特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1[1]は本考案に係るノイズフィルタの第一実施形態を示す回路図である。図1[2]は本考案に係るノイズフィルタの第一参考例を示す回路図である。
【図2】図1のノイズフィルタの使用状態を示す回路図である。
【図3】図1のノイズフィルタの減衰特性を示すグラフであり、図3[1]はR=∞の場合、図3[2]はR=10kΩの場合、図3[3]はR=1kΩの場合、図3[4]はR=0.1kΩの場合である。
【図4】図4[1]は本考案に係るノイズフィルタの第二参考例を示す回路図である。図4[2]は本考案に係るノイズフィルタの第三参考例を示す回路図である。
【図5】本考案に係るノイズフィルタの第四参考例を示す斜視図である。
【図6】従来のノイズフィルタを示す回路図であり、図6[1]は第一例、図6[2]は第二例である。
【符号の説明】
10,20,30,40,50 ノイズフィルタ
11,21〜24 固定抵抗器
12 電子装置(機器)
31,41〜44 可変抵抗器
53 筐体
54 回転軸(抵抗値可変手段)
71,81〜84 インダクタ
72,73,88〜91 端子
L インダクタ71のインダクタンス
R 固定抵抗器11の抵抗値
C 電子装置12の対地容量
【考案の属する技術分野】
本考案は、アース線に誘導されるノイズを抑制するインダクタを備えたノイズフィルタ、及びこれを備えた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のノイズフィルタは、インダクタ、コンデンサ等からなり、ノイズと呼ばれる不要信号を周波数弁別し、電源電力等の周波数のみを機器側に通過させる機能を有している。ノイズの周波数は、例えば10kHz以上である。国内での商用電源の周波数は、50Hz又は60Hzである。なお、本明細書における「機器」とは、電気機器、電子装置等の総称である。
【0003】
図6は、従来のノイズフィルタを示す回路図である。以下、この図面に基づき説明する。
【0004】
図6[1]に示すノイズフィルタ70は、一個のインダクタ71からなる、アース線用の二端子ノイズフィルタである。一方の端子72が接地され、他方の端子73が機器に接続される。また、インダクタ71のインダクタンスは、漏電などの電源周波数の電流を機器からアースへ流すとともに、アース線に誘導されるノイズ電流を阻止するように設定されている。
【0005】
図6[2]に示すノイズフィルタ80は、四個のインダクタ81〜84及び三個のコンデンサ85〜87からなる、電源線用の四端子ノイズフィルタである。一方の端子88,89が電源に接続され、他方の端子90,91が機器に接続される。また、インダクタ81,…のインダクタンス及びコンデンサ85,…の静電容量は、電源周波数の電流を電源から機器へ流すとともに、電源線に誘導されるノイズ電流を阻止するように設定されている。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のノイズフィルタでは次のような問題があった。
【0007】
ノイズと言われる雑音電力は、定常電流の形で電源線やアース線に誘導されるだけではなく、不定期的に時間をおいてパルス状に誘導される場合もある。このような場合、ノイズフィルタを構成するインダクタやコンデンサは、それぞれ磁界や電界によって電力を蓄えているため、ノイズ電力の流入が止まれば蓄えた電力を放出する。そのため、この放出電力によって、機器が誤動作したり一時的に機能低下を起こしたりする。
【0008】
アース線上に誘導されるノイズ電流の低減には、コイル等のインダクタが用いられている。一方、アース線に接続されている機器のうち特に大型のものでは、かなりの対地容量を有するため、その対地容量とインダクタとで直列共振を生じる場合がある。したがって、その共振周波電流が機器側に流れ込むことによる、ノイズ障害を発生することがある。
【0009】
【考案の目的】
そこで、本考案の目的は、ノイズフィルタからの放出電力による問題、及びノイズフィルタと対地容量との共振周波電流による問題を解決し得る、ノイズフィルタ、及びこれを備えた電子装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本考案者は、上記問題を解決すべく研究に励んだ結果、「ノイズフィルタからの放出電力による問題は、ノイズフィルタがノイズ電流を消費(熱エネルギに変換)する機能を持たないことに起因する。」ことを見出した。本考案は、この知見に基づきなされたものである。すなわち、インダクタに並列に固定抵抗器を接続することにより、固定抵抗器でノイズ電流が消費されるのである。また、このような構成にしたところ、対地容量とインダクタとの直列共振電流も固定抵抗器によって減衰することがわかった。以下に詳しく説明する。
【0011】
本考案に係るノイズフィルタは、アース線に誘導されるノイズを抑制するインダクタを備えたノイズフィルタにおいて、インダクタに固定抵抗器が並列接続されたことを特徴とするものである(請求項1)。電源周波数等の低周波の電流は、固定抵抗器を通過せずにインダクタを無損失で通過する。一方、共振周波電流を含む高周波のノイズ電流は、インダクタを通過せずに固定抵抗器で消費される。したがって、ノイズフィルタでノイズの電力が蓄えられないので、放出電力による問題もない。また、ノイズフィルタと対地容量との共振周波電流も固定抵抗器で消費されるので、共振周波電流による問題もない。
【0012】
インダクタ及び固定抵抗器の並列回路は、一本のアース線に設けられ、一方の端子が接地され、他方の端子が機器に接続される、としてもよい(請求項2)。このノイズフィルタは、いわゆるアース線用ノイズフィルタである。インダクタ及び固定抵抗器の数は、単数でも複数でもよい。インダクタが複数ある場合は、少なくとも一つのインダクタに固定抵抗器が並列接続されていればよい。
【0013】
電源電流の角周波数をωp[rad]、ノイズ電流の下限の角周波数をωn[rad]、前記インダクタのインダクタンスをL[H]、前記固定抵抗器の抵抗値をR[Ω]としたとき、好ましくは、
10(ωp・L) < R < (ωn・L)/10
が成り立ち(請求項3)、より好ましくは、
100(ωp・L) < R < (ωn・L)/100
が成り立ち(請求項4)、最も好ましくは、
1000(ωp・L) < R < (ωn・L)/1000
が成り立つ(請求項5)。このように、Rの範囲を狭めることによって、ωpでの減衰量が適度に小さく、かつωnでの減衰量が適度に大きい、バランスのとれた特性が得られる。
【0014】
また、
(ωn・L)/R ≧ 1/(2ωn)
が成り立つ(請求項6)、としてもよい。このとき、固定抵抗器で消費される電力がインダクタに蓄えられる電力を越える特性となる。
【0015】
本考案に係る電子装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載のノイズフィルタを備えたものである(請求項7)。
【0016】
【考案の実施の形態】
図1[1]は、本考案に係るノイズフィルタの第一実施形態を示す回路図である。図2は、図1のノイズフィルタの使用状態を示す回路図である。以下、これらの図面に基づき説明する。ただし、図6[1]と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0017】
本実施形態のノイズフィルタ10は、インダクタ71に固定抵抗器11が並列接続されたものである。インダクタ71及び固定抵抗器11の並列回路は、一方の端子72が接地され、他方の端子73が電子装置12に接続される。このように、ノイズフィルタ10はアース線用の二端子ノイズフィルタである。
【0018】
電源周波数の電流は、固定抵抗器11を通過せずにインダクタ71を無損失で通過する。一方、共振周波電流を含む高周波のノイズ電流は、インダクタ71を通過せずに固定抵抗器11で消費される。したがって、ノイズフィルタ10でノイズの電力が蓄えられないので、放出電力による問題もない。また、ノイズフィルタ10と対地容量Cとの共振周波電流も固定抵抗器11で消費されるので、共振周波電流による問題もない。
【0019】
ノイズフィルタ10は、一本の導線に用いられることにより、二つの端子72,73となるため、インダクタ71以外を用いることができない。ここで、インダクタ71のインダクタンスをL、角周波数をωとすると、そのリアクタンスはωLとなる。一方、電子装置12の対地容量Cが呈するリアクタンスは1/ωCとなるので、これとωLとが直列共振することによってノイズ電流が発生する。
【0020】
本実施形態では、インダクタ71に並列に固定抵抗器11を設けている。そのため、電源電流や短絡時のアース電流のような低周波電流は低リアクタンスを呈するインダクタ71をそのまま通過し、それより高い周波数成分を持つノイズ電流は固定抵抗器11を通過することにより電力消費される。
【0021】
すなわち、固定抵抗器11の抵抗値をRとすると、ノイズフィルタ10のインピーダンスZは次式で表される。
【0022】
そして、ωL<<Rのとき、
である。そして、ωL>>Rのとき、
である。
【0023】
式(2)から明らかなように、低周波電流(電源電流)は、ノイズフィルタ10のインピーダンスがZ≒jωLとなるから、ノイズフィルタ10をほぼ無損失で通過する。一方、式(3)から明らかなように、共振周波数を含む高周波電流(ノイズ電流)は、ノイズフィルタ10のインピーダンスがZ≒Rとなるから、ノイズフィルタ10で消費される。
【0024】
ここで、電源電流の角周波数をωp[rad]、ノイズ電流の下限の角周波数をωn[rad]、インダクタ71のインダクタンスをL[H]、固定抵抗器11の抵抗値をR[Ω]としたとき、式(2),(3)から明らかなように、
(ωp・L) << R << (ωn・L) ・・・(4)
を満足する必要がある。上式左辺の(ωp・L) << Rの関係に着目すれば、Rは(ωp・L)よりもできるだけ大きいことが望ましい。一方、上式右辺のR << (ωn・L)の関係に着目すれば、Rは(ωn・L)よりもできるだけ小さいことが望ましい。これらのトレードオフの関係にあるものを両立させるには、例えば、
10(ωp・L) < R < (ωn・L)/10 ・・・(5)
とすることが好ましい。そして、より好ましくは、
100(ωp・L) < R < (ωn・L)/100 ・・・(6)
とする。最も好ましくは、
1000(ωp・L) < R < (ωn・L)/1000 ・・・(7)
とする。このように、Rの範囲を狭めることによって、ωpでの減衰量が適度に小さく、かつωnでの減衰量が適度に大きい、バランスのとれた特性が得られる。
【0025】
次に、図2に基づき、ωn,L,Rの適切な関係について、更に詳しく説明する。
【0026】
ノイズ源電圧Vnによるノイズ電流Inは、アース線を介して電子装置12側へ流入することにより、電子装置12の障害を発生させる。ノイズフィルタ10は、ノイズ電流Inの一部を固定抵抗器11で熱に変換することによって、電子装置12の障害を防ぐ。電子装置12の障害の程度によっては、わずかなノイズ電流Inを固定抵抗器11で消費するだけで、その障害が収まることがある。したがって、基本的にRの値は限定されない。
【0027】
ここで、ノイズフィルタ10の両端に現れる電圧をVf、インダクタ71に流れる電流をIl、固定抵抗器11に流れる電流をIrとすると、
Il = Vf/(ωn・L) ・・・(11)
Ir = Vf/R ・・・(12)
となる。そして、インダクタ71に蓄えられる電力Wlは、
Wl = L・Il2/2 = Vf2/(2ωn2・L) ・・・(13)
となる。このとき、固定抵抗器11で消費される電力Prは、
Pr = Ir2・R = Vf2/R ・・・(14)
となる。
ここで、固定抵抗器11で消費される電力Prはインダクタ71に蓄えられる電力Wlを少なくとも上回ること、すなわちPr≧Wlとなることが望ましい。したがって、式(13),(14)より、
Wl/Pr = R/(2ωn2・L) ≦ 1 ・・・(15)
∴ (ωn・L)/R ≧ 1/(2ωn) ・・・(16)
が成り立つ。
【0028】
例えば、L=3[mH]、ωn=2π×100[rad]とする。このωnは商用電源の周波数50[Hz]の第二高調波である。このとき、式(16)から、
(2π×100×0.003)/R = 0.6π/R ≧ 1/(4π×100)
∴ R ≦ 240π2 ≒ 2.37[kΩ] ・・・(17)
となる。すなわち、式(17)を満たすRの固定抵抗器11を有するノイズフィルタ10は、電源周波数の第二高調波以上のノイズを実質的に遮断できる。
【0029】
図3は、ノイズフィルタ10の減衰特性を示すグラフである。以下、図1[1]、図2及び図3に基づき説明する。
【0030】
ノイズフィルタ10において、インダクタ71のインダクタンスL=3mH(100ターン)、電子装置12の対地容量C=800pFである。そして、固定抵抗器11の抵抗値Rは、図3[1]が∞すなわち固定抵抗器11なし、図3[2]が10kΩ、図3[3]が1kΩ、図3[4]が0.1kΩである。
【0031】
図3[1]におけるノイズフィルタは、従来のノイズフィルタ70(図6[1])と同じ構成であり、共振周波数を含む高周波領域で減衰量が大きく落ち込んでいる。これに対し、図3[2]〜[4]におけるノイズフィルタは、本実施形態のノイズフィルタ10と同じ構成である。そして、減衰量の落ち込みは、R=∞→10kΩ→1kΩとなるにつれて小さくなり、R=0.1kΩで解消される。
【0032】
図1[2]は、本考案に係るノイズフィルタの第一参考例を示す回路図である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、図6[2]と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0033】
本参考例のノイズフィルタ20は、インダクタ81及び抵抗器21の並列回路並びにインダクタ83及び抵抗器23の並列回路が一方の電源線に直列に設けられ、インダクタ82及び抵抗器22の並列回路並びにインダクタ84及び抵抗器24の並列回路が他方の電源線に直列に設けられ、両方の電源線間にコンデンサ85,86,87が並列に設けられたものである。このように、ノイズフィルタ20は電源線用の四端子ノイズフィルタである。なお、インダクタ81〜84の少なくとも一つに抵抗器を設けてもよい。
【0034】
電源周波数の電流は、抵抗器21〜24を通過せずにインダクタ81〜84を無損失で通過する。一方、共振周波電流を含む高周波のノイズ電流は、インダクタ81〜84を通過せずに抵抗器21〜24で消費される。したがって、ノイズフィルタ20でノイズの電力が蓄えられないので、放出電力による問題もない。また、ノイズフィルタ20と対地容量Cとの共振周波電流も抵抗器21〜24で消費されるので、共振周波電流による問題もない。
【0035】
電源線、アース線等の導線に誘導されたノイズ電流は、機器に不要な雑音電力を供給することにより、機器の誤動作や機能低下を引き起こす。このノイズ電流には、ノーマルモード及びコモンモードの二通りの伝送形態がある。ノーマルモードでは、電源線などの二本の導線上を、同じ振幅かつ逆の方向でノイズ電流が流れる。コモンモードでは、電源線などの二本の導線上を、同じ振幅かつ同じ方向でノイズ電流が流れる。
【0036】
一般に、機器に障害を与えるノイズ電流は、前述の二つの伝送形態が重畳した形になっている。このうち、ノーマルモードのノイズ電流は、従来、図6[2]に示すような四端子ノイズフィルタを用いて制限していた。しかし、その構成はインダクタ及びコンデンサのみとなっているので、ノイズ電力を熱損失により低減する機能を持たない。そこで、本実施形態のノイズフィルタ20では、従来の四端子ノイズフィルタのインダクタ81〜84のそれぞれに並列に抵抗器21〜24を接続することにより、高周波ノイズ電流を熱損失で消費させる機能を持たせている。この構成でも、前述した図1[1]に示す二端子ノイズフィルタと同様のノイズ電流減衰効果を期待できる。
【0037】
図4[1]は、本考案に係るノイズフィルタの第二参考例を示す回路図である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、図1[1]と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0038】
本参考例のノイズフィルタ30では、第一実施形態における固定抵抗器11(図1[1])が可変抵抗器31となっている。ノイズフィルタ30が取り付けられる機器ごとに、その対地容量Cがばらつく。このような場合でも、可変抵抗器31の抵抗値を変えることにより、共振周波数のばらつきに的確に対応できる。
【0039】
図4[2]は、本考案に係るノイズフィルタの第三参考例を示す回路図である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、図1[2]と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0040】
本参考例のノイズフィルタ40では、第一参考例における抵抗器21〜24(図1[2])が可変抵抗器41〜44となっている。ノイズフィルタ40が取り付けられる機器ごとに、その対地容量Cがばらつく。このような場合でも、可変抵抗器41〜44の抵抗値を変えることにより、共振周波数のばらつきに的確に対応できる。なお、インダクタ81〜84の少なくとも一つに可変抵抗器を設けてもよい。また、第一参考例における抵抗器21〜24(図2[1])のうち、少なくとも一個を可変抵抗器としてもよい。
【0041】
図5は、本考案に係るノイズフィルタの第四参考例を示す斜視図である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、回路は図4[1]と同じになるので、図4[1]と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0042】
本参考例のノイズフィルタ50は、トロイダルコイル71に可変抵抗器31が並列接続されたものである。トロイダルコイル71及び可変抵抗器31の並列回路は、一方の端子がコネクタ51を介して接地され、他方の端子がコネクタ52を介して機器に接続される。このように、ノイズフィルタ50はアース線用の二端子ノイズフィルタである。トロイダルコイル71及び可変抵抗器31の並列回路は、筐体53内に収容されている。筐体53は、例えばアルミニウム等の金属又導電性プラスチックからなる。
【0043】
また、トロイダルコイル71の中心に可変抵抗器31が配置されている。すなわち、トロイダルコイル71の中心の空間に可変抵抗器31が収まっているので、筐体53内の空間が有効に利用されている。
【0044】
更に、可変抵抗器31の抵抗値を変えるための回転軸(抵抗値可変手段)54が、筐体53外から操作可能な位置に設けられている。そのため、回転軸54を筐体53外から操作することにより、対地容量Cのばらつきにも簡単に対応できる。具体的には、筐体53に透孔55が設けられているので、透孔55からマイナスドライバを挿入することにより、回転軸54を容易に回すことができる。
【0045】
ノイズフィルタ50が取り付けられる機器ごとに、その対地容量Cがばらつく。そのため、ノイズフィルタ50を機器に取り付けた後、回転軸54を操作することにより、所望の減衰特性を得ることができる。
【0046】
なお、本考案は、言うまでもなく、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態のいずれかのノイズフィルタをN個並列配置し、これらを金属又は非金属素材からなる一つの管体内に収納して、2N又は4N端子ノイズフィルタとしてもよい。ここで、Nは2以上の整数である。
【0047】
【考案の効果】
本考案に係るノイズフィルタによれば、従来のノイズフィルタのインダクタに固定抵抗器を並列接続したという簡単な構成により、共振周波電流を含む高周波のノイズ電流がインダクタを通過せずに固定抵抗器で消費されるので、放出電力による機器の誤動作等を防止できるとともに、機器の対地容量による共振周波電流も抑制できる。
【0048】
請求項2記載のノイズフィルタによれば、インダクタ及び固定抵抗器の並列回路が一本のアース線に設けられ、一方の端子が接地され、他方の端子が機器に接続されるので、アース線用ノイズフィルタとして使用できる。
【0049】
請求項3乃至5記載のノイズフィルタによれば、電源電流の角周波数をωp[rad]、ノイズ電流の下限の角周波数をωn[rad]、インダクタのインダクタンスをL[H]、固定抵抗器の抵抗値をR[Ω]としたとき、好ましくは、
10(ωp・L) < R < (ωn・L)/10
より好ましくは、
100(ωp・L) < R < (ωn・L)/100
最も好ましくは、
1000(ωp・L) < R < (ωn・L)/1000
とすることにより、ωpでの減衰量が適度に小さく、かつωnでの減衰量が適度に大きい、バランスのとれた特性を得ることができる。
【0050】
請求項6記載のノイズフィルタによれば、
(ωn・L)/R ≧ 1/(2ωn)
とすることにより、固定抵抗器で消費される電力がインダクタに蓄えられる電力を越える特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1[1]は本考案に係るノイズフィルタの第一実施形態を示す回路図である。図1[2]は本考案に係るノイズフィルタの第一参考例を示す回路図である。
【図2】図1のノイズフィルタの使用状態を示す回路図である。
【図3】図1のノイズフィルタの減衰特性を示すグラフであり、図3[1]はR=∞の場合、図3[2]はR=10kΩの場合、図3[3]はR=1kΩの場合、図3[4]はR=0.1kΩの場合である。
【図4】図4[1]は本考案に係るノイズフィルタの第二参考例を示す回路図である。図4[2]は本考案に係るノイズフィルタの第三参考例を示す回路図である。
【図5】本考案に係るノイズフィルタの第四参考例を示す斜視図である。
【図6】従来のノイズフィルタを示す回路図であり、図6[1]は第一例、図6[2]は第二例である。
【符号の説明】
10,20,30,40,50 ノイズフィルタ
11,21〜24 固定抵抗器
12 電子装置(機器)
31,41〜44 可変抵抗器
53 筐体
54 回転軸(抵抗値可変手段)
71,81〜84 インダクタ
72,73,88〜91 端子
L インダクタ71のインダクタンス
R 固定抵抗器11の抵抗値
C 電子装置12の対地容量
Claims (7)
- アース線に誘導されるノイズを抑制するインダクタと、このインダクタに並列接続された固定抵抗器と、を備えたことを特徴とするノイズフィルタ。
- アース線に誘導されるノイズを抑制するインダクタと、このインダクタに並列接続された固定抵抗器とを備えたノイズフィルタであって、
前記インダクタ及び前記固定抵抗器の並列回路は、一本の前記アース線に設けられ、一方の端子が接地され、他方の端子が機器に接続される、
ノイズフィルタ。 - アース線に誘導されるノイズを抑制するインダクタと、このインダクタに並列接続された固定抵抗器とを備えたノイズフィルタであって、
電源電流の角周波数をωp[rad]、ノイズ電流の下限の角周波数をωn[rad]、前記インダクタのインダクタンスをL[H]、前記固定抵抗器の抵抗値をR[Ω]としたとき、
10(ωp・L) < R < (ωn・L)/10
が成り立つ、
ノイズフィルタ。 - アース線に誘導されるノイズを抑制するインダクタと、このインダクタに並列接続された固定抵抗器とを備えたノイズフィルタであって、
電源電流の角周波数をωp[rad]、ノイズ電流の下限の角周波数をωn[rad]、前記インダクタのインダクタンスをL[H]、前記固定抵抗器の抵抗値をR[Ω]としたとき、
100(ωp・L) < R < (ωn・L)/100
が成り立つ、
ノイズフィルタ。 - アース線に誘導されるノイズを抑制するインダクタと、このインダクタに並列接続された固定抵抗器とを備えたノイズフィルタであって、
電源電流の角周波数をωp[rad]、ノイズ電流の下限の角周波数をωn[rad]、前記インダクタのインダクタンスをL[H]、前記固定抵抗器の抵抗値をR[Ω]としたとき、
1000(ωp・L) < R < (ωn・L)/1000
が成り立つ、
ノイズフィルタ。 - アース線に誘導されるノイズを抑制するインダクタと、このインダクタに並列接続された固定抵抗器とを備えたノイズフィルタであって、
ノイズ電流の下限の角周波数をωn[rad]、前記インダクタのインダクタンスをL[H]、前記固定抵抗器の抵抗値をR[Ω]としたとき、
(ωn・L)/R ≧ 1/(2ωn)
が成り立つ、
ノイズフィルタ。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載のノイズフィルタを備えた電子装置。
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