JP3098357B2 - 底面灌水式プランター - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はプランター内の底部にプ
ラスチック製の貯水タンクを備え、該貯水タンクの水を
吸水布で吸い上げて土壌を湿潤することによって、該プ
ランターの土壌に植栽した植物に底面側（通常の灌水の
ように地上側からではなく、土壌中の根の下方から）か
ら灌水するようにし、また長期間自動的に灌水し得るよ
うにして、灌水の手数を省き得るようにした、底面灌水
式プランターを提供する。

【０００２】また、植物の種類によっては、例えばバラ
のように、地上側から灌水するとき、葉に直接水をかけ
てはいけないとされている植物が多々あり、また、地上
側からであると、枝や葉等に邪魔されて万偏なく灌水す
るのが難しいことから、地中（土壌中）から灌水して根
の下方の土壌を万偏なく湿潤する方式の底面灌水の方が
大方の植物の育成に適しているとされている。よって、
その目的に適合した底面灌水式プランターを提供せんと
するものである。

【０００３】

【従来技術の課題】プランターや植物鉢に植栽した植物
に対する水遣り、即ち灌水は年中欠かさずの大変な作業
であり、そのために旧来種々の工夫がなされている。

【０００４】特に、近時、公園、街路、ビルの周辺など
にプランターを配置することが極めて多くなってきてい
るが、これらプランターの場合は地植えと異なり、人に
よる定期的な灌水が絶対必須の条件であるため、その管
理が極めて大きな問題となっている。

【０００５】そこで、従来においても、プラスチック製
プランター、即ち、プランター自体が水槽的構造（水も
れしない）のプランターの内部を仕切板で仕切って、下
部を貯水槽とし上部に土壌を入れて植栽し、仕切板の孔
から吸水布を貯水槽中に垂設して、土壌の植物に底面灌
水することが行われているが、これらプランターは上記
のようにプラスチック製のものに特定されてしまい、例
えば、現在最も普及しているコンクリート製（水もれす
る）プランターには適用できない等、汎用性に欠けるた
め、多く使用されていないのが現状である。

【０００６】そこで、本発明は、貯水部分をプラスチッ
ク製の貯水タンクとして別個独立に構成することを開発
し、それによってプランターの材質（コンクリート製、
陶製、素焼き製、プラスチック製、その他任意）、形状
（方形、長方形、円形、その他任意）、大きさ等に制約
されることなしに、底面灌水式プランターを構成し得る
ようにして、上記従来の課題を解決したものである。

【０００７】

【課題を解決する手段】即ち、本発明は、天板若しくは
蓋板に吸水布の挿入孔をあけると共に給水管を樹立設置
したプラスチック製の貯水タンクと、プランターの内部
に見合った平面形状及び大きさで、貯水タンクの挿入孔
と相対した位置に吸水布挿通用のスリットをあけた仕切
板と、該仕切板上に敷設する防根用のネット若しくはシ
ートをそれぞれ別設し、

【０００８】上記の貯水タンクをプランター内底部に設
置すると共に、該貯水タンクの天板若しくは蓋板上に仕
切板を、そのスリットと貯水タンクの挿入孔を合致連通
した状態に載置し、吸水布を仕切板上からスリットと挿
入孔を通して貯水タンク内に垂設したのち、該仕切板上
に防根用のネット若しくはシートを敷設して植物の根及
び土壌が仕切板の下方に侵入落下しないように備え、該
ネット若しくはシート上に土壌を充填し、貯水タンクの
給水管の上端を土壌の上方に突出して備えた、底面灌水
式プランターによって、課題を解決したものである。

【０００９】

【実施例】本発明の実施例を図面につき説明すると、天
板２若しくは蓋板に吸水布８の挿入孔３をあけると共に
給水管４を樹立設置し、必要に応じて側板上部にオーバ
ーフロー孔５をあけたプラスチック製の貯水タンク１
と、プランターＰの内部に見合った平面形状及び大きさ
で、貯水タンク１の挿入孔３と相対した位置に吸水布挿
通用のスリット７をあけた仕切板６と、該仕切板６上に
敷設する防根用のネット９若しくはシートをそれぞれ別
設し、

【００１０】上記の貯水タンク１をプランターＰ内の底
部に設置すると共に、該貯水タンク１の天板２若しくは
蓋板上に仕切板６を、そのスリット７と貯水タンク１の
挿入孔３を合致連通した状態に載置し、吸水布８を仕切
板６上からスリット７と挿入孔３を通して貯水タンク１
内に垂設したのち、該仕切板６上に防根用のネット９若
しくはシートを敷設して植物の根及び土壌が仕切板６の
下方に侵入落下しない ように備え、該ネット９若しくは
シート上に土壌１０を充填し、貯水タンク１の給水管４
の上端を土壌１０の上方に突出して、底面灌水式プラン
ターを構成したものである。

【００１１】上記において、吸水布８は吸水性の不織布
を帯状に形成したものであり、また、防根ネット９は例
えば不織布シートを仕切板６より一まわり大きく設けた
ものを使用する。

【００１２】仕切板６は、例えば、ＧＲＣ製（ガラス繊
維強化コンクリート製）の平板で形成し、プランターＰ
内に挿置しやすいように、例えば、２枚に分割して設け
る。

【００１３】また、本発明は、必要に応じて、貯水タン
ク１中の水量（水位）を外部から知り得るように、給水
管４中に棒状の浮子乃至棒の下端に浮子を取付けたレベ
ルフロート１１を挿入設置し、通常時は、キャップ１２
を給水管４の上端開口部に嵌着して、該レベルフロート
１１の上端を押し下げておくことによって、給水や点検
のときに、キャップを外すとレベルフロート１１の上端
が水位に応じて上昇して、貯水量を知り得る。

【００１４】以上はプランターＰ内に貯水タンク１を１
個設置した場合であるが、プランターＰの大きさ、形状
及び貯水タンクの大きさ、形状、或は必要貯水量等の目
的に応じて、プランターＰ内に複数個の貯水タンク１を
設置する。その場合、各貯水タンク１を相互の下方部
で、フレキシブルパイプその他の管１４で連結して構成
する。（図６参照）

【００１５】前記のように連結構成することにより、例
えば、給水管４を複数の貯水タンク１の中の何れか１個
の貯水タンク１に取付けて、そこから給水することによ
りＵ字管の原理で全ての貯水タンク１に給水できる。ま
た、例えば、複数の給水管付き貯水タンク１の中の何れ
か１個の貯水タンク１の給水管４に給水するだけで全て
の貯水タンク１に給水できる。

【００１６】上記のように同じプランターＰ内に複数個
の貯水タンクを設置した場合の他、貯水タンクを設置し
た複数のプランターの貯水タンク相互を管１４で連結し
て上記と同様に構成し得る。（図７参照）

【００１７】

【作用】プランターＰ内の底部に貯水タンク１を設置
し、その天板２上に仕切板６を、両者２、６の挿入孔３
とスリット７を合致連通した状態に載置し、吸水布８を
仕切板６上から挿入孔３とスリット７を通して貯水タン
ク１中に垂設し、次に、その仕切板６上に防根ネット９
を被せ、該防根ネット９上に土壌１０を投入充填し、該
土壌１０に植物を植える。この状態で吸水管４の上端は
土壌１０上に突出している。

【００１８】上記状態で吸水管４のキャップ１２を外
し、貯水タンク１内に吸水する。吸水量即ち貯水タンク
１内の水位は給水管４内に挿置したレベルフロート１１
の上端の上昇位置で知る。

【００１９】また、満タンになると余分な水はオーバー
フロー孔５から流れ出てプランターＰの底板上に流下
し、プランターＰのドレン１３から外部に排出される。

【００２０】貯水タンク１内の水は該水中に垂設された
吸水布８に吸水されて仕切板６上面側に至り、該布８に
密着した防根ネット９を通して該ネット９上の土壌１０
に吸収され、該土壌１０を湿潤して植物の根に底面側か
ら灌水することとなる。

【００２１】時間当りの必要灌水量はプランターの大
小、土壌の性質、植物の種類や数等によって相違する
が、吸水布の設置数及び位置或は吸水布の面積の大小等
によって調節する。

【００２２】あとは、貯水タンク中の水量の減少を見計
って給水するだけで足りる。実施例では、プランター
（外形寸法、横１２００ｍｍ×縦４００ｍｍ×高さ４２
０ｍｍ）内に貯水タンク（横８６０ｍｍ×縦３２５ｍｍ
×高さ１６０ｍｍ≒４５リットル）を設置したが、従来
の地上側灌水方式で、このプランターの盛夏時の１日必
要灌水量は約１．５リットルであるので、実施例プラン
ターの場合４５÷１．５＝３０、即ち約３０日に１回吸
水すればよいこととなる。まして、本発明の場合は底面
灌水であるため、従来の地上側灌水よりも土壌の外部表
面（地表）からの自然蒸発消費量が遙かに少ないので、
実際には上記以上に長期間継続灌水し得る。

【００２３】同一プランター内に複数個の貯水タンクを
設置する場合は、貯水タンク相互の底部付近をフレキシ
ブルパイプ等の管で連結すれば、吸水管を備えた貯水タ
ンクは１個だけでもよく、該吸水管から吸水することに
よって各貯水タンクにＵ字管の原理により同水位宛貯水
することができる。複数のプランター（貯水タンクは各
１個）の各貯水タンク相互を管で連結した場合も同様に
なし得る。

【００２４】

【効果】別個独立に設けたプラスチック製の貯水タンク
をプランター内の底部に設置するようにしたので、プラ
ンターの材質、形状等に制約されず、何のようなプラン
ターにでも設置して、底面灌水式プランターを構成し得
る秀れた特長がある。

【００２５】貯水タンクの水が吸水布に吸水されて仕切
板上面に上昇し、そこで該吸水布に密着している防根ネ
ットを通して該ネット上の土壌に吸収され、該土壌を湿
潤して植物の根に底面側から極めて有効に灌水し得る。

【００２６】吸水管の上端を土壌上方に開口し、下端を
貯水タンク内に開口したので、貯水タンクが外部から全
く見えない状態で自由に給水することができ、また、一
度吸水すれば極めて長期間にわたって自動的に底面灌水
を維持できるので、プランターの灌水管理を著しく省力
化し得る多大の利益がある。

【００２７】必要に応じて、吸水管中にレベルフロート
を挿置することによって、キャップ（常時は、キャップ
で水中に押し下げている）を外して、吸水管の上端開口
部から突出上昇したレベルフロートの寸法（目盛）を見
ることにより、貯水タンク内の水位（水量）を直ちに知
り得る。

【００２８】プランターを選ばずに設置可能なように、
貯水タンクをプランターよりも格段に小型に設けたた
め、プランター内底部に設置したとき貯水タンクの周囲
が大きくあいた状態となり、その状態で土壌を充填し、
植栽すると貯水タンクが土壌中に埋まり、また植物の根
が貯水タンクの周囲はもとより内部まで侵入して、後の
メンテナンスに著しい支障を来たすこととなるが、その
点本発明は、ＧＲＣ製等の大きな仕切板をプランターの
内部平面積及び形状に見合って設けて、それを貯水タン
ク上に載置してプランター内部を下部の貯水タンク室と
上部の土壌充填室に強固かつ明確に仕切ると共に、該仕
切板上に植物の細い根も細かい土壌も通さない防根用の
シート若しくはネットを被せて、仕切板の周辺等の隙間
からさえも根や土壌が侵入落下しないようにしたので、
貯水タンクを根や土壌の影響を受けない状態に保持でき
て、メンテナンス等が極めてやり易い効果がある。

【００２９】また、貯水タンクにオーバーフロー孔５を
あけた場合、吸水管から満タン以上に給水しても、余分
な水は該孔から流れ出し、プランター底板上に流下し
て、プランターのドレンから外部に排水されるので、全
く支障とならない。

【００３０】同一プランター内に複数個の貯水タンクを
設置する場合は、貯水タンク相互の底部付近をフレキシ
ブルパイプ等の管で連結すれば、給水管のある貯水タン
クは１個だけでもよく、該給水管から吸水することによ
って各貯水タンクにＵ字管の原理により同水位宛給水す
ることができる。また、複数の給水管付き貯水タンク１
の中の何れか１個の貯水タンク１の給水管４に給水する
だけで全ての貯水タンク１に給水できる。複数のプラン
ター（貯水タンクは各１個）の各貯水タンク相互を管で
連結した場合も同様になし得る利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明底面灌水式プランターの縦断正面図。

【図２】図１の一部切断平面図（土壌を除いた）。

【図３】貯水タンクの縦断正面図及び平面図。

【図４】仕切板の正面図及び平面図。

【図５】吸水布の正面図及び平面図。

【図６】プランター内の複数の貯水タンク相互を連結構
成した状態を示す説明図。

【図７】複数のプランターの貯水タンク相互を連結構成
した状態を示す説明図。

【符号の説明】

Ｐ プランター １ 貯水タンク ２ 天板（若しくは蓋板） ３ 挿入孔 ４ 給水管 ５ オーバーフロー孔 ６ 仕切板 ７ スリット ８ 吸水布 ９ 防根用のネット １０ 土壌 １１ レベルフロート １２ キャップ １３ ドレン １４ 管（フレキシブルパイプ）

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】天板若しくは蓋板に吸水布の挿入孔をあけ
   ると共に給水管を樹立設置したプラスチック製の貯水タ
   ンクと、プランターの内部に見合った平面形状及び大き
   さで、貯水タンクの挿入孔と相対した位置に吸水布挿通
   用のスリットをあけた仕切板と、該仕切板上に敷設する
   防根用のネット若しくはシートをそれぞれ別設し、 上記の貯水タンクをプランター内底部に設置すると共
   に、該貯水タンクの天板若しくは蓋板上に仕切板を、そ
   のスリットと貯水タンクの挿入孔を合致連通した状態に
   載置し、吸水布を仕切板上からスリットと挿入孔を通し
   て貯水タンク内に垂設したのち、該仕切板上に防根用の
   ネット若しくはシートを敷設して植物の根及び土壌が仕
   切板の下方に侵入落下しないように備え、該ネット若し
   くはシート上に土壌を充填し、貯水タンクの給水管の上
   端を土壌の上方に突出して備えた、 底面灌水式プランタ
   ー。
2. 【請求項２】プランター内に複数個の貯水タンクを設置
   し、各貯水タンクを管で連結するか、若しくは複数個の
   プランターの各貯水タンク相互を管で連結した、請求項
   １の底面灌水式プランター。