JP3097559B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両の制御装置

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JP3097559B2
JP3097559B2 JP13210596A JP13210596A JP3097559B2 JP 3097559 B2 JP3097559 B2 JP 3097559B2 JP 13210596 A JP13210596 A JP 13210596A JP 13210596 A JP13210596 A JP 13210596A JP 3097559 B2 JP3097559 B2 JP 3097559B2
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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハイブリッド車両に
係り、特に、エンジンを動力源とする走行時に必要に応
じて電動モータによってアシストするハイブリッド車両
の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(a) 燃料の燃焼によって作動するエンジンと、(b) 電気
エネルギーで作動する電動モータとを有し、エンジンを
動力源とする走行時に電動モータによってアシストする
ハイブリッド車両が知られている。特開平3−1219
28号公報に記載されている装置はその一例で、常には
エンジンを用いて走行するとともに、エンジン負荷(ア
クセル操作量など)が所定値以上の高負荷時に電動モー
タを作動させてトルクアシストを行うことにより、燃料
消費量や排出ガス量を低減しつつ所定の動力性能が得ら
れるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにエンジン負荷が所定値以上の場合に常時電動モータ
によるアシストを行うと、電動モータの使用頻度や電力
消費量が多くなるため、蓄電装置の蓄電容量を大きくし
たり、エンジンによる充電機会を多くしたりするなどの
対策が必要であった。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、運転者の動力性能に
対する要求を満足させつつ電動モータによる電力消費量
をできるだけ少なくすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、第1発明は、(a) 燃料の燃焼によって作動するエ
ンジンと、(b) 電気エネルギーで作動する電動モータ
と、(c) 前記エンジンを動力源とする走行時に前記電動
モータによってアシストするアシスト制御手段と、(d)
前記エンジンと駆動輪との間に配設され、運転状態に応
じて自動的に変速される自動変速機と、を有するハイブ
リッド車両の制御装置において、(e) 前記自動変速機の
変速条件として動力性能を重視した走行を行うパワーパ
ターンを予め設定できるパターンセレクトスイッチを
えており、(f) 前記アシスト制御手段は、前記パターン
セレクトスイッチによりパワーパターンが設定されてい
る場合に、前記電動モータによるアシストトルク量を増
加させるものであることを特徴とするまた、第2発明
は、(a) 燃料の燃焼によって作動するエンジンと、(b)
電気エネルギーで作動する電動モータと、(c) 前記エン
ジンを動力源とする走行時に前記電動モータによってア
シストするアシスト制御手段と、(d) 前記エンジンと駆
動輪との間に配設され、運転状態に応じて自動的に変速
される自動変速機と、を有するハイブリッド車両の制御
装置において、(e) 前記自動変速機の変速段を手動で切
り換えることができるダイレクトモードを備えており、
(f) 前記アシスト制御手段は、前記ダイレクトモードが
選択された場合に、前記電動モータによるアシストトル
ク量を増加させるものであることを特徴とする。また、
発明は、前記アシスト制御手段は、アシストトルク
量の増加側への変更を少なくともアクセル操作量の減少
時には行わないようにする増加側変更手段を備えるもの
であることを特徴とする。また、第発明は、前記アシ
スト制御手段は、アシストトルク量の減少側への変更を
少なくともアクセル操作量の増大時には行わないように
する減少側変更手段を備えるものであることを特徴とす
る。
【0006】
【発明の効果】第1発明のハイブリッド車両の制御装置
においては、パターンセレクトスイッチによりパワーパ
ターンが設定されている場合に、電動モータによるアシ
ストトルク量が増加させられるため、運転者の動力性能
に対する要求を満足させつつ電動モータの使用頻度や電
力消費量を低減できる。第2発明のハイブリッド車両の
制御装置においては、自動変速機の変速段を手動で切り
換えることができるダイレクトモードが選択された場合
に、電動モータによるアシストトルク量が増加させられ
るため、運転者の動力性能に対する要求を満足させつつ
電動モータの使用頻度や電力消費量を低減できる。
た、第発明では、アシストトルク量の増加側への変更
が、少なくともアクセル操作量の減少時すなわち運転者
が駆動トルクの減少を望んでいる時には行われないた
め、アシストトルク量の増大で運転者に違和感を生じさ
せることが防止され、また、第発明では、アシストト
ルク量の減少側への変更が、アクセル操作量の増大時す
なわち運転者が駆動トルクの増大を望んでいる時には行
われないため、アシストトルク量の減少で運転者に違和
感を生じさせることが防止される。
【0007】
【発明の実施の形態】ここで、本発明は、例えばクラッ
チにより動力伝達を接続、遮断することによって動力源
を切り換える切換タイプや、遊星歯車装置などの合成、
分配機構によってエンジンおよび電動モータの出力を合
成したり分配したりするミックスタイプなど、エンジン
と電動モータとを車両走行時の動力源として備えている
種々のタイプのハイブリッド車両に適用され得る。電動
モータを駆動輪毎に配設することも可能である。
【0008】本発明はエンジンを動力源とする走行時の
制御に関するものであるが、アクセル操作量や車速、蓄
電装置の蓄電量(蓄電状態)SOCなどの運転状態によ
り、電動モータのみを動力源として走行するモータ運転
モードなど他の運転モードを実施するようになっていて
も良い。エンジンは、アクセルペダルなどのアクセル操
作手段の操作量すなわちアクセル操作量に応じて電気的
にスロットル弁を開閉する電子スロットル弁を有するも
のが好適に用いられるが、エンジンが常に動力源として
使用される場合は、スロットル弁がアクセル操作手段に
機械的に連結されて開閉されるエンジンを用いることも
可能である。何れの場合もスロットル弁開度はアクセル
操作量に対して一定の相関関係を有するのが普通である
ため、アクセル操作量としてスロットル弁開度、更には
エンジンの吸入空気量などを用いることもできる。
【0009】アシスト制御手段は、例えばアクセル操作
量の略全域で駆動トルクが滑らかに増加するように、エ
ンジン出力特性を考慮して予め定められたアシストトル
クマップなどのアシスト条件に従ってトルクアシストを
行うように構成され、エンジン出力が中〜高負荷領域
(アクセル操作量が中〜大の領域)で頭打ちとなるエン
ジン特性の場合には、エンジン出力が良好に上昇する低
負荷領域(アクセル操作量が小の領域)ではトルクアシ
ストを行わず、エンジン出力が頭打ちとなる中・高負荷
領域で駆動トルクが滑らかに増加するようにトルクアシ
ストを行うように構成される。
【0010】前記パターンセレクトスイッチは、自動変
速機の変速条件(変速マップなど)をパワーパターンや
ノーマルパターン等に切り換えるもので、パワーパター
ンは運転者が高い動力性能を要求しているものと見做す
ことができる。また、自動変速機の変速段を手動で切り
換えることができるダイレクトモード(スポーツモー
)へシフトレバーが操作された場合も、通常(Dレン
ジなど)より高い動力性能を運転者が要求しているもの
と見做すことができる。本発明は変速比を変更可能な自
動変速機がエンジンと駆動輪との間に配設される。
た、本発明のアシスト制御手段は、上記パワーモードや
ダイレクトモードが選択された場合には通常よりもアシ
ストトルク量を大きくするように構成されるが、通常は
電動モータによるトルクアシストを行わず、パワーパタ
ーンやダイレクトモードが選択された場合だけトルクア
シストを行うように構成することも可能である。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】また、増加側変更手段は、アシストトルク
量の増加側への変更を、アクセル操作量の増大時すなわ
ち運転者が駆動トルクの増大を望んでいる時に行われる
ようにすることが望ましく、減少側変更手段は、アシス
トトルク量の減少側への変更を、アクセル操作量の減少
時すなわち運転者が駆動トルクの減少を望んでいる時に
行われるようにすることが望ましい。
【0015】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ
詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例である制御
装置を備えているハイブリッド車両のハイブリッド駆動
装置10の骨子図である。このハイブリッド駆動装置1
0はFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両用の
もので、燃料の燃焼によって作動する内燃機関等のエン
ジン12と、電動モータおよび発電機として使用される
モータジェネレータ14と、シングルピニオン型の遊星
歯車装置16と、自動変速機18とを車両の前後方向に
沿って備えており、出力軸19から図示しないプロペラ
シャフトや差動装置などを介して左右の駆動輪(後輪)
へ動力を伝達する。遊星歯車装置16は機械的に力を合
成分配する合成分配機構で、モータジェネレータ14と
共に電気式トルコン24を構成しており、そのリングギ
ヤ16rは第1クラッチCE1 を介してエンジン12に
連結され、サンギヤ16sはモータジェネレータ14の
ロータ軸14rに連結され、キャリア16cは自動変速
機18のインプットシャフト26に連結されている。ま
た、サンギヤ16sおよびキャリア16cは第2クラッ
チCE2 によって連結されるようになっている。なお、
エンジン12の出力は、回転変動やトルク変動を抑制す
るためのフライホイール28およびスプリング、ゴム等
の弾性部材によるダンパ装置30を介して第1クラッチ
CE1 に伝達される。第1クラッチCE1 および第2ク
ラッチCE2 は、何れも油圧アクチュエータによって係
合、解放される摩擦式の多板クラッチである。
【0016】自動変速機18は、前置式オーバードライ
ブプラネタリギヤユニットから成る副変速機20と、単
純連結3プラネタリギヤトレインから成る前進4段、後
進1段の主変速機22とを組み合わせたものである。具
体的には、副変速機20はシングルピニオン型の遊星歯
車装置32と、油圧アクチュエータによって摩擦係合さ
せられる油圧式のクラッチC0 、ブレーキB0 と、一方
向クラッチF0 とを備えて構成されている。主変速機2
2は、3組のシングルピニオン型の遊星歯車装置34、
36、38と、油圧アクチュエータによって摩擦係合さ
せられる油圧式のクラッチC1 , C2 、ブレーキB1
2 ,B3 ,B4 と、一方向クラッチF 1 ,F2 とを備
えて構成されている。そして、図2に示されているソレ
ノイドバルブSL1〜SL4の励磁、非励磁により油圧
回路44が切り換えられたり、シフトレバー40(図8
参照)に機械的に連結されたマニュアルシフトバルブに
よって油圧回路44が機械的に切り換えられたりするこ
とにより、係合手段であるクラッチC0 ,C1 ,C2
ブレーキB0 ,B1 ,B2 ,B3 ,B4 がそれぞれ係
合、解放制御され、図3に示されているようにニュート
ラル(N)と前進5段(1st〜5th)、後進1段
(Rev)の各変速段が成立させられる。なお、上記自
動変速機18や前記電気式トルコン24は、中心線に対
して略対称的に構成されており、図1では中心線の下半
分が省略されている。
【0017】図3のクラッチ、ブレーキ、一方向クラッ
チの欄の「○」は係合、「●」はシフトレバー40がエ
ンジンブレーキレンジ、すなわち「3」、「2」、また
は「L」レンジ、或いは「DM(ダイレクトモード)」
レンジへ操作された場合に係合、そして、空欄は非係合
を表している。その場合に、ニュートラルN、後進変速
段Rev、及びエンジンブレーキレンジは、シフトレバ
ー40に機械的に連結されたマニュアルシフトバルブに
よって油圧回路44が機械的に切り換えられることによ
って成立させられ、シフトレバー40がD(前進)レン
ジへ操作された場合の1st〜5thの相互間の変速は
ソレノイドバルブSL1〜SL4によって電気的に制御
される。また、前進変速段の変速比は1st(第1変速
段)から5th(第5変速段)となるに従って段階的に
小さくなり、4thの変速比i4=1(直結)である。
図3に示されている変速比は一例である。
【0018】シフトレバー40は、図9に示すように
「P(パーキング)」、「R(リバース)」、「N(ニ
ュートラル)」、「D(ドライブ)」、「DM(ダイレ
クトモード)」、「3」、「2」、「L」の計8つの操
作レンジへ操作することが可能で、このうち図の上下方
向(車両前後方向)に位置する6つの操作位置に対応し
てマニュアルシフトバルブは移動させられる。「DM」
レンジは、前記5つの前進変速段(エンジンブレーキ作
動)を手動で切換操作できるレンジで、「DM」レンジ
へ操作されたことはマニュアルモードスイッチ41(図
2参照)によって検出されるようになっている。また、
シフトレバー40には、図8から明らかなように親指で
押圧操作される+スイッチ42、および小指乃至は薬指
によって押圧操作される−スイッチ43が設けられてい
る。これ等のスイッチ42、43は自動復帰型で図10
に示すように電気的に接続されているとともに、シフト
レバー40が「DM」レンジへ操作されること(マニュ
アルモードスイッチ41のON)によって有効となり、
自動変速機18は+スイッチ42の操作回数に応じてア
ップシフトされ、−スイッチ43の操作回数に応じてダ
ウンシフトされる。
【0019】油圧回路44は図4に示す回路を備えてい
る。図4において符号70は1−2シフトバルブを示
し、符号71は2−3シフトバルブを示し、符号72は
3−4シフトバルブを示している。これらのシフトバル
ブ70、71、72の各ポートの各変速段での連通状態
は、それぞれのシフトバルブ70、71、72の下側に
示している通りである。なお、その数字は各変速段を示
す。
【0020】2−3シフトバルブ71のポートのうち第
1変速段および第2変速段で入力ポート73に連通する
ブレーキポート74に、第3ブレーキB3 が油路75を
介して接続されている。この油路にはオリフィス76が
介装されており、そのオリフィス76と第3ブレーキB
3 との間にダンパーバルブ77が接続されている。この
ダンパーバルブ77は、第3ブレーキB3 にライン圧P
Lが急激に供給された場合に少量の油圧を吸入して緩衝
作用を行うものである。
【0021】符号78はB−3コントロールバルブであ
って、第3ブレーキB3 の係合圧を制御するようになっ
ている。すなわち、このB−3コントロールバルブ78
は、スプール79とプランジャ80とこれらの間に介装
したスプリング81とを備えており、スプール79によ
って開閉される入力ポート82に油路75が接続され、
またこの入力ポート82に選択的に連通させられる出力
ポート83が第3ブレーキB3 に接続されている。さら
にこの出力ポート83は、スプール79の先端側に形成
したフィードバックポート84に接続されている。一
方、上記スプリング81を配置した箇所に開口するポー
ト85には、2−3シフトバルブ71のポートのうち第
3変速段以上の変速段でDレンジ圧(ライン圧PL)を
出力するポート86が油路87を介して連通させられて
いる。また、プランジャ80の端部側に形成した制御ポ
ート88には、リニアソレノイドバルブSLUが接続さ
れ、信号圧PSLU が作用させられるようになっている。
したがって、B−3コントロールバルブ78は、スプリ
ング81の弾性力とポート85に供給される油圧とによ
って調圧レベルが設定され、且つ制御ポート88に供給
される信号圧PSLU が高いほどスプリング81による弾
性力が大きくなるように構成されている。
【0022】図4における符号89は、2−3タイミン
グバルブであって、この2−3タイミングバルブ89
は、小径のランドと2つの大径のランドとを形成したス
プール90と第1のプランジャ91とこれらの間に配置
したスプリング92とスプール90を挟んで第1のプラ
ンジャ91とは反対側に配置された第2のプランジャ9
3とを有している。2−3タイミングバルブ89の中間
部のポート94に油路95が接続され、また、この油路
95は2−3シフトバルブ71のポートのうち第3変速
段以上の変速段でブレーキポート74に連通させられる
ポート96に接続されている。油路95は途中で分岐し
て、前記小径ランドと大径ランドとの間に開口するポー
ト97にオリフィスを介して接続されており、上記ポー
ト94に選択的に連通させられるポート98は油路99
を介してソレノイドリレーバルブ100に接続されてい
る。そして、第1のプランジャ91の端部に開口してい
るポートにリニアソレノイドバルブSLUが接続され、
また第2のプランジャ93の端部に開口するポートに第
2ブレーキB2 がオリフィスを介して接続されている。
【0023】前記油路87は第2ブレーキB2 に対して
油圧を供給・排出するためのものであって、その途中に
は小径オリフィス101とチェックボール付きオリフィ
ス102とが介装されている。また、この油路87から
分岐した油路103には、第2ブレーキB2 から排圧す
る場合に開くチェックボールを備えた大径オリフィス1
04が介装され、この油路103は以下に説明するオリ
フィスコントロールバルブ105に接続されている。
【0024】オリフィスコントロールバルブ105は第
2ブレーキB2 からの排圧速度を制御するためのバルブ
であって、そのスプール106によって開閉されるよう
に中間部に形成したポート107には第2ブレーキB2
が接続されており、このポート107より図での下側に
形成したポート108に前記油路103が接続されてい
る。第2ブレーキB2 を接続してあるポート107より
図での上側に形成したポート109は、ドレインポート
に選択的に連通させられるポートであって、このポート
109には、油路110を介して前記B−3コントロー
ルバルブ78のポート111が接続されている。尚、こ
のポート111は、第3ブレーキB3 を接続してある出
力ポート83に選択的に連通させられるポートである。
【0025】オリフィスコントロールバルブ105のポ
ートのうちスプール106を押圧するスプリングとは反
対側の端部に形成した制御ポート112が油路113を
介して、3−4シフトバルブ72のポート114に接続
されている。このポート114は、第3変速段以下の変
速段で第3ソレノイドバルブSL3の信号圧を出力し、
また、第4変速段以上の変速段で第4ソレノイドバルブ
SL4の信号圧を出力するポートである。さらに、この
オリフィスコントロールバルブ105には、前記油路9
5から分岐した油路115が接続されており、この油路
115を選択的にドレインポートに連通させるようにな
っている。
【0026】なお、前記2−3シフトバルブ71におい
て第2変速段以下の変速段でDレンジ圧を出力するポー
ト116が、前記2−3タイミングバルブ89のうちス
プリング92を配置した箇所に開口するポート117に
油路118を介して接続されている。また、3−4シフ
トバルブ72のうち第3変速段以下の変速段で前記油路
87に連通させられるポート119が油路120を介し
てソレノイドリレーバルブ100に接続されている。
【0027】符号121は第2ブレーキB2 用のアキュ
ームレータを示し、その背圧室にはリニアソレノイドバ
ルブSLNが出力する信号圧PSLN に応じて調圧された
アキュームレータコントロール圧Pacが供給されるよう
になっている。2→3変速時に前記2−3シフトバルブ
71が切り換えられると、第2ブレーキB2 には油路8
7を介してDレンジ圧(ライン圧PL)が供給される
が、このライン圧PLによってアキュムレータ121の
ピストン121pが上昇を開始する。このピストン12
1pが上昇している間は、ブレーキB2 に供給される油
圧(係合圧)PB2は、スプリング121sの下向きの付
勢力およびピストン121pを下向きに付勢する上記ア
キュムレータコントロール圧Pacと釣り合う略一定、厳
密にはスプリング121sの圧縮変形に伴って漸増させ
られ、ピストン121pが上昇端に達するとライン圧P
Lまで上昇させられる。すなわち、ピストン121pが
移動する変速過渡時の係合圧PB2は、アキュムレータコ
ントロール圧Pacによって定まるのである。
【0028】アキュムレータコントロール圧Pacは、第
3変速段成立時に係合制御される上記第2ブレーキB2
用のアキュムレータ121の他、図示は省略するが第1
変速段成立時に係合制御されるクラッチC1 用のアキュ
ムレータ、第4変速段成立時に係合制御されるクラッチ
2 用のアキュムレータ、第5変速段成立時に係合制御
されるブレーキB0 用のアキュムレータにも供給され、
それ等の係合・解放時の過渡油圧が制御される。
【0029】図4の符号122はC−0エキゾーストバ
ルブを示し、さらに符号123はクラッチC0 用のアキ
ュームレータを示している。C−0エキゾーストバルブ
122は2速レンジでの第2変速段のみにおいてエンジ
ンブレーキを効かせるためにクラッチC0 を係合させる
ように動作するものである。
【0030】このような油圧回路44によれば、第2変
速段から第3変速段への変速、すなわち第3ブレーキB
3 を解放すると共に第2ブレーキB2 を係合する所謂ク
ラッチツウクラッチ変速において、入力軸26の入力ト
ルクなどに基づいて第3ブレーキB3 の解放過渡油圧や
第2ブレーキB2 の係合過渡油圧を制御することによ
り、変速ショックを好適に軽減することができる。その
他の変速についても、リニアソレノイドバルブSLNの
デューティ制御によってアキュムレータコントロール圧
acを調圧することにより、クラッチC1 、C2 やブレ
ーキB0 の過渡油圧が制御される。
【0031】ハイブリッド駆動装置10は、図2に示さ
れるようにハイブリッド制御用コントローラ50及び自
動変速制御用コントローラ52を備えている。これらの
コントローラ50、52は、CPUやRAM、ROM等
を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、アク
セル操作量センサ62、車速センサ63、インプットシ
ャフト回転数センサ64、パターンセレクトスイッチ6
5からそれぞれアクセル操作量θAC、車速V(自動変速
機18の出力軸19の回転数NO に対応)、自動変速機
18の入力軸26の回転数NI 、選択パターンを表す信
号が供給される他、エンジントルクTE やモータトルク
M 、エンジン回転数NE 、モータ回転数NM 、蓄電装
置58の蓄電量SOC、ブレーキのON、OFF、シフ
トレバー40の操作レンジなどに関する情報が、種々の
検出手段などから供給されるようになっており、予め設
定されたプログラムに従って信号処理を行う。アクセル
操作量θACは、アクセルペダルなど運転者により出力要
求量に応じて操作されるアクセル操作手段の操作量であ
る。パターンセレクトスイッチ65は、動力性能を重視
した走行を行うパワーパターンおよび通常のノーマルパ
ターンの何れかを選択できる。なお、エンジントルクT
E はスロットル弁開度や燃料噴射量などから求められ、
モータトルクTM はモータ電流などから求められ、蓄電
量SOCはモータジェネレータ14がジェネレータとし
て機能する充電時のモータ電流や充電効率などから求め
られる。
【0032】前記エンジン12は、ハイブリッド制御用
コントローラ50によってスロットル弁開度や燃料噴射
量、点火時期などが制御されることにより、アクセル操
作量θAC等の運転状態に応じて出力が制御される。モー
タジェネレータ14は、図5に示すようにM/G制御器
(インバータ)56を介してバッテリー等の蓄電装置5
8に接続されており、ハイブリッド制御用コントローラ
50により、その蓄電装置58から電気エネルギーが供
給されて所定のトルクで回転駆動される回転駆動状態
と、回生制動(モータジェネレータ14自体の電気的な
制動トルク)によりジェネレータとして機能して蓄電装
置58に電気エネルギーを充電する充電状態と、ロータ
軸14rが自由回転することを許容する無負荷状態とに
切り換えられる。また、前記第1クラッチCE1 及び第
2クラッチCE2 は、ハイブリッド制御用コントローラ
50により電磁弁等を介して油圧回路44が切り換えら
れることにより、係合或いは解放状態が切り換えられ
る。自動変速機18は、自動変速制御用コントローラ5
2によって前記ソレノイドバルブSL1〜SL4、リニ
アソレノイドバルブSLU、SLT、SLNの励磁状態
が制御され、油圧回路44が切り換えられたり油圧制御
が行われたりすることにより、運転状態(例えばアクセ
ル操作量θACおよび車速Vなど)に応じて予め設定され
た変速パターンに従って変速段が自動的に切り換えられ
る。この変速パターンは、前記パターンセレクトスイッ
チ65によって選択されるパワーパターンおよびノーマ
ルパターンに対応して2種類が用意されている。
【0033】ハイブリッド制御用コントローラ50は、
例えば本願出願人が先に出願した特願平7−29414
8号に記載されているように、図6に示すフローチャー
トに従って図7に示す9つの運転モードの1つを選択
し、その選択したモードでエンジン12及び電気式トル
コン24を作動させる。
【0034】図6において、ステップS1ではエンジン
始動要求があったか否かを、例えばエンジン12を動力
源として走行したり、エンジン12によりモータジェネ
レータ14を回転駆動して蓄電装置58を充電したりす
るために、エンジン12を始動すべき旨の指令があった
か否か等によって判断し、始動要求があればステップS
2でモード9を選択する。モード9は、図7から明らか
なように第1クラッチCE1 を係合(ON)し、第2ク
ラッチCE2 を係合(ON)し、モータジェネレータ1
4により遊星歯車装置16を介してエンジン12を回転
駆動すると共に、燃料噴射などのエンジン始動制御を行
ってエンジン12を始動する。このモード9は、車両停
止時には前記自動変速機18をニュートラルにして行わ
れ、モード1のように第1クラッチCE1 を解放したモ
ータジェネレータ14のみを動力源とする走行時には、
第1クラッチCE1 を係合すると共に走行に必要な要求
出力以上の出力でモータジェネレータ14を作動させ、
その要求出力以上の余裕出力でエンジン12を回転駆動
することによって行われる。また、車両走行時であって
も、一時的に自動変速機18をニュートラルにしてモー
ド9を実行することも可能である。
【0035】ステップS1の判断が否定された場合、す
なわちエンジン始動要求がない場合には、ステップS3
を実行することにより、制動力の要求があるか否かを、
例えばブレーキがONか否か、シフトレバー40の操作
レンジがLや2などのエンジンブレーキレンジ或いはD
Mレンジで、且つアクセル操作量θACが0か否か、或い
は単にアクセル操作量θACが0か否か、等によって判断
する。この判断が肯定された場合にはステップS4を実
行する。ステップS4では、蓄電装置58の蓄電量SO
Cが予め定められた最大蓄電量B以上か否かを判断し、
SOC≧BであればステップS5でモード8を選択し、
SOC<BであればステップS6でモード6を選択す
る。最大蓄電量Bは、蓄電装置58に電気エネルギーを
充電することが許容される最大の蓄電量で、蓄電装置5
8の充放電効率などに基づいて例えば80%程度の値が
設定される。
【0036】上記ステップS5で選択されるモード8
は、図7に示されるように第1クラッチCE1 を係合
(ON)し、第2クラッチCE2 を係合(ON)し、モ
ータジェネレータ14を無負荷状態とし、エンジン12
を停止状態すなわちスロットル弁を閉じると共に燃料噴
射量を0とするものであり、これによりエンジン12の
引き擦り回転による制動力、すなわちエンジンブレーキ
が車両に作用させられ、運転者によるブレーキ操作が軽
減されて運転操作が容易になる。また、モータジェネレ
ータ14は無負荷状態とされ、自由回転させられるた
め、蓄電装置58の蓄電量SOCが過大となって充放電
効率等の性能を損なうことが回避される。
【0037】ステップS6で選択されるモード6は、図
7から明らかなように第1クラッチCE1 を解放(OF
F)し、第2クラッチCE2 を係合(ON)し、エンジ
ン12を停止し、モータジェネレータ14を充電状態と
するもので、車両の運動エネルギーでモータジェネレー
タ14が回転駆動されることにより、蓄電装置58を充
電するとともにその車両にエンジンブレーキのような回
生制動力を作用させるため、運転者によるブレーキ操作
が軽減されて運転操作が容易になる。また、第1クラッ
チCE1 が解放されてエンジン12が遮断されているた
め、そのエンジン12の引き擦りによるエネルギー損失
がないとともに、蓄電量SOCが最大蓄電量Bより少な
い場合に実行されるため、蓄電装置58の蓄電量SOC
が過大となって充放電効率等の性能を損なうことがな
い。
【0038】ステップS3の判断が否定された場合、す
なわち制動力の要求がない場合にはステップS7を実行
し、エンジン発進が要求されているか否かを、例えばモ
ード3などエンジン12を動力源とする走行中の車両停
止時か否か、すなわち車速V≒0か否か等によって判断
する。この判断が肯定された場合には、ステップS8に
おいてアクセルがONか否か、すなわちアクセル操作量
θACが略零の所定値より大きいか否かを判断し、アクセ
ルONの場合にはステップS9でモード5を選択し、ア
クセルがONでなければステップS10でモード7を選
択する。
【0039】上記ステップS9で選択されるモード5
は、図7から明らかなように第1クラッチCE1 を係合
(ON)し、第2クラッチCE2 を解放(OFF)し、
エンジン12を運転状態とし、モータジェネレータ14
の回生制動トルクを制御することにより、車両を発進さ
せるものである。具体的に説明すると、遊星歯車装置1
6のギヤ比をρE とすると、エンジントルクTE :遊星
歯車装置16の出力トルク:モータトルクTM =1:
(1+ρE ):ρE となるため、例えばギヤ比ρEを一
般的な値である0.5程度とすると、エンジントルクT
E の半分のトルクをモータジェネレータ14が分担する
ことにより、エンジントルクTE の約1.5倍のトルク
がキャリア14cから出力される。すなわち、モータジ
ェネレータ14のトルクの(1+ρE )/ρE 倍の高ト
ルク発進を行うことができるのである。また、モータ電
流を遮断してモータジェネレータ14を無負荷状態とす
れば、ロータ軸56が逆回転させられるだけでキャリア
14cからの出力は0となり、車両停止状態となる。す
なわち、この場合の遊星歯車装置16は発進クラッチお
よびトルク増幅装置として機能するのであり、モータト
ルク(回生制動トルク)TM を0から徐々に増大させて
反力を大きくすることにより、エンジントルクT E
(1+ρE )倍の出力トルクで車両を滑らかに発進させ
ることができるのである。
【0040】ここで、本実施例では、エンジン12の最
大トルクの略ρE 倍のトルク容量のモータジェネレー
タ、すなわち必要なトルクを確保しつつできるだけ小型
で小容量のモータジェネレータ14が用いられており、
装置が小型で且つ安価に構成される。また、本実施例で
はモータトルクTM の増大に対応して、スロットル弁開
度や燃料噴射量を増大させてエンジン12の出力を大き
くするようになっており、反力の増大に伴うエンジン回
転数NE の低下に起因するエンジンストール等を防止し
ている。
【0041】ステップS10で選択されるモード7は、
図7から明らかなように第1クラッチCE1 を係合(O
N)し、第2クラッチCE2 を解放(OFF)し、エン
ジン12を運転状態とし、モータジェネレータ14を無
負荷状態として電気的にニュートラルとするもので、モ
ータジェネレータ14のロータ軸14rが逆方向へ自由
回転させられることにより、自動変速機18のインプッ
トシャフト26に対する出力が零となる。これにより、
モード3などエンジン12を動力源とする走行中の車両
停止時に一々エンジン12を停止させる必要がないとと
もに、前記モード5のエンジン発進が実質的に可能とな
る。
【0042】ステップS7の判断が否定された場合、す
なわちエンジン発進の要求がない場合にはステップS1
1を実行し、要求出力Pdが予め設定された第1判定値
P1以下か否かを判断する。要求出力Pdは、走行抵抗
を含む車両の走行に必要な出力で、アクセル操作量θAC
やその変化速度、車速V(出力回転数NO )、自動変速
機18の変速段などに基づいて、予め定められたデータ
マップや演算式などにより算出される。また、第1判定
値P1はエンジン12のみを動力源として走行する中負
荷領域とモータジェネレータ14のみを動力源として走
行する低負荷領域の境界値であり、エンジン12による
充電時を含めたエネルギー効率を考慮して、排出ガス量
や燃料消費量などができるだけ少なくなるように実験等
によって定められている。
【0043】ステップS11の判断が肯定された場合、
すなわち要求出力Pdが第1判定値P1以下の場合に
は、ステップS12で蓄電量SOCが予め設定された最
低蓄電量A以上か否かを判断し、SOC≧Aであればス
テップS13でモード1を選択する一方、SOC<Aで
あればステップS14でモード3を選択する。最低蓄電
量Aはモータジェネレータ14を動力源として走行する
場合に蓄電装置58から電気エネルギーを取り出すこと
が許容される最低の蓄電量であり、蓄電装置58の充放
電効率などに基づいて例えば70%程度の値が設定され
る。
【0044】上記モード1は、前記図7から明らかなよ
うに第1クラッチCE1 を解放(OFF)し、第2クラ
ッチCE2 を係合(ON)し、エンジン12を停止し、
モータジェネレータ14を要求出力Pdで回転駆動させ
るもので、モータジェネレータ14のみを動力源として
車両を走行させる。この場合も、第1クラッチCE1
解放されてエンジン12が遮断されるため、前記モード
6と同様に引き擦り損失が少なく、自動変速機18を適
当に変速制御することにより効率の良いモータ駆動制御
が可能である。また、このモード1は、要求出力Pdが
第1判定値P1以下の低負荷領域で且つ蓄電装置58の
蓄電量SOCが最低蓄電量A以上の場合に実行されるた
め、エンジン12を動力源として走行する場合よりもエ
ネルギー効率が優れていて燃費や排出ガスを低減できる
とともに、蓄電装置58の蓄電量SOCが最低蓄電量A
より低下して充放電効率等の性能を損なうことがない。
【0045】ステップS14で選択されるモード3は、
図7から明らかなように第1クラッチCE1 および第2
クラッチCE2 を共に係合(ON)し、エンジン12を
運転状態とし、モータジェネレータ14を回生制動によ
り充電状態とするもので、エンジン12の出力で車両を
走行させながら、モータジェネレータ14によって発生
した電気エネルギーを蓄電装置58に充電する。エンジ
ン12は、要求出力Pd以上の出力で運転させられ、そ
の要求出力Pdより大きい余裕動力分だけモータジェネ
レータ14で消費されるように、そのモータジェネレー
タ14の電流制御が行われる。
【0046】ステップS11の判断が否定された場合、
すなわち要求出力Pdが第1判定値P1より大きい場合
には、ステップS15において、要求出力Pdが第1判
定値P1より大きく第2判定値P2より小さいか否か、
すなわちP1<Pd<P2か否かを判断する。第2判定
値P2は、エンジン12のみを動力源として走行する中
負荷領域とエンジン12およびモータジェネレータ14
の両方を動力源として走行する高負荷領域の境界値であ
り、エンジン12による充電時を含めたエネルギー効率
を考慮して、排出ガス量や燃料消費量などができるだけ
少なくなるように実験等によって予め定められている。
そして、P1<Pd<P2であればステップS16でS
OC≧Aか否かを判断し、SOC≧Aの場合にはステッ
プS17でモード2を選択し、SOC<Aの場合には前
記ステップS14でモード3を選択する。また、Pd≧
P2であればステップS18でSOC≧Aか否かを判断
し、SOC≧Aの場合にはステップS19でモード4を
選択し、SOC<Aの場合にはステップS17でモード
2を選択する。
【0047】上記モード2は、前記図7から明らかなよ
うに第1クラッチCE1 および第2クラッチCE2 を共
に係合(ON)し、エンジン12を要求出力Pdで運転
し、モータジェネレータ14を無負荷状態とするもの
で、エンジン12のみを動力源として車両を走行させ
る。また、モード4は、第1クラッチCE1 および第2
クラッチCE2 を共に係合(ON)し、エンジン12を
運転状態とし、モータジェネレータ14を回転駆動する
もので、エンジン12およびモータジェネレータ14の
両方を動力源として車両を高出力走行させる。このモー
ド4は、要求出力Pdが第2判定値P2以上の高負荷領
域で実行されるが、エンジン12およびモータジェネレ
ータ14を併用しているため、エンジン12およびモー
タジェネレータ14の何れか一方のみを動力源として走
行する場合に比較してエネルギー効率が著しく損なわれ
ることがなく、燃費や排出ガスを低減できる。また、蓄
電量SOCが最低蓄電量A以上の場合に実行されるた
め、蓄電装置58の蓄電量SOCが最低蓄電量Aより低
下して充放電効率等の性能を損なうことがない。
【0048】上記モード1〜4の運転条件についてまと
めると、蓄電量SOC≧Aであれば、Pd≦P1の低負
荷領域ではステップS13でモード1を選択してモータ
ジェネレータ14のみを動力源として走行し、P1<P
d<P2の中負荷領域ではステップS17でモード2を
選択してエンジン12のみを動力源として走行し、P2
≦Pdの高負荷領域ではステップS19でモード4を選
択してエンジン12およびモータジェネレータ14の両
方を動力源として走行する。また、SOC<Aの場合に
は、要求出力Pdが第2判定値P2より小さい中低負荷
領域でステップS14のモード3を実行することにより
蓄電装置58を充電するが、要求出力Pdが第2判定値
P2以上の高負荷領域ではステップS17でモード2が
選択され、充電を行うことなくエンジン12により高出
力走行が行われる。
【0049】ステップS17のモード2は、P1<Pd
<P2の中負荷領域で且つSOC≧Aの場合、或いはP
d≧P2の高負荷領域で且つSOC<Aの場合に実行さ
れるが、中負荷領域では一般にモータジェネレータ14
よりもエンジン12の方がエネルギー効率が優れている
ため、モータジェネレータ14を動力源として走行する
場合に比較して燃費や排出ガスを低減できる。また、高
負荷領域では、モータジェネレータ14およびエンジン
12を併用して走行するモード4が望ましいが、蓄電装
置58の蓄電量SOCが最低蓄電量Aより小さい場合に
は、上記モード2によるエンジン12のみを動力源とす
る運転が行われることにより、蓄電装置58の蓄電量S
OCが最低蓄電量Aよりも少なくなって充放電効率等の
性能を損なうことが回避される。
【0050】ハイブリッド制御用コントローラ50はま
た、上記モード切換制御とは別に運転者の選択などによ
り、図11に示すフローチャートに従ってモータジェネ
レータ14によるアシスト制御を行う。ハイブリッド制
御用コントローラ50による一連の信号処理のうち図1
1の各ステップSA1〜SA15を実行する部分はアシ
スト制御手段として機能しており、そのうちのステップ
SA7〜SA9を実行する部分は増加側変更手段、ステ
ップSA12〜SA14を実行する部分は減少側変更手
段として機能している。
【0051】図11のステップSA1では、パターンセ
レクトスイッチ65による選択パターンがノーマルパタ
ーンからパワーパターンへ変更されたか否かを判断し、
パワーパターンへ変更された場合はステップSA5以下
を実行するが、NOの場合はステップSA2でシフトレ
バー40の操作レンジがDレンジからDMレンジへ変更
されたか否かをマニュアルモードスイッチ41からの信
号に基づいて判断する。DMレンジへ変更された場合は
ステップSA5以下を実行するが、NOの場合はステッ
プSA3でパターンセレクトスイッチ65による選択パ
ターンがパワーパターンからノーマルパターンへ変更さ
れたか否かを判断する。ノーマルパターンへ変更された
場合はステップSA10以下を実行するが、NOの場合
はステップSA4でシフトレバー40の操作レンジがD
MレンジからDレンジへ変更されたか否かをマニュアル
モードスイッチ41からの信号に基づいて判断し、Dレ
ンジへ変更された場合はステップSA10以下を実行す
る。ステップSA4の判断がNOの場合は、ステップS
A15において現在の選択パターンがパワーパターンで
あるか否か、操作レンジがDMレンジであるか否かを判
断し、共にNOの場合はアシスト制御に関する一連の処
理を終了するが、何れか一方でもYESの場合はステッ
プSA9でモータジェネレータ14によるアシスト制御
を実行する。
【0052】ステップSA5では、現在(SA5の実行
時)のアクセル操作量θACを基準値θAC1 に設定し、ス
テップSA6では基準値θAC1 が予め定められたアシス
ト最低値θa 以上か否かを判断する。θAC1 ≧θa でな
ければ直ちにステップSA9を実行するが、θAC1 ≧θ
a の場合はステップSA7でアシスト制御の実行を延期
するとともに、ステップSA8でθAC−θAC1 ≧0か否
か、すなわち現在(SA8の実行時)のアクセル操作量
θACが基準値θAC1 以上か否かを判断する。そして、θ
AC−θAC1 ≧0であればステップSA9を実行するが、
θAC−θAC1 <0、すなわちアクセル操作量θACの減少
時にはステップSA7を繰り返す。アクセル操作量θAC
の減少時は運転者が駆動トルクの減少を望んでいる時で
あるため、そのような時にステップSA9のアシスト制
御を行って駆動トルクが増加することを防止するためで
ある。
【0053】ステップSA9では、図12に示すように
アクセル操作量θACをパラメータとして予め定められた
アシストトルクマップや演算式などに従って、モータジ
ェネレータ14のモータトルク(アシストトルク)TM
を制御する。図12は所定車速(一定)におけるアクセ
ル操作量θACと駆動トルクとの関係を示す図で、実線は
エンジントルクTE のみによるノーマルパターンの場合
であり、破線はモータジェネレータ14によるトルクア
シストを行うパワーパターンの場合であり、パワーパタ
ーンでは斜線部分のモータトルクTM がエンジントルク
E に上乗せされる。このモータジェネレータ14によ
るトルクアシストは、アクセル操作量θ ACの略全域にお
いて駆動トルクが滑らかに増加するように、エンジン出
力特性を考慮して定められており、エンジントルクTM
が頭打ちとなるアシスト最低値θ a 以上でトルクアシス
トを行うとともに、そのアシストトルク量(モータトル
クTM )はアクセル操作量θACの増加に伴って大きくな
る。
【0054】ここで、ノーマルパターンからパワーパタ
ーンへの変更時、或いはDレンジからDMレンジへの変
更時のアクセル操作量θAC(厳密にはSA9の実行時に
おけるアクセル操作量θAC)が、アシスト最低値θa
りも大きいと、直ちに所定の大きさのモータトルクTM
でモータジェネレータ14を作動させることになるが、
この時の急激なトルク変動に起因する違和感を防止する
上で、アシスト制御の実行開始時は滑らかにモータトル
クTM を増加させる漸増制御を行うことが望ましい。な
お、アクセル操作量θACがアシスト最低値θa より小さ
い領域では、ステップSA9のアシスト実行時であって
もモータジェネレータ14によるトルクアシストは行わ
れない。
【0055】また、上記図12のアクセル操作量θb
所定車速におけるダウンシフト値で、ノーマルパターン
では、アクセル操作量θACがダウンシフト値θb を超え
るとダウンシフトされるように、自動変速機18の変速
パターンが予め車速Vおよびアクセル操作量θACをパラ
メータとして設定されている。これに対し、パワーパタ
ーンでは、一般に変速条件を低アクセル操作量側(高車
速側)へずらすようにしているが、モータジェネレータ
14によるトルクアシストで高アクセル操作量側まで駆
動トルクが滑らかに増大させられる本実施例では、破線
で示すように変速条件(ダウンシフト値)が高アクセル
操作量側へずらされている。なお、シフトレバー40が
DMレンジへ操作されている場合は、前記+スイッチ4
2および−スイッチ43の押圧操作に従って自動変速機
18の変速制御が行われる。
【0056】前記ステップSA10では、現在(SA1
0の実行時)のアクセル操作量θACを基準値θAC2 に設
定し、ステップSA11では基準値θAC2 が前記アシス
ト最低値θa 以上か否かを判断する。θAC2 ≧θa でな
ければ直ちにステップSA14を実行し、前記ステップ
SA9のアシスト制御を中止するが、θAC2 ≧θa の場
合はステップSA12でアシスト制御の中止を延期する
とともに、ステップSA13でθAC−θAC2 ≦0か否
か、すなわち現在(SA13の実行時)のアクセル操作
量θACが基準値θAC2 以下か否かを判断する。そして、
θAC−θAC2 ≦0であればステップSA14を実行して
アシスト制御を中止するが、θAC−θAC2>0、すなわ
ちアクセル操作量θACの増加時にはステップSA12を
繰り返す。アクセル操作量θACの増加時は運転者が駆動
トルクの増加を望んでいる時であるため、そのような時
にアシスト制御を中止して駆動トルクが減少することを
防止するためである。
【0057】そして、ステップSA14ではモータジェ
ネレータ14によるトルクアシストを中止し、図12に
おける斜線部分のアシストトルク(モータトルクTM
を削除する。この時、パワーパターンからノーマルパタ
ーンへの変更時、或いはDMレンジからDレンジへの変
更時のアクセル操作量θAC(厳密にはSA14の実行時
におけるアクセル操作量θAC)が、アシスト最低値θa
よりも大きいと、アシストトルク(モータトルクTM
分だけ駆動トルクが減少することになるが、この時の急
激なトルク変動に起因する違和感を防止する上で、アシ
スト制御を中止する際には滑らかにモータトルクTM
減少させる漸減制御を行うことが望ましい。
【0058】このように、本実施例では、パターンセレ
クトスイッチ65によってパワーパターンが選択される
か、或いはシフトレバー40がDMレンジへ操作された
場合に、ステップSA9のモータジェネレータ14によ
るアシスト制御が実行されるため、例えばアクセル操作
量θACがアシスト最低値θa 以上の場合に常にモータジ
ェネレータ14によるトルクアシストを行う場合に比較
して、運転者の動力性能に対する要求を満足させつつ電
動モータの使用頻度や電力消費量を低減できる。
【0059】また、本実施例では、ステップSA8の判
断がYESであること、すなわちアクセル操作量θAC
減少時でないことを条件としてモータジェネレータ14
によるアシスト制御が開始されるため、運転者が駆動ト
ルクの減少を望んでいる時にアシスト制御が開始されて
駆動トルクが増大することにより運転者に違和感を生じ
させることが防止される。ステップSA14でアシスト
制御を中止する場合も、ステップSA13の判断がYE
Sであること、すなわちアクセル操作量θACが増加時で
ないことを条件としているため、運転者が駆動トルクの
増加を望んでいる時にアシスト制御が中止されて駆動ト
ルクが減少することにより運転者に違和感を生じさせる
ことが防止される。
【0060】
【0061】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明したが、本発明は他の態様で実施することもで
きる。
【0062】例えば、前記実施例ではDM(ダイレクト
モード)レンジを有するシフトレバー40が用いられて
いたが、図13に示すようにDレンジから直接所望する
変速段「1(1st)」〜「4(4th)」を選択でき
るHパターンタイプのシフトレバー装置を用いることも
可能で、その場合は変速段「1」〜「4」へ操作されて
いることをスイッチなどで検出して本発明のアシスト制
御を実行するようにすれば良いなど、マニュアル操作で
変速できる種々のタイプの変速制御手段を採用できる。
【0063】また、前記実施例では後進1段および前進
5段の変速段を有する自動変速機18が用いられていた
が、図14に示すように前記副変速機20を省略して主
変速機22のみから成る自動変速機60を採用し、図1
5に示すように前進4段および後進1段で変速制御を行
うようにすることもできる。
【0064】また、前記図11ではパターンセレクトス
イッチ65によってパワーパターンが選択されるか、或
いはシフトレバー40がDMレンジへ操作された場合に
共通のアシスト制御を行うようになっているが、アシス
トトルク量等のアシスト条件が異なるアシスト制御を行
うこともできるし、何れか一方だけでアシスト制御を行
うようにすることもできる。
【0065】
【0066】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である制御装置を備えている
ハイブリッド車両のハイブリッド駆動装置の構成を説明
する骨子図である。
【図2】図1のハイブリッド駆動装置が備えている制御
系統を説明する図である。
【図3】図1の自動変速装機の各変速段を成立させる係
合要素の作動を説明する図である。
【図4】図1の自動変速機が備えている油圧回路の一部
を示す図である。
【図5】図2のハイブリッド制御用コントローラと電気
式トルコンとの接続関係を説明する図である。
【図6】図1のハイブリッド駆動装置の基本的な作動を
説明するフローチャートである。
【図7】図6のフローチャートにおける各モード1〜9
の作動状態を説明する図である。
【図8】図1のハイブリッド車両に設けられているシフ
トレバーを示す斜視図である。
【図9】図8のシフトレバーの操作パターンを示す図で
ある。
【図10】図8のシフトレバーに設けられている+スイ
ッチおよび−スイッチの電気的な接続回路を説明する図
である。
【図11】本発明が適用された一実施例の特徴となる制
御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図12】図11におけるステップSA9のアシスト制
御の内容を説明する図で、所定車速における駆動トルク
とアクセル操作量との関係を示す図である。
【図13】本発明が好適に適用されるシフトレバー装置
の他の態様を説明する図である。
【図14】本発明が好適に適用されるハイブリッド車両
のハイブリッド駆動装置の別の例を説明する骨子図であ
る。
【図15】図14の自動変速機の各変速段を成立させる
係合要素の作動を説明する図である。
【符号の説明】
12:エンジン 14:モータジェネレータ(電動モータ)18:自動変速機 40:シフトレバ 50:ハイブリッド制御用コントローラ 65:パターンセレクトスイッ ステップSA1〜SA15:アシスト制御手段 ステップSA7〜SA9:増加側変更手段 ステップSA12〜SA14:減少側変更手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三上 強 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 畑 祐志 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−172196(JP,A) 特開 平5−231200(JP,A) 特開 昭63−270959(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 29/02 B60K 6/02 B60K 41/06 B60L 11/14 F16H 61/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料の燃焼によって作動するエンジン
    と、 電気エネルギーで作動する電動モータと、 前記エンジンを動力源とする走行時に前記電動モータに
    よってアシストするアシスト制御手段と 前記エンジンと駆動輪との間に配設され、運転状態に応
    じて自動的に変速される自動変速機と、 を有するハイブリッド車両の制御装置において、前記自動変速機の変速条件として動力性能を重視した走
    行を行うパワーパターンを予め設定できるパターンセレ
    クトスイッチを 備えており、 前記アシスト制御手段は、前記パターンセレクトスイッ
    チによりパワーパターンが設定されている場合に、前記
    電動モータによるアシストトルク量を増加させるもので
    あることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 【請求項2】 燃料の燃焼によって作動するエンジン
    と、 電気エネルギーで作動する電動モータと、 前記エンジンを動力源とする走行時に前記電動モータに
    よってアシストするアシスト制御手段と、 前記エンジンと駆動輪との間に配設され、運転状態に応
    じて自動的に変速される自動変速機と、 を有するハイブリッド車両の制御装置において、 前記自動変速機の変速段を手動で切り換えることができ
    るダイレクトモードを備えており、 前記アシスト制御手段は、前記ダイレクトモードが選択
    された場合に、前記電動モータによるアシストトルク量
    を増加させるものである ことを特徴とするハイブリッド
    車両の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記アシスト制御手段は、アシストトル
    ク量の増加側への変更を少なくともアクセル操作量の減
    少時には行わないようにする増加側変更手段を備えるも
    のである請求項1または2に記載のハイブリッド車両の
    制御装置。
  4. 【請求項4】 前記アシスト制御手段は、アシストトル
    ク量の減少側への変更を少なくともアクセル操作量の増
    大時には行わないようにする減少側変更手段を備えるも
    のである請求項1または2に記載のハイブリッド車両の
    制御装置。
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