JP3097366U - ゴルフクラブ用グリップ - Google Patents

Abstract

【課題】外層材が、天然皮革，合成皮革，繊維構成材などからなるゴルフクラブ用グリップに適用され、その滑止め効果及び手触りに優れた積層型複合グリップの表面構造を提供する。
【解決手段】積層型複合グリップ１は、ゴルフクラブの一端部に接続する内層材３と、内層材３上に敷設・接着された外層材４とからなる。内層材３は、弾性重合体からなる単一の管体から構成されている。外層材４は、内層材３の軸方向に沿う２つの互いに対向している縦断方向端縁と、２つの縦断方向端縁の間に延伸してなる２つの横断方向端縁とを有する可撓性シートを、縦断方向端縁の一方が内層材３の周方向に沿って２つの縦断方向端縁の他方に接触するまでスムーズに延伸して内層材３を包むように巻きながら、接着剤によって内層材３上のリングとキャップとの間の全面に亙って接着してなる。外層材４の面上には、複数の滑止めステッチ５が形成されている。
【選択図】　　　　図２

Description

【０００１】
【考案の属する技術分野】
本考案は、ゴルフクラブ用グリップに関し、より詳しくは、内外の２層材からなり、且つ外層材の表面にステッチが形成され、滑止め効果に優れたゴルフクラブ用の積層型複合グリップに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ゴルフクラブ用グリップは、通常、研磨によって粗面化された粗面ゴム製のグリップと、研磨によって粗面化されていない通常ゴム製のグリップ（ｕｎｂｕｆｆｅｄ　ｒｕｂｂｅｒ）と、コード入りゴム製グリップ（ｃｏｒｄ）と、プラスチック成型グリップ（ｐｌａｓｔｉｃ）との４種類に分けられる。粗面ゴム製グリップは、でこぼこで鱗状の多孔性表面を有するので、皮革のような手触りがする。通常ゴム製グリップは、平らな表面を有するが、皮革の外観を呈している。コード入りゴム製グリップは、粗面ゴム製グリップのような鱗模様の表面を有するのみならず、織物の棉繊維構造をも備えている。プラスチック成型グリップは、表面が平らで通常ゴム製グリップの外観と似ている。換言すれば、使用者は、繊維構成材や皮革のような外観や手触りを持つものを好む。
【０００３】
そのほか、ゴルフクラブ用グリップの種類には、ストリップ巻きタイプもある。このようなグリップは、管体を芯材とし、天然皮革またはポリウレタンコーティング合成皮革からなるストリップを、管体の外周に螺旋状に巻き付けてなるものであるが、巻付け工程がかなり煩雑であるのみならず、使用中に、螺旋状に巻き付けられたストリップもオーバラップや継ぎ目が多く、緩んだり解けたりしやすいといった欠点がある。
【０００４】
【考案が解決しようとする課題】
上記に鑑みて、本考案は、外層材が天然皮革や合成皮革、繊維構成材などから構成されるゴルフクラブ用グリップに適用され、且つ、それによるゴルフクラブ用グリップの滑止め効果も手触りも従来のゴルフクラブ用グリップより遥かに優れる積層型複合グリップの表面構造を提供する。
【０００５】
即ち、本考案の目的は、その表面が織物や皮革などのような快適な手触りを有するのみならず、滑止め効果も従来のものより遥かに優れているゴルフクラブ用の積層型複合グリップを提供することにある。
【０００６】
本考案の他の目的は、その外層材が複数からなり継ぎ目が多くても、継ぎ目が丈夫で解け難いゴルフクラブ用の積層型複合を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案は、ゴルフクラブの一端部に接続する内層材と、前記内層材上に敷設・接着されている外層材とからなるゴルフクラブ用の積層型複合グリップにおいて、前記内層材は弾性重合体からなる単一の管体から構成され、その前記ゴルフクラブの一端部と接続する先端にリングが、前記先端の反対側にある手元端にキャップが、それぞれ設けられており、前記外層材は、前記内層材の軸方向に沿う２つの互いに対向している縦断方向端縁と、前記２つの縦断方向端縁の間に延伸してなる２つの横断方向端縁とを有する可撓性シートを、前記縦断方向端縁の一方が前記内層材の周方向に沿って前記２つの縦断方向端縁の他方に接触するまでにスムーズに延伸して前記内層材を包むように巻きながら、接着剤によって前記内層材上の前記リングと前記キャップとの間の全面に亙って接着してなり、また、前記外層材の面上に複数の滑止めステッチが形成されていることを特徴とするゴルフクラブ用の積層型複合グリップを提供する。
【０００８】
上記のように構成されている本考案のゴルフクラブ用グリップは、外層材が可撓性シートを内層材の外面に包むように巻きながら、内層材に接着してなるので、使用者に新たな表面構成を有するグリップを提供することができる。また、外層材は、天然皮革や合成皮革，ポリウレタンコーティング材，繊維構成材からなった可撓性シートからなるので、織物や皮革などのような快適な手触りを持つのみならず、外層材の面上に形成されている滑止めステッチによって滑止め効果が従来のゴルフクラブ用グリップより遥かに優れる。そして、外層材が一枚でなく複数枚の可撓性シートからなって継ぎ目が多くても、滑止めステッチがあり、特に滑止めステッチの一部で継ぎ目を丈夫に接続させることができるので、外層材全体が従来のストリップ巻きタイプのように緩んだり解けたりすることを避けることができる。さらに、外層材が一枚でなく複数枚の可撓性シートからなる上、滑止めステッチのパターン変化を加えれば、グリップの外面模様を豊かにさせることもできる。
【０００９】
【考案の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本考案のゴルフクラブ用グリップの好ましい実施形態を説明する。先ず、図１、図２、図３、及び図４に示すのは本考案の第１の実施形態である。図示のような本実施形態のゴルフクラブ用グリップ１は、ゴルフクラブのシャフト２０の一端部に外嵌している内層材３と、内層材（３）上に敷設接着されている外層材４とからなっている。内層材３の内面３０が両面テープ２１及び溶剤によってシャフト２０に接着されている。内層材３は、ゴム材やエラストマーなどの弾性重合体からなる単一の管体から構成され、そのゴルフクラブシャフト２０の一端部と接続されている先端に鍔としてのリング３４が、この先端の反対側にある手元端にこの手元端の開口を封鎖するためのキャップ３３が、それぞれ設けられている。上記弾性重合体としては、例えば、天然ゴム，ゴムコンパウンド，熱可塑性ゴム（ＴＰＲ），熱可塑性エラストマー（ＴＰＥ），ポリウレタンなどが挙げられる。また、内層材３は、その内部に複数の独立気泡が散在している発泡体であるが、その成形は一体成型によってもよく、条状の発泡体をテーパ状に研磨してなってもよい。
【００１０】
また、外層材４は、内層材３の軸方向に沿う２つの互いに対向している縦断方向端縁４ａと、２つの縦断方向端縁４ａの間に延伸してなる２つの横断方向端縁４ｂとを有する一枚の可撓性シートを、一つの縦断方向端縁４ａが内層材３の周方向に沿って他の縦断方向端縁４ａに接触するまでにスムーズに延伸させて内層材３を包むように巻きながら、クロロプレンゴムや樹脂などの接着剤６によって内層材（３）上のリング３４とキャップ３３との間の全面に亙って接着して構成される。外層材４の面積は、内層材３のリング３４とキャップ３３との間の面積と同等である。可撓性シートの構成材料は、天然皮革，合成皮革，ポリウレタンコーティング材，繊維構成材のいずれかからなるものである。また、外層材４の面上には、複数の滑止めステッチ５が形成されている。本実施形態における滑止めステッチ５は、図示のように、２つの横断方向端縁４ｂの間に延伸しているステッチライン５１と、２つの縦断方向端縁４ａ，４ｂの間に延伸しているステッチライン５２とがある他、滑止め効果以外に、外層材４の外面４０上に所望の装飾模様を形成するために、外層材４の外面（４０）上に、互いに交差するように延伸形成されているジグザグステッチライン５３をも含む。
【００１１】
なお、図５及び図６に示すように、滑止めステッチ５は、一筋縫いまたは多筋条縫いによってなった刺繍ステッチ５０，５０ａを含めてもよい。この場合、図示のように、ステッチ５０ａは、外層材４の面下に縫い込まれた深さがステッチ５０より浅いピッキングステッチとされている。滑止めステッチ５は、棉やポリエステル，レーヨン，ナイロン，その他の材質などからなる糸を用いて、手縫いやミシン縫いにより形成される。上記糸には、撥水性や耐摩耗性，防かび性，耐汗性，紫外線防止性，弾性強化などの処理をすることが可能なので、外層材４の滑止め効果を向上させる他、その室外環境適用性を増加させることもできる。
【００１２】
なお、グリップ１を製造する際に、滑止めステッチ５の外層材４への形成は、外層材４が内層材３に接着される前に行われるか、または外層材４が内層材３に接着される後に行われるかが、滑止めステッチ５の縫い方によって決定される。本実施形態においては、滑止めステッチ５は、外層材４が内層材３に接着される前に、外層材（４）上に形成される。
【００１３】
図７及び図８に示されるのは、それぞれ第１の実施形態の変形例である。これら実施例において、外層材４は、複数枚のシートユニット４２を、少なくとも一つの縫い目７が形成されるように一連に縫い合わせて構成される。縫い目７は、外層材４の２つの横断方向端縁４ｃ，４ｄの間に延伸している。滑止めステッチ５は、縫い目７に沿って形成されているステッチライン５４を含む。ステッチライン５４としては、ジグザグステッチラインが使用されているが、エラスチックステッチやリンクステッチを使用してもよい。
【００１４】
上記のように、滑止めステッチ５の設置は、グリップ１の織物や皮革などのような快適な手触り及び滑止め効果を向上させる他に、以下のような利点もある。例えば、外層材４の端縁に沿って形成された横断方向ステッチライン５１及び縦断方向ステッチライン５２は、装飾及び縁仕上げの機能を持ち、外層材４の擦切れを防止することができる。そして、互いに交差しているステッチライン５３は所望のステッチ種類に形成されることができるので、外層材４を飾るステッチパターンとして形成される。そして、ステッチライン５４によって同一または異なる材質からなる複数のシートユニット４２を連結し、グリップ１に新たな外観及び構造を与えるのみならず、グリップ１の手触りもより快適になる。なお、外層材４の横断方向端縁４ｂ及び縦断方向端縁４ａに沿って形成された横断方向ステッチライン５１及び縦断方向ステッチライン５２として、羽状ステッチやスカラップステッチなどの異なるステッチが使用され、外層材４の織物や皮革などのような快適な手触りのみならず、滑止め効果の向上も実現することができる。
【００１５】
次に、図９に示されるのは、本考案に係るグリップの第２つの実施形態である。本実施形態におけるグリップの第１の実施形態と異なる点は、外層材（４）上に複数の通気部４３が形成されていることにある。これらの通気部４３としては、外層材４の可撓性シートを裁断したり、エンボシングしたり、熱圧したりすることにより、孔及び／又は溝が形成されている。図１０及び図１１に示されるのは、それぞれこの第２つの実施形態の変形例である。これらの変形例において、複数の通気部４３は、外層材４の内外両面４１，４０を貫通した通孔４３１と、外層材４の外面４０のみを貫通したブラインドホール４３２とを含めている。通孔４３１及びブラインドホール４３２は異なる幅や深さ、形状を持ち、且つ、外層材４が内層材３に接着される前に、裁断や熱圧によって外層材４に形成される。また、通気部４３には、図１３に示すように、更に、熱圧によって外層材（４）上に形成された網状溝４３４及びエンボシングによって外層材（４）上に形成された穴４３３を含めてもよい。このように、外層材４に動物の皮のような装飾模様を形成することができる。また、本実施形態において、外層材４は通気材から構成され、好ましくは、図１０に示すように、毛細孔を有する天然皮革のような通気材４４から構成され、或いは、図１１に示すように、ポリウレタン膜４６が塗布された多孔性材４５から構成されている。このように、外層材４に複数の通気部４３が形成されているので、外層材４はスポンジ構造を持つ。従って、グリップ１は汗や雨に濡れた場合に、スポンジ構造を持つ外層材４を絞ることにより、水分が通気部４３に導入されるので、外層材４を迅速に乾燥させることが可能になる。また、外層材４は、通気部４３によってでこぼこの表面を有するので、外層材４の摩擦作用を向上させ、滑りを減少することができる。なお、装飾のために、通気部４３は、図１２に示すように、花模様に配列されてもよい。
【００１６】
【考案の効果】
上記のように、本考案に係るゴルフクラブ用グリップにおいて、外層材の面上には複数の滑止めステッチ及び通気部が形成されているので、織物や皮革などのような快適な手触りを持つのみならず、外層材の面上に形成されている滑止めステッチによって滑止め効果が従来のゴルフクラブ用グリップより遥かに優れる。外層材が一枚でなく複数枚の可撓性シートからなって継ぎ目が多くても、滑止めステッチがあり、特に滑止めステッチの一部で継ぎ目を丈夫に接続させることができるので、外層材全体が従来のストリップ巻きタイプのように緩んだり解けたりすることを避けることができる。さらに、外層材が一枚でなく複数枚の可撓性シートからなる上、滑止めステッチのパターン変化を加えれば、グリップの外面模様を豊かにさせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本考案に係るゴルフクラブ用グリップの第１実施形態を示す斜視図である。
【図２】図１のＡ−Ａの断面図である。
【図３】第１の実施形態における外層材を示す正面図である。
【図４】第１の実施形態における内層材を示す斜視図である。
【図５】第１の実施形態の変形例を示す断面図である。
【図６】第１の実施形態の他の変形例を示す部分断面図である。
【図７】第１の実施形態における外層材の変形例を示す正面図である。
【図８】第１の実施形態における外層材の他の変形例を示す正面図である。
【図９】本考案に係るゴルフクラブ用グリップの第２実施形態を示す斜視図である。
【図１０】第２の実施形態の変形例を示す部分断面図である。
【図１１】第２の実施形態の他の変形例を示す部分断面図である。
【図１２】第１の実施形態における外層材の変形例を示す正面図である。
【図１３】第１の実施形態における外層材の他の変形例を示す正面図である。
【符号の説明】
１　グリップ
２０　シャフト
３　内層材
３０　内層材の内面
３１　内層材の外面
３３　キャップ
３４　リング
４　外層材
４ａ，４ｂ　縦断方向端縁
４ｃ，４ｄ　横断方向端縁
４０　外層材の外面
４１　外層材の内面
４２　シートユニット
４３　通気部
４３１　通孔
４３２　ブラインドホール
４３３　穴
４３４　溝
４４　通気材
４５　多孔性材
４６　ポリウレタン膜
５　滑止めステッチ
５０，５０ａ　刺繍ステッチ
５１　ステッチライン
５２　ステッチライン
５３　ジグザグステッチライン
５４　ステッチライン
６　接着剤
７　縫い目

Claims (12)

1. ゴルフクラブの一端部に接続する内層材と、前記内層材上に敷設・接着されている外層材とからなるゴルフクラブ用の積層型複合グリップにおいて、
   前記内層材は弾性重合体からなる単一の管体から構成され、その前記ゴルフクラブの一端部と接続する先端にリングが、前記先端の反対側にある手元端にキャップが、それぞれ設けられており、
   前記外層材は、前記内層材の軸方向に沿う２つの互いに対向している縦断方向端縁と、前記２つの縦断方向端縁の間に延伸してなる２つの横断方向端縁とを有する可撓性シートを、前記縦断方向端縁の一方が前記内層材の周方向に沿って前記２つの縦断方向端縁の他方に接触するまでにスムーズに延伸して前記内層材を包むように巻きながら、接着剤によって前記内層材上の前記リングと前記キャップとの間の全面に亙って接着してなり、
   前記外層材の面上に、複数の滑止めステッチが形成されていることを特徴とするゴルフクラブ用の積層型複合グリップ。
2. 前記弾性重合体は、ゴム及びエラストマーのいずれかからなるものであり、前記内層材は、一体成型によって構成されたものであることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブ用の積層型複合グリップ。
3. 前記内層材は、その内部に独立気泡が散在している発泡体であることを特徴とする請求項２に記載のゴルフクラブ用の積層型複合グリップ。
4. 前記可撓性シートの構成材料は、天然皮革，合成皮革，ポリウレタンコーティング材，繊維構成材のいずれかからなるものであることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブ用の積層型複合グリップ。
5. 前記滑止めステッチは、刺繍によるステッチを含むことを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブ用の積層型複合グリップ。
6. 前記可撓性シートは、複数のシートユニットをそれらの間に少なくとも一つの縫い目が形成されるように一連に縫い合わせてなり、且つ、前記滑止めステッチは、前記縫い目に沿って形成されていることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブ用の積層型複合グリップ。
7. 前記縫い目は、前記外層材の前記２つの横断方向端縁の間に延伸していることを特徴とする請求項６に記載のゴルフクラブ用の積層型複合グリップ。
8. 前記滑止めステッチは、互いに交差している複数のステッチラインを含めていることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブ用の積層型複合グリップ。
9. 前記外層材上に、複数の通気部が形成されていることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブ用の積層型複合グリップ。
10. 前記複数の通気部は、前記外層材の内外両面を貫通した通孔を含むことを特徴とする請求項９に記載のゴルフクラブ用の積層型複合グリップ。
11. 前記複数の通気部は、更に前記外層材の外面のみを貫通したブラインドホールを含むことを特徴とする請求項１０に記載の積層型複合ゴルフクラブ用グリップ。
12. 前記複数の通気部として、前記外層材の外表面に溝を形成したことを特徴とする請求項９に記載のゴルフクラブ用の積層型複合グリップ。

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