JP3097362B2 - 糸条の捲縮加工装置 - Google Patents

糸条の捲縮加工装置

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JP3097362B2
JP3097362B2 JP04334326A JP33432692A JP3097362B2 JP 3097362 B2 JP3097362 B2 JP 3097362B2 JP 04334326 A JP04334326 A JP 04334326A JP 33432692 A JP33432692 A JP 33432692A JP 3097362 B2 JP3097362 B2 JP 3097362B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糸条に蒸気等の加熱流
体を噴射して糸条に座屈、捲縮を付与する糸条の流体捲
縮加工装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、糸条の捲縮加工装置として、
糸条に例えば蒸気等の加熱流体を噴射して加熱流体と共
に圧縮堆積室内に押し込み、捲縮を付与する装置が知ら
れている。
【0003】この従来装置の基本的構造は、糸条に加熱
流体を噴射して推進力と可塑性を付与するノズル部と、
上記ノズル部によって噴射された糸条に加熱流体を作用
させて、高次加工時における糸条通過性を向上させるた
めに、単糸条間を交絡させる糸噴射部と、交絡された糸
条から加熱流体を分離排出することにより糸条の走行速
度を急速に減速せしめて糸条に座屈、捲縮を付与するス
タッファ部と、座屈捲縮された糸条をプラグ状の糸条塊
に次々と圧縮堆積させる圧縮堆積室とから成るものであ
る。
【0004】このような従来装置として、例えば特開昭
57−193530号公報には、上記圧縮堆積室に滞留
している糸条塊に糸条を急激に失速、衝突させるに十分
な糸条速度を得るため、上記スタッファ部の形状を前後
2段から成る階段状に形成すると共に、その後段部の断
面積を前段部よりも小さく絞った先絞り状の2段オリフ
ィスとした装置が開示されている。
【0005】また、特開昭60−39423号公報に
は、上記糸条噴射部の構造を少なくとも30mmの長さ
を有する直管部と、これに連通する断面積が急拡大され
た膨張室とで構成し、糸条噴射部の流体流を一旦急激に
拡大したのち徐々に圧縮しながらスタッファ室に押し込
む装置が開示されている。
【0006】さらに、特開昭63−288238号報に
は、加熱流体の整流と糸条の効果的な開繊効果を得るた
め、上記糸条噴射部の直管部の長さを20mm以上に形
成した装置が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開昭5
7−193530号公報に開示された従来装置は、その
第1図に示されているように、交絡部の形状を先絞り状
の2段オリフィスとしているため、集束部オリフィスの
流速で実質的な糸張力が決定されてしまう欠点があっ
た。すなわち、走行糸条の吸引張力を上げるための作動
流体の流量が集束部オリフィスの内径(換言すれば断面
積)だけで決定されることになり、結果的にはこの集束
部オリフィスの本来の目的である走行糸条の集束が達成
できないばかりか、この部位で糸詰りする欠点があっ
た。
【0008】また、上記特開昭60−39423号公報
に開示の装置は、その第3図に示されているように、膨
脹室から押込み室に至る流路が糸条の走行方向に拡大し
た後、再び絞られる構成とされているので、前記特開昭
57−193530号公報と全く同様の欠点があった。
【0009】さらに、上記特開昭63−288238号
報は、その第1図に示されているように、糸条噴射部の
直管部長さが20mm以上とされているので、作動流体
が糸条に付与する張力は大きくはなるが、交絡作用が減
殺されるという欠点があった。
【0010】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、本発明者らは鋭意研究した結果、優れた品質の捲
縮加工糸を連続して製造するには、糸条の引取機能と糸
条に対する交絡機能の両機能を備えた捲縮加工装置が必
要であることに到達したのである。
【0011】すなわち、本発明は、上記従来装置の問題
点を解消し、交絡性の良い優れた品質の捲縮糸条を適度
の引取張力で連続して製造することのできる糸条の捲縮
加工装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するため、走行する糸条の軸線に対して一定の傾斜
角で加熱流体を噴射するノズル部と、該ノズル部の下流
に連接され、前記加熱流体と共に糸条を噴射する糸条噴
射部と、該糸条噴射部の下流に連接され、前記糸条噴射
部の断面積よりも大なる断面積を有する拡大部と、該拡
大部の下流に連接され、前記加熱流体を外部に排出する
排気間隙を有するスタッファ室と、前記加熱流体が分離
された糸条を座屈、堆積させて糸条に捲縮を付与する堆
積室と、を備えた糸条の捲縮加工装置において、前記ノ
ズル部から前記拡大部までの糸条噴射部の長さ(L)を
1mm以上20mm未満に形成したことを特徴とする。
【0013】ここで、前記ノズル部の傾斜角は、5〜2
0°が好ましく、前記拡大部は、糸条噴射部の横断面で
の面積をA、拡大部の横断面での面積をBとした場合の
面積比B/Aを、1.1以上2.0以下にするのが好ま
しい。
【0014】また、前記糸条噴射部の横断面の形状は、
四角形とし、前記スタッファ室の横断面の形状は、円形
とするのが好ましい。
【0015】そして、前記スタッファ室は、入口部にお
ける内径上の隣接間隔が0.1〜1.0mmの放射状に
配列された複数のブレードで構成すると共に、出口部の
内径を入口部の内径よりも0.02mm以上大きくする
のが好ましい。
【0016】本発明に係る糸条の捲縮加工装置をその一
実施例を示す図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】図1は、本発明に係る糸条の捲縮加工装置
の概略縦断面図、図2は、その概略右側面図である。
【0018】図において、本発明の捲縮加工装置は、上
型1と、下型2との分割型とされており、上型1、下型
2が4本のボルト3によって一体に固定されている。そ
して、これら両型の対向面Fには、以下に説明する糸条
Yの捲縮加工手段が施されている。
【0019】すなわち、4は、糸条Yに対して加熱流体
を噴射するノズル部で、糸条Yを装置内に導入する糸道
5と、この糸道を挟んで対向して設けられた加熱流体の
供給孔6と、一対の噴射オリフィス7とで構成され、こ
れら各部5〜7は、後述する糸条噴射部8と拡大部9と
共に上型1の対向面に互いに連通して放電加工により形
成されている。糸道5の入口は、糸条Yが捲縮加工装置
内に導入され易いように曲線状の面取加工が施されてい
ると共に、加熱流体の合流点P方向になだらかなテーパ
状に形成されている。また、それぞれの噴射オリフィス
7の軸線は、糸道5の軸線に対してその傾斜角θが5〜
20度、好ましくは5〜13度とされている。
【0020】糸条噴射部8は、上記ノズル部4から加熱
流体と共に噴射された糸条に対し、加熱流体の作用によ
って糸条Yを構成している複数の単糸条間に交絡を付与
するための領域で、その横断面の形状は、例えば正方
形、長方形等の四角形に形成され、拡大部9までの間は
互いに平行な面で囲われている。糸条噴射部8の長さ、
すなわち糸条噴射部8と噴射オリフィス7との交点Qか
ら拡大部9までの直線部の流路長さLは、糸条Yに対し
て適度の引取張力と交絡性を付与させるために1mm以
上20mm未満にすることが必要である。この長さLが
1mm未満、または20mm以上となると、この流路内
の静圧が高くなって引取張力が低下し、十分なる糸条Y
の引取張力が得られないからである。なお、糸条噴射部
8の横断面の形状を四角形にしたのは、糸条に全体とし
て回転運動を与えないため、すなわち糸道5付近から本
装置の上部に設けられた図示しないゴデーロール等の糸
条の上流装置へ撚を及ぼさないためである。
【0021】拡大部9とは、この流路内で糸条に開繊と
交絡を生じさせるための部位をいい、この流路における
横断面の面積が上流側の糸条噴射部8の横断面の面積よ
りも拡大している流路のことである。その拡大の具体的
態様は、図のような急激な拡大が代表的なものである
が、糸条の走行方向に対して緩かな角度で拡大されるも
のも拡大部に含まれる。拡大部9の横断面形状として
は、正方形、長方形等の四角形が好ましいが半円形であ
っても良い。上記糸条噴射部8の横断面における断面積
Aと拡大部9の横断面における断面積Bは、走行中の糸
条Yに開繊と交絡を与え、しかも捲縮を効果的に発現さ
せるには、その面積比B/Aを1.1〜2.0にするこ
とが好ましく、1.2〜1.6とすることがより好まし
い。この面積比B/Aが1.1未満であると、引取張力
が低下することとなり、2.0を越えると、引取張力は
低下しないが、交絡性が低下し高次加工における糸条通
過性が悪化するという欠点があった。
【0022】10は、上記ノズル部4から糸条Yと共に
流入した加熱流体を排気孔1aから装置外に排気するこ
とによって糸条Yの流入速度を急速に減速せしめて、糸
条Yに座屈、捲縮を付与するためのスタッファ部で、複
数のブレード11と、このブレードを上下部で固定する
ための上部フランジ12と、下部フランジ13とで構成
され、これらの部材は相互にレーザスポット溶接で一体
にされている。ブレード11は、図3に示すように糸道
軸に対して直角方向の断面が略円形状の空間であるスタ
ッファ室11aを形成するように複数のものが放射状に
配列されている。スタッファ室11aは、入口部(図1
の上部)における内径上の隣接間隔Sが0.1〜1.0
mmに設定されていると共に、出口部(図1の下部)の
内径が上記入口部の内径よりも0.02mm以上大きく
なるように上下部フランジ12、13で溶接されてい
る。
【0023】14は、上記スタッファ部10から流入し
た糸条Yを次々に蓄積してプラグ状の糸条塊を形成する
ための堆積調節部で、ブロック15に円柱状の空洞であ
る堆積室16が形成されている。
【0024】以上に説明した各部材のうち、ノズル部
4、糸条噴射部8,拡大部9は、上型1の対向面Fのみ
に放電加工によって形成されており、スタッファ部10
と堆積調節部14とは、両型1、2の対向面Fにそれぞ
れ半円柱状の凹部10a、14aが形成され、両型を接
合することによって円柱状となる空洞内に収納されてい
る。一方、下型2のノズル部は、下型のノズル部4との
形状の不一致を避けるために単なる平面とされ、スタッ
ファ部10と堆積調節部14のみが、上記した半円柱状
の凹部10a、14aが形成されている。なお、ノズル
部4は、図4に示すように、上型1にノズル部4を直接
形成せず、ノズル部4のみを別のプレート4aに形成し
て共に対向面Fが平面状の上型1と下型2との間に介設
して挟持してもよい。このような実施態様とするとノズ
ル部4を高精度で加工できる利点がある。
【0025】上記した本発明の糸条の捲縮加工装置にお
いて、糸条Yとしては、ポリエステルフィラメント、ポ
リアミドフィラメント等を用いることができ、また、加
熱流体としては、加熱空気、蒸気、過熱蒸気等を用いる
ことができる。
【0026】
【作用】糸道5から装置内に進入した糸条Yに対し、供
給孔6から加熱流体がオリフィス7を経て糸条Yに一定
角度θで噴射されると、糸条Yと加熱流体とは合流点P
で合流する。ここで、糸条Yの両側のオリフィス7から
噴射角度θによって噴射された加熱流体は、その合ベク
トルが糸条に推進力を付与し、すなわち糸条Yに適度の
引取張力を付与し、以後のスムーズな継続した装置内へ
の取込みを可能にする。この際、糸条噴射部8では、そ
の長さLが1mm以上20mm未満とされているため、
適度の引取張力を維持しつつ、単糸条間相互に強力な交
絡を付与する。糸条噴射部8に続く拡大部9では、その
断面積が糸条噴射部8に比べて急激に拡大されているの
で、流路内での流体抵抗は、増加することがないばかり
か、さらにこの流路内で流体速度が増すことにより流体
力が糸条に作用し、糸条Yに対する引取張力はさらに増
加する。また、この拡大部で糸条に対して拡大による開
繊効果が効果的に付与されるので、適度な交絡が付与さ
れる。
【0027】糸条Yが加熱流体と共に上部フランジ12
を経てスタッファ室11a内に流入すると、加熱流体が
ブレード11間の複数の間隙から排気孔1aを経て装置
外に排出される。一方、糸条Yは、加熱流体が装置外に
分離されるので、流入速度が急激に低下すると共に、上
部から次々と供給される後続の糸条Yと加熱流体の押し
込み力とにより、下方に順次押込まれて座屈、捲縮が付
与される。このように堆積室16内で蓄積され、プラグ
状となった糸条塊は、次々と下方から装置外に排出さ
れ、図示しない次工程に供給される。
【0028】
【実施例】実施例1 図1〜図4に示した実施例装置において、ノズル部4
は、噴射オリフィス7の内幅を0.6mm、深さを1.
9mm、噴射角θを10度とした。また、糸条噴射部8
は、その長さLを2.5mmとし、横断面の形状を長方
形とし、拡大部9は、内幅を3mm、深さを1.9mm
の矩形状とした。また、スタッファ部10は、スタッフ
ァ室11aの入口部内径を6.5mm、隣接間隔Sを
0.19mmとし、堆積部14は、堆積室16の内径を
7.5mmとして、流体捲縮加工装置を構成した。
【0029】そして、この装置に1050デニールのナ
イロンフィラメント54糸条を糸道5から供給し、噴射
オリフィス7から圧力が8kg/cm2 .G の水蒸気
(240℃)を供給し、以下に述べる各流路内での複数
の位置における、糸条Yに対する引取張力と交絡性とを
測定した。その測定方法は、引取張力については、金井
工機(株)製の張力測定器(形式:CM−500ST
R)で測定した。また、交絡性については、糸条の開繊
部の長さ(cm)を50個測定し、その平均長さを10
0cmで割り返した。
【0030】これらの結果を図5および図6を用いて説
明する。
【0031】図5は、図1の装置のうちノズル部4から
拡大部9までの流路を示し、図中の符号A〜Eは、主要
な測定点を示している。図6は、横軸に上記主要測定点
を含む糸道5から拡大部9終点までの距離60mmを採
り、縦軸に各測定点における引取張力と交絡性の判断指
標となる静圧を示した距離−静圧曲線図である。
【0032】図5に示すように、噴射オリフィス7の糸
条噴射部8への開口端をB点、交点QをC点、糸条噴射
部8の終点をD点とすると、C−D間が糸条噴射部8の
流路長さLとなり、本実施例では2.5mmである。ま
た、拡大部9の終点をE点とすると、D−E間が拡大部
9の流路長さとなり、本実施例では30mmである。こ
のような流路構成において、図6に示すように、糸道5
の入口A点から糸条噴射部8の開口端B点までは、ほぼ
0Paで推移するが、B点から糸条噴射部8の始点C点
にかけて静圧がやや上昇する。そして、糸条噴射部8の
流路内すなわちのC−D間では、静圧は急激に低下し、
糸条噴射部8の終点D点で負圧の最下点となる。そし
て、その後徐々に静圧を回復し、拡大部中ほど付近でほ
ぼ0Paとなった後、正圧に転じて拡大部9の終点E点
に至る。
【0033】このような静圧特性を有する流路では、糸
条Yに対して糸条噴射部8のC−D間では、急激な静圧
低下により吸引力が増すことにより引取張力が増大し、
拡大部9のC−E間では、逆に静圧が増加することによ
り糸条の運動に自由度が増して交絡が起こる。よって、
糸条に好ましい引取張力と交絡性とが付与される。
【0034】
【比較例】比較例1 これに対し、図7に示すように、捲縮加工装置の流路内
に拡大部9がなく、糸条噴射部8の長さLが25mmの
ストレートの糸条捲縮加工装置を試作し、上記実施例1
と同様の捲縮加工、測定条件で静圧−距離曲線を描いた
のが図8である。
【0035】図8では、糸条噴射部8の入口B点からそ
の途中のC−D間で静圧が正に上昇してしまい、糸条噴
射部8内を走行する糸条Yには、交絡性には問題はない
が引取張力に劣るものであった。
【0036】比較例2 今度は逆に、図9に示すように、捲縮加工装置の糸条噴
射部8が皆無で拡大部9が末広がり状(テ−パ状)の流
路である場合の静圧−距離曲線を描いたのが図10であ
る。なお、この場合の捲縮加工、測定条件も実施例1の
場合と同様である。
【0037】図10では、図6の静圧−距離曲線とほぼ
同様に合流点P付近で静圧が上昇するが拡大部9の途中
の点C´付近からやっと負圧領域に入り、以後負圧の最
下点Eを経て再び静圧が上昇するが、正圧には戻らなか
った。
【0038】このようにして得られた糸条は、交絡がほ
とんどないため、高次加工における糸条通過性が悪く品
質の良くないものであった。
【0039】以上に説明した実施例1、比較例1、2に
おける糸条噴射部8付近での流路内の静圧、圧損、流体
(水蒸気)流速等の捲縮加工条件と、糸条に作用する引
取張力、交絡効果等の関係を纏めると、概ね次の表1の
ような傾向を示すことが分った。
【0040】
【表1】 この表1から、実施例1のように、糸条捲縮加工装置と
して優れた性能を得るには、糸条噴射部8付近の流路に
おいて糸条進行方向に対し静圧差を付けることが必要と
なる。即ち、高い引取張力を得るための静圧が負となる
部分と、その下流に、適度の交絡を与えるための静圧が
正となる部分を形成できる条件が必要であることが分
る。
【0041】以上の結果を考慮し、具体的に上記糸条噴
射部8の長さLを種々変化させて、糸条Yに対する引取
張力と、得られた糸条の交絡性とを評価したところ、次
の表2のようになった。なお、実施例2〜5、比較例3
〜6の捲縮加工条件及び、引取張力、交絡性の測定条件
は実施例1の場合と同様である。
【0042】
【表2】 評価基準: ○…… 引取張力45g以上,交絡性5個/m以上 △…… 引取張力40g以上,交絡性3個/m以上 ×…… 引取張力40g未満,交絡性3個/m未満 この表2から明らかなように、糸条噴射部8の長さが1
mm以上20mm未満の実施例1〜5では、糸条噴射部
8での引取張力が大きく、かつ得られた糸条Yに対する
交絡性が優れている結果が得られたのに対し、糸条噴射
部8の長さが1mm未満及び20mm以上の比較例2〜
3,4〜6では、糸条噴射部8、拡大部9での圧損が増
大(静圧が増加)し、引取張力が低くなることが分る。
また、比較例1に示すように噴射部8が皆無で、拡大部
9が末広がり状の流路のものは、圧損が極めて小さいた
め静圧が正に転じるところがなく、よって引取張力には
問題ないが交絡はまったく得られないものとなる。
【0043】次に、上記実施例1の捲縮加工装置におい
て、糸条噴射部8の横断面での面積をA、拡大部の横断
面での面積をBとした場合に、それぞれの断面積を種々
変更した装置を実際に試作し、これらの断面積比B/A
の引取張力と交絡性に与える影響を纏めたのが次の表3
である。なお、捲縮糸条の加工条件、測定および評価条
件は、実施例1の場合と全く同じである。
【0044】
【表3】 この表3から、上記実施例1の場合において、断面積比
B/Aが1.1以上2.0以下である場合には、引取張
力と交絡性がさらに向上することが分る。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る糸条
の捲縮加工装置は、走行する糸条の軸線に対して一定の
傾斜角で加熱流体を噴射するノズル部と、該ノズル部の
下流に連接され、前記加熱流体と共に糸条を噴射する糸
条噴射部と、該糸条噴射部の下流に連接され、前記糸条
噴射部の断面積よりも大なる断面積を有する拡大部と、
該拡大部の下流に連接され、前記加熱流体を外部に排出
する排気間隙を有するスタッファ室と、前記加熱流体が
分離された糸条を座屈、堆積させて糸条に捲縮を付与す
る堆積室と、を備えた糸条の捲縮加工装置において、前
記ノズル部から前記拡大部までの糸条噴射部の長さ
(L)を1mm以上20mm未満に形成したので、装置
内を走行する糸条に対して、適度の引取張力と複数の単
糸条間相互を効果的に交絡させる交絡作用とが作用し、
優れた品質の捲縮糸条を連続して製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る糸条の捲縮加工装置の概略縦断面
図である。
【図2】図1の装置の概略右側面図である。
【図3】図1のスタッファ部10のX−X矢視断面図で
ある。
【図4】図1の装置のノズル部4の異なる実施態様を示
す斜視図である。
【図5】図1の装置のノズル部4の模式図である。
【図6】図5のノズル部を用いた場合の距離−静圧曲線
図である。
【図7】図5のノズル部が長い場合の比較例を示す模式
図である。
【図8】図7のノズル部を用いた場合の距離−静圧曲線
図である。
【図9】図5のノズル部が短い場合の比較例を示す模式
図である。
【図10】図9のノズル部を用いた場合の距離−静圧曲
線図である。
【符号の説明】
1:上型 2:下型 3:ボルト 4:ノズル部 8:糸条噴射部 9:拡大部 10:スタッファ部 11:ブレード 11a:スタッファ室 14:堆積部 16:堆積室 L:糸条噴射部の長さ Y:糸条 θ:傾斜角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−6133(JP,A) 特開 昭62−141139(JP,A) 特開 昭60−39423(JP,A) 特開 昭57−193530(JP,A) 特開 昭63−288238(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/12 D02G 1/16

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】走行する糸条の軸線に対して一定の傾斜角
    で加熱流体を噴射するノズル部と、該ノズル部の下流に
    連接され、前記加熱流体と共に糸条を噴射する糸条噴射
    部と、該糸条噴射部の下流に連接され、前記糸条噴射部
    の断面積よりも大なる断面積を有する拡大部と、該拡大
    部の下流に連接され、前記加熱流体を外部に排出する排
    気間隙を有するスタッファ室と、前記加熱流体が分離さ
    れた糸条を座屈、堆積させて糸条に捲縮を付与する堆積
    室と、を備えた糸条の捲縮加工装置において、 前記ノズル部から前記拡大部までの糸条噴射部の長さ
    (L)を1mm以上20mm未満に形成したことを特徴
    とする糸条の捲縮加工装置。
  2. 【請求項2】前記傾斜角は、5〜20°であることを特
    徴とする請求項1に記載の糸条の捲縮加工装置。
  3. 【請求項3】前記拡大部は、糸条噴射部の横断面での面
    積をA、拡大部の横断面での面積をBとした場合に断面
    積比B/Aが1.1以上2.0以下であることを特徴と
    する請求項1に記載の糸条の捲縮加工装置。
  4. 【請求項4】前記糸条噴射部の横断面の形状は、四角形
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の糸条の捲縮加工装置。
  5. 【請求項5】前記スタッファ室の横断面の形状は、円形
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の糸条の捲縮加工装置。
  6. 【請求項6】前記スタッファ室は、入口部における内径
    上の隣接間隔が0.1〜1.0mmの放射状に配列され
    た複数のブレードで構成すると共に、出口部の内径を入
    口部の内径よりも0.02mm以上大きくしたことを特
    徴とする請求項5に記載の糸条の捲縮加工装置。
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