JP3097317B2 - 立毛シート状物 - Google Patents

立毛シート状物

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JP3097317B2 JP04154796A JP15479692A JP3097317B2 JP 3097317 B2 JP3097317 B2 JP 3097317B2 JP 04154796 A JP04154796 A JP 04154796A JP 15479692 A JP15479692 A JP 15479692A JP 3097317 B2 JP3097317 B2 JP 3097317B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクリル繊維を用いた
立毛シート状物に関する。さらに詳しくは、立毛性状、
風合柔軟性および高強力に優れたカシミア調の立毛シー
ト状物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アクリル繊維の軽さ、発色性、保温性、
抗ピル性などの特徴を生かし、さらに高機能性を付与し
た衣料素材の展開は、専ら、ニット商品を中心として開
発され、アクリル繊維を用いた不織布ベースでの立毛シ
ート様物は極めて少ない。これはアクリル繊維の耐熱性
の悪さからくる厚みへたり、低強力、低伸度からくる絡
合処理時の繊維の切断あるいは起毛処理時のショートナ
ップ化というような欠点によると解され、また、これら
の弊害は極細繊維の領域になるほど助長され、不織布ベ
ースでの商品展開を困難なものとしてきた。
【0003】一方、特開昭62−117884号公報に
おいて、繊維長10mm以下のアクリル繊維のウェブを
編織物に積層し、高速流体にて絡合する方法がある。高
速流体により編織物と強固な絡合を形成し、薄物化され
た製品を得るには効果があるものの、繊維長に限界があ
り、立毛密度は高くなるものの短立毛となり、かつ、製
品厚みに限界があり、立毛ボリュウム感、重厚感に富む
製品は得難く、表面光沢度の高いスェード調製品であっ
た。また、特開昭62−78281号公報において、強
撚編織物とアクリル繊維のウェブとを積層し、絡合処理
とバインダー含浸し起毛処理を行ない、高強力で柔軟な
皮革様物を得る方法が開示されている。この方法は、強
撚編織物を用いニードルパンチによる損傷を防ぎ、強撚
編織物の高強力を生かし、低バインダー付量化により高
強力で柔軟な製品を得るにはそれなりの効果がある。し
かしながら、従来のアクリル繊維ウェブをニードルパン
チすれば、糸−糸、糸金動摩擦係数が高く、繊維の切断
を誘発し、繊維層の絡合を高めることができず、低バイ
ンダー付量化を図ると耐摩耗性が低下し、逆にバインダ
ー付量を高めると起毛処理時に短立毛となり、また、D
MF系ポリウレタンを含浸すれば、アクリル繊維が膨潤
溶解しウレタンとの接着力が強固となり、立毛ボリュウ
ム感、重厚感、ぬめり感に欠け、かつ光沢度の高い、ど
ちらかと言えばスェード調の皮革様物であった。また、
効果的な立毛形成方法として、特公昭56−50031
号公報あるいは特公昭57−47772号公報には、極
細繊維の束の部分を硬化型高分子有機シリコーン皮膜で
結束し、その先端部を起毛し、ロングナップ化、ぬめり
感を有する方法が開示されている。しかし、これら公報
に記載されている発明では、繊維束を結束させるに足る
シリコーン皮膜を付与せねばならず、皮膜硬度から反発
弾性はあるものの曲げ特性に劣り、ドレープ性に欠け、
かつ立毛先端部が割れ、このため、ぎらついた光沢を有
するという欠点を有し、また短繊維のみの絡合体である
がために、製品強力の観点から風合柔軟化に自ずと限界
があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アクリル繊
維の不織布絡合体シートをベースとし、従来の技術では
達成することができなかった上品な落ち着きのある光
沢、ドレープ性がありながら、適度な弾性および重厚感
といった製品特性バランスに優れたカシミア調の立毛シ
ート様物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題点を解決すべく鋭意検討した結果、ついに本発明に到
達したものである。本発明の骨子は次の通りである。
【0006】すなわち、立毛形成繊維が強撚編織物の組
織に実質的に入り込むことなく、該強撚編織物の組織間
隙を貫通し、交絡一体化され、かつ高分子弾性体が実質
的に強撚編織物の構成単位糸の隙間に存在しない状態下
にて付与されてなる立毛シート状物であって、該立毛形
成繊維が単糸繊度0.3〜2デニール、引張伸度30%
以上、強度3g/d以上であるアクリル繊維からなり、
立毛シート形成繊維の表面にアミノ変性シリコーンおよ
び/またはエポキシ変性シリコーンが付与され、かつK
ES風合測定法に基づく曲げ硬さが経緯とも0.15g
/cm deg以下で、かつ圧縮仕事回復性が40%以上で
あることを特徴とする立毛シート状物である。
【0007】
【作用】以下、本発明について説明する。
【0008】本発明に用いられる絡合シートは、立毛形
成繊維が強撚糸よりなる強撚編織物と交絡一体化されて
なるものである。特に、強撚編織物の隙間にウェブ形成
繊維が実質的に入り込んだ絡合を有さないものを用いる
ものである。特に、該強撚編織物を包むがごとくに絡合
しているものが好ましい。このような絡合シートを得る
には、アクリル繊維のウェブを編織物上に積層し、次い
でニードルパンチを施し、交絡一体化せしめる方法が好
ましく用いられる。
【0009】しかし、単にこれらの交絡シートを前述し
た従来の技術を用いただけでは本発明の課題は到底成し
得ない。すなわち、最終製品である立毛シートの風合柔
軟性の要因は、繊維繊度、繊維の数、繊維のヤング率、
バインダー組成と付着形態および屈曲自由度などが挙げ
られるが、素材およびシート形成法が類似しておれば、
つまるところ繊維と繊維との摩擦が低いこと、屈曲自由
度があり、わずかの力でシートが変形し、柔らかいと感
じることである。すなわちシート形成法が類似したもの
であってもシートの絡合構造が重要であり、後述する摩
擦係数を有するアクリル繊維を用いることが極めて重要
である。
【0010】以下に具体例をもって本発明の立毛シート
状物についてより詳細に説明する。本発明に用いるアク
リル繊維の単糸繊度は、立毛の適度な腰、表面タッチお
よびぎらついた光沢をおさえるという観点を考慮すると
0.3〜2デニールの範囲内のものを用いることが重要
であり、好ましくは0.5〜1.5デニール、より好ま
しくは0.7〜1デニールの範囲内がよい。またロング
ナップ化およびアクリル繊維層の絡合強力アップの観点
からしてウェブ形成繊維の繊維長は主として20mm以
上、好ましくは32〜64mmがよい。ウェブ形成性、絡
合性などに過度に影響を与えない範囲において、20mm
未満あるいは64mmを越える繊維長が混在していても差
支えない。また、製品表面の異外観性、タッチ、さらな
る風合改良のため異繊度混繊、あるいはポリアミド系繊
維を若干量混繊しても本発明の効果が損なわれるもので
はく、むしろ好ましい場合もあり得る。
【0011】アクリル繊維を形成するポリマーとして
は、アクリルニトリル系重合体として好ましくは93モ
ル%以上のアクリロニトリル(AN)と該ANに対して
共重合性のスルホン酸基含有ビニルモノマーを好ましく
は0.1〜0.7モル%、より好ましくは0.25〜
0.45モル、およびその他のビニル基含有モノマーを
好ましくは6モル%以下、より好ましくは3〜4.5モ
ル%の範囲量で共重合した共集合体が用いられる。スル
ホン酸基含有ビニルモノマーが0.7モル%を越えると
紡糸性が低下し、0.1モル%未満では十分な発色性を
得ることが難しくなる傾向があるので好ましくない。こ
れらの極細アクリル繊維が抗菌剤、消臭剤あるいは芳香
剤などを含んだものであっても差支えない。
【0012】このようなアクリル繊維をカード・クロス
ラッパー装置などを用いてウェブとし、強撚編織物の少
なくとも片面に積層し、後述するニードルパンチ処理等
による三次元絡合処理を施す。このとき、該アクリル繊
維の引張伸度が30%以上であることが好ましく、より
好ましくは35%以上、強度3g/d以上であり、かつ
糸−糸動摩擦係数が0.1〜0.3、好ましくは0.1
5〜0.25、糸−金動摩擦係数が0.2〜0.35、
好ましくは0.2〜0.3であることが重要である。引
張伸度が30%未満となると、ニードルパンチ等で繊維
が切断されやすく、目付低下が著しくなり絡合密度が上
がり難く、品位の良好な絡合シートが得にくく、また繊
維強度が3g/d未満となると起毛処理時に繊維が切断
しやすく、ロングナップ化し難くまた製品強力の点にお
いても問題が生じてくる。また、糸−糸動摩擦係数が
0.1未満、糸−金動摩擦係数が0.2未満となると繊
維が滑りやすくなり、編織物を貫通した繊維が編織物を
被覆するが如くに絡合し難く、糸−糸動摩擦係数が0.
3を越えると、または糸−金動摩擦係数が0.35を越
えると繊維どうしおよびニードルとの摩擦抵抗が高くな
り、繊維が切断されやすく、シート厚み方向への繊維配
列が不足し、圧縮回復性に富む品位の良好な絡合シート
が得にくく好ましくない。このような摩擦係数を繊維に
保持させるには、工程油剤および仕上油剤の組み合せが
重要であり、例えば、工程油剤/仕上油剤=カチオン系
/弱カチオン系、カチオン系/ノニオン系界面活性剤、
カチオン系界面活性剤/アミノ変性シリコーンなどが好
ましく用いられる。このような特性を有するアクリル繊
維を用いることが本発明の課題を解決するのに重要な条
件であり、以下に述べる強撚編織物との交絡シートを起
毛処理した場合の立毛性状、重厚感を発揮せしめるのに
好都合である。
【0013】本発明に用いられる強撚編織物としては、
該強撚編織物を構成する強撚糸の撚数が500T/m以
上、4000T/m以下のものを用いるのが好ましく、
さらに好ましくは1500T/m以上、最も好ましくは
2000T/m以上であることである。500T/m未
満では糸を構成する単糸どうしのしまりが不充分である
ため、ニードルパンチの際に、針のバーブに単糸がひっ
かかり、糸が切断あるいは損傷し、また編織物の組織に
立毛形成繊維が絡合し、柔軟性に欠けるものとなり好ま
しくない。また、撚数が多すぎても繊維が硬くなりす
ぎ、風合柔軟化の点から好ましくなくなるので4000
T/m以下がよい。
【0014】使用する強撚糸の糸種としては、フィラメ
ントヤーン、紡績糸、革新紡績糸、フィラメントと短繊
維の混紡糸等を用いることができ、特に限定されるもの
ではない。
【0015】強撚編織物の目付は、20〜200g/m
2 の範囲であることが好ましく、より好ましくは30〜
150g/m2 の範囲がよい。目付が20g/m2 未満
になると編織物としての形態が極めてルーズになり、ウ
ェブとの積層時にシワが発生し、均一に広げることが困
難となる。また、目付が200g/m2 を越えると編織
物組織が密になり、ウェブ形成繊維の貫通が不充分とな
り、編織物の構成単糸束との高絡合化が不足し、立毛繊
維形成層と編織物との剥離が発生し好ましいものではな
い。
【0016】強撚編織物の種類としては、経編、トリコ
ット編で代表される緯編、レース編およびそれらの編み
方を基本とした各種の編物、あるいは平織、綾織、朱子
織およびそれらの織り方を基本とした各種の織物などい
ずれでも採用することができ、特に限定されるものでは
ない。
【0017】これらの織物のうち、好ましいものとして
は、少なくとも経、緯いずれかに強撚糸を用いたものが
よく、特に好ましいものとしては、経、緯ともに強撚糸
を用いた織物を使用するのが高強力を発揮するのによ
い。また、これらの編織物は適度な潜在収縮率を有して
いることが好ましい。潜在収縮率の目安としては、極細
アクリル繊維シートと編織物との沸水での面積収縮率差
が5〜20%、好ましくは5〜15%の範囲がよい。5
%未満では積層絡合シートの柔軟性が不足し20%を越
えると積層絡合シートの凹凸発生し、タッチのざらつき
を誘発することはもちろんのこと、製品の良好な曲げ特
性、圧縮回復性を得るのに好ましくない。編織物を構成
する繊維は、ポリエステル類、ポリアミド類、アクリ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成繊維、レ
ーヨン、キュプラレーヨンなどの再生繊維などを用いる
ことができる。中でもアクリル繊維との染色性、製品表
裏の発色性、製品強力および風合などの観点から、塩基
性可染型ポリエステル繊維が好ましい。 これら繊維を
用いた編織物の糸使いとしては、単糸繊度で0.05〜
5デニール、より好ましくは0.1〜3デニール、構成
糸で20〜300デニール、より好ましくは30〜15
0デニールの範囲がよい。単糸繊度が0.05デニール
未満となると製品柔軟化には好ましいが強力が出がた
く、5デニールを越えると風合が硬くなり好ましいもの
ではない。構成糸が20デニール未満となるとウェブと
の積層時にシワが入りやすく、300デニールを越える
と絡合処理時の繊維の貫通が不足し剥離しやすくなり好
ましくない。これらの単糸繊維の断面形状は、特に限定
されるものではない。
【0018】編織物を構成する繊維の形態は、高分子相
互配列体型繊維のごとき海島型複合繊維、分割型複合繊
維などの極細化可能な複合繊維であってもよい。この場
合、公知の極細化手段によって編織物を構成する繊維を
極細化することによって、製品の曲げ特性を一層低下さ
せ、柔軟化を発揮させるのに好ましいものである。
【0019】カシミアライクな立毛シートを得るにあた
って、前述した絡合シートを用い、、経緯方向の曲げ硬
さが経緯とも0.15g/cm deg以下で、かつ圧縮仕
事回復性が40%以上とすることが重要である。このよ
うな特性を保持せしめるには、立毛シート形成繊維がア
ミノ変性シリコーンおよび/またはエポキシ変性シリコ
ーンが付与されていることで達成できるものである。該
シリコーンの付着量としては、立毛シート形成繊維重量
に対して固形分で0.5〜20重量%、好ましくは1〜
15重量%、より好ましくは4〜10重量%がよい。付
量が0.5重量%未満であると製品の立毛が短く、柔軟
性に欠け、20重量%を越えるとぬめり感が出すぎ、か
つ立毛の素抜け、高分子弾性体の付着ムラにつながり好
ましくない。本発明で使用されるアミノ変性シリコーン
およびエポキシ変性シリコーン重合体は、ポリシロキサ
ンをベースポリマーとした、アミノ変性基が−(CH2
CH2 n NH2 (nは0〜4)であって、アミノ当量
が1500以上、4000以下、エポキシ変性基が−
(CH2 CH2 n C−C(nは0〜4)であって、エ
ポキシ当量が1000以上、2000以下のものが好ま
しい。これらの範囲を逸脱すると、製品の黄変着色、柔
軟性の低下、立毛ボリュウム感の低下を招く傾向にあ
る。
【0020】製品の立毛ボリュウム感、圧縮回復性をよ
り発揮せしめるために、立毛シート形成繊維に該シリコ
ーンと風合調整剤を付与したものが好ましい。風合調整
剤としては、例えばアクリル樹脂、メラミン樹脂、水系
ポリウレタン樹脂などが少なくとも1種以上用いられ、
その付量としては該シリコーン/風合調整剤との固形分
付量が1〜25重量%、好ましくは4〜15重量%で、
その付量比率は80/20〜50/50重量%となるよ
うに付与することが好ましい。付量比率がこの範囲を逸
脱すると、製品の耐厚みへたり性および立毛性状バラン
スがくずれ好ましくない。これらの処理を行なった後、
形態固定剤を付与し、次いで高分子弾性体を付与するこ
とが重要である。
【0021】立毛形成繊維により効果的に該シリコーン
を付与するには、アクリル繊維を膨潤させ得る作用を有
するもので、かつ、水と相溶性のある溶剤であればよ
く、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルフォキシド、硝酸、臭化カリウム、マ
レイン酸などがある。これらの溶剤から適宜選択された
1種または2種以上を用いて、アミノ変性シリコーンお
よび/またはエポキシ変性シリコーン溶液を混合し、さ
らに水で希釈したものを用いる。なおまた、ここで重要
なことは、混合溶液中の溶剤濃度である。アクリル繊維
のゲル化点、すなわち、前述の溶剤にアクリル繊維を溶
解した稀薄溶液中に攪拌しつつ水を添加し、溶液が白濁
する時点の溶剤/水の混合比率以上で処理することが留
意すべき点であり、溶剤濃度としては5〜30%、好ま
しくは10〜20%がよい。5%未満では柔軟さの耐久
性に欠け、30%を越えると乾燥時に水分の蒸発に伴い
一時的にアクリル繊維表面の溶剤濃度が高くなり、該ア
クリル繊維の溶解を誘発し好ましくない。したがって、
溶剤としては水との沸点差があまり大きすぎないものが
好ましい。この混合溶液にアミノ変性シリコーンおよび
/またはエポキシ変性シリコーン溶液を目標付量になる
ように混合し、濃度調整をすればよい。
【0022】該シリコーンを付与した絡合シートは、熱
処理することにより繊維表面に強固に付着し、単にアミ
ノ変性シリコーンまたはエポキシ変性シリコーン溶液を
含浸したものよりも、さらに絡合シートに柔軟性、ぬめ
り感を付与することができるものである。熱処理温度お
よび処理時間は皮膜形成に必要な温度であればよく、通
常100〜150℃、1〜3分程度の範囲が適当であ
る。
【0023】この後、絡合シートに形態固定剤を付与す
ることが重要である。この処理工程を反転すると形態固
定剤の表面に該シリコーンが付着し、後述する形態固定
剤の除去工程で該シリコーンが脱落し、本発明の目的と
するドレープ性、柔軟性が発揮し難く、また立毛長が短
くなり、かつ該シリコーンの撥水性により高分子弾性体
の付着ムラが発生し、ひいては製品立毛の脱落を誘発し
好ましくない。
【0024】本発明に用いられる形態固定剤としては、
例えば、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニール
アルコール、あるいはこれらの混合品、水可溶性デンプ
ン類、天然糊剤などが挙げられ、組合せる高分子弾性体
溶液の性状から適宜選択すればよい。形態固定剤の付量
としては、シリコーン付量、後工程の高分子弾性体付量
とのバランスで決定すればよく、目安としては絡合シー
トに対し固形分として10〜40重量%、好ましくは1
5〜35重量%である。10重量%未満であると柔軟性
に欠け、40重量%を越えると立毛の脱落を誘発するの
で好ましくない。また、高分子弾性体を含浸する前にヒ
ートプレス処理を行ない、膨潤防止および繊維密度アッ
プを行なうのが好ましい。
【0025】高分子弾性体としては、一般の布帛類や人
工皮革の加工に用いられる水系のポリウレタンおよび溶
剤系のポリウレタンが用いられる。特に、溶剤系のポリ
ウレタン、中でもDMF系ポリウレタンが好ましく用い
られる。DMF系のポリウレタンを使用する場合は、D
MF/水混合系の溶媒とすることが重要である。DMF
単独系であればアクリル繊維を溶解し、繊維と高分子弾
性体との接着力が強固となり製品風合の柔軟化を阻害す
るものとなる。DMF/水混合系の溶媒の水添率はポリ
ウレタンのゲル化点、すなわち、DMFにポリウレタン
を溶解した稀薄溶液に水を添加し白濁する時点の水添率
未満で、かつアクリル繊維のゲル化点以上の範囲で濃度
調整することが製品風合の立毛性状、柔軟化を図る上で
重要である。このようなポリウレタンとしては、ゲル化
点が6以上のエステル系ポリウレタンが良く、好ましく
は10以上、20以下のゲル化点をもつものが水添率調
整範囲を広くとれる点で好ましい。しかし、ゲル化点が
20以上になると耐熱性の問題が生じ好ましくない。か
かるポリウレタンは、エステル系ジオールとしてポリブ
チレングリコール、ポリエチレンアジペートグリコー
ル、ポリカクロラクトングリコールおよびこれらの混合
もしくは共重合物を用いた一般的意味でのポリウレタン
をさす。更にポリウレタンのゲル化点の調整としては、
例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ールなどの親水基を導入することでかなりの範囲までコ
ントロール可能である。また、アクリル繊維の染色性か
らして、より製品表面の発色性、濃色感を発揮させるた
めに、前述の高分子弾性体が可染性タイプあるいは顔料
着色されていてもよい。これら高分子弾性体の付量とし
ては、製品の曲げ特性、立毛性状の観点から絡合シート
に対し固形分として5〜25重量%、好ましくは10〜
20重量%がよい。
【0026】高分子弾性体を付与した絡合シートは、ポ
リウレタンの種類に応じて凝固処理を行ない、形態固定
剤を溶解除去した後、起毛処理を施し、更に染色、もみ
込み処理などを行なうことにより、本発明の課題である
従来の技術では達成することができなかった上品な落ち
着きのある光沢、ドレープ性がありながら適度な弾性お
よび重厚感といった製品特性バランスに優れたカシミア
調の立毛シート様物を製造することが可能である。
【0027】なお、実施例中におけるアクリル繊維の摩
擦係数は、JIS L−1015化学繊維ステープル試
験法のレーダー式摩擦係数測定機により測定したもので
ある。糸−金摩擦係数測定時の金属ローラは、ステンレ
スの鏡面を使用した。また曲げ硬さおよび圧縮仕事回復
性の測定は、KES風合測定法に準じて行なったもので
ある。
【0028】
【実施例】以下に、本発明を実施例にて詳細に説明す
る。
【0029】参考例(絡合シートの製造) アクリロニトリル/アクリル酸メチル/メタリルスルホ
ン酸ソーダの単量体をジメチルスルホキシド中で溶液重
合した紡糸原液を用い、表1に示した特性を有する極細
アクリル繊維ステープル(A)、(B)、(C)の3種
を準備した。
【0030】
【表1】 これらのステープルを別々にカード・クロスラッパー装
置に通し、目付約450g/m2 のウェブを作成した。
次いで、このウェブを針密度が2000本/cm2 とな
るように表裏交互にニードルパンチを行なった。
【0031】得られた絡合シートは、目付保持率では、
ステープル(A)が64%で最も小さく、(B)が75
%、特に(C)は96%と非常に高い値を示した。
【0032】特に、ステープル(A)を用いた絡合シー
トは、表面を手で擦ると短繊維が脱落しパンチ中にアク
リル繊維が切断されており、厚みへたりが大きいもので
あった。ステープル(B)を用いた絡合シートは、目付
保持率が若干向上するものの、その他の性状はステープ
ル(A)を用いた絡合シートに近いものであった。これ
に比較してステープル(C)を用いた絡合シートは、短
繊維の脱落もなく、目付保持率が極めて高く、厚み方向
に弾力性があり、皮革様シート基材として優れたもので
あった。また、アクリル繊維の引張伸度および動摩擦係
数の影響が極めて大きいことがわかった。
【0033】実施例1 参考例に示したアクリル繊維ステープル(C)を用い、
目付約200g/m2のウェブを作成した。次いで、こ
のウェブを極限粘度0.58、5−ソジュウムスルホイ
ソフタレート2.43モル%(対全酸性分)共重合ポリ
エチレンテレフタレートのフィラメントを用いたタテ、
ヨコともに50D−48F、撚数2500T/mの生糸
強撚糸使いの平織物(目付49g/m2 、生機密度タテ
94本/in、ヨコ78本/in)を均一に広げた上に積層
し、表裏面の針密度が2000本/cm2 となるように
ニードルパンチを行ない絡合シートを作成した。この絡
合シートを98℃熱水中で潜在トルク解舒処理を行な
い、乾燥した。次いでアミノ変性シリコーン水溶液(東
レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 品番SM8
702)の調合液に浸し、固形分付着量が7重量%とな
るようにマングルで調整し、乾燥し恒量とした後、12
0℃で2分の熱処理を施した。次いで、ポリビニールア
ルコール(PVA)水溶液に浸漬し、絡合シートに対し
て固形分付量が30重量%となるようにマングルで調整
し、100℃で乾燥し恒量とした。
【0034】次に、ゲル化点が10であるエステル系ポ
リウレタンをDMF/水の混合比率が92/8重量%と
なるように調合し、液温24℃として絡合シートに対し
て固形分付量が15重量%となるようにマングルで調整
し、水中に浸漬して凝固した後、温水中でPVAおよび
DMFを除去し乾燥した。次いでアクリル繊維層面をサ
ンドペーパーバフ装置を用いて起毛し、さらに織物層面
を擦過処理し、目付238g/m2 、厚み0.96m
m、見掛密度0.248g/cm3 の生機を得た。この
生機を液流染色機で褐色系カチオン染料を用いて染色し
た。
【0035】かくして得られた皮革様物は、立毛表面が
鮮明で均一な褐色で裏面の強撚織物もそれより若干淡い
褐色を呈し、ロングナップでボリュウム感、ぬめり感な
どの立毛性状に富んだ、経・緯方向の曲げ硬さが0.1
3、0.11g/cm degと低くて柔らかく、圧縮仕事
回復性が45%と高く重厚感、柔軟性のあるカシミア調
の立毛シートであった。
【0036】比較例1 実施例1で潜在トルク解舒処理を行なった絡合シートを
用い、該シートを実施例1と同様のPVA水溶液に浸
し、シートに対して固形分付量が30重量%となるよう
にマングルで調整し、100℃で乾燥し恒量とした。
【0037】次に、実施例1で用いたポリウレタンを同
条件で含浸し、水中に浸漬して凝固した後、温水中でP
VAおよびDMFを除去し乾燥した。次いでアクリル繊
維層面をサンドペーパーバフ装置を用いて起毛し、さら
に織物層面を擦過処理し、目付250g/m2 、厚み
0.98mm、見掛密度0.255g/cm3 の生機を
得た。この生機を実施例1と同条件で染色し、乾燥し
た。
【0038】かくして得られた立毛シート状物は、発色
性、強力においては実施例1と類似しているものの立毛
が短く、ぬめり感、ボリュウム感などの立毛性状に欠
け、経・緯方向の曲げ硬さが0.28、0.21g/c
m degと高く、圧縮仕事回復性が25%と低く、柔軟性
の劣った立毛シートであった。
【0039】比較例2 参考例に示した極細アクリル繊維ステープル(A)を用
い、目付約200g/m2 のウェブを作成した。次い
で、実施例1で用いた平織物に積層し、実施例1と同条
件でニードルパンチを行ない絡合シートを作成した。こ
の絡合シートを98℃熱水中で潜在トルク解舒処理を行
ない乾燥した。次いで、アミノ変性シリコーン水溶液
(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 品番S
M8702)の調合液に浸し、固形分付着量が7重量%
となるようにマングルで調整し、乾燥し恒量とした後、
120℃で2分の熱処理を施した。次いでポリビニール
アルコール(PVA)水溶液に浸漬し、絡合シートに対
して固形分付量が30重量%となるようにマングルで調
整し、100℃で乾燥し恒量とした。
【0040】次に、実施例1で用いたポリウレタンを液
温24℃として絡合シートに対して固形分付量が15重
量%となるようにマングルで調整し、水中に浸漬して凝
固した後、温水中でPVAおよびDMFを除去し乾燥し
た。次いで、実施例1と同条件にてアクリル繊維層面の
起毛、織物層面の擦過処理を行ない、目付235g/m
2 、厚み1.03mm、見掛密度0.228g/cm3
の生機を得た。この生機を液流染色機で褐色系カチオン
染料を用いて染色した。
【0041】かくして得られた皮革様物は、立毛表面が
鮮明で均一な褐色で裏面の強撚織物もそれより若干淡い
褐色を呈し、立毛にぬめり感はあるもののボリュウム感
が不足していた。また、比較例1よりは経・緯方向の曲
げ硬さが0.21、0.18g/cm degと若干低く柔
らかいものの、圧縮仕事回復性が29%と回復性の劣っ
た立毛シートであった。
【0042】
【発明の効果】本発明は、アクリル繊維の発色性、保温
性、抗ピル性などの特徴を生かした高強力、柔軟性に富
んだロングナップ、ボリュウム感、ぬめり感などの立毛
性状に優れたカシミア調の立毛シート素材であり、外衣
衣料素材として好適に用いられるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D06M 15/643 (56)参考文献 特開 昭57−193582(JP,A) 特開 昭56−31073(JP,A) 特開 昭59−101362(JP,A) 特開 昭58−126379(JP,A) 特開 昭53−61770(JP,A) 特開 平5−132878(JP,A) 実開 平1−102180(JP,U) 実開 昭53−56080(JP,U) 特公 昭40−23228(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06N 3/00 - 3/16 B32B 1/00 - 35/00 D03D 1/00 D06M 15/643 - 15/657

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】立毛形成繊維が強撚編織物の組織に実質的
    に入り込むことなく、該強撚編織物の組織間隙を貫通
    し、交絡一体化され、かつ高分子弾性体が実質的に強撚
    編織物の構成単位糸の隙間に存在しない状態下にて付与
    されてなる立毛シート状物であって、該立毛形成繊維が
    単糸繊度0.3〜2デニール、引張伸度30%以上、強
    度3g/d以上であるアクリル繊維からなり、立毛シー
    ト形成繊維の表面にアミノ変性シリコーンおよび/また
    はエポキシ変性シリコーンが付与され、かつKES風合
    測定法に基づく曲げ硬さが経緯とも0.15g/cm d
    eg以下で、かつ圧縮仕事回復性が40%以上であること
    を特徴とする立毛シート状物。
  2. 【請求項2】請求項1において、立毛形成繊維が糸−糸
    動摩擦係数が0.1〜0.3、糸−金動摩擦係数が0.
    2〜0.35であるアクリル繊維が用いられてなり、立
    毛シート形成繊維の表面にアミノ変性シリコーンおよび
    /またはエポキシ変性シリコーンが付与されていること
    を特徴とする立毛シート状物。
  3. 【請求項3】強撚編織物を構成する繊維が塩基性可染型
    ポリエステル繊維であって、かつ強撚糸の撚数が、50
    0T/m以上で4000T/m以下であることを特徴と
    する請求項1記載の立毛シート状物。
  4. 【請求項4】アミノ変性シリコーンおよび/またはエポ
    キシ変性シリコーンの付着量が立毛シート形成繊維に対
    して、0.5〜20対繊維重量%であることを特徴とす
    る請求項1または2記載の立毛シート状物。
  5. 【請求項5】立毛シート形成繊維がアミノ変性シリコー
    ンおよび/またはエポキシ変性シリコーンと風合調整剤
    が付与されており、該シリコーンと風合調整剤との固形
    分付量が1〜25重量%、その付量比率がシリコーン/
    風合調整剤=80/20〜50/50重量%であること
    を特徴とする請求項1、2または3記載の立毛シート状
    物。
  6. 【請求項6】高分子弾性体が、ゲル化点6以上のエステ
    ル系ポリウレタンであることを特徴とする請求項1また
    は2記載の立毛シート状物。
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