JP3096624B2 - 変速歯車装置とそれを備えた発電装置 - Google Patents

変速歯車装置とそれを備えた発電装置

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JP3096624B2 JP07255640A JP25564095A JP3096624B2 JP 3096624 B2 JP3096624 B2 JP 3096624B2 JP 07255640 A JP07255640 A JP 07255640A JP 25564095 A JP25564095 A JP 25564095A JP 3096624 B2 JP3096624 B2 JP 3096624B2
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健一 密本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種の産業用機
械や発電装置等において、主として変速の迅速性を要求
されない用途の動力伝達に用いられる変速歯車装置、例
えばガスタービンのような動力源と発電機の間に介在さ
れて発電周波数の切替えに使用される変速歯車装置とそ
れを備えた発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】商用電源の周波数は、地域によって50
サイクルまたは60サイクルが使われているので、可搬
型の発電装置においては、周波数の切替えが必要となる
場合がある。このような発電周波数の切替えは、一般に
動力源と発電機の間に介在させた変速手段で行われる。
前記用途の変速手段として、一般に、シフトフォークに
より歯車またはシンクロリンクを軸上で動かし、歯車の
組合せを変更することにより出力回転数の変更を行うも
のが使用されている。このような変速手段は、他の種々
の設備や装置においても用いられている。(例えば特公
平1−55339号公報参照)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シフトフォー
クを使用し、歯車またはシンクロリンクを移動させる場
合、回転体とフォークとが擦れ合って接触するため、高
速回転での使用ではフォークの摩耗が起き易い。また、
歯車を軸上で動かす場合、歯車はニードルベアリング等
で軸に支持されることになり、軸に固定できず、不安定
となる。そのため高速高馬力の用途には不向きである。
【0004】この発明は上記の課題を解消するものであ
り、回転体と伝達比切替え用のシフト手段等との回転摺
接箇所が無くて、高速回転でも摩耗が生じず、また歯車
と軸とが一体化可能で、大伝達力のときでも振動の発生
が少なく、安定性の良い変速歯車装置を提供することを
目的とする。この発明の他の目的は、電力周波数の切替
えを可能としながら、変速歯車装置における回転摺動部
の摩耗が発生せず、回転の安定性も良く、高出力にでき
る発電装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の変速歯車装置
は、入力軸と、出力軸と、必要に応じてこれら入力軸と
出力軸の間で動力伝達を行う中間軸とを備え、各軸に装
備された歯車を選択して噛み合わせることにより、入力
軸から出力軸へ動力を伝達する装置において、次の構成
としたものである。すなわち、まず、前記中間軸を回転
自在に支持したケーシングを歯車箱に対して前記中間軸
の軸方向に移動自在にかつ前記中間軸の回りに回転不能
取付け、このケーシング自体をシフト手段で移動させ
ることにより、ケーシングの移動に伴う中間軸の移動に
よって噛み合う歯車が選択されるようにしたものであ
る。
【0006】この構成によれば、歯車や軸等の回転体と
シフト手段等の回転摺動部がないから、高速回転におい
ても摩耗が発生しない。また、可動のケーシングで軸を
支持して軸ごと移動させるようにしているため、歯車を
軸に一体化させることができる。そのため、スプライン
やニードル軸受等を介して歯車を軸に連結するものと異
なり、伝達力の大きなときでも振動の発生が少なく、安
定性が良い。しかも構造が簡略化できる。
【0007】前記構成の変速歯車装置において、前記中
間軸をケーシングに支持する。このように可動のケーシ
ングに支持する軸を中間軸とすることで、入力軸および
出力軸の移動を不要とでき、そのため入力側および出力
側の装置との連結が行い易くなる。ここで、前記中間軸
が、入力軸に歯車連結された中間第1軸と、前記出力軸
に歯車連結され、かつ前記中間第1軸に軸方向へ摺動可
能な状態で回転連結された中間第2軸とを有し、この中
間第2軸が前記ケーシングに支持されるものとする。中
間第1軸と中間第2軸は、それらの中空部に挿入された
連結シャフトを介してスプライン連結させても良い。こ
のように構成することで、中間軸を可動としながら、そ
の構成を簡略化できる。
【0008】また、前記構成の変速歯車装置において、
ケーシングは、歯車箱に対してその移動方向の回りに回
転不能に設定され、前記シフト手段は前記歯車箱に回転
自在に支持されたものとし、かつ前記ケーシングにねじ
連結されたねじ体と、このねじ体を回転操作する操作部
とを備えたものとしても良い。これにより、シフト手段
の構成を簡略化できる。
【0009】この発明の発電装置は、前記構成の変速歯
車装置を用いたものであって、この変速歯車装置の入力
軸に連結された動力源と、前記出力軸に連結された発電
機とを備える。さらに、前記変速歯車装置は、電力の所
望の周波数に応じて選択噛合される複数の歯車列を有す
るものとする。また、上記構成の発電装置において、前
記変速歯車装置は、前記中間第1軸に歯車連結されて前
記動力源の補機を駆動する補機駆動軸を有するものとし
ても良い。このように移動しない中間第1軸に補機駆動
軸を歯車連結することで、補機への駆動力の取り出しが
行い易くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を、図面を
参照して説明する。図1はこの実施の形態にかかる発電
装置を示す概略構成図である。この発電装置は、発電機
1に変速歯車装置2を介して動力源3を連結して構成さ
れる。動力源3はガスタービンであり、圧縮機4で空気
を圧縮して燃焼器5の燃焼室に導くとともに、燃焼室内
に燃料を噴射して燃焼させ、その高温高圧の燃焼ガスで
タービン6を駆動させる。変速歯車装置2は、駆動源3
の回転を減速して発電機1に伝えると共に、駆動源3の
回転数を一定としたままで、発電機1で発電される電力
の周波数を50サイクルと60サイクルとに切替え可能
としたものである。
【0011】図2は変速歯車装置2の全体を示し、図3
はその主要部を拡大して示す。図2において、変速歯車
装置2は、歯車箱7内に互いに平行な入力軸8、出力軸
9、中間軸10、および補機駆動軸11を備える。入力
軸8は図1の駆動源3に連結され、出力軸9は発電機1
に連結される。歯車箱7は固定の内部ボス12を有し、
かつ可動のケーシング13が取付けられている。ケーシ
ング13は、後述のシフト手段16により、中間軸10
の軸方向に移動させられる。入力軸8は、中間に歯車1
4が一体に設けられた中空軸からなり、歯車箱7の片側
の壁部7aと内部ボス12とに軸受15を介して両端が
回転自在に支持されている。入力軸8は、前記壁部7a
に一端が露出している。出力軸9は、歯車箱7の入力軸
8と反対側の壁部7bから一端が突出し、壁部7bと内
部ボス12とに軸受17を介して回転自在に支持されて
いる。出力軸9には、互いに軸方向に離れて、60サイ
クル用の第1段歯車19と50サイクル用の第2段歯車
20とが固定されている。
【0012】中間軸10は、図3に示すように、位置固
定の中間第1軸10Aと、ケーシング13と共に軸方向
移動可能な中間第2軸10Bとからなり、両軸10A,
10Bはそれらの中空部に挿入された連結シャフト21
を介してスプライン連結されている。連結シャフト21
は、両端付近の外周にスプライン23が形成され、中間
第1軸10Aの内周に設けられたスプライン溝22Aと
中間第2軸10Bの内周に形成したスプライン溝22B
とに噛み合う。連結シャフト21は、押え部材40を介
して保持用ナット26により中間第1軸10Aに、軸方
向への相対移動不能に保持されている。中間第1軸10
Aは、歯車箱7の壁部7aと内部ボス12とに両端が軸
受24を介して回転自在に支持され、外周に設けられた
被伝達歯車25と前記歯車14との噛み合いにより、入
力軸8に歯車連結されている。中間第1軸10Aには、
被伝達歯車25と並んで補機駆動用歯車27が固定され
ている。
【0013】図2の補機駆動軸11は、両端で軸受29
を介して歯車箱7に回転自在に支持され、一端付近に設
けられた歯車28と上記補機駆動用歯車27との噛み合
いにより、中間第1軸10Aに歯車連結されている。補
機駆動軸11は、他端付近に補機駆動歯車30が設けて
あり、動力源3(図1)の補機31に回転伝達する。前
記補機31は、潤滑油のポンプ等である。中間第2軸1
0Bは、出力軸9の第1段および第2段歯車19,20
に各々係脱可能に噛み合う第1段駆動歯車32および第
2段駆動歯車33を並設したものであり、両端で軸受3
4を介して前記ケーシング13に回転自在に支持されて
いる。第1段駆動歯車32と第1段歯車19とで第1の
歯車列L1が構成され、第2段駆動歯車33と第1段歯
車20とで第2の歯車列L2が構成される。ケーシング
13は、出力軸9の各歯車19,20が入る窓13bの
形成された円筒状の部材であり、歯車箱7の内部ボス1
2および外壁ボス部7cに設けたガイド孔70に両端が
軸方向移動自在に嵌合している。ケーシング13は、外
周面の一端付近に平坦面部13aを有し、ボス部7cの
内面の平坦面部70aに係合して移動方向の回りに回転
不能とされている。
【0014】シフト手段16は、ねじジャッキ式のもの
であり、図3に示すねじ体35とこのねじ体35を回転
操作する操作部36とを備えている。ねじ体35は、歯
車箱7のボス部7cに支持部材38,39を介して回転
自在に支持され、かつケーシング13の端部に設けられ
た雌ねじ部材13cにねじ連結されている。ケーシング
13は平坦面部13aで歯車箱7に回転止めされている
ため、ねじ体35の回転により軸方向に移動する。操作
部36は、ねじ体35に取り付けられた多角形のボルト
頭状の部材からなり、レンチのような工具を係合させて
手動操作で回転可能としてある。なお、シフト手段16
は、モータ等の駆動源でケーシング13を移動させるも
のとしても良い。
【0015】上記構成の動作を説明する。図2,図3に
示す状態では、ケーシング13は歯車箱7の内部側へ移
動しており、出力軸9の第1段歯車19と中間軸10の
第1段駆動歯車32とが噛み合っている。すなわち、第
1の歯車列L1が選択噛合された状態にある。この状態
では、入力軸8に与えられた回転は、その外周の歯車1
4から、被伝達歯車25、中間第1軸10A、および連
結シャフト21を介して中間第2軸10Bに伝えられ、
第1の歯車列L1で出力軸9に伝えられる。したがっ
て、入力軸8に所定速度の回転を与えることにより、第
1の歯車列L1で設定した60サイクル向けの回転出力
が出力軸9から得られる。このとき、変速歯車装置2内
では、各歯車14,25,32,19を介することによ
り、回転速度の減速も行われる。
【0016】出力軸9から50サイクル用の回転速度を
得る場合は、入力軸8の回転を止めた状態で、シフト手
段16の操作部36を適宜の工具で回転させることによ
り、ねじ部材35を回転させ、ケーシング13を引き出
し方向(右方向)に移動させる。ケーシング13の移動
に伴い、これに設置されている中間第2軸10Bが軸方
向移動し、第1段駆動歯車32の噛み合いが外れて第2
段駆動歯車33が第2段歯車20に噛み合う。このよう
に調整した状態で、入力軸8を駆動することにより、第
2の歯車列L2で回転伝達され、出力軸9から50サイ
クルの発電用の回転出力が得られる。中間第1軸10A
と中間第2軸10Bとはスプライン連結されているた
め、中間第2軸10Bの移動にかかわらず、回転伝達が
行われる。また、補機駆動軸11は、中間第1軸10A
に歯車連結されているため、伝達比の切り替えにかかわ
らず、同じ速度で回転する。
【0017】この変速歯車装置2は、このように歯車や
軸等の回転体とシフト手段16等との回転摺動部がな
く、そのため高速回転においても摩耗が発生しない。ま
た、可動のケーシング13で中間第2軸10Bを支持し
て軸10Bごと移動させるようにしているため、歯車3
2,33を中間第2軸10Bに一体化させることができ
る。そのため、従来のスプラインやニードル軸受等を介
して歯車を軸に連結するものと異なり、伝達力の大きな
ときでも振動が少なくて回転の安定性が良く、しかも構
造が簡略化できる。したがって、発電機1とその動力源
3の間に介在させる減速用の変速歯車装置として、効果
的に使用できる。この変速歯車装置2では、回転中の変
速は難しいが、発電機1と動力源3の間に介在させる減
速装置として使用する場合は、頻繁な変速が行われるこ
とはなく、所望の変速比に設定したままで長時間使用さ
れるため、回転中の変速は必要でない。
【0018】なお、上記動力源3はガスタービンに限ら
れるものではなく、ディーゼル機関、蒸気タービン等、
各種の動力発生装置を用いることができる。
【0019】
【発明の効果】この発明の変速歯車装置は、軸を支持し
たケーシングを歯車箱に対して移動自在に取付け、前記
ケーシング自体を移動させることにより、軸の移動によ
って噛み合う歯車が選択されるようにしたものであるた
め、高速,高馬力の用途においても、摩耗が発生せず、
また転動の発生が少なく、回転の安定性が良い。この発
明の発電装置は、前記構成の変速歯車装置を備えたもの
であるため、電力周波数の切替えを可能としながら、変
速歯車装置における回転摺動部の摩耗が発生せず、振動
の発生も少なく、高出力とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかる発電装置を示す
概略構成図である。
【図2】同発電装置に装備された変速歯車装置の断面図
である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【符号の説明】
1…発電機、2…変速歯車装置、3…動力源、7…歯車
箱、8…入力軸、9…出力軸、10…中間軸、10A…
中間第1軸、10B…中間第2軸、11…補機駆動軸、
12…内部ボス、13…ケーシング、16…シフト手
段、19…第1段歯車、20…第2段歯車、21…連結
シャフト、22A,22B…スプライン溝、31…補
機、35…ねじ体、36…操作部、L1,L2…歯車
列。
フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭49−38871(JP,U) 実開 昭49−89574(JP,U) 実開 昭55−163561(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 3/22 F16H 63/04 H02K 7/116

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力軸と、出力軸と、必要に応じてこれ
    ら入力軸と出力軸の間で動力伝達を行う中間軸とを備
    え、 各軸に装備された歯車を選択して噛み合わせることによ
    り、入力軸から出力軸へ動力を伝達する変速歯車装置に
    おいて、 前記中間軸が、前記入力軸に歯車連結された中間第1軸
    と、前記出力軸に歯車連結され、かつ前記中間第1軸に
    軸方向へ摺動可能な状態で回転連結された中間第2軸と
    を有し、 この中間第2軸を回転自在に支持し、歯車箱に対して
    記中間軸の軸方向に移動自在にかつ前記中間軸の回りに
    回転不能に取付けられたケーシングと、このケーシング
    を移動させるシフト手段とを有し、 前記ケーシングの移動に伴う前記中間第2軸の移動によ
    って噛み合う歯車が選択されることを特徴とする変速歯
    車装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記中間第1軸と中
    間第2軸は、それらの中空部に挿入された連結シャフト
    を介してスプライン連結されている変速歯車装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、前記
    ケーシングは歯車箱に対してその移動方向の回りに回転
    不能に設定され、 前記シフト手段は、前記歯車箱に回転自在に支持され、
    かつケーシングにねじ連結されたねじ体と、このねじ体
    を回転操作する操作部とを備えている 変速歯車装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載の変速歯車装置と、この変速歯車装置の入力軸に連結
    された動力源と、前記出力軸に連結された発電機とを備
    え、前記変速歯車装置は、電力の所望の周波数に応じて
    選択噛合される複数の歯車列を有している発電装置
  5. 【請求項5】 請求項1記載の変速歯車装置と、この変
    速歯車装置の入力軸に連結された動力源と、前記出力軸
    に連結された発電機とを備え、前記変速歯車装置は、前
    記中間第1軸に歯車連結されて前記動力源の補機を駆動
    する補機駆動軸を有している発電装置
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