JP3096552U - 特にスパンデックス糸に適したボビン巻き取り機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパンデックス糸（Ｆ）などの弾性糸をボビ
ンに巻き取るボビン巻き取り機を提供する。 【解決手段】 ボビン保持スピンドル（Ａ）が固定軸
（Ｘ）を中心に回転自在に搭載され、複数の回転自在の
チューブ（Ｔ）を支持可能である。モータ駆動シリンダ
（Ｒ）がチューブ（Ｔ）上に巻き取られたボビン（Ｂ）
を摩擦により回転駆動する。トラバース装置（Ｚ）は糸
（Ｆ）をボビン（Ｂ）上に分散するためボビン軸と平行
に往復動する複数の可動式糸ガイド（Ｇ）を備える。ト
ラバース装置（Ｚ）はモータ駆動シリンダ（Ｒ）とボビ
ン保持スピンドル（Ａ）とは独立して上昇し、糸ガイド
（Ｇ）とボビン表面間との距離を増加させる。モータ駆
動シリンダ（Ｒ）はシリンダ（Ｒ）の外周表面の円弧
（Ｋ）に沿って糸（Ｆ）をボビン（Ｂ）上に供給するよ
う、ボビン保持スピンドル（Ａ）の上方で上流側に搭載
される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、縫い糸（thread）、織り糸（yarn）、特には「スパンデックス（Sp andex）」などの弾性糸に用いるボビン巻き取り機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

この技術分野に知られる巻き取り機は、形成されるボビンを摩擦によって回転 させるモータ駆動シリンダが使用されており、ボビンの軸と平行に直線状に交互 に往復動する糸ガイドを備えた糸分散装置によって糸がボビンに分散される。前 記糸分散装置は、前記糸ガイドと形成されるボビン表面との間の距離を増すため に定期的に離れる方向へ移動し、これによって盛り上がり（build up）を回避し ている。

【０００３】 当該技術とこの固有な問題をより良く理解するため、上述した形式の従来のボ ビン巻き取り機を以下に説明し、その概要を図３から図６に示す。

【０００４】 図３、４は、本願出願人による従来技術の例を表したもので、縫い糸及び織り 糸用のボビン巻き取り機の２つの異なるステップの概要を示している（例えば、 特許文献１参照。）。糸Ｆは、トラバース装置Ｚによって、水平スピンドルＡを 中心に回転可能なチューブＴ上に上方から供給される。モータ駆動シリンダＲが 、チューブＴ上に巻き取られるボビンを摩擦により回転させ、この間、トラバー ス装置Ｚの移動式糸ガイドＧが、スピンドルＡと平行に直線状経路を往復移動す る。ボビンＢの端末での盛り上がりを防ぐため、トラバース装置Ｚは、糸ガイド Ｇと巻き取られるボビン表面との間の距離を増すよう、定期的に引き上げられて ボビンＢから離れる方向に移動する。糸Ｆは、糸ガイドＧによってボビンＢ上に 直接供給され、ボビンの径が大きくなると、モータ駆動シリンダＲとの常時接触 を維持して矢印Ｃに沿って横方向へ移動する。図４は、糸分散装置が上昇した位 置にあることを示している。

【０００５】 特に弾性を有しない従来の糸が想定されている図３、４に示す構造は、スパン デックスなどの非常に弾性的な糸を巻き取るには適していない。糸はボビン上に 単にボビンの回転によって巻き取られており、これはトラバース装置とボビンの 表面で糸が会合する点との間で保持された糸に引っ張り力を発生させる。

【０００６】 この構造によるもう１つの限界は、ボビンとこれを制御するシリンダとのほぼ 水平方向の位置関係のため、ボビン巻き取り機用のスペースが十分に得られない 幾つもの巻き取りステーションでは、この形式の装置が使用できないという事実 にある。

【０００７】 図５、６に示すボビン巻き取り機は、この問題を解決するために紹介された。 ボビンＢのスピンドルＡは固定され、ボビンＢは横方向には移動することなく、 スピンドルＡを中心に回転のみが可能であり、一方、ボビンＢを回転させるシリ ンダＲはその上方に配置されて、トラバース装置Ｚと共に定期的に引き上げ可能 である。

【０００８】 この形式の構造では大きなスペースを必要としないため、図６からも明らかな ように、トラバース装置とモータ駆動シリンダが上昇すると、この制御シリンダ とボビンの間の接触が定期的に絶たれるという第１の欠点を有する。ボビンを連 続して回転させるには、ギアシステム（図示せず）を追加しなければならず、こ れによってボビン巻き取り機をより複雑にし、コストを上昇させる。

【０００９】 ２番目の欠点は、駆動シリンダとボビン表面との間の接触圧力が定期的に絶た れることによるもので、この解決策はこれまで見出されていない。実施時におい て、これは糸がボビンに均一に巻き取られないことを意味する。布織り工程中に 糸がボビンから巻き出される際、もし糸がボビンに均一に巻き取られていないと 、糸の引っ張りも均一でなくなり、織物に欠陥を生ずる原因となる。

【００１０】

【特許文献１】 伊国特許第１１５９４７５号明細書

【００１１】

【考案が解決しようとする課題】

したがって本考案の一般的な目的の１つは、特にスパンデックスをボビンに巻 き取るのに適し、従来技術に関して上述した問題点を解消するボビン巻き取り機 を提供することにある。

【００１２】 本考案の１つの特有の目的は、ボビンと駆動シリンダとの間の接触が一定圧力 となるように維持され、糸がほぼ均一な引っ張り力で巻き取られるようボビン上 にガイドされるボビン巻き取り機を提供することにある。

【００１３】 本考案の他の目的は、コンパクトな寸法で、従来モデルのボビン巻き取り機に 僅かな改造を加えるだけで製造が可能となるボビン巻き取り機を提供することに ある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】

上述した目的、およびその他の目的と利点とは、追って理解されるように、添 付の請求の範囲で定義された特性を有するボビン巻き取り機によって達成され、 提供される。

【００１５】

【考案の実施の形態】

好ましい、但し非限定的な本考案のボビン巻き取り機の実施の形態につき、図 面を参照して説明する。 図１において、縫い糸もしくは織り糸、特に「スパンデックス」糸のボビンを 形成するためのボビン巻き取り機は、固定された幾何学軸Ｘを中心に回転可能な 水平スピンドルＡを含んでいる。複数のチューブＴが既知の方法によりスピンド ルＡ上に長手方向に整列されて取付けられる。以下は１つのチューブと１つの巻 き取りステーションに関してのみ説明するが、これらのチューブが幾つもスピン ドルＡに取付けられることは明らかである。糸のボビンＢは、これらチューブの 各々の上に１つもしくはそれ以上の圧力シリンダＲ及びこれに対応するトラバー ス装置Ｚとによって巻き付けられる。各トラバース装置Ｚは、ボビンの軸Ｘと平 行して直線状の往復移動をする糸ガイドＧを備えている。

【００１６】 本明細書及び請求の範囲を通して、位置と方向に関する用語、表現は、このボ ビンの水平方向の軸Ｘに対するものであることは理解されねばならない。したが い、「長手方向」もしく「軸方向」の表現は軸Ｘに平行であり、「半径方向」の 表現は軸Ｘと直交する線もしくは移動であり、「横」の表現は、軸Ｘに直交する 面であることは理解されねばならない。

【００１７】 図１、２に示すような巻き取り機アセンブリの構造と操作特性とは、当該技術 分野で一般に知られたものである。したがって以下の詳細では、本考案が依拠す る原理に関して述べるものとする。詳細に表示されない部品、要素の製造に対し ては、例えばイタリア特許第１１５９４７５号などに開示された当該技術分野で 知られているどのボビン巻き取りアセンブリも参照され得る。

【００１８】 ボビンＢを回転させる圧力シリンダＲは、スピンドルＡの上方に位置するが、 但し、必ずしもスピンドルＡと同一の垂直面内に位置する必要はない。シリンダ Ｒは水平軸を有し、図示しないモータとギアシステムとによって回転駆動される 。

【００１９】 シリンダＲは中心軸Ｄを有し、この中心軸Ｄは、ボビンＢの水平軸（幾何学軸 ）Ｘを通る軸平面内でガイドＥに沿って移動可能なように搭載されている。シリ ンダＲは、押し付け手段（図示せず）と結合可能であり、シリンダの外周表面を ボビンの外周表面に一定の圧力を維持して保持するよう、この押し付け手段がシ リンダＲのシャフト（中心軸）Ｄをボビン支持用のスピンドルＡに向けて移動さ せる。このような押し付け手段がないときには、図１、２に示す実施の形態のよ うに、シリンダの自重によって一定の圧力によりボビンとの接触が維持される。

【００２０】 トラバース装置Ｚは垂直方向に、シリンダＲとは独立して、線形にもしくは振 動動作で移動可能であり、したがって定期的に駆動シリンダと形成されるボビン とから離れる方へ移動する（図２）ことができる。このトラバース装置Ｚの定期 的な上昇と下降の動作は、例えばイタリア特許第１１５９４７５号に開示されて いるような揺動システムによって実行され得る。しかしながらこのシステムは、 例えば流体ピストン・アセンブリなど、どのような同等のシステムによっても置 き換えることができる。

【００２１】 トラバース装置Ｚを移動させることによって、糸ガイドＧと前記シリンダ表面 との間の距離を変動させることができ、実施時にはこれによってボビンに巻き取 られる糸Ｆのフリー部分を変化させることができる。このフリー部分とは、糸ガ イドＧとシリンダＲとの間、すなわちボビン表面との間の部分である。

【００２２】 操業時、糸ＦはシリンダＲに接触して置かれ、ボビンが巻き取られるチューブ Ｔに搬送され、一方、糸ガイドＧは、ボビンの軸Ｘと平行に直線状の往復移動を する。ボビンＢの径が大きくなると、圧力シリンダＲはガイドＥ上をスライドし て段階的にボビンの中心軸に対して上昇する。これによりシリンダＲは、ボビン Ｂの表面と常時接触を続けることとなる。

【００２３】 トラバース装置Ｚは、ボビンＢを巻き取って形成するための時間の内、約７０ ％の間は下方位置（図１参照）に維持され、図示はされていないが上述した手段 によって定期的に上方位置（図２参照）に引き上げられ、巻き取り工程の約３０ ％の間はこの位置に維持される。

【００２４】 この方法は、糸ガイドＧの方向変換によって生ずるボビン端末での盛り上がり （build-up）もしくはパッキング（packing）をなくすことができる。というの は、糸ガイドＧとシリンダＲの表面と間の距離が増加するたびに、糸はボビンの より短い長さの上に巻かれるからである。これは糸ＦがボビンＢの端末に蓄積さ せることを防ぎ、巻き取り作業の完了時においてボビンの外側表面をスムースに 平坦に、事実、ほぼ円筒状になることを確実にする。

【００２５】 本考案にかかる構造の１つの重要な特徴は、ボビンの回転を制御するときにボ ビン表面に一定の圧力を作用させることに加え、圧力シリンダＲもまた、糸をボ ビン上に供給する「積極的な」作用を果たしていることである。この同じモータ 駆動のシリンダＲは、接触円弧Ｋの間で糸をその表面に保持し、摩擦によってボ ビン上にガイドしている。この構成は、大きな牽引力が糸ガイドＧとボビンとの 間にある糸の部分に作用することを防いでいる。

【００２６】 出願人が実施したテストによれば、このようにトラバース装置Ｚが上昇したと きにおいてもほぼ同じ位置に留まるシリンダＲを利用して「ガイドされた」方法 でボビン上に糸を供給することが、ボビンに巻き取られる糸の引っ張り力を極め て均一にするという優れた結果を示している。

【００２７】 この構造は、ボビンに巻き取られる糸が均一な層になり、ほぼ引っ張り力の変 化がないことは理解されよう。これは、糸がボビンから巻き出されて織物に編み 込まれるときには、本明細書の冒頭部分に示したような類の欠陥をほとんど発生 させないことを意味する点は理解されよう。

【００２８】

【考案の効果】

本考案の実施によれば、特にスパンデックス等の弾性糸のボビン巻き取りにも 適し、ボビンと駆動シリンダとの間の接触が一定圧力となるように維持されて糸 がほぼ均一な引っ張り力で巻き取られることを可能にし、コンパクトな寸法で、 従来のボビン巻き取り機に僅かな改造を加えるだけで製造が可能となるボビン巻 き取り機を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案にかかるボビン巻き取り機の側面概略
図である。

【図２】 図１に示すボビン巻き取り機の異なる稼動状
態を示す側面概略図である。

【図３】 本明細書の冒頭に記す第１の従来技術による
ボビン巻き取り機を示す側面概略図である。

【図４】 図３に示すボビン巻き取り機の異なる稼動状
態を示す側面概略図である。

【図５】 本明細書の冒頭に記す第２の従来技術による
ボビン巻き取り機を示す側面概略図である。

【図６】 図５に示すボビン巻き取り機の異なる稼動状
態を示す側面概略図である。

【符号の説明】

Ａ．スピンドル、 Ｂ．ボビン、 Ｄ．シリンダ中心
軸、 Ｅ．ガイド、 Ｆ．糸、 Ｇ．糸ガイド、 Ｋ．
接触円弧、 Ｒ．モータ駆動シリンダ（圧力シリン
ダ）、 Ｔ．チューブ、 Ｘ．幾何学軸（ボビンの
軸）、 Ｚ．トラバース装置。

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成１５年４月２５日（２００３．４．２
５）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項１

【補正方法】変更

【補正内容】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 アルベルト・コモリ イタリア、イ−28836ジニェセ（ヴェルバ ニア）、ストラーダ・ロニョニ25番

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 特にはスパンデックス糸（Ｆ）を巻き取
   る、ボビン巻き取り機であって、 回転自在の複数のチューブ（Ｔ）を保持するボビン保持
   スピンドル（Ａ）と、前記チューブ（Ｔ）上に巻き取ら
   れるボビン（Ｂ）を摩擦により回転駆動するモータ駆動
   シリンダ（Ｒ）と、 糸（Ｆ）をボビン（Ｂ）上に分散させるために前記ボビ
   ンの軸と平行に往復して直線移動可能な複数の可動式糸
   ガイド（Ｇ）を備え、前記ボビンから定期的に離れる方
   向に移動することができ、これによって前記糸ガイド
   （Ｇ）と前記巻き取られるボビン表面との間の距離を増
   加させるトラバース装置（Ｚ）とを含み、前記ボビン保
   持スピンドル（Ａ）が、固定された幾何学軸（Ｘ）を中
   心に回転可能に搭載され、 前記トラバース装置（Ｚ）が、前記モータ駆動シリンダ
   （Ｒ）及び前記ボビン保持スピンドル（Ａ）とは独立し
   て定期的に上昇することができ、 前記モータ駆動シリンダ（Ｒ）は、前記シリンダ（Ｒ）
   の外周表面の円弧（Ｋ）に沿って糸（Ｆ）を前記ボビン
   （Ｂ）上に供給できるよう、前記ボビン保持スピンドル
   （Ａ）の上方で下流側に搭載されていることを特徴とす
   るボビン巻き取り機。
2. 【請求項２】 前記モータ駆動シリンダ（Ｒ）が、前記
   ボビン保持スピンドル（Ａ）上で垂直に移動可能に搭載
   されていることを特徴とする、請求項１に記載のボビン
   巻き取り機。
3. 【請求項３】 前記モータ駆動シリンダ（Ｒ）が、前記
   ボビン（Ｂ）の直径が増加すると、前記駆動シリンダ
   （Ｒ）が前記ボビン保持スピンドル（Ａ）に対して徐々
   に持ち上げられ、これによって前記ボビン（Ｂ）の表面
   との常時接触を維持するように搭載されていることを特
   徴とする、請求項１に記載のボビン巻き取り機。
4. 【請求項４】 前記モータ駆動シリンダ（Ｒ）が、垂直
   ガイド（Ｅ）に搭載されていることを特徴とする、請求
   項２に記載のボビン巻き取り機。