JP3096307B2 - ポリ(アリーレンスルフィドスルホン)の製造法 - Google Patents

ポリ(アリーレンスルフィドスルホン)の製造法

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    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G75/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing sulfur with or without nitrogen, oxygen, or carbon in the main chain of the macromolecule
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリ(アリーレンスルフ
ィドスルホン)の製造に関する。ある1つの態様におい
ては,本発明はポリ(フェニレンスルフィドスルホン)
の製造に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ(アリーレンスルフィドスルホン)
は,ガラス転移温度が高く且つ耐薬品性が良いことか
ら,フィルム,繊維,成形品,及び複合材料等の用途向
けとして工業的に注目されているエンジニアリングサー
モプラスチックである。
【0003】ポリ(アリーレンスルフィドスルホン)を
製造するための一般的方法は公知である。米国特許第
4,016,145号明細書は,アルカリ金属カルボキ
シレートと有機アミドの存在下にて,ビス(4−クロロ
フェニル)スルホンのようなジハロ芳香族スルホンとア
ルカリ金属硫化物とを反応させることによってポリ(ア
リーレンスルフィドスルホン)を製造することを開示し
ている。米国特許第4,301,274号明細書は,有
機アミド及び必要に応じてアルカリ金属カルボキシレー
トを存在させて,ビス(4−クロロフェニル)スルホン
のようなジハロ芳香族スルホンとアルカリ金属硫化物と
を反応させることによってポリ(アリーレンスルフィド
スルホン)を製造することを開示しており,該製造法の
場合,イオウ源としてのアルカリ金属水硫化物と塩基と
してのアルカリ金属水酸化物とを反応させることによっ
てアルカリ金属硫化物が生成される。これらの特許によ
り重要且つ有益な技術進歩がもたらされたけれども,ア
ルカリ金属硫化物を使用した場合につきものの問題を生
じることなくポリ(アリーレンスルフィドスルホン)を
得ることのできる製造法が必要とされている。例えば,
アルカリ金属硫化物がアルカリ金属水硫化物とアルカリ
金属水酸化物との反応から得られるとしても,アルカリ
金属硫化物の使用は,重合反応器及び/又はアルカリ金
属硫化物反応器に対する腐食を増大させる。本発明によ
れば,塩基として作用すると考えられるアルカリ金属カ
ルボキシレートを使用することにより,かなり温和な反
応条件が得られ,従って腐食の程度が少なくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,塩基
として作用すると考えられるアルカリ金属カルボキシレ
ートを使用することによって高分子量のポリ(アリーレ
ンスルフィドスルホン)を製造する方法を提供すること
にある。本発明の他の目的は,アルカリ金属カルボキシ
レートを使用することによって腐食性の少ないポリ(ア
リーレンスルフィドスルホン)を製造する方法を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,少なく
とも1種のジハロ芳香族スルホン,少なくとも1種の有
機アミド,少なくとも1種の塩基の存在を必要とする少
なくとも1種のイオウ含有化合物,水,及び少なくとも
1種のアルカリ金属カルボキシレートを接触させること
からなるポリ(アリーレンスルフィドスルホン)の製造
法が提供される。アルカリ金属カルボキシレートは,重
合プロセスにおいて塩基として作用すると考えられる。
【0006】本発明は,(a)少なくとも1種のジハロ
芳香族スルホン;(b)少なくとも1種の有機アミド;
(c)アルカリ金属水硫化物,硫化水素,及びN−メチ
ルー2−ピロリジンチオンからなる群から選ばれる少な
くとも1種のイオウ含有化合物;(d)水;並びに
(e)少なくとも1種のアルカリ金属カルボキシレー
ト;を接触させることからなるポリ(アリーレンスルフ
ィドスルホン)ポリマーの製造法に関する。本発明に従
って製造されたポリ(アリーレンスルフィドスルホン)
は回収が容易であり,フィルム,繊維,成形品,及び複
合材料等の用途向けに好適である。本発明に従って製造
されたポリ(アリーレンスルフィドスルホン)は,分子
量を高めるための硬化工程を行う必要なく上記のような
用途に直接使用できるだけの充分に高い分子量(メルト
フローの測定による)を有する。
【0007】メルトフローは,ポリ(アリーレンスルフ
ィドスルホン)の特性付けに特に有用な分子量決定の尺
度である。ポリマー材料全般に対し,そして特にポリ
(アリーレンスルフィドスルホン)に対しては,メルト
フローの大小と分子量の大小とは逆の関係にある,と一
般には考えられている。本明細書にて使用している“メ
ルトフロー”とは,5分の予備加熱時間を使用するよう
修正された条件343/5・0を使用してASTM D
1238−86に従って測定した,10分当たりのグラ
ム数で表したポリマー流量を言う。
【0008】本発明の製造法において使用されるジハロ
芳香族スルホンは,式
【0009】
【化6】 (式中,各Xはフッ素,塩素,臭素,及びヨウ素からな
る群から選ばれ;Zは
【0010】
【化7】
【0011】
【化8】 及び
【0012】
【化9】 からなる群から選ばれる二価の基であり;mは0又は1
であり;nは0又は1であり;Aは酸素,イオウ,スル
ホニル,及びCRからなる群から選ばれ;そして各R
は,水素及び1〜約4個の炭素原子を有するアルキル基
からなる群から選ばれ,分子中の全R基における炭素原
子の総数が0〜約12である)で示すことができる。好
ましくは,mが0であるときは,本発明のジハロ芳香族
スルホンは式
【0013】
【化10】 で示され,そしてmが1であるときは,nは0であり,
本発明ジハロ芳香族スルホンは式
【0014】
【化11】 (式中,各Xはフッ素,塩素,臭素,及びヨウ素からな
る群から選ばれ;各Rは水素及び1〜約4個の炭素原子
を有するアルキル基からなる群から選ばれ,分子中の全
R基における炭素原子の総数が0〜約12である)で示
される。
【0015】本発明の製造法において使用することので
きるジハロ芳香族スルホンのいくつかの例としては,ビ
ス(4−フロオロフェニル)スルホン,ビス(4−クロ
ロフェニル)スルホン,ビス(4−ブロモフェニル)ス
ルホン,ビス(4−ヨードフェニル)スルホン,p−ク
ロロフェニル・p−ブロモフェニルスルホン,p−ヨー
ドフェニル・3−メチル−4−フルオロフェニルスルホ
ン,ビス(2−メチル−4−クロロフェニル)スルホ
ン,ビス(2,5−ジエチル−4−ブロモフェニル)ス
ルホン,ビス(3−イソプロピル−4−ヨードフェニ
ル)スルホン,ビス(2,5−ジプロピル−4−クロロ
フェニル)スルホン,ビス(2−ブチル−4−フルオロ
フェニル)スルホン,ビス(2,3,5,6−テトラメ
チル−4−クロロフェニル)スルホン,2−イソブチル
−4−クロロフェニル・3−ブチル−4−ブロモフェニ
ルスルホン,1,4−ビス(p−クロロフェニルスルホ
ニル)ベンゼン,1−メチル−2,4−ビス(p−フル
オロフェニルスルホニル)ベンゼン,2,6−ビス(p
−ブロモフェニルスルホニル)ナフタレン,7−エチル
−1,5−ビス(p−ヨードフェニルスルホニル)ナフ
タレン,4,4′−ビス(p−クロロフェニルスルホニ
ル)ビフェニル,ビス〔p−(p−ブロモフェニルスル
ホニル)フェニル〕エーテル,ビス〔p−(p−クロロ
フェニルスルホニル)フェニル〕スルフィド,ビス〔p
−(p−クロロフェニルスルホニル)フェニル〕スルホ
ン,ビス〔p−(p−ブロモフェニルスルホニル)フェ
ニル〕メタン,5,5−ビス〔3−エチル−4−(p−
クロロフェニルスルホニル)フェニル〕ノナン,これら
の類縁体,及びこれらの混合物等がある。現時点におい
て好ましいジハロ芳香族スルホンは,その有効性と商業
的入手性の点から,ビス(4−クロロフェニル)スルホ
ンである。
【0016】本発明において使用されるジハロ芳香族ス
ルホンの量は,イオウ含有化合物の使用量により異な
る。ジハロ芳香族スルホンの量は,ジハロ芳香族スルホ
ン対イオウ含有化合物のモル比として表わすことがで
き,通常は約0.7:1〜約1.3:1である。このモ
ル比は,約0.9:1〜約1.15:1であるのが好ま
しい。
【0017】本発明の製造法において使用される有機ア
ミドは,適用される反応温度及び反応圧力にて実質的に
液体でなければならない。本アミドは,環状であっても
非環式であってもよく,1分子当たり1〜約10個の炭
素原子を有することができる。適切なアミドのいくつか
の例としては,ホルムアミド,アセトアミド,N−メチ
ルホルムアミド,N,N−ジメチルホルムアミド,N,
N−ジメチルアセトアミド,N−エチルプロピオンアミ
ド,N,N−ジプロピルブチルアミド,2−ピロリド
ン,N−メチル−2−ピロリドン,ε−カプロラクタ
ム,N−メチル−ε−カプロラクタム,N−エチル−2
−ピロリドン,N−シクロへキシル−2−ピロリドン,
N−ドデシル−3−オクチル−2−ピロリドン,N,
N′−エチレンジ−2−ピロリドン,ヘキサメチルホス
ホルアミド,これらの類縁体,及びこれらの混合物等が
ある。
【0018】本発明に従って使用される有機アミドの量
は,使用されるイオウ含有化合物を基準としたモル比と
して表わすことができる。有機アミド対イオウ含有化合
物のモル比は,一般には約2:1〜約24:1,好まし
くは約4:1〜約16:1である。良好な結果が得られ
ること,及び入手しやすいことから,N−メチル−2−
ピロリドンが特に好ましい。
【0019】本発明によれば,ポリ(アリーレンスルフ
ィドスルホン)の製造において使用することのできる適
切なイオウ含有化合物は,アルカリ金属水硫化物,硫化
水素,及びN−メチル−2−ピロリジンチオンからなる
群から選ぶことができる。適切なアルカリ金属水硫化物
としては,水硫化リチウム,水硫化ナトリウム,水硫化
カリウム,水硫化ルビジウム,水硫化セシウム,及びこ
れらの混合物等がある。入手しやすいこと及び良好な結
果が得られることから,水硫化ナトリウムが好ましい。
本発明の製造法においては,アルカリ金属水硫化物は,
水溶液として使用するのが適切である。例えば,約60
重量%の水硫化ナトリウムを含んだ水硫化ナトリウム水
溶液を使用するのが適切である。
【0020】本発明に従って使用される水の量は,使用
される有機アミドを基準としたモル比として表わすこと
ができる。有機アミド対水のモル比は,通常は約0.
4:1〜約2:1,好ましくは約0.45:1〜約1.
6;1,そして最も好ましくは約0.5:1〜約1.
3:1である。
【0021】本発明の製造法において使用することので
きるアルカリ金属カルボキシレートは式 R’CO
で表わされ,このときR’はアルキル,シクロアルキ
ル,アリール,及びこれらの組合せ.(例えば,アルカ
リール,アラルキル,及びこれらの類似体)から選ばれ
るヒドロカルビル基である。前記R’における炭素原子
の数は約1〜約20の範囲内であり,Mはリチウム,ナ
トリウム,カリウム,ルビジウム,及びセシウムから選
ばれるアルカリ金属である。
【0022】本発明の製造法において使用することので
きるアルカリ金属カルボキシレートのいくつかの例とし
ては,酢酸リチウム,酢酸ナトリウム,酢酸カリウム,
プロピオン酸リチウム,プロピオン酸ナトリウム,2−
メチル−プロピオン酸リチウム,酪酸ルビジウム,吉草
酸リチウム,吉草酸ナトリウム,ヘキサン酸セシウム,
ヘプタン酸リチウム,2−メチル−オクタン酸リチウ
ム,ドデカン酸カリウム,4−エチル−テトラデカン酸
ルビジウム,オクタデカン酸ナトリウム,ヘンエイコサ
ン酸ナトリウム,シクロヘキサンカルボン酸リチウム,
シクロドデカンカルボン酸セシウム,3−メチル−シク
ロペンタンカルボン酸ナトリウム,シクロヘキシル酢酸
カリウム,安息香酸カリウム,安息香酸リチウム,安息
香酸ナトリウム,m−トルイル酸カリウム,フェニル酢
酸リチウム,4−フェニル−シクロヘキサンカルボン酸
ナトリウム,p−トリル酢酸カリウム,4−エチル−シ
クロヘキシル酢酸リチウム,これらの類縁体,及びこれ
らの混合物等がある。現時点において好ましいアルカリ
金属カルボキシレートは,その有効性と商業的入手性の
点から酢酸ナトリウムである。
【0023】本発明によれば,使用されるアルカリ金属
カルボキシレートは,少なくとも1種の塩基の存在を必
要とするイオウ含有化合物に対する塩基として作用する
と考えられる。本発明に従って使用されるアルカリ金属
カルボキシレートの量は,使用されるイオウ含有化合物
を基準としたモル比として表わすことができる。アルカ
リ金属カルボキシレート対イオウ含有化合物のモル比
は,通常は約0.5:1〜約4:1,好ましくは約0.
9:1〜約2:1,そして最も好ましくは約0.95:
1〜約1.05:1である。
【0024】本発明の製造法において使用される種々の
化合物の仕込み順序は,必要に応じて変えることができ
る。1つの好ましい方法は,撹拌手段を備えた適切な反
応容器に,室温にて全ての化合物を単に所望の順序で仕
込み,撹拌しながら本混合物を所望の反応温度に加熱
し,そして本混合物を前記温度にて所望時間保持する,
という方法である。ある特定の化合物だけの混合物を別
個の容器にて予備加熱しておき,次いでこの混合物を,
反応容器中の残りの化合物からなる予備加熱された混合
物中に仕込む,という方法も可能である。重合を起こさ
せることのできる反応温度はかなり広い範囲にわたって
いるが,通常は約120℃〜約240℃の範囲内,好ま
しくは約185℃〜約225℃の範囲内である。反応時
間は,一部には使用される反応温度に応じて大きく変わ
りうるが,一般には約10分〜約72時間の範囲内,好
ましくは約1時間〜約4時間の範囲である。圧力は,存
在するジハロ芳香族スルホンと他の有機・無機化合物と
を実質的に液相中に保持するに足る圧力でなければなら
ない。
【0025】本発明の製造法によって得られるポリ(ア
リーレンスルフィドスルホン)は粒状形態であり,従来
法−例えば,反応混合物を濾過してポリマーを回収し,
次いで水で少なくとも1回洗浄する−によって反応混合
物から分離することができる。現時点における好ましい
回収方法では,高温の反応混合吻を水と有機アミドとの
混合物で希釈し,次いでこの希釈混合物を攪拌しながら
冷却する。次いで分離したポリマー粒子を,好ましくは
洗浄の少なくとも一部を約120℃〜約250℃の範囲
内の高温にて行うという形で水で洗浄し,そして乾燥を
行って,射出成形のような溶融処理操作の条件下で良好
なメルトフロー安定性を示すだけでなく,灰分形成物質
が少なくて且つ比較的明色を有するポリマーを得る。回
収したポリ(アリーレンスルフィドスルホン)の上記処
理中,前記高温洗浄工程においては,アルカリ金属水酸
化物(例えば水酸化ナトリウム)を使用した高温洗浄
を,次いでカルシウム塩(例えば塩化カルシウムや酢酸
カルシウム)を使用した高温洗浄を行う。またこれとは
別に,現時点では,回収したポリ(アリーレンスルフィ
ドスルホン)の処理に対し,上記の高温洗浄工程のうち
の少なくとも1回の洗浄工程においてカルボン酸亜鉛塩
を使用するのが好ましい。
【0026】本発明の製造法によって得られるポリ(ア
リーレンスルフィドスルホン)は,充填剤,繊維,顔
料,増量剤,及び他のポリマー等とブレンドすることが
できる。ポリ(アリーレンスルフィドスルホン)に対し
ては,高い熱安定性と良好な耐薬品性を有する硬化生成
物が得られるようキュアーを施すことができ,このとき
キュアーは,ポリマー乾燥工程後の,酸素含有雰囲気の
存在下にてポリマーを熱処理することを含む別個の処理
工程であると定義される。好ましい酸素含有雰囲気は空
気である。本発明のポリ(アリーレンスルフィドスルホ
ン)は,フィルム,繊維,成形品,及び複合材料等の製
造に対して有用である。
【0027】実施例1 ポリ(フェニレンスルフィドスルホン)(PPSS)の
製造につき,2ガロンの高速撹拌反応器中で一連の重合
実験を行った。これらの重合実験に対する重合処方を以
下に示す。
【0028】
【0029】各実験において,反応器中にBCPS,N
aSH,NMP,HO,及び必要に応じてNaOAc
を仕込んだ。反応器をシールとして撹拌を開始し,そし
て窒素を使用した3回の加圧−放出サイクルによって脱
酸素化を行った。使用した重合温度分布は次の通りであ
る:(1)温度を120℃に上げ,該温度に1時間保持
する,(2)温度を160℃に上げ,該温度に45分間
保持する,(3)温度を190℃に上げ,該温度に15
分間保持する,そして(4)温度を195℃に上げ,該
温度に2時間保持する。この時点で加熱を停止し,反応
混合物をゆっくりと冷却した。
【0030】PPSS反応混合物を反応器から取り出
し,ワリングブレンダー(Waring blende
r)中に入れた。反応混合物中のポリマーをワリングブ
レンダー中で粉砕し,反応混合物を濾過した。次いで8
0〜100℃の水道水でポリマーを再スラリー化して濾
過し,これを3回繰り返した。最終洗浄後の濾過ケーク
を,3000mlの脱イオン水及び30gの水酸化ナト
リウム(NaOH)ペレットと共に,反応器中に仕込ん
だ。反応器をシールして撹拌を開始し,そして窒素を使
用した3回の加圧−放出サイクルによって脱酸素化を行
った。スラリーの温度を120℃に上げ,そしてスラリ
ーを冷却した。次いでスラリーを濾過し,得られた濾過
ケークを数容の室温脱イオン水ですすぎ洗いした。この
濾過ケークを,3000mlの脱イオン水及び150g
の塩化カルシウム(CaCl)と共に,反応器中に仕
込んだ。反応器をシールして撹拌を開始し,そして窒素
を使用した3回の加圧−放出サイクルによって脱酸素化
を行った。スラリーの温度を185℃に上げ,該温度に
30分保持し,次いでスラリーを冷却した。スラリーを
濾過し,得られた濾過ケークを数容の室温脱イオン水で
すすぎ洗いした。次いで濾過ケークをアセトンですすぎ
洗いし,強制空気循環炉中で乾燥し,そしてサンプルの
メルトフローを試験した。得られた結果を表1に示す。
【0031】
【表1】 表1に示されている結果から,高分子量(メルトフロー
の測定より)を有するPPSSは,酢酸ナトリウムを単
独の塩基として使用して得ることができるが,酢酸ナト
リウムを使用しない場合は(実験1〜4対実験5),回
収可能なPPSSが得られないことがわかる
【0032】実験1〜3は,重合濃度を変えたときの,
すなわちNMP/NaSHのモル比を変えたときの影響
について比較している。より高い重合濃度(すなわちよ
り小さなNMP/NaSHのモル比)(実験2)にて得
られたポリマーは,実験1の場合より分子量が大きい
(メルトフローの値がより小さいことからわかる)。実
験2のポリマーはメルトフローの値が0であり,このこ
とは,溶融状態のポリマーの粘度がかなり高いためにポ
リマーがメルトフロー装置から流れ出ないことを示して
いる。より低い重合濃度(すなわちより大きなNMP/
NaSHのモル比)(実験3)にて得られたポリマー
は,実験1の場合より分子量が小さい(メルトフローの
値がより大きいことからわかる)。実験1と実験4は,
NaSH/BCPSのモル比を変えたときの分子量に及
ぼす影響について比較している。NaSH/BCPSの
モル比を小さくすると(実験4),実験1の場合より小
さな分子量のポリマーが得られる(メルトフローの値が
より大きいことからわかる)。従って上記の結果から,
ポリ(アリーレンスルフィドスルホン)の重合におい
て,アルカリ金属カルボキシレートを単独の塩基として
使用すると,良好な結果が得られることがわかる。さら
に上記の結果から,種々の化学量論的な条件下にて,ポ
リ(アリーレンスルフィドスルホン)の重合に対し,ア
ルカリ金属カルボキシレートを単独の塩基として有効に
使用できることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジョン・フレデリック・ゲイベル アメリカ合衆国オクラホマ州バートルズ ヴィル,マウンテン・ロード 2600 (56)参考文献 特開 平1−110533(JP,A) 特開 平1−242624(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 75/00 - 75/32 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 少なくとも1種のジハロ芳香族
    スルホン; (b) 少なくとも1種の有機アミド; (c) アルカリ金属水硫化物,硫化水素,及びN−メ
    チルー2−ピロリジ ンチオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオ
    ウ含有化合物; (d) 水;及び (e) 少なくとも1種のアルカリ金属カルボキシレー
    ト; を接触させることからなり、前記アルカリ金属カルボキ
    シレートを単独の塩基として使用することを特徴とする
    ポリ(アリーレンスルフィドスルホン)の製造法。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ金属カルボキシレートが式 R’CO2M (式中,R’は1〜20個の炭素原子を有するヒドロカ
    ルビル基であり,Mはアルカリ金属である)で示され
    る,請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 前記アルカリ金属カルボキシレート対前
    記イオウ含有化合物のモル比が0.5:1〜4:1であ
    る,請求項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ金属カルボキシレート対前
    記イオウ含有化合物のモル比が0.9:1〜2:1であ
    る,請求項3記載の製造法。
  5. 【請求項5】 前記ジハロ芳香族スルホン対前記イオウ
    含有化合物のモル比が0.7:1〜1.3:1である,
    請求項3記載の製造法。
  6. 【請求項6】 前記有機アミド対前記イオウ含有化合物
    のモル比が2:1〜24:1である,請求項5記載の製
    造法。
  7. 【請求項7】 前記有機アミド対前記水のモル比が0.
    4:1〜2:1である,請求項6記載の製造法。
  8. 【請求項8】 前記ジハロ芳香族スルホンが式 【化1】 (式中,各Xはフッ素,塩素,臭素,及びヨウ素からな
    る群から選ばれ;Zは 【化2】 【化3】 及び 【化4】 からなる群から選ばれる二価の基であり;mは0又は1
    であり;nは0又は1であり;Aは酸素,イオウ,スル
    ホニル,及びCR2からなる群から選ばれ;そして各R
    は水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキル基から
    なる群から選ばれ,分子中の全R基における炭素原子の
    総数が0〜12である)で示される,請求項7記載の製
    造法。
  9. 【請求項9】 前記有機アミドが,1分子当たり1〜1
    0個の炭素原子を有する環状有機アミドと非環式有機ア
    ミドとからなる群から選ばれる,請求項8記載の製造
    法。
  10. 【請求項10】 前記アルカリ金属カルボキシレートが
    酢酸ナトリウムである,請求項9記載の製造法。
  11. 【請求項11】 mが0であり,前記ジハロ芳香族スル
    ホンが式 【化5】 (式中,各Xはフッ素,塩素,臭素,及びヨウ素からな
    る群から選ばれ;各Rは水素及び1〜4個の炭素原子を
    有するアルキル基からなる群から選ばれ,分子中の全R
    基における炭素原子の総数が0〜12である)で示され
    る,請求項10記載の製造法。
  12. 【請求項12】 前記ポリ(アリーレンスルフィドスル
    ホン)がポリ(フェニレンスルフィドスルホン)であ
    る,請求項11記載の製造法。
  13. 【請求項13】 (a) ビス(4−クロロフェニル)
    スルホン; (b) N−メチル−2−ピロリドン; (c) 水硫化ナトリウム; (d) 水;及び (e) 酢酸ナトリウム; を接触させることからなり、前記酢酸ナトリウムを単独
    の塩基として使用することを特徴とするポリ(フェニレ
    ンスルフィドスルホン)の製造法。
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