JP3096250B2 - 植物性生鮮食料品の鮮度保持方法 - Google Patents

植物性生鮮食料品の鮮度保持方法

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JP3096250B2 JP29990196A JP29990196A JP3096250B2 JP 3096250 B2 JP3096250 B2 JP 3096250B2 JP 29990196 A JP29990196 A JP 29990196A JP 29990196 A JP29990196 A JP 29990196A JP 3096250 B2 JP3096250 B2 JP 3096250B2
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  • Storage Of Fruits Or Vegetables (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輸送又は貯蔵中に
起こる果実や野菜等の植物性生鮮食品の変色や柔軟化
等の自動劣化を遅らせ、保存性を高め、加えて汚染菌に
よる品質の低下を予防するのにも有効で、安全性の高い
野菜・果実等の植物性生鮮食品の鮮度保持方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、野菜及び果実等の植物性生鮮
食料品(以下では単に生鮮食料品と記すことがある。)
は、市場への供給効率を高める必要性から、それらの鮮
度保持技術の向上が要望されてきた。例えば、低温貯
蔵、ガス濃度の調整と冷蔵を組み合わせて貯蔵するCA
(Controlled Atomosphere)貯蔵、フイルムによる包装
貯蔵等が開発されてきたが、前二者は貯蔵のための経費
が上昇するために、経済的な理由から導入が困難な場合
が多く、未だ実用的な方法とは言い難い。
【0003】フイルムによる包装の場合は、冷蔵と併用
する場合には良いが、常温で保存する場合には、野菜や
果実等の生鮮食料品自らが鮮度の劣化を促進するエチレ
ンという物質を生成してしまうので、野菜や果実等の生
鮮食料品周辺のエチレン濃度が高まり、かえって鮮度保
持効果がマイナスになる可能性もある。又、冷蔵と併用
する場合においても前者の経済的問題は未解決のままで
ある。
【0004】野菜や果実等の生鮮食料品を比較的安価に
その鮮度を保持する手段として様々な鮮度保持剤の使用
も考えられて来た。これらの鮮度保持剤の大部分は、鮮
度劣化の原因とされるエチレンの除去を目的としたもの
であるが、効果が不十分なものが多く、実用的には、普
遍的な条件下においてエチレン濃度を有効に減少させる
エチレン除去剤が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】(エチレン濃度の
低減) 野菜や果実等の生鮮食料品の鮮度保持を少ない経済的負
担で達成するためには、鮮度保持剤の使用が考えられ
る。鮮度保持剤が具備すべき条件としては、第一に、鮮
度劣化の主原因と思われるエチレンの作用を軽減する効
果を有することが挙げられる。一般に、野菜や果実等の
生鮮食料品は自らがエチレンを発生させ、自身と同じ雰
囲気に存在する野菜や果実等の生鮮食料品の鮮度劣化を
促進させることが知られている。野菜・果実等の生鮮食
品が存在する雰囲気のエチレン濃度を減少させるには、
エチレンを除去する方法と、エチレンの発生を抑制する
方法とが考えられる。
【0006】エチレンを除去する方法には、触媒や酸化
剤等を用いた化学反応を利用する方法や、ポーラスな材
料を用いてエチレンを吸着除去する物理的方法、又はそ
れらの複合方法等が考えられるが、それぞれ安全性、除
去能力、コスト等の問題を抱えており、長年研究されて
いるが満足なものは得られていない。
【0007】これに対して、エチレンそのものの発生を
抑制する方法は、比較的最近検討されはじめた方法であ
って、野菜・果実等の生鮮食品のエチレン生成にかかわ
る酵素活性を低下させ、エチレン濃度の低減を達成しよ
うというもので、より普遍的で長期にわたる効果が期待
でき、総合的な評価でエチレン除去方法より優位に立つ
と思われる。
【0008】しかしながら、上記方法は、実用に供する
には課題が残されている。具体的な方法としては、遺伝
子組み替え技術を応用し、アンチセンスRNAを野菜・
果実等の生鮮食品に導入し、エチレン生合成関連酵素の
生産をコントロールしようとする方法や、エチレン生合
成関連酵素の阻害剤を、直接野菜・果実等の生鮮食品に
作用させる方法等が考えられるが、遺伝子導入技術を用
いる方法は公的機関も含めたより広範囲な協力関係のも
とに実施が検討される必要があり、一般農家や流通段階
で簡単に使用するわけにはいかない。
【0009】一方、酵素阻害剤を用いる方法は、経済的
に且つ比較的容易に使用することができ、将来的に期待
される方法であるが、先ず第一に、有効で安全な酵素阻
害剤の開発が必要である。そして第二には、現在の時点
では野菜・果実等の生鮮食品に単に酵素阻害剤を作用さ
せても、該酵素阻害剤が野菜や果実等の生鮮食料品の表
皮に阻まれ、野菜や果実等の生鮮食料品中の酵素蛋白ま
で到達せず、その効果を発揮させることが難しくなって
いるので、酵素阻害剤と酵素蛋白とのアクセシビリティ
を改善する方策を考えなくてはならない。
【0010】(クロロフィルの保持) 青果物の鮮度保持を考えるにあたって、エチレンの濃度
低減効果と同様に重要な課題は、緑色の保持、即ち、ク
ロロフィルの保持効果である。その理由は、消費者にと
って視覚的に認識しやすい緑色の度合いは、野菜や果実
等の生鮮食料品の鮮度を判断する指標になっており、僅
かな緑色の劣化が売り上げの減少に直結するからであ
る。従来、ポリアミン類が植物の葉のクロロフィル含量
の減少を抑制するという知見は散見されていたが、実
際、ポリアミンの溶液に長期間植物の葉を浸しても、緑
色が保持されるのは葉の周辺部のみで中央部は黄化して
しまう。又、高濃度のポリアミン溶液を使用すると、緑
色は保持されるものの、ポリアミンは強塩基であるので
葉の組織が損われて葉が軟化してしまう。このような状
況ではポリアミン類の青果物への利用は困難であり、何
らかの工夫が必要である。
【0011】(ブロッコリーの問題点) 青果物の中でもブロッコリーの緑色保持は特に重要性が
高い。ブロッコリーは収穫後放置しておくと小花が黄色
く変化してくる。この小花の黄化にもエチレンが関与し
ていることが知られているが、この黄化が比較的短期間
で起こり、品質を著しく劣化させるので、低温輸送(流
通)が必須なものとなっており、輸送コストを押し上げ
ている。従ってコスト低減や、より広範な流通のために
ブロッコリー黄化の抑制が強く望まれている。更にブロ
ッコリーを保存(輸送)中に生ずる悪臭(イオウ化合
物)も鮮度劣化のもう一つの原因になっており、有効な
解決策が期待されている。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような事情に鑑み、
本発明者らはかかる鮮度保持剤について鋭意研究を重ね
た結果、ケイヒ酸を鮮度保持剤として使用することによ
って、野菜・果実等の生鮮食品からのエチレンの発生
を抑制し、ひいては野菜・果実等の生鮮食品の存在雰囲
気のエチレン濃度を低減させ、更にはクロロフィルの減
少を抑止し、野菜や果実等の生鮮食料品の緑色保持効果
が得られることを見い出だし、本発明を完成した。
【0013】即ち、本発明は、野菜・果実等の植物性
鮮食料品を、ケイヒ酸、p−クマル酸、コーヒー酸、フ
ェルラ酸、シナピン酸、コニフェリールアルコール、シ
ナピルアルコール、p−クマリルアルコール及びフェニ
ルアラニンから選択される少 なくとも1種の溶液又は分
散液で処理するか、或いは植物性生鮮食料品を、前記の
少なくとも1種の物質を付着させた梱包容器に入れるか
又は前記の少なくとも1種の物質を付着させた包装材料
で包むことを特徴とする植物性生鮮食料品の鮮度保持方
法を提供する。このケイヒ酸には、更に鮮度保持効果を
顕著なものにするため、少量のポリアミン及び/又は界
面活性剤等を混合して使用することもできる。又、使用
に際しては、上記ケイヒ酸を、塗布・含浸等により付着
させた紙を用いて野菜・果実等の生鮮食品を包装又は被
覆する。或いは当該ケイヒ酸を野菜・果実等の生鮮食品
を梱包する容器の内面に塗布・含浸等により付着させて
使用することもできる。又、上記ケイヒ酸を直接、野菜
・果実等の生鮮食品の浸漬処理に供すると、野菜や果実
等の生鮮食料品からのエチレンの発生が著しく抑えら
れ、野菜や果実等の生鮮食料品のクロロフィルの劣化も
顕著に抑制される。
【0014】
【発明の実施の形態】次に実施の形態を挙げて本発明を
更に詳しく説明する。本発明において使用するケイヒ酸
とはケイヒ酸の他にケイヒ酸誘導体をも包含する。ケイ
ヒ酸は、粉末、溶液等いずれの状態でも使用することが
できるが、有効性及び安全性の面ではケイヒ酸は水溶液
として使用することが好ましいが、ケイヒ酸は水に対す
るその溶解度が限られている(常温で0.003重量%
程度)ために、より効果を著しくする場合にはエチルア
ルコール等のアルコールを加えると、ケイヒ酸は10重
量%程度まで溶解することができる。上記溶液はそのま
までも使用することができるが、更に水溶性セルロース
やキトサン等の水溶性バインダーを添加(1〜2重量%
程度)した後、この溶液をそのまま又は適宜希釈して、
直接、野菜・果実等の生鮮食品の浸漬処理(散布処理を
含む)に供するか、野菜や果実等の生鮮食料品の容器内
面及び包装紙に塗布し、又は含浸させて使用する。
【0015】このようにして、ケイヒ酸を野菜・果実等
の生鮮食品に作用させると、ケイヒ酸の持つエチレン生
合成抑制効果により、野菜・果実等の生鮮食品の存在雰
囲気のエチレン濃度の増加が抑えられ、野菜や果実等の
生鮮食品の鮮度劣化の遅延が実現されると共に、野菜や
果実等の生鮮食品のクロロフィルの劣化も抑制され、瑞
々しい緑色が保持される。更にこの時にケイヒ酸の持つ
抗菌及び防黴性も有効に作用し、野菜や果実等の生鮮食
品からの悪臭物質の発生も抑制される。
【0016】上記ケイヒ酸溶液には、ポリアミンや界面
活性剤等を加えてもよい。こうすることにより、野菜や
果実等の生鮮食品からのエチレンガスの発生の抑制やク
ロロフィル劣化抑制の作用が更に強化されると同時に、
有効物質の野菜や果実等の生鮮食品に対するアクセシビ
リティが改善され、より効果的な結果が得られる。
【0017】又、ケイヒ酸の代わりにケイヒ酸誘導体を
用いた場合も、程度の差はあるが、ケイヒ酸と同様な効
果が期待でき、使用状況に応じて適宜最適なケイヒ酸誘
導体を選択できる。更にケイヒ酸とケイヒ酸誘導体とを
併用した時に最も顕著な効果を示す場合がある。
【0018】本発明でいうケイヒ酸誘導体とは、ケイヒ
酸より誘導可能な化学構造類似の物質を云い、p−クマ
ル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸、コニフェ
リールアルコール、シナピルアルコール、p−クマリル
アルコール、フェニルアラニンである。
【0019】本発明で用いるアルコールは任意である
が、安全で臭いの影響の残らないエチルアルコールが望
ましい。又、鮮度保持剤の溶媒としては水とアルコール
の混合溶媒であって、前者:後者の重量比率が100:
25〜400のものが好ましい。又、本発明で使用する
バインダーも任意であるが、水溶性セルロースやキトサ
ン等が好ましい。本発明で使用するポリアミンは公知の
化合物であり、スペルミン、スペルミジン、プトレッシ
ン等が含まれるが、特にスペルミンが好ましい。
【0020】又、本発明で使用する界面活性剤は任意で
あるが、天然物から製造可能な安全性の高いものが好ま
しく、オレイン酸、ステアリン酸等のナトリウム塩及び
カリウム塩、リグニンスルホン酸、サポニン等が挙げら
れるが、特に好ましいのはオレイン酸ナトリウムであ
る。
【0021】本発明においてケイヒ酸を使用するに際し
ては、ケイヒ酸、水及び/又はアルコール、及びバイン
ダー、更には必要に応じてポリアミン及び/又は界面活
性剤を含む混合溶液を調製し、そのまま又は適宜希釈
し、常法に従って浸漬、塗布、散布、機械処理等により
被処理物(包装材料又は梱包容器、或いは野菜や果実等
の生鮮食品そのもの)にケイヒ酸溶液を付着させ、液切
り後、被処理物を風乾或いは放置する。
【0022】上記ケイヒ酸溶液における成分の配合量は
特に限定されないが、全溶液量100重量部において、
一般的にはケイヒ酸0.001〜10重量部、ポリアミ
ン0〜0.3重量部、好ましくは0.0001〜0.1
重量部、界面活性剤0〜1重量部、好ましくは0.00
1〜0.1重量部、バインダー0〜10重量部、好まし
くは0.1〜5重量部であり、特に好ましくはケイヒ酸
2重量部、ポリアミン0.02重量部、界面活性剤0.
05重量部、バインダー2重量部である。配合の好まし
い組合せとしては、 ケイヒ酸+水+アルコール ケイヒ酸+水+アルコール+バインダー、 ケイヒ酸+水+アルコール+バインダー+界面活性
剤、 ケイヒ酸+水+アルコール+バインダー+ポリアミン
+界面活性剤 等が挙げられ、鮮度保持の使用方法及び対象物等を考慮
して適宜選択できる。更に本発明で使用する鮮度保持剤
は、必要に応じて種々の添加剤を含むことができる。本
発明の鮮度保持剤の使用量は特に限定されない。
【0023】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。尚、文中部又は%とあるのは特に断
りのない限り重量基準である。 実施例1 100mlのコニカルビーカーにリンゴ片40gを入
れ、これにケイヒ酸、オレイン酸ソーダ、スペルミン、
キトサン等を下記表に記載の所定濃度に溶解した処理液
を注ぎ込み、ビーカーをほぼ満たした。そのまま5分間
放置し、リンゴ片を処理液に浸漬させた後、処理液を捨
て去り、コニカルビーカーの口をパラフイルムで密閉し
た。このビーカーを25℃で24時間放置した後、ビー
カー中のエチレン濃度をガス検知管(ガステック社製)
にて測定した。この結果を浸漬処理をしないリンゴ片4
0gを用いたコントロール(比較例)の結果と比較して
表1に示す。
【0024】
【0025】この結果から明らかなように、ケイヒ酸溶
液又はケイヒ酸とオレイン酸ソーダとの混合溶液、又は
ケイヒ酸、オレイン酸ソーダ及びスペルミンの混合溶液
にリンゴを浸漬させると、リンゴからのエチレンの発生
が十分に抑制される。
【0026】実施例2 100mlのコニカルビーカーにミニトマト40g(3
個)を詰め、これにケイヒ酸及びオレイン酸ソーダを下
記表に記載の所定濃度に溶解した処理液を注ぎ込み、ビ
ーカーをほぼ満たした。そのまま5分間放置し、ミニト
マトを処理液に浸漬させた後、処理液を捨て去り、コニ
カルビーカーの口をパラフイルムで密閉した。このビー
カーを25℃で24時間放置した後、ビーカー中のエチ
レン濃度をガス検知管(ガステック社製)にて測定し
た。この結果を浸漬処理をしないミニトマト40gを用
いたコントロールの結果、及びミニトマト40gを水に
浸漬した場合の結果と比較して表2に示す。
【0027】 この結果から、明らかなように、ミニトマトをケイヒ酸
とオレイン酸ソーダの混合溶液に浸漬すると、ミニトマ
トからのエチレン発生が十分に抑制される。
【0028】実施例3 150mlの紙コップ(口径7.0cm、長さ8.0c
m)の内側をバインダーを混入させたケイヒ酸溶液(ケ
イヒ酸1.5%、水溶性セルロース2.0%、エタノー
ル50%、水46.5%)にて塗布し、自然乾燥させ、
ケイヒ酸コート紙コップとした。このケイヒ酸コート紙
コップにリンゴ片65gを入れ、更にこのリンゴ片の入
った紙コップを300mlのビーカー(口径9.5c
m、長さ11.2cm)に入れた。ビーカーの口をパラ
フイルムで密閉し、23℃で4日間放置した後、ビーカ
ー中のエチレン濃度をガス検知管(ガステック社製)に
て測定した。この結果をケイヒ酸液を塗布しない通常の
紙コップに同量のリンゴ片を入れた場合の結果と比較し
て表3に示す。
【0029】 この結果から明らかなように、ケイヒ酸液を塗布した紙
コップにリンゴ片を入れると、リンゴ片からのエチレン
の発生が十分に抑制される。
【0030】実施例4 ケイヒ酸溶液、ケイヒ酸とオレイン酸の混合溶液等の処
理液中に5分間浸漬処理したブロッコリー10gを10
0mlのコニカルビーカーに入れ、口をパラフィンで密
閉した後、25℃、暗室中に放置した。1日後と3日後
にビーカー中のメチルメルカプタン濃度をガス検知管
(ガステック社製)にて測定した。この結果を浸漬処理
をしないブロッコリーを用いたコントロールの結果と比
較して表4に示す。
【0031】 この結果から明らかなように、ブロッコリーをケイヒ酸
とオレイン酸ソーダの混合溶液に浸漬すると、ブロッコ
リーからのメチルメルカプタンの発生を十分に抑制する
ことができる。
【0032】実施例5 直径9cmのシャーレにケイヒ酸溶液、オレイン酸ソー
ダ溶液及びそれらの混合溶液30mlを入れ、この溶液
にカイワレ大根の子葉部分を浮かべて、シャーレの蓋を
した。このシャーレを暗室中に25℃で放置し、2日後
に子葉のクロロフィル含量を測定した。この結果を表5
に示した。
【0033】 この結果から明らかなように、カイワレ大根をケイヒ酸
溶液及び/又はケイヒ酸とオレイン酸の混合溶液に浸漬
するとクロロフィルの劣化を十分に抑制できる。
【0034】実施例6 ケイヒ酸溶液、ケイヒ酸とオレイン酸の混合溶液等の処
理液中に5分間浸漬処理したブロッコリー10gを10
0mlねじ口ビンに入れ、緩く蓋をして25℃の暗室中
に放置した。3日後、ブロッコリーを取出し、そのクロ
ロフィル含量を常法にて測定した。比較のため浸漬処理
に供さないブロッコリーのクロロフィル含量を測定し、
この値をコントロールとした。この結果を表6に示す。
【0035】 この結果から明らかなように、ブロッコリーをケイヒ酸
溶液及び/又はケイヒ酸とオレイン酸の混合溶液に浸漬
すると、ブロッコリーのクロロフィルの劣化を十分に抑
制できる。
【0036】実施例7 上質紙(A4)にバインダーを混入させたケイヒ酸溶液
(塗布液:ケイヒ酸0.5%、水溶性セルロース2.
0%、アスコルビン酸1.0%、エタノール30%、水
66.5%、塗布液:ケイヒ酸1%及びキトサン(大
日精化工業株式会社製、「ダイキトサン、VLタイ
プ」)1%を加熱して水に溶解させた後、室温まで冷却
し、生じた沈殿を濾別して塗布液とした。)を塗布し、
自然乾燥させ、ケイヒ酸コート紙とした。このケイヒ酸
コート紙を用いて、塗布面を内側にしてブロッコリーの
1/3株(60g)を包み込み、これを、更に食品包装
用フイルム(旭化成工業株式会社製「サランラップ」)
にて包装した。これを暗室中に25℃にて放置し、2日
後、ブロッコリー中のクロロフィル含量を測定し、ケイ
ヒ酸液を塗布しない上質紙に包んだブロッコリー中のク
ロロフィル含量(コントロール)と比較した。この結果
を表7に示す。
【0037】 この結果から明らかなように、ケイヒ酸コート紙でブロ
ッコリーを包むとクロロフィルの劣化を十分に抑制で
き、緑色を十分に保持することができる。
【0038】実施例8 500mlの小型牛乳パックの空箱(10.4×7.0
×7.0cm)を洗い、乾燥させた。この箱の内側をバ
インダーを混入させたケイヒ酸溶液(塗布液:ケイヒ
酸0.5%、水溶性セルロース2.0%、アスコルビン
酸1.0%、エタノール30%、水66.5%、塗布液
:ケイヒ酸1%及びキトサン(大日精化工業株式会社
製、「ダイキトサン、VLタイプ」)1%を加熱して水
に溶解させた後、室温まで冷却し、生じた沈殿を濾別し
て塗布液とした。)にて塗布し、自然乾燥させ、ケイヒ
酸コート箱とした。このケイヒ酸コート箱にブロッコリ
ー(20g)を入れ、箱の口を紙テープで塞いだ。これ
を暗室中に25℃にて2日間放置した後、ブロッコリー
中のクロロフィル含量を測定し、ケイヒ酸液を塗布しな
い箱の中に入れたブロッコリー中のクロロフィル含量
(コントロール)と比較した。この結果を表8に示す。
【0039】 この結果から明らかなように、ケイヒ酸コート箱中にブ
ロッコリーを保存すると、クロロフィルの劣化を十分に
抑制でき、緑色を十分に保持できる。
【0040】実施例9 150mlの紙コップ(口径7.0cm、長さ8.0c
m)の内側をバインダーを混入させたケイヒ酸溶液(ケ
イヒ酸2.0%、水溶性セルロース2.0%、エタノー
ル50%、水46.0%)にて塗布し、自然乾燥させ、
ケイヒ酸コート紙コップとした。このケイヒ酸コート紙
コップにブロッコリー(20g)を入れ、紙コップの口
を食品包装用フイルム(旭化成工業株式会社製「サラン
ラップ」)にて覆い、輪ゴムで固定した。これを暗室中
に25℃にて放置し、経時的にブロッコリー中のクロロ
フィル含量を測定した。尚、比較のためケイヒ酸液を塗
布しない紙コップの中に入れたブロッコリー中のクロロ
フィル含量をコントロールとして求めた。この結果を表
9に示す。
【0041】 この結果から明らかなように、ケイヒ酸コート紙コップ
中にブロッコリーを保存すると、クロロフィルの劣化を
十分に抑制でき、緑色を十分に保持できる。
【0042】実施例10 上質紙(A4)にバインダーを混入させたケイヒ酸溶液
(塗布液:ケイヒ酸0.5%、水溶性セルロース2.
0%、アスコルビン酸1.0%、エタノール30%、水
66.5%、塗布液:ケイヒ酸1%及びキトサン(大
日精化工業株式会社製、「ダイキトサン、VLタイ
プ」)1%を加熱して水に溶解させた後、室温まで冷却
し、生じた沈殿を濾別して塗布液とした。)を塗布し、
自然乾燥させ、ケイヒ酸コート紙とした。このケイヒ酸
コート紙を用いて、塗布面を内側にしてバナナ1本を包
み込み、これを、更に食品包装用フイルム(旭化成工業
株式会社製「サランラップ」)にて包装した。これを暗
室中に25℃にて4日間放置した後、包みを開いてバナ
ナの状況を観察した。この結果をケイヒ酸液を塗布しな
い上質紙に包んだコントロールのバナナの状況と比較し
た。この結果を表10に示す。
【0043】 この結果から明らかなように、バナナをケイヒ酸コート
紙で包むと、バナナの劣化を十分に抑制することができ
る。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、野菜・果実等の生鮮食
品からのエチレンの発生を十分に抑制し、ひいては野菜
・果実等の生鮮食品の存在雰囲気のエチレン濃度を低減
させ、更にはクロロフィルの減少を抑止し、緑色保持効
果をも有する優れた鮮度保持剤を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23B 7/153

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 野菜・果実等の植物性生鮮食料品を、ケ
    イヒ酸、p−クマル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナ
    ピン酸、コニフェリールアルコール、シナピルアルコー
    ル、p−クマリルアルコール及びフェニルアラニンから
    選択される少なくとも1種の溶液又は分散液で処理す
    とを特徴とする植物性生鮮食料品の鮮度保持方法。
  2. 【請求項2】 植物性生鮮食料品を、前記の少なくとも
    1種の物質を付着させた梱包容器に入れるか又は前記の
    少なくとも1種の物質を付着させた包装材料で包むこと
    を特徴とする植物性生鮮食料品の鮮度保持方法。
  3. 【請求項3】 前記の少なくとも1種の物質と、界面活
    性剤又は界面活性剤及びポリアミンを併用する請求項1
    又は2に記載の植物性生鮮食料品の鮮度保持方法。
  4. 【請求項4】にバインダーを含有する請求項に記
    載の植物性生鮮食料品の鮮度保持方法。
JP29990196A 1996-10-25 1996-10-25 植物性生鮮食料品の鮮度保持方法 Expired - Fee Related JP3096250B2 (ja)

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