JP3094634B2 - エコー除去方法及びエコー除去装置 - Google Patents

エコー除去方法及びエコー除去装置

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JP3094634B2
JP3094634B2 JP04070247A JP7024792A JP3094634B2 JP 3094634 B2 JP3094634 B2 JP 3094634B2 JP 04070247 A JP04070247 A JP 04070247A JP 7024792 A JP7024792 A JP 7024792A JP 3094634 B2 JP3094634 B2 JP 3094634B2
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  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2線/4線変換部で生
じるエコー又はスピーカからマイクロホンへ空間音響経
路を経て漏れ込むエコーを除去するためのエコー除去方
法及びエコー除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、2線/4線変換部で生じるエコー
又はスピーカからマイクロホンへ空間音響経路を経て漏
れ込むエコーの除去は、アダプティブ・フィルタに参照
信号を入力し、エコーからアダプティブ・フィルタ出力
を差引いて得られる残留エコーを用いてアダプティブ・
フィルタの係数を更新することによって行なわれる。こ
のようなエコー除去技術に関して、アイイーイーイー・
ジャーナル・オブ・セレクテッド・エリアス・イン・コ
ミュニケーションズ(IEEE JOURNALOF
SELECTED AREAS IN COMMUNI
CATIONS)SAC−2巻2号、1984年、28
3−297ページ(以下、「文献1」)に詳細に記述さ
れている。以下、この文献に従って図9を参照しつつ、
従来技術を説明する。
【0003】図9は従来のエコー除去装置(以下、エコ
ー・キャンセラ)の一構成を示すブロック図である。図
9には音響系のエコーを消去する場合を示したが、2線
/4線変換部で生じるエコーについても全く同一の構成
で対応できるので、以下の説明では音響系のエコー除去
を仮定する。
【0004】エコー・キャンセラはエコー・パスのイン
パルス応答を近似する伝送関係を持つ適応(アダプティ
ブ)・フィルタを用いて、エコーに対応した擬似エコー
(エコー・レプリカ)を生成することにより、近端信号
を妨害するエコーを抑圧するように動作する。この時、
アダプティブ・フィルタの各タップ係数は、エコーと近
端信号が混在した混在信号からエコー・レプリカを差し
引いた差信号とエコー・パスに供給される参照信号との
相関をとることにより逐次修正される。このようなアダ
プティブ・フィルタの係数修正すなわちエコー・キャン
セラの収束アルゴリズムの代表的なものとしてLMSア
ルゴリズム(LMS ALGORITHM)(文献1)
とラーニング・アイデンティフィケーション・メソッド
(LEARNING IDENTIFICATION
METHOD;LIM)(アイイーイーイー・トランザ
クションズ・オン・オートマティック・コントロール
(IEEE TRANSACTIONS ON AUT
OMATIC CONTROL)12巻3号、1967
年、282−287ページ参照;以下、「文献2」)が
知られている。
【0005】図9において、マイクロホン1で検出され
た近端信号とエコーとの混在信号は、減算器4に供給さ
れる。一方、入力端子7を経てスピーカ2に供給される
遠端信号は参照信号としてアダプティブ・フィルタ3に
供給される。アダプティブ・フィルタ3によって発生さ
れたエコー・レプリカが、減算器4にて混在信号から減
算されることによってエコーが消去され、妨害のない近
端信号が出力端子5へ供給される。減算器4の出力は同
時にアダプティブ・フィルタ3へ供給され、係数更新に
使用される。いま、近端信号をsk (但し、kは時刻を
示す指標)、参照信号をfk 、消去しようとするエコー
をek 、sk が受ける付加ノイズをδkとすると、マイ
クロホン1より減算器4に供給される信号wk は次式で
表される。 wk =sk +ek +δk ……………………………………………………(1) エコー・キャンセラの目的は、式(1)におけるエコー
成分ek のレプリカrk を生成し、エコーを消去するこ
とである。図9において、アダプティブ・フィルタ3と
減算器4からなる閉ループ回路を用いて、適応的にエコ
ー・レプリカrk を生成することにより、減算器4の出
力信号として次式に示す差信号dk を得ることができ
る。 dk =sk +ek −rk ……………………………………………………(2) 但し、一般にδk はsk に比較して十分小さいと考えら
れるから、これを無視している。式(2)において、
(ek −rk )は残留エコーと呼ばれ、システム同定問
題として考えれば、誤差信号に等しい。LMSアルゴリ
ズムを仮定すれば、アダプティブ・フィルタ3のm番目
の係数cm,k+1 は次式に従って更新される。 cm,k+1 =cm,k +μ・dk ・fm,k ……………………………………(3) ここにμは定数で、ステップ・サイズと呼ばれる。N個
の係数全てに関する式(3)を行列形式で表せば、 ck =ck-1 +μ・dk ・fk-1 …………………………………………(4) となる。ここに、ck とfk はそれぞれ次式で与られ
る。 ck =[c0 1 ……………………cN-1 T …………………………(5) fk =[fk k-1 ………………fk-N+1 T …………………………(6) 但し、[・]T は行列の転置を表す。一方、LIMでは
式(4)の代りに、式(7)に従って係数の更新が行な
われる。 ck+1 =ck +(α/N・σf 2 )・dk ・fk ………………………(7) αは、LIMに対するステップ・サイズ、σf 2 はアダ
プティブ・フィルタ3に入力される参照信号の平均電力
である。N・σf 2 はステップ・サイズαの値を前記平
均電力に反比例させ、安定な収束を行なわせるために用
いられる。N・σf 2 を求めるためにはいくつかの方法
があるが、例えば式(8)によって求めることができ
る。
【数1】
【0006】式(4)と式(7)におけるステップ・サ
イズは、アダプティブ・フィルタの収束の速度と収束後
の残留エコー・レベルを規定する。LMSの場合には、
μが大きいほど収束は速くなるが、残留エコー・レベル
は大きくなる。反対に、十分小さい残留エコー・レベル
を達成するためには、それに見合った小さいμを採用す
る必要があり、収束速度の低下を招く。LIMのステッ
プ・サイズαについても、同様である。
【0007】アダプティブ・フィルタ3の係数更新に必
要な信号は、残留エコーだけである。従って、近端信号
は係数更新に対する妨害信号として働く。ステップ・サ
イズが大きいほど、妨害信号の影響が大きく、ステップ
・サイズが十分小さい場合を除き、係数は発散する。ス
テップ・サイズを十分小さく設定すれば妨害信号の影響
を無視できる程度に軽減できるが、収束時間が長くなり
実用的ではない。実際の音声信号を用いた通信では、1
/2程度の無音区間があることが知られており、エコー
・キャンセラでは近端信号の無音区間を検出してアダプ
ティブ・フィルタ3の係数更新を停止する。図9の近端
信号検出回路10及びセレクタ9はこの目的で設けられ
ている。
【0008】近端信号検出回路10には差信号と参照信
号が供給されている。差信号はエコーが十分抑圧されて
残留エコーが小さいときには近端信号の良い近似を与え
る。また、参照信号は遠端信号に等しい。エコーと遠端
信号はエコー・パスの特性で決定される相関を有するの
で、差信号と参照信号の電力を監視することで近端信号
の存在を検出できる。実際は、両者の電力平均値を比較
して予め定められたしきい値以上の差がある場合を、近
端信号が存在する場合であると判定し、係数更新を停止
する。近端信号検出回路10は、セレクタ9が、近端信
号が存在するときは0を、近端信号が存在しないときは
μf を選択して、アダプティブ・フィルタ3に対するス
テップ・サイズμk として伝達するような制御信号を発
生する。但し、μk は予め定められた定数である。従っ
て、LMSアルゴリズムによるアダプティブ・フィルタ
3の係数更新は、式(9)で記述される。 ck+1 =ck +μk ・dk ・fk …………………………………………(9)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】既に説明したように、
近端信号の検出には平均電力を用いるので、平均をとる
ための時間が必要であり、検出遅延の発生が避けられな
い。従って、近端信号の存在する状態(ダブルトーク)
が開始されてから検出されるまでの間は強い妨害信号下
で大きなステップ・サイズを用いて係数更新を行なうこ
とになり、係数値の誤適応や発散が生じる可能性があ
る。また、これを避けるために小さなステップ・サイズ
を用いると、係数収束が遅くなるという問題があった。
【0010】本発明の目的は、電力平均値を用いた近端
信号検出を行なうことなく、高速で安定な係数適応が可
能なエコー除去方法及びエコー除去装置を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、2線・4
線変換回路の4線側において送信側から受信側へ漏れ込
むエコー又はスピーカからマイクロホンへ空間音響経路
を経て漏れ込むエコーをアダプティブ・フィルタにより
発生される疑似エコーを用いて除去する際に、前記エコ
ーと近端信号とが混在した混在信号から前記疑似エコー
を差引いて差信号を得た後、前記差信号の傾きと前記ア
ダプティブ・フィルタの入力信号である参照信号の電力
とを用いるとともに、ステップ・サイズの制限を加える
ことにより、前記アダプティブ・フィルタの係数更新ス
テップ・サイズを適応的に制御し、前記疑似エコーと前
記差信号と前記ステップ・サイズを用いて近端電力の瞬
時電力がエコーの瞬時電力より大きい場合を検出し、
記アダプティブ・フィルタの係数更新を選択的に停止す
ることを特徴とする。
【0012】第2の発明は、第1の発明において、参照
信号電力で正規化した前記差信号の前記変数に対する傾
きに比例した値を1サンプル周期前のステップ・サイズ
に加算して和を得た後、該和に制限を加えた制限付和を
新たな制限付ステップ・サイズとし、前記制限付ステッ
プ・サイズを前記参照信号電力で正規化した値を用いて
係数更新を行ない、前記制限を加えるためのしきい値は
過去の前記制限付ステップ・サイズを用いて逐次決定す
ることを特徴とする。
【0013】第3の発明は、第1の発明において、参照
信号電力で正規化した前記差信号の前記変数に対する傾
きに比例した値を1サンプル周期前のステップ・サイズ
に加算して和を得た後、該和に制限を加えた制限付和を
新たな制限付ステップ・サイズとし、前記制限付ステッ
プ・サイズを前記参照信号電力で正規化した値を用いて
係数更新を行ない、前記制限を加えるためのしきい値は
過去の前記制限付ステップ・サイズの2乗値を用いて逐
次決定することを特徴とする。
【0014】第4の発明は、第1,2又は3の発明にお
いて、疑似エコーの振幅と予め定められた第1の定数と
の積が差信号の振幅より小さく、ステップ・サイズが予
め定められた第2の定数より小さいときは前記アダプテ
ィブ・フィルタの係数更新を停止することを特徴とす
る。
【0015】第5の発明は、第1,2又は3の発明にお
いて、疑似エコーの電力と予め定められた第1の定数と
の積が差信号の電力より小さく、ステップ・サイズが予
め定められた第2の定数より小さいときは前記アダプテ
ィブ・フィルタの係数更新を停止することを特徴とす
る。
【0016】第6の発明は、2線・4線変換回路の4線
側において送信側から受信側へ漏れ込むエコー又はスピ
ーカからマイクロホンへ空間音響経路を経て漏れ込むエ
コーをアダプティブ・フィルタにより発生される疑似エ
コーを用いて除去する際に、前記参照信号を受けて疑似
エコーを発生するアダプティブ・フィルタと、前記エコ
ーと近端信号とが混在した混在信号から前記疑似エコー
を差引いて差信号を得る減算器と、該減算器出力である
差信号と前記参照信号を受けて、誤差信号の傾き、参照
信号の電力を算出・利用するとともに、ステップ・サイ
ズの制限を加えることにより、前記アダプティブ・フィ
ルタの係数更新に用いられるステップ・サイズを適応的
に制御するステップ・サイズ・コントローラと、前記ス
テップ・サイズ・コントローラの出力であるステップ・
サイズと前記疑似エコーと前記差信号を受けて近端電力
の瞬時電力がエコーの瞬時電力より大きい場合を検出
し、係数更新停止信号を発生する制御回路と、該制御回
路出力に応じて前記ステップ・サイズ・コントローラの
出力と零を選択して前記アダプティブ・フィルタに伝達
するセレクタとを少なくとも具備することを特徴とす
る。
【0017】第7の発明は、第6の発明において、ステ
ップ・サイズ・コントローラは、参照信号を受けて相関
と参照信号電力を計算する相関計算回路と、前記参照信
号電力を1サンプル周期遅延させる第1の遅延素子と、
前記相関と前記第1の遅延素子の出力と第2の遅延素子
からの帰還信号と差信号を受けてステップ・サイズを逐
次計算するステップ・サイズ計算回路と、該ステップ・
サイズ計算回路の出力であるステップ・サイズを受けて
制限を加えるリミッタと、該リミッタの出力を前記ステ
ップ・サイズ計算回路へ1サンプリング周期遅延させて
帰還する第2の遅延素子と、前記リミッタの出力である
制限付ステップ・サイズを前記参照信号電力で正規化し
て正規化制限付ステップ・サイズを求める正規化回路と
から構成され、前記制限付ステップ・サイズを制御回路
の制御情報として出力することを特徴とする。
【0018】第8の発明は、第6の発明において、制御
回路は、疑似エコーを受けて絶対値を得る第1の絶対値
回路と、前記疑似エコーの絶対値に前記第1の定数を乗
算する第1の乗算器と、差信号を受けて絶対値を得る第
2の絶対値回路と、前記第1の乗算器出力と差信号の絶
対値を比較して前者が後者より小さいときは1を、そう
でないときは0を出力する第1の比較回路と、制限付ス
テップ・サイズと前記第2の定数を比較して前者が後者
より小さいときは1を、そうでないときは0を出力する
第2の比較回路と、前記第1の比較回路と前記第2の比
較回路の出力を受けて論理積をとる論理積回路とから構
成されることを特徴とする。
【0019】第9の発明は、第6の発明において、制御
回路は、疑似エコーを2乗して電力を計算する第2の乗
算器と、前記疑似エコーの電力に前記第1の定数を乗算
する第1の乗算器と、差信号を2乗して電力を計算する
第3の乗算器と、前記第1の乗算器出力と差信号の電力
を比較して前者が後者より小さいときは1を、そうでな
いときは0を出力する第1の比較回路と、制限付ステッ
プ・サイズと前記第2の定数を比較して前者が後者より
小さいときは1を、そうでないときは0を出力する第2
の比較回路と、前記第1の比較回路と前記第2の比較回
路の出力を受けて論理積をとる論理積回路とから構成さ
れることを特徴とする。
【0020】第10の発明は、第7の発明において、ス
テップ・サイズ計算回路は、差信号を受けて1サンプル
周期遅延させる第3の遅延素子と、該第3の遅延素子出
力と前記差信号を乗算する第4の乗算器と、相関計算回
路の出力である相関値と前記第4の乗算器出力を乗算す
る第5の乗算器と、該第5の乗算器出力を定数倍する第
6の乗算器と、該第6の乗算器出力を前記参照信号電力
で正規化する第2の正規化回路と、該第2の正規化回路
出力と前記帰還信号を加算する加算器とから構成される
ことを特徴とする。
【0021】第11の発明は、第7,8,9又は10の
発明において、リミッタは、帰還信号と予め定められた
第3の定数を乗算する第7の乗算器と、該第7の乗算器
出力と入力信号と予め定められた第4の定数を受けて最
小値を検出する最小値回路と、前記帰還に予め定められ
た第5の定数を乗算する第8の乗算器と、該第8の乗算
器出力と前記最小値回路出力と前記第6の定数を受けて
最大値を出力する最大値回路とから構成されることを特
徴とする。
【0022】第12の発明は、第7,8,9又は10の
発明において、リミッタは、帰還信号を受けて2乗する
第9の乗算器と該第9の乗算器出力と前記第3の定数を
乗算する第7の乗算器と、該第7の乗算器出力と入力信
号と前記第4の定数を受けて最小値を検出する最小値回
路と、前記第9の乗算器出力と前記第5の定数を乗算す
る第8の乗算器と、該第8の乗算器出力と入力信号と前
記第6の定数を受けて最大値を出力する最大値回路とか
ら構成されることを特徴とする。
【0023】
【作用】本発明のエコー除去方法及びエコー除去装置
は、係数更新に用いるステップ・サイズを誤差信号電力
の傾きを用いて計算し、得られたステップ・サイズの変
化量に過去のステップ・サイズに依存する制限をもう
け、フィルタ入力電力でステップ・サイズを正規化し、
近端信号の瞬時電力がエコーの瞬時電力よりも著しく大
きい場合を検出して係数更新を停止することによって、
収束を高速化し、ダブルトーク検出を不用とする。
【0024】
【実施例】次に図面を参照して本発明について詳細に説
明する。図1は、第1及び6の発明の一実施例を示すブ
ロック図である。同図において、図9の同一の参照番号
を付与された機能ブロックは図9と同一の機能を有する
ものとする。図1と図9の相違点は、近端信号検出回路
10の代りにステップ・サイズ・コントローラ6と制御
回路8が具備されていることである。制御回路8とセレ
クタ9は、近端信号の瞬時電力がエコーの瞬時電力より
も著しく大きい場合を検出して係数更新を停止する。セ
レクタ9は固定ステップ・サイズμf と0の代りに可変
ステップ・サイズμk と0を、制御回路8の出力で切替
える。
【0025】図2は図1のステップ・サイズ・コントロ
ーラ6の構成を表したものである。入力端子200には
図1の差信号dk が、入力端子202には参照信号fk
が供給されている。出力端子209にて得られる信号は
図1のセレクタ9へ供給される。入力端子200に供給
されたdk はステップ・サイズ計算回路201に伝達さ
れる。入力端子202に供給された参照信号fk は相関
計算回路203へ伝達される。相関計算回路203で
は、参照信号の相関Ck =fk-1 Tk と参照信号電力P
k =fk Tk が計算され、それぞれステップ・サイズ計
算回路201及び遅延素子204へ供給される。遅延素
子204へ供給された参照信号電力は、1サンプル周期
遅延されてPk-1 となった後、ステップ・サイズ計算回
路201へ伝達される。ステップ・サイズ計算回路20
1では、参照信号の相関、参照信号電力、差信号、及び
遅延素子206にて1サンプル周期遅延された制限付ス
テップ・サイズを用いて新たなステップ・サイズが逐次
計算され、リミッタ205へ供給される。リミッタ20
5では、ステップ・サイズ計算回路201から供給され
たステップ・サイズに、遅延素子206にて1サンプル
周期遅延された制限付ステップ・サイズに基づいて逐次
決定される制限を加え、得られた制限付ステップ・サイ
ズを出力端子207、正規化回路208及び遅延素子2
06へ伝達する。遅延素子206は、リミッタ205か
ら供給された制限付ステップ・サイズを1サンプル周期
遅延させた後、リミッタ205及びステップ・サイズ計
算回路201へ帰還する。正規化回路208は相関計算
回路203から供給された参照信号電力Pk =fk Tk
で制限付ステップ・サイズを正規化し、正規化制限付ス
テップ・サイズを出力端子209へ伝達する。
【0026】図3は図2における相関計算回路203の
構成例である。遅延素子1211 ,1212 ,……,1
21N-1 ,121N からなるタップ付遅延線には、参照
信号fk が入力端子120を経て供給される。遅延素子
1211 ,1212 ,……,121N-1 ,121N の出
力はそれぞれ乗算器1221 ,1222 ,……,122
N-1 ,122N に、また入力fk と遅延素子1211
1212 ,……,121N-1 の出力は乗算器1221
1222 ,1223 ,……,122N-1 ,122N に供
給される。すなわち、乗算器1221 ,1222 ,…
…,122N-1 ,122N にはそれぞれ(fk
k-1 ),(fk-1 ,fk-2 ),(fk-2 ,fk- 3 ),
……,(fk-N+2 ,fk-N+1 ),(fk-N+1 ,fk-N
が入力されており、これらの乗算器の出力はf
kk-1 ,fk-1k-2 ,fk-2k-3 ,……,fk-N +2
k-N+1 ,fk-N+1k-N となる。乗算器1221 ,12
2 ,……,122N -1,122N の出力は全て多入力
加算器123に供給されており、多入力加算器123の
出力
【数2】 が出力端子124へ伝達される。一方、遅延素子121
1 ,1212 ,……,121N-1 ,121N の入力信号
はまた、それぞれ乗算器1251 ,1252 ,……,1
25N-1 ,125N で2乗され、多入力加算器126に
おいて総和
【数3】 が計算される。従って、相関計算回路203は参照信号
の相関Ck =fk-1 Tk及び参照信号電力Pk =fk T
k を計算することになる。得られたCk はステップ・サ
イズ計算回路201に、Pk は遅延素子204及び正規
化回路208に供給される。
【0027】ステップ・サイズ計算回路201は図4に
示すブロック図で表すことができる。入力端子90には
図2の入力端子200を経て差信号dk が、入力端子9
4には相関計算回路203で計算されたfk の相関値C
k が供給されされている。出力端子101にて得られる
信号は図2のリミッタ205へ供給される。入力端子9
0に供給されたdk は遅延素子91で1サンプル周期遅
延されてdk-1 となり、乗算器92に供給される。乗算
器92にはdk も供給されており、乗算器92の出力で
あるdkk-1は乗算器93へ伝達される。一方、入力端
子94に供給されたCk =fk-1 Tk は乗算器93でd
kk-1と乗算され、さらに乗算器95でρ倍された後、
ρdkk-1k-1 Tk として正規化回路97に伝達され
る。正規化回路97では乗算器95から供給された信号
を図3の遅延素子204から入力端子96に供給されて
いる遅延された参照信号電力Pk-1 で正規化し、加算器
98へ伝達する。加算器98では乗算器95からの信号
と入力端子99へ供給される帰還信号が加算されて、出
力端子101へ伝達される。入力端子99へは、図2で
明らかなように、リミッタ205の出力が遅延素子20
6で1サンプル周期遅延されて供給される。従って、出
力端子101へ伝達される信号μk は、式(12)で表
される。 μk =μk-1 +ρdkk-1T k-1k /Pk-1 ………………………(12)
【0028】
【数4】
【数5】
【0029】
【数6】
【数7】
【0030】
【数8】
【0031】
【発明の効果】以上詳細に述べたように、本発明によれ
ば、係数更新に用いるステップ・サイズを誤差信号電力
の傾きを用いて計算し、得られたステップ・サイズの変
化量に過去のステップ・サイズに依存する制限をもう
け、フィルタ入力電力で正規化し、近端信号の瞬時電力
がエコーの瞬時電力よりも著しく大きい場合を検出して
係数更新を停止することにより、収束が速く、ダブルト
ーク検出不用なエコー除去方法及び除去装置を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1及び第6の発明の実施例を示すブロック図
である。
【図2】ステップ・サイズ・コントローラの実施例を示
すブロック図である。
【図3】相関計算回路の実施例を示すブロック図であ
る。
【図4】ステップ・サイズ計算回路の実施例を示すブロ
ック図である。
【図5】第11の発明におけるリミッタの実施例を示す
ブロック図である。
【図6】第12の発明におけるリミッタの実施例を示す
ブロック図である。
【図7】第8の発明における制御回路の実施例を示すブ
ロック図である。
【図8】第9の発明における制御回路の実施例を示すブ
ロック図である。
【図9】従来例を表すブロック図である。
【符号の説明】
1 マイクロホン 2 スピーカ 3 アダプティブ・フィルタ 4 減算器 5 出力端子 6 ステップ・サイズ・コントローラ 7 参照信号入力端子 8 制御回路 9 セレクタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−126011(JP,A) 特開 平1−212129(JP,A) 特開 平1−212130(JP,A) 特開 平2−291712(JP,A) 特開 平2−298119(JP,A) 古橋,杉山,”雑音に強い勾配適応ス テップサイズ確率勾配アルゴリズム”, 電子情報通信学会秋季大会講演論文集, 1991年,分冊1,1−74頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 3/00 - 3/60

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2線・4線変換回路の4線側において送
    信側から受信側へ漏れ込むエコー又はスピーカからマイ
    クロホンへ空間音響経路を経て漏れ込むエコーをアダプ
    ティブ・フィルタにより発生される疑似エコーを用いて
    除去する際に、 前記エコーと近端信号とが混在した混在信号から前記疑
    似エコーを差引いて差信号を得た後、 前記差信号の傾きと前記アダプティブ・フィルタの入力
    信号である参照信号の電力とを用いるとともに、ステッ
    プ・サイズの制限を加えることにより、前記アダプティ
    ブ・フィルタの係数更新ステップ・サイズを適応的に制
    御し、 前記疑似エコーと前記差信号と前記ステップ・サイズを
    用いて近端電力の瞬時電力がエコーの瞬時電力より大き
    い場合を検出し、前記アダプティブ・フィルタの係数更
    新を選択的に停止することを特徴とするエコー除去方
    法。
  2. 【請求項2】 参照信号電力で正規化した前記差信号の
    前記変数に対する傾きに比例した値を1サンプル周期前
    のステップ・サイズに加算して和を得た後、該和に制限
    を加えた制限付和を新たな制限付ステップ・サイズと
    し、前記制限付ステップ・サイズを前記参照信号電力で
    正規化した値を用いて係数更新を行ない、前記制限を加
    えるためのしきい値は過去の前記制限付ステップ・サイ
    ズを用いて逐次決定することを特徴とする請求項1に記
    載のエコー除去方法。
  3. 【請求項3】 参照信号電力で正規化した前記差信号の
    前記変数に対する傾きに比例した値を1サンプル周期前
    のステップ・サイズに加算して和を得た後、該和に制限
    を加えた制限付和を新たな制限付ステップ・サイズと
    し、前記制限付ステップ・サイズを前記参照信号電力で
    正規化した値を用いて係数更新を行ない、前記制限を加
    えるためのしきい値は過去の前記制限付ステップ・サイ
    ズの2乗値を用いて逐次決定することを特徴とする請求
    項1に記載のエコー除去方法。
  4. 【請求項4】 疑似エコーの振幅と予め定められた第1
    の定数との積が差信号の振幅より小さく、ステップ・サ
    イズが予め定められた第2の定数より小さいときは前記
    アダプティブ・フィルタの係数更新を停止することを特
    徴とする請求項1,2又は3に記載のエコー除去方法。
  5. 【請求項5】 疑似エコーの電力と予め定められた第1
    の定数との積が差信号の電力より小さく、ステップ・サ
    イズが予め定められた第2の定数より小さいときは前記
    アダプティブ・フィルタの係数更新を停止することを特
    徴とする請求項1,2又は3に記載のエコー除去方法。
  6. 【請求項6】 2線・4線変換回路の4線側において送
    信側から受信側へ漏れ込むエコー又はスピーカからマイ
    クロホンへ空間音響経路を経て漏れ込むエコーをアダプ
    ティブ・フィルタにより発生される疑似エコーを用いて
    除去する際に、 前記参照信号を受けて疑似エコーを発生するアダプティ
    ブ・フィルタと、 前記エコーと近端信号とが混在した混在信号から前記疑
    似エコーを差引いて差信号を得る減算器と、 該減算器出力である差信号と前記参照信号を受けて、
    差信号の傾き、参照信号の電力を算出・利用するととも
    に、ステップ・サイズの制限を加えることにより、前記
    アダプティブ・フィルタの係数更新に用いられるステッ
    プ・サイズを適応的に制御するステップ・サイズ・コン
    トローラと、 前記ステップ・サイズ・コントローラの出力であるステ
    ップ・サイズと前記疑似エコーと前記差信号を受けて
    端電力の瞬時電力がエコーの瞬時電力より大きい場合を
    検出し、係数更新停止信号を発生する制御回路と、 該制御回路出力に応じて前記ステップ・サイズ・コント
    ローラの出力と零を選択して前記アダプティブ・フィル
    タに伝達するセレクタとを少なくとも具備することを特
    徴とするエコー除去装置。
  7. 【請求項7】 ステップ・サイズ・コントローラは、参
    照信号を受けて相関と参照信号電力を計算する相関計算
    回路と、前記参照信号電力を1サンプル周期遅延させる
    第1の遅延素子と、前記相関と前記第1の遅延素子の出
    力と第2の遅延素子からの帰還信号と差信号を受けてス
    テップ・サイズを逐次計算するステップ・サイズ計算回
    路と、該ステップ・サイズ計算回路の出力であるステッ
    プ・サイズを受けて制限を加えるリミッタと、該リミッ
    タの出力を前記ステップ・サイズ計算回路へ1サンプリ
    ング周期遅延させて帰還する第2の遅延素子と、前記リ
    ミッタの出力である制限付ステップ・サイズを前記参照
    信号電力で正規化して正規化制限付ステップ・サイズを
    求める正規化回路とから構成され、前記制限付ステップ
    ・サイズを制御回路の制御情報として出力することを特
    徴とする請求項6に記載のエコー除去装置。
  8. 【請求項8】 制御回路は、疑似エコーを受けて絶対値
    を得る第1の絶対値回路と、前記疑似エコーの絶対値に
    前記第1の定数を乗算する第1の乗算器と、差信号を受
    けて絶対値を得る第2の絶対値回路と、前記第1の乗算
    器出力と差信号の絶対値を比較して前者が後者より小さ
    いときは1を、そうでないときは0を出力する第1の比
    較回路と、制限付ステップ・サイズと前記第2の定数を
    比較して前者が後者より小さいときは1を、そうでない
    ときは0を出力する第2の比較回路と、前記第1の比較
    回路と前記第2の比較回路の出力を受けて論理積をとる
    論理積回路とから構成されることを特徴とする請求項6
    に記載のエコー除去装置。
  9. 【請求項9】 制御回路は、疑似エコーを2乗して電力
    を計算する第2の乗算器と、前記疑似エコーの電力に前
    記第1の定数を乗算する第1の乗算器と、差信号を2乗
    して電力を計算する第3の乗算器と、前記第1の乗算器
    出力と差信号の電力を比較して前者が後者より小さいと
    きは1を、そうでないときは0を出力する第1の比較回
    路と、制限付ステップ・サイズと前記第2の定数を比較
    して前者が後者より小さいときは1を、そうでないとき
    は0を出力する第2の比較回路と、前記第1の比較回路
    と前記第2の比較回路の出力を受けて論理積をとる論理
    積回路とから構成されることを特徴とする請求項6に記
    載のエコー除去装置。
  10. 【請求項10】 ステップ・サイズ計算回路は、差信号
    を受けて1サンプル周期遅延させる第3の遅延素子と、
    該第3の遅延素子出力と前記差信号を乗算する第4の乗
    算器と、相関計算回路の出力である相関値と前記第4の
    乗算器出力を乗算する第5の乗算器と、該第5の乗算器
    出力を定数倍する第6の乗算器と、該第6の乗算器出力
    を前記参照信号電力で正規化する第2の正規化回路と、
    該第2の正規化回路出力と前記帰還信号を加算する加算
    器とから構成されることを特徴とする請求項7に記載の
    エコー除去装置。
  11. 【請求項11】 リミッタは、帰還信号と予め定められ
    た第3の定数を乗算する第7の乗算器と、該第7の乗算
    器出力と入力信号と予め定められた第4の定数を受けて
    最小値を検出する最小値回路と、前記帰還信号に予め定
    められた第5の定数を乗算する第8の乗算器と、該第8
    の乗算器出力と前記最小値回路出力と前記第6の定数を
    受けて最大値を出力する最大値回路とから構成されるこ
    とを特徴とする請求項7,8,9又は10に記載のエコ
    ー除去装置。
  12. 【請求項12】 リミッタは、帰還信号を受けて2乗す
    る第9の乗算器と該第9の乗算器出力と前記第3の定数
    を乗算する第7の乗算器と、該第7の乗算器出力と入力
    信号と前記第4の定数を受けて最小値を検出する最小値
    回路と前記第9の乗算器出力と前記第5の定数を乗算
    する第8の乗算器と、該第8の乗算器出力と入力信号と
    前記第6の定数を受けて最大値を出力する最大値回路と
    から構成されることを特徴とする請求項7,8,9又は
    10に記載のエコー除去装置。
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