JP3094474B2 - イソキノリノン誘導体とその製造方法 - Google Patents

イソキノリノン誘導体とその製造方法

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JP3094474B2 JP03029118A JP2911891A JP3094474B2 JP 3094474 B2 JP3094474 B2 JP 3094474B2 JP 03029118 A JP03029118 A JP 03029118A JP 2911891 A JP2911891 A JP 2911891A JP 3094474 B2 JP3094474 B2 JP 3094474B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、4−(3−tert−
ブチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−メチ
ル−1−イソキノリノン(一般名でチリソロールと呼称
される)のヒドロキシル基が脂肪族カルボン酸またはフ
ェニル置換脂肪族カルボン酸でエステル化された構造を
有し、生体内エステラーゼの作用により生体に投与され
た場合にチリソロールを放出して高血圧症、狭心症、不
整脈、または緑内障もしくは高眼圧症などの治療剤とし
て有用な新規なイソキノリノン誘導体とその薬学的に許
容される酸付加塩、およびこの新規なイソキノリノン誘
導体の製造方法、並びに同イソキノリノン誘導体を有効
成分とする医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】チリソロール塩酸塩は特公昭53-41673号
公報に記載された化合物であって、これを経口投与する
ことによって高血圧症や狭心症の治療に有効なβ−アド
レナリン遮断剤として作用することが知られている(池
田正男他、「医学のあゆみ」148(2),135〜1
60(1989)、加藤和三他「臨床成人病」18(1
0),1737〜1753(1988))。
【0003】β−遮断剤は上記した疾患の他に点眼投与
によって緑内障、または高眼圧症の治療に有効であるこ
とが知られており、わが国でもチモロール、カルテオロ
ール、ベフノロールなどの点眼剤が市販されている。そ
してチリソロールも高眼圧低下作用を有することが報告
されており(特願平1-242303号出願)緑内障治療剤とし
て有用である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このチリソロールを点
眼剤として用いる場合に、眼球結膜および角膜を透過し
たチリソロールが人体に吸収され薬効を発揮するもので
あるから、良好なこれらの膜透過性が望まれるのであ
る。またβ−遮断剤は高血圧症や狭心症治療剤として経
口的投与のみでなく、テープ製剤などの経皮吸収剤や鼻
または口腔粘膜吸収剤としての適用も考えられるが、こ
の場合についても良好な皮膚または粘膜透過性が求めら
れるのである。
【0005】ところでチリソロールは脂溶性が大きくな
いことから角膜、皮膚または粘膜の透過性は必ずしも良
好と言えず、かかる経眼的または経皮的投与による吸収
性を改良し、もって好ましい薬効を発揮する血中濃度、
組織中濃度をうるための手段の開発が求められる。
【0006】
【課題を解決するための手段】角膜または皮膚といった
比較的バリヤー能が高い生体膜の薬剤透過性を向上させ
るために、吸収促進剤の利用等が一般に行なわれている
が、吸収促進剤自身の刺激性等の問題があって望ましい
ものであるとは言えない。そこで薬物自体の脂溶性を薬
物に修飾を加えることで向上させて生体膜の透過性を改
良し、しかして生体内に吸収された場合に活性本体であ
る薬物に変換されるいわゆるプロドラッグをチリソロー
ルについて探索、研究した結果、チリソロールの化学構
造中のヒドロキシル基をカルボン酸またはそのエステル
形成性の機能的誘導体でエステル化して得られる化合
物、またはその酸付加塩はもとのチリソロールに比較し
て脂溶性が向上されており、生体膜透過性にすぐれ、従
って経眼的、経皮的または経粘膜的投与によりよりすみ
やかに吸収され、しかも吸収されたエステル化化合物は
生体中のエステラーゼによって容易に分解をうけて活性
本体のチリソロールに変換されることを見出して本発明
を完成したのである。
【0007】すなわち、本発明の1つの観点によれば、
本発明は次の一般式(1)
【化6】 (式中、RはC1-19のアルキル基もしくはC2-19のアル
ケニル基またはフェニル基で置換されたC1-19のアルキ
ル基もしくはC2-19のアルケニル基を表わす)で示され
るイソキノリノン誘導体またはその薬学的に許容される
酸付加塩に関する。
【0008】本発明の他の1つの観点によれば、本発明
は次の式(2)
【化7】 で示される4−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒ
ドロキシプロポキシ)−2−メチル−1−イソキノリノ
ンと、次の一般式(3) RCOOH (3) (式中、Rは上記した意味を有する)で示されるカルボ
ン酸またはそのエステル形成性の機能的誘導体とを、エ
ステル形成条件下に反応させて、次の一般式(1)
【化8】 (式中、Rは上記した意味を有する)で示されるイソキ
ノリノン誘導体を製造し、必要によってこのイソキノリ
ノン誘導体をその薬学的に許容される酸付加塩に変換す
ることからなる、上記イソキノリン誘導体およびその薬
学的に許容される酸付加塩の製造方法に関する。
【0009】本発明の更に他の1つの観点によれば、本
発明は次の一般式(1)
【化9】 (式中、Rは上記した意味を有する)で示されるイソキ
ノリノン誘導体またはその薬学的に許容される酸付加塩
からなる、緑内障または高眼圧症治療剤に関する。
【0010】本発明の上記した一般式(1)で示される
イソキノリノン誘導体は、チリソロールまたはその酸付
加塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などと、上記し
た一般式RCOOHで示されるカルボン酸またそのエス
テル形成性の機能的誘導体とをエステル形成反応条件下
にさせることによって得られる。
【0011】チリソロールと上記したカルボン酸との反
応は、通常のエステル化反応条件、例えばチリソロール
1モルに対して0.5〜5モル量、好ましくは1モル量以
上のカルボン酸を、有機溶媒、例えばn−ヘキサン、シ
クロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素溶
媒、アセトニトリルなどのニトリル、ジエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなど
のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化
炭素などのハロゲン化炭化水素溶媒中で、またはカルボ
ン酸自体、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸などを溶媒
として、エステル化反応触媒、例えば硫酸、p−トルエ
ンスルホン酸などの存在下に室温〜溶媒の沸点温度で反
応させることによって行なわれる。
【0012】このエステル化反応はまたチリソロールと
上記したカルボン酸のエステル形成性の機能的誘導体、
例えば酸クロライド、酸ブロマイドなどの酸ハライド、
酸無水物、カルボン酸の低級アルコールとのエステルな
どとを反応させることで行なうことができる。
【0013】チリソロールと酸ハライドとの反応は、例
えばチリソロール1モルに対して0.5〜3モル量好ま
しくは1モル量以上の酸ハライドを上記した種類の有機
溶媒中で、室温〜溶媒の沸点温度で反応させることによ
って行なわれる。この反応は必要に応じて酸結合剤、例
えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、n−ブチルリチウム、ナトリウムア
ミド、金属ナトリウム、ジメチルアニリン、ピリジン、
テトラメチル尿素などの存在下に行うことができる。
【0014】チリソロールと酸無水物との反応は、例え
ばチリソロール1モルに対して、0.3〜5モル量の酸
無水物を上記したチリソロールとカルボン酸との反応条
件と同様の条件下に反応させることによって行なわれ
る。硫酸、p−トルエンスルホン酸の代わりに塩化亜
鉛、酢酸ナトリウム、ピリジン、トリエチルアミン、4
−ジメチルアミノピリジンなどを用いることもできる。
【0015】チリソロールとカルボン酸の低級アルコー
ルのエステルとの反応は、通常のエステル交換反応で行
なうことができる。この場合エステル交換触媒を存在さ
せて反応を行なうことが有利で、エステル交換触媒とし
ては塩基触媒としてナトリウムメトキシド、水酸化ス
ズ、水酸化アルカリなどをまた酸触媒として硫酸、p−
トルエンスルホン酸などを用いることができる。反応に
よって副生する低級アルコールが容易に除去されうる反
応条件、例えば反応混合物の沸騰下における反応が好ま
しい。
【0016】本発明においてチリソロールの水酸基をエ
ステル化するのに用いるカルボン酸の具体例としては、
酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉
草酸、トリメチル酢酸、n−オクタン酸、ラウリン酸、
ステアリン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、アクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、オレ
イン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸、フェニル酢酸、
フェニルプロピオン酸などのフェニル置換飽和脂肪族カ
ルボン酸が挙げられる。
【0017】上記した本発明の一般式(1)で示される
イソキノリノン誘導体の薬学的に許容される酸付加塩に
は薬学的に許容されうるすべての酸との酸付加塩が含ま
れるが、その具体例としては塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨ
ウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、シュ
ウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、プロピオ
ン酸塩、酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒
石酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩などの有機酸
塩が挙げられる。
【0018】本発明の一般式(1)で示されるイソキノ
リノン誘導体またはその薬学的に許容される酸付加塩
は、チリソロールまたはその酸付加塩に比較して、その
化学構造中のヒドロキシル基がエステル化されて脂溶性
化されているために、角膜、皮膚または生体粘膜の透過
性にすぐれており、下記する実施例からも明らかなよう
に、このイソキノリノン誘導体またはその薬学的に許容
される酸付加塩を経眼的、経皮的または経粘膜的に生体
に投与する場合に容易に角膜、皮膚または粘膜を透過し
て吸収されうるので、好ましい薬効を発揮する血中また
は組織中濃度をうることができ、しかして吸収されたイ
ソキノリノン誘導体は生体中でエステラーゼの作用によ
って容易にもとのチリソロールに転換されることから、
この発明のイソキノリノン誘導体またはその薬学的に許
容される酸付加塩はチリソロールのプロドラッグとして
の有用性が期待できるものである。
【0019】本発明のイソキノリノン誘導体またはその
薬学的に許容される酸付加塩は、点眼剤として緑内障ま
たは高眼圧症に、また軟膏剤、パッチ剤、テープ剤、ス
プレー剤、坐剤などの剤型で高血圧症や狭心症等に有効
で、点眼剤としては1日0.005〜2.5mg、それ以外
の投与方法にあっては1日1〜100mgの投与が望まし
い。
【0020】つぎに本発明のイソキノリノン誘導体の製
造の具体例を実施例により説明し、さらにこの化合物の
インビトロおよびインビボにおける効果の実例とこの化
合物の製剤例を示すことにする。
【0021】実施例1 塩酸(±)−4−(2−アセトキシ−3−tert−ブ
チルアミノプロポキシ)2−メチル−1(2H)−イソ
キノリノン(化合物1) 容量100mlの三角フラスコ中に、アセトニトリル20
ml中に懸濁させた塩酸チリソロール2gを装入し、これ
にアセチルクロライド約3gを加え、冷却管を装着して
撹拌下に80℃で5時間還流加熱した。薄層クロマトグ
ラフィー(シリカゲル層厚0.2mm、移動相クロロホル
ム:メタノール:酢酸=9:1:0.1)で反応終了を
確認後少量のエーテルを加え−5℃に一夜放置し、析出
した結晶を濾過分取し、充分量のエーテルで洗浄し、過
剰のアセチルクロライドを除去した。エーテル/メタノ
ール混液で再結晶を行なったところ、90%以上の収量
で標記化合物を得た。白色結晶、融点123〜126
℃;TLCRf=0.21;1H−NMR δ(ppm)(D
MSO−d6)1.36(9H,s)、2.11(3H,
s)、3.23(2H,b)、3.49(3H,s)、
4.2(2H,d,J=5.0)、5.3〜5.6(1H,
m)、7.24(1H,s)、7.4〜8.4(4H,
m)、8.78(1H,b)、9.32(1H,b)。
【0022】実施例2 塩酸(±)−4−(3−tert−ブチルアミノ−2−
プロピオニルオキシプロポキシ)−2−メチル−1(2
H)−イソキノリノン(化合物2) アセチルクロリドに代えて0.9gのプロピオニルクロ
リドを用いた以外は実施例1の操作を繰り返し90%以
上の収量で標記化合物を得た。白色結晶、融点198〜
200℃;TLCRf=0.25;1H−NMR δ(pp
m)(DMSO−d6)1.05(3H,t,J=7.
5)、1.36(9H,s)、2.34(2H,d,J=
7.5)、3.23(2H,b)、3.49(3H,
s)、4.21(2H,d,J=5.0)、5.3〜5.6
(1H,m)、7.25(1H,s)、7.4〜8.4
(4H,m)、8.78(1H,b)、9.32(1H,
b)。
【0023】実施例3 塩酸(±)−4−(3−tert−ブチルアミノ−2−
ブチリルオキシプロポキシ)−2−メチル−1(2H)
−イソキノリノン(化合物3) アセチルクロリドに代えて0.9gのn−ブチリルクロ
リドを用いた以外は実施例1の操作を繰り返し、90%
以上の収量で標記化合物を得た。白色結晶、融点173
〜175℃;TLCRf=0.27;1H−NMR δ(pp
m)(DMSO−d6)0.87(3H,t,J=7.
0)、1.36(9H,s)、1.2〜1.6(2H,
m)、2.34(2H,d,J=7.5)、3.23(2
H,b)、3.49(3H,s)、4.22(2H,d,
J=4.0)、5.3〜5.6(1H,m)、7.24(1
H,s)、7.4〜8.4(4H,m)、8.78(1
H,b)、9.32(1H,b)。
【0024】実施例4 塩酸(±)−4−(3−tert−ブチルアミノ−2−
バレリルオキシプロポキシ)−2−メチル−1(2H)
−イソキノリノン(化合物4) アセチルクロリドに代えて0.7gのバレリルクロリド
を用い還流加熱時間を12時間とした以外は実施例1の
操作を繰り返し、90%以上の収量で標記化合物を得
た。白色結晶、融点86〜89℃;TLCRf=0.2
9;1H−NMR δ(ppm)(DMSO−d6)0.81
(3H,t,J=6.5)、1.36(9H,s)、1.
1〜1.7(4H,m)、2.29(2H,d,J=7.
0)、3.23(2H,b)、3.48(3H,s)、
4.17(2H,d,J=5.0)、5.3〜5.6(1
H,m)、7.24(1H,s)、7.4〜8.4(4
H,m)、8.84(1H,b)、9.36(1H,
b)。
【0025】実施例5 塩酸(±)−4−(3−tert−ブチルアミノ−2−
イソバレリルオキシプロポキシ)−2−メチル−1(2
H)−イソキノリノン バレリルクロリドに代えて2.0gのイソバレリルクロリ
ドを用いた以外は実施例4の操作を繰り返し90%以上
の収量で標記化合物を得た。白色結晶、融点151〜1
54℃;1H−NMR δ(ppm)(DMSO−d6)0.
879(6H,d−d,J=6.5,1.1)、1.36
(9H,s)、1.8〜2.2(1H,m)、2.29
(2H,d,J=6.0)、3.23(2H,b)、3.
49(3H,s)、4.23(2H,d,J=4.0)、
5.3〜5.6(1H,m)、7.24(1H,s)、7.
4〜8.4(4H,m)、8.79(1H,b)、9.4
(1H,b)。
【0026】実施例6 塩酸(±)−4−(3−tert−ブチルアミノ−2−
ピバロイルオキシプロポキシ)−2−メチル−1(2
H)−イソキノリノン パレリルクロリドに代えてピバロイルクロリドを用いた
以外は実施例4の操作を繰り返し90%以上の収量で標
記化合物を得た。白色結晶、融点221〜224℃;T
LCRf=0.33;1H−NMR δ(ppm)(DMSO
−d6)1.16(9H,s)、1.36(9H,s)、
3.23(2H.b)、3.49(3H,s)、4.23
(2H,d,J=4.0)、5.3〜5.6(1H,
m)、7.25(1H,s)、7.4〜8.4(4H,
m)、8.81(1H,b)、9.4(1H,b)。
【0027】実施例7 塩酸(±)−4−(3−tert−ブチルアミノ−2−
フェニルアセトキシプロポキシ)−2−メチル−1(2
H)−イソキノリノン アセチルクロリドに代えて0.7gのフェニルアセチル
クロリドを用い還流加熱時間を6時間とした以外は実施
例1の操作を繰り返し、90%以上の収量で標記化合物
を得た。白色結晶、融点160〜163℃;TLCRf
=0.30。
【0028】実施例8 ウサギの摘出角膜を用いた角膜透過性試験 日本白色種雄性家兎(2〜3kg)をペントバルビタール
過量で屠殺し、その角膜を摘出し、生理食塩水で洗浄
し、これをUssing chamberに装着し、この角膜をドナー
側とレセプター側とを隔てる隔離膜として用い、レセプ
ター側に温かいグルタチオン重炭酸塩リンゲル液(GB
R)約4mlを加え、ドナー側に薬物5mMを含むGBR液
約4mlを加え、35℃でインキュベートし、混合ガス
(O2:CO2=95:5)を通気しながら撹拌器で内液
を撹拌し、4時間にわたり30分毎にレセプター液0.
05mlを試料として採取し、代わりに0.05mlのGB
R液を補充した。試料液0.05mlに0.1N HCl含
有メタノール0.05mlを加え、撹拌し、遠心後、上清
の薬物濃度を高速液体クロマトグラフィーで測定した。
薬物として4種のイソキノリノン誘導体すなわち化合物
1、化合物2、化合物3、化合物4および対照化合物と
しての塩酸チリソロールを用い、これをドナー側溶液と
した場合、角膜を透過してレセプター側に現われたのは
ほとんどが薬効本体であるチリソロールで、プロドラッ
グである化合物1〜4の透過率はわずかであった。すな
わち、透過した薬物は加水分解をうけていた。
【0029】レセプター液中の薬物濃度をすべてチリソ
ロールに換算して、薬物の透過定数Papp(cm/sec)を
測定すると、チリソロール(対照)では2.30×10
-6であるのに対し化合物1では1.35×10-5、化合
物2では1.25×10-5、化合物3では2.22×10
-5、化合物4では1.85×10-5で、チリソロールに
比較して各チリソロール誘導体の角膜透過性は有意に優
れていることが認められた。
【0030】実施例9 経眼吸収実験 日本白色種雄性家兎(2〜3kg)を固定器で固定し、薬
液(30mM/pH7.4等張リン酸緩衝液)25μlを両眼
に点眼した。薬液投与60分後に屠殺し、眼房水を採取
した。試料0.1mlに0.1N HCl含有メタノール0.
1mlを加え、撹拌し、遠心後に上清のチリソロール濃度
を高速クロマトグラフィーで測定した。対照として塩酸
チリソロールを用いた。
【0031】4種のチリソロール誘導体すなわち、化合
物1〜化合物4を点眼した60分後の眼房水中のチリソ
ロール濃度(μM)を次表に示す。
【0032】
【表1】 この結果からすべての化合物において眼房水中のチリソ
ロール濃度が対照として用いた塩酸チリソロール点眼群
より有意に高いことが分る。
【0033】次に本発明の化合物を有効成分とする製剤
例を示す。
【0034】 軟膏剤: 塩酸(±)−4−(2−アセトキシ−3−tert−ブ チルアミノプロポキシ)−2−メチル−1(2H)−イ ソキノリノン 2.5g カルボキシビニルポリマー(カーボポール934) 1g ジイソプロパノールアミン 1.7g エタノール 20g 精製水 全量100g 上記処方のゲル軟膏剤を得た。
【0035】 テープ剤: (±)−4−(3−tert−ブチルアミノ−2−プロ ピオニルオキシプロポキシ)−2−メチル−1(2H) −イソキノリノン 10重量部 1,4−シスポリブタジエン 80重量部 天然ゴム 20重量部 ポリテルペン樹脂 20重量部 上記処方のシクロヘキサン塗工液をポリエステルライナ
ー上に乾燥後の厚みが75μmになるように塗工乾燥
し、これにポリエチレン支持体をラミネートしテープ製
剤を得た。
【0036】 坐剤: 塩酸(±)−4−(3−tert−ブチルアミノ−2− イソバレリルオキシプロポキシ)−2−メチル−1(2H) −イソキノリノン 1g ウィテップゾール,H−15 99g 上記処方の溶融液を金属性坐剤型に流し込み冷却成形し
て坐剤を得た。
【0037】 点眼剤: 塩酸(±)−4−(3−tert−ブチルアミノ−2− ピバロイルオキシプロポキシ)−2−メチル−1(2H) −イソキノリノン 5g 無水リン酸二水素ナトリウム 5.60g 無水リン酸一水素ナトリウム 2.84g パラオキシ安息香酸メチル 0.26g パラオキシ安息香酸プロピル 0.14g 滅菌精製水 全量1000ml 上記処方を無菌に製して点眼剤を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−12178(JP,A) 特開 昭57−163367(JP,A) 特開 昭57−212161(JP,A) 特開 昭60−19715(JP,A) 特開 平2−255618(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 217/24 - 217/26 CA(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、RはC1-19のアルキル基、もしくはC2-19のア
    ルケニル基またはフェニル基で置換されたC1-19のアル
    キル基もしくはC2-19のアルケニル基を表わす)で示さ
    れるイソキノリノン誘導体およびその薬学的に許容され
    る酸付加塩。
  2. 【請求項2】 式(2) 【化2】 で表される4−(3−tert−ブチルアミノ−2−ヒ
    ドロキシプロポキシ)−2−メチル−1−イソキノリノ
    ンと、一般式(3) RCOOH (3) (式中、Rは請求項1に記載した意味を有する)で示さ
    れるカルボン酸またはそのエステル形成性の機能的誘導
    体とを、エステル形成条件下に反応させて、一般式
    (1) 【化3】 (式中、Rは請求項1に記載した意味を有する)で示さ
    れるイソキノリノン誘導体を製造し、必要によって、こ
    のイソキノリノン誘導体をその薬学的に許容される酸付
    加塩に変換することからなる、上記イソキノリノン誘導
    体およびその薬学的に許容される酸付加塩の製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(1) 【化4】 (式中、Rは請求項1に記載した意味を有する)で示さ
    れるイソキノリノン誘導体またはその薬学的に許容され
    る酸付加塩からなる、緑内障または高眼圧症治療剤。
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