JP3093763B2 - ヒトレトロウィルスhiv―2の外被糖タンパク質の前駆抗原及びそれと免疫学的同族性をもつ抗原、ならびにこれらの抗原の調製方法及び診断への応用 - Google Patents

ヒトレトロウィルスhiv―2の外被糖タンパク質の前駆抗原及びそれと免疫学的同族性をもつ抗原、ならびにこれらの抗原の調製方法及び診断への応用

Info

Publication number
JP3093763B2
JP3093763B2 JP01144316A JP14431689A JP3093763B2 JP 3093763 B2 JP3093763 B2 JP 3093763B2 JP 01144316 A JP01144316 A JP 01144316A JP 14431689 A JP14431689 A JP 14431689A JP 3093763 B2 JP3093763 B2 JP 3093763B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hiv
cells
glycoprotein
protein
antigen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP01144316A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02119791A (ja
Inventor
リュク・モーンタニュ
アラ・ホバネシアン
アンヌ・ローラン
ベルナール・クリュス
マリー―アン・レイ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Institut Pasteur de Lille
Original Assignee
Institut Pasteur de Lille
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from FR8807817A external-priority patent/FR2632644B1/fr
Application filed by Institut Pasteur de Lille filed Critical Institut Pasteur de Lille
Publication of JPH02119791A publication Critical patent/JPH02119791A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3093763B2 publication Critical patent/JP3093763B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/08Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from viruses
    • C07K16/10Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from viruses from RNA viruses
    • C07K16/1036Retroviridae, e.g. leukemia viruses
    • C07K16/1045Lentiviridae, e.g. HIV, FIV, SIV
    • C07K16/1063Lentiviridae, e.g. HIV, FIV, SIV env, e.g. gp41, gp110/120, gp160, V3, PND, CD4 binding site
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2740/00Reverse transcribing RNA viruses
    • C12N2740/00011Details
    • C12N2740/10011Retroviridae
    • C12N2740/15011Lentivirus, not HIV, e.g. FIV, SIV
    • C12N2740/15022New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2740/00Reverse transcribing RNA viruses
    • C12N2740/00011Details
    • C12N2740/10011Retroviridae
    • C12N2740/16011Human Immunodeficiency Virus, HIV
    • C12N2740/16111Human Immunodeficiency Virus, HIV concerning HIV env
    • C12N2740/16122New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2740/00Reverse transcribing RNA viruses
    • C12N2740/00011Details
    • C12N2740/10011Retroviridae
    • C12N2740/16011Human Immunodeficiency Virus, HIV
    • C12N2740/16211Human Immunodeficiency Virus, HIV concerning HIV gagpol
    • C12N2740/16222New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • AIDS & HIV (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Steroid Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、ヒトレトロウィルスHIV−2の外被糖タン
パク質の前駆抗原ならびにかかるレトロウィルスHIV−
2の外被糖タンパク質の前駆物質である上述の抗原を認
識する特異的単クローン抗体と免疫学的に交雑する抗原
に関する。
さらに限定的に言うと、本発明は、ヒトレトロウィル
スHIV−2による完全の生体内での推移の或る段階の時
点でのみ存在する抗原に関する。これらの抗原は、この
レトロウィルスの外被糖タンパク質の形成及び成熟プロ
セスの特徴であり、従って、感染の伝播に端を発するレ
トロウィルスHIV−2の発達及び増殖に関与するもので
ある。
本発明は同様に、これらの抗原を認識する抗体ならび
にこれらの抗体を含む免疫原性化合物にも関する。
その上、本発明は前記抗原の調製方法ならびにヒトレ
トロウィルスHIV−2感染の診断のためのその利用にも
関する。
<従来の技術> リンパ節疾患症候群(英語略号はSLAである)の進行
の原因であるか又はこれらの症候群の進行に寄与する或
いは又後天性免疫不全症候群(SIDA、エイズ)の進行の
原因である病因学的作用因子が、分離され識別され、特
徴づけされてきた。
或る種の条件の下で人間において場合によってエイズ
に移行するSLAを誘発する可能性のある複数のヒトレト
ロウィルスを、HIV(Human Immunodeficiency Virusヒ
ト免疫不全症ウィルスの英語名の略)という名称を呼ん
できた。
このようにLAV−1つまりHIV−1と呼称された最初の
ウィルスが分離され、英国特許出願明細書第G13.83/248
00号ならびに1984年9月14日付のヨーロッパ特許出願明
細書第EP.84/401.834号内に記述されている。このウィ
ルスは又、F.Barre Sinoussi他により「science」(220
n゜45−99,20,pp868−871)内に記述されている。
LAV ELI及びLAV MALと呼称されたこのHIV−1ウィ
ルスの派生型も又分離され、特徴づけされ、ヨーロッパ
特許出願明細書第48/401.834号中に記述されている。
この全く異なるクラスに属しこれまでのものとの免疫
学的類似性が少ないレトロウィルスの分離及び特徴づけ
については、第239.425号として公開されたヨーロッパ
特許出願明細書第87/400.151.4号中に記述されていた。
HIV−2という呼称の下にまとめられたこれらのレトロ
ウィルスは、リンパ節疾患又はエイズの症状を示す複数
のアフリカ人患者において分離された。
これらのレトロウィルスHIV−1の研究、そのヌクレ
オチド配列の分離及び分析ならびにその抗原タンパク質
の特徴づけにより、構造面及び機能面の両面におけるこ
れらの類似性或いは又逆にその特異性レベルで、得られ
たさまざまな株の間の比較を行なうことができた。
これらのレトロウィルスHIV−1及びHIV−2は同様に
原シミアン(サルの)レトロウィルス(SIV又はSTLV−I
IIという略号で呼称されている)との比較においても研
究され、この研究によりレトロウィルスHIV−2及びそ
の派生型のタンパク質及び糖タンパク質とレトロウィル
スSIVのタンパク質及び糖タンパク質の間の或る種の類
似性を示すことができた。
これらのウィルスの各々の外被タンパク質(エンベロ
ープ)のレベルで類似性が特にきわ立っている。実際、
レトロウィルスHIV−2の外被タンパク質に対する抗体
とレトロウィルスSIVの外被糖タンパク質の間の免疫学
的交差反応を実証することができたが、この免疫学的交
差反応は、レトロウィルスSIVとレトロウィルスHIV−1
の間にも、又レトロウィルスHIV−1とHIV−2の間にも
起こらない。
レトロウィルスHIV−2のゲノムのenv.gene(ウィル
ス粒子膜構造タンパク質遺伝子)によりコード付けされ
たこのレトロウィルスの外被糖タンパク質に関する結果
は、前述のヨーロッパ特許出願明細書第87/400.151.4号
中に記されている。このEP特許出願明細書において、こ
の糖タンパク質は、約140,000dというその分子量を示す
ようgp140という略号で呼称されていた。ただし、分子
量の計算は±10%の誤差で評価されたことが明記されて
いた。先行するフランス特許出願明細書(第2.596.063
号として公開された第86/03881号)においては、gp160
(分子量160Kd±10%)と呼称されたgp140の前駆物質も
同様に記述されていた。
<課題を解決するための手段> レトロウィルスHIV−2の外被タンパク質に関するさ
らに詳しい調査が行なわれ、この調査により、当該発明
者は、これまでに与えられた分子量の別の測定方法を実
現し従って上述の分子量の間隔に基づいて結果を精密な
ものにすることができるようになった。外部外被糖タン
パク質は(本発明の作業条件の下で)HIV−2のウィル
ス粒子内で約125000dの分子量を呈している(これはgp1
25という名で呼ばれる)。これと同じ作業条件の下で、
フランス特許出願明細書第86/03881内ですでに立証済で
あり、gp160と呼称されている前駆物質の分子量は、最
近得られた結果に従うと、約140000dである。従って、
本特許出願明細書中、これを「gp140」という名で呼ぶ
ことにする。
本発明の枠内で、当該発明者は、糖タンパク質gp125
及び糖タンパク質gp36を含む、成熟した形の外被糖タン
パク質から得られることになる複数の発達段階が存在す
ることを立証した。従って、当該発明者は、ヒトレトロ
ウィルスHIV−2による感染の後に病原性障害が進行す
る場合に現われるウィルスの複製サイクルの推移におけ
るさまざまな段階を識別した。この点に関して当該発明
者は、レトロウィルスHIV−2に感染した細胞内特にヒ
トリンパ球T4内で進行する複数の段階の重要性を強調し
た。
これと並行して、当該発明者は、レトロウィルスHIV
−1及びHIV−2のウィルスサイクルについて同様な研
究を行なった。これらの研究により、レトロウィルスHI
V−2及びSIVに共通であり、しかも逆にHIV−1のウィ
ルス複製サイクルの際には見かけ上存在しないきわめて
特異的な特性を発見した。
従って、本発明はヒトレトロウィルスHIV−2に特異
的に起因すると言える感染を検出するための新しい手段
を提供する。
最近得られた結果を考慮すると、レトロウィルスHIV
−2及びSIV特有のウィルスサイクルは、その全体のみ
が最終的な形でレトロウィルスHIV−2のエンベロープ
内に存在する外部糖タンパク質の形成に導いてくれるよ
うな1つの複雑な連鎖反応プロセスとして現われる。こ
のプロセスの際に、さまざまな抗原性前駆物質を認識
し、分離し、識別することができた。これらは全て特
に、前述のヨーロッパ特許出願明細書中に記されている
レトロウィルスHIV−2のenv.geneによりコード付けさ
れた外被糖タンパク質のペプチド構造を一基礎とする構
造上の類似性を有する。
従って本発明は、ヒトレトロウィルスHIV−2の外部
外被糖タンパク質或いは前記gp125と免疫学的交差反応
を呈する糖タンパク質のペプチド構造を共有し、偶発的
なオリゴ糖鎖の存在及び/又は組成のレベルでは異なっ
ている、HIV−2の外部外被糖タンパク質gp125の形成及
び成熟サイクルのさまざまな段階に際してヒトレトロウ
ィルスHIV−2による感染の後に生成されるタンパク質
又は糖タンパク質に関するものである。
本発明に基づくタンパク質及び糖タンパク質に特異的
な特徴は、ヒトレトロウィルスHIV−2の成熟した外部
外被タンパク質の形成及び成熟に不可欠な各々の段階の
際に獲得されるものである。
ウィルスサイクルを研究することにより、当該発明者
は、ヒトレトロウィルスHIV−2の成熟した外被糖タン
パク質の形成の特定の段階に介入することができるとい
うことを示唆し、こうしてウィルスサイクルの正常な推
移を中断し或る種の条件の下で人間に対して感染力のあ
る病原性のレトロウィルスの伝播に対し補正するための
手段を提供した。
上述の事実に基づき、本発明は、以下のことを特徴と
する、抗原性タンパク質gp300に関する: −約300Kdの分子量(PM) −特にSLA又は(エイズ)を誘発する可能性のあるヒト
レトロウィルスHIV−2のゲノムのウィルス粒子膜構造
タンパク質遺伝子(env.gene)によりコード付けされた
外被糖タンパク質gp125又はかかるレトロウィルスHIV−
2のタンパク質gp300に対する抗体と免疫学的に交差反
応するレトロウィルスのタンパク質の前駆外被糖タンパ
ク質gp140の2つの単位の会合。
前駆物質gp140は同様にHIV−2のgp36の前駆物質であ
ることがわかる。当該発明者はgp140の2つの単位の前
述の会合がそのペプチド構造に固有の特性であることを
確認した。
抗原性タンパク質gp300はさらに以下の特性によって
特徴づけられる: −特にヒトリンパ球T4又はこれらのリンパ球から誘導さ
れた永久系統においてHIV−2族のレトロウィルスに感
染した患者の生物学標本の細胞中に存在していること; −その当電点(pI)は、[6.8−7.8]の間隔にあるpHに
ついて得られること; −それが、窒素に結合されたオリゴ糖鎖によってグリコ
シル化されていること; −それが、イオン性洗剤、特にSDS 1%、非イオン性
洗剤、特にTriton X−100 2%、尿4M、強塩及び還元剤
の中で安定していること; −それが、試験管内で、pH4〜5で約140Kdの分子量の2
つの糖タンパク質に自然発生的に解離すること; −電気泳動ゲル上での分離及び純化の後、それが、酢酸
緩衝液の中で試験管内で、6以下のpH値について約140K
dの分子量の2つの糖タンパク質に解離すること; −ヒトレトロウィルスHIV−2に感染した患者の血清か
ら得られた特異的抗体が存在する中でのイムノアフィニ
ティカラム上での純化の後、300Kdの分子量に相当する
電気泳動帯を、6Mの尿素の存在する中でポリアクリルア
ミドゲルSDS7.5%上で呈すること; 当該発明者は、gp300から成るダイマー(二量体)の
形成が、ウィルスサイクルの過渡的でおそらくはレトロ
ウィルスHIV−2の外被糖タンパク質の成熟に必要な1
つの段階であることに気づいた。実際、上述の抗原性タ
ンパク質gp300は、それが、18時間35S−メチオニン(20
0μCi/ml4×106細胞/ml)を用いた標識付けの後のレト
ロウィルスHIV−2に感染した細胞の特異的培地内に存
在するウィルス粒子から成る生物学的媒質の電気泳動分
析ならびに、感染細胞及びその相応する培地を含む得ら
れた抽出物の純化によっては見かけ上検出されないもの
の、同じ条件の下で上述の感染細胞内では検出されるこ
とを、特徴としている。
このことから当該発明者は、gp300を、最終的外被タ
ンパク質の特異的な過渡的前駆物質としてみなすに至っ
た。タンパク質gp300の獲得において結果として得られ
るレトロウィルスHIV−2のウィルスサイクルのこの特
性は、窒素上で結合されたオリゴ糖のグリコシル化(糖
鎖形成)鎖を含む糖タンパク質の形成の一般的メカニズ
ムについて既得の知識に比べて、独創的かつきき慣れな
いものである。
一方、当該発明者はきわめて興味深いことに、レトロ
ウィルスSIVmacの外被糖タンパク質の形成及び成熟が、
HIV−2について明確に特徴づけされたgp300のタイプの
糖タンパク質の獲得に導くダイマー化段階を介入させて
いることに気づいた。これとは反対に、ヒトレトロウィ
ルスHIV−1のウィルスサイクルを並行して観察したと
ころ、gp300に類似する糖タンパク質の形成において結
果として得られるダイマー化の段階は全くみられなかっ
た。
これらの結果は、全く驚くべきことに、レトロウィル
スHIV−2のエンベロープの糖タンパク質の前駆物質gp1
40からのダブレット(つまりダイマー)の形成がレトロ
ウィルスHIV−2及びSIVのenv.geneの表現の特異的特性
であることを示している。
この事実は、或る種の条件において、SLA又はエイズ
を誘発することのできるレトロウィルスHIV−2による
感染の選択的診断のための手段の研究及び開発におい
て、利用することのできるものである。これらの適切な
診断手段については、後で言及することにする。
本発明は又、グリコシル化されていない形をしている
ことならびにその分子量が約200Kdであることを特徴と
する、ペプチド構造のレベルでgp300のものと同じ特徴
と呈するタンパク質にも関する。
以下に示す例において再び言及するこのタンパク質p2
00は、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼH
(「endo−H」とも呼ばれる)での消化実験の際に立証
された。gp300のグリコシル化されていない形を表わす
このタンパク質は、gp300の最終的コンフォメーション
にとっては重要であるものの関心の対象であるエピトー
プへのアクセス可能性にとっては邪魔なオリゴ糖鎖の存
在のためにgp300内ではほとんど抗原性がないというこ
とがわかる、gp300及びp200に共通のエピトープが場合
によって存在することから、特に興味深いものでありう
る。
ウィルスサイクルの研究中、もう1つの糖タンパク質
が検出された。すなわち、純化された糖タンパク質gp15
0である。これは、グルコシダーゼの抑制因子特にカス
タノスパルミンが存在する中での短時間にわたる付加さ
れた放射性トレーサによるこれらの細胞の標識付け、次
に洗浄によるこの放射性トレーサの除去及び、前記標識
付けの後に形成されたタンパク質及び糖タンパク質内に
おいてこのトレーサを見つけることができるようにする
段階である異なる時間的間隔で採取された標本について
の放射能の測定段階に先立つ放射性のない分子による置
換の後、試験管内で検出されること(HIV−2型のヒト
レトロウィルスに感染した患者の細胞内においてのみ)
を特徴とする。gp150の観察は、gp300の検出に必要な時
間に等しい又はそれに近い時間の後に行なわれる。
糖タンパク質gp150はさらに次のことを特徴とする: −約150kdの分子量; −ヒトレトロウィルスHIV−2或いは又かかるレトロウ
ィルスHIV−2に感染した患者の血清の抗体特にgp125に
対する抗体により認識される外部外被糖タンパク質をも
つレトロウィルスのゲノムのenv.geneによりコード付け
された外被糖タンパク質gp125の前駆物質のペプチド構
造; −オリゴ糖鎖上の末端グルコース残基。
前述のタンパク質及び糖タンパク質好ましくはgp300
は、HIV−2型のヒトレトロウィルスに感染した患者の
生物学的標本の細胞内の抗体の存在の診断のための抗原
性化合物に使用すると有利であることがわかった。なお
これらの化合物は、前述の抗原性タンパク質又は糖タン
パク質を含むことをその特徴としている。
これらの化合物は、レトロウィルスHIV−2に感染し
た患者の血清の抗体と抗原抗体タイプの免疫学的複合体
を形成させることができるという点で、きわめて有利で
ある。従って、これらの化合物及び/又はそれに含まれ
ている抗原は、HIV−2型のレトロウィルスによる感染
の特異的診断を行なうために利用すると有利である。
さらに、本発明は、前述のgp300を認識すること及び
成熟した外被糖タンパク質gp125及び成熟したgp36を認
識しないことを特徴とする単クローン抗体にも関する。
その他の単クローン抗体は、それが上述のgp300にお
いて抗体に対して露出されアクセス可能であるようなエ
ピトープを認識すること(ただしこのエピトープは、そ
の天然のコンフォメーションにおける成熟したgp125及
びgp36内では、露出されていないか又はマスキングされ
ている)を特徴とする。
このような単クローン抗体は、特にレトロウィルスHI
V−2のその受容体上への固定特にこのウィルスを有す
るヒトリンパ球の受容体T4への固定を妨げることによ
り、中和性をもつものでもありうる。
本発明の枠内に入る有利な、その他の単クローン抗体
は、上述のp200を認識し、成熟したタンパク質gp125及
びgp36を認識しない。
その他の単クローン抗体は、p200内においてエピトー
プを認識すること(ただしこのエピトープは、その天然
のコンフォメーションにて得られるようなgp300及び/
又はgp125及びgp36上では露出されていないか又はマス
キングされている)を特徴とする。
上述の単クローン抗体は、免疫原性及び中和性をも
ち、レトロウィルスHIV−2の増殖を中断することがで
きる。
本発明の実施の枠内で、上述の抗体の生産には複数の
方法が適する。例えば、動物特にマウスのような齧歯目
における腹水での培養を用いることができる。又不動化
された又はカプセル封じされた或いは又懸濁状態の細胞
培養から抗体を生成することもできる。特に予めレトロ
ウィルスHIV−2を接種しておいた動物のリンパ球の融
合から得られるハイブリドーマ(雑種細胞)の技術を用
いる。この場合、感染した動物のリンパ球が採取され、
選択されたmyclomateuse(骨髄腫細胞mylomateuse)
細胞と融合させられて、次に上述の抗原性タンパク質及
び糖タンパク質に対する特異的抗体を生成するその能力
について選択される雑種を形成する。
これらの生成された単クローン抗体は、例えばそれら
が免疫学的複合体を共に形成するタンパク質及び/又は
糖タンパク質を不活性化するため、或いは又HIV−2の
エンベロープの最終的糖タンパク質の形成の正常な推移
を妨げるその能力を生かして、用いられることになる。
さらに、本発明に基づくタンパク質及びタンパク質のプ
ペチド構造の類似性から、これらの糖タンパク質に対し
て特にgp300、p200に対して形成された単クローン抗体
は、gp125に対して効果があることになる可能性があ
る。
これらの抗体のその他の応用分野としては生物学的調
製物内のウィルス抗原の検出或いは又アフィニティカラ
ムなどでのタンパク質及び/又は糖タンパク質の純化が
ある。
一般に、本発明は、唯一ヒトレトロウィルスHIV−2
から得られる場合の前述のもののような糖タンパク質及
びタンパク質に限定されるわけではない。これは反対
に、上述のタンパク質及び糖タンパク質と共通の抗原
性、免疫特性ひいては免疫原性を有するタンパク質及び
糖タンパク質をも包括している。なおこの場合、これら
のタンパク質及び糖タンパク質は、例えばレトロウィル
スHIV−2の特徴である相応するタンパク質に対する特
異性抗体による認識されるその能力などによって定義づ
けされうる。
このことは、当該発明者によるそのウィルスサイクル
研究によりヒトレトロウィルスHIV−2の前述のタンパ
ク質及び糖タンパク質と共通の特性が実証された、レト
ロウィルスSIVmacの外部外被糖タンパク質のその他の前
駆物質及び糖タンパク質gp300にあてはまる。
本発明は又、ワクチンの調製に適した薬学的に受入可
能な賦形剤と結びつけて上述のもののような糖タンパク
質gp300を含む免疫原性化合物にも関する。
こうして形成された免疫原性化合物は、1キログラム
あたり10μgから100μgの分量で投与することができ
るように抗原性タンパク質及び/又は糖タンパク質が調
合されている。
本発明は更に、以下の段階を特徴とする抗原性タンパ
ク質gp300の調製方法にも関する: −ヒトレトロウィルスHIV−2に感染した細胞の溶解及
び上澄みと細胞抽出物の分離段階; −イムノアフィニティクロマトグラフィのカラム上での
細胞抽出物及び/又は上澄みの保温段階。このカラム上
には、ヒトレトロウィルスHIV−2に感染した患者の血
清から得られるもののような純化された抗体を含む免疫
吸着剤が沈着させられている。なおこれらの抗体は、緩
衝液の存在する中で、免疫学的抗原抗体複合体形成に充
分な長さの時間、適合された支持体上に固定されてい
る。; −保留されなかった分子を除去するための、緩衝液での
カラムの洗浄段階; −電気泳動及び電気溶離による保留されたタンパク質の
分離段階; −求められている抗原性タンパク質の回収段階。
感染した細胞は、レトロウィルスHIV−2に感染した
患者において採取され得たはずである。又、これらの感
染細胞は、HIV−2に感染した細胞の培養から試験管内
でも得られたはずである。かかる細胞培養は、CEM系統
について行なわれうる。
この糖タンパク質の調製のためのもう1つの方法は、
前述のものと類似した形で得られるが、この場合、電気
溶離の段階は、以下の段階で置換えられる: −上述のイムノアフィニティーカラム上に固定されたタ
ンパク質の溶離、 −分離用支持体上に固定された形でgp300に対する単ク
ローン抗体を含む、クロマトグラフィのカラム上でこう
して溶離された生成物の純化。
本発明の特定の一実施態様においては、感染細胞の溶
解は、洗剤溶液の中で行なわれ、免疫吸着剤の中に含ま
れている抗体は、アガロース球上に固定され、連結用
(accrochage)緩衝液の存在下で作業が進められる。
本発明の目的は又、以下のことを特徴とする、ヒトレ
トロウィルスHIV−2による感染の有無を確認する目的
で患者の生物学標本の細胞内の抗体の存在を診断する方
法にもある: −抗原抗体タイプの免疫学的複合物の形成を可能にする
ような条件の下での、この生物学的標本と上述の抗原又
は本発明に基づく抗原性化合物の接触。
−形成された抗原抗体複合物の検出。
診断が行なわれる生物学的標本は、レトロウィルスHI
V−2に感染した細胞を含んでいる可能性があるかぎ
り、生物学的流体特に血清、生物学的組織抽出物であっ
てもよい。
かかる方法は、当該発明者が感染の原因であるレトロ
ウィルスのウィルス複製サイクルの早期段階におけるgp
300の出現を実証したことから、それがヒトレトロウィ
ルスHIV−2又はそれに類するレトロウィルスによる感
染の早期検出を可能にするかぎりにおいて、特に有利に
利用することができる。
前述の診断方法を利用するため、当該発明者は、次の
ものを含むことを特徴とする、ヒトレトロウィルスHIV
−2に感染している可能性のある患者の生物学的標本の
細胞内の抗体を検出するための用具又はキットを考案し
た: −前述の少なくとも1つの抗原性タンパク質及び/又は
糖タンパク質;又は −これらの構成成分から作られた化合物又はこれらの異
なる構成成分の混合物、そして −テストすべき生物学標本中に場合によって存在する抗
体と上述の抗原の間での免疫学的複合物の形成反応を可
能にする手段、特に必要とあらば、単数又は複数の保温
用緩衝液; −陰性対照の標本; −形成された抗原抗体複合物の検出のための手段; こうして感染性レトロウィルスHIV−2の形成のさま
ざまな段階ならびに感染の進行におけるこれらの段階の
うちのいくつかの重要性を見極めた上で、当該発明者
は、グルコシダーゼI及び/又はIIの少なくとも1つの
抑制因子特にカスタノスパルミン又はデオキシジリマイ
シン又はこれらの抑制因子の混合物を、生理学的に受入
れることのできる賦形剤と結びつけて、ウィルスサイク
ルの際に糖タンパク質gp150のオリゴ糖鎖の末端グルコ
ース残渣の除去を阻止するのに充分な分量で含んでいる
ことを特徴とする薬学的化合物の作製を提案した。
本発明のその他の特徴は、以下の実施例及び図面を参
照することにより明らかになるものと思われる: <実施例> 第1A図及び第2A図から成る第1図は、HIV−2の外被
糖タンパク質を表わしている。
−第1A図:HIV−1及びHIV−2の高分子量のタンパク質
の比較 HIV−1又はHIV−2に感染した細胞CEMを18時間35S−
メチオニン(200μCi/ml;4×106細胞/ml)を用いて標準
付けした。感染した細胞(CELL)の抽出物及びその相応
する培地(SN)を特異的イムノアフィニティカラム上
[HIV−1タンパク質に特異的な血清−セファロースHIV
−1カラム(Krust他,1988年)及びHIV−2タンパク質
に特異的な血清−セファロースHIV−2カラム(「実験
手順参照)」上で純化した。尿素6Mを含むポリアクリル
アミド−SDS(7.5%)のゲル電気泳動により、純化され
たタンパク質を分析した。ゲルのフルオログラフは、第
1A図に示されている。HIV−1及びHIV−2のタンパク質
のサイズは、ラインの左右に示されている。p68及びp55
は、それぞれ逆トランスクリプターゼ(転写酵素)及び
gag(ウィルス内部構造タンパク質遺伝子)の前駆物質
である。gp160及びgp120は、それぞれHIV−1のエンベ
ロープの前駆糖タンパク質とその卵割生成物である。
gp300、gp140及びgp125は、糖タンパク質の前駆物質
及びHIV−2の外被タンパク質の卵割生成物である。
−第1B図:HIV−2の糖タンパク質の識別 HIV−2に感染した細胞CEM及びリンパ球Tを18時間3H
グルコサミン(200μCi/ml;4×106細胞/ml)で標識付け
した。
血清−セファロースHIV−2カラム上で、感染した細
胞の抽出物(ラインC)及びウィルスを含む培質(ライ
ンV)を純化させ、7.5%ゲル上で細胞CEM内で合成され
たHIV−2の糖タンパク質の電気泳動により、標識づけ
されたタンパク質を分析した。最も左にあるラインにお
いて、12.5%のアクリルアミドのゲル電気泳動は、gp36
の存在を示している。この図のこの部分はgp36を立証す
るため過剰露出しなければならなかった。このため、gp
140/125は厚い帯の形で分離されている。
−第2図:HIV−2の糖タンパク質の、2次元ゲル電気泳
動分析 HIV−2に感染した細胞CEM(CELL)から純化された糖
タンパク質gp300、gp140及びgp125を35S−メチオニンで
標識付けした。糖タンパク質ならびにウィルスを含む培
地を分析した(SNは培地で得られた結果を表わしてい
る):調製条件は、二次元ゲル電気泳動については第1A
図のものとほぼ同じである(「実験手順」参照のこ
と)。等電点電気泳動(第1次元)のpH勾配は、与えら
れたものと一致している。第2次元では、タンパク質
を、尿素6Mを含むポリアクリルアミド−SDS(7.5%)ゲ
ル上で分離した。ゲルのフルオログラフは第2図に表わ
されている。
−第3図:未変性タンパク質gp300(a)と変性タンパ
ク質gp300(b及びc)の解離 a)−HIV−2に感染し35S−メチオニンで標識付けされ
た細胞CEMの抽出物を、血清−セファロースHIV−2カラ
ム上で純化した。
この標本を次に2つの等しいアリコート部分に分け
た:すなわちそのうちの1つは、連結用緩衝液内で保温
し(ライン1)、もう一方のものは、pH4.0の酢酸ナト
リウム30mM、PMSF 0.2mM、アプロチニン 100単位/ml
及びβ−メルカプトエタノールを含む緩衝液内で保温し
た(ライン2)。37℃で一時間放置した後、酸性媒質を
中和し、電気泳動により2つの標本を分析した。
b)−35S−メチオニンで標識付けされ、純化され、凍
結乾燥されたgp300を、上述のごとく、pH4の酢酸ナトリ
ウム(100μl)の緩衝液中で懸濁させた(ライン
2)。37℃で30分間保温が行なわれた後、2Mの尿素を含
む電気泳動緩衝液を2度にわたり付加した。ライン1の
結果は、電気泳動緩衝液中に直接懸濁させられた凍結乾
燥されたgp300に相当する。
c)−35S−メチオニンで標識づけされ、純化され、凍
結乾燥されたgp300を、30mMのTris−HCl、0.2mMのPMSF
及び100単位/mlのアプロチニンを含む溶液中で懸濁さ
せ、HClでpH7.5,7.0,6.5及び6.0(図に示されている通
り)に緩衝させた。37℃で60分放置した後、電気泳動緩
衝液を2度にわたり加え、標本を電気泳動で分析した。
これらのゲルのフルオログラフはa,b及びcに示され
ている。セクションcにおいては、gp300の特徴的な帯
は、gp140では解離されている。この解離は、このフル
オログラフの比重走査器を作製することにより数量化さ
れうる。
−第4図:Endo−HによるHIV−2の糖タンパク質の消化 純化された連結乾燥された糖タンパク質gp300、gp140
/gp125及びgp125(「実験手順参照」)を、pH5.5のクエ
ン酸ナトリウム150mM、0.1%のSDS(w/s)、0.5mMのPMS
Fを含む緩衝液中に懸濁させ、その後90℃で2分間加熱
した。これらの標本のアリコート部分を、endo−H無し
(ライン1)又はEndo−H 0.4ミリ単位(ライン
2)、2(ライン3)及び10(ライン4)ミリ単位有り
で保温した(30℃2時間)。
これらの反応は全て、2度にわたる電気泳動緩衝液の
付加により停止された。第1図について記されているよ
うに、電気泳動が行なわれた。異なるゲルのフルオログ
ラフが示されている。右側の矢印p90及びp80は、消化生
成物の位置を示す。endo−H消化の条件についてはTare
ntino他(1974年)により記述されている。
−第5図:14cマンノース又は3H−フコースを用いたHIV
−2の糖タンパク質の同位体標識付け HIV−2に感染した細胞を18時間、14c−マンノース
(25μCi/ml;4×106細胞/ml)又は3H−フコース(200μ
Ci/ml;4×106細胞/ml)を用いて標識付けした。感染し
た細胞の抽出物(ラインC)及びウィルスを含む培地
(ラインV)を、血清−セファロースHIV−2カラム上
で純化させた。次に標識付けされた糖タンパク質を、ポ
リアクリルアミドのゲル電気泳動により分析した。フル
オログラフは、第5図に示されている。
−第6図:チュニカマイシン(tunicamycine)による窒
素に結びつけられたグリコシル化(糖鎖形成)の抑制 チュニカマイシンの存在しない状態で(ラインC)又
はチュニカマイシンが存在する状態で(2μg/ml)(ラ
インTM)、HIV−2に感染した細胞を35S−メチオニン(
35S−metという題の枠;200μCi/ml;4×106細胞/ml)又
3H−グルコサミン(3H−GLcNAcという題の枠;100μCi
/ml;4×106細胞/ml)を用いて16時間標識付けした。チ
ュニカマイシンで処理された細胞をまず最初に抗生物質
(2μg/ml)で2時間保温し(37℃)、その後35S−メ
チオニン又は3H−グルコサミンで標識づけした。感染し
た細胞(CELL)とウィルスを含む培地(SN)の抽出物
を、血清−セファロースHIV−2カラム上で純化し、7.5
%のポリアクリルアミドのゲル電気泳動により分析し
た。これらのゲルのフルオログラフが示されている。エ
ンベロープのグリコシル化されていない前駆物質(p90/
80)の位置及びグリコシル化されていないダイマー(20
0Kd)の位置は、右側の小さな矢印により示されてい
る。タンパク質(90/80Kd及び200Kd)は、3H−グルコサ
ミンを内含していない(枠3H−GLcNAc,CELLラインT
M)。
−第7図:HIV−2の外被糖タンパク質の形成プロセスに
対するオリゴ糖の切断抑制因子の効果 HIV−2に感染した細胞CEMをオリゴ糖切断抑制因子無
し(ラインT)又はオリゴ糖切断抑制因子すなわち1mM
のブロモコンデュリトール(bromoconduritol)(ライ
ンBro);1mMのカスタノスパルミン(castanospermine)
(ラインCast);10μg/mlのスウェインソニン(swainso
nine)(ラインSw);3mMのデオキシノジリマイシン(de
oxynojirimycine)(ラインdNM)そして1mMのデオキシ
マイノジリマイシン(deoxymannnojirimaycine)(ライ
ンdMM)の存在する中で、35S−メチオニン(200μCi/m
l;4×106細胞/ml)を用いて標識付けした(16時間、37
℃)。
感染した細胞(SELLという題の枠)とウィルス粒子を
含む培地(SNの枠)の抽出物を、血清−セファロースHI
V−2カラム上で純化し、感染細胞中のウィルス糖タン
パク質gp125、gp140、gp300及び培地中のgp125を識別し
た。ポリアクリルアミドゲル7.5%上で電気泳動により
全ての標本を分析した。さまざまな抑制因子で処理され
た細胞によるgp125の生成の抑制がウィルス糖タンパク
質に特異的なものであることを示すため、培地をテスト
したところ、HIV−2に対する血清陽性の血清を介入さ
せるイムノプレシピテーションテスト(clavel他,1986
a、1986)により核のタンパク質p26の存在が検出され
た。このp26をポリアクリルアミド(12.5%)のゲル電
気泳動により分析した。図は、各ゲルの唯一つの部分の
みを示すフルオログラフである。
−第8図:HIV−2の糖タンパク質の形成プロセスに対す
るカスタノスパルミン及びモネンジン(monensine)の
効果 a)カルタノスパルミンの無い状態(対照)又はカスタ
ノスパルミン1mMが存在する状態(Cast.)で、HIV−2
に感染した細胞CEMを用いて、短時間にわたる放射性ト
レーサによる標識付け及びその後に続くこのトレーサの
除去と放射性の無い分子によるその置換の実験[パルス
チェイス(瞬間標識追跡)実験]を行なった。
対照:感染細胞を1時間37℃でメチオニンの無い媒質内
で保温し、その後、15分の短い間35S−メチオニン(200
μCi/ml;4×105細胞/mlライン1)で標識付けした。0.5
時間、1.5時間及び3時間(それぞれライン2,3,4に結果
が報告されている)、放射性トレーサを除去し5mMに低
温メチオニンを含む培地で置換した。Cast:HIV−2に感
染した細胞CEMをカスタノスパルミンを含むメチオニン
の無い媒質内で保温し(37℃で一時間)、その後、35S
−メチオニンを用いて30分間急速に標識付けした。次
に、上述のように但し0.5時間、1.5時間及び3時間(そ
れぞれライン2,3及び4)カスタノスパルミンがある状
態で、放射性トレーサの除去及び非放射性分子による置
換の後、これらの細胞を追跡した。
b)放射性トレーサによる標識付けならびにモネンジン
の無い状態(対照)又はモネンジン1μMの有る状態で
HIV−2に感染した細胞内での上述の条件下でこのトレ
ーサの追跡の実験を行なった。モネンジンの有る状態又
は無い状態の感染細胞をメチオニンの無い媒質内で保温
(1時間、37℃)し、その後35S−メチオニンで短い時
間(30分)標識付けした(ライン1)。次に、0.5時
間、1.5時間及び3時間(それぞれライン2,3及び4)低
温メチオニン5mMを含む培地内で、標識付けされた細胞
を追跡した。
血清−セファロースHIV−2カラム上で抽出物を純化
し、標識付けされたタンパク質をポリアクリルアミド
(7.5%)のゲル電気泳動により分析した。結果は、フ
ルオログラフに示されている。p55は、セクションA、
ライン1においてgag(ウィルス内部構造タンパク質遺
伝子の前駆物質)を表わしている。
−第9図:SIVの糖タンパク質の前駆物質 35S−メチオニン(200μCi/μ;4×106細胞/ml)、3
H−フコース(200μCi/μ;4×106細胞/ml)及び14C−
マンノース(25μCi/μ;4×106細胞/ml)を用いて、S
IVに感染し細胞HUT−78を標識付けした(16時間、37
℃)。感染した細胞(ラインC)及びSIVを含む媒地
(ラインV)の抽出物を、血清−セファロースHIV−2
カラム上で純化した。HIV−2及びSIVのタンパク質は免
疫学的交差反応を呈するため、SIVのタンパク質のイム
ノプレシピテーション反応を行なうために、HIV−2に
対し陽性の血清を用いた。全ての標本を、ポリアクリル
アミド(7.5%)のゲル電気泳動により分析した(「実
験手順」参照)。さまざまなゲルのフルオログラフが示
されている。gp300SIV及びgp140SIVの電気泳動移動度
は、HIV−2のgp300及びgp140の糖タンパク質のものと
一致する。gp130SIVは、HIV−2のgp125のものよりもや
や高い移動度を有している。35S−メチオニンで標識づ
けされたp55はおそらくSIVのgagの前駆物質である。
−第10図:HIV−2の外被糖タンパク質の形成段階の概略
的表示 合成されたグリコシル化された80Kdのポリペプチド
は、粒状小胞体(RER)のグルコシダーゼにより急速に
脱グリコシル化されるgp150という「糖タンパク質の未
成熟の前駆物質」の形成をひきおこす。このとき環境
(特にpH)の変化は、ダイマー化をひきおこし、ひいて
は、「ダイマー形態の中間前駆物質」であるgp300を形
成させる。gp300はゴルジ体内に輸送される前に、RERの
マンノシダーゼにより切断される。gp300のその他の切
断は、内側ゴルジ体及びトランスコルジ体へのフコース
及びシアル酸残基の転移の前に、ゴルジ体のマンノシダ
ーゼにより行なわれる。最後に、トランスゴルジ網(TG
N)の区画内を支配する酸性pHに比例して「成熟前駆物
質」pG135にダイマーが解離させられる。gp135は、原形
質膜内に輸送され、細胞プロテアーゼにより卵割され、
HIV−2の成熟した外被糖タンパク質gp125及びgp36へと
導く。テュニカマイシン(TM)は、ドリコール−P−P
−グリカン残基の組立てを抑制し、カスタノスパルミン
(Cast.)及びデオキシノジリマイシン(dNM)はRERの
グルコシダーゼを抑制し、デオキシマンノジリマイシン
(dMM)は、RER及びシス−ゴルジ及び内側ゴルジ内の切
断マンノシダーゼを抑制する;モネンジンはゴルジ体か
らの分泌タンパク質及び膜の糖タンパク質の輸送を抑制
する。
例 実験手順 I−材料 Amersham社(Amersham,イギリス)から入手した、L
−(35S)メチオニン(比活性:1000Ci/mmol)、L−(6
3−H)フコース(比活性:45−70Ci/mmol)、D−(6
3H)グルコサミン(比活性20〜40Ci/mmol)及びD−
(U−14C)マンノース(比活性:200〜300mCi/mmol)。
ブロモコンデュリトール、カスタノスパルミン、1−
デオキシマンノジリマイシン(dMM),1−デオキシノジ
リマイシン(dNM),スウェインソニン及びチュニカマ
イシンは、Boehringer−Mannheim社(ドイツ連邦共和
国、マンハイム)から入手した。
エンドβ−N−アセチルグルコサミニダーゼHは、Ca
lbiochem社(米国、サンディエゴ)から入手した。
アンフォリン(Ampholine)はPharmacia(スウェーデ
ン、Uppsala)からのものである。
II−ウィルス及び細胞 タイプ1のヒト免疫不全症ウィルスのHIV−1BRU分離
片(Montagnier他により記述されているもの、1984
年)、タイプ2のヒト免疫不全症ウィルスのHIV−2ROD
分離片(Clavel他により記述されているもの、1986a)
及び、サル免疫不全症ウィルスSIVmac 142(Daniel他に
より記述されているもの、1985年)を、本研究において
用いた。
さまざまな細胞系統及びヒトリンパ球を10%(v/v)
のウシ胎児血清を含むRPMI−1640の懸濁液媒質(GIBCO
−BRL社、フランス、Cergy−Pontoise)内で培養した。
HIVに感染した細胞培養物に対し2μg/mlのポリブレン
(polyburene)(SIGMA)を付加した。クローンの細胞C
EM13は、ヒトリンパ球様細胞の系統CEMから生まれ(CCL
第119号としてATCCに預託)、高レベルで抗原T4を表現
する。HIV−1BRU分離片又はHIV−2ROD分離片での感染か
ら5日後、約80〜90%の細胞がウィルス粒子を生成し、
細胞の空胞化及び小サイズのシンシチウム(合胞体)の
出現に相当する細胞変性効果により識別することができ
る。
細胞系統HUT−78は、SIVmac 142の複製に対しきわめ
て許容的な(Daniel他、1985)陽性ヒトリンパ球T4のも
う1つの細胞系統である(Gadzdar他、1980年)。健康
な献血者の血液の末梢リンパ球を、ウシ胎児血清10%を
補完したRPMI−1640培質内で0.02%(w/v)のフィトヘ
ムアグルチニン(植物性血球凝集素の分画P(DIFCO、
米国デトロイト)で、3日間刺激した。次に、T細胞の
成長因子を10%(v/v)(TGGF、Bio−test)含むRPMI−
1640培質上で細胞を培養した。HIV−2での感染の後、
リンパ球を、10%(v/v)のTCGF及び2μg/mlのポリブ
レンが存在する中で培養した。
III−細胞の代謝性標識付け タンパク質の代謝性標識づけのために、感染した細胞
を、L−メチオニンも血清も含まないものの200μCi/ml
のL(35S)メチオニンで補完されたMEM培地(Minimum
Essential Medium最小必要培地という英語の略)内で37
℃で16時間保温した。糖タンパク質の代謝性標識づけの
ためには、感染した細胞を、血清もグルコースも含まな
いものの200μCi/mlのH3−フコース及び200μCi/mlのD
−[6−H]−グルコサミン又は25μCi/mlの14C−マン
ノースで補完されたMEM培地内で37℃で16時間保温し
た。
IV−細胞とウィルス抽出物 107の細胞に相当する細胞沈渣を次の緩衝液100μの
中で再度懸濁させた。pH7.6のTris−HCl 10mM、NaCl
15mM、EDTA 1mM、PMSF 0.2mM、アプロチニン100単位/
ml(Inipral社、CHOAY)。その後、Triton X−100を2
%(v/v)含む同じ緩衝液100μを加えた。10分間1200
0gで細胞抽出物を遠心分離し、上澄みを使用まで−80℃
で保存した。ウィルス抽出物の調製のためには、感染し
た細胞CEMの清澄させられた上澄み1mlあたり10×溶解緩
衝液(pH7.6のTris−HCl 100mM、NaCl 1.5M、EDTA 1
0mM、Triton X−100 10%(v/v)、アプロチニン100単
位/ml)を100μ加えた。これらの調製物を以下のよう
に使用した。
V−HIV−2ウィルスに対し血清陽性の患者の血清内に
存在する抗体を用いての、免疫吸着剤の調製 HIV−2に対して血清陽性の患者の血清の免疫グロブ
リンを50%の(NH42SO4で沈殿させ、リン酸ナトリウ
ム(pH8.0)20mM中に溶解させ、次に20mMのリン酸ナト
リウム(pH8.0)での溶離によりセルロースカラムDEAE
(ED 52、Whatman)上で純化させた。こうして純化さ
れたこれらの免疫グロブリンは、90%純粋と判断され
た。次に、Bergにより記述されている(1977)技法に従
いCNBrにより活化されたSEPHAROSE CL4B上に、抗体を
結合させた。SEPHAROSE CL4B 1mlにつき2ミリグラム
のIgGを結合させた。この免疫吸着剤は「血清−セファ
ロースHIV−2」と呼ばれる。
VI−イムノアフィニティカラム上のHIV−2タンパク質
の結合 HIV−2を生成する細胞CEMの細胞抽出物をまず、連結
用緩衝液(pH7.6のTris−HCl 20mM、KCl 50mM、NaCl
150mM、EDTA 1mM、Triton X−100 1%(v/v)、グ
リセロース20%(v/v)、メルカプトエタノール7mM、PM
SF 0.2mM、アプロチニン100単位/ml)2体積内で希釈
し、その後1体積の「血清−セファロースHIV−2」と
共に保温する。HIV−2ウィルスを生成する細胞の上澄
みを、この上澄み1体積あたり濃縮連結用緩衝液(10
倍)10分の1が加えられる点を除いて細胞抽出物の場合
と同じ要領で処理した。連結段階を1晩行ない、次に連
結用緩衝液の中でカラムを充分に洗浄した。カラム上に
結合されたタンパク質を、電気泳動用緩衝液(pH6.8のT
ris−HCl 125mM、SDS1%(w/v)、尿素2M、グリセロー
ル20%、β−メルカプトエタノール1%)中で沸とうさ
せることにより、溶離させた。溶離されたタンパク質
を、0.2%(w/v)ではなく0.1%のビス−アクリルアミ
ドと尿素6Mを含む7.5%のSDS−ポリアクリルアミドの電
気泳動用ゲル上で分析した。
VII−予備的電気泳動 アフィニティカラムから溶離されたHIV−2の糖タン
パク質を前述のようにポリアクリルアミドのゲル電気泳
動により分析し、ウィルス糖タンパク質を含むゲルの領
域を、予め設定された分子量のタンパク質標識(BRL)
の位置を基準にして切断した。
溶離用緩衝液(MaHCO3 0.1M、EDTA 0.5mA、SDS 0.
05%(w/v)、PMSF 0.2mM)内で4℃で16時間の保温に
より、糖タンパク質を溶離した。こうした得られた糖タ
ンパク質の画分を凍結乾燥させ、使用するまで冷蔵庫に
保存した。
VIII−二次元ゲル電気泳動 二次元ゲル電気泳動は、以下のような修正を加えた上
で、O′Farrel(1975)が記述している方法により行な
った:すなわち、「血清−セファロースHIV−2」カラ
ム上に結合されたL(35S)−メチオニンにより標識づ
けされたタンパク質を、前述のごとく電気泳動用緩衝液
内で沸とうさせることにより溶離させ、その後で、尿素
9.5M、メルカプトエタノール8%(v/v)、pHが6.5〜9
のアンフォリン1.6%(w/v)、pHが3〜10のアンフォリ
ン0.4%(w/v)及びアプロチニン100単位/mlを含む緩衝
液1体積中に希釈させた。
例1−糖タンパク質gp300及びgp140の特徴づけ S35−メチオニンで標識づけされた、糖タンパク質gp3
00、gp140及びgp125の二次元ゲル電気泳動分析から得ら
れた分解図は、gp300及びgp140が類似していることを示
している。これら2つのタンパク質は、ゲル上で全く異
なる沈着を示すが、6.8〜7.8のpHについて同じような等
電点(pI)を有している。これらの結果は、第2図に報
告されている。タンパク質gp140とgp300の間のこの類似
性は、gp300がgp140のダイマー形で有ることを示唆して
いる。
gp125は、感染細胞においてもウィルス粒子において
も同様に異質性が低く、6.2から6.5までのpH値で等電点
に移動する。
感染した細胞内には、7.2〜7.3のpH値に対して等電点
を有するタンパク質gp125の微量小単位が存在してい
た。このカテゴリのタンパク質は、HIV−2ヴィリオン
(ウィルス粒子)には存在せず、このためこれは最終的
に構成されたのではない糖タンパク質であると思われ
る。
成熟したgp125の酸性は、外被糖タンパク質の熟成の
際に付加された炭水化物レベルのシアル酸によるものと
考えられる。
外被糖タンパク質gp300は、イオン性洗剤(SDS 1
%)及び非イオン性洗剤(Triton X−100 2%)、尿素
(2〜6M)、強塩(NaCl 1M)ならびに還元剤(β−メ
ルカプトエタノール 1%)に対し耐性をもつため、き
わめて安定性がある。しかしながら、gp300が酸性pHの
媒質内で解離され、2つの糖タンパク質gp140を形成し
うるということを立証することができた。これらの実験
においては、イムノアフィニティカラム上に結合された
タンパク質を4〜7に変化するpH値の酢酸緩衝液内で保
温した。次にこれらの標本を、ポリアクリルアミドのゲ
ル電気泳動により分析した。結果が報告されている第3A
図は、標本がpH4で保温された場合、gp140の位置に相当
する帯に、gp300の帯が変換されることを示している。
その他の実験は、前述のように、予備的電気泳動用ゲル
から得られたgp300の純化された調製物を用いて実施さ
れた。gp300の変性されたこのような標本を、pH6.0の酢
酸緩衝液中で完全に解離させた。これらの試験の結果
は、第3B図に報告されている。純化された糖タンパク質
gp300の解離の効率の良さは、pHの低下及び凍結乾燥さ
れた標本中のSDS残基の存在によるものと思われる。と
いうのも、カラム上に結合された未変性糖タンパク質gp
300は、pH5よりも高いpH値では同じ緩衝液中でも解離不
能であるからである。
Tris−HCl緩衝液中では、解離の効率はさほど良くな
い。pH7.5では、gp140の形でのgp300のわずかな解離し
か見られないが、それでもこれはpH値の低下に伴って増
大する。pH6.0のTris緩衝液中では、解離は第3C図に示
されているとおり、約80%であった。純粋gp300の解離
の場合、他の酢酸又はTris−HCl緩衝液中には、gp140以
下のいかなるタンパク質も検出できなかった(実験は、
15%のポリアクリルアミドゲル上で行なわれた)。これ
らの結果は、gp300が、それ自体HIV−2の外被糖タンパ
ク質の前駆物質であるgp140のダイマー形であることを
示している。従って、外被糖タンパク質の構成に際して
は、gp140の2つの分子がpH依存の融合メカニズムに参
加しているものと思われる。
例2−HIV−2の糖タンパク質のオリゴ糖側鎖の特徴づ
け エンドβ−N−アセチルグルコサミニダーゼH(endo
H)での消化により、窒素上に結合されたオリゴ糖の
存在をHIV−2の糖タンパク質について立証することが
できた。アフィニティークロマトグラフィ及び予備的電
気泳動により、gp300、(gp140、gp125)の混合物及びg
p125単独、を純化した(実験手順参照)。gp140へのgp3
00の解離に有利に作用しない消化緩衝液endo H内に、
凍結乾燥された標本を懸濁させた。
endo Hでの消化後、gp300の電気泳動移動度は、200
−250Kdのタンパク質のより低い移動度と一致する。gp1
40に解離されたgp300の小画分を消化させると、80Kdの
タンパク質が生成された。結果は、第4図のセクション
gp300に報告されている。gp140、gp125の混合物を含む
標本をendo Hで消化させると、90及び80Kdのタンパク
質が得られた。一方この消化に際し、単独のgp125は90K
dのタンパク質に変換された。(第4図のセクションgp1
40/125及びgp125参照)。gp140及びgp125のendo Hで
の消化は、それぞれ80Kd及び90Kdの分子量の生成物を導
く。
実際、14C−マンノース及び3H−フコースで細胞を代
謝的に標識付けすることにより、gp300、gp140及びgp12
5内にマンノースが取り込まれるのに対し、フコースを
とり込むことができるのはgp300とgp125だけであったと
いうことが示された(第5図)。フコース残基は通常、
小胞体及びゴルジ体の凝集酵素の作用の後、グルコシル
化サイクルのさらに進んだ段階においてオリゴ糖鎖の上
に転移させられる。(Kornfeld及びKornfeld,1985;Fuhr
mann他、1985)。
これらの理由から、gp140に比べてgp125のendo Hで
の消化に対する耐性が低いのは、マンノースタイプのオ
リゴ糖のいくつかの側鎖が、外被糖タンパク質の形質転
換に際して複雑なオリゴ糖に変換するせいであると思わ
れる(Kornfeld & Kornfeld,1985)。gp140がフコース
残基を全く含んでいないという事実は、それがgp300及
びgp125の前駆物質を構成するという事実と合致してい
る。
例3−HIV−2糖タンパク質の形成に対する、グリコシ
ル化抑制因子チュニカマイシンの効果 窒素に結合されたオリゴ糖の担体である糖タンパク質
は全て、アスパラギン残基上のオリゴ糖鎖のブロック転
移の触媒として作用するタンパク質−オリゴ糖トランス
フェラーゼにより実現される反応のおかげで、そのオリ
ゴ糖鎖Glc3Man9−GlcNAc2−pp−Dolicholを受けとる(K
ornfeld & Kornfeldの参考文献参照、1985年)。チュ
ニカマイシンは、脂質による結合されたオリゴ糖の組合
せにおける第1の段階であるN−アセチルグルコサミン
ピロフォスフォリルドリコールの生成を抑制することに
より、窒素に結びつけられたかかるグリコシル化を阻止
する(Li他、1978年;Heifetz他、1979年)。2μg/mlの
チュニカマイシンの存在する中で、感染された細胞内の
HIV−2の外被糖タンパク質の、窒素に結びつけられた
グリコシル化は全て阻止される。この結果は、ウィルス
糖タンパク質gp300、gp140、gp125内の3H−グルコサミ
ンの取込みが無いことによって実証されている(第6
図)。これらの実験条件において、タンパク質合成はそ
れでも、チュニカマイシンにより処理された感染細胞に
おいて影響されなかった。35S−メチオニンの同位体で
標識づけされたこのような培養物は、広い帯状に移動す
る見かけ分子量200及び80−90Kdの2つの主要なタンパ
ク質を示す。これらのタンパク質の分子量は、gp300、g
p140及びgp125のendo Hによる消化の生成物と一致
し、200Kd、80−90Kdの分子量のタンパク質が、HIV−2
の外被糖タンパク質のグリコシル化されていない形に相
当するということを示唆している。
80−90Kdというこのタンパク質の分子量は、その核酸
配列から見積ったグリコシル化されていないHIV−2の
エンベロープの前駆物質の予想分子量に一致する(Guya
der他、1987年)。200Kdの糖タンパク質は、おそらくグ
リコシル化されていないエンベロープ前駆物質のダイマ
ー形であろう。これらの結果は、HIV−2の外被タンパ
ク質が、窒素に結びつけられた多糖鎖を含んでいること
を裏づけている。グリコシル化の抑制の他に、チュニカ
マイシンでの処理は、外被糖タンパク質の形成及び輸出
を抑制する。というのも、80Kd〜90Kdのタンパク質は、
第6図、ラインSNが示しているように、細胞外媒質内で
明らかにされなかったからである。
これらの実験の結果により、我々はHIV−2の外被タ
ンパク質のグリコサッカリド鎖がゴルジ体を通しての細
胞輸送に関与していると思われるということを仮想する
ことができる。チュニカマイシンにより処理された細胞
の細胞外媒質内にグリコシル化されていない形の外被タ
ンパク質が存在しないのは、場合によってはその減成が
急速であるせいかもしれない。数多くの報告書が、一般
に1つのタンパク質のグリコシル化されていない形は、
そのグリコシル化された形に比べてプロテアーゼの作用
に対しより敏感であるということを示唆している(Olde
n他、1978年;Schwartz他、1976年)。これらの結果と一
致して、チュニカマイシンの中で培養された35S−メチ
オニンで標識付けされた細胞中に存在する低分子量のタ
ンパク質は、おそらくグリコシル化されていない外被タ
ンパク質の部分的減成の生成物を表わすものである(第
6図)。
例4−HIV−2の糖タンパク質の合成及び形質転換に対
する、オリゴ糖凝集抑制因子の効果 糖タンパク質のアスパラギン(Glc3Man9GlcNAc2)に
より結合されたオリゴ糖は、タンパク質への付着後、広
範な変更又は形質転換を受ける(Kornfeld及びKornfel
d,1985参照)。酵素によるグルコース及びマンノース末
端基の除去反応は、粒状小胞体(RER)のルーメン(管
腔)内及びゴルジ体の中で特異的マンノシダーゼ及びグ
ルコシダーゼの作用により起こる。
グルコシダーゼ及びマノシダーゼの特異的抑制因子を
用いることにより、糖タンパク質のオリゴ糖鎖の形質転
換に介入することができる(Schwarz及びDatema、198
4、Fuhrmann他、1985、により報告されている。)これ
らの実験において、HIV−2の糖タンパク質の前駆物質
の局在化を研究し、又エンベロープの前駆物質の形質転
換におけるグリコシル化の役目を検討するため、さまざ
まな接合抑制因子を用いた。使用した抑制因子は次のよ
うなものである:グルコシダーゼIを抑制する植物のア
ルカロイド、カスタノスパルミン(Saul他、1983年);
グルコシダーゼI及びIIを抑制しグルコース末端基の除
去を行なうグルコースの相似物、デオキシノジリマイシ
ン(dNM)(lemansky他、1984年);マンノシダーゼに
よる触媒反応を抑制するマンノースの相似物、デオキシ
マンノジリマイシン(dMM)(Fuhrmann他、1984年);
グルコシダーゼIIを抑制するブロモコンデュリトール
(6−ブロモ−3,4,5−トリヒドロキシシクロヘックス
−1−エン)(Datema他、1982年);ゴルジ体のマンノ
シダーゼIIを抑制するインドールイジンアルカロイド、
スウェインソニン(Tulsiam他、1982年)。
さまざまな接合抑制因子及び細胞内及び細胞外タンパ
ク質の無い状態又は有る状態で、35S−メチオニンの同
位元素により標識づけされたHIP−2に感染した細胞
を、アフィニティクロマトグラフィで純化させた(第7
図)。感染した細胞がgp300、gp140及びgp125を含むの
に対し、細胞外媒質内ではgp125のみが見られる、とい
うことを確認した。(結果は、第7図、セクション「細
胞」及びSN、ラインTに報告されている。)カスタノス
パルミン又はdNMで処理された細胞においては、通常の
割合のgp300、gp125の不在そして恐らくはgp140のグリ
コシル化された形に相当する150Kdの少量のタンパク質
を認知した。従って、HIV−2の核のタンパク質であるp
26の生成にもかかわらず、細胞外媒質内ではいかなるgp
125も検出されないため、かかる細胞において外被糖タ
ンパク質の形質転換は阻止された(第7図、ラインCas
t、及びdNM). これらの結果は、外被糖タンパク質の前駆物質のオリ
ゴ糖鎖のグルコース末端残基に除去が、その形質転換及
び細胞プロテアーゼによる卵割にとって必要であること
を示している。グルコシダーゼIIに対して作用するブロ
モコンデュリトールは、gp125の通常の生成をも70〜90
%抑制したが、gp140及びgp300の割合は通常どおりにと
どまっていた(第7図、ラインBro.)。カスタノスパル
ミン及びdNM(これらはグルコース末端残基の除去を抑
制する)とは逆に、ブロモコンデュリトールでの処理
(これは2つのグルコース内部残基の除去を抑制する)
は、HIV−2の外被糖タンパク質の形質転換を完全に阻
止しない。実際、細胞内及び細胞外媒質内には、わずか
な割合でgp125が検出できる。この最後の結果は、2つ
のグルコース内部残基を除去しなくても低レベルのマン
ノース除去が起こりうるということを示唆している。
マンノシダーゼの抑制因子であるスウェインソニン及
びdMMは、gp300、gp140又はgp125の細胞内割合における
顕著な変更を生み出さなかったが、gp125の細胞外レベ
ルは、対照細胞における相応する形状よりも50%低いも
のであった(第7図、ラインSw及びdMM)。従って、オ
リゴ糖鎖は脱グリコシル化を一回しか受けていないの
に、糖タンパク質の前駆物質はタンパク質分解酵素のお
かげで卵割され、gp125に類似するもののより多くのマ
ンノースを含むタンパク質を生成し、このことは恐ら
く、gp125の細胞輸送に影響を及ぼしている。dMMが存在
する中で生成された細胞外糖タンパク質の分子量は、抑
制因子の無い状態で生成されたタンパク質の分子量より
やや大きい。これは、dMMで処理された細胞により合成
された細胞外タンパク質のマンノース残基の濃度がより
大きいせいであると思われる(第7図、セクションS
N)。
以上のことから、HIV−2の外被糖タンパク質の形質
転換に対する除去酵素抑制因子の効果は、HIV−2のp26
の合成及び生成が全く影響を受けていないことからみて
特異的である、という結論をひき出すことができる(第
7図、セクションSN)。
例5−HIV−2の糖タンパク質の形質転換に対するカス
タノスパルミン及びモネンジンの効果 HIV−2の糖タンパク質の細胞内形質転換を検討する
目的で、トレーサを用いた実験(パルス−チェイス)を
実施した。HIV−2に感染した細胞を、15分間放射性35S
−メチオニンにより急速に標識付けし、次に、0.5時
間、1.5時間及び3時間トレーサの取込みを追跡(チェ
イス)した(第8図、対照)。gp140は、標識付けから1
5分後に最初に検出されたタンパク質である。放射性ト
レーサの取込みの追跡中、gp300は半時間後に検出でき
たが、gp125は1.5〜3時間後にしか検出できなかった。
gp300がgp140の合成後に観察されること、そしてgp125
がgp30の形成後にしか検出されないこと(第8図、ライ
ン1〜4)は、ダイマー化が成熟に達した糖タンパク質
gp125へのオリゴ糖の形質転換に必要な1つの中間段階
であることを示唆している。この示唆は、外部グルコー
ス残基及び多糖鎖の削除を抑制するカスタノスパルミン
の使用によって裏付けられる。カスタノスパルミンが存
在する中で30分標識付けした後(パルス)、150Kdのタ
ンパク質がgp300で検出される(第8図、Cas.、ライン
1)。150Kdのタンパク質は、gp140に相応しうる;第1
の前駆物質の分子量があまり増加していないのは、オリ
ゴ糖鎖の中にグルコース残基が存在するせいである。従
ってHIV−2に感染した細胞内で合成されたgp140は、グ
ルコース残基の無い糖タンパク質の前駆物質を表わして
いる。この結果と一致して、150Kd(gp150)のタンパク
質は、まだ成熟に達していないHIV−2の第1の外被糖
タンパク質を表わしている。対照細胞中のグルコース残
基の除去は、小胞体内の糖タンパク質の前駆物質の同時
並進転移の間又はその直後に起こる急速な形質転換に相
当する(Lemansly他、1984年)。カスタノスパルミンが
存在する中での30分の標識付け(パルス)と3時間のト
レーサ取込み追跡(チェイス)の後、gp150のレベルは
徐々に低下し、一方gp300の量は増大する(第8図、Cas
t.、ライン1〜4)。このような実験条件の下で、前駆
物質が卵割してgp125を与えることはなかった。
HIV−2の外被糖タンパク質のもう1つの特徴づけ
は、ゴルジ体から原形質膜へのタンパク質の輸送を抑制
し、場合によっては中央ゴルジ体のシスターネレベルへ
のタンパク質の輸送を阻止するカチオンイオノファであ
るモネンジンを用いることによって、放射性トレーサの
取込みに関する実験(パルスチェイス)の際に行なわれ
た(Tartakoff & Vassali、1977年;Johnson & Schles
inger、1980年;Strous & Lodish、1980年;Griffiths
他、1983年)。モネンジンの無い状態及び有る状態でHI
V−2に感染した細胞を30分間放射性トレーサで標識づ
けし(パルス)、次にトレーサの取込みを0.5時間、1.5
時間及び3時間(第8B図)追跡した。モネンジンのある
状態で、HIV−2に感染した細胞は、通常レベルのgp140
ならびにそのダイマー形を合成した。逆に、モネンジン
により処理された細胞内ではgp125の痕跡は全く検出で
きなかった。トレーサの取込みを1.5〜3時間追跡した
後(チェイス)、モネンジンで処理された細胞は、おそ
らくダイマーの前駆物質の解離生成物である135Kdのタ
ンパク質(gp135)を蓄積した。gp140に比べて幾分か低
いgp135の分子量は、RER及びゴルジ体のマンノシダーゼ
の作用によるいくつかのマンノース残基の除去によるも
のである。次にこのgp135は、原形質膜まで輸送され、
細胞プロテアーゼにより卵割されうる。モネンジンによ
るタンパク質の輸送の抑制は、ゴルジ体の「トランス」
部分(トランスゴルジ)内で糖タンパク質gp135を阻止
する。モネンジンにより処理された細胞内には、細胞内
であろうと細胞外であろうと成熟した外被糖タンパク質
は全く検出されないのに対し、核(コア)のタンパク質
p26は合成され排出される。
例6−SIVmacに感染した細胞内の糖タンパク質の前駆物
質のダイマー化 HIV−2の外被糖タンパク質のヌクレオチド配列は、S
IVのものと著しい相同性を示す(アミノ酸の75%が同
一)(Guyader他、1987年;Chakrabarti他、1987年;Fran
chini他、1987年)。このような理由から、SIVに感染し
た細胞内にも外被糖タンパク質のダイマー化が検出され
うるか否かを見極めるため研究が行なわれた。
HIV−2及びSIVのタンパク質gag、pol及びenvが抗原
性交差反応を呈するかぎりにおいて、HIV−2のタンパ
ク質に対する特異的抗体を含むイムノアフィニティカラ
ム上でSIVのタンパク質を純化した。第9図は、SIVに感
染した細胞が、HIV−2に感染した細胞内で合成された
ものと類似する高分子量の3つのタンパク質(すなわち
gp300、gp140及びgp130)を合成することを示してい
る。SIVに感染した細胞内に存在する糖タンパク質が糖
タンパク質であるという証拠は、14C−マンノース及び3
H−フコースでのアイソタイプ標識付けによって得られ
た。これら3つのタンパク質はマンノースを取り込んだ
が、フコースを取り込んだのはgp300/SIVとgp130/SIVだ
けであった。gp300/SIVとgp140/SIVは、細胞内タンパク
質であるのに対し、gp130/SIVは、細胞外糖タンパク質
である。gp300/SIV及びgp130/SIVはフコースを取り込む
ことができるという事実は、これらのタンパク質がgp14
0/SIVの形質転換の生成物であるということを示してい
る。
これらの結果は、外被糖タンパク質の前駆物質のタブ
レット(ダイマー)形成が、HIV−2及びSIVのエンベロ
ープの遺伝子の表現に特異的な特性であることを示して
いる。逆に、HIV−1の外被糖タンパク質がその形質転
換中にダイマー化を受けないと言うこともできる。カス
タノスパルミン又はdNMの存在する中でHIV−1に感染し
た細胞は、HIV−2又はSIVがそうであるように、エンベ
ロープのダイマーを蓄積しない。
検討 例が示しているように、当該発明者は、HIV−2の外
被糖タンパク質の形成プロセスを見極めることができ、
窒素に結合されたオリゴ糖鎖を含む糖タンパク質の合成
における独創的なメカニズムを実証した。HIV−2の外
被糖タンパク質、つまり細胞外糖タンパク質gp125及び
膜間糖タンパク質gp36は、通常の前駆糖タンパク質から
生まれる(Guyader他、1987年)。本発明により報告さ
れている予期せぬ要素は、ゴルジ体内に輸送され形質転
換されるために、糖タンパク質の前駆物質には、相同の
ダイマーの形成が関与しているということである。外被
糖タンパク質のダイマー化のメカニズムは、まだ完全に
明らかになっていない。本発明の枠内で純化されたダイ
マーが酸性pH(pH6.0)で解離されうるという事実はダ
イマー化がpHにより左右されうることを示唆している。
当該発明者は、糖タンパク質の天然前駆物質中に存在
するオリゴ糖鎖が基本的にダイマー形成のためのもので
はないことを明らかにした。このことは、次の2つの実
験にあたって実証された;すなわち(1)endo Hでの
消化は、ダイマーを解離させることなく、その電気泳動
移動度を変更するに至る;(2)チュニカマイシンの存
在する中で、HIV−2に感染した細胞は、グリコシル化
されず(80−90Kd)、ダイマーを形成しうる(200Kd)
エンベロープ前駆物質を合成する。これらの結果は、ダ
イマーの形成が、エンベロープの前駆物質のポリエプチ
ド構造に固有の特性であることを証明している。
カスタノスパルミンが有る状態又は無い状態でさまざ
まな時間的間隔で採取された標本に基づき、放射性トレ
ーサを用いた短時間にわたる標識付け(英語で「パルス
(pulse)」)そしてその後のこのトレーサの洗浄によ
る除去と非放射性分子によるその置換の段階の実験なら
びに放射能の局在化を追跡(英語で「チェイス(chas
e)」)(第8図)は、糖タンパク質の前駆物質のダイ
マー化が通常、グルコース樹脂の抑制の直後に介入する
ことを示している。グルコシダーゼは小胞体の膜に結び
つけられているため、このダイマー化はRER内にて介入
すると仮定することができる。カスタノスパルミンが存
在する状態では、ダイマーはRERの中に蓄積され、形質
転換されない。しかしながらグルコース残基が削除され
た場合、RERのマンノシダーゼの抑制はゴルジ体を通し
てのダイマー化された糖タンパク質の形質転換を妨げな
い(第7図)。このことから、ダイマー化された前駆物
質のオリゴ糖鎖のグルコース残基がそのRERからの排出
を妨げていると仮定することができる。これと一致し
て、場合によってはグリコシル化されたオリゴ糖が輸送
の受容体に対する認識部位の一部分を形成するという事
実を原因として、RERからゴルジ体への効果的な輸送の
ためにはグルコース残基の切断が必要であるという仮定
を立てることができる(Lodish & Kong、1984年、Lema
nsky他、1984年)。又、グルコースの抑制は、ダイマー
化された前駆物質が正しい機能的形態をとることができ
るためには重要なことであるということも同様に可能で
ある(Schlesinger他、1984年)。この機能的形態は、
切断マンノシダーゼの作用に有利に働く。
これらの結果を考慮して、当該発明者は、HIV−2の
外被糖タンパク質の形質転換の概略図を提示した(第10
図)。外被糖タンパク質の前駆物質のポリペプチド構造
の推定サイズは、約80Kdである(第4図及び第6図)。
オリゴ糖鎖はドリコールp−pからエンベロープ前駆物
質(80Kd)の方へ、おそらくアクセプタとして機能する
アスパラギンタイプのアミノ−酸残基上に転移される
(Kornfeld & Kornfeld、1985年)。チュニカマイシン
はドリコール−p−p及びグリカンの組合せを抑制し、
このため80Kdのタンパク質はグリコシル化されない。80
Kdのタンパク質にオリゴ糖鎖を付加すると、外被糖タン
パク質(gp150)の第1の前駆物質が得られることにな
る。この前駆物質は、この状態のままで存在することも
できるし、又逆に感染細胞内には存在しない可能性もあ
る。これは、多糖鎖の付加及びグルコース残基の切断が
おそらく前駆物質の翻訳の間に起こるからである。いず
れにせよ、gp150は急速に脱グリコシル化され、gp140に
達する。この段階で環境内におそらくはpHレベルでの差
異は、gp140 2分子の融合によるダイマーの形成を導
くことになろう。このとき、結果として得られるgp300
はRERのマンシダーゼにより切断され、ゴルジ体へと輸
送されうる。カスタノスパルミン又はdNMが存在する中
では、gp150はダイマー化されRER内に蓄積される。この
ダイマーはグリコシル化されているため、形質転換され
ない。ただし、このダイマーは、脱グリコシル化された
形で存在するかぎりゴルジ体内へと輸送されうる。dMM
によるRERのマンノシダーゼの抑制は、ダイマー化され
た前駆物質の獲得を阻止しない。
ゴルジ体内では、gp300は、おそらくは小胞輸送によ
り異なる区画を通過する(Griffiths & Simosn、1986
年)。この輸送の間、オリゴ糖鎖は、シアル酸及びフコ
ースといったその他の糖を付加する前にゴルジ体のマン
ノシダーゼにより切断される。フコースの取込みは、3H
−フコースでのgp300のアイソタイプ標識付けにより実
証された。シアル酸の取込みは、さまざまな糖タンパク
質内の末端基であるN−アセチルノイラミン酸を加水分
解することのできる酵素であるノイラミダーゼを用いた
gp300の消化により間接的に実証された(Peyrieras他、
1983年)。HIV−2のgp300は、ダイマーの電気泳動移動
度の多大な減少が示しているように、ノイラミダーゼで
消化される可能性が高い。結果は、この前駆物質が、pH
の低下に際して解離されるトランス−ゴルジ体の網内ま
で輸送される前に(TGN:Griffiths & Simons、1986
年)、シス、内側及びトランス・シスターネ(槽)ゴル
ジ体内でのその輸送及び形質転換全体を通してそのダイ
マー化された形を保っているという観察事実と一致して
いる。解離されたダイマーは、最初に検出された糖タン
パク質の前駆物質(gp150−140)のものに比べやや低い
分子量をもつ糖タンパク質(gp135)に導く。gp135は原
形質膜の方に輸送され、こうしてHIV−2の外被成熟糖
タンパク質gp125及びgp36に至る前に細胞プロテアーゼ
により卵割されることができる。モネンジンはおそら
く、原形質膜へのゴルジ体の輸送を抑制する。このため
gp135はゴルジ体内に蓄積される。
ゴルジ体が分泌タンパク質及び原形質膜タンパク質の
ソーティングのメカニズムに関与していることは、既知
の事実である。このメカニズムは、TGN(Griffiths &
Simons、1986年)により指定されたゴルジの末端区画内
で起こると思われる。この区画は、時としてゴルジの小
胞体のリソソーム(水解小体)(GERL)により指定さ
れ、最近ゴルジ体の液胞後方又はゴルジ錯体の最も内側
のシスターネにより指定されるゴルジの重なりの「トラ
ンス」に相当する(Novikoff、1976年;Saraste & Kuis
manen 1984年;Orci他、1987年)。きわめて興味深いこ
とに、TGNのpHが検討され、それが平均して酸性つまり
約6であることがわかった(Anderson & Pathak、1984
年;Griffiths & Simons、1986年)。TGN内の酸性pH
は、形成されたダイマーの解離に関与しうる。
以上に検討されてきた結果は、HIV−2の外被糖タン
パク質の形成及び形質転換が、複数の段階を含みしかも
特に未成熟の前駆物質gp150−140の合成、中間ダイマー
化前駆物質つまりgp300の合成及び成熟した前駆物質gp1
35の合成が関与する1つのプロセス内に入る、という事
実を例証している。その類似性にもかかわらず、レトロ
ウィルスHIV−1及びHIV−2は、その外被糖タンパク質
の形成に関し異なるメカニズムをもっており、このこと
はHIV−1による感染とHIV−2による感染を区別するた
めの全く有利な1つの特徴であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、HIV−2の外被糖タンパク質を表わしてい
る。 第1A図は、HIV−1及びHIV−2の高分子量のタンパク質
を比較する、ゲルのフルオログラフである。 第1B図は、HIV−2の糖タンパク質の識別を表わしてい
る。 第2図は、HIV−2の糖タンパク質の二次元ゲル電気泳
動のフルオログラフである。 第3図は、未変性タンパク質gp300(a)と変性タンパ
ク質gp300(b及びc)の解離を示す、ゲルのフルオロ
グラフである。 第4図は、Endo−HによるHIV−2の糖タンパク質の消
化を示す、異なるゲルのフルオログラフである。 第5図は、14c−マンノース又は3H−フコースを用いたH
IV−2の糖タンパ質の同位体標識付けを示す、フルオロ
グラフである。 第6図は、チュニカマイシンによる窒素に結びつけられ
たグリコシル化の抑制を表わす、フルオログラフであ
る。 第7図は、HIV−2に外被糖タンパク質の形成プロセス
に対するオリゴ糖の切断抑制因子の効果を表わす、各ゲ
ルの唯一の部分のみを示すフルオログラフである。 第8A図及び第8B図は、HIV−2の糖タンパク質の形成プ
ロセスに対するカスタノスパルミン及びモネンジンの効
果を表わす、フルオログラフである。 第9図は、SIVの糖タンパク質の前駆物質に関する、さ
まざまなゲルのフルオログラフである。 第10図は、HIV−2の外被糖タンパク質の形成段階の概
略的表示である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/569 G01N 33/569 H (72)発明者 アラ・ホバネシアン フランス国、93100 モントルーユ、リ ュー・アーネスト・サバルト 79 (72)発明者 アンヌ・ローラン フランス国、75007 パリ、アベニュ ー・エミール・デシャネル 9 (72)発明者 ベルナール・クリュス フランス国、75012 パリ、リュー・デ ュ・マダガスカール 7 (72)発明者 マリー―アン・レイ フランス国、75004 パリ、リュー・ド ゥ・タンプル 10

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】−約300Kdの分子量 −ヒトHIV−2レトロウィルスによりコードされる、外
    被糖タンパク質gp125の前駆タンパク質であるgp140のダ
    イマー、であることを特徴とする、抗原性タンパク質gp
    300。
  2. 【請求項2】−HIV−2族のレトロウィルスに感染した
    患者の生物学標本の細胞中に存在していること; −その等電点は、[6.8−7.8]の間隔にあるpHについて
    得られること; −それが、窒素に結合されたオルゴ糖鎖によってグリコ
    シル化されていること; −それが、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性
    剤、尿素4M、強塩及び還元剤の中で安定していること; −それが、試験管内で、pH4〜5で約140Kdの分子量の2
    つの糖タンパク質に自然発生的に解離すること; −電気泳動ゲル上での分離及び純化の後、それが、試験
    管内の酢酸緩衝液中で、6以下のpH値について約140Kd
    の分子量の2つの糖タンパク質に解離すること; −ヒトレトロウィルスHIV−2に感染した患者の血清か
    ら得られた特異的抗体を含むイムノアフィニティカラム
    上での純化の後、300Kdの分子量に相応する電気泳動帯
    を、6Mの尿素の存在する中でポリアクリルアミド−SDS
    (7.5%)ゲル上で呈すること; を特徴とする、抗原性タンパク質gp300。
  3. 【請求項3】18時間35S−メチオニン(200μCi/ml4×10
    6細胞/ml)を用いた標識付けの後のレトロウィルスHIV
    −2に感染した細胞の特異的培地内に存在するウィルス
    粒子から成る生物学的媒質の電気泳動分析ならびに、感
    染細胞及びその相応する媒地を含む得られた抽出物の純
    化によっては見かけ上検出されないものの、同じ条件の
    下で上述の感染細胞内では検出されることを特徴とす
    る、請求項(1)又は(2)に記載の抗原性タンパク
    質。
  4. 【請求項4】窒素に結合されたオリゴ糖鎖によってグリ
    コシル化されておらず、約200Kdの分子量を有し、グリ
    コシル化された基の不在によりgp300とは区別されるこ
    とを特徴とする、請求項(1)〜(3)のいずれか1項
    に記載のタンパク質gp300から誘導されたタンパク質p20
    0。
  5. 【請求項5】請求項(1)〜(4)のいずれか1項に記
    載の抗原性糖タンパク質又はタンパク質を含むことを特
    徴とする、HIV−2タイプのヒトレトロウィルスに感染
    した患者の生物学標本の細胞中の抗体の存在の診断用の
    抗原組成物。
  6. 【請求項6】以下の段階を特徴とする請求項(1)〜
    (3)のいずれか1項に記載の抗原糖タンパク質の調製
    方法: −ヒトレトロウィルスHIV−2に感染した細胞の溶解及
    び上澄みと細胞抽出物の分離段階; −イムノアフィニティクロマトグラフィのカラム上での
    細胞抽出物及び/又は上澄みの保温段階。このカラム上
    には、ヒトレトロウィルスHIV−2に感染した患者の血
    清から得られるもののような純化された抗体を含む免疫
    吸着剤が沈着させられている。なおこれらの抗体は有利
    なことに、緩衝液の存在する中で、免疫学的抗原抗体複
    合体形成に充分な長さの時間、適合された支持体上に固
    定されている。; −支持体上に保留されなかった分子を除去するための、
    緩衝液でのカラムの洗浄段階; −溶離された糖タンパク質の分離段階; −求められている抗原性タンパク質の回収段階。
  7. 【請求項7】糖タンパク質の分離が、カラム上に保留さ
    れたタンパク質の電気泳動及び電気溶離により行なわれ
    ることを特徴とする、請求項(1)〜(3)のいずれか
    1項に記載の糖タンパク質の調製のための請求項(6)
    に記載の方法。
  8. 【請求項8】糖タンパク質の分離が、 −上述のイムノアフィニティーカラム上で固定されたタ
    ンパク質の溶離、 −gp300を認識する単クローン抗体を分離用支持体上に
    固定された形で含むクロマトグラフィのカラム上でこの
    ように溶離された生成物の純化により得られることを特
    徴とする、請求項(1)〜(3)のいずれか1項に記載
    の糖タンパク質の調製のための、請求項(6)に記載の
    方法。
  9. 【請求項9】ヒトレトロウィルスHIV−2に感染してい
    ることを確認する目的で患者の生物学標本の細胞内の抗
    体の存在を試験管内で診断するための方法において、請
    求項(1)〜(4)のいずれか1項に記載の抗原又は請
    求項(5)に記載の抗原化合物とこの生物学的標本を、
    抗原抗体タイプの免疫学的複合物の形成を可能にする条
    件の下で接触させること、そして形成された抗原抗体複
    合物を検出することを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】ヒトレトロウィルスHIV−2に感染して
    いる可能性のある生物学的標本の細胞内の抗体を検出す
    るための用具又はキットにおいて、この中には、 −少なくとも請求項(1)〜(4)のいずれか1項に記
    載の抗原性糖タンパク質又は/及びタンパク質、 −或いはさらに、これらのさまざまな構成成分の混合
    物、そして −テストすべき生物学標本中に場合によって存在する抗
    体と上述の抗原の間での免疫学的複合物の形成反応を可
    能にする手段、特に必要とあらば、単数又は複数の保温
    用緩衝液; −陰性対照の標本; −形成された抗原抗体複合物の検出のための手段; が含まれていることを特徴とする、用具又はキット。
JP01144316A 1988-06-09 1989-06-08 ヒトレトロウィルスhiv―2の外被糖タンパク質の前駆抗原及びそれと免疫学的同族性をもつ抗原、ならびにこれらの抗原の調製方法及び診断への応用 Expired - Lifetime JP3093763B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US20434688A 1988-06-09 1988-06-09
US204346 1988-06-09
FR204346 1988-06-10
FR8807817 1988-06-10
FR8807817A FR2632644B1 (fr) 1988-06-10 1988-06-10 Antigenes precurseurs des glycoproteines d'enveloppe d'un retrovirus humain hiv-2 et antigenes presentant une parente immunologique avec ces derniers. preparation de ces antigenes. application au diagnostic

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02119791A JPH02119791A (ja) 1990-05-07
JP3093763B2 true JP3093763B2 (ja) 2000-10-03

Family

ID=26226719

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP01144316A Expired - Lifetime JP3093763B2 (ja) 1988-06-09 1989-06-08 ヒトレトロウィルスhiv―2の外被糖タンパク質の前駆抗原及びそれと免疫学的同族性をもつ抗原、ならびにこれらの抗原の調製方法及び診断への応用

Country Status (9)

Country Link
EP (1) EP0354072B1 (ja)
JP (1) JP3093763B2 (ja)
AT (1) ATE122236T1 (ja)
CA (1) CA1341488C (ja)
DE (1) DE68922540T2 (ja)
DK (1) DK175668B1 (ja)
ES (1) ES2074085T3 (ja)
HK (1) HK167295A (ja)
PT (1) PT90800B (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005078443A1 (en) * 2004-02-13 2005-08-25 Inverness Medical Switzerland Gmbh Determination of infection by the immune response to a carbohydrate moiety

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1987002892A1 (en) * 1985-11-14 1987-05-21 President And Fellows Of Harvard College T-lymphotrophic virus
EP0269520A3 (fr) * 1986-11-21 1988-08-24 Institut Pasteur Rétrovirus du type HIV-2 susceptible de provoquer le sida, et ses constituants antigéniques et nucléiques
AU608294B2 (en) * 1987-01-16 1991-03-28 Institut Pasteur Peptides having immunological properties 2-hiv-2

Also Published As

Publication number Publication date
ES2074085T3 (es) 1995-09-01
HK167295A (en) 1995-11-03
DK284389D0 (da) 1989-06-09
ATE122236T1 (de) 1995-05-15
CA1341488C (fr) 2005-08-30
DE68922540T2 (de) 1995-10-05
PT90800B (pt) 1994-11-30
DK175668B1 (da) 2005-01-10
DK284389A (da) 1989-12-10
EP0354072A1 (fr) 1990-02-07
EP0354072B1 (fr) 1995-05-10
PT90800A (pt) 1989-12-29
DE68922540D1 (de) 1995-06-14
JPH02119791A (ja) 1990-05-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7507417B2 (en) Immunogenic compositions comprising human immunodeficiency virus type 2 (HIV-2) glycosylated and unglycosylated envelope proteins and their methods of preparation
Scanlan et al. The broadly neutralizing anti-human immunodeficiency virus type 1 antibody 2G12 recognizes a cluster of α1→ 2 mannose residues on the outer face of gp120
Fennie et al. Model for intracellular folding of the human immunodeficiency virus type 1 gp120
US5166050A (en) Monoclonal antibodies and peptides useful in treating and diagnosing HIV infections
US5807992A (en) HIV-2 transmembrane glycoprotein homodimer (gp 80)
IE60671B1 (en) Monoclonal antiobodies to HIV and related peptides
US5312902A (en) Dimer of the precursor of HIV-2 envelope glycoprotein
JP3093763B2 (ja) ヒトレトロウィルスhiv―2の外被糖タンパク質の前駆抗原及びそれと免疫学的同族性をもつ抗原、ならびにこれらの抗原の調製方法及び診断への応用
JP4423374B2 (ja) Hiv−2型ヒトレトロウイルスのトランスメンブランエンベロープ糖タンパク質の抗原、及び、該抗原に免疫類似性を有する抗原
Altaner et al. Envelope glycoprotein gp51 of bovine leukemia virus is differently glycosylated in cells of various species and organ origin
US6056963A (en) Immunogenic compositions comprising glycosylated and deglycosylated monomeric and dimeric forms of HIV-2 enveloped glycoproteins
FR2632526A1 (fr) Composition pharmaceutique active sur les residus glucose de la glycoproteine gp 150
EP0511967B1 (en) Medicaments and methods for treating acquired immune deficiency syndrome (aids) and aids-related complex (arc) employing anti-carbohydrate antibodies
FR2632644A1 (fr) Antigenes precurseurs des glycoproteines d'enveloppe d'un retrovirus humain hiv-2 et antigenes presentant une parente immunologique avec ces derniers. preparation de ces antigenes. application au diagnostic
Kaluza et al. The significance of carbohydrate trimming for the antigenicity of the Semliki Forest virus glycoprotein E2
EP0682951B1 (en) Immunogenic compositions comprising a purified antigen constituted by the envelope glycoprotein of the HIV-2 EHO retrovirus
Spiro et al. The mechanism of action of iminosugars as antiretrovirals
LV10492B (en) Vaccine and treatment method for human immunodeficiency virus
FR2646854A1 (fr) Antigenes de la glycoproteine transmembranaire d'enveloppe d'un retrovirus humain du type hiv-2 antigenes presentant avec eux une parente immunologique
HU211505A9 (hu) HIV-fertőzés kezelésére szolgáló vakcinakészítmény Az átmeneti oltalom az 1-15. igénypontokra vonatkozik.

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070728

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080728

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080728

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090728

Year of fee payment: 9

EXPY Cancellation because of completion of term