JP3092081U - 通気性プラスチック手袋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のプラスチック手袋の蒸れ易くて、汗に
より着脱が難しくなるという欠点を解消すると共に、経
済的に量産できるという利点を備えている、通気性のプ
ラスチック手袋を提供する。 【解決手段】 本考案の通気性プラスチック手袋は、上
下２枚のプラスチックシートを積層し手形状の周縁線に
沿って溶接且つ切断してなるプラスチック手袋におい
て、該２枚のプラスチックシートの少なくとも一方の、
指部を含む掌部乃至手首部の少なくとも一部が、通気性
の穿孔シートで形成されていることを特徴とするもの
で、特に、該穿孔シートが、通孔を備えた錐状のノズル
が一方側から他方側に向かって一様に分布して設けられ
ているものであることが好ましい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は通気性プラスチック手袋に関し、更に詳しくは、プラスチック手袋の 着用感を改善するために通気性を備えるようにした改良型のプラスチック手袋に 関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、電気工事や土木工事、或いは農作業などの際に、手を保護するため に作業用の手袋が用いられ、それぞれの作業の内容に応じて適切な機能を備えた 保護手袋が用意されている。また、洗濯や調理等の家事を行うに際しては、手の 荒れを防ぐために防水用の手袋があるが、作業性と共に着用感のよいことが重要 とされている。その一方で毛髪の染色や汚物の処理等の作業時などに、手に染料 や汚物などが付着することを防ぐことが重要であり、作業性や着用感などはある 程度犠牲にしても、安価で使い捨てができる、プラスチックフィルム等で形成さ れた手袋が用いられている。

【０００３】 このような使い捨てできるプラスチック手袋は、例えば軟質のポリエチレンフ ィルムを２枚重ねとし、手の輪郭形状を備えた溶接切断用型を用いて周縁を溶接 し、周囲の不要部分を取り除いて製造するので、構造が単純であって経済的に量 産できるものであった。しかし、このようなプラスチック手袋は、短時間の作業 に使用する場合には、特に不都合ではないものの、素手で長時間着用するような 場合、特に取り扱う対象物が温かい場合には、手の発汗により蒸れて不快である うえ、手に張りついて脱げなくなる不便がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

そこで本考案は、従来のプラスチック手袋の蒸れ易くて、汗により着脱が難し くなるという欠点を解消すると共に、経済的に量産できるという利点を備えてい る、改良された通気性のプラスチック手袋を提供することを目的とした。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記の本考案の目的は、上下２枚のプラスチックシートを積層し手形状の周縁 線に沿って溶接且つ切断してなるプラスチック手袋において、該２枚のプラスチ ックシートの少なくとも一方の、指部を含む掌部乃至手首部の少なくとも一部が 、通気性の穿孔シートで形成されていることを特徴とする、通気性プラスチック 手袋によって達成することができ、特に、該穿孔シートは、通孔を備えた錐状の ノズルが一方側から他方側に向かって一様に分布して設けられているものである と、一層好ましい。

【０００６】 また、本考案の通気性プラスチック手袋において、前記穿孔シートのノズルが 外方に向かって形成されていると、手袋の外面に水滴がかかっても、内部に浸入 する恐れが少なく、また前記のノズルが内方に向かって形成されていると、手袋 内面と手との間に空隙が保たれて、着用感が一段と改良される効果がある。

【０００７】 更に、本考案の通気性プラスチック手袋において、前記プラスチックシートの 少なくとも穿孔シート以外の部分が、エンボス等の表面粗化加工を施して成るも のを用いて形成されていると、手触りが良く、また汗による皮膚との粘着を起こ し難く、着用感の改良効果が一層増進される。

【０００８】

【考案の実施の形態】

本考案の通気性プラスチック手袋は、従来のプラスチック手袋と同様に、例え ば表面が梨地加工された軟質ポリエチレンシートを、２枚重ねて手を広げた形状 に形成した溶接切断型で輪郭部分を加熱溶接し、周囲の余分なシート部分を取り 除く方法で製造できるが、従来のプラスチック手袋との違いは、材料として用い るプラスチックシートを、一部が通気性の穿孔シートで形成されているシートに 代えたところにある。

【０００９】 ところで、本考案の通気性プラスチック手袋の材料となる通気性の穿孔シート は、例えば軟質ポリエチレンからなるプラスチックシートを用いて、これを孔明 け加工することで製造することができる。このようなシートの孔明け加工方法は 、特に限定されるものではないが、例えば次のような加工法を利用することがで きる。

【００１０】 即ち、円錐形の通孔を千鳥状に分布して設けた離型性の成形型を用意し、その 型の通孔の径が小さい側を減圧できるように成形機に取り付けて、型の通孔の径 が大きい方の面に、加熱軟化させたプラスチックシートを接触させて、型の反対 側から減圧してプラスチックシートを吸引する。そうすると、軟化しているプラ スチックシートは円錐形の通孔に引き込まれ、径が小さい開口から露出して破裂 する。こうして成形されたプラスチックシートを型から剥離させると、型の円錐 形の通孔内壁に相補的な形状、即ち通孔を備えた錐状の通気ノズル１ｃが形成さ れた、図３に示すような形状を備えた通気性の穿孔シート１ｂが得られる。

【００１１】 上記のような通気性の穿孔シート１ｂは、本考案の通気性プラスチック手袋を 形成する前後２枚のプラスチックシートの、少なくともいずれか一方の、また指 部を含む掌部乃至手首部の少なくとも一部に用いるものであるが、それには、手 袋を形成する穿孔なしのプラスチックシート１ａの特定位置に、穿孔シートを接 ぎ合わせるか、又は特定位置だけに前記のような穿孔加工を施して、手袋の特定 の部位に穿孔シートを形成した複合シート１を得、こうした複合シート１を２枚 組み合わせるか、またはこの複合シート１とプラスチックからなる材料シート２ とを、１枚ずつ組み合わせるようにすれば良い。

【００１２】 こうして製造された本考案の通気性プラスチック手袋は、図１にその例の正面 図を、また図２には図１のＸ−Ｘ線に沿った断面図を示すように、手の甲から手 首に当たる部位を穿孔シート１ｂで、また手の甲から指先に当たる部位を穿孔な しのプラスチックシート１ａで、それぞれ形成するように、接ぎ合わせた甲側の 複合シート１を用意した。そして離型性の溶接板上に、まず穿孔なしのプラスチ ックシートからなる掌側の材料シート２を重ね、その上に前記の甲側の複合シー ト１を重ねて載せ、２枚のシートを溶接切断型で加圧して、手袋の輪郭部を溶接 すると共に周囲を切り離して製造したものである。

【００１３】 なお、上記の穿孔シート１ｂは空気の通過は容易であるが、軟質ポリエチレン 等の撥水性のプラスチックで形成されていると、水が掛かっても濡れ難いから、 内部へ水が浸入する恐れが少なく、特に通気ノズル１ｃを外向きとなるように設 けてあるときは、水の浸入は更に起こり難いうえ、滑り難いという利点がある。 また逆に、通気ノズル１ｃを内向きとなるように設けた場合には、ノズルの先端 が薄くなっているので手触りがよく、しかも皮膚面とシートとの間に空隙が残さ れるから、手袋の着用感が良いという利点がある。

【００１４】 そしてまた、上記の穿孔シート１ｂ以外の部分を構成する、プラスチックシー ト１ａや材料シート２などを、編み目模様やダイヤ目模様などのエンボス加工や 艶消し加工などによって、表面粗化したシートで形成すると、皮膚とシートの間 に空気の薄層が出来て、手袋の手触りや滑りを良くするほか、着脱がし易くなる などの効果が加わる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案の通気性プラスチック手袋は、手袋を構成するプラスチックシートの少 なくとも一部に通気性の穿孔シートを設けたもので、着用時に内部に湿気が籠も らず、また外から水の浸入も起こり難く、着用感が良いという効果がある。そし て穿孔シートとして、通孔を備えた錐状のノズルが一方側から他方側に向かって 一様に分布して設けられているものを用いると、更に着用感の改善や滑り難さの 改善などの効果も期待できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の通気性プラスチック手袋の外観図であ
る。

【図２】本考案の通気性プラスチック手袋の、図１のＸ
−Ｘ線に沿った断面図である。

【図３】本考案の通気性プラスチック手袋に用いる穿孔
シートの、平面図（ａ）及び断面図（ｂ）である。

【符号の説明】

１ 複合シート １ａ プラスチックシート １ｂ 穿孔シート １ｃ 通気ノズル ２ 材料シート

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下２枚のプラスチックシートを積層し
   手形状の周縁線に沿って溶接且つ切断してなるプラスチ
   ック手袋において、該２枚のプラスチックシートの少な
   くとも一方の、指部を含む掌部乃至手首部の少なくとも
   一部が、通気性の穿孔シートで形成されていることを特
   徴とする、通気性プラスチック手袋。
2. 【請求項２】 上下２枚のプラスチックシートを積層し
   手形状の周縁線に沿って溶接且つ切断してなるプラスチ
   ック手袋において、該２枚のプラスチックシートの少な
   くとも一方の、指部を含む掌部乃至手首部の少なくとも
   一部が、通気性の穿孔シートで形成されており、該穿孔
   シートは、通孔を備えた錐状のノズルが一方側から他方
   側に向かって一様に分布して設けられていることを特徴
   とする、通気性プラスチック手袋。
3. 【請求項３】 前記穿孔シートのノズルが外方に向かっ
   て形成されている、請求項１又は２に記載の通気性プラ
   スチック手袋。
4. 【請求項４】 前記穿孔シートのノズルが内方に向かっ
   て形成されている、請求項１又は２に記載の通気性プラ
   スチック手袋。
5. 【請求項５】 前記プラスチックシートの少なくとも穿
   孔シート以外の部分が、エンボス等の表面粗化加工を施
   して成るものである、請求項１乃至４のいずれかに記載
   の通気性プラスチック手袋。