JP3090408U - 自動閉扉式スライド蝶番 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 閉扉時に大きな衝撃音が発生するのを防止す
ることができる自動閉扉式スライド蝶番を提供しようと
する。 【解決手段】開口部の一縁部に固定される第１取付部材
と、前記開口部を開閉する前記扉体に固定される第２取
付部材と、両端部がそれぞれ前記第１及び第２の取付部
材に枢着されて第１取付部材と第２取付部材とを回転自
在に連結する第１リンクと、前記第１リンクと前記開口
部の一縁部との間に位置し、両端部がそれぞれ前記第１
及び第２の取付部材に枢着されて第１取付部材と第２取
付部材とを回転自在に連結する第２リンクと、前記扉体
が開扉方向に回転することにより該扉体を閉扉方向に付
勢する閉扉力を蓄積し、かつ、該閉扉力を緩和する緩衝
手段を有する扉体付勢装置とを備え、前記閉扉力が前記
緩衝手段で緩和されながら該閉扉力により、前記扉体が
自動的に閉じるように構成したことを特徴とする自動閉
扉式スライド蝶番を提供する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、自動閉扉式スライド蝶番に関し、特に戸棚、ドア、窓などの家具、 建築物に用いられるものであり、前記家具、建築物の例えば上下２の横縁部と左 右２の縦縁部とから形成された開口部の一縁部に、扉体を該開口部に対して開閉 自在に連結するための自動閉扉式スライド蝶番に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の自動閉扉式スライド蝶番としては、特開平７−１１９３４７号公報に記 載の発明のように、開口部の一縁部に固定される第１取付部材と、扉体に固定さ れる第２取付部材との間に、４本の支持軸で２本のリンクを回動自在に連接し、 且つ、閉扉方向への回動力を付勢するための付勢手段として前記４本の支持軸中 の適当な一つにばねを取付けて構成され、開扉することにより前記付勢手段によ って閉扉力が蓄積されるようになっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、かかる従来の自動閉扉式スライド蝶番は、前記扉体が開扉状態 から解除された瞬間に前記閉扉力が開放されるので、前記扉体は閉じ方向にかな り速い速度で回転し、扉体が閉扉位置に到達して前記開口部の縁部と衝突するこ とにより大きな衝撃音が発生し、また、前記開口部を出入りする人の手や指が前 記開口部の縁部と前記扉体との間に挟まってけがをする等の問題があった。

【０００４】 上記の点に鑑み、本考案は、閉扉時に大きな衝撃音が発生するのを防止するこ とができる自動閉扉式スライド蝶番を提供しようとすることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、開口部の一縁部に固定される第１取付 部材と、 前記開口部を開閉する前記扉体に固定される第２取付部材と、両端部 がそれぞれ前記第１及び第２の取付部材に枢着されて第１取付部材と第２取付部 材とを回転自在に連結する第１リンクと、前記第１リンクと前記開口部の一縁部 との間に位置し、両端部がそれぞれ前記第１及び第２の取付部材に枢着されて第 １取付部材と第２取付部材とを回転自在に連結する第２リンクと、前記扉体が開 扉方向に回転することにより該扉体を閉扉方向に付勢する閉扉力を蓄積し、かつ 、該閉扉力を緩和する緩衝手段が設けられた扉体付勢装置とを備え、前記閉扉力 が前記緩衝手段で緩和されながら該閉扉力により、前記扉体が自動的に閉じるよ うに構成したことを特徴とする自動閉扉式スライド蝶番を提供する。

【０００６】 前記構成による自動閉扉式スライド蝶番は、開扉時において、前記扉体付勢装 置で閉扉力を蓄積し、閉扉時において、前記扉体付勢装置の緩衝手段によって前 記閉扉力の開放を緩和することができるので、閉扉時に大きな衝撃音が発生する のを防止することができる。

【０００７】 そして、前記扉体付勢装置は、シリンダー本体にピストンロッドを取り付けた 流体圧シリンダーを備え、前記ピストンロッドの先端を前記第２リンクのうち前 記第１取付部材の取付側端部に枢着し、前記シリンダー本体を前記第１取付部材 により保持するのが好ましい。前記流体圧シリンダとして、エア・オイルシリン ダー、エアシリンダーまたはオイルシリンダーを使用することができる。また、 前記流体圧シリンダーに設けられる緩衝手段は、ばねなどの開扉時において閉扉 力を蓄積することができるものであれば良いが、前記流体圧シリンダーとしてエ アシリンダーを採用する場合、ピストンによって区切られた２室のうち、１室を エアスプリング（付勢手段）とし、他室をエアクッション（緩衝手段）とするこ とができる。

【０００８】 そして、前記のように、エアシリンダーのピストンによって区切られてなる２ 室のうちの１室をエアスプリング（付勢手段）とし他室をエアクッション（緩衝 装置）とする場合には、前記流体圧シリンダー（扉体付勢装置）のシリンダー本 体は、調整ねじによって前記シリンダーの軸方向に沿って移動可能に保持される のが好ましい。それにより、閉扉時の前記閉扉力の蓄積量を調整し、閉扉方向へ の前記扉体の回転速度を調整することができる。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の自動閉扉式スライド蝶番の好ましい実施形態を詳しく説明する 。なお、以下の説明においては、そのサイズに拘わらず、略同一の機能及び構成 を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行 う。

【００１０】 図１は、本考案の自動閉扉式スライド蝶番の好ましい実施形態を示す分解斜視 図である。図２は、自動閉扉式スライド蝶番の開扉時における状態を示す断面図 である。図３は、自動閉扉式スライド蝶番の閉扉時における状態を示す断面図で ある。

【００１１】 図１に示すように、自動閉扉式スライド蝶番は、家具、建築物の例えば上下２ の横縁部と左右２の縦縁部とから形成してなる開口部の一縁部３１に固定される 第１取付部材４と、扉体３２に固定される第２取付部材５を備えている。更に詳 しく説明すると、第１取付部材４は、断面コ字形の枠体４１と、固定板４２とか らなる。枠体４１は、図示のように、所定隙間を設けて配設される上下平行の側 壁４１１，４１１と、側壁４１１，４１１の長尺方向に沿って２つの側壁４１１ ，４１１を連接した周壁４１２と、側壁４１１，４１１の幅方向に沿って２つの 側壁４１１，４１１を連接した裏壁４１３とからなる。

【００１２】 ２つの側壁４１１，４１１は、それぞれフランジ４１１１，４１１１を有する 。２つのフランジ４１１１，４１１１及び２つのフランジ４１１１，４１１１の 近くには、それぞれ上下相対の枢着孔４１５，４１５，４１４，４１４が形成し てある。また、固定板４２には、２の固定孔４２１，４２１が形成してある。第 １取付部材４は、ねじ（図示せず）によって固定板４２の２の固定孔４２１，４ ２１を介して一縁部３１に固定されることができる。 そして、第２取付部材５は、断面略コ字形であって、扉体３２に内嵌される内嵌 枠５１と、扉体３２の面及び内嵌枠５１の一側の枠縁に沿って上下延伸している 孔付き取付板５２とからなる。第２取付部材５は、ねじ（図示せず）によって孔 付き取付板５２の孔５２１を介して扉体３２に固定されている。また、内嵌枠５ １の他側は、所定隙間を設けて配設される上下平行の側壁５１１，５１１と、２ つの側壁５１１，５１１を連接した周壁５１２とを有する。２つの側壁５１１， ５１１は、それぞれ２つの上下に相対する枢着孔５１３，５１３，５１４，５１ ４が形成してある。

【００１３】 そして、第１取付部材４と第２取付部材５との間には、第１リンク６と第２リ ンク７とが設けられている。第１リンク６は、その両端部６１，６１がそれぞれ 支持軸６２，６３によって第１取付部材４の枢着孔４１５，４１５及び第２取付 部材５の枢着孔５１４，５１４に枢着されている。第２リンク７は、図１のよう に、湾曲した片体７１と、片体７１から後へ平行に延設される略コ字形の孔付き 突板７２とからなる。第２リンク７は、第１リンク６と一縁部３１との間に位置 するように、片体７１の両端部７１１，７１１がそれぞれ支持軸７４，７５によ って第１取付部材４の枢着孔４１４，４１４及び第２取付部材５の枢着孔５１３ ，５１３に枢着されている。本実施形態では、支持軸６３と支持軸７５とは、合 わせてＵ字形になるように一体に成型されている。

【００１４】 そして、第１取付部材４の枠体４１内には、扉体付勢装置及び調整ねじ９が収 容されてある。本実施形態では、扉体付勢装置としてエアシリンダー８が使用さ れている。更に詳しく説明すると、調整ねじ９は、枠体４１の長尺方向に沿って 図中の左右方向に移動することができるように第１取付部材４の裏壁４１３上に ねじ止めされており、且つその両端部にはそれぞれ通孔９１，９２が形成してあ る。そして、該エアシリンダー８は、その一端部にあるピストンロッド８１が支 持軸７３によって第２リンク７の略コ字形の孔付き突板７２の孔に枢着され、他 端部８２が調整ねじ９の通孔９１内に保持されている。

【００１５】 図２に示すように、エアシリンダー８は、ピストン８３によって区切られてな る２室のうち、１室８０１をエアスプリング（付勢手段）とし、他室８０２をエ アクッション（緩衝装置）としている。即ち、図２に示すように、エアシリンダ ー８とピストンロッド８１との間に隙間８０３を設け、後述のように開扉時には １室８０１内のエアがピストンロッド８１によって圧縮され、このとき、外部の 空気が隙間８０３から他室８０２内に流入する。一方、閉扉時には、後述のよう に１室８０１内の圧縮空気によってピストンロッド８１が押圧されて扉体３２が 閉方向に自動的に回転し、このとき、他室８０２内のエアが隙間８０３から外部 に徐々に抜け出ることにより、他室８０２がクッション（緩衝装置）として機能 する。

【００１６】 なお、例えば六角スパナで調整ねじ９の通孔９２を介して調整ねじ９の左右方 向の移動を制御することにより、エアシリンダー８のピストン８３の位置を調整 することができるので、閉扉時の閉扉力の蓄積量を調整し、閉扉方向への扉体３ ２の回転速度を調整することができる。

【００１７】 人が扉体３２を押して開扉する場合には、図２のように、第２取付部材５の取 付枠５１の周壁５１２が第２リンク７に接触し、且つエアシリンダー８のピスト ンロッド８１が図中の左方向に移動するので、１室８０１内のエアはピストンロ ッド８１と共に左動するピストン８３によって圧縮されて閉扉力が蓄積される。 また、閉扉する場合には、図３のように、第１リンク６と第２リンク７が、室８ ０１内に蓄積された閉扉力によって該扉体３２が閉扉する方向に付勢され、支持 軸６２，７４を軸心として回動して第２取付部材５の内嵌枠５１内に収容される 。このとき、ピストンロッド８１を介した他室８０２をエアクッション（緩衝装 置）の緩衝作用によって閉扉方向の付勢力が緩和されながら、扉体３２が開口部 の縁部に当接するまでにピストン８３を図中の右方向に移動する。また、扉体３ ２が完全に閉じて開口部の縁部に接触したときには、閉扉力が僅かに残るように 設定され、該開扉力によって全閉状態が保持されるようになっている。即ち、本 実施形態では、ピストンによって区切られてなる２室の１室を付勢手段とし他室 を緩衝装置としている。

【００１８】 本実施形態では、該扉体付勢装置として、エアシリンダーを使用しているが、 エア・オイルシリンダーまたはオイルシリンダーを使用してもよい。また、付勢 手段は、開扉時において閉扉力を蓄積することができるものであれば、シリンダ ー８の１室８０１をエアスプリングとしたものには限られず、例えば、１室８０ １内に圧縮ばねを配設するようにしても良い。なお、前記圧縮ばねを用いる場合 には、１室８０１と外部とを連通させる空気抜き孔をシリンダー８に設け、ピス トンロッド８１の移動に伴う１室８０１の体積変化に応じてエアが無理なく流入 及び流出して１室８０１がエアクッションをして機能しないようにする。

【００１９】

【考案の効果】

本考案の自動閉扉式スライド蝶番は、開扉時において、前記扉体付勢装置で閉 扉力を蓄積し、閉扉時において、前記扉体付勢装置の緩衝手段によって前記閉扉 力を緩和させることができるので、閉扉時の衝撃音をなくすことができる。

【００２０】 以上説明した実施の形態は、あくまでも本考案の技術的内容を明らかにする意 図のものにおいてなされたものであり、本考案はそうした具体例に限定して狭義 に解釈されるものではなく、本考案の精神と請求の範囲に述べられた範囲で、種 々の変更が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の自動閉扉式スライド蝶番の好ましい実
施形態を示す分解斜視図

【図２】前記自動閉扉式スライド蝶番の開扉時における
状態を示す断面図

【図３】前記自動閉扉式スライド蝶番の閉扉時における
状態を示す断面図

【主要符号の説明】

３１．．．開口部の一縁部 ３２．．．扉体 ４．．．第１取付部材 ４１．．．枠体 ４１１．．．側壁 ４１１１．．．フランジ ４１２．．．周壁 ４１３．．．裏壁 ４１４．．．枢着孔 ４１５．．．枢着孔 ４２．．．固定板 ４２１．．．固定孔 ５．．．第２取付部材 ５１．．．内嵌枠 ５１１．．．側壁 ５１２．．．周壁 ５１３．．．枢着孔 ５１４．．．枢着孔 ５２．．．孔付き取付板 ６．．．第１リンク ６１．．．端部 ６２．．．支持軸 ６３．．．支持軸 ７．．．第２リンク ７１．．．カーブ状の片体 ７１１．．．両端部 ７２．．．孔付き突板 ７３．．．支持軸 ７４．．．支持軸 ７５．．．支持軸 ８．．．扉体付勢装置（エアシリンダー） ８０１．．．１室 ８０２．．．他室 ８１．．．ピストンロッド ８２．．．他端部 ８３．．．ピストン ９．．．調整ねじ ９１．．．通孔 ９２．．．通孔

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 開口部の一縁部に固定される第１取付部
   材と、 前記開口部を開閉する前記扉体に固定される第２取付部
   材と、 両端部がそれぞれ前記第１及び第２の取付部材に枢着さ
   れて第１取付部材と第２取付部材とを回転自在に連結す
   る第１リンクと、 前記第１リンクと前記開口部の一縁部との間に位置し、
   両端部がそれぞれ前記第１及び第２の取付部材に枢着さ
   れて第１取付部材と第２取付部材とを回転自在に連結す
   る第２リンクと、 前記扉体が開扉方向に回転することにより該扉体を閉扉
   方向に付勢する閉扉力を蓄積し、かつ、該閉扉力を緩和
   する緩衝手段が設けられた扉体付勢装置とを備え、 前記閉扉力が前記緩衝手段で緩和されながら該閉扉力に
   より、前記扉体が自動的に閉じるように構成したことを
   特徴とする自動閉扉式スライド蝶番。
2. 【請求項２】 前記扉体付勢装置は、シリンダー本体に
   ピストンロッドを取り付けた流体圧シリンダーを備え、
   前記ピストンロッドの先端を前記第２リンクのうち前記
   第１取付部材の取付側端部に枢着し、前記シリンダー本
   体を前記第１取付部材により保持したことを特徴とする
   請求項１に記載の自動閉扉式スライド蝶番。
3. 【請求項３】 前記流体圧シリンダーはエアシリンダ
   ーであって、ピストンによって区切られてなる前記シリ
   ンダー本体内の２室のうち、１室を閉扉力の蓄積部と
   し、他室を前記緩衝手段としていることを特徴とする請
   求項２に記載の自動閉扉式スライド蝶番。
4. 【請求項４】 前記流体圧シリンダーのシリンダー本体
   は、調整ねじによって前記シリンダーの軸方向に沿って
   移動可能に保持されたことを特徴とする請求項３に記載
   の自動閉扉式スライド蝶番。