JP3089134B2 - 浅海型鋼板コンクリートハイブリッド浮体 - Google Patents

浅海型鋼板コンクリートハイブリッド浮体

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JP3089134B2
JP3089134B2 JP05121959A JP12195993A JP3089134B2 JP 3089134 B2 JP3089134 B2 JP 3089134B2 JP 05121959 A JP05121959 A JP 05121959A JP 12195993 A JP12195993 A JP 12195993A JP 3089134 B2 JP3089134 B2 JP 3089134B2
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俊蔵 岡
一禎 木原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浮き岸壁や浮き防波堤
等に使用される鋼板コンクリート合成構造のハイブリッ
ド浮体に関し、特に深度の浅い海での使用に適したハイ
ブリッド浮体に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は、ハイブリッド浮体1を海上の定
位置に固定して設けた2つのドルフィン2,2の間に防
舷材3を介し上下動可能に係留し設置した浮き防波堤を
示している。従来、上記浮体1のようなハイブリッド構
造物は、図3に示すように主殻である鋼板部の防錆効果
を期待するために、鋼板浮体構造部5の外面全体にアン
カーピース6および鉄筋7を補強材として外側コンクリ
ート8で覆装するように構成されるのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述のよう
な従来のハイブリッド浮体1は、コンクリート8を含む
構造部の重量が大きいため、所定の排水量(吃水)を確
保するために浮体の横断面が相当に大きくなるのを避け
られない。また、それに伴って浮体構造の深さが増すた
め水深の浅い場所での係留と使用ができなくなる欠点が
ある。また、浮体構造の底部側のアンカーピース6およ
び鉄筋7の取付け作業と外側コンクリート8を打ち込む
作業とに困難を伴う欠点がある。本発明は、上述の問題
点の解消をはかろうとするもので、鋼板構造の上面部お
よび下面部ならびに両側の内側鋼板により強固な鋼製主
殻を構成しながら、水深の浅い場所でも使用できるよう
に、特に波浪を受けて損傷しやすい側部のみにコンクリ
ートを施して浮体の軽量化による喫水の低減を図るとと
もに、底部鋼板の防錆も図り、しかも製作を簡易化した
浅海型鋼板コンクリートハイブリッド浮体を提供するこ
とを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明の浅海型鋼板コンクリートハイブリッド浮体
は、同浮体の両側部がそれぞれ内側鋼板と外側コンクリ
ートとの合成構造で構成され、上記両側部における内側
鋼板の上端部相互を連結する上面部と上記内側鋼板の下
端部相互を連結する底面部とがそれぞれ鋼板構造のみで
構成され、同鋼板構造の底面部の下面には防蝕用電極が
施されており、上記両側部における外側コンクリート
が、その上端面および下端面を上記鋼板構造の上面部お
よび底面部に覆われれることなく、上記内側鋼板の外面
に装着されたことを特徴している。
【0005】
【作用】上述の本発明の浅海型鋼板コンクリートハイブ
リッド浮体では、設置された環境下で波の飛沫や漂流物
との衝突にさらされて最も損傷され易く腐蝕され易い両
側部が、コンクリート部で防蝕、防護される。また、浮
体の底面部は防蝕用電極を設けて防蝕することができ、
上面部は通常の耐候性塗料またはデッキ材料を塗装され
る。このようにして、両側部のハイブリッド構造と上面
部および底面部の鋼板構造との折衷した機能で使用され
る。すなわち、海上の船その他漂流物等との接触で最も
痛み易い両側部がコンクリートで保護されることによ
り、主殻となる鋼板浮体構造部の損傷や発錆が著しく救
済され、ハイブリッド構造による効果を享受できる。そ
して両側部だけにコンクリートを合成するため、従来型
の全面ハイブリッド構造に比べ大幅に施工性が良くな
り、作業が容易になる。
【0006】また、浮体の上面部と底面部と鋼板構造
みで構成されたことにより、このハイブリッド浮体は
深さ寸法を実機レベル比較で、全面ハイブリッド構造の
ものに比べ、15%乃至30%小さく構成できることにな
る。その結果、深さを水深の浅い場所で使用できるよう
になる。そして、上記両側部における外側コンクリート
が、その上端面および下端面を上記鋼板構造の上面部お
よび底面部に覆われることなく上記内側甲板の外面に装
着されるので、鋼材量の節減と、重量軽減とに寄与し、
この浮体の喫水を一層浅くして、浅海型としての性能を
高めることができる。さらに、本発明の浅海型鋼板コン
クリートハイブリッド浮体では、海中へ露出した鋼板構
造の底面部下面に防蝕用電極が施されるので、メンテナ
ンスの簡易化および耐久性の向上が期待される。
【0007】
【実施例】以下、本発明を図に示す実施例について詳細
に説明する。図2は、本発明による浅海型鋼板コンクリ
ートハイブリッド浮体の断面図である。図2において、
箱船状のハイブリッド浮体1は、両側部がそれぞれ内側
鋼板5aと同鋼板5aの外面に取付けられたアンカーピ
ース6および鉄筋7で補強される外側コンクリート8と
で鋼板コンクリートハイブリッド構造として構成され
る。そして、両側部における内側鋼板5a,5aの上端
部相互を連結する上面部10は鋼板構造のみで構成され、
また内側鋼板5a,5aの下端部相互を連結する底面部
11も鋼板構造のみで構成される。また両側部における外
側コンクリート8,8は、その上端面および下端面を、
図2に示すごとく、鋼板構造の上面部10および底面部11
に覆われることなく、内側鋼板5aの外面に装着されて
いる。なお、浮体1の両端部は、いずれも鋼板構造とさ
れるが、適宜コンクリートで覆層するようにしてもよ
い。
【0008】上面部10は、防錆のためデッキ塗料または
デッキコンポジション等で塗装され、また、底面部11は
一定面積毎に底面に設けた防蝕用電極13により防錆保護
される。浮体1は、海上の設置場所で波の飛沫による衝
撃、船や漂流物との衝突等で最も損傷を受け易い両側部
が外側コンクリート8で内側鋼板5aを被覆したハイブ
リッド構造として構成されることにより、浮体1の主殻
となる内側鋼板5aの損傷や発錆を著しく救済する効果
を享受できる。また、浮体1の上面部10と底面部11とは
鋼板構造のままとし、さらに両側部の外側コンクリート
8,8の上端面および下端面は鋼板構造の上面部10およ
び底面部11で覆われることなく露出した構造とにしたこ
とにより、従来のハイブリッド浮体と比較してコンクリ
ート重量や鋼材重量が大幅に減少し、防波堤用の浮体と
して所定の排水量(吃水)を確保するために必要な鋼板
浮体構造部の深さすなわち浮体1の全体の深さ寸法を著
しく減少させることができる。
【0009】例えば、実際の沖合防波堤に使用する規模
の浮体としての従来の全面ハイブリッド構造浮体と比べ
て、本実施例による浮体1では、深さ寸法を15%乃至30
%減少させることができ、従来型の3.5m深さのハイ
ブリッド浮体については、本実施例により500乃至1000m
m小さい深さに構成できることになる。その結果、本実
施例の構成の浮体1は、水深の浅い場所でも使用できる
ようになる。また、浮体1のコンクリート合成ハイブリ
ッド構造部が両側部だけになることにより、コンクリー
ト8を打込むためのアンカーピース6や鉄筋7の取付け
作業が容易になり、またコンクリート打ち作業も著しく
容易になって、浮体1の建造時の施工性を向上させる効
果をもたらす。
【0010】
【発明の効果】以上要するに、本発明によれば、鋼板コ
ンクリート合成構造のハイブリッド浮体において、浮体
の両側部を内側鋼板と外側コンクリートの合成構造とし
て構成し、浮体の上面部および底面部を鋼板構造のみで
構成したことによって、この種浮体に必要な断面寸法、
特に浮体の深さ規模を大幅に減少させるとともに、浮体
の軽量化による喫水の減少を図って、水深の浅い場所で
の鋼板コンクリート合成ハイブリッド浮体の使用を可能
にし、ハイブリッド浮体製作を容易にするとともに、底
面部下面への防蝕用電極の採用によるメンテナンスの簡
易化および耐久性の向上も期待される。そして、上記両
側部における外側コンクリートが、その上端面および下
端面を上記鋼板構造の上面部および底面部に覆われるこ
となく上記内側甲板の外面に装着されるので、鋼材量の
節減と、重量軽減とに寄与し、この浮体の喫水を一層浅
くして、浅海型としての性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板コンクリートハイブリッド浮体を使用した
浮き防波堤の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例としての浅海型鋼板コンクリ
ートハイブリッド浮体の横断面図である。
【図3】従来のハイブリッド浮体の一例を示す横断面図
である。
【符号の説明】
1 ハイブリッド浮体 2 係留用ドルフィン 3 防舷材 5a 内側鋼板 6 アンカーピース 7 補強鉄筋 8 外側コンクリート 10 浮体の上面部 11 浮体の底面部 13 防蝕用電極
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B63B 5/14 B63B 21/50 B63B 35/34 B63B 35/38 B63B 59/02 - 59/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板コンクリート合成構造のハイブリッ
    ド浮体において、上記浮体の両側部がそれぞれ内側鋼板
    と外側コンクリートとの合成構造で構成され、上記両側
    部における内側鋼板の上端部相互を連結する上面部と上
    記内側鋼板の下端部相互を連結する底面部とがそれぞれ
    鋼板構造のみで構成され、同鋼板構造の底面部の下面に
    は防蝕用電極が施されており、上記両側部における外側
    コンクリートが、その上端面および下端面を上記鋼板構
    造の上面部および底面部に覆われることなく、上記内側
    鋼板の外面に装着されたことを特徴とする、浅海型鋼板
    コンクリートハイブリッド浮体。
JP05121959A 1993-04-26 1993-04-26 浅海型鋼板コンクリートハイブリッド浮体 Expired - Lifetime JP3089134B2 (ja)

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