JP3987830B2 - 浮消波構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、桟橋としての機能を兼ね備えた浮体からなる消波構造体に関する。
港湾等において高波による事故や災害の発生を防止して、船舶の係留等に支障が生じないようにするための消波構造体としては、大きく2つのタイプのものが知られている。1つは、水底地盤に固定させた防波堤であって、他の1つは、水上に浮遊させる浮消波構造体である。
前者の防波堤は、地盤に定着させた大型の建造物であることから設置作業に手間やコストがかかり、しかも設置水域の水流を遮断することから水質汚染等を招くおそれがある一方で、堅固な構造物であることから、その天面部分を平坦にすることで、船舶への乗り降り、貨物の積み降ろし等を行うための桟橋として兼用できるという利点がある。これに対し、後者の浮消波構造体は、水面に浮かぶ材質または構造で構成されて、一般的には、チェーン等で水底に係留されるものである。それゆえ、その構造、製造、設置作業が防波堤に比べて簡易で、コスト面で有利であるものの、一般に、波を受けたときに容易に遥動または回転し、振幅の大きな揺れを生じさせることによって消波作用を発揮するものであることから(特許文献1〜4参照)、その天面部分に人が乗るなどの、いわば浮桟橋としての使用をすることについては考慮されておらず、また、そのような用途に対応した設計も本来的になされていない。
特許文献5には、波の進行方向に沿って配置された3つの底なしタンクからなる消波堤本体を用いて消波作用を発揮させる浮消波堤が記載されている。かかる浮消波堤の両舷の底なしタンクは、その上部において空気ダクトを介して互いに連通しており、消波堤本体に波が当たってタンク内の水面が上下動すると、空気がタンク間を往復流動し、その際の空気抵抗によってエネルギーが消散されて、消波作用が発揮される。しかも、両舷の底なしタンクで発生する透過波と反対称の発散波や、中央のタンクで発生する透過波と対称の発散波も、これらが互いに緩衝し、撹乱されることによって消波作用に寄与する。
しかしながら、この浮消波堤のように、内部に空気を貯留することで浮力を得る構造では、繰り返し波を受けることによって浮消波構造体のコンクリート壁に亀裂を生じた場合に、浮消波構造体が浮力を失って沈没するという深刻な事態を招くおそれがあり、長期にわたって浮力を確保するという点で、信頼性に欠ける。また、空気の散逸を防止すべく、浮消波構造体のコンクリート壁の気密性を高めようとすると、浮消波構造体の製造コストの著しい上昇を招くという問題が生じる。
ところで、特許文献5に記載の浮消波堤は、特許文献1〜4に記載のものとはタイプが異なる浮消波構造体であって、係留用のチェーン等によって水底に繋がれたものではなく、水底に固定され水面上へと延びるドルフィンによって昇降自在に嵌合(係留)されたものである。それゆえ、この浮消波構造堤は、波を受けたときにも比較的安定して水面上に浮かんでいる。しかしながら、特許文献5には、かかる浮消波堤を浮桟橋として使用することについてや、浮消波堤の天面部分を浮桟橋としての使用に適した構造にすることについては、何ら記載されておらず、示唆すらもない。
また、特許文献6には、杭に係留して用いられる浮消波構造体の他の例として、平板状の消波堤本体と、その前後側下面に垂直に設けられた消波板とを備える浮消波堤が記載されている。しかしながら、同文献に記載の浮消波堤は、浮桟橋としての甲板部分となり得る部位(平板状消波堤本体)を、衝波板に衝突する波の力によって変形させ、その変形によって消波作用を発揮させるものであることから、かかる平板状の消波堤本体部分を用いて浮桟橋としての利用に供することはできない。
なお、従来、岸からある程度離れた場所で船舶の係留、船舶への乗り降り、積荷の積み降ろし等を行うための構造物として、水上に浮遊させる浮桟橋が提案されている(特許文献7および8)。しかしながら、従来の浮桟橋では、消波作用を兼ね備えさせることについて何ら考慮されておらず、もっぱら防波堤等によって保護された水域で使用することが前提とされていた。また、従来の浮桟橋では、波を受ける面を丸めるなど、波との接触角が小さくなるように設計することによって、波が当たることによる影響を小さくするための検討がなされている。さらに、波を受けたときにその波に乗ることで、浮桟橋自体の揺れを軽減することの検討もなされているが、この発想は、消波作用を発揮させるという発想とは全く逆のものである。
実開平5−14214号公報 特開2002−339332号公報 特開平6−41931号公報 特開平5−195519号公報 特開平6−108431号公報 特開平5−156619号公報 特開2003−278111号公報 特開2002−69926号公報
本発明の目的は、優れた消波作用を発揮するだけでなく、桟橋としての機能をも兼ね備えた浮体からなる消波構造体を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の第1の浮消波構造体は、水底に固定された杭に係留して用いられるものであって、
(i)剛体である甲板部前記甲板部に連設しかつ波を受ける側に配置される消波板と、前記甲板部に連設しかつ前記消波板に対向して配置される背面板と、を備える外枠体と、(ii)前記甲板部と、前記消波板と、前記背面板とによって区画される外枠体の空間内に充填されてなる発泡体と、を備え、
前記浮消波構造体の底部側に、前記消波板側から前記背面板側へ向けて上方に変位する段差を備え、かつ
前記段差が、前記消波板の底面と前記発泡体の底面とにより形成され、前記消波板の底面における厚みt と、前記段差の高さh との比t /h が、0.2〜1.0であることを特徴としている
本発明の第2の浮消波構造体は、水底に固定された杭に係留して用いられるものであって、
(i)剛体である甲板部と、前記甲板部に連設しかつ波を受ける側に配置される消波板と、前記甲板部に連設しかつ前記消波板に対向して配置される背面板と、を備える外枠体と、(ii)前記甲板部と、前記消波板と、前記背面板とによって区画される外枠体の空間内に充填されてなる発泡体と、を備え、
前記浮消波構造体の底部側に、前記消波板側から前記背面板側へ向けて上方に変位する段差を備え、かつ
前記段差が、前記消波板の底面に設けられ、前記消波板の下方側における底面の厚みt と、前記段差の高さh との比t /h が、0.2〜1.0であることを特徴としている。
また、本発明の第3の浮消波構造体は、水底に固定された杭に係留して用いられるものであって、
(i)剛体である甲板部と、前記甲板部に連設しかつ波を受ける側に配置される消波板と、前記甲板部に連設しかつ前記消波板に対向して配置される背面板と、を備える外枠体と、(ii)前記甲板部と、前記消波板と、前記背面板とによって区画される外枠体の空間内に充填されてなる発泡体と、を備え、
前記浮消波構造体の底部側に、前記消波板側から前記背面板側へ向けて上方に変位する段差を備え、かつ
前記段差が、前記発泡体の底面に設けられ、かつ、前記消波板の底面と前記発泡体の下方側の底面とが略同一平面となるように設定され、前記消波板における底面の厚みt 3a および前記発泡体の下方側の底面における厚みt 3b の和t と、前記段差の高さh との比t /h が、0.2〜1.0である、ことを特徴としている。
本発明に係る浮消波構造体は、上述のとおり、甲板部、消波板および背面板を備える断面略コ字状(略逆U字状)の外枠体と、当該外枠体の内部の空間に充填された発泡体とによって形成された浮体構造物である。この浮消波構造体は、外枠体の内部に充填されている発泡体によって浮力がかかっていることから、一定の部分を浮上させた状態で水面上に浮遊させつつ、消波作用を発揮させることができる。また、浮消波構造体をあらかじめ杭に係留させておくことによって、波を受けたときに遥動や回転が生じるのを抑制することができ、しかも、外枠体のうち、少なくとも甲板部が剛体からなり、波を受けても変形しないものであることから、消波構造体本来の消波作用を発揮させつつ、その甲板部を用いて浮桟橋としての使用をすることができる。
従来の、杭に係留して使用する浮消波構造体や、浮桟橋には、全面をコンクリート壁で囲った中空状のものが知られている(特許文献4、7および8参照)。しかしながら、コンクリート壁で覆われた中空状の浮消波構造体の場合には、コンクリートが劣化して亀裂を生じたり、コンクリート壁の接続部分等で水漏れを生じたりするおそれがあり、その結果として、浮消波構造体の水没を招くおそれがある。これに対し、本発明の浮消波構造体では、外枠体の空間内に充填された発泡体によって浮力を得ていることから、万一、外枠体を構成する甲板部、消波板、背面板等に亀裂等が生じた場合であっても、浮消波構造体の水没を生じることがない。
さらに、本発明の第1〜第3の浮消波構造体は、前述のように、甲板部、消波板および背面板によって区画される外枠体の空間内に発泡体を充填したものであって、その構造が極めてシンプルであることを特徴としており、特許文献5に記載されている浮消波堤のような複雑な構造をとっていない。従って、本発明の浮消波構造体によれば、浮消波構造体の製造工程の簡易化、低コスト化を図ることができる。
また、本発明の第1〜第3の浮消波構造体は、その底部側に、消波板側から背面板側へ向けて上方に変位する段差を備えている。この段差としては、
(a) 消波板の底面と発泡体の底面とにより形成され、消波板側から背面板側(発泡体側)へ向けて上方に変位するように設けられたもの、
(b) 消波板の底面に、消波板側から背面板側(発泡体側)へ向けて上方に変位するように設けられたもの、または、
(c) 消波板の底面と、この消波板との境界近傍における発泡体の底面とが略同一平面にある場合において、発泡体の底面に、消波板側から背面板側へ向けて上方に変位するように設けられたもの、が挙げられる。
浮消波構造体の底部側に、上記(a)〜(c)のいずれかに示される段差を設けることで、浮消波構造体の底部側を透過しようとする波が、上記段差部分で渦を形成することになり、こうして形成された渦によって、上記透過波のエネルギーを消散させることができる。すなわち、浮消波構造体の底部側に上記段差を設けることで、消波効果をより一層高めることができる。特に、上記段差による消波効果は、浮消波構造体の底部側を透過し易い長波長の波を減衰させる上で効果的である。
また、かかる段差を設けることによって、幅広い波長域において、浮消波構造体の透過率k を0.5以下にまで低減させることができる。
浮消波構造体の底部側における段差は、
上記(a)の場合において、消波板の底面の厚み(幅)t と、段差の高さ(両底面間の変位の幅)h との比t /h が、0.2〜1.0であり、
上記(b)の場合において、消波板の下方側における底面の厚み(幅)t と、段差の高さh (両底面間の変位の幅)との比t /h が、0.2〜1.0であり、
上記(c)の場合において、消波板における底面の厚み(幅)t 3a および発泡体の下方側の底面(消波板との境界近傍における底面)における厚み(幅)t 3b との和t と、段差の高さh との比t /h が、0.2〜1.0である。
消波板は、振動流と称される略往復流にさらされるところ、消波板の底面部分に段差を設けることで、流れを消波板の背後で巻き込ませることができ、その際に生じる渦によって振動エネルギーを消失させることができる。とりわけ、浮消波構造体の底部側に設けられた段差についての幅tと高さhとの比t /h 、t /h およびt /h を、それぞれ上記の範囲に設定することによって、消波作用と、浮消波構造体の制振機能とを向上させることができる。
上記比t /h 、比t /h および比t /h は、前述の範囲の中でも特に、0.3〜0.8であるのが好ましい。
本発明に係る浮消波構造体において、消波板と背面板との外表面間の幅Bと、浮消波構造体の設置水域における設計波長Lとの比B/Lは0.3〜1.0であるのが好ましい。
一般に、岸に到達する波の波長は、その場の水深および波の高さによって定まるものである。従って、浮消波構造体は、これを設置する水域において想定される波長(以下、これを「設計波長」という。)に応じて設計することが求められるところ、本発明者による検討の結果、本発明の浮消波構造体(断面略コ字状の外枠体と、その内部に充填される発泡体とを有する浮体構造物)を用いて消波作用を発揮させる場合には、消波板の外表面と背面板の外表面との間の幅B(すなわち、浮消波構造体を所定の水域に設置した場合において、波の進行方向における浮消波構造体の長さに相当する部分)と、当該水域における設計波長Lとの比B/Lを上記範囲に設定することによって、消波作用をより一層優れたものとすることができることがわかった。
具体的には、消波板と背面板との外表面間の幅Bと設計波長Lとの比B/Lを0.3〜1.0の範囲に設定することによって、浮消波構造体を透過する波の透過率kを0.5以下にまで低減させることができる。
消波板と背面板との外表面間の幅Bと設計波長Lとの比B/Lは、上記範囲の中でも特に、0.35〜0.95であるのが好ましく、0.40〜0.90であるのがより好ましい。
発明に係る浮消波構造体は、当該浮消波構造体を水上に浮遊させた場合に、消波板のうち水面から浮き出ている部分の高さRと、吃水している部分の深さdとの比R/dが0.3〜0.8となるように設定されているのが好ましい。
上記比R/dが0.3を下回ると、消波板のうち水面から浮き出ている部分が少なくなり過ぎて(吃水している部分が多くなり過ぎて)、波が浮消波構造体を越え易くなる。この場合、消波作用は発揮されるものの、浮桟橋としての安全な使用ができなくなるおそれがある。逆に、比R/dが0.8を超えると、消波板のうち水面から浮き出ている部分が多くなり過ぎる(吃水している部分が少なくなり過ぎる)ことから、水面上での浮消波構造体の安定性が低下して、浮桟橋としての使用に適さなくなるおそれがある。しかも、この場合には、消波性能も低下する。
比R/dの範囲は、上記範囲の中でも特に、0.35〜0.55であるのがより好ましい。
本発明に係る浮消波構造体は、当該浮消波構造体を水上に浮遊させた場合に、消波板のうち吃水している部分の深さdと、消波板と背面板との外表面間の幅Bとの比d/Bが0.25〜0.7となるように設定されているのが好ましい。
前述のように、消波板と背面板との外表面間の幅Bは、設計波長Lとの比B/Lが所定の範囲となるように設定されるのが好ましいことから、設計波長Lが長波長であると想定される水域においては、いきおい幅Bを大きく設計することが求められるところ、このような場合に、消波板のうち吃水している部分の深さdが小さくなると、波長Lの大きい波は浮消波構造体の底部側を透過し易くなってしまう。従って、上記深さdは、上記幅Bに対してある一定の割合以上であることが求められる。一方、上記幅Bに対して上記深さdが大きすぎる場合には、薄い板状の部材を縦向けにして水面に浮かべることになり、安定性が著しく低下する。従って、上記深さdについては、上記幅Bに対してある一定の割合以下であることも求められる。本発明者による検討の結果、比d/Bを0.25〜0.7の範囲で設定すれば、浮消波構造体の安定性を維持しつつ、長波長の波が底部を透過するのを防止することができ、その結果、幅広い波長の波に対して安定した消波作用を示し得ることが見出された。
比d/Bの範囲は、上記範囲の中でも特に、0.35〜0.55であるのがより好ましい。
本発明に係る浮消波構造体において、発泡体は、少なくとも浮消波構造体の表面に露出している部分に樹脂コーティングを施したものであるのが好ましい。発泡体の表面のうち、少なくとも外部に露出して、浮消波構造体の表面をなしている部分に対して樹脂コーティングを施すことによって、発泡体の強度を向上させることができ、浮消波構造体に加わる水圧によって経時的に発泡体の体積が減少するのを防止することができる。また、発泡体が水分を吸収して浮力が低下するのを防止することもできる。
さらに、発泡体の表面に樹脂コーティングを施すことによって、局所的に荷重が加わったときの発泡体の変形、圧壊(ヘタリ)を抑制することもできる。発泡体は、一般に、面圧に対してある程度の耐久性を備えているものの、局所的な荷重に対しては変形し易く、発泡体の圧壊によって密度の著しい上昇と、浮力の著しい低下とを招くおそれがあるところ、発泡体の表面に樹脂コーティングを施すことで、局所的な過重に対しても十分な耐久性を付与することができる。従って、例えば浮消波構造体の製造過程において、後述するように、型枠内に発泡体を配置し、その表面にコンクリートを打設する場合に、型枠との接触等によって発泡体にヘタリが生じるのを防止することができる。
本発明に係る浮消波構造体は、外枠体の表面に、係留用杭を嵌合させることのできるパイルガイドを備えてなるものであるのが好ましい。本発明の浮消波構造体は杭に係留して使用するものであることから、杭に係合させるための部材を浮消波構造体自体に設けておく必要がある。ここで、浮消波構造体を杭と係合させる手段としては、例えば、浮消波構造体の甲板部等に係留用の杭を設けておいて、この杭と水底に固定された杭とを、チェーン、係留索等で繋ぐ方法が考えられる。本発明の浮消波構造体はある程度の重量を有するものであることから、このようにして係留した場合であっても、波を受けたときに遥動または回転するのをある程度防止することができる。しかし、浮消波構造体の外枠体の表面にパイルガイドを取り付けて、水底に立設された係留用の杭をこのパイルガイドに嵌め合わせれば、浮消波構造体を杭に直接的に係留し、固定させることができることから、波を受けたときに浮消波構造体が遥動および回転するのを、より一層確実に抑制することができ、浮消波構造体を浮桟橋として使用する場合の乗り心地を向上させて、船酔い感覚を防止することができる。
本発明において、パイルガイドを設置する部位は特に限定されるものではないが、消波板上または背面板上にパイルガイドを設置するのが好ましく、特に、直接波を受けることのない背面板上にパイルガイドを設置するのがより好ましい。消波板や背面板上において浮消波構造体と係留用杭とを嵌合させることによって、波を受けたときの浮消波構造体の遥動および回転を抑制する効果をより一層高めることができる。
浮消波構造体の表面のうち、パイルガイドを備える表面には、当該パイルガイドに嵌合してなる係留用杭と浮消波構造体の外枠体とが直接に接触するのを防止する緩衝材を備えているのが好ましい。かかる緩衝材を設けることによって、大きな波が打ち寄せた場合であっても、係留用杭との接触によって外枠体に破損、亀裂等が生じるのを防止することができる。
本発明に係る浮消波構造体は、甲板部の表面に床材を配置してなるものであるのが好ましい。例えば、板材、樹脂舗装材等の、水はけの良好な床材を甲板部に配置することによって、本発明の浮消波構造体を浮桟橋として利用する場合の安全性を向上させ、利用者の利便を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
〔浮消波構造体の実施形態〕
(第1の実施形態)
本発明に係る浮消波構造体の一実施形態(第1の実施形態)を図1〜5に示す。
第1の実施形態に係る浮消波構造体10において、外枠体11は、甲板部12と、甲板部12に連設してなる消波板13と、甲板部12に連設して消波板13に対向して配置される背面板14と、を備えており、これに加えて、甲板部12、消波板13および背面板14のいずれにも連設する一対の側面15a,15bを備えている。それゆえ、第1の実施形態において、外枠体11は、その断面形状が略コ字状(略逆U字状)であるだけでなく、いわば底なし箱体状となっている。
外枠体11は、底面図(図3)に示すように、甲板部12、消波板13および背面板14によって区画される空間内に補強板16a,16bを備えており、これによって、底なし箱体状である外枠体11が補強されている。但し、補強板16a,16bについては、外枠体11の強度を十分に保つことができるのであれば、これを省略することができる。補強板16a,16bを省略することで、外枠体11の重量を軽減することができ、ひいては発泡体の使用量の軽減を図ることができる。なお、説明の都合上、浮消波構造体10の背面板14側から見た図を正面図〔図2(b)〕とし、消波板13側から見た図を背面図(図4)としている。
発泡体18は、外枠体11の甲板部12、消波板13および背面板14によって区画される空間であって、さらに一対の側面15a,15bと補強板16a,16bとによって区画される領域内に充填されている。なお、浮消波構造体10の平面図および正面図(図2)、ならびに背面図(図4)においては、発泡体18を点線で示している。
第1の実施形態に係る浮消波構造体10の設置は、水底に立設された杭22に、外枠体の背面板14に設けられたパイルガイド20を嵌合させることによって行われる。パイルガイド20はその内側にローラ21を備えていることから、水位(潮位)等が変化した場合であっても、浮消波構造体10の浮かぶ位置をその鉛直方向にスムーズに移動させることができる。
浮消波構造体10の背面板14には、図1等に示すように、緩衝材23が備えられている。緩衝材23を備えることで、例えば極めて大きな波を受けたことによって浮消波構造体10が大きく揺れ動く事態を招いた場合であっても、パイルガイド20に嵌合される杭22(例えば、鋼管杭等)に背面板14が衝突するのを防止することができ、背面板14等の破損を未然に防止することができる。
浮消波構造体10の消波板13と背面板14との外表面間の幅B〔図1,図2(a)および図5(b)参照〕は、浮消波構造体10を設置する水域において想定される波長、いわゆる設計波長Lに応じて設定するのが好ましく、具体的には、幅Bと設計波長Lとの比B/Lが前述の範囲を満たすように設定するのが好ましい。
第1の実施形態に係る浮消波構造体10を実際の港湾等に設置する際には、外枠体11の消波板13が直接に波を受けるようにして配置される。すなわち、第1の実施形態において、消波作用を発揮するのは主として消波板13である。この消波板13による消波作用をより一層優れたものとするためには、消波板13のうち水面から浮き出ている部分の高さRと、吃水している部分の深さdとの比R/dが前述の範囲を満たすように設定するのが好ましい〔図5(b)参照〕。
第1の実施形態に係る浮消波構造体10は、その底部側に、消波板13側から背面板14側へ向けて上方に変位する段差19を備えている(図6参照)。かかる段差を有することによって、浮消波構造体10の底部側を透過しようとする波Wが渦を形成することになり、渦の形成に伴うエネルギーの消費によって透過波を減衰させることができる。
浮消波構造体10の底部側における段差19の設計例としては、図7(a)〜(c)に示す3つの例が挙げられる。
) 消波板13の底面13aと発泡体18の底面18dとにより形成され、消波板13側から背面板(図示せず)側へ向けて上方に変位する段差19〔図7(a)参照〕。
) 消波板13’の底面13a’と発泡体18’の底面18d’との間に、消波板13’側から背面板(図示せず)側へ向けて上方に変位する段差19〔図7(b)参照〕。
) 消波板13''の底面13a''と、消波板13''との境界近傍における発泡体18''の底面(下方側底面)18d''とが略同一平面にある場合において、発泡体の底面18d'',18e''に、消波板13''側から背面板(図示せず)側へ向けて上方に変位する段差19〔図7(c)参照〕。
上記()〜()に示すいずれの設計例においても、消波板の底面の厚み(発泡体の底面の一部が略同一平面上にある場合はその厚みを含む。)t〔t,t,t〕と、段差の高さh〔h,h,h〕との比t/hが前述の範囲を満たすように設定するのが好ましい。
(第2の実施形態)
本発明に係る浮消波構造体の他の実施形態(第2の実施形態)を図8〜図10に示す。
第2の実施形態に係る浮消波構造体30において、外枠体31は、甲板部32と、甲板部32に連設してなる消波板33と、甲板部32に連設して消波板33に対向して配置される背面板34と、を備えており、断面形状が略コ字状(略逆U字状)となっている。
外枠体31は、側面図(図10)に示すように、消波板33と背面板34との間を繋ぐ一対の補強板35a,35bを備えており、平面図〔図9(a)〕に点線で示すように、甲板部32、消波板33および背面板34によって区画される空間内に補強板36a,36bを備えている。これらの補強板によって、断面略コ字状である外枠体31が補強されている。なお、説明の都合上、浮消波構造体30の背面板34側から見た図を正面図〔図9(b)〕としている。
第2の実施形態における外枠体31の側面部分には、第1の実施形態における側面15a,15bに代えて、補強板35a,35bが設けられている。このように、側面を補強板に代えることで外枠体31の重量を軽減することができ、ひいては発泡体の使用量の軽減を図ることができる。
補強板35a,35b,36a,36bについては、外枠体31の強度を十分に保つことができるのであれば、これを省略することができる。補強板を省略することによって、外枠体31の重量をより一層軽減することができる。
発泡体38は、外枠体31の甲板部32、消波板33および背面板34によって区画される空間のうち、さらに補強板35a,35b,36a,36bによって区画される領域内に充填されている。なお、浮消波構造体30の平面図および正面図(図9)においては、発泡体38を点線で示している。
第2の実施形態に係る浮消波構造体30の設置についても、第1の実施形態の場合と同様に、水底に立設された杭22に、外枠体の背面板34に設けられたパイルガイド20を嵌合させることによって行っている。浮消波構造体30の浮かぶ位置がその鉛直方向にスムーズに移動可能である点については、第1の実施形態の場合と同様である。
浮消波構造体30の消波板33と背面板34との外表面間の幅B〔図8参照〕は、浮消波構造体30を設置する水域において想定される波長、いわゆる設計波長Lに応じて設定するのが好ましく、具体的には、幅Bと設計波長Lとの比B/Lが前述の範囲を満たすように設定するのが好ましい。
第2の実施形態に係る浮消波構造体30を実際の港湾等に設置する際には、外枠体31の消波板33が直接に波を受けるようにして配置される。すなわち、第2の実施形態において、消波作用を発揮するのは主として消波板33である。この消波板33による消波作用をより一層優れたものとするためには、消波板33のうち水面から浮き出ている部分の高さRと、吃水している部分の深さdとの比R/dが前述の範囲を満たすように設定するのが好ましい。高さRと深さdについては、第1の実施形態の消波板13について示したものと同様である〔図5(b)参照〕。
第2の実施形態に係る浮消波構造体30においても、第1の実施形態と同様に、その底部側に、消波板33側から背面板34側へ向けて上方に変位する段差39を備えている(図10参照)。かかる段差39による作用・効果は第1の実施形態の場合と同様である。また、浮消波構造体30の底部側における段差39の設計例についても、第1の実施形態において示した、図7(a)〜(c)に示す3つの例と同様のものが挙げられる。
以上、浮消波構造体の実施形態について第1および第2の実施形態を例示して説明したが、本発明の浮消波構造体は上記例示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
〔外枠体〕
本発明において、浮消波構造体の外枠体を形成する材料については特に限定されるものではなく、例えば無筋コンクリート、鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート等のコンクリート;鋼板等の鋼材;木板、合板等の木材;繊維補強プラスチック等のプラスチックといった、従来公知の種々の材料を採用することができる。
外枠体の大きさについては、前述のように、消波板と背面板との外表面間の幅Bが設計波長Lに応じて設定されることのほかは、特に限定されるものではない。なお、外枠体の消波板の幅X(図1参照)については、これに限定されるものではないが、製造工程や設置作業の観点から5〜15m程度に設定するのが適当である。
〔発泡体〕
本発明において、発泡体の形成材料については特に限定されるものではないが、浮消波構造体の使用時において発泡体に水圧がかかること等を考慮すれば、ポリスチレン発泡体、硬質ウレタン発泡体、フェノール発泡体等の、いわゆる硬質フォームを用いるのが好ましい。
本発明に用いられる発泡体の密度については特に限定されるものではなく、使用する浮消波構造体の形状、外枠体の比重等に応じて、適宜設定すればよい。
浮消波構造体に及ぼす浮力は、発泡体の材質、密度、使用量等によって調節されるものである。なお、浮消波構造体に及ぼす浮力の程度は、前述のように、消波板のうち水面から浮き出ている部分の高さRと、吃水している部分の深さdとの比R/dが所定の範囲を満たすように調節するのが好ましい。
(樹脂コーティング)
発泡体の表面に施す樹脂コーティングについて、コーティング剤の種類、コーティング処理の方法等については特に限定されるものではないが、例えばコーティング剤には、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を用いるのが好ましい。また、樹脂コーティングのコーティング方法には、例えば、スプレーによる吹付け塗装、刷け塗り等の方法を採用するのが好ましい。
本発明において、樹脂コーティングを施す発泡体の部位については特に限定されるものではないが、少なくとも浮消波構造体の表面に露出している部分については、樹脂コーティングを施しておくのが好ましい。具体的には、上記第1の実施形態における発泡体の底面18d部分(図3参照)、第2の実施形態における発泡体の底面38d部分および側面38e部分(図10参照)に、樹脂コーティングを施すのが好ましい。
〔製造方法〕
本発明に係る浮消波構造体の製造方法については特に限定されるものではない。浮消波構造体の製造には、従来公知の種々の方法を採用することができる。
外枠体をコンクリートで形成する場合には、これに限定されるものではないが、消波板、甲板部、背面板、補強板等の形状に応じた型枠をあらかじめ組み立てておき、その型枠に沿ってコンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後で型枠を取り外せばよい。
次いで、コンクリート、またはその他の材料によって作製された外枠体に対して、その空間内に発泡体を充填すればよい。発泡体は、作業に適した大きさに分割した上で外枠体の空間内に配置すればよく、外枠体の内表面と間や、発泡体のピース同士は、適宜接着剤等によって固定すればよい。
〔床材〕
本発明に係る浮消波構造体において、甲板部の表面に配置される床材としては特に限定されるものではなく、木板、合板等の木材や、弾性舗装材の形成材料として用いられるプラスチック組成物等を採用することができる。
床材を配置する際には、床材の表面の排水性等を考慮して、外枠体の甲板部の表面にあらかじめ根太などを配置しておき、甲板部の表面と床材との間に一定のスペースをあけておくのが好ましい。
次に、浮消波構造体の製造例および試験例を挙げて、本発明を説明する。
〔浮消波構造体の作製〕
図1〜図5に示す浮消波構造体10のサンプルを作製した。このサンプルにおいて、発泡体18にはポリスチレン発泡体を使用した。外枠体11は、甲板部12、消波板13、背面板14、側面15a,15bおよび補強板16a,16bの全てを、鉄筋コンクリートにて一体成形した。
具体的には、まず、略直方体状の(天面に面取りが施された)発泡体18a,18b,18cを、補強板16a,16bの厚みに応じた間隔をおいて配置して、各発泡体18間の隙間と、各発泡体18の表面(底面18dを除く。)に沿った部位とに、外枠体11を形成する鉄筋の枠組みを配置し、さらに、発泡体18全体の周囲を覆うように型枠を配置した。次いで、発泡体18と型枠との間にコンクリートを打設して、養生することによって、図1〜図5に示す浮消波構造体10を得た。
発泡体の天面18dと、消波板の底面13aとの間には、図7(a)に示す段差19を形成した。この段差19は、コンクリート打設時の足場上に段差19の高さに応じたスペーサを配置しておき、発泡体18を当該スペーサ上に配置し、外枠体11形成用の型枠を足場上に配置することによって、コンクリートの打設処理によって自動的に所望の段差が形成されるように調整した。
こうして作製した浮消波構造体10の各部のサイズは、以下のとおりである。
浮消波構造体10の幅B(図1参照)2.5m
浮消波構造体10の長さX(外枠体11の消波板13の幅,図1参照)9.85m
浮消波構造体10の高さH〔R+d、図1,5(b)参照〕1.4m
消波板の底面13dの厚み(幅)t〔図7(a)参照〕0.15m
段差19の高さh〔図7(a)参照〕0.25m
比t/h=0.6
〔性能評価試験〕
浮消波構造体10のサンプルを使用して、消波作用の評価を行った。試験に際して、浮消波構造体10は、実験用水槽の底に立設された一対の杭22に、背面板14に設けられた一対のパイルガイド20を、それぞれ摺動自在に嵌合〔下記試験(3)および(4)においては、摺動しないように固定〕させることによって設置した。
(1)比B/Lと透過率kとの関係
消波板13と背面板14との外表面間の幅Bに対して、実験用水槽での波の波長Lを変化させることにより、比B/Lを、0.05〜1.75の範囲で種々の値に設定した。なお、消波板13のうち水面から浮き出ている部分の高さR〔図5(b)参照〕を0.4mとし、吃水している部分の深さd(同図参照)を1.0mとした。
そして、設定された比B/L毎に、消波板13に衝突する前の波の高さに対する、浮消波構造体10を通過した波の高さの割合(透過率k)を求めて、比B/Lの変化に伴う消波作用の変化を観察した。比B/Lと、透過率kとの関係を、図11に示す。
図11に示す結果より、透過率kを0.5以下とするには、比B/Lを0.3〜1.0の範囲で設定するのが好ましいことが分かった。また、比B/Lは、上記範囲の中でも特に、0.35〜0.95であるのが好ましく、0.40〜0.90であるのがより好ましいことも分かった。
(2)比t/hと透過率kとの関係
浮消波構造体10の発泡体の底面18dを削るか、あるいは、底面18dに新たに板状の発泡体を接着するか、のいずれかの処理を施して、消波板の底面13dの厚みt(初期設定値0.15m;以下、単に“t”と表す。)と、段差19の高さh(初期設定値0.25m;以下、単に“h”と表す。)との比t/h(初期値0.6)を、0.02〜1.50の範囲で種々の値に設定した。なお、波長Lは6.2mに設定して、比B/Lを約0.40とした。
そして、設定された比t/h毎に上記透過率kを求めて、比t/hの変化に伴う消波作用の変化を観察した。比t/hと透過率kとの関係を、図12に示す。
図12に示す結果より、透過率kを0.5以下とするには、比t/hを0.2〜1.0の範囲で設定するのが好ましいことが分かった。また、比t/hは、上記範囲の中でも特に、0.3〜0.8の範囲に設定するのがより好ましいことも分かった。
(3)比R/dと透過率kとの関係
浮消波構造体10のパイルガイド20を杭22に固定することにより、消波板13のうち水面から浮き出ている部分の高さRと、吃水している部分の深さdとの比R/dを、0.10〜1.10の範囲で種々の値に設定した。なお、波長Lは6.2mに設定して、比B/Lを約0.40とした。また、比t/hを、初期値の0.6とした。
そして、設定された比R/d毎に上記透過率kを求めて、比R/dの変化に伴う消波作用の変化を観察した。比R/dと透過率kとの関係を、図13に示す。
図13に示す結果より、透過率kを0.5以下とするには、比R/dを0.3〜0.8の範囲で設定するのが好ましいことが分かった。また、比R/dは、上記範囲の中でも特に、0.35〜0.55の範囲に設定するのがより好ましいことも分かった。
(4)比d/Bと透過率kとの関係
浮消波構造体10のパイルガイド20を杭22に固定することにより、消波板13のうち吃水している部分の深さdと、消波板13と背面板14との外表面間の幅Bとの比d/Bを、0.10〜1.10の範囲で種々の値に設定した。なお、波長Lは6.2mに設定して、比B/Lを約0.40とした。また、比t/hを、初期値の0.6とした。
そして、設定された比d/B毎に上記透過率kを求めて、比d/Bの変化に伴う消波作用の変化を観察した。比d/Bと透過率kとの関係を、図14に示す。
図14に示す結果より、透過率kを0.5以下とするには、比d/Bを0.25〜0.7の範囲で設定するのが好ましいことが分かった。また、比d/Bは、上記範囲の中でも特に、0.35〜0.55の範囲に設定するのがより好ましいことも分かった。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
本発明に係る浮消波構造体の一実施形態を示す斜視図である。 (a)は図1に示す浮消波構造体10の平面図、(b)は正面図である。 図1に示す浮消波構造体10の底面図である。 図1に示す浮消波構造体10の背面図である。 (a)は図1に示す浮消波構造体10の左側面図、(b)はA−A断面図である。 浮消波構造体10の底部に設けられた段差19による消波作用を示す説明図である。 浮消波構造体の底面に設けられた段差19の例を示す部分拡大断面図である。 本発明に係る浮消波構造体の他の実施形態を示す斜視図である。 (a)は図8に示す浮消波構造体30の平面図、(b)は正面図である。 図8に示す浮消波構造体30の左側面図である。 消波板と背面板との外表面間の幅Bと設計波長Lとの比B/Lに対する波の透過率kの変化を示すグラフである。 消波板の底面の厚みtと段差の高さhとの比t/hに対する波の透過率kの変化を示すグラフである。 消波板の水上部分の高さRと吃水部分の深さdとの比R/dに対する波の透過率kの変化を示すグラフである。 消波板の吃水部分の深さdと消波板と背面板との外表面間の幅Bとの比d/Bに対する波の透過率kの変化を示すグラフである。
符号の説明
10,30 浮消波構造体
11,31 外枠体
12,32 甲板部
13,33 消波板
13a (消波板13の)底面
14,34 背面板
18,38 発泡体
18d (発泡体18の)底面
19 段差
20 パイルガイド
22 杭
23 緩衝材
B 消波板と背面板との外表面間の幅
d 消波板の吃水している部分の深さ
h,h,h,h 段差の高さ
L 設計波長
R 消波板の水面から浮き出ている部分の高さ
t,t,t,t 消波板の底面における厚み
X 外枠体の消波板の幅

Claims (10)

  1. 水底に固定された杭に係留して用いられる浮消波構造体であって、
    (i)剛体である甲板部前記甲板部に連設しかつ波を受ける側に配置される消波板と、前記甲板部に連設しかつ前記消波板に対向して配置される背面板と、を備える外枠体と、(ii)前記甲板部と、前記消波板と、前記背面板とによって区画される外枠体の空間内に充填されてなる発泡体と、を備え、
    前記浮消波構造体の底部側に、前記消波板側から前記背面板側へ向けて上方に変位する段差を備え、かつ
    前記段差が、前記消波板の底面と前記発泡体の底面とにより形成され、前記消波板の底面における厚みt と、前記段差の高さh との比t /h が、0.2〜1.0であることを特徴とする浮消波構造体。
  2. 水底に固定された杭に係留して用いられる浮消波構造体であって、
    (i)剛体である甲板部と、前記甲板部に連設しかつ波を受ける側に配置される消波板と、前記甲板部に連設しかつ前記消波板に対向して配置される背面板と、を備える外枠体と、(ii)前記甲板部と、前記消波板と、前記背面板とによって区画される外枠体の空間内に充填されてなる発泡体と、を備え、
    前記浮消波構造体の底部側に、前記消波板側から前記背面板側へ向けて上方に変位する段差を備え、かつ
    前記段差が、前記消波板の底面に設けられ、前記消波板の下方側における底面の厚みt と、前記段差の高さh との比t /h が、0.2〜1.0であることを特徴とする、浮消波構造体。
  3. 水底に固定された杭に係留して用いられる浮消波構造体であって、
    (i)剛体である甲板部と、前記甲板部に連設しかつ波を受ける側に配置される消波板と、前記甲板部に連設しかつ前記消波板に対向して配置される背面板と、を備える外枠体と、(ii)前記甲板部と、前記消波板と、前記背面板とによって区画される外枠体の空間内に充填されてなる発泡体と、を備え、
    前記浮消波構造体の底部側に、前記消波板側から前記背面板側へ向けて上方に変位する段差を備え、かつ
    前記段差が、前記発泡体の底面に設けられ、かつ、前記消波板の底面と前記発泡体の下方側の底面とが略同一平面となるように設定され、前記消波板における底面の厚みt 3a および前記発泡体の下方側の底面における厚みt 3b の和t と、前記段差の高さh との比t /h が、0.2〜1.0である、ことを特徴とする浮消波構造体。
  4. 前記消波板と前記背面板との外表面間の幅Bと、浮消波構造体の設置水域における設計波長Lとの比B/Lが0.3〜1.0であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の浮消波構造体。
  5. 前記浮消波構造体を水上に浮遊させた場合に、前記消波板のうち水面から浮き出ている部分の高さRと、吃水している部分の深さdとの比R/dが0.3〜0.8であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の浮消波構造体。
  6. 前記浮消波構造体を水上に浮遊させた場合に、前記消波板のうち吃水している部分の深さdと、前記消波板と前記背面板との外表面間の幅Bとの比d/Bが0.25〜0.7であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の浮消波構造体。
  7. 前記発泡体が、少なくとも浮消波構造体の表面に露出している部分に樹脂コーティングを施したものであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の浮消波構造体。
  8. 前記外枠体の表面に、係留用杭を嵌合させることのできるパイルガイドを備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の浮消波構造体。
  9. 前記パイルガイドを備える外枠体の表面に、前記パイルガイドに嵌合してなる係留用杭と外枠体とが接触するのを防止する緩衝材を備えることを特徴とする、請求項記載の浮消波構造体。
  10. 前記甲板部の表面に床材を配置してなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の浮消波構造体。
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