JP3087972B2 - ガスセンサの製造方法 - Google Patents

ガスセンサの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】この発明は、ガスセンサの製造方法
に関し、特にガスセンサへの貴金属触媒の担持方法に関
する。
【0002】
【従来技術】特開平1−250,851号は、白金の樹
脂酸塩を用いた白金触媒の担持方法を開示している。こ
の技術ではアルミナ微粉に白金の樹脂酸溶液を加えてペ
ースト化し、印刷後に焼成して白金を担持したアルミナ
膜とする。この技術では、塩化白金酸を用いる場合に較
べ、ガスセンサ特性のばらつきを小さくできるとされ
る。
【0003】発明者らは、薄膜あるいは膜厚20μm程
度の薄い焼結体膜を用いたガスセンサの開発を行ってき
た。薄膜や膜厚数十μm以下の焼結体膜を用いたガスセ
ンサでは、充分な相対感度を得るには、高活性の触媒が
不可欠である。これは触媒でエタノール等の妨害ガスを
燃焼させて除去し、目的のイソブタンガスやメタンガス
あるいは一酸化炭素への相対感度を高めるためである。
バルク状のガスセンサや、膜厚100μm程度の厚膜ガ
スセンサでは、センサ内部でのガスの拡散距離が大きい
ため、活性の低い触媒でも触媒効果が大きくなる。これ
は触媒の効果が、拡散長と活性との積で表れるからであ
る。しかし薄膜や、膜厚20μm程度の焼結体膜では、
拡散長が短いため、触媒の効果は一般に小さくなる。こ
のため、充分な相対感度を得るのが困難となる。
【0004】拡散距離を大きくするため、ガスセンサ表
面を一部を残してガラス膜で被覆することが知られてい
る(例えば特開平2−263,147号)。しかしなが
らガラス膜で被覆することは、ガスセンサに必要な膜の
数を1枚多くする。膜の数が増すと、ガスセンサ特性の
ばらつきが増加する。またガラス膜を用いると、ガスセ
ンサを被毒する危険性がある。
【0005】発明者は貴金属触媒の添加方法と触媒活性
との関係を研究し、担体膜の形成後に触媒を有機貴金属
化合物として添加すると、高活性でガラス被覆膜が不要
なガスセンサが得られることを見い出した。
【0006】
【発明の課題】この発明の課題は、ガスセンサへの高活
性触媒の添加方法を開発することにある。
【0007】
【発明の構成】この発明は、担体に貴金属触媒を担持さ
せる工程を含んだガスセンサの製造方法において、有機
貴金属化合物を、担体の形成後に添加し、分解して貴金
属触媒とすることを特徴とする。
【0008】発明者の実験によると、担体膜の形成前に
触媒を添加すると、、即ち焼結体膜の場合粉体の段階で
触媒を添加すると、パラディウム塩化物の水溶液等の無
機錯体で添加しても、オクチル酸パラディウムのn−ブ
タノ−ル溶液等の有機貴金属化合物の有機溶液で添加し
ても、触媒活性に大差は見られない。即ち粉体の段階で
添加する場合、触媒の添加形態の影響は小さい。これに
対して、担体膜の形成後に添加すると、有機貴金属化合
物を用いることにより、高活性の触媒を得ることができ
る。ここに担体とは、SnO2等の金属酸化物半導体
や、γ−アルミナ等の絶縁物の双方を意味する。また担
体の形成後にとは、粉体の場合担体の焼結後を意味し、
薄膜の場合膜形成後を意味する。
【0009】有機貴金属化合物を用いた触媒の添加方法
は、高活性な触媒を必要とする、薄膜あるいは薄い焼結
体膜のガスセンサに特に有効である。焼結体膜ガスセン
サの中でも膜厚が薄い、例えば膜厚40μm以下のガス
センサに特に有効である。そして薄膜や薄い焼結体膜の
ガスセンサでは、有機貴金属化合物を用いて、担体膜の
成膜後に貴金属触媒を添加することにより、ガラス被覆
膜なしで、メタンやイソブタン、あるいは一酸化炭素へ
の充分な相対感度を得ることができる。有機貴金属化合
物を用いた触媒の添加法は、担体の膜厚が薄いほど重要
となり、膜厚40μm以下で特に重要で、膜厚30μm
以下で更に重要となる。なおここに担体の膜厚とは、金
属酸化物半導体膜にアルミナ膜等の担体を積層する場
合、アルミナ膜等の担体の膜厚をいい、金属酸化物半導
体膜に担体膜を積層せずに用いる場合、金属酸化物半導
体膜の膜厚をいう。
【0010】有機貴金属化合物としては、任意のものを
用いることができるが、好ましいものは疎水性(親油
性)の有機貴金属化合物である。これらの例としては、
貴金属のカルボン酸塩で炭素数3以上のものがある。代
表的な有機貴金属化合物は酢酸パラディウム等の酢酸塩
(炭素数2)であるが、酢酸塩は親水性で塩化パラディ
ウム等の無機塩との差が小さい。酢酸塩以外の貴金属カ
ルボン酸塩で工業的に利用し得るものの代表例は、オク
チル酸塩(炭素数8)や樹脂酸塩の代表成分であるアビ
エチン酸塩(炭素数20)である。カルボン酸塩以外の
有機貴金属化合物には、シクロオクタジエン化合物(例
えばPd(1,5−C8H12)2)、ホスフィン系化合物
(例えばPd(C2H)2(P(C2H5)3)2等がある
が、これらのものは不安定で扱い難い。これ以外に貴金
属のアルコラート等も利用し得る。
【0011】貴金属の種類は、Pdに限らず、Pt,R
h,Au,Re,Ru,Ir等のいずれでも良い。貴金
属のオクチル酸塩やアビエチン酸塩は親油性化合物で、
水に不溶、アセトンやエタノールに微溶で、ブタノ−ル
やキシレン、ベンゼン、トルエン、テレピン油、ひまし
油等に溶解する。即ちこれらの貴金属化合物は、通常は
疎水性化合物である。オクチル酸塩やアビエチン酸塩を
溶解させるには、低極性溶媒が有効で、好ましくはn−
プロパノール以下の極性の溶媒を用いる。溶媒は100
℃以上の沸点のものが扱い易く、特に好ましいものはn
−ブタノ−ルやキシレン、テレピン油、ひまし油であ
る。またガスセンサの種類は、金属酸化物半導体ガスセ
ンサの他に、接触燃焼式ガスセンサ等でも良い。
【0012】
【発明の効果】この発明では、高活性な貴金属触媒を得
ることができる。この結果、薄膜型や焼結体膜型のガス
センサではガラスコートを不要にできる。
【0013】
【実施例】ガスセンサの構造 図1,図2に実施例で用いたガスセンサの構造を示す。
各図において、2は金属酸化物半導体膜でここでは酸化
第2錫膜とし、4,4は金電極、6はフィルタ用の触媒
膜でここではγ−アルミナ担体を用いた。8は酸化ルテ
ニウムヒータ膜、10はアルミナ基板、12はガラスコ
ート絶縁膜(20μm厚)、14は断熱ガラス膜(80
μm厚)である。実施例では、ヒータ膜8からの熱を断
熱膜14で基板10と遮断して熱効率を高め、絶縁膜1
2を介して金属酸化物半導体膜2やフィルタ膜6に熱を
伝える。フィルタ膜6の担体は任意で、γ−アルミナと
酸化第2錫の混合物やシリカ,シリカ−アルミナ、ジル
コニア等の任意の貴金属触媒の担体を用い得る。また金
属酸化物半導体の種類も任意で、酸化第2錫の他に例え
ば酸化タングステン、酸化インジウム、酸化コバルト等
も用い得る。実施例では金属酸化物半導体ガスセンサを
示すが、これ以外に接触燃焼式ガスセンサでも良い。
【0014】図1のガスセンサは、金属酸化物半導体膜
2やフィルタ膜6を、一定温度に連続加熱してガスを検
出するためのものである。図2のガスセンサは、金属酸
化物半導体膜2をパルス的に短時間動作温度に加熱し、
他は室温付近に放置してガスを検出するためのものであ
る。このため膜厚は、図1のガスセンサの場合、金属酸
化物半導体膜2やフィルタ膜6をいずれも20μmと
し、図2のガスセンサでは金属酸化物半導体膜2の膜厚
を10μmとした。
【0015】ガスセンサの調製 塩化第2錫の水溶液にアンモニア水を滴下し、錫酸ゾル
を得た。得られた錫酸ゾルを半透膜で包んで蒸留水中で
熟成し、塩素イオンやアンモニウムイオンを除いた。次
いで錫酸ゾルを700℃で熱分解し、酸化第2錫粉体を
得た。得られた酸化第2錫粉体にオクチル酸パラディウ
ムのn−ブタノ−ル溶媒を含浸させ、金属パラディウム
換算で酸化第2錫に対し1.5wt%のパラディウムを
担持させ、150℃で乾燥後に600℃で熱分解した。
オクチル酸パラディウムは親油性の物質で水に不溶、エ
タノールやアセトンに微溶、プロパノール以下の極性の
有機溶媒に加溶である。ここでn−ブタノ−ルを溶媒と
したのは、沸点が100℃以上と高く、含浸工程と乾燥
工程との間に時間を置けるためである。類似の好ましい
溶媒には、例えばキシレン、テレピン油、ひまし油等が
ある。この段階で加えるパラディウムは加えなくても良
い。
【0016】γ−アルミナ粉体に塩化パラディウムの王
水溶液(以下単にパラディウムの王水溶液、あるいは塩
化パラディウム溶液という。)を含浸させ、150℃で
乾燥し、600℃で熱分解した。添加量は金属パラディ
ウム換算でアルミナに対し1.5wt%である。この段
階でのパラディウムも加えなくても良い。
【0017】これらの粉体に有機溶媒を加えてペースト
化し、図1,図2のガスセンサの形状に印刷し、700
℃で焼結した。焼結後のガスセンサに、オクチル酸パラ
ディウムのn−ブタノ−ル溶液やキシレン溶液を滴下
し、150℃で乾燥後に650℃で熱分解してパラディ
ウムを担持させた。担持させたパラディウムの濃度分布
を図1,図2に模式的に示す。図1のガスセンサの場
合、パラディウムはフィルタ膜6のみでなく、一部は酸
化錫膜2にも担持される。ブタノ−ル溶媒とキシレン溶
媒の差による特性の差は見い出せなかったので、以下に
はn−ブタノ−ル溶媒を用いた際の結果を示す。オクチ
ル酸パラディウムを用いたのは、試料の入手が容易なた
めで、プロピオン酸以上の炭素数のカルボン酸塩で有れ
ばほぼ同等の結果が得られる。オクチル酸塩以外の有機
貴金属化合物として安定で入手が容易なものには、アビ
エチン酸塩がある。触媒溶液の添加量は、担体膜(金属
酸化物半導体膜2やフィルタ膜6)に過剰の溶液がにじ
み出ずに吸収される量とし、添加量を一定に保つように
した。なお触媒溶液は、これ以外に例えば触媒溶液をペ
ースト化したものの印刷や、霧吹きで噴霧して添加して
も良い。貴金属にはパラディウムを用いたが、PtやR
h,Ir,Ru,Re,Au等でも良い。
【0018】測定法 図1のガスセンサの場合、金属酸化物半導体膜2やフィ
ルタ膜6を400℃に保ち、ガス中での抵抗値を測定し
た。図2のガスセンサでの測定条件を、図3に示す。毎
秒1回8mSec幅の動作パルスをヒータ膜8に加え、
0.8mSec毎に金属酸化物半導体膜2の抵抗値を測
定した。金属酸化物半導体膜2の温度は加熱パルスの終
了時に約450℃、加熱パルスを加える直前で約100
℃である。抵抗値のサンプリング番号は、加熱パルスの
直前が1、加熱パルスの終了時が11である。用いたガ
スは、濃度を示さない場合、CO1000ppm,H2
1000ppm,ETOH(エタノール)1000pp
m,iso−ブタン3000ppmである。ガス濃度特
性の測定ではこれ以外にメタンも測定ガスに用い、濃度
を変えて測定した。感度Sは、空気中での抵抗値とガス
中での抵抗値の比を示す。基準抵抗値R0に対する抵抗
値Rの比,R/R0はメタン1000ppm中の抵抗値
を基準抵抗値R0とし、これに対する各ガス中での抵抗
値Rの比を示す。これはメタン1000ppmを基準と
する相対感度である。
【0019】パラディウム添加時期の影響 図4は、図2のガスセンサを用い、酸化第2錫膜2の形
成前に、酸化錫粉体の段階でオクチル酸パラディウム/
n−ブタノ−ルを添加した際の特性である。添加量はP
d/SnO2で1.5wt%、横軸はパルス加熱時のサ
ンプリング番号を示す。図5は、同じガスセンサに対
し、Pd原料を塩化Pd溶液に変えた際の特性で、他の
調製条件は同一である。高活性な触媒では一般にエタノ
ール感度が低く、イソブタンやメタン感度が増加し、C
O感度がやや増すとの傾向がある。図4,図5の差異
は、図4でイソブタン感度がやや高い点であるが、差異
は小さい。このような傾向は類似の実験で繰り返し表
れ、焼結前の膜への添加では、有機貴金属溶液を用いる
のと塩化Pd溶液等の無機貴金属溶液を用いるのとの、
特性への影響は僅かであった。これらのことから発明者
は、粉体の段階で有機貴金属化合物を添加しても、触媒
活性の増加は小さいと判断した。
【0020】図6,図7は、いずれも図2のガスセンサ
にオクチル酸Pd/n−ブタノ−ル溶液でPdを添加し
たもので、図6では焼結後のSnO2膜2に滴下し、図
7ではSnO2粉体の段階で含浸させて添加した。添加
量はPd/SnO2で約1.5wt%である。図6では
iso−ブタン感度が水素感度よりも高くなり、また空
気中の抵抗値の挙動は図7と著しく異なる。これは図6
のガスセンサでは図7の場合よりも、高活性な触媒が得
られていることを示唆する。図4〜図7の結果に基づ
き、以下では焼結後の金属酸化物半導体膜2やフィルタ
膜6への、オクチル酸Pdの添加効果を検討した。
【0021】パラディウム添加形態の影響 金属酸化物半導体膜2やフィルタ膜6のいずれにも1.
5wt%のPdを添加した図1のガスセンサ(焼結済
み)に、更にPd触媒を滴下し、その効果を調べた。図
8は5wt%濃度のオクチル酸Pd溶液を滴下した場
合、図9は10wt%濃度のオクチル酸Pdを滴下した
場合、図10は3wt%濃度の塩化Pd溶液を5回滴下
した場合の結果である。一般に触媒活性が高い程メタン
への相対感度が増加するが、塩化Pdを用いた試料では
Pd添加量が最も多いのにもかかわらずメタンへの相対
感度は低い。これに対してオクチル酸Pdを用いるた試
料では(図8,図9)、メタンへの相対感度が高い。
【0022】図1のガスセンサからフィルタ膜6を除
き、金属酸化物半導体膜2の温度を400℃の一定値に
保って駆動した際の特性を図11〜図14に示す。金属
酸化物半導体膜2には粉体の段階で1.5wt%のPd
を添加し、焼結後に更にオクチル酸Pdを添加して影響
を調べた。図11は5wt%濃度のオクチル酸Pdを焼
結後に3回滴下した際の特性を、図12は11wt%濃
度のオクチル酸Pdを1回滴下した際の特性を示す。図
13は5wt%濃度の塩化Pd溶液を焼結後に1回滴下
した際の特性で、焼結後にはPdを添加しなかった図1
4の特性と変わらない。
【0023】図15は、図1のガスセンサでフィルタ膜
6を設けず、酸化錫膜2に1.5wt%のPd(塩化P
dで添加、添加量はPd/SnO2)を粉体の段階で添
加したガスセンサの特性を示す。図16は、図15のガ
スセンサに対し、1.5wt%のPd(塩化Pdで添
加、添加量はPd/アルミナ)を粉体の段階で添加した
フィルタ膜6を積層した、ガスセンサの特性を示す。図
17は、図16のガスセンサに、焼結後に10wt%濃
度のオクチル酸Pd溶液を1回滴下した、ガスセンサの
特性を示す。フィルタ膜6によりメタンの相対感度が増
し(図15,図16の比較)、オクチル酸Pdの滴下に
よりメタンへの相対感度は更に増して、メタンセンサと
して用い得る特性が得られる(図17)。
【0024】実施例の総括と補足 (1) オクチル酸Pd溶液でPdを添加しても、SnO2
粉体の段階で添加すると、特に高い触媒活性は得られな
い。この段階での添加では、塩化Pd溶液で添加するの
と特性の差は小さい。しかしSnO2膜2の焼結後にオ
クチル酸Pd溶液で添加すると、高い触媒活性が得られ
る(図4〜図7)。 (2) フィルタ膜6の焼結後にPdを添加すると、オク
チル酸Pd溶液による添加で高い触媒活性が得られ、塩
化Pd溶液による添加では触媒活性が低い(図8〜図1
0)。 (3) 図8〜図10の結果は、フィルタ膜6にオクチル
酸Pd溶液を滴下したもので、有機貴金属化合物溶液に
よる貴金属添加はフィルタ膜6に対しても有効である。 (4) SnO2膜2の焼結後にオクチル酸Pd溶液を加え
ると高い触媒活性が得られるが、塩化Pd溶液では触媒
活性が低い(図11〜図14)。 (5) SnO2膜2にフィルタ膜6を積層し、焼結後にオ
クチル酸Pd溶液を加えると、実用的なメタンセンサが
得られる(図15〜図17)。このため、ガラスコート
膜(特開平2−263,147号)なしで、メタンセン
サを実現できる。 (6) オクチル酸Pd溶液による添加は、既にPdを添
加済みの担体(実施例では1.5wt%のPdを担持さ
せたSnO2やγ−アルミナ担体)に対しても有効であ
る。通常の添加法では、触媒の効果は添加量を増すと飽
和し、1.5wt%もの触媒を添加した担体に更に触媒
を投与しても、触媒活性は増加しない。 (7) オクチル酸Pdは有機金属化合物の例であり、ア
ビエチン酸Pd等の他の有機貴金属化合物としても良
い。またPdに代え、Pt,Rh,Ir,Ru,Au等
でも良い。Pt等の場合も、同様にオクチル酸塩やアビ
エチン酸塩として添加すれば良い。オクチル酸Pd溶液
を用いたのは例であり、Pd以外の貴金属でも、あるい
はオクチル酸塩以外の有機化合物でも、同様の結果が得
られる。 (8) オクチル酸Pd溶液による触媒添加は、膜厚が薄
くガスセンサ内部でのガスの拡散距離を大きく取れない
ガスセンサで特に有効である。膜厚が大きな(例えば1
00μm程度の)ガスセンサでは、センサ内部でのガス
の拡散距離が長いため触媒活性の低い材料でも、相対感
度を調整できる。ここに相対感度の調整とは、エタノー
ル等の妨害ガスへの感度を抑制し、メタンやiso−ブ
タン、あるいはCO等の検出目標ガスへの相対感度を改
善することをいう。これに対して膜厚の小さなガスセン
サ(例えば金属酸化物半導体膜2,フィルタ膜6のそれ
ぞれについて膜厚40μm以下、より具体的には30μ
m以下)では、相対感度の調整には触媒活性を高める必
要がある。このようなガスセンサに対し、オクチル酸P
d溶液等による触媒添加は特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のガスセンサの要部断面図
【図2】 他の実施例のガスセンサの要部断面図
【図3】 実施例でのパルス加熱条件の特性図
【図4】 酸化錫粉体にオクチル酸パラディウムを添
加した従来例の特性図
【図5】 酸化錫粉体にパラディウムの王水溶液を添
加した従来例の特性図
【図6】 酸化錫膜の焼結後にオクチル酸パラディウ
ム溶液を添加した実施例の特性図
【図7】 酸化錫膜の焼結前にオクチル酸パラディウ
ムを溶液を添加した従来例の特性図
【図8】 酸化錫膜をアルミナ膜で被覆後に、5wt
%濃度のオクチル酸パラディウム溶液を添加した実施例
の特性図
【図9】 酸化錫膜をアルミナ膜で被覆後に、10w
t%濃度のオクチル酸パラディウム溶液を添加した実施
例の特性図
【図10】 酸化錫膜をアルミナ膜で被覆後に、3wt
%濃度のパラディウムの王水溶液を5回添加した従来例
の特性図
【図11】 酸化錫膜の焼結後に、11wt%濃度のオ
クチル酸パラディウム溶液を添加した実施例の特性図
【図12】 酸化錫膜の焼結後に、5wt%濃度のオク
チル酸パラディウム溶液を3回添加した実施例の特性図
【図13】 酸化錫膜の焼結後に、5wt%濃度のパラ
ディウムの王水溶液を添加した従来例の特性図
【図14】 酸化錫膜の焼結後、パラディウム無添加の
従来例の特性図
【図15】 酸化錫膜を用いた従来例の特性図
【図16】 酸化錫膜をアルミナ膜で被覆した従来例の
特性図
【図17】 酸化錫膜をアルミナ膜で被覆後に、10w
t%濃度のオクチル酸パラディウム溶液を添加した実施
例の特性図
【符号の説明】
2 金属酸化物半導体膜 4 金電極 6 フィルタ膜 8 酸化ルテニウムヒータ膜 10 アルミナ基板 12 ガラス絶縁膜 14 断熱ガラス膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村山 英美 箕面市船場西1丁目5番3号 フィガロ 技研株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−293501(JP,A) 特開 昭61−70449(JP,A) 特開 昭64−80845(JP,A) 特開 平1−197646(JP,A) 特開 昭59−99242(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/12 JICSTファイル(JOIS)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 担体に貴金属触媒を担持させる工程を含
    んだガスセンサの製造方法において、 有機貴金属化合物を、担体の形成後に添加し、分解して
    貴金属触媒とすることを特徴とする、ガスセンサの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 有機貴金属化合物を疎水性の貴金属カル
    ボン酸塩とし、低極性有機溶媒に溶解させて添加するこ
    とを特徴とする、請求項1に記載のガスセンサの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 貴金属カルボン酸塩を、オクチル酸また
    はアビエチン酸の貴金属塩とすることを特徴とする、請
    求項2に記載のガスセンサの製造方法。
  4. 【請求項4】 ガス検出用の金属酸化物半導体膜上に担
    体膜を積層した後、担体膜に有機貴金属化合物の溶液を
    接触させて、貴金属触媒を担体に担持させるガスセンサ
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 担体膜の膜厚を40μm以下としたこと
    を特徴とする、請求項4に記載のガスセンサの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 ヒータ膜上にガス検出用の金属酸化物半
    導体膜を形成した後、この金属酸化物半導体膜に有機貴
    金属化合物の溶液を接触させて、貴金属触媒を金属酸化
    物半導体膜に担持させる、ガスセンサの製造方法。
  7. 【請求項7】 金属酸化物半導体膜の膜厚を、40μm
    以下としたことを特徴とする、請求項6に記載のガスセ
    ンサの製造方法。
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WO2019008749A1 (ja) * 2017-07-07 2019-01-10 日本碍子株式会社 半導体式ガスセンサ

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