JP3084940U - 育苗用コンテナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本考案は発根した根が必要以上に伸びるのを防
止すると共に、より多くの根が発根し、しかも育根に望
ましい土壌条件を維持することができる育苗用コンテナ
を提供する。 【解決手段】コンテナ２は複数の育苗容器１０を、その
上端部で連結する上板２１によって一体形成されてい
る。個々の育苗容器１０は、縦方向の凸条１１が複数形
成されている。凸条１１は断面が角がはっきりと形成さ
れた四角形である。底面に当たる部分は、ほとんどが開
放部分１２である。育苗容器１０上端部周囲は、それぞ
れの育苗容器１０に向かって僅かに低くなるように形成
された傾斜面２０によって囲まれている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、育成地に移植するまでの草木の苗を育成するための育苗容器を複数 備えた育苗用コンテナに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

草花や樹木の苗を育成するにあたっては、播種の段階から本格的に育成地に移 植できるようになるまでの間は、ポットと呼ばれる軟質樹脂製の育苗用容器や紙 製などの腐食性のある容器で育成されることが一般的であった。これらは安価で あるが、移植後の容器が廃棄物となり、処理に問題がある。

【０００３】 このようなポットや容器では、植物の成長にしたがって根が伸びることにより 、何ら対策を講じないと根が容器周壁内面や底部周縁に沿って回転しながら成長 する「ルーピング」という現象が始まる。移植後の活着や育成状態においては次 に示すような問題が生じる。 （１）このルーピングを生じた苗は、移植後において活着するまでの時間がかか り、苗倒れなどの原因になる。 （２）ルーピングの結果、絡まった根同士が傷つけ合い、雑菌の根への侵入によ る根腐れ、枯死の原因になる。 （３）一部の根だけが長く伸びるため、それ以上の根が発根しにくい。 （４）根がポットや容器内で複雑に這い回るため、移植の際に苗が抜けにくくな る。 （５）根が複雑に絡まりあって、容器を形成するような状態となるため、下部に 水が溜まり、根腐れの原因となる。

【０００４】 したがって、上記のような問題を解決して、理想的な苗を育てるためには、次 のような条件下に置くことが望ましい。 （１）ルーピングを起こさせないように、根が這い回るのを阻止する手段を講じ る。 （２）容器の底部で根の成長を止め、その結果、新たな根を可能な限り多く発根 させるようにする。 （３）容器底部での水溜まりを解消し、常に新鮮な灌水による育苗床内の清浄化 を図る。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記の問題を解決すべくなされたもので、発根した根が必要以上に 伸びるのを防止すると共に、より多くの根が発根し、しかも育根に望ましい培地 条件を維持することができる育苗用コンテナを提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、内周面縦方向に凸条を備えた側壁を有すると共に、下端部に開放部 分が形成された筒状の育苗容器を複数備え、該育苗容器の上端部同士を連結する 上板が設けられ、前記育苗容器上端周囲の該上板の上面に、前記育苗容器に向か ってなだらかに低くなるような傾斜面を形成したものである。

【０００７】

【考案の実施の形態】

本考案の育苗用コンテナは、複数の育苗容器の上端部を上板で連結したもので あって、それぞれの育苗容器は、円筒または角筒に限定されることなく、側壁を 有する筒状で、下端部の底面に相当する部分に開放部分が形成されたものである 。この側壁内側には縦方向の複数の凸条が隔置して形成されており、これにより 、周方向で延びようとする根の成長を阻止するものである。特に、この凸条は、 その断面が角を有するように形成されているため、根の先端がこの角を越えるこ とができずに、凸条に沿って垂直に下降する。

【０００８】 また、容器の下端部のほとんどは開放されており、培地が落下しないように僅 かな枠が形成されているのみである。したがって、下方に成長してきた根は、こ の下端部で空気に触れるため、それ以上下方に成長することがない。

【０００９】 その結果として、育苗する植物は、更なる成長のために必要な根を新たに発根 させる。したがって、従来のようにルーピングを容認していた容器とは異なり、 短い根が放射状に、無数に成長した状態を形成する。そのため、上記で問題とな った根の絡まり現象はなくなり、根が傷ついたり、雑菌の繁殖などを未然に防止 できる。さらに、根がルーピングしていないため、移植後は根が直ちに放射状に 延びて活着が非常に早いため、苗倒などの心配がない。

【００１０】 また、根が絡み合ったことによる過剰保水が防止できるため、苗の健康状態が 飛躍的に向上し、外見上では得られない苗の良好な発育が得られる。

【００１１】 さらに、本考案のコンテナにおいては、個々の容器への灌水の水はけをよくす るために、上板上面が、それぞれの容器周辺で、その内側が低くなるようななだ らかな傾斜面が形成されている。

【００１２】

【実施例】

図１は、育苗用コンテナの斜視図であり、図２は個々の育苗容器の形態を示す 一部切り欠き斜視図である。

【００１３】 便宜上、それぞれの育苗容器の形状から説明する。 本実施例の育苗容器１は、下方が僅かに細くなった円筒形（逆円錐台形状）で あって、側壁内面には略垂直方向で、育苗容器１の下端から上端に至る凸条１１ が複数形成されている。この凸条１１は断面の角がはっきりと形成された四角形 をしている。

【００１４】 下端の底面に当たる部分には、底面部に培地を保持できる枠１３が形成されて いるだけで、ほとんどが開放部分１２となっている。

【００１５】 コンテナ２は、複数の育苗容器１０を、その上端部で連結する上板２１によっ て一体形成されたものである。個々の育苗容器１０は上記で説明した育苗容器１ と同形態のものであるが、その上端部周囲は、それぞれの育苗容器１０に向かっ てなだらかに低くなるように形成された傾斜面２０によって囲まれている。

【００１６】 したがって、このコンテナ２の上方から全体に灌水した場合においては、その 上板２１上面に水分は残存することなく、均等にそれぞれの育苗容器１０内へと 流れ込む。

【００１７】 このコンテナ２により育苗を行うに当たっては、それぞれの育苗容器１０内の 枠１３（図２参照）によって保持できるような培地を入れ、育苗容器１０内部が 外気と遮断されないようにして、播種または差し穂もしくは幼苗を植え付ける。 苗が成長するにしたがって、その根はやがて下端の開放部分１２に至ってその成 長をやめ、苗は新たな発根を促進することとなる。

【００１８】

【考案の効果】

本考案は、上記のように構成したので、育苗容器内での根のルーピングが完全 に阻止されることにより、下記に示す効果を得られる。 （１）新たな発根が促進され、非常に根の多い丈夫な苗を育てることができる。 （２）根同士の絡まりなどがなく、根が痛まず、病気や雑菌の繁殖が防げる。 （３）容器下端部での余分な水分の残留がなく、根腐れを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】育苗用コンテナの斜視図である。

【図２】個々の育苗容器の形態を示す一部切り欠き斜視
図である。

【符号の説明】

１・・・・・・・・・育苗容器 １１・・・・・・・凸条 １２・・・・・・・開放部分 １３・・・・・・・枠 ２・・・・・・・・・コンテナ １０・・・・・・育苗容器 ２１・・・・・・・上板 ２０・・・・・・・傾斜面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内周面縦方向に凸条を備えた側壁を有す
   ると共に、下端部に開放部分が形成された筒状の育苗容
   器を複数備え、該育苗容器の上端部同士を連結する上板
   が設けられ、前記育苗容器上端周囲の該上板の上面に、
   前記育苗容器に向かってなだらかに低くなるような傾斜
   面を形成したことを特徴とする育苗用コンテナ。