JP3084774U - 茶の葉に混入した鉄の除去装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製茶工程で、茶の葉に混入している鉄の除去
は、その除去作業が、これまで、殆ど機械化されていな
いのが実情で、手作業で、茶の葉の中から、目で見なが
ら、一つ一つの鉄を探し出して除去するので、時間と手
間を費やし、かつ、除去精度も低かった。 【解決手段】 この考案による茶の葉に混入した鉄の除
去装置は、茶の葉を移送するコンベヤに、永久磁石と鉄
板を、重ね合わせて収められているケースを、取り付け
て、コンベヤによって移送されてくる茶の葉の中から、
鉄を吸引して除去する構成となっている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、茶の葉の製造工程において、茶の葉に混入した鉄を除去する装置 に関する。

【０００２】

【従来の技術】

これまで、製茶の工程において、茶の葉への混入物の除去は、その作業が、殆 ど機械化されていないのが現状で、それは、主として、手作業で、一つ一つの鉄 を、目で探し出して除去することが多く、長い時間と手間を費やした。 また、近年には、茶の総合仕上機で、茶の葉の落下してくる位置に、棒状の磁 石を突き出して、茶の葉に混入している鉄を吸い取る方法、或いは、茶の茎など を選別する選別機の、スノコの部分に、磁石を組み込んだものなどがあった。

【０００３】

【考案の解決しようとする課題】

従来のものは、手作業では、見落としがあったり、時間と手間がかかって、能 率が悪く、棒状の磁石では、面的な吸引が不十分であったり、或いは、茎の選別 と同時に行う場合、微細な鉄の、高い精度の吸引には難があった。 茶の葉への鉄の混入は、機械による茶摘の際に、釘、針金等が、茶刈袋の中へ 混入する場合に多く見られるが、その他の原因としては、製茶工程における従業 員に起因するもの、製茶機械の清掃が不十分であるとき、或いは、機械の屑や、 留め付け部品の外れたもの等が、混入したものと考えられる。 この考案による茶の葉に混入した鉄の除去装置は、茶の製造工程のうち、鉄を 効率よく除去できる箇所に取り付けて、従来のものに増して、機械での的確な鉄 の選別方法で、混入した鉄を除去し、安全な飲料であるお茶を確保するために、 この考案による茶の葉に混入した鉄の除去装置を提供しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

永久磁石（１）と、鉄板（２）とが、重ね合わせて収められている非磁性体の ケース（３）を、このケース（３）の両端に設けられた、非磁性体の取り付け具 （４）によって、ケース（３）の中の、永久磁石（１）の側が、移送されてくる 茶の葉に面して位置するように、茶の葉を移送するコンベヤ（５）に取り付ける 。 また、非磁性体のケース（３）の中に、複数の永久磁石（１）が間隙をおいて 並べられ、鉄板（２）と重ね合わせて収められているものもある。 ケース（３）のコンベヤ（５）への取り付け具（４）は非磁性体で、ケース（ ３）の両端に、それぞれ、板（６）が取り付けられ、この板（６）には、任意数 の係止穴（７）が、開けられている。 非磁性体の取り付け具（４）は、この他に、ケース（３）の両端の部分から、 それぞれ、同一方向へ伸びた腕木（８）が、コンベヤ（５）への取り付け部分で 、折り曲げられ、この部分には、係止穴（７）が、開けられているものがある。 以上のような構成である。

【０００５】

【考案の実施の形態】

この考案による茶の葉に混入した鉄の除去装置の、実施の形態の一つについて 、説明する。 この考案による茶の葉に混入した鉄の除去装置は、永久磁石（１）と、鉄板（ ２）とが、重ね合わせられて、組み込まれているケース（３）を、茶の製造工程 で、茶の葉を移送するコンベヤ（５）に取り付けて、流れてくる茶の葉に混入し ている鉄を、永久磁石の吸引力で、吸着して、取り除く装置である。 それは、非磁性体で作られたケース（３）に、永久磁石（１）と、鉄板（２） とが、重ね合わされて、収められている。 このケース（３）の両端には、コンベヤ（５）へ、ケース（３）を取り付ける ための、非磁性体の取り付け具（４）が、設けられている。 永久磁石は、１枚の磁石を使用するときと、複数の永久磁石を、間隙をおいて 並べて使用するときとがある。 この場合、永久磁石（１）と永久磁石（１）の間隙には、永久磁石の相互のズ レを防ぐため鉄類を挟み込んで支えることもある。 永久磁石（１）は、一般的には、燒結磁石と呼ばれるフェライト磁石を使用す る。 特に、複数の磁石を並べて使用するときは、磁石の列の中央部分に、強力なネ オジウム磁石を使用する。 また、ネオジウム磁石のみを使用することもある。 永久磁石（１）と、重ね合わせる鉄板（２）は、磁性を有して、永久磁石（１ ）の吸着力を増幅するヨーク、即ち、継鉄の役目をする。 ケース（３）及び取り付け具（４）の材質は、非磁性体であって、ステンレス スチール、アルミニウム、合成樹脂、木材等が用いられる。

【０００６】 ケース（３）及び取り付け具（４）に、非磁性体の材質のものを使用する理由 は、磁性体の鉄製の場合、永久磁石（１）の磁力が、ケース（３）及び取り付け 具（４）に、取り上げられて、分散し、磁石の吸引力が、十分に発揮できなくな るので、磁力を吸引する恐れのない、非磁性体を使用する。 また、ボルト締め用の、ボルト（１０）なども、非磁性体のものを使用する。 ケース（３）を、コンベヤ（５）に取り付けるために、ケース（３）に設けら れている取り付け具（４）は、コンベヤ（５）への取り付ける箇所の状況に、適 応するものを使用する。 コンベヤ（５）の途中に取り付けるものは、ケース（３）の両端に、それぞれ 、板（６）が取り付けられ、この板（６）に、任意数の係止穴（７）が開けられ ている。 この係止穴（７）で、コンベヤ（５）の壁に開けられた穴をボルト（１０）で 締めて、ケース（３）をコンベヤ（５）に取り付ける。 この係止穴（７）は任意数で、取り付ける場所の状況に応じ、穴の位置を替え てボルト締めをする。 また、コンベヤ（５）から、茶の葉が、落ちてくるところに、取り付けるもの の一つには、ケースの両端から、それぞれ、同一方向に伸びる、腕木（８）のコ ンベヤ（５）への取り付け部分で、腕木（８）が、折り曲げられ、任意数の係止 穴（７）が開けられている。 この部分で、コンベヤ（５）の底面に穴を開け、これに腕木（８）の係止穴（ ７）からボルト締めをする。 もう一つのものは、コンベヤ（５）から、茶の葉が、落ちてくるところに、ケ ース（３）の両端から、それぞれ、斜めに立ち上がった板（６）を、コンベヤ（ ５）の側壁に、ボルト締めをする。

【０００７】 次に、この茶の葉に混入した鉄の除去装置を、コンベヤ（５）へ、取り付ける 方法について、説明する。 この装置をコンベヤ（５）へ取り付ける箇所は、鉄が、茶の製造工程の途中で 、茶の葉に、混入する恐れがあること、及び、茶の葉が、まだ、水分を含んでい る段階の工程では、茶の葉に、付着した鉄の、選別分離が、難しいことを勘案し て、製茶の最終段階に入った、精揉機から茶の葉が出て、直ぐの所にあるコンベ ヤ（５）か、或いは、乾燥機から茶の葉が出て、コンベヤ（５）で送られて、最 後に、茶の葉が、落下する地点に、取り付ける。 この場合、どちらかの１箇所に、取り付けても、また、必要に応じ、両方の箇 所に取り付けてもよい。 また、このほか、この装置を、効果的に活用できる場所であれば、精揉機、乾 燥機のほか、製茶の工程の、他の部分にある機械のコンベヤ（５）に、取り付け ることもできる。 この茶の葉に混入した鉄の除去装置は、コンベヤ（５）の途中に、取り付ける 場合、コンベヤ（５）の材質が、非磁性体の場合と、磁性体の場合とによって、 その取り付け方法が異なる。 コンベヤ（５）が、アルミニウム、ステンレススチールなどの、非磁性体によ って作られているときは、この装置の永久磁石（１）の磁力が、分散して弱まる ことがないので、この装置の鉄板（２）と重ねられた永久磁石（１）の側が、コ ンベヤ（５）の直下に面して、置かれるように、コンベヤ（５）の下部に、この 装置を密接して、ケース（３）が、コンベヤ（５）に、捲着状態になるように、 取り付け具（４）によって、取り付ける。 コンベヤ（５）は、茶の葉を、移送するために、前送りの振動を、茶の葉に、 与える。 コンベヤ（５）によって、送られてくる茶の葉の中から、混入している鉄を、 コンベヤ（５）を透過する磁力によって、コンベヤ（５）の床面に吸着する。 次に、コンベヤ（５）が、鉄などの磁性体によって作られているときは、コン ベヤ（５）の下に、磁石を接近させると、この装置の永久磁石（１）の磁力が、 コンベヤ（５）に分散して、落ちるので、この場合は、この装置の永久磁石（１ ）が、コンベヤ（５）の上方にあって、茶の葉の移送を妨げない空間を置いて、 永久磁石（１）の側が、コンベヤ（５）の床面に、面して位置するように、コン ベヤ（５）の側壁の内壁に、この装置のケース（３）を嵌め込んで、取り付け具 （４）によって、取り付ける。 この場合、この装置の永久磁石（１）の側が、コンベヤ（５）の床面に、面し て位置することを前提として、ケース（３）が、取り付け具（４）によって、コ ンベヤ（５）の内壁に、吊り下げた状態で取り付けられる場合、或いは、コンベ ヤ（５）の床に、立設された状態で取り付けられる場合がある。 コンベヤ（５）によって、送られてくる茶の葉の中から、混入している鉄を、 永久磁石（１）が、吸引して、ケース（３）の表面に吸着する。

【０００８】 コンベヤ（５）から、茶の葉が落下する地点に、この茶の葉に混入した鉄の除 去装置を取り付ける場合は、コンベヤ（５）の端末に接して、ケース（３）を、 下方に傾斜して、設置し、取り付け具（４）の、それぞれの、腕木（８）の折れ 曲がった部分（９）を、コンベヤ（５）の底面に取り付ける。 また、他の取り付け方法としては、コンベヤ（５）の端末に接して、ケース（ ３）を、下方に傾斜して、設置し、ケース（３）の両端に、それぞれ、斜めに取 り付けられている板（６）を、コンベヤ（５）の側壁の外側に、取り付けるもの がある。 これらの場合、ケース（３）の中の、永久磁石（１）の側は、茶の葉に向かっ て面していて、落下してくる茶の葉に、混入している鉄を、永久磁石（１）が吸 引して、ケース（３）の表面に吸着する。 以上のように、コンベヤ（５）の床、ケース（３）の表面に吸着され鉄は、粘 着テープなどで吸い取って除去する。 この茶の葉に混入した鉄の除去装置の試験結果については、次のような報告が されている。 この装置を取り付けた製茶機械の、コンベヤの床面やケースの表面に、針金、 ビス、釘、砂鉄その他の鉄類が、吸い付いて遊離することはなかった。 また、茶の葉と、鉄とは、完全に分離し、全体的な鉄の除去率は、９５パーセ ント以上であった。

【０００９】

【考案の効果】

この考案による茶の葉に混入した鉄の除去装置は、ヨークの組み込まれた強力 な永久磁石の吸引力により、機械的に、的確に鉄類を除去するため、手間が省け 、かつ、食品衛生の面からも、安全な飲料としてのお茶を提供することができる 。

【図面の簡単な説明】

【図１】茶の葉に混入した鉄の除去装置の一つを示す図
である。

【図２】図１のＡ−Ａ線の拡大断面図である。

【図３】この装置をコンベヤに取り付けた状態を示す図
である。

【図４】この装置をコンベヤに取り付けた状態を示す図
である。

【図５】この装置をコンベヤに取り付けた状態を示す左
側面図である。

【符号の説明】

１ 永久磁石 ２ 鉄板 ３ ケース ４ 取り付け具 ５ コンベヤ ６ 板 ７ 係止穴 ８ 腕木 ９ 折り曲がった部分 １０ ボルト １１ コンベヤの断面 １２ コンベヤの側面

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 永久磁石（１）と、鉄板（２）とが、重
   ね合わせて収められている非磁性体のケース（３）を、
   このケース（３）の両端に設けられた非磁性体の取り付
   け具（４）によって、永久磁石（１）の側が、茶の葉に
   面するように、茶の葉を移送するコンベヤ（５）に、取
   り付けたことを特徴とする茶の葉に混入した鉄の除去装
   置。
2. 【請求項２】 非磁性体のケース（３）に、複数の永久
   磁石（１）が、間隙を置いて並べられて、鉄板（２）と
   重ね合わせて収められている請求項１に記載の茶の葉に
   混入した鉄の除去装置。
3. 【請求項３】 ケース（３）の、非磁性体の取り付け具
   （４）が、ケース（３）の両端に、それぞれ、取り付け
   られた板（６）に、任意数の係止穴（７）が開けられて
   いる請求項１及び請求項２に記載の茶の葉に混入した鉄
   の除去装置。
4. 【請求項４】 ケース（３）の、非磁性体の取り付け具
   （４）が、ケース（３）の両端の部分から、それぞれ、
   同一方向へ伸びる腕木（８）が、コンベヤ（５）へ取り
   付けた部分で、折り曲げられ、これに、任意数の係止穴
   （７）が開けられている請求項１及び請求項２に記載の
   茶の葉に混入した鉄の除去装置。