JP3084646B2 - 硬貨払い出し装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】この発明は、コインチューブ内に
積載収容された硬貨を払い出す硬貨払い出し装置に関す
る。

【従来の技術】一般に、自動販売機、両替機、サービス
機器等には投入硬貨の正偽を判別し、正貨のみを金種別
に選別収容する硬貨処理装置が装着されており、この硬
貨処理装置内には選別収容した硬貨を釣銭の金額に応じ
て払い出す硬貨払い出し装置が装着されている。図６は
上述した従来の硬貨払い出し装置（以下単に装置とい
う）１を示す要部概念断面図である。この装置１は、金
種別に硬貨を収容した複数のチューブからなるコインチ
ューブ２と、このコインチューブ２の下面に形成された
硬貨排出孔２ａを開閉すべく、図の左右方向へスライド
するペイアウトスライド３と、このペイアウトスライド
３をその下面から支承するコインベース４とから構成さ
れている。このうち、ペイアウトスライド３には、図６
の初期位置に移動した際にコインチューブ２内に積載収
容された硬貨のうちの最下部に位置する硬貨Ａのみを収
容する硬貨収容孔３ａが形成されている。一方、コイン
ベース４には、コインチューブ２に形成された孔２ａの
中心位置Ｍよりも若干右側へ寄った位置に外径４ａが位
置する円弧形状の切り欠４ｂが形成されている。またこ
の切り欠４ｂと装置１の前壁５との間に硬貨Ａよりも径
の大きい硬貨払い出し孔Ｂが形成されている。なお図６
で符号６は装置１の後壁であり、装置１の下部に配設さ
れたシュート７と後壁６との間に硬貨排出孔Ｃが形成さ
れている。このような装置１によると、図示せぬモータ
及びペイアウトカム等からなる駆動手段により、ペイア
ウトスライド３が硬貨払い出し時に図６で示す初期位置
から図７で示す払い出し位置へスライドすると、ペイア
ウトスライド３の硬貨収容孔３ａ全体が硬貨払い出し孔
Ｂの上面に位置することとなるので、ペイアウトスライ
ド３の硬貨収容孔３ａ内に収容された一枚の硬貨Ａは矢
印の如く硬貨収容孔３ａ内から硬貨払い出し孔Ｂ内に自
然落下し、さらに硬貨排出孔Ｃを介して装置１の外部に
払い出される。このような一連の硬貨払い出し作業が終
了すると、ペイアウトスライド３は、図示せぬ駆動手段
により図６の初期位置にスライド復帰し、次の硬貨Ａを
硬貨収容孔３ｃ内に収容して、次の硬貨を払い出す待機
状態となる。

【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、歩道
等の道路上にはみだして自動販売機等の機器が設置され
ることのないよう、このような機器に対してその奥行き
方向の薄型化が求められており、これに従ってその内部
に設置される硬貨処理装置に対してもその奥行き方向に
対する薄型化が強く求められている。一方、硬貨処理装
置の薄型化を図るためには、その内部に配設される硬貨
払い出し装置の薄型化を達成することが必要で、そのた
め図６で示すように単純にコインチューブ２の背面２ｂ
と装置１の後壁６との間の距離Ｌを短くすべく、図８で
示すようにペイアウトスライド３の後端部３ｂの長さＳ
を短くしたものが考えられる。しかし、この図８の如
く、ペイアウトスライド３の後端部３ｂの長さＳを短く
した装置１では、以下のような問題点が生じた。つま
り、硬貨払出し時において、ペイアウトスライド３の後
端部３ｂは、図７で示すようにペイアウトスライド３が
硬貨を払い出すべく図面の右側へ移動した際に、コイン
チューブ２内の最下部に収容された硬貨Ａの下面を支
え、これによりコインチューブ２内の最下部に収容され
た硬貨Ａの姿勢を常にコインベース４に対し平行に維持
するための機能を有しているが、この後端部３ｂの長さ
Ｓを図８で示すように短く設定すると、図９で示すよう
に、硬貨払出し時にペイアウトスライド３が図面の右側
へ移動すると、コインチューブ２内の最下部に収容され
た硬貨Ａの姿勢が図示の如く矢印方向へ傾斜して姿勢を
変えてしまう。このため図１０で示すように、ペイアウ
トスライド３が初期位置に復帰すべく矢印の方向（図面
の左側方向）へスライドすると、コインチューブ２内で
傾斜した姿勢の硬貨Ａがコインチューブ２の下面２ｃと
コインベース４との間に挾まって詰まり、ペイアウトス
ライド３の移動をロックさせて装置１そのものの機能を
停止させてしまう欠点が生じた。なお、このような傾向
はコインチューブ２内に積載収容された硬貨Ａの枚数が
少ないと一層顕著となる。なお、上述した問題点を解決
するため、従来では実開昭５８−９０４６２号に開示さ
れているように、硬貨の払出し時に、一本のアームを硬
貨排出孔内に侵入させて当該硬貨排出孔の一部を覆い、
これによりコインチューブ内の最下部にある硬貨の下面
を、この一本のアームで支えるようにしたものも開示さ
れているが、この実開昭５８−９０４６２号に開示され
たものは、硬貨の下面を単に一本のアームで支えるだけ
であるため、その硬貨の支え構造が極めて不安定であ
り、そのため支える硬貨の姿勢が変化して傾斜し易く、
硬貨が傾斜すると当該傾斜した硬貨によりペイアウアト
スライドの移動がロックし、安定した硬貨払出し機能を
維持することができなくなる虞がある。この発明は、上
述した事情に鑑み、安定した硬貨払出し機能を維持しつ
つ薄型化を図った硬貨払出し装置を提供することを目的
とする。

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ため、この発明では、コインチューブ下面に形成された
硬貨排出孔を開閉するペイアウトスライドを有し、該ペ
イアウトスライドにより前記硬貨排出孔から落下する硬
貨を一枚ずつ払い出すようにした硬貨払い出し装置にお
いて、前記コインチューブ下面に形成された硬貨排出孔
の周縁に、平面略ハの字形状に一対のアームを対称に配
設するとともに、該一対のアームをリンク機構を介して
前記ペイアウトスライドに連結し、該ペイアウトスライ
ドが硬貨を払出すべく初期位置から一方向へ移動した際
に、前記リンク機構を介し前記ペイアウトスライドの動
きに従動させて前記対称な位置にある一対のアームを、
その対称姿勢を維持しつつ前記硬貨排出孔内に侵入させ
て前記硬貨排出孔の一部を覆い、また前記ペイアウトス
ライドが初期位置に復帰すべく他方向へ移動した際に、
前記リンク機構を介し前記ペイアウトスライドの動きに
従動して前記対称な位置にある一対のアームを、その対
称姿勢を維持しつつ前記硬貨排出孔内から退避させるよ
うにしている。

【実施例】以下この発明に係わる硬貨払い出し装置の一
実施例を詳述する。図１は、この発明に係わる硬貨払い
出し装置（以下単に装置という）１０の要部破断面図で
ある。この装置１０は、従来と同様に金種別に硬貨を積
載収容した複数のチューブからなるコインチューブ１１
を具備しており、このコインチューブ１１の下面にはそ
の内部に積載収容された硬貨Ａを排出すべく硬貨排出孔
１１ａが形成されている。またこの硬貨排出孔１１ａ下
面には当該硬貨排出孔１１ａを開閉すべく、図の左右方
向へスライド可能にペイアウトスライド１２が配設さ
れ、このペイアウトスライド１２には、図１の初期位置
に移動した際にコインチューブ１１内に積載収容された
硬貨のうち最下部に位置する硬貨Ａのみを収容する硬貨
収容孔１２ａが形成されている。なお、上述したペイア
ウトスライド１２も従来と同様に図示せぬモータ及びペ
イアウトカム等からなる駆動手段により硬貨払い出し時
に図面の左右方向へスライド駆動される。一方、このペ
イアウトスライド１２の下面には、硬貨収容孔１２ａ内
に収容された硬貨Ａがそのまま下方へ落下しないよう、
硬貨収容孔１２ａ内に収容された硬貨Ａの下面を一時支
えるコインベース１３が配設されている。また、このコ
インベース１３の先端には、硬貨排出孔１１ａの中心位
置Ｍよりも若干右側へ寄った位置に外径１４ａを有する
円弧形状の切り欠１４が形成されている。またこの切り
欠１４と装置１０の前壁１５との間には硬貨Ａよりも径
の大きい硬貨払い出し孔Ｂが形成されている。なお図１
で符号１６は装置１０の筐体を構成する後壁であり、こ
の後壁１６と装置１０の下部に配設されたシュート７と
の間には硬貨排出孔Ｃが形成されている。一方、上述し
たペイアウトスライド１２の後端１２ｂとコインベース
１３の後端１３ｂとの間には図１のＤＤ断面で示す図２
のように、サブスライド２０が配設されている。このサ
ブスライド２０は一対のアーム２１から構成されてお
り、この一対のアーム２１は、コインチューブ１１下面
に形成された硬貨排出孔１１ａ（図１）の周縁に、平面
略ハの字形状に対称に配設され、また当該一対のアーム
２１の先端２１ａとペイアウトスライド１２およびコイ
ンベース１３の各後端１２ｂ、１３ｂとの間に配設され
たリンク機構３０によりペイアウトスライド１２に連動
して駆動される。一方、サブスライド２０を構成する対
称な一対のアーム２１は、コインベース１３に植設され
た軸２２を中心に回動自在に支承されており、またこの
一対のアーム２１の一側面２１ｂ、即ち硬貨収容孔１２
ａ側は、当該硬貨収容孔１２ａに沿ってペイアウトスラ
イド１２の上面に形成された円弧形状の段部１２ｃと同
様に、当該円弧形状の段部１２ｃに沿って円弧形状に形
成されている。従って上述したサブスライド２０を構成
する対称な一対のアーム２１が図２の初期位置に至る
と、当該一対のアーム２１はペイアウトスライド１２の
円弧形段部１２ｃ内に収納され、コインチューブ１１の
硬貨排出孔１１ａを覆うことはない。一方、対称な一対
のアーム２１の各先端２１ａとペイアウトスライド１２
およびコインベース１３の各後端１２ｂ、１３ｂとの間
に配設されたリンク機構３０は、図２のＥＥ拡大断面で
示す図３のようにアーム２１の先端２１ａに突設された
ガイドピン３１と、ペイアウトスライド１２に形成され
た長孔１２ｄと、コインベース１３の上面に形成された
対向する一対の円弧形状の溝１３ｃとから構成されてい
る。このガイドピン３１は、当該ガイドピン３１の動き
を規制するペイアウトスライド１２に形成された長孔１
２ｄ（図５）を嵌挿し、さらに下端３１ａはコインベー
ス１３の上面に形成された対向する一対の円弧形状の溝
１３ｃ（図２）内に嵌挿している。なお、図３で示すよ
うに一対のアーム２１の上面２１ｂとペイアウトスライ
ド１２の上面１２ｄとは同一平面上（面一）となるよう
に形成されている。次に、上述したサブスライド２０の
動作を説明する。図示せぬモータ及びペイアウトカム等
からなる駆動手段により、硬貨払い出し時にペイアウト
スライド１２が図１で示す初期位置から図４で示す払い
出し位置にスライドすると、ペイアウトスライド１２の
硬貨収容孔１２ａ全体が硬貨払い出し孔Ｂの上面に位置
することとなるので、硬貨収容孔１２ａ内に収容された
一枚の硬貨Ａは矢印の如く硬貨収容孔１２ａ内から硬貨
払い出し孔Ｂ内に自然落下し、さらに硬貨排出孔Ｃを介
して装置１の外部に払い出される。一方、ペイアウトス
ライド１２が図１で示す初期位置から図４で示す払い出
し位置へスライドすると、図４のＦＦ断面で示す図５の
ようにペイアウトスライド１２の長孔１２ｄと係合する
ガイドピン３１により、サブスライド２０の対称な一対
のアーム２１は当該ペイアウトスライド１２の動きに連
動して図面の右方向へ移動するが、ガイドピン３１はコ
インベース１３に形成された一対の円弧形状の溝１３ｃ
にも係合しているので、この対称な一対のアーム２１は
一対の円弧形状の溝１３ｃに沿って軸２２を中心に矢印
の如く互いに同位相で逆方向に回転し、対称な位置にあ
る一対のアーム２１が、その対称姿勢を維持しつつ硬貨
排出孔１１ａ内に侵入して当該硬貨排出孔１１ａの一部
を覆う。このように、硬貨払い出し時に、対称な位置に
ある平面ハの字形状の一対のアーム２１がその対称姿勢
を維持しつつ硬貨排出孔１１ａ内に侵入してコインチュ
ーブ１１の硬貨排出孔１１ａの一部を覆うと、図４で示
すように平面ハの字形状の一対のアーム２１によりコイ
ンチューブ１１内の最下部に収容された硬貨Ａの姿勢が
傾斜することなく安定した姿勢で支えられることとな
る。よって、コインチューブ１１内の最下部に収容され
た硬貨Ａは、平面ハの字形状の対称な姿勢を維持しつつ
侵入する一対のアーム２１によりその下面が安定して状
態で支えられるので、硬貨Ａはコインチューブ１１内で
傾斜し、その姿勢を変えることがなく、このためペイア
ウトスライド１２が図１で示すように初期位置に復帰す
る際に、傾斜した硬貨によりペイアウトスライド１２の
移動がロックされるということはない。従って、上述し
た硬貨払い出し装置１０によると、サブスライド２０が
硬貨払い出し時におけるコインチューブ１１内に残され
た硬貨の姿勢傾斜を防止するので、ペイアウトスライド
１２がコインチューブ１１内の最下部に収容された硬貨
の姿勢を常に平行に維持するためにその長さを長く設定
する必要がなく、このため図４で示すようにペイアウト
スライド１２の長さＳを最大限短く設定して、コインチ
ューブ１１の背面１１ｂと装置１０の後壁１６との間の
距離Ｌ´を極めて短く設定し、これにより装置１０の奥
行き方向の厚さＮを可及的に薄く形成することが可能と
なる。

【発明の効果】以上説明したように、この発明の硬貨払
い出し装置によると、ペイアウトスライドが硬貨を払出
すべく一方向へ移動する際に、対称な位置にある平面略
ハの字形状の一対のアームが、その対称姿勢を維持しつ
つ前記硬貨排出孔内に侵入して硬貨排出孔の一部を覆う
ので、コインチューブ内に残された硬貨の下面が、平面
略ハの字形状の対称姿勢を維持しつつ侵入する一対のア
ームにより安定して支えられ、このためコインチューブ
内に残された硬貨の姿勢傾斜を可及的に防止して安定し
た硬貨の払出し機能を維持することができるとともに、
ペイアウトスライドがコインチューブ内の最下部に収容
された硬貨の姿勢を常に平行に維持するために後端部の
長さを長く設定する必要がなく、このためペイアウトス
ライド全体の長さを最大限短く設定して、硬貨払い出し
装置を可及的に薄く形成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１はこの発明に係わる硬貨払い出し装置の概
念断面図。

【図２】図２は図１のＤＤ断面図。

【図３】図３は図２のＥＥ拡大断面図。

【図４】図４はこの発明に係わる硬貨払い出し装置の動
作を示す概念断面図。

【図５】図５は図４のＦＦ断面図。

【図６】図６は従来の硬貨払い出し装置の概念断面図。

【図７】図７は従来の硬貨払い出し装置の動作を示す概
念断面図。

【図８】図８は他の従来の硬貨払い出し装置を示す概念
断面図。

【図９】図９は従来の硬貨払い出し装置の動作を示す概
念断面図。

【図１０】図１０は従来の硬貨払い出し装置の動作を示
す概念断面図。

【符号の説明】

１０…硬貨払い出し装置 １１…コインチューブ １１ａ…硬貨排出孔 １２…ペイアウトスライド ２１…アーム ３０…リンク機構３０

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】コインチューブ下面に形成された硬貨排出
   孔を開閉するペイアウトスライドを有し、該ペイアウト
   スライドにより前記硬貨排出孔から落下する硬貨を一枚
   ずつ払い出すようにした硬貨払い出し装置において、 前記コインチューブ下面に形成された硬貨排出孔の周縁
   に、平面略ハの字形状に一対のアームを対称に配設する
   とともに、該一対のアームをリンク機構を介して前記ペ
   イアウトスライドに連結し、 該ペイアウトスライドが硬貨を払出すべく初期位置から
   一方向へ移動した際に、前記リンク機構を介し前記ペイ
   アウトスライドの動きに従動させて前記対称な位置にあ
   る一対のアームを、その対称姿勢を維持しつつ前記硬貨
   排出孔内に侵入させて前記硬貨排出孔の一部を覆い、 また前記ペイアウトスライドが初期位置に復帰すべく他
   方向へ移動した際に、前記リンク機構を介し前記ペイア
   ウトスライドの動きに従動して前記対称な位置にある一
   対のアームを、その対称姿勢を維持しつつ前記硬貨排出
   孔内から退避させるようにしたことを特徴とする硬貨払
   い出し装置。