JP3083480B2 - 電解式水蒸発冷却装置 - Google Patents

電解式水蒸発冷却装置

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JP3083480B2 JP08140447A JP14044796A JP3083480B2 JP 3083480 B2 JP3083480 B2 JP 3083480B2 JP 08140447 A JP08140447 A JP 08140447A JP 14044796 A JP14044796 A JP 14044796A JP 3083480 B2 JP3083480 B2 JP 3083480B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器や電力機
器に搭載されるLSIを中心とした電子部品を実装した
電子基板やコンピュータ記憶装置、等に適用できる冷却
装置に関し、特に電子部品やコンピュータ記憶装置の最
高使用温度以上の環境下に設置しても正常動作できる電
解式水蒸発冷却装置装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子機器や電力機器に搭載される
LSIを中心とした電子部品を冷却する方法として、例
えば特開平6−21279号公報に記載されているよう
に、冷媒バッグとヒートパイプとを組み合わせてLSI
などの発熱部材からの発熱を熱放散する方法が採られて
いた。
【0003】図4は例えば特開平6−21279号公報
に記載された従来の伝熱装置を示す構成図である。図に
おいて、保護用金属容器1はその底部に開孔部2が設け
られている。そして、冷媒バッグ3が保護用金属容器1
内の下部に収められている。この冷媒バッグ3は、ポリ
エチレンなどの軟質プラスチック材よりなる円筒状のも
のの両端を、熱融着などの手段でシールした構成を有
し、その内部に作動液4が充填され、上部空間にはガス
が充満している。そして、この冷媒バッグ3が保護用金
属容器1に収められると、開孔部2から冷媒バッグ3の
一部が突き出し、LSIなどの被冷却体8と接触する接
触部5が形成される。さらに、伝熱管6が冷媒バッグ3
に包み込まれるようにして保護用金属容器1内に収納さ
れ、保護用金属容器1から外部に突き出した一端には放
熱フィン7が取り付けられている。なお、作動液4とし
ては、フロンやパーフロロカーボン(C614)などの
ハロゲン系の冷媒が用いられる。
【0004】つぎに、従来の伝熱装置の動作について説
明する。まず、LSIなどの被冷却体8に接触部5が接
触するように、伝熱装置を設置する。そして、被冷却体
8が発生する熱が、接触部5から作動液4に伝達され
る。作動液4は、接触部5から伝達された熱によって蒸
発し、この蒸気は、冷媒バッグ3内の伝熱管6に接触し
ている部分で凝縮し、液化して落下する。この潜熱のや
りとりを通して、熱が伝熱管6に吸収される。その後、
熱は、伝熱管6の一端に設けられた放熱フィン7から放
熱される。このような熱交換を繰り返すことにより、被
冷却体8が冷却される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の伝熱装置は以上
のように構成されているので、放熱部の外周温度以下に
冷却することができず、使用環境が制限されるという課
題があった。また、作動液4としてフロンやパーフロロ
カーボンなどのハロゲン系の冷媒が用いられているの
で、設備を廃却するときに冷媒の回収が環境保全上必要
となるが、電子機器は一般に不特定多数の市場を対象と
しているものが多く、その回収方法を解決する必要があ
るという課題もあった。また、一般に電子機器には小型
化が必ず要求されるが、上述の伝熱装置の構造では小型
化できず、十分な対応ができないという課題もあった。
【0006】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、使用環境の制限がなく、環境保
全上の問題がなく、小型で、無音の電解式水蒸発冷却装
置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この第1の発明に係る電
解式水蒸発冷却装置は、気体が封入された第1の密閉缶
と、第1の密閉缶内を第1および第2の密閉空間に2分
割するように配設された固体電解質膜と、第1の密閉缶
の下方に貫通孔を介して連設されて、該貫通孔を介して
第1の密閉空間に連通する第3の密閉空間を構成する第
2の密閉缶と、第2の密閉缶の底部に貯水された水と、
下端が貯水された水に浸漬されて第2の密閉缶の内壁面
に沿って上下方向に延設された含水層と、第1の密閉缶
の第2の密閉空間側に設けられて第2の密閉空間内の水
蒸気を凝縮させる凝縮器と、第2の密閉空間の気相部と
第3の密閉空間の気相部とを連通する通気路と、凝縮器
で凝縮された水を第2の密閉空間から第3の密閉空間に
返水する通水路と、固体電解質膜に電力を供給する直流
電源とを備え、直流電源から固体電解質膜に第1の密閉
空間側が陽極、第2の密閉空間側が陰極となるように電
力を供給し、第1の密閉空間側の固体電解質膜の面で気
体が含む水蒸気の電気分解を生じさせ、該水の電気分解
で生成されたプロトンを固体電解質膜を介して第2の密
閉空間側の固体電解質膜の面に供給し、第2の密閉空間
側の固体電解質膜の面で水の生成反応を生じさせて、第
1および第3の密閉空間と第2の密閉空間との間に湿度
差を発生させ、第2の密閉缶の底部に貯水されている水
および含水層に含水される水の温度を低下させて、第2
の密閉缶の貯水部もしくは含水層に沿って形成された壁
面を冷却面とする電解式水蒸発冷却装置において、第2
の密閉缶の貫通孔近傍に通気可能に構成された充填層を
設け、第1の密閉空間から貫通孔を通って第3の密閉空
間に流入する気体と第3の密閉空間から貫通孔を通って
第1の密閉空間に流出する気体とを充填層で向流的に接
触させるようにしたものである。
【0008】この第2の発明に係る電解式水蒸発冷却装
置は、上記第1の発明において、通水路が第2の密閉空
間の底部と第3の密閉空間の貯水部とを連通するように
設けられて、該第2の密閉空間と該第3の密閉空間との
間を水封構造とすると共に、該通水路の経路途中を充填
層と熱的に連結したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
について説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1に係る電
解反応による水蒸発式冷却装置の構成を模式的に示す一
部破断正面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る電
解反応による水蒸発式冷却装置の構成を模式的に示す一
部破断側面図である。図において、50は水分子を電気
分解する機能を有する固体電解質膜であり、この固体電
解質膜50は第1の密閉缶40を2つの密閉空間51
a、51bに分割するように配置され、さらに両面には
直流電源52から直流電圧が印加されるようになってい
る。また、第2の密閉缶41が第1の密閉缶40の下方
に配設され、第2の密閉缶41で構成される第3の密閉
空間51cが貫通孔53を介して第1の密閉空間51a
に連通している。これらの第1および第2の密閉缶4
0,41には、内部を減圧して酸素ガスと水蒸気とが封
入されている。そして、第3の密閉空間51cを構成す
る第2の密閉缶41の底部には水56が貯水されてい
る。また、第2の密閉缶41の壁面54内部には、熱良
導性でかつ吸水性を有する多孔質板、網状板、膜状板な
どを固着して含水層55が形成されている。そして、含
水層55は、その下端が第2の密閉缶41の底部の貯水
部に貯水されている水56中に浸漬されて、その毛細管
現象により水56を吸水して湿潤状態に維持されてい
る。この含水層55に沿った壁面54が冷却面として機
能し、被冷却体70が壁面54に熱的に連結される。
【0010】第1の密閉空間51aは貫通孔53を介し
て第3の密閉空間51cの上部に配置され、第1の密閉
缶40の第1の密閉空間51aを構成する壁面の一部に
は固体電解質膜50に対向する位置に外部に熱を放熱す
るための放熱器58が取り付けられている。また、第2
の密閉缶41の第3の密閉空間51cの含水層55の上
部には、例えば金属繊維を綿状にしたもの、あるいは例
えばビーズ状の充填材を定められた厚みに層状に充填し
た充填層57が形成されている。この充填層57は第1
の密閉空間51aから貫通孔53を通って第3の密閉空
間51cに流入する気体と、第3の密閉空間51cから
貫通孔53を通って第1の密閉空間51aに流出する気
体とを向流的に接触させるように機能する。
【0011】第2の密閉空間51bは第1の密閉空間5
1aと相隣る位置に固体電解質膜50に隔てられて形成
され、第2の密閉空間51bを構成する第1の密閉缶4
0の壁面の一部には固体電解質膜50に対向する位置に
外部に熱を放熱するための放熱器59が取り付けられ、
水蒸気を凝縮する凝縮器として機能させている。
【0012】第2の密閉空間51bの頂部には貴金属触
媒層60が配設されている。貴金属触媒としては白金、
ルテニウム、パラジウムの微紛体、あるいはフェライ
ト、酸化チタニウム、等の金属酸化物を粒状体、ペレッ
ト、ハニカム状体に形成したものの表面に上記金属を担
持したもので構成し、触媒層内は通気可能に構成されて
いる。
【0013】第2の密閉空間51bの底部は第3の密閉
空間51cの底部の貯水部と通水路61で連結すると共
に、第2の密閉空間51bの底部に水を貯水して第3の
密閉空間51cと第3の密閉空間51bとの間を水封構
造としている。また、通水路61はその経路途中で充填
層57に熱的に連結されている。なお、通水路61はそ
の経路途中で充填層57周りの第2の密閉缶41の外壁
と熱的に連結されるようにしてもよい。また、第3の密
閉空間51cの底部に形成された貯水面上部近傍と第2
の密閉空間51bの頂部の貴金属触媒層60とが通気路
62で連結されて、通気可能な構造となっている。
【0014】ここで、固体電解質膜50は、その両面に
電解反応を促進する触媒を介して陽極および陰極が形成
されている。また、一対の給電体64,65が平行に配
置され、給電体64には導電性のピン64aが所定ピッ
チで複数立設され、さらに給電体65には導電性のピッ
チ65aが所定ピッチで複数立設されている。そして、
固体電解質膜50は、ピン64aとピン65aとに交互
に掛け渡されてコルゲート状(波板状)に成形されて、
小さい密閉空間に大きな電解反応面を構成している。こ
の固体電解質膜50の両面に形成された陽極および陰極
は、それぞれピン64a,65aを介して給電体64,
65に電気的に接続され、さらに給電体64,65を介
して外部の直流電源52に電気的に接続されている。
【0015】ついで、固体電解質膜50の作用について
図3を参照しつつ説明する。この固体電解質膜50は、
プロトンを選択的に通過させる固体高分子電解質膜50
aを挟持するように電解反応を促進する触媒50eを介
して陽極50bおよび陰極50cを配し、樹脂製のフレ
ーム50dにより固体高分子電解質膜50a、陽極50
bおよび陰極50cの端部を保持して、陽極50bおよ
び陰極50cが固体高分子電解質膜50aの両面に固定
されて構成されている。この固体高分子電解質膜50a
としては、例えばナフィオン(Nafion)−117
(Du Pont社登録商標)などのプロトン交換膜が
用いられる。また、陽極50bおよび陰極50cとして
は、白金メッキが施されたチタン、タンタルあるいはス
テンレスのメッシュ体、繊維を給電体とした金属メッキ
体、炭素繊維の不織布などの多孔質電極が用いられる。
【0016】陽極50bと陰極50cとの間に直流電源
52から直流電圧が印加されると、両電極面上で次式に
示される酸化/還元反応が起こる。この時、図3に示さ
れるように、陽極50bでの水の電気分解で生成された
+(プロトン)が固体高分子電解質膜50a中を通過
して陰極50cに供給され、水の生成に供せられる。そ
して、陽極50bで水が電気分解され、陰極50cで水
が生成される。そこで、見かけ上、陽極50b側の水蒸
気が陰極50c側に、陰極50c側の酸素が陽極50b
側に移送されることになる。すなわち、陽極50b側の
密閉空間が減湿され、陰極50c側の密閉空間が加湿さ
れる。 陽極側:H2O→2H++1/2O2+2e- 陰極側:2H++1/2O2+2e-→H2O 全 体:H2O(陽極側)→H2O(陰極側) O2(陰極側)→O2(陽極側)
【0017】つぎに、この実施の形態1による電解式水
蒸発冷却装置の動作について説明する。固体電解質膜5
0は、その陽極面が第1の密閉空間51a側に、陰極面
が第2の密閉空間51b側になるように直流電源52と
電気的に接続されている。そして、第1および第3の密
閉空間51a,51cは上下方向に各々が配置され、貫
通孔53によって連通している。ここで、第3の密閉空
間51cを形成する第2の密閉缶41の壁面54の内部
には含水層55が形成されており、低湿度の環境に保持
されているため、含水層55の表面から水分の蒸発が加
速される。この含水層55の表面からの水分の蒸発の加
速により、温度降下が誘引され、壁面54が冷却され
る。この壁面54には被冷却体70が熱的に連結されて
いるため、被冷却体70から壁面54に熱の移動が起こ
り被冷却体70が冷却される。この時、第3の密閉空間
51cの底部に充填されている水56が含水層55の下
部を浸しているため、含水層55には常時毛細管現象に
よって表面から蒸発する水が補給される。
【0018】そして、含水層55の表面から蒸発した水
蒸気は第3の密閉空間51cから貫通孔53を通って第
1の密閉空間51aに流出し、放熱器58と接する。こ
こで、放熱器58の外周温度が被冷却体70を冷却保持
する上限温度以下の場合には、水蒸気は放熱器58によ
って冷却されて凝縮され、重力によって貫通孔53を通
って第3の密閉空間51c内に流入し含水層55に吸水
される。この場合、第1および第3の密閉空間51a、
51c、放熱器58および含水層55はヒートパイプを
構成し、動力を必要とせずに被冷却体70から熱を放熱
器58を経由して外部に放熱している。
【0019】一方、放熱器58の外周温度が被冷却体7
0を冷却保持するための上限温度以上、例えば被冷却体
70の許容温度の上限が40℃、外気温が50℃以上で
あるような場合には、上述とは異なり水蒸気は放熱器5
8で凝縮されない。この場合には、固体電解質膜50に
直流電源52から通電して上述の化学式にもとづく電解
反応を起こさせる。そこで、含水層55の表面から蒸発
した水蒸気は第3の密閉空間51cから貫通孔53を通
って密閉空間51aに流出し、該電解反応によって第2
の密閉空間51b側に移動される。そして、第2の密閉
空間51bを飽和水蒸気状態近傍に維持することによっ
て凝縮器59から外部に放熱して水蒸気を凝縮させる。
凝縮した水は通水路61によって逐次第3の密閉空間5
1cの底部に貯水された水56の中に返水される。この
時、第1の密閉空間51a側が減湿され、第3の密閉空
間51cも減湿されて、含水層55の表面から水分の蒸
発が加速される。この含水層55の表面からの水分の蒸
発の加速により、温度降下が誘引されて、含水層55に
沿った壁面54が冷却される。
【0020】固体電解質膜50の電解反応によって第1
の密閉空間51aには酸素ガスが発生するが、水蒸気に
比べて酸素ガスは比重量が大きいため、重力によって貫
通孔53を通って第3の密閉空間51cに移動する。こ
の場合、酸素ガスは固体電解質膜50の通電過程で生じ
るジュール熱を受けて加熱される。そして、酸素ガスの
熱は放熱器58から外部に放熱され、これによって酸素
ガスは冷却されて第3の密閉空間51cに移動する。第
3の密閉空間51cの底部に形成された水56の水面上
は第2の密閉空間51bの頂部と通気路62によって連
通しているため、第1の密閉空間51aから流入してき
た酸素ガスは含水層55表面に沿って第3の密閉空間5
1c内を下方に移動し、通気路62を経て第2の密閉空
間51dの頂部に給気される。
【0021】この場合、第1の密閉空間51aに発生し
た酸素ガスは水蒸気の凝縮温度に電解膜のジュール熱に
よる温度上昇を加算した高温状態で充填層57の上部か
ら充填層57内に流入する。一方、含水層55から蒸発
した水蒸気は充填層57の下部から上方に向かって充填
層57内に流入し、上部から充填層57内に流入した酸
素ガスと向流接触する。水蒸気の温度は水の蒸発温度と
等しく低温であるため充填層57内で充填材を介して酸
素ガスと水蒸気とが熱交換し、酸素ガスは冷却されて低
温の第3の密閉空間51c内に流入される。
【0022】第2の密閉空間51bの底部は第3の密閉
空間51cの底部の貯水部と通水路61で連結され、第
2の密閉空間51bの底部に水を貯水して第3の密閉空
間51cと第2の密閉空間51bとの間を水封構造とし
ている。また、第3の密閉空間51cの底部の貯水面上
部近傍と第2の密閉空間51bの頂部とを通気路62で
連結し、両密閉空間の間を通気路62を通して通気可能
な構造としている。そこで、第3の密閉空間51cと第
2の密閉空間51bとの間の水封構造により、第3の密
閉空間51c側の圧力が第2の密閉空間51b側より若
干高く保持される。そして、酸素ガスは比重量が大きい
ため位置的に低い所に滞留するが、両密閉空間の間の該
圧力差により、酸素ガスは通気路62を通して上部に押
し上げられ、第2の密閉空間51bに給気される。
【0023】高温域の第2の密閉空間51bで凝縮した
水は第3の密閉空間51cの底部に通水路61を介して
流入するが、通水路61は充填層57と熱的に連結され
ているため低温ガスと熱交換して低温状態にある充填層
57に熱を吸収されて冷却され、低温に保持されている
第3の密閉空間51cに流入する。
【0024】固体電解質膜50の電解反応によって固体
電解質膜50の中を水素イオンが移動して陰極表面で酸
素と反応を起こし水蒸気を生成する。この時、微量なが
ら一部の水素イオンは酸素と反応せず水素ガスとなって
第2の密閉空間51bの頂部に溜まる。第2の密閉空間
51b内は酸素ガスの雰囲気にあるため、発生した水素
ガスが蓄積されれば急激に酸素と反応を起こし危険な状
態となる。しかしながら、貴金属触媒層60を第2の密
閉空間51bの頂部に配置しているので、水素ガスは貴
金属触媒層60に接触して水に変換され、速やかに消費
される。一般的に、白金属元素は水素、あるいは炭化水
素に対して触媒作用があり、これらを当量の酸素と反応
させて低温で分解する作用があるため、この性質を利用
して発生した水素ガスが微量な間に消費され、蓄積され
て酸素と反応を起こすことを未然に防止している。
【0025】貴金属触媒層60を形成する貴金属として
は白金、パラジウム、ルテニウム等の白金属元素および
その酸化物であり、卑金属酸化物、例えばフェライト、
酸化チタニウム、等を粒状、ペレット状、あるいはハニ
カム状に成形し、その表面に上記白金属元素を担持した
もので触媒層を形成している。これらの触媒は一般的に
水素、あるいは炭化水素をそれらの燃焼温度よりはるか
に低い温度で当量の酸素ガスのもとで分解する特性を有
しており、この特性を利用して発生した水素ガスを除去
している。
【0026】このように、この実施の形態1によれば、
固体電解質膜50が第1の密閉缶40内第1および第2
の密閉空間51a,51bに2分割し、第2の密閉缶4
1が第1の密閉缶40の下方に貫通孔53を介して連設
されて、該貫通孔53を介して第1の密閉空間51aに
連通する第3の密閉空間51cを構成し、水56が第2
の密閉缶41の底部に貯水され、含水層55がその下端
を水56に浸漬されて第2の密閉缶41の内壁面に沿っ
て上下方向に延設され、凝縮器59が第1の密閉缶40
の第2の密閉空間51b側に設けられ、通気路62が第
2の密閉空間51bの気相部と第3の密閉空間51cの
気相部とを連通し、通水路61が第2の密閉空間51b
の底部と第3の密閉空間51cの底部とを連通し、直流
電源52が固体電解質膜50に第1の密閉空間51a側
を陽極に第2の密閉空間51b側を陰極とするように電
力が供給されるようになっている。
【0027】そこで、冷媒に水が用いられるので、冷媒
の回収も必要なく、環境保全上の問題がなく、さらに固
体電解質膜50に電解反応を起こさせて、放熱部の外周
温度以下に被冷却体70を冷却でき、使用環境の制限の
ない冷却装置が得られる。また、第1の密閉空間51a
側から第2の密閉空間51b側に移送された水蒸気は凝
縮器59で凝縮されて、通水路61を介して第3の密閉
空間51cに返水され、第2の密閉空間51b側から第
1の密閉空間51a側に移送された酸素ガスは第3の密
閉空間51cを経て通気路62を介して第2の密閉空間
51bに給気されるので、動力を必要とせずに水蒸気や
酸素ガスの循環ができ、小型化および無音化が達成され
る。
【0028】また、固体電解質膜50がコルゲート状に
成形されているので、小さい空間に大きな電解反応面を
形成でき、大容量化および小型化が図られる。また、第
3の密閉空間51cが貫通孔53を介して第1の密閉空
間51aの下方に設けられ、かつ、第1の密閉空間51
aの固体電解質膜50に対向する第1の密閉缶40の部
位に放熱器58を設けているので、固体電解質膜50の
ジュール熱により温度上昇した酸素ガスは放熱器58に
より熱を外部に放熱され冷却されて貫通孔53を通って
第3の密閉空間51cに流入し、低温の第3の密閉空間
51cへの熱侵入が抑えられ、冷却効率を向上できる。
また、第2の密閉缶41の貫通孔53近傍に充填層57
を設けているので、第1の密閉空間51aから貫通孔5
3を通って第3の密閉空間51bに流入する酸素ガスと
第3の密閉空間51bから貫通孔53を通って第1の密
閉空間51aに流出する水蒸気とが充填層57内で向流
的に接触する。そこで、固体電解質膜50のジュール熱
により温度上昇した酸素ガスは水蒸気と熱交換して冷却
されて第3の密閉空間51cに流入し、低温の第3の密
閉空間51cへの熱侵入が抑えられ、冷却効率を向上で
きる。また、通水路61が第2の密閉空間51bの底部
と第3の密閉空間51cの貯水部とを連通するように設
けられているので、第2の密閉空間51bと第3の密閉
空間51cとの間が水封構造となり、第3の密閉空間5
1c側の圧力が第2の密閉空間51b側より若干高く保
持される。そこで、その圧力差により、比重量が大きい
酸素ガスを通気路62を通して第2の密閉空間51bに
給気でき、酸素ガスを動力を用いることなくスムーズに
循環させることができる。さらに、通水路61の経路途
中を充填層57と熱的に連結しているので、放熱器59
により凝縮されて第2の密閉空間51bの底部に溜まっ
た高温の凝縮水は水蒸気と熱交換して低温状態にある充
填層57に熱を吸収され冷却されて、第3の密閉空間5
1cに流入し、低温の第3の密閉空間51cへの熱侵入
が抑えられ、冷却効率を向上できる。
【0029】なお、上記実施の形態1では、第1の密閉
空間51aを構成する壁面の一部の固体電解質膜50に
対向する位置に外部に熱を放熱するための放熱器58を
取り付けるものとしているが、放熱器58は必ずしも取
り付ける必要はない。例えば、放熱器58の取り付け部
が高温の環境に曝される場合には放熱効果が無く、放熱
器58は取り付けなくて良い。また、上記実施の形態1
では、含水層55に沿った第2の密閉缶41の壁面54
を冷却面としているが、貯水部に沿った第2の密閉缶4
1の壁面を冷却面としても同様の効果が得られる。
【0030】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0031】この発明の第1の発明によれば、気体が封
入された第1の密閉缶と、第1の密閉缶内を第1および
第2の密閉空間に2分割するように配設された固体電解
質膜と、第1の密閉缶の下方に貫通孔を介して連設され
て、該貫通孔を介して第1の密閉空間に連通する第3の
密閉空間を構成する第2の密閉缶と、第2の密閉缶の底
部に貯水された水と、下端が貯水された水に浸漬されて
第2の密閉缶の内壁面に沿って上下方向に延設された含
水層と、第1の密閉缶の第2の密閉空間側に設けられて
第2の密閉空間内の水蒸気を凝縮させる凝縮器と、第2
の密閉空間の気相部と第3の密閉空間の気相部とを連通
する通気路と、凝縮器で凝縮された水を第2の密閉空間
から第3の密閉空間に返水する通水路と、固体電解質膜
に電力を供給する直流電源とを備え、直流電源から固体
電解質膜に第1の密閉空間側が陽極、第2の密閉空間側
が陰極となるように電力を供給し、第1の密閉空間側の
固体電解質膜の面で気体が含む水蒸気の電気分解を生じ
させ、該水の電気分解で生成されたプロトンを固体電解
質膜を介して第2の密閉空間側の固体電解質膜の面に供
給し、第2の密閉空間側の固体電解質膜の面で水の生成
反応を生じさせて、第1および第3の密閉空間と第2の
密閉空間との間に湿度差を発生させ、第2の密閉缶の底
部に貯水されている水および含水層に含水される水の温
度を低下させて、第2の密閉缶の貯水部もしくは含水層
に沿って形成された壁面を冷却面とする電解式水蒸発冷
却装置において、第2の密閉缶の貫通孔近傍に通気可能
に構成された充填層を設け、第1の密閉空間から貫通孔
を通って第3の密閉空間に流入する気体と第3の密閉空
間から貫通孔を通って第1の密閉空間に流出する気体と
を充填層で向流的に接触させるようにした。そこで、動
力を必要とせずに水蒸気および気体の循環が可能とな
り、無音化および小型化でき、固体電解質膜の電解反応
を起こさせて被冷却体を冷却でき、使用環境の制限を無
くし、固体電解質膜の通電過程で生じるジュール熱を受
けて過熱される酸素ガスが充填層で低温の水蒸気と熱交
換して冷却され、低温の第3の密閉空間への熱侵入が抑
えられて冷却効率を向上でき、さらに冷媒を水にして、
環境保全上問題のない電解式水蒸発冷却装置が得られ
る。
【0032】この第2の発明によれば、上記第1の発明
において、通水路が第2の密閉空間の底部と第3の密閉
空間の貯水部とを連通するように設けられて、該第2の
密閉空間と該第3の密閉空間との間を水封構造とすると
共に、該通水路の経路途中を充填層と熱的に連結したの
で、第2の密閉空間で凝縮された高温の凝縮水が熱を充
填層に吸収され冷却されて第3の密閉空間に返水され、
低温の第3の密閉空間への熱侵入が抑えられ、その分冷
却効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る電解反応によ
る水蒸発式冷却装置の構成を模式的に示す一部破断正面
図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係る電解反応によ
る水蒸発式冷却装置の構成を模式的に示す一部破断側面
図である。
【図3】 本発明に係わる固体電解質膜の作用を説明す
る図である。
【図4】 従来の伝熱装置を示す構成図である。
【符号の説明】
40 第1の密閉缶、41 第2の密閉缶、50 固体
電解質膜、51a 第1の密閉空間、51b 第2の密
閉空間、51c 第3の密閉空間、52 直流電源、5
3 貫通孔、54 壁面(冷却面)、55 含水層、5
6 水、57充填層、59 凝縮器、61 通水路、6
2 通気路。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気体が封入された第1の密閉缶と、前記
    第1の密閉缶内を第1および第2の密閉空間に2分割す
    るように配設された固体電解質膜と、前記第1の密閉缶
    の下方に貫通孔を介して連設されて、該貫通孔を介して
    前記第1の密閉空間に連通する第3の密閉空間を構成す
    る第2の密閉缶と、前記第2の密閉缶の底部に貯水され
    た水と、下端が前記貯水された水に浸漬されて前記第2
    の密閉缶の内壁面に沿って上下方向に延設された含水層
    と、前記第1の密閉缶の前記第2の密閉空間側に設けら
    れて第2の密閉空間内の水蒸気を凝縮させる凝縮器と、
    前記第2の密閉空間の気相部と前記第3の密閉空間の気
    相部とを連通する通気路と、前記凝縮器で凝縮された水
    を前記第2の密閉空間から前記第3の密閉空間に返水す
    る通水路と、前記固体電解質膜に電力を供給する直流電
    源とを備え、前記直流電源から前記固体電解質膜に前記
    第1の密閉空間側が陽極、前記第2の密閉空間側が陰極
    となるように電力を供給し、前記第1の密閉空間側の前
    記固体電解質膜の面で気体が含む水蒸気の電気分解を生
    じさせ、該水の電気分解で生成されたプロトンを前記固
    体電解質膜を介して前記第2の密閉空間側の前記固体電
    解質膜の面に供給し、前記第2の密閉空間側の前記固体
    電解質膜の面で水の生成反応を生じさせて、前記第1お
    よび第3の密閉空間と前記第2の密閉空間との間に湿度
    差を発生させ、前記第2の密閉缶の底部に貯水されてい
    る水および前記含水層に含水される水の温度を低下させ
    て、前記第2の密閉缶の貯水部もしくは含水層に沿って
    形成された壁面を冷却面とする電解反応による冷却装置
    において、 前記第2の密閉缶の前記貫通孔近傍に通気可能に構成さ
    れた充填層を設け、前記第1の密閉空間から前記貫通孔
    を通って前記第3の密閉空間に流入する気体と前記第3
    の密閉空間から前記貫通孔を通って前記第1の密閉空間
    に流出する気体とを前記充填層で向流的に接触させるよ
    うにしたことを特徴とする電解式水蒸発冷却装置。
  2. 【請求項2】 前記通水路が前記第2の密閉空間の底部
    と前記第3の密閉空間の貯水部とを連通するように設け
    られて、該第2の密閉空間と該第3の密閉空間との間を
    水封構造とすると共に、該通水路の経路途中を前記充填
    層と熱的に連結したことを特徴とする請求項1記載の電
    解式水蒸発冷却装置。
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