JP3083405B2 - アルカリ金属アジ化物の製造方法 - Google Patents

アルカリ金属アジ化物の製造方法

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JP3083405B2 JP04141948A JP14194892A JP3083405B2 JP 3083405 B2 JP3083405 B2 JP 3083405B2 JP 04141948 A JP04141948 A JP 04141948A JP 14194892 A JP14194892 A JP 14194892A JP 3083405 B2 JP3083405 B2 JP 3083405B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、医薬中間原料
であるテトラゾール類の原料として、または、電子産業
分野におけるフォトマスク用感光材料の有機アジド類の
原料として、あるいは、自動車用エラーバックのインフ
レーターの主要原料として有用なアルカリ金属アジ化物
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ヒドラジンと亜硝酸アルキルエス
テルとを、アリカリ金属水酸化物の存在下に溶媒中で反
応させてアルカリ金属アジ化物を製造する方法は、古く
から知られている。
【0003】例えば、米国特許第1,628,380号
公報には、米国特許第1,628,380号出願前の従
来技術の例として、上記の反応を非水性でない反応媒体
(non−anhydrous reaction m
ediums)中で行う方法(a)、および、実際に非
水性反応媒体(practically anhydr
ous reaction mediums)中で行う
方法(b)について記載されている。
【0004】これによれば前者(a)の方法は、次の反
応式(1)、
【0005】
【化1】 N2H4・H2O+RONO+NaOH → NaN3+ROH+3H2O ・・・・・ (1) [ここで、Rはアルキル基を表わす]に従って進行する
ものと考えられるが、この場合、多量のアジ化ナトリウ
ムが、過剰の原料や副生成物など他の成分と共に含水反
応溶液中に溶存するので、硫酸などの鉱酸を該溶液に添
加してアジ化水素を発生させ[反応式(2)]、
【0006】
【化2】2NaN3+H2SO4 → NH3+Na2SO4 ・・・・・ (2) これを水酸化ナトリウムに吸収させてアジ化ナトリウム
を得る[反応式(3)]方法が採用されていた。
【0007】
【化3】HN3+NaOH → NaN3+H2O ・・・・・ (3) しかしこの(a)の方法では、低コストの粗原料が使用
できるという利点はあるものの、多くの工程を要し、更
にアジ化水素の蒸留を必要とするため、危険性が高くロ
スが多いという欠点を有しているとされている。
【0008】一方、上記(b)の方法は、次の反応式
(4)
【0009】
【化4】N2H4+RONO+RONa → NaN3+2ROH+H2O ・・・・・ (4) に従って進行するものと考えられ、この反応ではアルコ
ール、高濃度ヒドラジン及びナトリウムエチラート等の
実質的に非水性の原料を用いなければならず、目的のア
ジ化ナトリウムが反応媒体に溶解しないので濾過するだ
けで単離できるという利点はあるものの、ナトリウムエ
チラートの製造に金属ナトリウムを使用しなければなら
いなど、危険で高コストなものとなるとされている。
【0010】そして、米国特許第1,628,380号
の製法は、従来技術の上記方法(a)と方法(b)の長
所を組合せることを目的とし、ヒドラジン水和物、亜硝
酸アルキル及びナトリウムアルコレート溶液を一緒に反
応させることを特徴としている。
【0011】この米国特許第1,628,380号の実
施例では、水和ヒドラジン水溶液1kg[ヒドラジンと
して500g(15.6モル)]を使い、無水エタノー
ル中に水酸化ナトリウム7.5重量%溶かした溶液7.
49kgを使用し、1.76kgの亜硝酸エチルエステ
ルを加えて反応させ、純度90重量%以上のアジ化ナト
リウム0.8kgを得たとしている。この反応の収得収
率は、得られたアジ化ナトリウムの純度を100重量%
と仮定しても、原料ヒドラジンに対して79%に過ぎな
い。
【0012】なお、使用される水和ヒドラジン水溶液中
のヒドラジン濃度は、その2頁25〜32行及びクレー
ム4によれば反応で生成する水も含めて、3単位の水に
対してヒドラジンが少くとも1単位となるような濃度を
保持するよう十分高くなければならないとされている。
そして、上記実施例では水和ヒドラジン水溶液1kgに
比し、7.49kgの可成り大量のエタノール溶液が用
いられるので、米国特許第1,628,380号におけ
る反応系の溶媒は小割合の水と極めて大きい割合のアル
コールからなる、アルコール系溶媒である。
【0013】このように前記米国特許の提案において
は、反応溶媒として極少量の水を含有するアルコール系
溶媒を用いるものであり、基本的には該提案の従来技術
のうち後者の方法(b)の改善に係るものであり、水の
混入を実際に実施可能なところまで減らした反応系で反
応を行うことが推奨されている。そのため、この製造法
を工業的な生産に用いる場合には、使用する溶媒の回
収、精製および無水化という工程をその製造工程中に組
み入れなければならないという問題がある。また、収率
も必ずしも十分とはいえず、満足できるものではない。
【0014】
【発明が解決すべき課題】前記のように、ヒドラジンを
原料にした従来のアルカリ金属アジ化物の工業的な製造
方法では、(1)溶媒に無水のアルコールを使用するた
め、溶媒の回収にコストがかかること、(2)未回収溶
媒(損失)はそのまま製品のコストアップにつながるこ
と、(3)可燃性溶媒を取り扱うため製造設備を特殊な
ものにしなければならないこと、(4)ヒドラジンに対
する収率が必ずしも十分とはいい難いこと、などの問題
点が有り、解決が望まれていた。
【0015】本発明者等は、上記のような問題点のない
アルカリ金属アジ化物の製造方法について検討を行って
きた。そして、従来、収率、純度の点等で不利と考えら
れて来た水性溶媒中で、水酸化ナトリウムの存在下に、
ヒドラジンおよび亜硝酸メチルを反応させたところ、ヒ
ドラジンの反応率(変換率)が90%に達するまでの間
は水性反応溶液中のアジ化ナトリウム濃度が増加する
が、該反応率が90%を超えて高くなると次第に窒素ガ
スの発生や亜硝酸ナトリウムなどの副生反応が顕著とな
って、アジ化ナトリウム濃度がかえって減少し、消費さ
れたヒドラジンに基づくアジ化ナトリウムの生成の選択
率が低下すると共に、得られるアジ化ナトリウムの純度
も低下すること、特に該反応率を50〜90%に抑制す
ることにより、消費されたヒドラジンに対して95%程
度の高選択率でアジ化ナトリウムが生成することなどを
見出した。
【0016】そして、反応溶液中のアジ化ナトリウム
は、常法に従って該溶液を濃縮して晶析させ、濾過によ
り容易に単離収得できる。濾液は必要に応じて水で希釈
したのち残存するヒドラジンを蒸留などの公知の方法で
回収することもできるが、該濾液中には生成したアジ化
ナトリウムの一部も溶存しているので該濾液にさらにア
リカリ金属水酸化物、ヒドラジンを加えて調整し、リサ
イクル使用することによって、より高収得収率でアジ化
ナトリウムを収得することができる。
【0017】
【本発明の詳細】本発明によれば、ヒドラジンと亜硝酸
アルキルエステルとをアリカリ金属水酸化物の存在下溶
媒中で反応させアルカリ金属アジ化物を製造する方法に
おいて、該溶媒として水性溶媒を用い、ヒドラジンの反
応率を50%〜90%に抑制することを特徴とする方法
が提供される。
【0018】以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】本発明方法で用いるヒドラジンは、特に限
定されるものではなく、無水物または水和物の何れであ
ってもよい。また水和物の場合、ヒドラジン含有量64
重量%以下のヒドラジン水溶液であってもよく、5重量
%程度の水和ヒドラジン水溶液でも使用は可能である
が、目的生成物であるアルカリ金属アジ化物の単離操作
の容易性の観点から、30重量%以上、特には、50重
量%以上の水和ヒドラジン水溶液の使用が好ましい。
【0020】ヒドラジンの添加方法としては、特に限定
されるものではなく、反応初期段階で一括添加する方
法、適宜分割添加する方法、逐次添加する方法などが例
示できるが、反応操作の容易さなどの観点から反応初期
段階で一括添加するのが好ましい。
【0021】本発明において使用できる亜硝酸アルキル
エステルとしては、特に制限されるものではなく、いづ
れも使用可能であるが、一般に、炭素数1〜5程度、好
ましくは炭素数1〜2、のアルコールの亜硝酸エステル
が使用される。
【0022】このような亜硝酸アルキルエステルとして
は、例えば、亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸n−
プロピル、亜硝酸i−プロピル、亜硝酸n−ブチル、亜
硝酸i−ブチル、亜硝酸s−ブチル、亜硝酸t−ブチ
ル、亜硝酸n−アミル、亜硝酸i−アミル、亜硝酸t−
アミル等を挙げることができる。
【0023】上記亜硝酸アルキルエステルのうち、亜硝
酸メチル、亜硝酸エチル等の低沸点のアルキルエステル
の場合には発生させた気体を、直ちに、アルカリ金属ア
ジ化物製造の反応系に導入することができる。また、亜
硝酸n−ブチルのように常温で液体のものは、分割添加
または逐次滴下等の方法で反応系に加えることができ
る。
【0024】これらの亜硝酸アルキルエステルは、反応
装置やその時々のコスト等を考慮しながら適宜選択する
ことができるが、取り扱いの容易さ等の観点から亜硝酸
メチルエステルの使用が最も好ましい。
【0025】亜硝酸アルキルエステルの使用量は、ヒド
ラジンの反応率と極めて密接した関係があるため、後記
するように、ヒドラジン反応率の制御の必要性から、使
用されるヒドラジン1モルに対して、一般に、0.9モ
ル以下、好ましくは0.8モル以下、特に好ましくは
0.6〜0.75モル程度用いるのが好ましい。
【0026】本発明に用いることのできるアリカリ金属
水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等が例示できる。
【0027】なお、使用するアリカリ金属水酸化物の種
類によって生成するアルカリ金属アジ化物が決まるた
め、所望するアルカリ金属アジ化物の種類によって、該
アリカリ金属水酸化物は適宜選択して用いられるが、一
般には、入手の容易さなどから水酸化ナトリウムが好適
に使用される。
【0028】また本発明では、反応溶媒に水性溶媒を使
用するため、原料中に混入する水の量は何等制限される
ものではなく、例えば、前記アリカリ金属水酸化物は水
溶液の形で使用することができ、例えば水酸化ナトリウ
ムの場合工業的に安価に供給される25重量%水溶液、
または、35重量%水溶液をそのまま使用することもで
きる。また、それより低濃度の水溶液であってもよく、
さらに、固形のアリカリ金属水酸化物であってもよい。
【0029】これらアリカリ金属水酸化物の使用量は、
生成するアルカリ金属アジ化物と等モル以上加えておく
のが好ましい。工業的製造においては、使用されるヒド
ラジン1モルに対し、一般に1〜4モル、好ましくは1
〜1.5モルになるように加えることが好ましい。アリ
カリ金属水酸化物が1モル未満と少な過ぎてはヒドラジ
ンと亜硝酸アルキルエステルとの副反応が起き易く、ま
た4モルを超えて過剰であるとアリカリ金属水酸化物と
亜硝酸アルキルエステルとの副反応が超き易く、何れも
アルカリ金属アジ化物の生成の選択率が低下する傾向が
あるので好ましくない。
【0030】本発明のアルカリ金属アジ化物の製法は、
前記のように反応を水性溶媒中で行う点に特徴の一つを
有する。
【0031】本発明でいう「水性溶媒」とは、水及び随
意成分としての水混和性有機溶媒からなる溶媒系を意味
するものである。
【0032】本発明で用いられる水性溶媒の水含有量は
反応終了時点で好ましくは50重量%以上、より好まし
くは70〜95重量%;最も好ましくは80〜90重量
%である。
【0033】また、上記水混和性有機溶媒としては、例
えばメチルアルコール、エチルアルコール、i−プロピ
ルアルコール等の低級アルコール類;例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン等のケトン類;例えば、ジオキ
サン(1,3−または1,4−)、テトラヒドロフラン
等の環状エーテル類;例えば、ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド等のそ
の他の水溶性有機溶媒などを例示することができる。
【0034】本発明のアルカリ金属アジ化物の製法を工
業的に有利に実施する方法の1つは、後記の実施例2の
ように、反応終了液から生成したアルカリ金属アジ化物
を分離採取した後、未反応ヒドラジンを含有する残液を
リサイクルして、更に亜硝酸アルカリエステル及びアリ
カリ金属水酸化物との反応に用いられる。このような場
合には、上記残液には、前記反応式(I)に従って生成
するアルコールが含有されるので、必要に応じアルコー
ルを蒸留回収しても、リサイクルされる残液にはなお微
量のアルコールが残存することがあるので、次工程の反
応に提供される原料の水性溶媒には上記副生アルコール
が含有されることがある。
【0035】本発明の更なる態様としては、原料の亜硝
酸エステルの分散乃至は溶解を増加させて、前記反応式
(I)の反応速度を向上させるため、後記実施例3のよ
うに、反応系に供給される原料の水性溶媒に前記水混和
性有機溶媒を積極的に添加することができる。
【0036】かくて、本発明で用いられる水性溶媒の水
含有量は、反応終了時点で測定して、好ましくは50重
量%以上、より好ましくは70〜95重量%、最も好ま
しくは80〜90重量%である。
【0037】本発明のアルカリ金属アジ化物の製法は、
前記のようにヒドラジンの反応率を50〜90%、好ま
しくは55〜80%、最も好ましくは60〜75%に抑
制する点に特徴の一つを有する。
【0038】ここでヒドラジンの反応率とは、反応系に
供給される全ヒドラジン(リサイクル法の場合には、リ
サイクルされる濾液などの中に含まれるヒドラジンと、
新に追加されるヒドラジンとの合計)に対する、反応に
より消費されたヒドラジンの割合をいう。
【0039】ヒドラジンの反応率が90%を超えて高過
ぎると、反応系中に生成したアルカリ金属アジ化物が亜
硝酸アルキルエステルとの副反応によって消費され、ア
ルカリ金属アジ化物の生成の選択率が低下すると共に、
取得されるアルカリ金属アジ化物の純度も低下するので
好ましくない。また、反応率が50%未満と小さ過ぎる
と、反応装置、単位時間あたりのアルカリ金属アジ化物
の生産量が低下するので好ましくない。
【0040】ヒドラジン反応率の制御は、亜硝酸アルキ
ルエステルの添加量で調整することが好適である。これ
は、亜硝酸アルキルエステルの添加モル数と、反応によ
るヒドラジンの消費モル数とがはほぼ一致することによ
る。
【0041】反応温度は特に限定されるものではない
が、あまり低温に過ぎると反応速度が遅くなり、また高
過ぎると生成したアルカリ金属アジ化物の水溶液中の安
定性が悪くなることより、通常は0℃〜80℃、好まし
くは20℃〜50℃の範囲で反応を制御するのがよい。
【0042】このようにして得られた反応液は反応終了
時、通常、少量のアルカリ金属アジ化物が析出した状態
になっているが、大部分は反応液中に溶解しているの
で、濃縮し、溶解分を析出させ、濾過等により単離する
ことができる。濃縮で留去した留分は反応に伴って生成
したアルコールを含む水溶液なので、蒸留、濃縮等の操
作により、アルコール水溶液として適宜回収することが
できる。
【0043】得られたアルカリ金属アジ化物は純度99
重量%以上で、消費したヒドラジンに基づいて80%以
上の収得収率である。
【0044】濾液は、必要に応じて水で希釈したのち残
存するヒドラジンを蒸留などの公知の方法で回収する
か、或いは、そのままアリカリ金属水酸化物、ヒドラジ
ンを加えて調整し、リサイクル使用することができる。
【0045】濾液中には生成したアルカリ金属アジ化物
の一部が溶存しているため、該濾液をリサイクル使用し
た場合には、使用したヒドラジンに対するアルカリ金属
アジ化物の収得収率を90%以上とすることができるの
で、工業的にはリサイクル反応による工程が望ましい。
【0046】反応はバッチによる通常の反応形態でも、
あるいは反応液を亜硝酸アルキルエステル吸収塔に導き
循環する形態でも実施することができる。いずれを選ぶ
かは、生産規模、設備要件を考えて決めればよい。
【0047】
【実施例】以下、実施例と共に比較例を挙げ、本発明を
一層詳細に説明する。
【0048】実施例1 撹拌装置及びガス吹き込み管と還流冷却管を付けた4つ
口の20lフラスコAに、35重量%水酸化ナトリウム
水溶液6.131(8.46kg、74.0モル)と5
1.2重量%ヒドラジン水溶液3.821(3.86k
g、61.8モル)とを仕込んだ。
【0049】次に、撹拌装置及びフラスコAのガス吹き
込み管に接続するガス排気管を付けた4つ口の201フ
ラスコBに、35重量%亜硝酸ナトリウム水溶液9.3
7kg(47.5モル)と純度99重量%のメチルアル
コール1.941(1.54kg、47.6モル)とを
仕込み、50重量%希硫酸3.331(4.66kg、
23.8モル)を撹拌下、25℃に保ちながら定量ポン
プにて添加し、逐次発生する亜硝酸メチルエステルのガ
スを排気管にてフラスコAに送った。
【0050】フラスコAは温度を30℃に保ち、激しく
撹拌しながらフラスコBで発生したガスをガス吹き込み
管より導入し反応させた。フラスコBにおける希硫酸の
添加には8時間かかった。フラスコAの反応の終了は、
フラスコBに添加した希硫酸の添加終了より1時間たっ
た時点をもってした。フラスコA内の反応液は、アジ化
ナトリウムの析出結晶を含むスラリー状であった。この
スラリー状反応液の溶液部分を採取し、ガスクロマトグ
ラフィー法(以下GC法ともいう)により溶液中のメタ
ノール含有量を測定し、該溶液の水性溶媒中の水含有量
を求めたところ86.4重量%であった。
【0051】ヒドラジンの反応率およびアジ化ナトリウ
ムの生成の選択率の測定は、このスラリー状反応液を撹
拌により均一な状態としてから、その1部を採取し、脱
イオン水を加えて析出しているアジ化ナトリウムを完全
に溶解させてから、それぞれ滴定法及び液体クロマトグ
ラフィー法により行った。ヒドラジンの反応率は70%
であり、アジ化ナトリウムの生成の選択率は、消費した
ヒドラジンに対し95%であった。
【0052】次いで得られた反応液を濃縮し、その際、
初留分として90重量%メチルアルコール1.861
(1.52kg、42.8モル)を回収し、さらに減圧
下反応液を濃縮して、液量が約1/3になったところで
濃縮を止め、析出したアジ化ナトリウム結晶を遠心濾過
し、未反応原料を含む濾液3.3kg及び湿分を含む結
晶2.44kg(純度95重量%)に分け、該結晶を6
0℃に保った真空乾燥器中で乾燥して、純度99.8%
の白色のアジ化ナトリウム結晶2.32kg(35.6
モル、消費したヒドラジンに対する収得収率82.4
%)を得た。
【0053】なお、該濾液の組成を分析したところ、下
表1のとおりであった。
【0054】
【表1】表1 濾液中の成分 成 分 含有量(モル) ヒドラジン 18.2 水酸化ナトリウム 32.9 アジ化ナトリウム 5.3 亜硝酸ナトリウム ─ メチルアルコール ─ 実施例2 (反応濾液リサイクル) 第1サイクル目の反応として実施例1と同様の反応操作
を繰り返し、湿分を含むアジ化ナトリウム結晶2.47
kg(純度95重量%、36.1モル)を得、反応液濃
縮時の初留分として90重量%のメチルアルコール水溶
液および未反応原料を含む濾液を回収した。この濾液中
のメチルアルコール含有量をGC法により測定したとこ
ろ検出できず、従って水性溶媒中の水含有量は100重
量%であった。
【0055】次に、この回収濾液をフラスコAに戻し、
35重量%水酸化ナトリウム水溶液4.231(5.8
3kg、51.0モル)と51.2重量%ヒドラジン水
溶液2.681(2.70kg、43.2モル)とを加
えた。この量は、第1サイクル目の反応により消費した
分に相当する。更に、容器の容量との釣合をとるために
第1サイクル目の反応時の体積となるように脱イオン水
で増量した。
【0056】フラスコBは、実施例1と同様の仕込み量
で新たに亜硝酸ナトリウム水溶液を加え、第1サイクル
目の反応で回収した初留分のメチルアルコール水溶液
1.861(1.52kg、42.8モル)と純度約9
9%メチルアルコール0.1921(0.152kg、
4.7モル)とを仕込んだ、希硫酸を実施例1と同様に
用意し、同様に反応を行った。反応終了時の水性溶媒中
の水含有量は86.5重量%(GC法)であった。次い
で、実施例1で示したと同様の操作で、90重量%メタ
ノール水溶液を初留分として回収し、アジ化ナトリウム
結晶および反応濾液を得た。
【0057】この操作を同様に10回繰り返し、第1サ
イクル目と合わせ、合計11回の反応を行った。繰り返
し反応に際してフラスコAに追加して仕込んだ試薬の量
は、上記の試薬追加分と同量である。この様にして第1
サイクル目の反応と繰り返し反応10回とで得られた湿
分を含む結晶の合計は30.4kgであった。該結晶を
実施例1同様に乾燥したところ、純度99.5%の白色
のアジ化ナトリウム29.0kg(444モル、使用し
たヒドラジンに対する収得収率90.0%)を得た。
【0058】各反応回における追加ヒドラジン量及びそ
れに対するヒドラジンの反応率並びに消費したヒドラジ
ンに対するアジ化ナトリウムの生成の選択率及び収得量
(モル数)を表2に示す。また、各反応回毎の反応終了
時における水性溶媒中の水含有量も示した。
【0059】
【表2】 表2 実施例2(反応濾液リサイクル) 水性溶媒 ヒドラジン アジ化ナトリウム 水含有量 リサイクル 追加量 反応率 選択率 収得率 (反応終了時) 反応回数 (モル) (%) (%) (モル) (%) 1 61.8 70 95 36.1 86.4 2 43.2 〃 〃 39.4 86.5 3 〃 〃 〃 40.7 86.6 4 〃 〃 〃 41.0 86.5 5 〃 〃 〃 41.0 〃 6 〃 〃 〃 〃 〃 7 〃 〃 〃 〃 〃 8 〃 〃 〃 〃 〃 9 〃 〃 〃 〃 〃 10 〃 〃 〃 〃 〃 11 〃 〃 〃 〃 〃 合 計 493.8 95 444.2 注)各反応毎における反応開始時のヒドラジン量は6
1.8モルで一定となるようにした。
【0060】実施例3 撹拌装置及びガス吹き込み管と還流冷却管を付けた4つ
口の500mlフラスコAに、35重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液82.8ml(114g、1.0モル)、5
1.2重量%ヒドラジン水溶液62.5ml(62.5
g、1.0モル)及び純度99重量%のメチルアルコー
ル74.7ml(59.0g、1.8モル)を仕込ん
だ。次に、内容積100mlの滴下ロート、撹拌装置及
びフラスコAのガス吹き込み管に接続するガス排気管を
付けた4つ口の200mlフラスコBに、35重量%亜
硝酸ナトリウム水溶液138.0g(0.7モル)と純
度99重量%のメチルアルコール28.4ml(22.
4g、0.7モル)とを仕込み、また、50重量%希硫
酸49ml(約68.6g、0.35モル)を滴下ロー
トに仕込んで、撹拌下、約25℃に保ちながら滴下し、
逐次発生する亜硝酸メチルエステルのガスを排気管にて
フラスコAに送った。
【0061】フラスコAは温度を約30〜40℃に保
ち、激しく撹拌しながらフラスコBで発生したガスをガ
ス吹き込み管より導入し反応させた。フラスコBにおけ
る希硫酸の添加には約3時間かかった。フラスコAの反
応の終了は、フラスコBに添加した希硫酸の添加終了よ
り1時間たった時点をもってした。フラスコA内の反応
液は、アジ化ナトリウムの析出結晶を含むスラリー状で
あった。
【0062】以下、実施例と同様にして得られたスラリ
ー状反応液を分析したところ、該反応液の水性溶媒中の
水含有量は61.5重量%、ヒドラジンの反応率は70
%であり、アジ化ナトリウム生成の選択率は、消費した
ヒドラジンに対して95%であった。
【0063】次いで得られた反応液を濃縮し、その際、
初留分として90重量%メチルアルコール88.3ml
(72.2g、2.0モル)を回収し、さらに減圧下反
応液を濃縮して、液量が約1/4になったところで濃縮
を止め、析出したアジ化ナトリウム結晶を遠心濾過し、
メチルアルコール約20mlで洗浄した。得られた湿分
を含む結晶を60℃に保った真空乾燥器中で乾燥して、
純度99.8%の白色のアジ化ナトリウム結晶36.4
g(0.56モル;消費したヒドラジンに対する収得収
率80%)を得た。
【0064】実施例4(吸収塔反応例:亜硝酸メチル) 内径28mmのパイレックス製硝子管に、20cmの厚
みで硝子製のラヒッシリングを詰めた亜硝酸アルキルエ
ステル吸収塔を作る。51.2重量%ヒドラジン62.
8g(1.00モル)、25重量%水酸化ナトリウム水
溶液193.8g(1.21モル)よりなる反応液を調
整し、硝子管の上部より500ml/minの速度で導
入し、流出液は再びポンプで硝子管上部に上げ循環し
た。反応温度を40℃に保ち、硝子管の底部より亜硝酸
メチルエステルを標準状態換算で20ml/minの速
度で導入したところ完全に吸収した。そのまま13時間
反応を継続(亜硝酸メチルエステルとして0.70モル
導入)したところ、反応終了時には、極少量のアジ化ナ
トリウムが析出していた。反応液を集め、その一部を実
施例1同様GC法で分析したところ水性溶媒中の水含有
量は90重量%であった。次に集めた反応液を減圧下4
0℃以下で濃縮し、析出した結晶を濾過し、真空乾燥し
て99.8%純度のアジ化ナトリウムの結晶38.4g
(0.59モル)を得た。
【0065】濾液は52.7gであって、組成を分析し
たところ下表3のとおりであった。消費したヒドラジン
(反応率69%)を基に計算すると、アジ化ナトリウム
生成の選択率は95%であり、消費したヒドラジンに対
する収得収率は85.5%であった。
【0066】
【表3】表3 濾液中の成分 成 分 含有量(モル) ヒドラジン 0.31 水酸化ナトリウム 0.55 アジ化ナトリウム 0.07 亜硝酸ナトリウム 0.001 メチルアルコール ─ 比較例 実施例1において、フラスコBへの亜硝酸ナトリウム水
溶液およびメチルアルコールの仕込み量を、それぞれ1
3.39kg(67.9モル)および2.771(2.
20kg、68.1モル)に変え、添加する希硫酸の量
を4.7561(6.659kg)に変える以外は実施
例1とほぼ同様にして反応を行い、アジ化ナトリウムの
析出結晶を含むスラリー状の反応液を得た。この反応に
おけるヒドラジンの反応率は98%であり、アジ化ナト
リウムの生成の選択率は、消費されたヒドラジンに対し
75%であった。
【0067】この反応液を、液量が1/3程度になるま
で濃縮し、析出した結晶を遠心濾過して、湿分を含む結
晶2.78kgを得、更にこの結晶を実施例1と同様に
乾燥して、純度98.8%の白色のアジ化ナトリウム
2.67kg(消費したヒドラジンに対する収得収率6
7.0%)を得た。
【0068】
【発明の効果】本発明のアルカリ金属アジ化物の製造方
法は、従来の、アルコールなど有機溶媒を用いる方法に
比べて、低コストで安全性が高く、且つ、ヒドラジンに
対する収率の点でも優れた方法である。
【0069】そして本発明方法は、従来、収率、純度の
点で不利と考えられ、充分に検討されたことのない水性
溶媒中で、例えば、水酸化ナトリウムなどのアリカリ金
属水酸化物の存在下に、ヒドラジンおよび亜硝酸アルキ
ルエステルを反応させるものであり、その際、ヒドラジ
ンの反応率を一定の範囲に制御することにより、副反応
を抑制することができるため、消費されたヒドラジンに
対して、例えば、95%程度の高選択率でアルカリ金属
アジ化物が生成する。
【0070】生成したアルカリ金属アジ化物は、常法に
従って反応溶液を濃縮して晶析させ、濾過により容易に
単離し、乾燥するだけで99重量%以上の高純度品とし
て収得できる。
【0071】濾液はそのままアリカリ金属水酸化物、ヒ
ドラジンを補充して調整し、リサイクル使用することが
できる。そして、このリサイクルによって使用したヒド
ラジンに対するアルカリ金属アジ化物の収得収率を90
%以上まで高めることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮田 一芳 富山県魚津市青島571−1 日本カーバ イド工業株式会社 青島社宅305号 (56)参考文献 特開 平4−342404(JP,A) 特開 昭50−144700(JP,A) 米国特許1628380(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 21/06 CA(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドラジンと亜硝酸アルキルエステルと
    をアルカリ金属水酸化物の存在下溶媒中で反応させアル
    カリ金属アジ化物を製造する方法において、該溶媒とし
    反応終了時点での水含有量が50重量%以上である
    性溶媒を用い、ヒドラジンの反応率を50%〜90%に
    抑制することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 水性溶媒の水含有量が70〜95重量%
    である請求項記載の方法。
  3. 【請求項3】 水性溶媒の水含有量が80〜90重量%
    である請求項記載の方法。
  4. 【請求項4】 ヒドラジンの反応率を55〜80%に抑
    制する請求項1〜の何れかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 ヒドラジンの反応率を60〜75%に抑
    制する請求項に記載の方法。
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