JP3081685U - 厨房用加熱機器に於けるオイル分離装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部に固着する可燃残滓を極力減らし、防火
ダンバーの確実な作動を保証し得る厨房用加熱機器のオ
イル分離装置を開発する。 【解決手段】 図１の実施例により慣性分離フィルター
５にて肉片等を捕捉し、ミストセパレーター７にて油分
を捕捉し、ダンバー室８の気流を浄化して防火ダンバー
９の確実な作動を保証する。 【効果】 内部に固着する可燃残滓が激減し、防火ダン
バーの確実な作動が保証されるので、発火の危険性が略
皆無となった。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、焼肉店等にて使用されている厨房用加熱機器において、防火ダンバ ーの円滑な作動を確保するためにフィルター部分等に改良を施した厨房用加熱機 器に於けるオイル分離装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

実施例である厨房用加熱機器は、近年、焼肉店等に盛んに導入され、煙も立た ず、臭いも周囲に出にくいところから、非常に人気を博している。

【０００３】 該厨房用加熱機器の平均的な構造を図３に模式的に示す。厨房用加熱機器11は バーナーＢを有する燃焼室12と燃焼室12を囲繞するように配設された排気通路1
3、燃焼室12及び排気通路13の下方に設置されたメッシュフィルター15を有する
フ ィルター室14、さらにフィルター室14の下方に貫入されたダンバー室16より構成 され、ダンバー室16内には防火ダンバー17が回動自在に枢着されている。なお、 Ｄは接続ダクトで、排気ファン（図示せず）を有する排気ダクト（図示せず）に 連接されている。

【０００４】 燃焼室12の上方に載置された肉等（図示せず）がバーナーＢの火で焼かれると 当然煙が発生するが、発生した煙は排気ファン（図示せず）の吸引力により上方 に立ち上らず、燃焼室12を囲繞するように配設された排気通路13に吸引されて下 方に向かう。

【０００５】 この際、煙と同時に焼かれた肉片等の一部や油分も同時に排気通路13に吸引さ れて下方に向かう。しかし、図３に見るように排気通路13がメッシュフィルター 15の手前で屈曲しているので、比較的大粒の肉片等が屈曲部に滞留し、これに油 分が混和されて可燃残滓Ｋとなって屈曲部を中心に排気通路13の壁面に固着する 。可燃残滓Ｋはメッシュフィルター15の上面や内部にも固着する。

【０００６】 メッシュフィルター15は金網製で、可燃残滓Ｋのかなりの部分はここで係止さ れるが、メッシュフィルター15の目の大きさにより、さらに下方に落下するもの も少なくない。該現象はメッシュフィルター15の目を細かくすれば回避し得るが 、そうすると今度はメッシュフィルター15の目詰りが頻繁に生じるようになり、 掃除や交換の頻度が上昇するので、実際にはメッシュフィルター15の目は余り細 かくできないのが現状である。

【０００７】 メッシュフィルター15を通過した煙や油分や可燃残滓Ｋは下方にあるダンバー 室16に吸引される。この際、フィルター室14に貫入されたダンバー室16の周囲（ すなわちフィルター室14の底部）には不純物が混ざった油分が半固化したゼリー 状油溜りＺが形成される。

【０００８】 ダンバー室16内には、ヒューズあるいは温度センサー（いずれも図示せず）付 の防火ダンバー17が装着されている。防火ダンバー17は枢軸17ｂに枢着され、図 示しないスプリング機構により通常位置では垂直方向に仮固定されている。した がって、煙その他は通常の状態では防火ダンバー17を障碍とすることなく、さら に下方の接続ダクトＤ方向に吸引される。なお、ダンバー室16の壁面にもメッシ ュフィルター15を通過した可燃残滓Ｋの固着が見られる。

【０００９】 バーナーＢにより焼かれた肉片等は、通常は排気通路13に入るころには燃焼状 態ではなくなり、温度も低下する。しかし、稀にはフィルター室14やダンバー室 16にまで燃焼状態の肉片等、すなわち火の粉が吸引されてくることがある。該火 の粉は排気通路13やフィルター室14やダンバー室16に固着する可燃残滓Ｋに接触 し、これにより可燃残滓Ｋの発火を見る場合もある。

【００１０】 可燃残滓Ｋの発火により異常高温個所が発生すると、吸引される気流も高温化 し、高温の気流が防火ダンバー17に衝突する。これにより防火ダンバー17自体が 高温化し、防火ダンバー17に装着されたヒューズ（図示せず）が溶融切断される （あるいは図示しない温度センサーが感知する）。ヒューズが切断される（温度 センサーが感知する）とスプリング装置（図示せず）の働きにより防火ダンバー 17が枢軸17ｂを中心にして急激に時計回りに90°回転し、水平位置で停止する（ 防火ダンバー17ａ）。

【００１１】 防火ダンバー17が回動して防火ダンバー17ａとなると、ダンバー室16を通過す る気流は防火ダンバー17ａが障碍となり、停止させられる。吸引気流が停止させ られることにより燃焼室12からの新たな酸素の供給も停止され、可燃残滓Ｋの燃 焼も停止させられる。

【００１２】

【考案が解決しようとする課題】

防火ダンバー17は以上のような機能を有するものであり、厨房用加熱機器11の 発火防止に欠くことのできない構成である。しかしながら、前述のようにダンバ ー室16にも煙と一緒に肉片等や油分が流入し、可燃残滓Ｋを形成し、その一部は 防火ダンバー17の枢軸17ｂにも付着する。

【００１３】 この付着の程度が甚だしくなると、防火ダンバー17の回動を阻害し、ヒューズ （図示せず）が切れても（あるいは温度センサーが感知しても）防火ダンバー17 が回動せず、酸素の供給が続行され、ついに火災に至るケースも生じてくる。

【００１４】 近年、上記事情による火災の発生が焼肉店等で相次ぎ、全国で年間10件を超え る例が報告されるようになった。

【００１５】 そこで本考案においては、内部に可燃残滓が固着しにくい構造であり、特に防 火ダンバーの枢軸に油分や可燃残滓が固着するのを防止する構成とすることによ り防火ダンバーの確実な動作を保証し、よって従来の無煙ロースターを始め、そ の他厨房用加熱機器自体の発火を抑制する厨房用加熱機器に於けるオイル分離装 置の開発を課題とした。

【００１６】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記課題を解決するためになされたものであって、その要旨とすると ころは、以下のとおりである。 ＜解決手段１＞ バーナーを備えた燃焼室と、該燃焼室より煙を下方に導く排気通路と、慣性分 離フィルターを備えたフィルター室と、ミストセパレーターを備えたセパレータ ー室と、該セパレーター室に横方向から連接された防火ダンバーを備えたダンバ ー室と、油の滞留しやすい部分に敷設された油吸収マットとから構成されること を特徴とする厨房用加熱機器に於けるオイル分離装置を提供する。 ＜解決手段２＞ 上記慣性分離フィルターが、金属からなる両端を曲折した硬質板を、間隙を設 けて複数並列したものを半ピッチずつずらせて多段に配列した構成であることを 特徴とする解決手段１に記載の厨房用加熱機器に於けるオイル分離装置を提供す る。 ＜解決手段３＞ 上記ミストセパレーターが、金属製のリボン又は針金を折り曲げ、あるいは金 属の小片等を不規則に上記セパレーター室内に充満させたものであることを特徴 とする解決手段１又は解決手段２に記載の厨房用加熱機器に於けるオイル分離装 置を提供する。

【００１７】

【考案の実施の形態】

本考案の１実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。 （構成） 図１は本考案の1実施例の防火型無煙ロースター１の構成を模式的に示す。

【００１８】 図１において、Ｂはバーナー、２は燃焼室、３は燃焼室２を囲繞するように設 けられた排気通路である。バーナーＢ、燃焼室２、排気通路３の構成は従来の厨 房用加熱機器11（図３参照）と略同一である。ただ、排気通路３の底面にはガラ ス繊維等よりなる不燃性の油吸収マットＮが敷設されている。油吸収マットＮは 交換可能である。

【００１９】 燃焼室２及び排気通路３の下方にはフィルター室４が連接され、フィルター室 ４の上端部分には慣性分離フィルター５が嵌着されている。また、フィルター室 ４の底面の周辺部にはガラス繊維等よりなる不燃性の油吸収マットＮが敷設され ている。油吸収マットＮは交換可能である。

【００２０】 慣性分離フィルター５は図２ａにその一部を示すように、金属や合成樹脂等か らなる両端を曲折した硬質板５ａを間隙を設けて複数並列したものを半ピッチず つずらせて多段に配列した構成で、図２ａにては３段であるが、３段以外の段数 も当然取り得るものである。並列した硬質板５ａの間の間隙は排気風量により異 なるが、３ｍｍ〜７ｍｍ程度である。

【００２１】 図１に示すように、フィルター室４の底面中央部にはセパレーター室６の上端 が貫入されている。セパレーター室６はフィルター室４の下方に連接されており 、内部にはミストセパレーター７が充填されている。また、セパレーター室６の 底面は開放端となり、該開放端には蓋10が嵌着され、蓋10内に油溜りＯが形成さ れている。

【００２２】 ミストセパレーター７は金属製のリボン又は針金を折り曲げ、あるいは金属の 小片等を不規則にセパレーター室６内に充満させた構成となっている。要するに 、ミストセパレーター７は、体積に比較して表面積の大きい形状の金属を、気流 が通過できるようにある程度の間隙をもってセパレーター室６内に充満させた構 成である。

【００２３】 セパレーター室６の側面にはダンバー室８が水平に連通して連接されており、 ダンバー室８内部にはヒューズ（図示せず）を内蔵した防火ダンバー９が枢軸９ ｂにより枢着されている。防火ダンバー９は従来の無煙ロースター11の防火ダン バー17（図３参照）と略同一の構成で、図示しないスプリング装置により水平状 態に仮固定されている。

【００２４】 フィルター室４には接続ダクトＤが連接され、接続ダクトＤは図示しない排気 ダクトと図示しない排気ファンに連接されている。

【００２５】 （作用） 防火型無煙ロースター１の作用は以下に説明するとおりである。すなわち、図 示しない排気ファンの回転が図示しない排気ダクトから接続ダクトＤ、ダンバー 室８、セパレーター室６、フィルター室４、排気通路３に至る吸引気流を形成し 、バーナーＢにより焼かれた肉等の煙は燃焼室２から排気通路３に吸引される。

【００２６】 この際、煙と同時に肉片等や油分も吸引されるが、油分の一部は排気通路３の 底面に敷設された油吸収マットＮに吸収される。一方、残余の油分、煙、肉片等 はフィルター室４の上端部に嵌着された慣性分離フィルター５に吸引される。慣 性分離フィルター５は従来の厨房用加熱機器11のメッシュフィルター15に比較す ると目が粗いので、通過させる気流の流速も速くなり、肉片等は排気通路３に滞 留することなく慣性分離フィルター５に吸引される。

【００２７】 慣性分離フィルター５は図２ｂに示すように、気流に乗って運搬される物質の うち慣性の大きい大粒Ｌは係止させるが、慣性の小さい極微細な小粒Ｓや霧状と なったミストＭは通過させる。大粒Ｌは主として肉片等であり、小粒Ｓやミスト Ｍは煙や油分であるので、慣性分離フィルター５は肉片等を捕捉し、煙や油分を 通過させる働きを有するものである。

【００２８】 図１に見るように慣性分離フィルター５を通過した気流はフィルター室４の下 端に連接されたセパレーター室６に吸引される。このとき、上記のように肉片等 はその殆どが慣性分離フィルター５により捕捉されるので、セパレーター室６に 吸引されるのは大部分が煙と油分である。また、油分の一部はフィルター室４の 底面の周辺部に敷設された交換可能の油吸収マットＮに吸収される。

【００２９】 セパレーター室６では、ミストセパレーター７の表面に油分と極微細な煙の粒 子が吸着され、それらはミストセパレーター７を滴下し、油溜りＯに不純物を含 んだ液状の油分となって蓄積される。一方気流はセパレーター室６の側面に連通 して連接されたダンバー室８に吸引される。

【００３０】 ダンバー室８に吸引された気流は、慣性分離フィルター５により肉片等が除去 され、ミストセパレーター７により油分や煙の微細粒子等が除去されているので 、従来の厨房用加熱機器11（図３参照）のダンバー室16を通過する気流に比較す ると大幅に浄化されている。したがって、従来の厨房用加熱機器11の防火ダンバ ー17の場合ようにその作動の障碍となる肉片等や油分が枢軸９ｂに固着すること がない。

【００３１】 したがって、なんらかの原因で気流が高温化して、防火ダンバー９のヒューズ （図示せず）が切断されてた場合も、防火ダンバー９の回動（防火ダンバー９ａ の位置への回動）は極めて円滑に行われる。

【００３２】 以上の実施例では、防火型無煙ロースターに本考案のオイル分離装置を施した 場合を説明したが、図４、図５に示すように、防火型無煙ロースターに限局され ることなく、広く一般厨房用加熱機器に於いても本考案のオイル分離装置を施し ても良いことは勿論である。

【００３３】

【考案の効果】

以上に記述したように、本考案の厨房用加熱機器に於けるオイル分離装置にお いては、慣性分離フィルターとミストセパレーターの作用により、発火の原因と なる可燃残滓が内部に殆ど固着しないので、従来の厨房用加熱機器に比較すると 発火の可能性の非常に低いものである。

【００３４】 また、万が一何らかの原因で発火したとしても、防火ダンバーの作動が確実に 保証されるので、発火部分の燃焼は確実に停止され、火災に至ることがない。

【００３５】 さらに、本考案の厨房用加熱機器に於けるオイル分離装置に於いては、可燃残 滓が内部に殆ど固着せず、慣性分離フィルターとミストセパレーターも交換可能 であるので清潔である。油吸収マットの効果により油分も確実に分離され、また 、油吸収マットも交換可能であるので常に清潔な状態を保持し得るものである。 なお、セパレーター室の底面の蓋により、内部に蓄積された液状の油分も廃棄可 能である。

【００３６】 以上より、本考案の厨房用加熱機器に於けるオイル分離装置は、火災の発生の 危険性を最小限とし、かつ内部を常に清潔な状態に保持できる新しい厨房用加熱 機器として、焼肉店等にて安心して使用し得るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の１実施例、焼肉店などで使用される加
熱機器の防火用無煙ロースターの構成を説明する説明図
（模式断面図）である。

【図２】ａ 本考案の１実施例、焼肉店などで使用され
る加熱機器の防火用無煙ロースター要部の外観斜視図で
ある。ｂ 本考案の１実施例、焼肉店などで使用される
加熱機器の防火用無煙ロースター要部の作用を説明する
説明図である。

【図３】従来の焼肉店などで使用される加熱機器の防火
用無煙ロースター構成を説明する説明図（模式断面図）
である。

【図４】本考案の他の類似実施例、即ち一般厨房用加熱
機器にオイル分離装置を施した正面図である。

【図５】図４に示す厨房用加熱機器に於けるオイル分離
装置のＡ−Ａ断面図である。

【符号の説明】

１ 防火用無煙ロースター ２ 燃焼室 ３ 排気通路 ４ フィルター室 ５ 慣性分離フィルター ５ａ 硬質板 ６ セパレーター室 ７ ミストセパレーター ８ ダンバー室 ９ 防火ダンバー ９ａ 防火ダンバー ９ｂ 枢軸 10 蓋 11 防火用無煙ロースター 12 燃焼室 13 排気通路 14 フィルター室 15 メッシュフィルター 16 ダンバー室 17 防火ダンバー 17ａ 防火ダンバー 17ｂ 枢軸 Ｂ バーナー Ｄ 接続ダクト Ｋ 可燃残滓 Ｌ 大粒 Ｍ ミスト Ｎ 油吸収マット Ｓ 小粒 Ｏ 油溜り Ｚ ゼリー状油溜り 18 排気通路 19 排気ダクト 20 油溜り 21 ミストセパレーター 22 吸入口油溜り 23 フード油溜り 24 慣性分離フィルター 25 アフターフィルター 26 接続ダクト

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 バーナーを備えた燃焼室と、該燃焼室よ
   り煙を下方に導く排気通路と、慣性分離フィルターを備
   えたフィルター室と、ミストセパレーターを備えたセパ
   レーター室と、該セパレーター室に横方向から連接され
   た防火ダンバーを備えたダンバー室と、油の滞留しやす
   い部分に敷設された油吸収マットとから構成されること
   を特徴とする厨房用加熱機器に於けるオイル分離装置。
2. 【請求項２】 上記慣性分離フィルターが、金属や合成
   樹脂等からなる両端を曲折した硬質板を、間隙を設けて
   複数並列したものを半ピッチづつずらせて多段に配列し
   た構成であることを特徴とする請求項１に記載の厨房用
   加熱機器に於けるオイル分離装置。
3. 【請求項３】 上記ミストセパレーターが、金属製のリ
   ボン又は針金を折り曲げ、あるいは金属の小片等を不規
   則に上記セパレーター室内に充満させたものであること
   を特徴とする請求項１又は請求項２に記載の厨房用加熱
   機器に於けるオイル分離装置。