JP3080541U - 浮子式止水装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 幅方向の長さが短い貯水タンクＴでも利用で
きる浮子式止水装置を提供する。 【解決手段】 貯水タンクＴに水を供給する出水口２を
開閉する浮子式止水装置であり、鉛直方向下方に開口す
る出水口２と、この出水口２に対向して設けられた弁４
と、この弁４に当接し弁４を出水口２に圧接する一以上
の浮子５と、この浮子５を収納するガイド管とからな
り、貯水タンクＴの水量が給水を不要とする水位にある
ときは、浮子５が浮力により弁４を出水口２に圧接して
出水口２を閉じ、前記水量が給水を要とする水位にある
ときは、浮子５が降下して弁４を出水口２から離間して
出水口２を開放する浮子式止水装置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、例えば水洗トイレに用いられる浮子式止水装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の浮子式止水装置は、実開昭５５−７６２７５公報に示されるよ うなものが知られている。

【０００３】 図３に示す同公報に記載の浮子式止水装置は、導水管３０の出水口３１を閉じ る弁３２が、水量に応じて上下する浮子３３を有する浮子ユニット３４を用いて 開閉されるようになっていて、水の給水・停止を行っていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、この浮子式止水装置は、浮子３３にかかる浮力をテコの原理を 利用して弁３２を閉じる力に変換しているので、浮子３３に連設する支持棒３５ を一定の長さにする必要があった。このため、この浮子式止水装置では、浮子ユ ニット３４が占める幅方向の長さが確保された貯水タンクＴでないと利用するこ とができないという制約があった。

【０００５】 本考案は、この問題を解決するために成されたもので、幅方向の長さが短い貯 水タンクでも利用できる浮子式止水装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するための本考案が前提とする浮子式止水装置は、貯水タンク に水を供給する導水管の鉛直方向下方に開口する出水口に着脱可能に装着されて 該タンクの内部を上下に延びるガイド管と、前記ガイド管の内部に装着されて前 記出水口を開閉可能にする弁と、前記ガイド管の内部における前記弁の下方に配 置されて前記タンクの水量に応じて前記ガイド管の内部を上下動可能になってい る少なくとも一つの浮子とから構成され、前記タンクの水量が給水を不要とする 水位にあるときは、前記浮子がその浮力によって前記弁を前記出水口に圧接させ ることにより前記弁が前記出水口を閉じ、前記タンクの水量が給水を要とする水 位にあるときは、前記浮子が前記ガイド管の内部を降下して前記弁を前記出水口 から離間することにより前記弁が前記出水口を開けるようになっている。

【０００７】 この考案の好ましい実施態様の一つは、前記ガイド管がこのガイド管を貫通す る多数の透孔をその周壁に有していることである。

【０００８】 また、この考案の好ましい実施態様の他の一つは、前記浮子は複数個設けられ ていることである。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下、本考案を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。

【００１０】 この実施の形態は、本考案を水洗トイレに適用したものである。

【００１１】 図１は、貯水タンクＴに設置された本考案に係る浮子式止水装置を鉛直方向に 切断した断面図である。

【００１２】 図２は、図１のＩＩ−ＩＩ線に沿った断面の上方からの矢視図であり、弁４、 弁収納部１０およびガイド管６の配置関係を示している。

【００１３】 図１に示すように、本実施の形態の浮子式止水装置１は、浮子５を利用して出 水口２の開閉を行うもので、鉛直方向下方に開口する出水口２を有する導水管３ と、この出水口２を開閉する弁４と、この弁４を出水口２に圧接・離間させる浮 子５と、この浮子５を収納するガイド管６とを主な構成としている。

【００１４】 この浮子式止水装置１は、従来のテコの原理を利用した一定の長さの支持棒を 有する浮子式止水装置を設置した貯水タンクと比較すると幅方向の長さが短い貯 水タンクＴに設置されている。

【００１５】 この貯水タンクＴに給水する導水管３は、その前端部が貯水タンクＴ内で直角 に曲がっており、先端に鉛直方向下方に開口する出水口２を有する。

【００１６】 この出水口２は、導水管３の内径より充分小さい内径となっており、その周囲 は弁４が密着する環状の弁座７となっている。

【００１７】 この出水口２に対向する鉛直方向下方には弁４が設けられ、この弁４は、弁座 ７に密着する上部にゴム等の弾性部材８が貼付された円柱体であり、硬質プラス チック等の軽量材料から形成されている。また、この弁４は、後述する弁収納部 １０の内径より小さい外径を有し（図２参照）、弁収納部１０の内周と弁４の外 周との間隙は、出水口２から給水される水の流路となっている。したがって、こ の間隙は、給水される流量に見合う最適な間隙になるように、出水口２および弁 ４の形状が設計されている。

【００１８】 この弁４の下方には、硬質プラスチック等の軽量材料から形成されたピンポン 玉状の中空球体である浮子５が設けられ、弁４がこの上部に載置される。本実施 の形態では、浮子５は４ケ連接されている。

【００１９】 浮子５の上部に載置された弁４は、出水口２の下方に形成された弁収納部１０ に概ね収納されている。この弁収納部１０は、導水管３の周壁が一体になって延 出した周壁９で形成され、下方が開口した円筒体となっている。また、この弁収 納部１０の弁座７面から下端面までの寸法は、浮子５が弁４を弁座７に圧接した 時、浮子５と弁収納部１０の下端との間に水が流通する所定の空隙が形成される 寸法に設定されている。

【００２０】 浮子５は、弁収納部１０に連設し鉛直方向下方に延びるガイド管６内に収納さ れている。図２に示すように、このガイド管６は、硬質プラスチック等の軽量材 料から形成され、内寸法が浮子５の外径よりわずかに大きい矩形状であり、弁収 納部１０に嵌合し、その周壁９に外接している。そして、この周壁９の中心をは さんで対称位置にある前記外接部位に穿たれた一対の穿穴に、ガイド管６を貫通 したねじ穴に螺合された２本のボルト１１，１１の先端が係止されて、ガイド管 ６は弁収納部１０に連設している。２本のボルト１１，１１は、緩み防止用ナッ ト１２，１２で固定されている。

【００２１】 また、図１に示すように、このガイド管６には、その壁部の所定位置に複数の 透孔１３，１３…が設けられ、給水時に出水口２から給水される水がこの透孔１ ３を介してガイド管６から貯水タンクＴに流下するようになっている。このガイ ド管６の底部には底蓋１５が嵌合されており、水位が低下しても浮子５がガイド 管６から離脱しないようになっている。この底蓋１５も、ガイド管６と同様な硬 質プラスチック等の軽量材料から形成され、その中心部を充分外れた所望に位置 に透孔１３が少なくとも１ケ設けられている。このガイド管６の鉛直方向の寸法 は、弁４が出水口２に密着したときに、最下方の浮子５と底蓋１５との間が、概 ね弁４の高さの半分くらいの寸法になるように設定されている。このガイド管６ の前記寸法は、この例に限らず貯水タンクＴの水が排水されて弁４を載置した浮 子５が底蓋１５に接した時に、出水口２から水が支障なく給水されるとともに弁 ４の頭部が、弁収納部１０の下端から離脱することのない充分な距離に設定され ていればよい。

【００２２】 ガイド管６の底部と底蓋１５との嵌合は、例えば、ガイド管６の外周の中心を はさんで対称位置に穿たれた一対の穿穴に、底蓋１５の内面の前記穿穴に対応す る部位に設けられた一対の小突起を、プラスチックの弾性を利用してワンタッチ 嵌合する構造とか、あるいは前記弁収納部１０とガイド管６との嵌合と同様にボ ルトを用いて嵌合する構造とか周知の様々な嵌合構造が用いられる。

【００２３】 なお、ガイド管６を本実施の形態では矩形状としたが、円筒状としても良い。 ただし、ガイド管６を円筒状とした場合は、その内周と浮子５との外周との間に 水の流路を確保する必要があるので、浮子５をやや小径にするかあるいはガイド 管６をやや大径にするかのいずれかにする必要がある。円筒状のガイド管６では 、底蓋１５の嵌合は、螺子嵌合とすることができる。

【００２４】 つぎに本実施の形態の作用について説明する。

【００２５】 図１に示すように出水口２が開口されて水が供給されている状態を出発点とし て本実施の形態の浮子式止水装置の作用を説明する。

【００２６】 図1に示すように、貯水タンクＴの水面が下方にあるので、浮子５，５…には 十分に浮力がかからず弁４は出水口２から離間していて給水が成される。給水さ れた水は、弁４と弁収納部１０との間隙を流下してガイド管６に流入する。この 流入した水は、ガイド管６の隅部１６，１６…の空間（図２参照）を流下してガ イド管６内に溜まるとともにその壁部の複数の流水口１３，１３…から貯水タン クＴに流下する。

【００２７】 給水の進行に伴い貯水タンクＴの水位が上昇してくると、浮子５，５…が受け る浮力が高まり、弁４を上昇させる。この弁４の上昇に伴い弁４と出水口２との 間隙が縮まり給水量が低下してゆく。貯水タンクＴの水位が給水を不要とする規 定水位に達すると同時に浮子５，５…が受ける浮力も最大に達し、浮子５，５… が弁４を出水口２に圧接し給水は完全に停止する。このようにして、貯水タンク Ｔに所定の水量が満たされる。

【００２８】 ついで、貯水タンクＴの底部に設けられている図示しない排水口が開口される と貯水タンクＴの水が一気に便器に排出される。これにより貯水タンクＴの水位 は一気に低下し、浮子５，５…が受ける浮力は失われ、出水口２の水圧と相俟っ て弁４および浮子５，５…が降下し弁４が弁座７から離間して、出水口２を開口 する。こうして給水を要とする水量となった貯水タンクＴへの前述の給水が再び 始まる。

【００２９】 本実施の形態は、本考案の浮子式止水装置を水洗トイレに適用したものである が、本考案の浮子式止水装置は、この種の用途の様々な貯水タンクＴに広く適用 することができる。

【００３０】 本実施の形態は、浮子を４ケ用いているが、本考案の浮子式止水装置は、４ケ に限らず、貯水タンクＴの水量の多少、給水圧力の大小等の条件に応じて所望の 数にすることができる。

【００３１】

【考案の効果】

本考案の浮子式止水装置は、鉛直方向において弁に当接した浮子の浮力で弁を 離接して出水口を開閉するので、幅方向の長さが十分でない貯水タンクでも使用 することができ、用途の多様化が可能である。また、浮子は必要に応じて増減で きるので、弁の出水口への圧接圧力の調整が容易であり設計の自由度が大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施の形態の浮子式止水装置を鉛直方向に切
断した断面図。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線に沿った断面の上方からの
矢視図。

【図３】従来の浮子式止水装置の要部拡大図。

【符号の説明】

１ 浮子式止水装置 ２ 出水口 ３ 導水管 ４ 弁 ５ 浮子 ６ ガイド管 Ｔ 貯水タンク

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項1】 貯水タンクに水を供給する導水管の鉛直
   方向下方に開口する出水口に着脱可能に装着されて該タ
   ンクの内部を上下に延びるガイド管と、前記ガイド管の
   内部に装着されて前記出水口を開閉可能にする弁と、前
   記ガイド管の内部における前記弁の下方に配置されて前
   記タンクの水量に応じて前記ガイド管の内部を上下動可
   能になっている少なくとも一つの浮子とから構成され、
   前記タンクの水量が給水を不要とする水位にあるとき
   は、前記浮子がその浮力によって前記弁を前記出水口に
   圧接させることにより前記弁が前記出水口を閉じ、前記
   タンクの水量が給水を要とする水位にあるときは、前記
   浮子が前記ガイド管の内部を降下して前記弁を前記出水
   口から離間することにより前記弁が前記出水口を開ける
   ことを特徴とする前記浮子式止水装置。
2. 【請求項２】 前記ガイド管は、このガイド管を貫通す
   る多数の透孔をその周壁に有することを特徴とする請求
   項１記載の前記浮子式止水装置。
3. 【請求項３】 前記浮子は、複数個設けられていること
   を特徴とする請求項１記載の前記浮子式止水装置。